平成21年第4801号,平成22年第7629号損害賠償請求事件判決主文 1 被告は,原告X1に対し,79万2000円及び別紙第2遅延損害金目録1の「認容額」欄記載の各金員に対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告X2に対し,9万9000円及び別紙第2遅延損害金目録2の「認容額」欄記載の各金員に対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告X3に対し,56万1000円及び別紙第2遅延損害金目録3の「認容額」欄記載の各金員に対する同「起算日」欄記載の各日から支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを19分し,その1を被告の負担とし,その余を原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 被告は,原告X1に対し,1500万円及びうち60万円に対する平成21年4月28日から,うち60万円に対する同年6月5日から,うち60万円に対する同年8月19日から,うち60万円に対する同年9月4日から,うち60万円に対する同年10月16日から,うち60万円に対する同年11月5日から,うち60万円に対する同年11月12日から,うち60万円に対する同年11月19日から,うち60万円に対する同年12月28日から,うち60万円に対する平成22年2月8日から,うち60万円に対する同年3月31日から,うち60万円に対する同年4月23日から,うち60 万円に対する同年4月30日から,うち120万円に対する同年5月6日から,うち60万円に対する同年9月6日から,うち60万円に対 月31日から,うち60万円に対する同年4月23日から,うち60 万円に対する同年4月30日から,うち120万円に対する同年5月6日から,うち60万円に対する同年9月6日から,うち60万円に対する同年9月28日から,うち60万円に対する同年11月5日から,うち60万円に対する同年12月27日から,うち60万円に対する平成23年1月24日から,うち60万円に対する同年2月16日から,うち60万円に対する同年3月18日から,うち60万円に対する同年4月11日から,うち60万円に対する平成24年2月10日から,うち60万円に対する同年3月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告X2に対し,180万円及びうち60万円に対する平成21年4月28日から,うち60万円に対する同年10月16日から,うち60万円に対する同年11月5日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告X3に対し,1020万円及びうち60万円に対する平成21年6月5日から,うち60万円に対する同年8月19日から,うち60万円に対する同年9月4日から,うち60万円に対する同年11月5日から,うち60万円に対する同年11月12日から,うち60万円に対する同年11月19日から,うち60万円に対する同年12月28日から,うち60万円に対する平成22年2月8日から,うち60万円に対する同年3月31日から,うち60万円に対する同年4月23日から,うち60万円に対する同年4月30日から,うち120万円に対する同年5月6日から,うち60万円に対する同年9月6日から,うち60万円に対する同年11月5日から,うち60万円に対する平成23年1月24日から,うち60万円に対する同年2月16日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支 万円に対する同年9月6日から,うち60万円に対する同年11月5日から,うち60万円に対する平成23年1月24日から,うち60万円に対する同年2月16日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 仮に仮執行宣言を付する場合にはア仮執行免脱宣言イ執行開始時期を判決が被告に送達された後14日経過した時とすること第2 事案の概要本件は,①死刑確定者として名古屋拘置所に拘置されている原告X1並びにその弁護人であった原告X2及び原告X3が,刑事訴訟における控訴の取下げの効力を争うための面会につき,同拘置所長が拘置所職員の立会いのない面会(以下「無立会面会」又は「秘密接見」という。)を認めなかったのは,秘密交通権の保障に反し,又は拘置所長の裁量権を逸脱濫用した違法なものであるとして,②原告X1が,同拘置所長の上記職務執行の違法性を主張する本件訴訟の準備のための弁護士との面会につき,同拘置所長が無立会面会を認めなかったのは,拘置所長の裁量権を逸脱濫用した違法なものであるとして,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,各面会における同拘置所長の職務執行によって原告らが受けた精神的苦痛に対する慰謝料及び弁護士費用並びに職務執行の日(各面会の日)から支払済みまで民法所定の遅延損害金の支払いをそれぞれ求めた事案である。 1 前提事実(証拠を摘示しない事実は当事者間に争いがない。) 当事者等ア原告X1は,平成21年3月18日,名古屋地方裁判所において営利略取,逮捕監禁,強盗殺人,死体遺棄,窃盗未遂被告事件(以下「本件被告事件 示しない事実は当事者間に争いがない。) 当事者等ア原告X1は,平成21年3月18日,名古屋地方裁判所において営利略取,逮捕監禁,強盗殺人,死体遺棄,窃盗未遂被告事件(以下「本件被告事件」という。)につき死刑判決(以下「本件死刑判決」という。 甲1)の宣告を受け,後述の審理を経て,現在は死刑確定者として名古屋拘置所で拘置されている者である。 イ原告X2及び原告X3は,いずれもA弁護士会所属の弁護士で,原告X 1の本件被告事件一審の国選弁護人であった者である。 弁護士B及び弁護士Cは,いずれもA弁護士会所属の弁護士であり,原告X2及び原告X3とともに,原告X1の本件訴訟の訴訟代理人である。 ウ被告は,名古屋拘置所を設置運営している。 原告X2及び原告X3は,平成21年3月18日,原告X1に対する本件死刑判決に対し控訴を申し立てた。また,原告X1は,同月24日,本件死刑判決に対し控訴を申し立てた。 その後,原告X1は,同年4月13日,名古屋高等裁判所に対し,控訴取下申立書を提出し,控訴を取り下げた(以下「本件控訴取下げ」という。)。 名古屋地方検察庁検察官は,同月24日,名古屋拘置所長に対し,原告X1の本件死刑判決が同月13日に確定した旨の死刑判決確定通知書を送付し,同拘置所処遇部長は,同月27日,原告X1に対して,同通知書に基づき本件死刑判決の確定を告知した(乙1,2)。 原告X1は,同日,原告X2及び原告X3を本件被告事件控訴審の私選弁護人に選任する旨の弁護人選任届に署名押印し,原告X2及び原告X3は,同日,名古屋高等裁判所に対し,同弁護人選任届及び本件控訴取下げが真意に基づかない無効なものであり,控訴審における審理を求める旨の期日指定申立書を提出した(以下「本件期日指定申立て」という。甲2,3)。 ,名古屋高等裁判所に対し,同弁護人選任届及び本件控訴取下げが真意に基づかない無効なものであり,控訴審における審理を求める旨の期日指定申立書を提出した(以下「本件期日指定申立て」という。甲2,3)。 原告X2及び原告X3は,同月28日から平成23年2月16日までの間,20回にわたり,名古屋拘置所において,本件期日指定申立てに関する準備のため原告X1との無立会面会を申し出たが,無立会面会は認められず,平成22年4月15日の1回を除き,いずれも拘置所職員立会いの下,面会を行った(拘置所職員立会いの下で行った19回の面会を,以下「本件弁護人面会」という。)。 原告X2及び原告X3は,平成21年8月12日,名古屋拘置所長が,原告X1との無立会面会を認めなかったのは違法であるとして,原告X2及び 原告X3に対する慰謝料等の支払を求める旨の訴えを提起した(本件訴訟の併合前の平成21年第4801号)。 名古屋高等裁判所は,本件期日指定申立てにつき,原告X1に対する事実取調べ及び鑑定人による鑑定等の審理を行った後,平成22年9月9日,「本件控訴は,平成21年4月13日取下げにより終了した」旨の訴訟終了宣言の決定をした(甲31)。 原告X2及び原告X3は,同決定に対し,平成22年9月13日付け異議申立書により異議を申し立て,同年11月15日付け異議申立理由補充書を提出したが,名古屋高等裁判所は,平成23年2月10日,異議申立てを棄却する決定をした(平成22年第16号。甲32ないし34)。 原告X2及び原告X3は,同決定に対し同月14日付け特別抗告申立書により特別抗告を申し立てたが,最高裁判所は,同年3月2日,同申立書には具体的な抗告理由の記載がなく,抗告提起期間内に理由書の提出もないので,同申立ては不適法であるとして,同抗 日付け特別抗告申立書により特別抗告を申し立てたが,最高裁判所は,同年3月2日,同申立書には具体的な抗告理由の記載がなく,抗告提起期間内に理由書の提出もないので,同申立ては不適法であるとして,同抗告を棄却する決定をした(平成23年第66号。甲35,36)。 原告X1は,平成22年11月4日,名古屋拘置所長が,原告X2及び原告X3との無立会面会を認めなかったのは違法である旨主張し,原告X1に対する慰謝料等の支払を求める訴えを提起した(本件訴訟の併合前の平成22年第7629号。以下「本件X1国賠訴訟」という。)。 原告X3,弁護士B及び弁護士Cは,同年9月28日から平成24年3月29日までの間,6回にわたり,名古屋拘置所において,本件X1国賠訴訟の準備のため原告X1との無立会面会を求めたが,無立会面会は認められず,いずれも拘置所職員立会いの下,面会を行った(以下「本件訴訟代理人面会」といい,本件弁護人面会と併せて「本件各面会」という。)。 2 争点 本件弁護人面会における秘密交通権の保障の有無,刑事収容施設及び被収 容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」という。)121条の適用の有無(以下「争点」という。) 本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用されない場合,名古屋拘置所長の職務上の注意義務違反の有無(以下「争点」という。) 本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用される場合,立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無(以下「争点」という。) 本件訴訟代理人面会の立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無(以下「争点」という。) 原告らの損害額(以下「争点」という。) 3 争点に対する当事者の主張 争点(本件弁護人面会 の立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無(以下「争点」という。) 原告らの損害額(以下「争点」という。) 3 争点に対する当事者の主張 争点(本件弁護人面会における秘密交通権の保障の有無,刑事収容施設法121条の適用の有無)について(原告らの主張)控訴取下げの効力を争っている原告X1には,刑訴法39条1項の適用ないし準用,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)14条3項の適用又は憲法32条の趣旨により,弁護人との秘密交通権が保障され,死刑確定者の面会の立会いに関し拘置所長の裁量権を認める刑事収容施設法121条は適用されないから,本件弁護人面会に立会いを付すことは違法である。 ア刑訴法39条1項の適用ないし準用について最高裁は,被告人が上訴取下げの意義を理解し,自己の権利を守る能力を喪失していた場合のみならず,自己の権利を守る能力を著しく制限されていた場合にも,上訴取下げは無効である旨判示している(最高裁平成7年6月28日第二小法廷決定・刑集49巻6号785頁。以下「最高裁平成7年決定」という。)。審理の続行の申立てについて刑訴法の規定はな く,期日指定申立ては形式的には職権発動を促す申立てにすぎないが,上訴取下げを有効と認めた場合には訴訟終了宣言の決定をし,これに対する不服申立てが認められるという実務上の運用が定着しており,最高裁も訴訟終了宣言の決定に対する不服申立てを認めている(最高裁昭和61年6月27日第三小法廷決定・刑集40巻4号389頁。以下「最高裁昭和61年決定」という。)。 このような最高裁の厳格かつ慎重な立場は,同決定の「訴訟終了宣言の裁判に対してその取消しと爾後における上訴審の手続の続行を求める利益が被告人側に存することは明ら 高裁昭和61年決定」という。)。 このような最高裁の厳格かつ慎重な立場は,同決定の「訴訟終了宣言の裁判に対してその取消しと爾後における上訴審の手続の続行を求める利益が被告人側に存することは明らかであり,しかも,その利益は,刑事訴訟の本案そのものの帰結にかかわるものであつて,単なる訴訟手続上の裁判所の職権裁量事項についてその職権発動を求める場合と到底同日に論ずることはできない」旨の補足意見が示しているように,上訴取下げという訴訟行為が決定的な重要性を有することに着目して,形式論を乗り越え,実質論に依拠したものである。 そして,上訴取下げの能力のうちの自己の権利を守る能力の有無については,当該訴訟行為のもたらす法律効果の重大性,意思決定過程に作用した精神障害の有無及びその程度,精神障害の原因と訴訟手続との関係,当該訴訟行為をした動機又は目的等の諸事情を総合考慮して判断する必要があり,また,特に本件のように死刑判決を宣告された事件においては,刑訴法の保障する上訴権の行使を事実上制限することのないよう,判決宣告の衝撃や公判審理の重圧といった訴訟手続に必然的に伴う精神的苦痛が上訴取下げに与える影響についても考慮する必要があるとされ,期日指定申立て手続においては,事実取調べや鑑定などの手続も行われる。当該事実取調べ等に対し適切に防御権を行使し,訴訟終了宣言等の決定に対して不服申立ての手続を適切に行うためには,弁護人の有効な援助なしでは,上訴取下げの有効性を効果的に争うことは不可能で,弁護権の保障が不可欠 であり,自由なコミュニケーションを確保するため,申立人と弁護人との間の秘密交通権が保障されなければならない。 