平成24年5月31日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(ワ)第5333号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年4月12日判決東京都大田区<以下略>原告株式会社テンポスバスターズ同訴訟代理人弁護士遠藤直哉水野靖史村谷晃司田島紘一郎東京都中央区<以下略>被告株式会社M&AProperties同訴訟代理人弁護士高橋雄一郎同訴訟代理人弁理士林佳輔望月尚子同訴訟復代理人弁護士金井英幸主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,不動産店舗売買の仲介の役務の提供に当たって使用するウエブサイト(URLは省略)において,別紙被告標章目録1及び2記載の標章を使用してはならない。 2 被告は,ウエブサイト(URLは省略)上の別紙被告標章目録1及び2記載の 標章を削除せよ。 3 被告は,原告に対し,259万9308円及びこれに対する平成24年3月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,下記登録商標の商標権者である原告が,被告に対し,被告が別紙被告標章目録1及び2記載の標章を使用することが原告の商標権を侵害すると主張して,商標法36条に基づき, え。 第2 事案の概要本件は,下記登録商標の商標権者である原告が,被告に対し,被告が別紙被告標章目録1及び2記載の標章を使用することが原告の商標権を侵害すると主張して,商標法36条に基づき,上記標章の使用の差止めとその削除を求めるとともに,民法709条,商標法38条3項に基づき,損害賠償として259万9308円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いのない事実)(1) 当事者ア原告は,飲食店,仕出し給食等フードサービス業向け厨房機器の新品及び中古品の再生販売及び賃貸等を目的とする株式会社である。 イ被告は,不動産の仲介,賃貸,売買,管理業,開発に関わる業務の請負等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の商標権原告は,次の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有している。 登録番号第4256909号登録商標テンポス(標準文字)出願日平成9年8月27日登録日平成11年4月2日役務の区分第37類指定役務中古品を使った設備及び内装工事(3) 被告の行為 被告は,平成21年5月19日から現在に至るまで,被告が開設する店舗物件ポータルサイト(URLは省略(以下「被告ウエブサイト」という。))において,別紙被告標章目録1及び2記載の各標章(以下「被告標章1」,「被告標章2」といい,併せて「被告各標章」という。)を,電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供たる同サイトの運営に当たりその映像面に表示して役務を提供している。 2 争点(1) 被告が被告ウエブサイトにおいて被告各標章を使用することが,原告 電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供たる同サイトの運営に当たりその映像面に表示して役務を提供している。 2 争点(1) 被告が被告ウエブサイトにおいて被告各標章を使用することが,原告の本件商標権を侵害するか(争点1)。 ア被告が提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるか。 (原告の主張)本件商標権の指定役務は,第37類の「中古品を使った設備及び内装工事」であるところ,被告が被告各標章を用いて提供している役務は中古店舗売買の仲介であり,これは第37類の「建築工事に関する助言」等又は第36類の「建物の情報の提供」,「建物の売買の仲介」等に含まれるから,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務である。 また,原告は,「テンポス」の商標のもとで,原告関連会社とともに,外食産業における設備,備品のフードビジネスプロデューサーとして,厨房機器,用品の販売,店舗設計及び内装工事や店舗用不動産の紹介,人材派遣,食材の仕入情報,飲食店経営のノウハウを指南するオーナーズスクールの開催など飲食店経営を行う者へのサービス提供を行っているところ,被告は,被告各標章を用いて,店舗経営を行う者や店舗を閉店する者に対して店舗情報の提供等を行い,不動産店舗売買の仲介を行っているから,原告の行っている取引と,被告の行っている取引は,いずれも店舗経営者を相手とし,店舗用不動産を取引の対象としているから,極めて類似している。 (被告の主張)被告は,被告各標章を建物の賃借の媒介に関する情報の提供にかかる役務について使用しているところ,これは,第36類の「建物の賃借の代理又は媒介に関する情報の提供」に含まれるから,被告の提供する役務は,本件商標権の指定役務(第37類の「中古品を使った設備及び内装工事」)と類似し しているところ,これは,第36類の「建物の賃借の代理又は媒介に関する情報の提供」に含まれるから,被告の提供する役務は,本件商標権の指定役務(第37類の「中古品を使った設備及び内装工事」)と類似しない。 なお,原告は,原告が店舗用不動産の紹介等の業務も行っていることなど自らの事業について論じているが,商標権侵害とは無関係な事実である。 イ被告各標章は,本件商標と同一又は類似の商標であるか。 (原告の主張)本件商標は,片仮名で「テンポス」と表記され,「テンポス」との称呼を生じる。 他方,被告標章1は,「テンポスマート」という文字標章であり,被告標章2は,「テンポスマート」,「Temposmart」及び図形を組み合わせた標章であるところ,「マート」,「mart」の部分は,商品の種類,内容等とは直接の関連性がなく,単に「市場」との観念を生じさせるに過ぎないのであって,自他商品の識別という観点からは「テンポス」,「Tempos」の部分が需要者の注意を惹くものであり,また,被告標章2の図形はテンポスの称呼を視覚的に補充するものに過ぎないから,被告各標章の要部は「テンポス」又は「Tempos」であり,「テンポス」との称呼を生じる。 したがって,本件商標と被告標章1の要部(「テンポス」)の外観及び称呼は同一であり,本件商標と被告標章2の要部(「テンポス」又は「Tempos」)は,外観の一部が同一で,称呼が同一であるから,被告各標章は,本件商標と極めて類似している。 (被告の主張) 本件商標と被告各標章は外観及び称呼とも類似しない。 (2) 損害額(争点2)(原告の主張)原告が,被告に対し,平成23年1月28日,被告による「テンポスマート」という標章の使用が本件商標権の侵害である旨を内容証明郵便で通知した後 (2) 損害額(争点2)(原告の主張)原告が,被告に対し,平成23年1月28日,被告による「テンポスマート」という標章の使用が本件商標権の侵害である旨を内容証明郵便で通知した後も,現在に至るまで被告各標章を使用し,本件商標権を故意に侵害している。これによって原告が被った損害は,商標法38条3項に基づき,本件商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する259万9308円を下らない。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告が被告ウエブサイトにおいて被告各標章を使用することが,原告の本件商標権を侵害するか。)について(1) 被告が提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるか。 ア前記前提となる事実に,証拠(甲4,5)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告ウエブサイトは,被告が平成21年5月19日に開設したもので,その表題部に「居抜き物件の『テンポスマート』:居抜き物件・スケルトン物件のマッチングサイト」,「店舗物件ポータルサイト」と記載するとともに,被告標章2を表示し,その本文に「テンポスマートでは東京・銀座を中心に居酒屋,飲食店,焼き肉,ラーメン店など多くの居抜き物件(店舗)をご紹介しております。」と記載して,物件を掲記していることが認められる。 イ上記アの認定事実によれば,被告が被告ウエブサイトにおいて提供する役務は,飲食店等の店舗に係る建物の賃借の媒介又はそれに関する情報の 提供であると認められる。そして,本件商標権の指定役務は,「中古品を使った設備及び内装工事」(第37類)であり,両者の役務に同一又は類似の商標を使用しても,当該役務の取引者ないし需要者に同一の営業主の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるとは認められないから,被 設備及び内装工事」(第37類)であり,両者の役務に同一又は類似の商標を使用しても,当該役務の取引者ないし需要者に同一の営業主の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるとは認められないから,被告が提供する役務が本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるということはできない。 ウなお,原告は,原告が「テンポス」の商標のもとで,原告関連会社とともに,外食産業における設備,備品のフードビジネスプロデューサーとして,厨房機器,用品の販売や,店舗用不動産の紹介その他飲食店経営を行う者へのサービス提供を行っているところ,被告も店舗経営を行う者や店舗を閉店する者に対して店舗情報の提供等を行っているから,原告の行っている取引と被告の行っている取引は極めて類似すると主張する。 しかしながら,本件商標権の指定役務である「中古品を使った設備及び内装工事」と店舗情報の提供等とでは,役務の提供手段,業種,需要者の範囲及び提供する事業者が異なるものといわざるを得ないから,被告が被告ウエブサイトにおいて提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるとは認めることができない。 原告の主張は,採用することができない。 (2) 被告各標章は,本件商標と同一又は類似の商標であるか。 ア本件商標は,「テンポス」との片仮名の標準文字を横書きした標章であって,「テンポス」の称呼を生ずるが,造語であると考えられるから,特段の観念は生じない。 被告標章1は,「テンポスマート」との片仮名の標準文字を横書きした標章であり,一連のものとして「テンポスマート」の称呼を生ずるが,特段の観念は生じない。 被告標章2は,数棟の建物をかたどった図形を描き,その下に,図形と 同程度の大きさで,「Temposmart」(Tの部分は建物を 「テンポスマート」の称呼を生ずるが,特段の観念は生じない。 被告標章2は,数棟の建物をかたどった図形を描き,その下に,図形と 同程度の大きさで,「Temposmart」(Tの部分は建物をかたどった図形と一体化している。)との欧文字の標準文字を横書きし,その欧文字の「p」から「t」までの間の文字の下部に図形や欧文字よりも小さく,「テンポスマート」との片仮名の標準文字を横書きした標章であって,「テンポスマート」の称呼を生じ,図形及び「Temposmart」との欧文字から,建物や店舗との観念を生ずる。 イそこで,本件商標と被告標章1とを対比すると,両標章は外観及び称呼において類似せず,特段の観念を生ずるものでもないから,需要者において役務の出所を誤認混同するおそれがあるとは認められない。したがって,被告標章1は,本件商標と同一又は類似の商標ではない。 また,本件商標と被告標章2とを対比すると,両標章は外観,称呼及び観念において類似しないから,需要者において役務の出所を誤認混同するおそれがあるとは認められない。したがって,被告標章2は,本件商標と同一又は類似の商標ではない。 ウ原告は,被告各標章のうちの「テンポスマート」,「Temposmart」のうち「マート」,「mart」の部分は,単に「市場」との観念を生じさせるに過ぎず,また,被告標章2の図形はテンポスの称呼を視覚的に補充するものに過ぎないから,被告各標章の要部は「テンポス」又は「Tempos」であると主張する。 しかしながら,被告各標章の「テンポスマート」,「Temposmart」については,「マート」及び「mart」の部分が,全体としての一体性が弱く,付加的であるといった事情は窺えないから,全体が一連のものとして認められるのであって,このうちの「マート」, osmart」については,「マート」及び「mart」の部分が,全体としての一体性が弱く,付加的であるといった事情は窺えないから,全体が一連のものとして認められるのであって,このうちの「マート」,「mart」の部分が「市場」との観念を生じさせるものとは認められない。また,被告標章2の図形は,標章全体の半分程度の大きさを占め,これから受ける印象も大きいことに照らせば,テンポスとの称呼を視覚的に補充するに過 ぎないと認めることもできない。 したがって,原告の上記主張は,前提を欠くものであって,これを採用することはできない。 2 以上のとおりであって,被告が被告ウエブサイトにおいて被告各標章を使用することは,原告の本件商標権を侵害しない。 3 よって,原告の請求は,その余の点を判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官小川卓逸 裁判官棚橋知子
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