加えて,上訴取下げが無効と認められれば,上訴裁判所の審理が続行され,被告人の防御権が保障されるところ,期日指定申立て手続 保するため,申立人と弁護人との間の秘密交通権が保障されなければならない。 加えて,上訴取下げが無効と認められれば,上訴裁判所の審理が続行され,被告人の防御権が保障されるところ,期日指定申立て手続における秘密接見が保障されなければ,接見内容が探知され,被告人の防御にとって回復不可能な不利益が及ぶことになる。そのため,期日指定申立て手続における秘密交通権を保障しないことは,その後の上訴裁判所の審理手続における有効な弁護をも実質的に阻害しうることとなるのである。 したがって,上訴の取下げの効力を争う手続においては,上訴取下げの能力の認定には「疑わしきは被告人の利益に」の証明基準が適用され,能力の存在について「疑い」が払拭されたときに上訴取下げが有効とされるのであり,期日指定申立人の法的地位については,無罪推定の原則により,訴訟終了宣言の決定が確定するまでは,その上訴取下げが無効であることを前提とし,「被告人」の地位にあると解するべきである。 控訴取下げの効力を争っている原告X1も,訴訟終了宣言の決定が確定するまでの間は被告人として処遇され,その弁護人である原告X2及び原告X3との面会には,刑訴法39条1項が直接適用される。 仮に同項が直接適用されないとしても,同項の秘密交通権は憲法34条の弁護権に由来し,憲法34条の弁護権は,司法的コントロールを通じて,あらゆる身体的拘束下にある人を違法拘束から保護するための手続保障としての性格を有する。死刑確定者か被告人かが未だ確定していない地位で拘禁下にある原告X1の弁護権も,憲法34条によって基礎付けられているから,刑訴法39条1項の準用により,秘密交通権を内包するものと理解すべきである。 イ自由権規約14条3項について自由権規約14条3項(b)は,「刑事上の罪の決定について」「弁護 られているから,刑訴法39条1項の準用により,秘密交通権を内包するものと理解すべきである。 イ自由権規約14条3項について自由権規約14条3項(b)は,「刑事上の罪の決定について」「弁護 人と連絡する権利」を保障している。 自由権規約14条に関する規約人権委員会の一般的意見32,欧州人権条約における解釈,自由権規約委員会の日本政府の第5回定期報告書に対する総括所見(以下「総括所見」という。),条約及び確立した国際法規の誠実な遵守を求める憲法98条2項の趣旨にも照らすと,自由権規約14条3項(b)の被告人と弁護人とのコミュニケーションの保障には,弁護人の援助の実効性を確保するために極めて限定された例外的状況がある場合を除き自由と秘密性が保障されると解すべきで,自由権規約14条3項(b)(d)の弁護権の保障は「刑事上の罪の決定」そのものに関する手続でなくとも,手続全体としての裁判の公正を確保するために不可欠と認められた場合には,準用されるべきである。 原告X1は,本件控訴取下げの効力を争う期日指定申立て手続の係属中で,公判審理が続いており,再審請求手続以上に「刑事上の罪の決定」に関する手続と同視すべき場合であるから,自由権規約14条3項により,原告X1には秘密交通権が保障される。 ウ憲法32条を根拠とする裁判にアクセスする権利について憲法32条が保障する裁判を受ける権利は,市民が裁判にアクセスする権利を保障するものと解すべきところ,上訴取下げの無効を理由とする期日指定申立て手続における秘密交通権の保障は,有罪判決の見直しを求めて,裁判所にアクセスする権利を実効化するものとして憲法32条の保障の趣旨に合致する。 (被告の主張)控訴取下げの無効を理由とする期日指定申立てを行い,この点に関する裁判所の判断がさ しを求めて,裁判所にアクセスする権利を実効化するものとして憲法32条の保障の趣旨に合致する。 (被告の主張)控訴取下げの無効を理由とする期日指定申立てを行い,この点に関する裁判所の判断がされていない死刑確定者と弁護人との間の面会には,秘密交通権が保障されていないというべきであり,刑事収容施設法121条が適用され,拘置所長に職員の立会いに関する判断について裁量権が認められる。 ア刑訴法39条1項の適用ないし準用について刑訴法39条1項が身体の拘束を受けている「被告人又は被疑者」(未決拘禁者)に関する規定であることは文理上明らかであるところ,死刑確定者は,死刑確定者を有罪とし死刑を言い渡した確定判決の効力により拘束されており,また,死刑の執行のために必然的に付随する手続として,一般社会とは厳重に隔離してその身柄を確保されるべき者として収容されているのであり(最高裁平成11年2月26日第二小法廷判決・訟務月報45巻10号1926頁参照),被告人又は被疑者とは異なる法的地位にある。 したがって,刑訴法39条1項を死刑確定者に適用ないし準用することはできないというべきである。 刑事被告事件において,上訴を申し立てた後それを取り下げれば事件は直ちに終了するから,上訴取下げにより原判決が一旦確定したにもかかわらず,その後の上訴取下げの無効を理由とする不服申立ての手続を行うことにより,死刑確定者が直ちに被告人の地位に復するとすれば,著しく訴訟手続の確実性が害されると共に,刑事施設における処遇にも著しい影響を及ぼすことになる。したがって,明文の規定もなく,そのように解することはおよそ許されるものではない。 現在の死刑判決確定後の事務手続をみても,死刑判決の確定により,未決拘禁者から死刑確定者に法的地位が変更された場合,検 がって,明文の規定もなく,そのように解することはおよそ許されるものではない。 現在の死刑判決確定後の事務手続をみても,死刑判決の確定により,未決拘禁者から死刑確定者に法的地位が変更された場合,検察官が,死刑判決確定通知書に判決謄本を添えて死刑の言渡しを受けた者が収容されている刑事施設の長にその旨通知することとし,当該通知をもって刑事施設における事務処理に支障が生じないよう措置されている。 最高裁昭和61年決定は訴訟終了宣言の決定に対する不服申立ての道を開いたものにすぎず,同決定が,死刑判決の言渡しを受けた被告人が上訴を取り下げた後,その上訴取下げの無効を理由とする期日指定申立てを行 ったからといって,直ちに刑事公判手続における被告人と同様の法的地位を認める趣旨のものではないことは明らかである。 したがって,死刑判決の言渡しを受けた被告人が上訴を取り下げた後,その上訴取下げは無効であっていまだ被告人の地位にある旨主張したとしても,当該刑事事件を審理する裁判所が上訴取下げを無効と判断しない限り,飽くまで死刑確定者として処遇されるべきである。 最高裁平成7年決定は「疑わしきは被告人の利益に」の証明基準の適用を肯定したものではなく,「疑わしきは被告人の利益に」の原則は,刑事裁判手続における挙証責任や証明の程度についての原則を定めたものに過ぎない。無罪推定の原則は,「疑わしきは被告人の利益に」の原則と同様,被疑者ないし被告人に係る原則である。したがって,名古屋拘置所長が死刑確定者として処遇されるべき原告X1との面会に立会いを付す措置についてこれらの原則を及ぼす余地がないことは明らかである。 憲法34条は,当事者主義構造を採る刑事手続の下,捜査・訴追を受ける被疑者に対して,弁護人に依頼することにより,弁護人から援助を受ける機会を いてこれらの原則を及ぼす余地がないことは明らかである。 憲法34条は,当事者主義構造を採る刑事手続の下,捜査・訴追を受ける被疑者に対して,弁護人に依頼することにより,弁護人から援助を受ける機会を持つことを保障したものと解されている。他方,死刑確定者は,死刑を言い渡した確定判決の効力により拘束されており,もとより被告人又は被疑者ではなく,また,死刑の執行のために必然的に付随する手続として,一般社会とは厳重に隔離してその身柄を確保されるべき者として収容されているのであるから,かかる死刑確定者について,被疑者の権利を保障した憲法34条の適用及び準用を論じるのが相当ではないことは明らかである。 イ自由権規約14条3項の適用について自由権規約14条3項を条約法に関するウィーン条約(昭和56年条約第16号)31条1に従って解釈すれば,自由権規約14条3項(b)は被疑者ないし被告人の弁護人との接見交通権を,同条(d)は被疑者ない し被告人の弁護人依頼権や防御権をそれぞれ保障したものであり,憲法34条と同様に未決拘禁者を対象とする趣旨と解される。 総括所見は締結国に対して,法的拘束力を含めいかなる義務的拘束力をもつものではない。また,我が国が欧州人権条約の当事国でないことはいうまでもない。 以上によれば,自由権規約14条3項により,本件弁護人面会に秘密交通権の保障が及ぶものではない。 ウ憲法32条を根拠とする裁判にアクセスする権利の侵害について死刑確定者に対して憲法32条の裁判を受ける権利の保障が及ぶとしても,同権利は,刑事事件に関しては,裁判所の裁判によるのでなければ刑罰を科せられないという憲法31条の定める適正手続の当然の要請を意味するものと解され,死刑確定者に対し,上訴取下げの無効を理由とする期日指定申立て事件 件に関しては,裁判所の裁判によるのでなければ刑罰を科せられないという憲法31条の定める適正手続の当然の要請を意味するものと解され,死刑確定者に対し,上訴取下げの無効を理由とする期日指定申立て事件の弁護人である弁護士と立会人なく面会し,打ち合わせをする権利ないし自由まで直接的に保障したものと解することはできない。 そもそも,未決拘禁者と弁護人等との秘密交通権は,飽くまでも憲法34条の弁護人に依頼する権利の保障に由来する刑訴法39条1項から導かれるものであり(最高裁昭和53年7月10日第一小法廷判決・民集32巻5号820頁,同平成3年5月10日第三小法廷判決・民集45巻5号919頁,同平成3年5月31日第二小法廷判決・裁判集民事163号47頁参照),それ以外に,憲法32条を根拠として,未決拘禁者と弁護人等以外の者についても同様に秘密交通権が認められると解する余地はない。 争点(本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用されない場合,名古屋拘置所長の職務上の注意義務違反の有無)について(原告らの主張)本件弁護人面会に立会いを付すことが違法である以上,名古屋拘置所長には,原告X1が上訴の取下げの効力を争っている事実を裁判所に確認し,原 告らの権利を侵害することのないようにすべき職務上の法的注意義務があり,また,確認がされたのであれば,原告X1の訴訟の準備という正当な利益の保護の必要性が高いことに鑑み,面会に立会いを付さない旨の判断を下し,その旨の措置を指揮下にある拘置所職員らに執らせるべき職務上の法的注意義務があった。 本件弁護人面会の時点でも,最高裁平成7年決定等により,上訴取下げの無効が認められることは明らかにされており,かつ,上訴取下げの無効が原始的無効であることは確立した解釈であるから,死刑確定者を拘禁する拘 弁護人面会の時点でも,最高裁平成7年決定等により,上訴取下げの無効が認められることは明らかにされており,かつ,上訴取下げの無効が原始的無効であることは確立した解釈であるから,死刑確定者を拘禁する拘置所の長としては,上訴取下げ無効を理由とした弁護人と死刑確定者との面会は単なる死刑確定者と弁護士との面会ではなく刑事被告人もしくはこれに準ずる者と弁護人との面会として処遇すべきことは判断が可能であった。 そして,名古屋拘置所長は,原告X2及び原告X3が原告X1との面会を申し入れた時点において,原告X2及び原告X3が名古屋高等裁判所に弁護人選任届を提出し,期日指定の申立てを行った旨告げたにもかかわらず,原告X1が一旦控訴取下げをなした以上,死刑確定者として扱えば足りると判断し,指揮下にある拘置所職員らに,原告X1が真に控訴取下げの効力を争っているのか否かを名古屋高等裁判所に確認させるなどせず,原告らの面会に立会いを付すことを決め,統括矯正処遇官(以下「統括」という。)ら指揮下の拘置所職員らに対し,その旨指揮したもので,故意に上記注意義務に違反した。 (被告の主張)国賠法1条1項の違法とは,公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたことをいうのであって,当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該法令の解釈適用を行ったと認めうるような事情がある場合に限り,違法と評価されるに過ぎない。 仮に,本件のような場合に,刑訴法39条1項の適用ないし準用が認められるとしても,本件弁護人面会当時,同条項の適用ないし準用を認める見解を根拠付ける明文規定や判例もなく,確定した実務慣行あるいは解釈といえるものではないのであるから,本件において,名古屋拘置所長が執った措置が職務上の義 人面会当時,同条項の適用ないし準用を認める見解を根拠付ける明文規定や判例もなく,確定した実務慣行あるいは解釈といえるものではないのであるから,本件において,名古屋拘置所長が執った措置が職務上の義務に違反したということはできない。 争点(本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用される場合,立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無)及び争点(本件訴訟代理人面会の立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無)について(原告らの主張)ア本件弁護人面会について仮に本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用されるとしても,原告X2及び原告X3が原告X1との面会を申し入れた時点において,原告X1は,原告X2及び原告X3を弁護人に選任し,期日指定の申立てを行っていたから,刑事収容施設法121条ただし書きの「死刑確定者の訴訟の準備その他の正当な利益の保護のためその立会い又は録音若しくは録画をさせないことを適当とする事情がある場合」に該当する。 本件死刑判決が果たして確定したのか否か,刑事裁判そのものの帰結に関わる争いを行っていた原告X1が,その弁護人である原告X2及び原告X3と無立会面会をし,弁護人と十分な意思疎通を図り,実質的かつ効果的な弁護人の援助を受ける正当な利益は,これを保護する必要性が極めて高く,他の利益に比して優越的価値を有する利益であったと認められる。 イ本件訴訟代理人面会について本件訴訟代理人面会は,本件弁護人面会について秘密接見を認めない名古屋拘置所長の処遇に関する本件X1国賠訴訟の準備のための面会であり,刑事収容施設法121条ただし書きの「死刑確定者の訴訟の準備その他の 正当な利益の保護のためその立会い又は録音若しくは録画をさせないことを適当と る本件X1国賠訴訟の準備のための面会であり,刑事収容施設法121条ただし書きの「死刑確定者の訴訟の準備その他の 正当な利益の保護のためその立会い又は録音若しくは録画をさせないことを適当とする事情がある場合」に該当する。 同法の立法過程における法務大臣の答弁及び被収容者が自己が受けた刑事施設における処遇に関して救済等を求めるために弁護士と面会する場合には,刑事施設はその処遇に関する紛争の直接の相手方に他ならず,拘置所職員が立ち会って面会の際の発言内容を逐一聴取される状況では情報伝達や意思疎通に対する萎縮的効果も甚だしく,明らかに不公平であること等をふまえれば,原告X1が,本件弁護人面会の秘密接見を認めない名古屋拘置所における処遇に対し不満を抱いて救済を希望し,かかる処遇に関する本件X1国賠訴訟の準備のため打ち合わせをしようと名古屋拘置所に赴いた弁護士と無立会面会をし,十分な意思疎通を図り,法律専門家たる弁護士から実質的かつ効果的な援助を受ける正当な利益もまた,これを保護する必要性が極めて高く,他の利益に比して優越的価値を有する利益であったと認められる。 ウ刑事収容施設法32条1項は,死刑確定者が自ら「心情の安定」を得られるよう適切な援助を与え,又は心情の安定が害されるような外的条件を排除するよう処遇上の配慮がなされるべきであることを明らかにしている。 「心情の安定」は,個人の主観に関わる内心の問題であり,基本的に強制するような事柄ではなく,心情の安定を図ることを理由に何らかの義務を課し,保障されるべき権利を制約するのは適当ではなく,このことは,立法時の経過からも明らかであり,「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」の衆議院及び参議院の各法務委員会における附帯決議において,「心情の安定を死刑確定者の権 ,このことは,立法時の経過からも明らかであり,「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」の衆議院及び参議院の各法務委員会における附帯決議において,「心情の安定を死刑確定者の権利を制限する原理であると考えてはならない」旨決議されている。 そうであるとすると,心情把握の必要性を理由とした立会い等は許されず,死刑確定者のかかる希望を尊重し,かつ援助するため,原則として, 拘置所職員の立会いは行わせるべきではない。 また,原告X1は,平成21年3月18日に死刑判決を受ける前から精神安定剤や睡眠薬を服用し続けており,精神安定剤や睡眠薬の服用と死刑判決を受けたこととは全く無関係であった。 したがって,死刑確定者の正当な利益を制限する根拠として心情の安定や心情把握の必要性を持ち出すこと,原告X1が睡眠薬や精神安定剤を服用し続けていることは,拘置所側の都合や論理で心情の安定を図ることを理由に死刑確定者に保障されるべき正当な権利利益を制約することに他ならない。 エ他方,原告X2や原告X3は,原告X1の本件被告事件一審の国選弁護人であり,原告X1が平成19年12月5日に名古屋拘置所に収容されてから平成21年4月までの1年4か月あまり,弁護人として同拘置所において原告X1と多数回,長時間の接見を繰り返し,信頼関係を十分に形成していた。そして,原告X1が接見に起因して精神的に不安定な行動に及んだ旨の指摘はなく,原告X1の精神的に不安的な行動と原告X2と原告X3との接見ないし面会とは全く関連性が認められなかった。これらの事実は,名古屋拘置所長も知悉していた。 オしたがって,名古屋拘置所長が本件弁護人面会及び本件訴訟代理人面会に拘置所職員の立会いを付した措置は,本来考慮すべきでない事項を考慮に入れ,本来過大に評価す は,名古屋拘置所長も知悉していた。 オしたがって,名古屋拘置所長が本件弁護人面会及び本件訴訟代理人面会に拘置所職員の立会いを付した措置は,本来考慮すべきでない事項を考慮に入れ,本来過大に評価すべきでない事項を過大に評価したものであり,他方,考慮すべき事項を考慮しない又は過小に評価したものであり,裁量権の逸脱濫用にあたる。 (被告の主張)ア刑事収容施設法は,死刑確定者の面会における職員の立会いについて,受刑者(同法112条)とは異なり,同法121条本文において,刑事施設の長に対し,死刑確定者の面会に職員を立ち会わせるなどの措置を義務 付け,例外的に同条ただし書きに定める要件を満たす場合,すなわち,職員の立会い等の措置を取らないことを適当とする事情があり,かつ刑事施設の長が相当と認めるときに限って,上記義務を解除している。 イ平成21年10月16日までの本件弁護人面会について死刑確定者と死刑判決確定の効力を争う代理人たる弁護士との面会については,一般的には立会い等の措置の省略を適当とする事情があると考えられるが,実際には訴訟の準備はしていないのに,訴訟の準備の名の下に支援活動を行っていると評価される場合などもあり,刑事施設の長は,当該死刑確定者と弁護士との面会の頻度や状況に照らして,真に当該控訴審手続について具体的な訴訟準備を行っているものか等を検討して判断することとなる。 原告X1に対する本件死刑判決の確定が告知された平成21年4月27日の職員面接において,原告X1に控訴取下げの有効性を争う主体的かつ明確な意思は全くうかがわれなかった。実際にも,同年10月16日の面会までは,面会用件は刑事事件の控訴審手続の準備等とされていながら,面会表からうかがわれる面会状況は,安否伺い,雑談,名古屋拘置所の対応に対する不 うかがわれなかった。実際にも,同年10月16日の面会までは,面会用件は刑事事件の控訴審手続の準備等とされていながら,面会表からうかがわれる面会状況は,安否伺い,雑談,名古屋拘置所の対応に対する不満,事務連絡といった内容が中心であり,控訴審手続についての具体的な協議がされているとは認められず,立会いを省略するのに適当な事情があるとは認められない状況にあった。 ウ職員の立会い等の措置の省略を適当とする事情が認められる場合にも,更にこれに加えて,立会い等の措置の省略が相当であると認められることが必要である。刑事施設の長が職員の立会い等の省略を相当と認めるか否かを判断するにあたっては,死刑確定者の処遇の原則を踏まえつつ,死刑確定者の収容に責任を有し,刑事施設内の実情に通暁し,刻々と変化する死刑確定者の動静と微妙な精神状態を迅速かつ的確に把握でき,それぞれの死刑確定者の個別具体的な事情を常時総合的に把握しうる立場にある刑 事施設の長において,慎重に判断されるべき事柄であり,その判断にあたっては,刑事施設の長の専門的・技術的な裁量に委ねられていると解される。 死刑確定者の面会につき無立会面会の権利は認められておらず,刑事施設の長が立会いを省略するか否かを判断するに当たり,自殺及び逃走等の保安事故を防止する観点や,適切な処遇方針の決定等のために,死刑確定者の心情把握の必要性を考慮することは当然である。なお,刑事施設の長が,保安事故防止等の観点から,死刑確定者の心情を適切に把握する必要性を考慮して面会等を制約したとしても,それは死刑確定者の心情に配慮した結果としてそうなったにすぎず,これをもって死刑確定者の心情の安定を,権利を制限する原理としたなどと評価されるものではない。 原告X1は,本件死刑判決の前後を通じて,心情が安定せず,と 情に配慮した結果としてそうなったにすぎず,これをもって死刑確定者の心情の安定を,権利を制限する原理としたなどと評価されるものではない。 原告X1は,本件死刑判決の前後を通じて,心情が安定せず,とくに本件死刑判決後は,死の恐怖や不安等から心情が極めて不安定と認められる状態にあり,名古屋拘置所は,原告X1が名古屋地方裁判所により死刑判決の言渡しを受けてから,他の死刑確定者ではない被収容者と比して特にその動静に注意を要する者,要注意者として,処遇に当たる拘置所職員において心情の把握に努めていた。 エ死刑確定者の置かれた特殊な状況やその心情における特徴,これらを考慮した刑事収容施設法121条の趣旨を踏まえると,刑事施設の長が,立会い等の措置を省略することを相当と認めるとの裁量権を行使するにあたっては,死刑確定者の処遇の原則に反しないほどに,その心情の不安定さが認められないこと及び面会におけるその心情やこれに影響を与える言動を把握しなくても,自殺,自傷,逃走その他の刑事施設の規律及び秩序を害する行為に及ぶおそれがないと確信できることが必要と解すべきである。 原告X1のその心情の安定を図り,自殺などの事故を防止するために,面会における同人の心情把握の必要性が高かったことは明らかであるから, 本件各面会について,職員の立会いを行わないことが相当と認められる場合ではなかった。 したがって,立会いの省略が相当であると認めなかった名古屋拘置所長の判断は正当である。 争点(原告らの損害額)について(原告らの主張)ア原告X1 慰謝料合計1250万円(1回につき50万円)原告X1は,本件各面会につき,名古屋拘置所長の秘密接見の拒否及び妨害により,弁護人や訴訟代理人に対し心理的抵抗なく十分な情報を伝達し, 慰謝料合計1250万円(1回につき50万円)原告X1は,本件各面会につき,名古屋拘置所長の秘密接見の拒否及び妨害により,弁護人や訴訟代理人に対し心理的抵抗なく十分な情報を伝達し,弁護人や訴訟代理人からそれに応じて適切な助言を受けるといった自由かつ円滑な意思疎通を阻害され,これにより,実質的かつ効果的な弁護人や訴訟代理人の援助を受けることができず,多大な精神的苦痛を被った。 その損害を金銭に換算すれば1回の秘密接見の拒否及び妨害につき,慰謝料として50万円の損害が生じたものであり,その回数は25回であるから,合計1250万円の損害が生じた。 弁護士費用合計250万円(1回につき10万円)弁護士費用は1回の違法行為あたり10万円は下らないのであり,その回数は25回であるから,合計250万円の損害が生じた。 合計 1500万円イ原告X2 慰謝料合計150万円(1回につき50万円)本件弁護人面会のうち原告X2が行った各接見につき慰謝料50万円の損害が生じ,その回数は3回であるから,合計150万円の損害が生じた。 弁護士費用合計30万円(1回につき10万円) 合計 180万円ウ原告X3 慰謝料合計850万円(1回につき50万円)本件弁護人面会のうち原告X3が行った各接見につき慰謝料50万円の損害が生じ,その回数は17回であるから,合計850万円の損害が生じた。 弁護士費用合計170万円(1回につき10万円) 合計 1020万円(被告の主張)否認ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 本件各面会の経緯上記前提事実,証拠(甲41,乙59及び後掲の証拠。ただし,以下の認定に反する部分は採用しない。)及び弁論の全趣旨によれば 否認ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 本件各面会の経緯上記前提事実,証拠(甲41,乙59及び後掲の証拠。ただし,以下の認定に反する部分は採用しない。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 なお,本件弁護人面会に「本件第1面会」ないし「本件第19面会」の,本件訴訟代理人面会に「本件第①面会」ないし「本件第⑥面会」の略称を付し,各面会について述べる項の冒頭に略称を記載する。 本件被告事件一審判決(本件死刑判決)までの経緯ア原告X1は,平成19年8月26日,死体遺棄被疑事件の被疑者として逮捕され,愛知県千種警察署留置施設に留置された。原告X2は,同月28日,上記事件につき,刑事被疑者弁護援助制度により原告X1の私選弁護人に選任された(甲38,42)。 原告X1は,同年9月中旬ころ,営利略取,逮捕監禁,強盗殺人被疑事件で逮捕,勾留された。同事件につき,原告X3が被疑者国選弁護人に選 任された(甲39)。 原告X2及び原告X3は,原告X1が起訴された後,本件被告事件一審国選弁護人に選任された。 イ原告X2は,原告X1の私選弁護人又は本件被告事件一審国選弁護人として,同年8月28日から同年11月18日までの間,計14回,合計約6時間33分千種警察署留置施設又は名古屋地方検察庁構内において原告X1との面会を行った。 原告X3は,原告X1の被疑者国選弁護人又は本件被告事件一審国選弁護人として,同年9月20日から同年11月19日までの間,計9回,合計約3時間56分千種警察署留置施設又は名古屋地方検察庁構内において原告X1との面会を行った。 原告X1は,同年12月5日に名古屋拘置所に移送された。原告X2は,同月7日から平成21年3月18日までの間,計18回,合計約15時間 名古屋地方検察庁構内において原告X1との面会を行った。 原告X1は,同年12月5日に名古屋拘置所に移送された。原告X2は,同月7日から平成21年3月18日までの間,計18回,合計約15時間52分,原告X3は,平成20年3月11日から平成21年3月18日までの間,計35回,合計約39時間18分,それぞれ原告X1の本件被告事件一審国選弁護人として名古屋拘置所において原告X1との面会を行った(以上,甲42,43)。 ウ原告X1は,平成20年7月20日午前2時11分ころ,居室内において,布団に横臥しながら,靴下を首に巻き付け,両手で引っ張っている状態を発見され,拘置所職員が入室すると,顔面が蒼白で白目をむいている状態であった。原告X1は,医師による診察を受け,頚部に靴下で絞めた際にできた擦過傷はあるが,治療の必要はないとされたが,診察中も「まだ死にたい。」と申し立て,自殺のおそれが認められるとして,保護室に収容された。その後,同日午前3時31分ころには,同室内でノースリーブシャツを首に巻き付けていたところを拘置所職員に発見された。 また,原告X1の毛布から,貸与された金属製の膳板を切ったり,折っ たりして作成したと思われるナイフ様のもの1本が発見され,居室内からは,遺言書(ナイフで胸を突こうとしたが出来なかった旨の文言を含む。),乾電池の表皮部分を剥がしてナイフ状にしたもの及び三角形をした石ころ2個が発見された。 さらに,原告X1は,同月22日,保護室内において,自己の前頭部を室内壁に打ち付け,再三の制止にも従わず,同様の行為を続け,「どんなことをしても死ぬ。頭をかち割るのなんか簡単だ。」等と涙を流しながら訴え,拘置所職員の判断で,頭部保護のためのヘッドギアを装着の上,第2種手錠(第1種金属手錠併用)が使用された(乙9な け,「どんなことをしても死ぬ。頭をかち割るのなんか簡単だ。」等と涙を流しながら訴え,拘置所職員の判断で,頭部保護のためのヘッドギアを装着の上,第2種手錠(第1種金属手錠併用)が使用された(乙9ないし10<枝番含む>)。 エ名古屋地方裁判所は,平成21年3月18日,本件被告事件につき,原告X1に死刑判決を宣告した(本件死刑判決)。 原告X1は,本件死刑判決前後,持病の群発頭痛の発作が起こり,薬を服用していた(甲25)。 本件死刑判決から本件控訴取下げまでの経緯ア原告X2及び原告X3は,本件死刑判決宣告当日の平成21年3月18日,原告X1と面会した後,原告X1の本件死刑判決に対し控訴を申し立てた。 原告X1は,同日午後8時20分ころ,居室内で箸1本の先端を小机の下部分で削っていたところをテレビモニターにより視察中の拘置所職員に発見され,居室の検査により遺書らしき内容が書かれた便箋が捨てられているのが発見された。原告X1は,拘置所職員の事情聴取に対し,「死刑という判決は最初から受け入れています。弁護士が控訴しましたが,取り下げます。今の気持ちを正直に書いたメモですが,そんなことをするつもりはありません。」,「馬鹿なことはしません。」等と申し立てたが,先端が削られた箸を示されるや,目線を落として無言になり,自殺のおそれ が顕著に認められるとして,同日から同月22日まで保護室に収容された(乙11の1・2)。 原告X1は,同月24日,本件死刑判決に対し控訴を申し立てた。 イ原告X1は,控訴を申し立ててから控訴を取り下げるまでの間に,報道関係者及び交際相手と面会し,交際相手に信書を発信した(甲25,28)。なお,この間に原告X2又は原告X3と原告X1との面会はなかった。 原告X1は,同年4月10日,拘 取り下げるまでの間に,報道関係者及び交際相手と面会し,交際相手に信書を発信した(甲25,28)。なお,この間に原告X2又は原告X3と原告X1との面会はなかった。 原告X1は,同年4月10日,拘置所職員に対し控訴を取り下げたい旨述べた(乙12)。 原告X1は,同月13日,名古屋高等裁判所に対し,控訴取下申立書を提出し,控訴を取り下げた(本件控訴取下げ)。 ウ原告X3は,同月17日及び同月22日,原告X1と面会した(甲43)。 検察官は,同月24日,名古屋拘置所長に対し,原告X1の本件死刑判決が同月13日に確定した旨の死刑判決確定通知書を送付した(乙1)。 エ原告X3は,同月27日午前10時43分ころから午前11時3分ころまでの間,原告X1と面会し,原告X1から,拘置所職員を介して,原告X2及び原告X3を本件被告事件控訴審の私選弁護人に選任する旨の弁護人選任届を受け取った(甲2,43)。なお,原告X3は,同日の面会までは,原告X1と無立会面会をしていた。 原告X2及び原告X3は,同日,名古屋高等裁判所に対し,同弁護人選任届及び本件控訴取下げが真意に基づかない無効なものであり,控訴審における審理を求める旨の期日指定申立書を提出した(本件期日指定申立て)。 オ名古屋拘置所処遇部長は,同日午前11時7分ころから同時10分ころまでの間,原告X1に対して,上記死刑判決確定通知書に基づき本件死刑 判決の確定を告知した(乙2)。 本件第1面会原告X2は,平成21年4月28日午前11時ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,拘置所職員から,原告X1は昨日指揮書が来て死刑の既決囚の扱いになっており,立会人のない弁護士面会はできない旨及び一般面会であれば用意する旨伝えられ,引き続き応 原告X1との無立会面会を申し出たが,拘置所職員から,原告X1は昨日指揮書が来て死刑の既決囚の扱いになっており,立会人のない弁護士面会はできない旨及び一般面会であれば用意する旨伝えられ,引き続き応対した統括から,原告X1は死刑判決確定直後の死刑確定者であり,心情の安定を図る必要があることから無立会面会を認めることはできない旨説明された。原告X2は,名古屋高等裁判所に弁護人選任届を提出し,期日指定申立てを昨日行っており,原告X1との面会は刑事事件に関連する以上,秘密交通権が認められ,拘置所職員の立会いは必要ない旨述べたが,立会いは省略されなかった。 原告X2は,同日午前11時56分ころから同日午前11時59分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,同原告の体調を尋ね,原告X3が控訴取下げの件について手続きしている旨伝えた(乙7)。 本件第2面会原告X3は,平成21年6月5日午前9時50分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との面会を申し出た。その際,今回の面会は,原告X1の刑事裁判における控訴の取下げが無効であることを主張する準備のため行うものであり,原告X1は刑事被告人の立場にあると思われることから,拘置所職員の立会いなく原告X1と面会したい旨申し出た。 これに対し,拘置所職員は,原告X3に,原告X1は死刑確定者であるから無立会面会を認めることはできない旨説明し,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前10時ころから午前10時20分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,同原告の体調を尋ね,同原告の上訴取下げ能力に関する医師との相談状況や本件被告事件の共同被告人につい ての審理状況に関する話をした(乙8)。 原告X2及び原告X3は,本件期日指定申立てに関し,原告 を尋ね,同原告の上訴取下げ能力に関する医師との相談状況や本件被告事件の共同被告人につい ての審理状況に関する話をした(乙8)。 原告X2及び原告X3は,本件期日指定申立てに関し,原告X1の私的精神鑑定のために必要な措置又は裁判所による精神鑑定を求める旨の平成21年6月12日付け意見書を名古屋高等裁判所に提出した。 原告X2及び原告X3は,平成21年8月12日,本件訴訟のうち同人らを原告とする本件第1面会及び本件第2面会に関する請求に係る訴えを提起した。 本件第3面会原告X3は,平成21年8月19日午前9時55分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 応対した統括は,原告X3に対し,心情把握のためには立会いが必要である旨,この方針は今後も変わることはない旨及び他の施設においても同じ扱いである旨述べた。 これに対し,原告X3は,立会人のいる中で今後も原告X1と被告人質問の打合せをしなければならないのはおかしい旨,再審であっても弁護人が立会いなしで面会できるのにそれと異なる点は具体的にどこがあるのか旨述べたが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前10時30分ころから午前11時1分ころまで拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,面会の立会いが省略されないことに対する対応方針に関する話をした(乙20)。 本件第4面会原告X3は,平成21年9月4日午前9時43分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 原告X3は,同年8月19日の際の統括が話の途中で申入れを無視したまま説明を放棄して弁護人控え室から立ち去ったことについて遺憾に思っている旨告げた上,再度無立会面会を申し出たが,拘置所職員は,他の統 括を連れて 9日の際の統括が話の途中で申入れを無視したまま説明を放棄して弁護人控え室から立ち去ったことについて遺憾に思っている旨告げた上,再度無立会面会を申し出たが,拘置所職員は,他の統 括を連れてきて説明することは構わないが,拘置所のスタンスは変わることはない旨回答し,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前11時41分ころから午前11時54分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,本件期日指定申立てにおける精神鑑定に関する話をした(乙21)。 本件期日指定申立てに関し,検察官は平成21年8月17日付け意見書を,原告X2及び原告X3は同年9月4日付け意見書及び同日付け鑑定申出書を,検察官は同月14日付け意見書を,それぞれ名古屋高等裁判所に提出した(甲21ないし24)。 原告X2及び原告X3は,同月,名古屋拘置所及び法務大臣に対し,本件期日指定申立ての上記審理状況を説明し,改めて原告X1との無立会面会を認めるよう求める申入書を送付した(甲9の1ないし4)。 名古屋高等裁判所は,同年10月上旬ころ,原告X2及び原告X3との間で,原告X1に対する事実取調べの日程を打ち合わせた。 本件第5面会原告X2は,平成21年10月16日午後1時17分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。その際,原告X2は,「名古屋高等裁判所で期日指定申立手続の関係で,被告人質問の期日が入ったので立会人なくして弁護士面会をしたい。」旨述べた。これに対し,拘置所職員ができない旨回答したため,原告X2は,以前送付した申入書を見た上での対応か尋ねたが,そうである旨回答され,立会いは省略されなかった。 原告X2は,同日午後1時42分ころから午後1時47分ころまで,拘置所職員立会いの下で原告X1 は,以前送付した申入書を見た上での対応か尋ねたが,そうである旨回答され,立会いは省略されなかった。 原告X2は,同日午後1時42分ころから午後1時47分ころまで,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,名古屋高等裁判所において事実取調べがある旨及びその日程を伝えた(乙22)。 名古屋高等裁判所は,平成21年10月23日ころ,同年11月20日午 後1時30分に同裁判所法廷で原告X1に対する事実取調べを実施する旨を,同年10月30日ころ,同事実取調べの場所を名古屋拘置所に変更する旨を決定し,その旨記載した各事務連絡を原告X1に送付した(甲10,11)。 本件第6面会原告X2及び原告X3は,平成21年11月5日午後3時45分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 原告X3は,拘置所職員から,上司と相談した結果いつもどおり立会人付きでの面会のみ認めるとの回答を受けたのに対し,裁判所が具体的に事情を聞くという正規の裁判手続と変わらない状況であるのに,秘密交通権が侵害されるのは不当である旨,拘置所内で事実取調べが行われるのだから拘置所としても知っているはずで無立会面会を認めるべきである旨申し入れた。 拘置所職員は,原告X2及び原告X3に対し,事実取調べが行われるのも裁判手続になっているのも分かった上での措置である旨回答し,立会いは省略されなかった。 原告X2及び原告X3は,同日午後3時57分ころから午後4時27分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,同原告に対する事実取調べで予想される質問に関する話をした(乙25の1・2)。 本件第7面会原告X3は,平成21年11月12日午後1時36分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無 対する事実取調べで予想される質問に関する話をした(乙25の1・2)。 本件第7面会原告X3は,平成21年11月12日午後1時36分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後1時54分ころから午後2時47分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,本件死刑判決から本件控訴取下げまでの事実経過や同原告の心境の推移を聴取した(乙26の1・2)。 本件第8面会原告X3は,平成21年11月19日午後3時14分ころ,名古屋拘置所 に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 原告X3は,拘置所職員に対し,名古屋高等裁判所から原告X1に送付された事務連絡を示して本件期日指定申立てが裁判所で受け付けられており,刑事裁判手続中であることを改めて説明し,無立会面会を求めた。 これに対し,拘置所職員は,上司には裁判所で事件として受け付けられていることも伝えたが,従前どおり立会人付きでの面会しか認められない旨回答し,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後3時29分ころから午後5時7分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,本件死刑判決から本件控訴取下げまでの事実経過や同原告の心境の推移を聴取した(乙27の1・2)。 名古屋高等裁判所は,平成21年11月20日午後1時30分ころから約2時間,名古屋拘置所において,本件期日指定申立てにつき,原告X1に対する事実取調べを行った(甲25)。 名古屋高等裁判所は,同年12月7日,原告X1の控訴取下申立書作成当時の精神状態や控訴取下げの意義を理解し自己の権利を守る能力の著しい制限の有無等につき鑑定の実施を決定し,鑑定人を選任した(甲12)。 本件第 は,同年12月7日,原告X1の控訴取下申立書作成当時の精神状態や控訴取下げの意義を理解し自己の権利を守る能力の著しい制限の有無等につき鑑定の実施を決定し,鑑定人を選任した(甲12)。 本件第9面会原告X3は,平成21年12月28日午後2時26分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,拘置所職員は,従前どおり,立会人付きでの面会しか認めない旨回答し,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後3時33分ころから午後4時ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,名古屋高等裁判所に提出した意見書や鑑定の実施決定に関する話をした(乙28の1・2)。 原告X1は,平成22年1月20日,執行猶予の取消しに係る書類を受け取った際,極度に興奮して居室内の扉を十数回足蹴りし,「所長呼べ。お前 らじゃ話にならん。」等と大声を出したため,拘置所職員が処遇部門調室に連行したところ,「ここから出してください。検察庁の奴らを殺したい。」,「検察庁と拘置所が一緒になって私に嫌がらせしているとしか思えません。」,「今日,名古屋地方裁判所から求意見書が届いたのですが,東京地検で起訴された別件の罪で執行猶予5年(懲役3年)の取消求意見書がですよ。」,「何で東京地裁での事件が名古屋地裁から求意見書が届くのですか。」,「名古屋の女の検察官が私に対して嫌がらせしているとしか思えません。」,「それで完全に堪忍袋の尾が切れてしまいました。」,「周りの人に迷惑がかかることは分かっていましたが,どうしても自分を抑えきれなくなって扉を蹴ってしまいました。正直言って居室扉が壊れると思い,多少加減しました。」等と申し述べ,検察官に対する不平不満を述べた。 その後,原告X1は,素直に自己の非を認め,居室に戻った えきれなくなって扉を蹴ってしまいました。正直言って居室扉が壊れると思い,多少加減しました。」等と申し述べ,検察官に対する不平不満を述べた。 その後,原告X1は,素直に自己の非を認め,居室に戻った後すいませんでしたと拘置所職員に頭を下げ,以後動静に異常は認められなかった(乙23,24)。 本件第10面会原告X3は,平成22年2月8日午後3時56分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 拘置所職員は,原告X3に対し,原告X1は死刑確定囚になっているので,現在行っている刑事裁判で確定が覆らない限り,取扱いを変更する予定はない旨告げ,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後4時34分ころから午後5時4分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,執行猶予の取消しに係る書類に関する話をした(乙29の1・2)。 本件期日指定申立てにつき,鑑定人は,平成22年3月29日,名古屋高等裁判所に対し,精神鑑定書を提出した。鑑定人は,同鑑定書において,本件控訴取下げの申立書作成当時,原告X1は,群発頭痛の発作期にあり, 身体的,精神的に十全な状態ではなかったが,意識の変容を伴うもうろう状態や,現実吟味力を損なう認知の歪みを伴う精神症状を認めず,原告X1は,控訴取下げの手続きに関して誤解があったことは否定できないが,控訴取下げの意義を理解し,自己の権利を守る能力が著しく制限されていたとはいえない旨報告した(甲28)。 本件第11面会原告X3は,平成22年3月31日午後3時22分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後4時22分ころから午後4時40分ころまでの間,拘置所職員立会い 22分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後4時22分ころから午後4時40分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,本件期日指定申立ての進行の見込みに関する話をした(乙30の1・2)。 原告X3は,平成22年4月15日午後3時25分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。 原告X3は,拘置所職員から,立会人付きの面会になる旨伝えられたが,同日午後3時30分ころから午後4時40分ころまでの間,拘置所職員の立会いのない状態で原告X1と面会し,鑑定人が提出した原告X1の精神鑑定書の内容の確認及び打合せを行った。 なお,上記面会については,誤って拘置所職員が立ち会わずに面会を実施した旨の統括の報告書が作成されている(乙18,19)。 本件第12面会原告X3は,平成22年4月23日午前10時39分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出た。拘置所職員は,同月15日の面会は手違いで無立会面会となった旨説明し,無立会面会を認めることができない旨回答し,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前10時50分ころから午後零時ころまでの間,拘 置所職員立会いの下で原告X1と面会し,鑑定人が提出した原告X1の精神鑑定書に関する話をした(乙31の1・2)。 本件第13面会原告X3は,平成22年4月30日午後1時29分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後1時49分ころから午後1時55分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,本件控訴取下げ時の原告X1 1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後1時49分ころから午後1時55分ころまでの間,拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,本件控訴取下げ時の原告X1の精神状態に関する話をした(乙32の1・2)。 本件第14面会,本件第15面会原告X3は,平成22年5月6日午前9時42分ころ(本件第14面会)及び同日午後零時7分ころ(本件第15面会),名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,いずれも立会いは省略されず,同日午前9時55分ころから午前11時59分ころまでの間(本件第14面会)及び同日午後0時56分ころから午後2時56分ころまでの間(本件第15面会),それぞれ拘置所職員立会いの下で原告X1と面会し,鑑定人が提出した原告X1の精神鑑定書や本件死刑判決の宣告から本件死刑判決の確定の告知までの事実経過に関する話をした(乙33の1ないし4)。 本件期日指定申立てにつき,原告X2及び原告X3は平成22年5月31日付け意見書を,検察官は同年6月30日付け意見書を,それぞれ名古屋高等裁判所に提出した(甲29,30)。 原告X1は,同原告が叔母と申告する者宛てに,平成22年7月22日,「最近またうつ気味です」と記載した信書を,同月28日,「頭痛が治まらず心身共にちょっと疲れました。でも我が身の銹仕方ありませんなんとか薬でコントロールしていますので安心してね!」等と記載した信書を,同年 8月4日,「俺の方は・・・めずらしく頭痛の発作で寝んでしまい手紙も一行書いては,ひと休みしながら書いてます」等と記載した信書をそれぞれ発信した(乙50ないし52)。 本件第16面会原告X3は,平成22年9月6日午後3時57分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人と ては,ひと休みしながら書いてます」等と記載した信書をそれぞれ発信した(乙50ないし52)。 本件第16面会原告X3は,平成22年9月6日午後3時57分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後4時4分ころから午後4時37分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,同原告の近況や本件X1国賠訴訟の提起手続に関する話をした(乙34の1・2)。 名古屋高等裁判所は,平成22年9月9日,本件控訴取下げが有効であるとして,「本件控訴は,平成21年4月13日取下げにより終了したものである。」との訴訟終了宣言の決定をした(甲31)。 原告X2及び原告X3は,同決定に対し,平成22年9月13日付け異議申立書により異議を申し立てた(甲32)。 本件第①面会原告X3及び弁護士Bは,平成22年9月28日午前9時34分ころ,名古屋拘置所に赴き,本件X1国賠訴訟の訴訟代理人の予定者として同人との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3及び弁護士Bは,同日午前10時ころから午前10時25分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,原告X1の本件X1国賠訴訟の提起及び委任の意思を確認した(乙35の1ないし3)。 原告X1は,平成22年11月1日,同原告が叔母と申告する者宛てに「31日,日曜の夜です薬で少し落ち着いています。今,新しく国賠訴訟をしたので色々と精神的に疲れます。」,「もう一度母さんの顔が見たい。 本当はみんなと逢いたいけど,薬で頭が回らなくなってきました続きは明 日ね」等と記載した信書を発信した(乙53)。 原告X1は,平成22年11月4日,本件X1国賠訴訟を提起した。 本当はみんなと逢いたいけど,薬で頭が回らなくなってきました続きは明 日ね」等と記載した信書を発信した(乙53)。 原告X1は,平成22年11月4日,本件X1国賠訴訟を提起した。 本件第17面会原告X3は,平成22年11月5日午前9時32分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前9時39分ころから午前10時10分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,訴訟終了宣言の決定に対する異議申立ての進行方針に関する話をした(乙36の1・2)。 原告X1は,平成22年11月18日午前7時35分ころ,居室内においてゴムひもをつないで縄状にしたものを所持していたため,拘置所職員がこれを居室から引き上げた(乙49[180丁])。 本件第②面会弁護士Bは,平成22年12月27日午後2時7分ころ,名古屋拘置所に赴き,原告X1との面会を申し出た。その際,弁護士Bは,本件X1国賠訴訟についての打合せである旨告げ,無立会面会を要請したところ,拘置所職員は,死刑確定者は単なる受刑者とは異なり原則として立会いが必要であり,訴訟の準備のための訴訟代理人との面会であっても,その訴訟が名古屋拘置所内の処遇を問題とするものであっても,その原則は変わらない旨回答し,立会いは省略されなかった。 弁護士Bは,同日午後2時51分ころから午後3時7分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,原告X1に送付した書類に関する話をした(乙37の1・2)。 平成23年1月6日午後3時30分ころから同日午後3時40分ころまでの間,拘置所職員が原告X1の居室を検査した際,電気カミソリの収納袋に睡眠薬,痛み止め薬等の処方薬を不正に隠し持って ・2)。 平成23年1月6日午後3時30分ころから同日午後3時40分ころまでの間,拘置所職員が原告X1の居室を検査した際,電気カミソリの収納袋に睡眠薬,痛み止め薬等の処方薬を不正に隠し持っていたため,拘置所職員が これを居室から引き上げた(乙49[229丁])。 本件第18面会原告X3は,平成23年1月24日午後2時31分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後3時34分ころから午後4時4分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,原告X3と原告X1の面会の際の立会いの有無に関する話をした(乙38の1・2)。 原告X2及び原告X3は,訴訟終了宣言の決定に対する異議申立てにつき,平成22年11月15日付け異議申立理由補充書を提出したが,名古屋高等裁判所は,平成23年2月10日,異議申立てを棄却する決定をした。 原告X2及び原告X3は,同決定に対し同月14日付け特別抗告申立書により特別抗告を申し立てた。 本件第19面会原告X3は,平成23年2月16日午前11時27分ころ,名古屋拘置所に赴き,弁護人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午前11時40分ころから午後零時ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,名古屋高等裁判所の異議申立て棄却決定やこれに対する特別抗告申立てに関する話をした(乙39の1・2)。 最高裁判所は,平成23年3月2日,訴訟終了宣言の決定に関する異議申立て棄却決定に対する特別抗告申立てにつき,特別抗告申立書には具体的な抗告理由の記載がなく,抗告提起期間内に理由書の提出もないので,同申立ては不適法であるとして,同抗告を 了宣言の決定に関する異議申立て棄却決定に対する特別抗告申立てにつき,特別抗告申立書には具体的な抗告理由の記載がなく,抗告提起期間内に理由書の提出もないので,同申立ては不適法であるとして,同抗告を棄却する決定をした。 なお,原告X2及び原告X3は,同決定後に同月4日付け特別抗告申立理由書を提出した(甲37)。 原告X1は,平成23年2月中旬ころから同年3月中旬ころまで,横臥が許可されている時間でないにもかかわらず,しばしば偏頭痛等による体調不良を訴え,許可を得て横臥することがあった(乙49[262丁ないし298丁])。 なお,原告X3は,同月7日午前9時31分ころから午前10時35分ころまでの間,名古屋拘置所において,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,最高裁判所の特別抗告棄却決定や再審請求に関する話をした(乙40の1・2)。 本件第③面会弁護士Bは,平成23年3月18日午後3時11分ころ,名古屋拘置所に赴き,原告X1との無立会面会を申し出た。その際,弁護士Bは,面会申込表に「拘置所内の処遇に関する訴訟についての打合せですので,立会なしでお願いします」旨記載したが,立会いは省略されなかった。 弁護士Bは,同日午後3時35分ころから午後4時5分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,拘置所の処遇に関する話をした(乙41の1・2)。 原告X1は,平成23年4月7日午後8時ころ,居室内において,うつ伏せの状態で倒れたまま,絞り出すような低い声で「心臓が苦しい。AED」と訴えたため,拘置所職員数名で開室したところ,同原告は,立ち上がって,仰山来てくれたね。ありがとよ」と述べた上,「じゃあな。」「やかましい。」等と語気荒く放言しながら,数名の拘置所職員を押しのけて出室しようとした。そこ 数名で開室したところ,同原告は,立ち上がって,仰山来てくれたね。ありがとよ」と述べた上,「じゃあな。」「やかましい。」等と語気荒く放言しながら,数名の拘置所職員を押しのけて出室しようとした。そこで,上記職員らが,事情聴取を行うため原告X1を処遇部門調室へ連行したところ,同原告が右手に多数のホチキスの針の付いた黒手袋を着用しており,「やかましい。」等と大声を発し,椅子に座らせようとしている拘置所職員をにらみつけながら,全身に力を込めて座ろうとしなかったため,他人に危害を加えるおそれがあるとして,保護室に収容された。 拘置所職員が,同月7日午後10時25分ころ,保護室に収容されていた原告X1に「少しは落ち着いたか。」と問いかけると,原告X1は「俺に明日はない。俺の部屋の聖書の一番後ろの頁を見てくれ。」と述べた。原告X1の居室を確認した拘置所職員は,居室内の聖書の表紙裏面に「我は人の成りをした鬼成り」「鬼故に人情の有難み夢々忘るべからず」「我は血肉を喰う莫迦な鬼成り」「しかし心は人で在る者成り」「※私物は全て処分願います。」と記載され,一番最後の頁に「おやじへすいませんやっぱり自分の“ケツ”は自分で取ります。みなへありがとう」と記載されているのを発見した。 さらに,原告X1は,保護室収容中の同月8日,隣室の保護室に収容されていた刑事被告人と通声し,その際,「脱獄」うんぬんと発言し,同月9日,拘置所職員が落ち着いて生活できるか問いかけたのに対し,「私はいずれ死刑になります。腐った心は自分で根を絶たなければならない」などと発言し,同月10日,拘置所職員の同様の問いかけに対し,「初めから落ち着いてるじゃない。」などと話し始め,次第にまくし立てるような口調で,原告X1に対する扱いが法令に違反している旨や72時間以上保護室に収容 同月10日,拘置所職員の同様の問いかけに対し,「初めから落ち着いてるじゃない。」などと話し始め,次第にまくし立てるような口調で,原告X1に対する扱いが法令に違反している旨や72時間以上保護室に収容する理由を記載した書面を所長が直接持って来るべき旨を発言した。 原告X1は,同月11日午前9時30分ころ,保護室収容を解除され,居室に戻った(乙54ないし55<枝番含む>,61ないし63)。 本件第④面会原告X3は,平成23年4月11日午後2時6分ころ,名古屋拘置所に赴き,本件X1国賠訴訟の訴訟代理人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。 原告X3は,同日午後2時21分ころから午後3時23分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,拘置所の処遇に関する話をした(乙45の1・2)。 なお,上記約65分間の面会の途中,午後2時55分ころから,拘置所職員が,原告X3及び原告X1に対し面会打ち切りを要請したため,約5分間中断した。 原告X1は,平成23年4月22日及び同月25日,黒手袋の不正製作に対する事情聴取の際,同月7日に多数のホチキスの針を黒手袋に付けた動機について「外に出てから,とりあえず警察官二人くらいをおそって,けん銃と手錠を盗んでみようかなと思いました。」などと述べ,同月6日に聖書に遺書らしき文面を記載した心情について「ことが公になれば,自分の役目が終わるので,その役目が終わったときに死ぬつもりでした。」などと述べた(乙63)。 原告X1は,同年7月14日,拘置所職員による原告X1の居室検査において,前月に処方された総合感冒薬6包を私物保管ケース内の靴下に入れて所持しているのを発見され,同月22日,物品不正所持により閉居7日の懲罰が科された(乙64の1・2) による原告X1の居室検査において,前月に処方された総合感冒薬6包を私物保管ケース内の靴下に入れて所持しているのを発見され,同月22日,物品不正所持により閉居7日の懲罰が科された(乙64の1・2)。 原告X1は,同年9月1日,居室内でたたんだ布団にもたれて不体裁な着座姿勢を取っている原告X1の姿を発見した拘置所職員が,姿勢を改めるよう指示し,「この指示に従わなければ指示違反のため調査に付する。」旨告知したのに対し,上体を起こし,「うそつき」などと発言し,同月12日,拘置所職員に対する粗暴言辞により閉居7日の懲罰が科された(乙65の1・2)。 原告X1は,同年10月12日午後2時30分ころから午後3時10分ころまで,原告X1の拘置所長に対する苦情の申出の出願に基づいて行われた統括の聴取において,本件期日指定申立てにおいて検察官が原告X1の精神状態の安定を主張しているにもかかわらず,原告X1と弁護士との面会について拘置所が原告X1の精神状態の不安定を理由として立会いを省略しないことに対する不満,同不満があったので「うそつき」などと発言したところ 直ちに調査に付されたことに対する不満,本件被告事件一審の出廷のための護送中の原告X1の発言に関する拘置所の回答に対する不満,原告X1と弁護士との面会の面会時間に関する処遇に対する不満等を述べた(乙66)。 原告X1は,同日午後3時53分ころ,拘置所職員による原告X1の居室検査において,居室内の天井に傷が付いていることが確認されたため,調査の告知を受けた原告X1が天井に傷を付けたことを否認したのに対し,拘置所職員が原告X1に対し再度調査の告知を行ったところ,スリッパを居室内の畳に投げ捨てた上,「ふざけるんじゃねぇ。せっかく第二統括と面接してすっきりしていたのに。」などと大声を発し続けた に対し,拘置所職員が原告X1に対し再度調査の告知を行ったところ,スリッパを居室内の畳に投げ捨てた上,「ふざけるんじゃねぇ。せっかく第二統括と面接してすっきりしていたのに。」などと大声を発し続けたため,同月21日,静穏阻害により閉居7日の懲罰が科された(乙67の1ないし3)。なお,原告X1に対し居室天井の損壊につき懲罰が科された事実は窺われない。 統括は,同月18日,原告X1に対し,同人の無立会面会をしてもらいたいとの苦情の申出について,理由がないため不採択とする旨回答した。 原告X3及び弁護士Bは,平成24年2月3日,名古屋拘置所長及び法務大臣に対し,本件X1国賠訴訟に関する準備のために同月10日午前9時に予定している原告X1との面会につき,少なくとも1時間の面会時間を確保し,拘置所職員の立会い等をさせないよう書面により申し入れた(甲40の1ないし3)。 本件第⑤面会原告X3及び弁護士Bは,平成24年2月10日午前9時19分ころ,名古屋拘置所に赴き,本件X1国賠訴訟の訴訟代理人として無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。なお,原告X3らは,1時間の面会時間を確保するよう申し出たが,面会時間は30分しか認めることができない旨回答された。 原告X3及び弁護士Bは,同日午前9時26分ころから午前10時7分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,本件訴訟に提 出する原告X1の陳述書に関する話をした(乙68の1・2)。 本件第⑥面会原告X3,弁護士B及び弁護士Cは,平成24年3月29日午前10時28分ころ,名古屋拘置所に赴き,本件X1国賠訴訟の訴訟代理人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。なお,原告X3らは,1時間の面会時間を確保するよう申し出た 前10時28分ころ,名古屋拘置所に赴き,本件X1国賠訴訟の訴訟代理人として原告X1との無立会面会を申し出たが,立会いは省略されなかった。なお,原告X3らは,1時間の面会時間を確保するよう申し出たが,面会時間は30分しか認めることができない旨回答された。 原告X3,弁護士B及び弁護士Cは,同日午前10時44分ころから午前11時14分ころまでの間,拘置所職員立会いの下,原告X1と面会し,拘置所の処遇に関する話をした(乙69)。 原告X1は,平成19年12月に名古屋拘置所に移送された当初から不眠を訴えて,少なくとも平成21年3月からはほぼ毎日のように睡眠導入剤を服用し,また名古屋拘置所に移送された当初からしばしば,苛立ちを訴えて抗不安剤を服用していた(甲14ないし19,乙12,23,42,43,49,56,57)。 2 争点(本件弁護人面会における秘密交通権の保障の有無,刑事収容施設法121条の適用の有無)について 刑訴法39条1項の適用ないし準用についてア死刑確定者は,確定した死刑判決の効力により,死刑の執行を目的として刑事施設に収容されているのであり,その地位の法的性質が,刑訴法39条1項が適用を予定している被告人又は被疑者とは異なることは明らかである。 もっとも,死刑判決の宣告を受けて上訴をした者が上訴を取り下げても,上訴取下げが無効である場合には,死刑判決は確定していないから,その者は,死刑確定者の地位になく,被告人の地位にあると解される。 そこで,本件控訴取下げの効力を検討すると,上記1認定の事実及び証 拠(甲25,28,乙12,42,56)によって認められる本件控訴取下げの前後の時期における原告X1の言動及び医師の診察状況,この時期の事実経過や内心についての原告X1の事実取調べ及び鑑 拠(甲25,28,乙12,42,56)によって認められる本件控訴取下げの前後の時期における原告X1の言動及び医師の診察状況,この時期の事実経過や内心についての原告X1の事実取調べ及び鑑定人の聴取における供述,精神病性障害に関する医学的知見等に照らして,名古屋高等裁判所の訴訟終了宣言の決定(甲31)及び異議申立て棄却決定(甲34)を総合すると,当裁判所としても,原告X1は,本件控訴取下げ当時,上訴取下げの意義を理解し,自己の権利を守る能力を有していたもので,本件控訴取下げの意義に関する錯誤もなかったものと認める。 したがって,本件控訴取下げは有効であり,本件死刑判決は本件控訴取下げがされた平成21年4月13日に確定し,これ以降,原告X1は被告人の地位になく,死刑確定者の地位にあると認められる。 よって,原告X1に刑訴法39条1項は適用されない。 イこれに対し,原告らは,上訴取下げが無効である場合には被告人の地位が認められるところ,無罪推定の原則により,上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てた者には被告人の地位が認められ,刑訴法39条1項が直接適用される旨主張する。 しかしながら,上訴取下げの効力を争う期日指定申立ては,法的には職権発動の促しに過ぎないと解され,その申立ての時期等を制限する規定が存在しないことにも鑑みると,有効に上訴を取り下げた者が,上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てたからといって,直ちに被告人の地位が認められると解することはできない。 ウ憲法34条は,憲法33条の逮捕における令状主義の保障を受け,逮捕に続く拘束の継続である抑留及び拘禁に関する弁護人選任権の保障を規定したものであると解され,上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てた者の法的地位を規定したものとは解されないから,憲法3 け,逮捕に続く拘束の継続である抑留及び拘禁に関する弁護人選任権の保障を規定したものであると解され,上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てた者の法的地位を規定したものとは解されないから,憲法34条を根拠として,有効に上訴を取り下げたが上訴取下げの効力を争って期日指定を申 し立てた者に,刑訴法39条1項が準用されると解することはできない。 自由権規約14条3項について自由権規約14条3項は,「刑事上の罪の決定について」保障される権利を規定しており,未決拘禁者を対象としていると解するのが相当であり,同項が,有効に上訴を取り下げたが上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てた者について,弁護人との秘密交通権を保障したものと解することはできない。 憲法32条について憲法32条が,その定める「裁判を受ける権利」の具体的内容として,有効に上訴を取り下げたが上訴取下げの効力を争って期日指定を申し立てた者について,弁護人との秘密交通権を保障したものとは解されない。 以上によれば,本件弁護人面会において,原告X1と原告X2及び原告X3との秘密交通権が保障され,刑事収容施設法121条の適用が排除されるとは解されない。 ところで,被告人の上訴取下げが有効であるためには,被告人において上訴取下げの意義を理解し,自己の権利を守る能力を有することが必要であり,その能力を著しく制限されていた者の上訴取下げは無効と解される(最高裁平成7年決定)。 無効の上訴取下げをした者が,上訴取下げの無効を前提とする公判審理の続行の利益を受けるには,上訴取下げの無効を主張して期日指定を申し立てるなど,上訴審裁判所が公判審理の続行の要否を検討する契機を生じさせる必要がある場合が多い。また,上訴審裁判所は,期日指定又は訴訟終了宣言 を受けるには,上訴取下げの無効を主張して期日指定を申し立てるなど,上訴審裁判所が公判審理の続行の要否を検討する契機を生じさせる必要がある場合が多い。また,上訴審裁判所は,期日指定又は訴訟終了宣言の決定をするについて必要がある場合には,上訴を取り下げた者等の関係者に対する事実取調べや証人尋問,鑑定等の審理を行うことが可能であり(刑訴法43条3項,刑訴規則33条3項),上訴取下げによる訴訟終了宣言の決定に対しては,不服申立ての手続が認められている(最高裁昭和61年決 定)。 上訴取下げの効力の審理について,以上のような運用が取られていることに鑑みれば,刑事手続において,上訴取下げの効力の有無が適正に判断されるには,上訴を取り下げた者が,上訴審裁判所の期日指定や上訴取下げの効力の審理を促し,その審理において自己の利益を防御し,不服申立て等の手続を履践するなどの活動を的確に行う機会が確保される必要があるが,これらの活動を弁護人なくして的確に行うことは極めて困難である。上訴取下げの効力の有無が,上訴を取り下げた者がこれらの活動を的確に行うことによってはじめて判明する場合もありうることに鑑みると,上訴取下げの効力を争う者に対して,その効力の有無が判明する前であっても,弁護人選任権が保障されるべき要請は高い。 上訴取下げの効力の審理については,実務上の法解釈によって運用が確立されてきたところであり,上訴取下げの効力を争う者の弁護人選任権を直接定めた法律上の規定は存在しないが,確定した有罪判決の効力を争う点において再審請求手続に類似しているところ,再審の請求を行う者について再審の請求の理由の有無にかかわらず弁護人選任権を保障する刑訴法440条の趣旨に照らして,上訴取下げの効力を争う者の弁護人選任権が保障されるものと解するのが相当である ろ,再審の請求を行う者について再審の請求の理由の有無にかかわらず弁護人選任権を保障する刑訴法440条の趣旨に照らして,上訴取下げの効力を争う者の弁護人選任権が保障されるものと解するのが相当である。 そして,死刑判決に対する上訴の取下げの効力が争われている場合には,その効力の有無について適正な審理を実現する要請がとりわけ高いところ,上訴取下げの効力を争う死刑確定者に対する弁護人選任権の保障の趣旨を実現するためには,弁護人に相談し,その助言を受けるなどの弁護人からの援助を受ける機会を確保する必要が高いから,上訴取下げの効力を争う死刑確定者は,死刑確定者の身柄拘束の目的や性質,弁護人選任権が認められる趣旨に抵触しない限度において,弁護人と立会人なくして面会する法的利益を有し,弁護人も死刑確定者と立会人なくして面会する固有の法的利益を有す るものと解するのが相当である。 もっとも,上訴取下げの効力を争う死刑確定者とその弁護人が立会人なくして面会する法的利益は上記の限度で認められるものであり,刑事収容施設法121条の適用を排除するものではないから,これに反する原告らの主張は認められない。 3 上記のとおり,本件弁護人面会には刑事収容施設法121条が適用されるから,争点(本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用されない場合,名古屋拘置所長の職務上の注意義務違反の有無)については判断を要しない。 4 争点(本件弁護人面会に刑事収容施設法121条が適用される場合,立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無)について 刑事収容施設法120条及び121条は,死刑確定者においても,訴訟の遂行等の死刑確定者の法律上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者との面会は許されるものとした上で,重大な利害 刑事収容施設法120条及び121条は,死刑確定者においても,訴訟の遂行等の死刑確定者の法律上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者との面会は許されるものとした上で,重大な利害に係る用務の処理のために外部交通による意思連絡が必要になる場合において,面会の際の発言の内容を職員に知られないことに正当な利益(以下「職員の立会いの省略を適当とする事情」という。)がある場合には,職員の立会いを行う必要性との比較考量により,職員の立会いを行わせない旨を規定した趣旨であり,死刑確定者がこれらの面会を職員の立会いなく行う法的利益を有することを前提としていると解される。 そして,職員の立会いを行わせるか否かの判断(以下「相当性の判断」という。)は,死刑確定者の正当な利益を保護する必要性,死刑確定者の身柄拘束の目的や性質,該刑事施設内の規律及び秩序を阻害するような死刑確定者の動静ないし心理状況がみられるか等を総合考慮して行うべきであるから,具体的場合における相当性の判断には,刑事収容施設内の実情に通じた刑事施設の長の裁量が認められているものと解されるが,刑事施設の長の相当性の判断が,裁量権を逸脱濫用したもので,これにより死刑確定者又は弁護人 の職員の立会いなく面会する法的利益を害した場合には,国賠法1条1項の違法が認められると解される。 職員の立会いの省略を適当とする事情の有無についてア原告X1は,原告X2及び原告X3を本件被告事件控訴審の私選弁護人に選任し,原告X2及び原告X3は,名古屋高等裁判所に対し,本件控訴取下げが無効であるとして期日の指定を申し立てており,原告X2及び原告X3は,本件弁護人面会当時,本件控訴取下げの効力を争う原告X1の弁護人の地位にあり,本件弁護人面会は本件期日指定申立て又は訴訟終了 げが無効であるとして期日の指定を申し立てており,原告X2及び原告X3は,本件弁護人面会当時,本件控訴取下げの効力を争う原告X1の弁護人の地位にあり,本件弁護人面会は本件期日指定申立て又は訴訟終了宣言の決定に対する不服申立てにつき,打ち合わせを行うことを目的としていたものと認められる。 したがって,上述の上訴取下げの効力を争う死刑確定者の弁護人選任権の重要性に鑑みて,本件弁護人面会には職員の立会いの省略を適当とする事情があったものと認められる。 イ被告は,原告X1に本件控訴取下げの効力を争う主体的かつ明確な意思はなかった旨や,本件第5面会までの面会状況からは控訴審手続についての具体的な協議がされているとは認められない旨を主張する。 しかしながら,原告らは原告X1の上訴取下げ能力の欠如及び錯誤を主張して本件控訴取下げの効力を争ったものであるところ,死刑判決に対する控訴を取り下げるという行為は一般に合理的な行動であるとは言えないこと,原告X1は弁護人の控訴申立ての後に自ら控訴を申し立てたにもかかわらず,弁護人と面会することなく,自らの控訴申立てのわずか20日後に控訴を取り下げていること並びに原告X1の拘置所内における言動及び薬剤の服用状況に照らすと,実質的な審理を経るまでもなく本件控訴取下げの有効が明白であったと言うことはできず,上訴取下げ能力の程度や本件控訴取下げの意義に対する認識内容に疑問が呈されている原告X1の言動によって,原告X1の真意が直ちに明らかになると言うこともできな い。本件期日指定申立て及び訴訟終了宣言の決定に対する不服申立てにおける原告X3及び原告X2の活動状況や本件弁護人面会における原告らの談話内容に照らすと,原告らが,本件控訴取下げの効力を争う真意がないにもかかわらず,他の目的のために本件控訴取下げ る不服申立てにおける原告X3及び原告X2の活動状況や本件弁護人面会における原告らの談話内容に照らすと,原告らが,本件控訴取下げの効力を争う真意がないにもかかわらず,他の目的のために本件控訴取下げの効力を争ったものとも解されない。弁護人の面会における活動は,審理に関する具体的な打ち合わせにとどまるものではなく,拘置所職員の立会いによる萎縮的効果のおそれのある状況下で行われた面会の談話内容を根拠として,職員の立会いの省略を適当とする事情の有無を判断すること自体,相当とは言えない。 したがって,被告の主張を採ることはできない。 ウ以下,上記1認定の事実に基づき,本件弁護人面会に関する名古屋拘置所長の相当性の判断における裁量権の逸脱濫用の有無について検討する。 本件第1面会(平成21年4月28日)についてア被告は,原告X1が,収容期間中ほぼ毎日のように睡眠薬を服用し,また,自殺を企図して保護室に収容される等しており,本件死刑判決を受け,死の恐怖や不安等から心情が極めて不安定と認められる状態にあり,その心情の安定を図り,自殺などの事故を防止するために,面会における心情把握の必要性が高いこと等から,立会いを付した名古屋拘置所長の判断に裁量権の逸脱・濫用は認められない旨主張する。 イこの点,上記1認定の事実のとおり,原告X1が,名古屋拘置所に移送された当初から不眠や苛立ちを訴えていたこと,平成20年7月20日に自ら靴下で首を締め付け,保護室内でノースリーブシャツを首に巻き付け,保護室内の壁に前頭部を打ち付けるなどの自傷行為に及んだこと,平成21年3月18日の本件死刑判決宣告当日の夜,箸の先端を削っており,その前に便箋に遺書らしき内容を記載していたこと等が認められる。これらの事実に照らすと,名古屋拘置所における身柄拘束の期間を通じ 成21年3月18日の本件死刑判決宣告当日の夜,箸の先端を削っており,その前に便箋に遺書らしき内容を記載していたこと等が認められる。これらの事実に照らすと,名古屋拘置所における身柄拘束の期間を通じて原告X1の心情は安定しておらず,本件死刑判決の宣告の直後には自らの生存の 価値を否定する言動をしていたもので,原告X1が本件死刑判決を確定させる本件控訴取下げを自ら行ったことにも照らすと,本件控訴取下げ後の期間を通じて,原告X1の心情を把握する一般的な必要性があったと言うことができる。 しかしながら,原告X2及び原告X3は,名古屋拘置所において,本件被告事件につき,原告X1と約2年余り面会を繰り返し,原告X3は本件控訴取下げから本件第1面会までにその前日を含む3回原告X1と面会し,いずれの面会においても,面会に起因して,原告X1が自傷行為に及び,又は刑事施設内の規律及び秩序を阻害する結果を生じさせるなど,心情の安定を著しく欠く状態になったことは窺われず,本件第1面会の実施による原告X1の心情への影響を特に把握する必要性があったとは認められない。また,原告X1が,本件第1面会に近接した時期に,上記のような心情の安定を著しく欠く状態になったことは窺われず,原告X1が本件第1面接の実施中に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件第1面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。 ウ他方,上訴取下げの効力を争う死刑確定者が弁護人を選任し,弁護人の援助を受ける機会を確保する必要が高いことは先に述べたとおりであるが,加えて,本件期日指定申立てにおいては,原告X1の上訴取下げ能力の程度及び本件控訴取下げの意義に対する認識内容が審理されていたのであり,原告X2が,原告X1との間において 先に述べたとおりであるが,加えて,本件期日指定申立てにおいては,原告X1の上訴取下げ能力の程度及び本件控訴取下げの意義に対する認識内容が審理されていたのであり,原告X2が,原告X1との間において,本件控訴取下げに至る事実経過や原告X1の心情について具体的に事情を聴取する上で,拘置所職員の立会いによる心理的影響を排除する必要性は非常に高い。 エ以上によれば,原告X2と原告X1との無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断には,合理的な理由がない。 したがって,本件第1面会につき,職員の立会いの省略を適当とする事 情があり,これを相当でないと判断すべき理由がなかったにもかかわらず,職員の立会いを付した名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法があると認められる。 本件第2面会(平成21年6月5日)について本件第2面会においても,原告X1の心情を把握する一般的な必要性があったと言うことはできるが,本件第2面会の実施による原告X1の心情への影響を特に把握する必要性があったとは認められないことは本件第1面会と同様である。本件第1面会後の事情について検討するに,本件第1面会後に,原告X1が心情の安定を著しく欠く状態になったなど,相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,本件第1面会について述べたところと同様に,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第3面会ないし第9面会(平成21年8月19日から平成21年12月28日まで)について本件第2面会後の事情について検討するに,原告X1が心情の安定を著しく欠く状態になったなど,相当性の判断において職員の立会いを付すべく特に考慮すべき事情は発生 成21年12月28日まで)について本件第2面会後の事情について検討するに,原告X1が心情の安定を著しく欠く状態になったなど,相当性の判断において職員の立会いを付すべく特に考慮すべき事情は発生していない。かえって,上記1認定の事実のとおり,本件第5面会の時点で原告X1に対する事実取調べの実施が予定され,本件第6面会前に原告X1に対する事実取調べの実施が決定され,本件第9面会前に精神鑑定の実施が決定されるなど,本件期日指定申立てに関する審理は充実を増し,原告X3及び原告X2が原告X1と立会人なくして打合せを行う必要性は高まっており,名古屋拘置所もその審理状況の概要を把握していたものである。したがって,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第10面会(平成22年2月8日)について本件第9面会後の事情について検討するに,上記1認定の事実のとおり, 原告X1は,平成22年1月20日,執行猶予の取消しに係る書類を受け取った際,極度に興奮して居室内の扉を十数回足蹴りし,「所長呼べ。」等と大声を出し,「検察庁の奴らを殺したい。」等と申し述べた事実が認められるが,他方,検察官に対する不平不満を述べた後は素直に謝り,居室に戻った後は動静に異常は認められないのであり,原告X1は,執行猶予の取消しに係る書類を送付されたことで一時的に興奮したに過ぎない(原告X1の発言内容に照らすと,検察官が本件死刑判決の確定を理由として前刑である懲役刑の執行猶予の取消しを名古屋地方裁判所に請求し,原告X1の異議の有無を聴取する書面が送付されたことに感情を害したものと推測される。)もので,拘置所職員もその経緯を把握していたものと認められる。 そうすると,原告X1の上記言動をもっ 所に請求し,原告X1の異議の有無を聴取する書面が送付されたことに感情を害したものと推測される。)もので,拘置所職員もその経緯を把握していたものと認められる。 そうすると,原告X1の上記言動をもって,相当性の判断において特に考慮すべき事情であるとは言えず,本件第9面会後,他に相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第11面会ないし第17面会(平成22年3月31日から平成22年11月5日まで)について本件第10面会後の事情について検討するに,相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していない(原告X1が,叔母と申告する者宛てに上記1認定の信書を発信した事実は,相当性の判断において特に考慮すべき事情とは言えない。)から,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第18面会(平成23年1月24日)について本件第17面会後の事情について検討するに,上記1認定の事実のとおり,原告X1が平成22年11月18日ゴムひもをつないで縄状にしたものを所持していた事実及び原告X1が平成23年1月6日処方薬を不正に所持して いた事実が認められるが,現に自傷行為に及び,又は多量の薬剤を服用したなどの事実は認められず,また,本件第18面会が処方薬の不正所持が発覚してから18日後であることにも照らすと,原告X1が本件第18面会の実施中に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件第18面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。そうすると,原告X1の上記言動をもって,相当性の判 に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件第18面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。そうすると,原告X1の上記言動をもって,相当性の判断において特に考慮すべき事情であるとは言えず,本件第17面会後,他に相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第19面会(平成23年2月16日)について本件第18面会後の事情について検討するに,相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 5 争点(本件訴訟代理人面会の立会いを省略しなかった名古屋拘置所長の裁量権の逸脱濫用の有無)について 職員の立会いの省略を適当とする事情について本件第①面会当時,原告X3及び弁護士Bは,提起する予定の本件X1国賠訴訟において原告X1の訴訟代理人となることが予定されており,本件第②面会ないし本件第⑥面会当時,原告X3,弁護士B及び弁護士Cは,提起された本件X1国賠訴訟において原告X1の訴訟代理人の地位にあったもので,本件訴訟代理人面会は,本件X1国賠訴訟につき,打ち合わせを行うことを目的としていたものと認められる。 本件X1国賠訴訟は,本件弁護人面会につき,無立会面会を認めない名古屋拘置所長の判断が違法である旨主張するものであり,紛争の相手方である 名古屋拘置所の職員が立会いを行えば,原告X1の利益を害するおそれがあり,職員の立会いの省略を適当とする事情があったものと認められる。 以下,上記1認定の事実に基づき,本件訴訟 手方である 名古屋拘置所の職員が立会いを行えば,原告X1の利益を害するおそれがあり,職員の立会いの省略を適当とする事情があったものと認められる。 以下,上記1認定の事実に基づき,本件訴訟代理人面会に関する名古屋拘置所長の相当性の判断における裁量権の逸脱濫用の有無について検討する。 本件第①面会(平成22年9月28日)についてア本件第1面会について述べたように,本件控訴取下げ後の期間を通じて,原告X1の心情を把握する一般的な必要性があったと言うことができる。 しかしながら,原告X3は原告X1の弁護人でもあったところ,本件第①面会までの原告X3の弁護人としての面会に起因して,原告X1が心情の安定を著しく欠く状態になったことが窺われないことも既に述べたとおりであり,本件第①面会の実施による原告X1の心情への影響を特に把握する必要性があったとは認められない。本件第①面会に近接する時期において,相当性の判断において特に考慮すべき事情は見当たらず,原告X1が本件第①面会の実施中に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件第①面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。 イ他方,本件第①面会が拘置所内における原告X1の処遇に関する救済を目的とする訴訟に関するものであり,原告X3及び弁護士Bが,原告X1との間において,処遇に関する事実経過や原告X1の心情及び訴訟提起の意思の有無を聴取する上で,拘置所職員の立会いによる心理的影響を排除する必要性は高く,その聴取内容を拘置所職員が把握することにより上記訴訟における審理の適正に対する信頼が害されることを回避すべき要請も強い。 ウ以上によれば,原告X3及び弁護士Bと原告X1との無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断に合 ることにより上記訴訟における審理の適正に対する信頼が害されることを回避すべき要請も強い。 ウ以上によれば,原告X3及び弁護士Bと原告X1との無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断に合理的な理由は認められず,本件第①面会につき,職員の立会いの省略を適当とする事情があり,これを相当で ないと判断すべき理由がなかったにもかかわらず,職員の立会いを付した名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第②面会(平成22年12月27日)について本件第②面会においても,原告X1の心情を把握する一般的な必要性があったと言うことができるが,弁護士Bが原告X3とともに行った本件第①面会に起因して,原告X1が心情の安定を著しく欠く状態になったことは窺われず,本件第②面会の実施による原告X1の心情への影響を特に把握する必要性があったとは認められないことは,本件第①面会と同様である。本件第①面会後の事情について検討するに,上記1認定の事実のとおり,原告X1が,平成22年11月18日ゴムひもをつないで縄状にしたものを所持していた事実が認められるが,現に自傷行為に及んだなどの事実は認められず,また,本件第②面会が上記縄状にしたものの所持が発覚してから39日後であることにも照らすと,原告X1が本件第②面会の実施中に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件第②面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。本件第①面会後,他に相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第③面会(平成23年3月18日)につ 慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第③面会(平成23年3月18日)について本件第②面会について述べたところと同様に,本件第②面会後の事情について検討するに,上記1認定の事実のとおり,原告X1が平成23年1月6日処方薬を不正に所持していた事実が認められるが,現に多量の薬剤を服用したなどの事実は認められず,また,本件第③面会が処方薬の不正所持が発覚してから71日後であることにも照らすと,原告X1が本件第③面会の実施中に自傷行為等の制止すべき行動に及ぶ具体的可能性があったとも,本件 第③面会の時点の原告X1の心情を把握する高い必要性が生じていたとも認められない。本件第②面会後,他に相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していない(原告X1がしばしば体調不良を訴えた事実は,相当性の判断において特に考慮すべき事情とは言えない。)から,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第④面会(平成23年4月11日)について本件第③面会後の事情について検討するに,上記1認定の事実のとおり,原告X1は,平成23年4月6日,聖書に遺書らしき文面を記載し,同月7日,ホチキスの針を黒手袋に付け,これを右手に着用し,体調不良を装って拘置所職員に居室の扉を開けさせ,これに乗じて出室しようとし,拘置所職員の指導に従わなかったことから,同月11日まで保護室に収容され,保護室収容中においても心情の安定を著しく欠く状態が継続していたことが認められる。本件第④面会は保護室収容の解除の約4時間30分後に実施されたもので,本件第④面会の時点においても,原告 に収容され,保護室収容中においても心情の安定を著しく欠く状態が継続していたことが認められる。本件第④面会は保護室収容の解除の約4時間30分後に実施されたもので,本件第④面会の時点においても,原告X1の心情を把握する高い必要性がなお継続していたと言うべきであり,また,面会の相手方が訴訟代理人である弁護士であっても,面会時における不測の事故が発生する可能性が低いとは言えず,これを制止する必要性もあるから,本件第④面会について拘置所職員の立会いを行う必要性は非常に高かったと認められる。 以上によれば,原告X3と原告X1の無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断に合理的な理由がないとは言えず,裁量権の逸脱濫用はないから,国賠法1条1項の違法は認められない。 本件第⑤面会(平成24年2月10日)について本件第⑤面会は本件第④面会の約10か月後に実施されたもので,本件第④面会当時の拘置所職員の立会いを行う高い必要性がなお継続していたとは言えない。また,本件第④面会後の事情について検討するに,上記1認定の 事実のとおり,原告X1は,平成23年7月から同年10月までの間,物品不正所持,粗暴言辞,静穏阻害により,閉居7日の懲罰を3回科されたことが認められるが,その後は相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないことに照らすと,本件第⑤面会について拘置所職員の立会いを行う必要性が高かったとは認められないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 本件第⑥面会(平成24年3月29日)について本件第⑤面会後の事情について検討するに,相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は 本件第⑥面会(平成24年3月29日)について本件第⑤面会後の事情について検討するに,相当性の判断において特に考慮すべき事情は発生していないから,無立会面会が相当でないとの名古屋拘置所長の判断は,裁量権を逸脱濫用したものであり,国賠法1条1項の違法がある。 6 争点(原告らの損害額)について 原告X1の損害ア慰謝料合計72万円(1回につき3万円)本件控訴取下げの効力を争う原告X1が拘置所職員の立会いなく弁護人と面会する法的利益を侵害されたこと,及び原告X1が拘置所職員の立会いなく本件X1国賠訴訟の訴訟代理人と面会する法的利益を侵害されたことによる精神的苦痛を慰謝するに相当な金額は,名古屋拘置所長の職務執行の違法が認められる面会1回につき3万円とするのが相当であり,その回数は24回であるから,慰謝料の合計は72万円である。 イ弁護士費用合計7万2000円(1回につき3000円)原告X1が負担する弁護士費用のうち,名古屋拘置所長の違法な職務執行と相当因果関係の認められる額は,1回の職務執行につき3000円とするのが相当である。 ウ合計 79万2000円 原告X2の損害ア慰謝料合計9万円(1回につき3万円)原告X2が,拘置所職員の立会いなく原告X1と面会する弁護人固有の法的利益を侵害されたことによる精神的苦痛を慰謝するに相当な金額は,名古屋拘置所長の職務執行の違法が認められる面会1回につき3万円とするのが相当であり,その回数は3回であるから,慰謝料の合計は9万円である。 イ弁護士費用合計9000円(1回につき3000円)原告X2が負担する弁護士費用のうち,名古屋拘置所長の違法な職務執行と相当因果関係の認められる額は,1回の職務執行につき3000円とするのが相当である。 合計9000円(1回につき3000円)原告X2が負担する弁護士費用のうち,名古屋拘置所長の違法な職務執行と相当因果関係の認められる額は,1回の職務執行につき3000円とするのが相当である。 ウ合計 9万9000円 原告X3の損害ア慰謝料合計51万円(1回につき3万円)原告X3が,拘置所職員の立会いなく原告X1と面会する弁護人固有の法的利益を侵害されたことによる精神的苦痛を慰謝するに相当な金額は,名古屋拘置所長の職務執行の違法が認められる面会1回につき3万円とするのが相当であり,その回数は17回であるから,慰謝料の合計は51万円である。 イ弁護士費用合計5万1000円(1回につき3000円)原告X3が負担する弁護士費用のうち,名古屋拘置所長の違法な職務執行と相当因果関係の認められる額は,1回の職務執行につき3000円とするのが相当である。 ウ合計 56万1000円第4 結論以上のとおり,原告らの被告に対する損害賠償請求は,原告X1は79万2 000円,原告X2は9万9000円,原告X3は56万1000円及びこれらに対する各不法行為の日である面会の日から遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し,その余の請求についてはいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,仮執行宣言の申し立ては相当でないから却下する。 名古屋地方裁判所民事第3部裁判長裁判官德 永 幸 藏 裁判官光野哲治 裁判官荻 野 文 則 (別紙第2)遅延損害金目録 1 原告X1(認容額) (起算日)3万3000円平成21年4月28日3万3000円 野 文 則 (別紙第2)遅延損害金目録 1 原告X1(認容額) (起算日)3万3000円平成21年4月28日3万3000円同年6月5日3万3000円同年8月19日3万3000円同年9月4日3万3000円同年10月16日3万3000円同年11月5日3万3000円同年11月12日3万3000円同年11月19日3万3000円同年12月28日3万3000円平成22年2月8日3万3000円同年3月31日3万3000円同年4月23日3万3000円同年4月30日6万6000円同年5月6日3万3000円同年9月6日3万3000円同年9月28日3万3000円同年11月5日3万3000円同年12月27日3万3000円平成23年1月24日3万3000円同年2月16日3万3000円同年3月18日3万3000円平成24年2月10日 3万3000円同年3月29日 2 原告X2(認容額) (起算日)3万3000円平成21年4月28日3万3000円同年10月16日3万3000円同年11月5日 3 原告X3(認容額) (起算日)3万3000円平成21年6月5日3万3000円同年8月19日3万3000円同年9月4日3万3000円同年11月5日3万3000円同年11月12日3万3000円同年11月19日3万3000円同年12月28 3万3000円同年9月4日3万3000円同年11月5日3万3000円同年11月12日3万3000円同年11月19日3万3000円同年12月28日3万3000円平成22年2月8日3万3000円同年3月31日3万3000円同年4月23日3万3000円同年4月30日6万6000円同年5月6日3万3000円同年9月6日3万3000円同年11月5日3万3000円平成23年1月24日3万3000円同年2月16日
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