令和6 年9 月19 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5 年(ワ)第30359 号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6 年7 月11 日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、原告に対し、220 万円及びこれに対する令和5 年4 月21 日から支払 済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告が、令和3 年実施の第49 回衆議院議員総選挙に関して、公職選挙法違反の嫌疑がかけられたとの事実を告知し、又は流布してはならない。 3 被告は、別紙目黒支部会員一覧表記載の東京都行政書士会目黒支部会員に対し、別紙謝罪広告リスト1「文案」記載の訂正文を本判決確定の日から10 日以内に 書留郵便にて送付せよ。 4 被告は、原告に対し、別紙謝罪広告リスト2「記載要領」記載の各媒体に、それぞれ、同項記載の記載要領に従い、同別紙1「文案」記載の謝罪広告を1 回掲載せよ。 第2 事案の概要 1 本件は、東京都行政書士会(以下「東京会」という。)の目黒支部(以下「東京会目黒支部」という。)所属の行政書士である原告が、同支部所属の行政書士である被告に対し、同支部の令和5 年度定時総会(以下「本件総会」という。)における被告の発言(以下「本件発言」という。)は虚偽の事実を摘示又は流布することにより原告の名誉ないし営業上の信用を毀損するものであり、名誉毀損の不法行為(民 法709 条)及び信用毀損の不正競争(不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1 項21 号)に当たる旨主張し、損害賠償請求権(民法709 条、不競法4 損の不法行為(民 法709 条)及び信用毀損の不正競争(不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1 項21 号)に当たる旨主張し、損害賠償請求権(民法709 条、不競法4 条)に基づきその損害の賠償及びこれに対する不法行為等の日である令和5 年4 月21 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めると共に、虚偽の事実の告知又は流布の差止め(不競法3 条)及び名誉ないし信用回復措置(民 法723 条、不競法14 条)を求める事案である。 なお、原告は、不競法14 条に基づく信用回復措置の請求につき、その主張において必ずしも明示的に言及するものではないが、主張全体の趣旨に鑑みれば、これを求めるものと理解される。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容 易に認められる事実)(1) 当事者ア原告原告は、東京会目黒支部所属の行政書士であり、平成31 年から令和3 年までは同支部の理事及び東京行政書士政治連盟(以下「東政連」という。)の目黒支部(以下 「東政連目黒支部」という。)の支部長を、同年から令和5 年までは東京会目黒支部の副支部長並びに東政連目黒支部の支部長及び東政連幹事(国会等選挙対策委員会委員)を務めた。(甲1 の1、1 の2、2~5)イ被告被告は、東京会目黒支部所属の行政書士であり、平成29 年から平成31 年までは 東政連目黒支部長及び東政連幹事を、平成31 年から令和3 年までは東京会目黒支部の副支部長並びに東政連目黒支部副支部長及び東政連幹事を、令和3 年から令和年は東政連幹事を務めた。 (2) 東京会目黒支部及び東政連ア東京会目黒支部 東京会は、行政書士が都道府 部長並びに東政連目黒支部副支部長及び東政連幹事を、令和3 年から令和年は東政連幹事を務めた。 (2) 東京会目黒支部及び東政連ア東京会目黒支部 東京会は、行政書士が都道府県の区域毎に設立する行政書士会の一つであり、東 京会目黒支部はその支部である。 C(以下「C」という。)は、本件発言で言及された衆議院議員総選挙(以下「令和3 年総選挙」という。)が実施された令和3 年当時及び本件発言がされた令和5 年当時、東京会目黒支部の支部長であった。 イ東政連 東政連は、昭和57 年5 月29 日に設立された政治資金規正法所定の政治団体であり、東京会と連携して、行政書士の社会的・経済的地位向上を目指し、国、都及び市区町村議会等への政策の提言、行政書士の活用及び制度の推進・拡充の要望等を行うことをその役割とする。東政連目黒支部は、この東政連の下に組織されている。 D(以下「D」という。)は、令和3 年総選挙が実施された令和3 年当時、東政連 会長であった。(甲4、7)(3) 本件発言についてア本件発言に至る経緯原告は、令和3 年10 月14 日から同年11 月2 日までの間に、東政連目黒支部の活動として、同年10 月実施の第49 回衆議院議員総選挙(令和3 年総選挙)につき、 特定の候補者のビラ及びポスターの写真や、東政連目黒支部のE行政書士(以下「E」という。)が写った写真を含む選挙の応援現場での写真を東政連目黒支部のFacebook アカウントを用いて投稿したり、同支部会員のメーリングリスト宛てに送付したりした(乙1 で転送されたメッセージ(以下「本件メール」という。)はその 1 つである。)。 イ本件総会の概要令和5 年4 月21 日、東京都目 員のメーリングリスト宛てに送付したりした(乙1 で転送されたメッセージ(以下「本件メール」という。)はその 1 つである。)。 イ本件総会の概要令和5 年4 月21 日、東京都目黒区所在の鷹番住区センターにおいて、「2023(令和5)年度東京都行政書士会目黒支部定時総会」(本件総会)が実施された。本件総会には東京会目黒支部所属の会員41 名が参加した。また、本件総会後、同所で、東政連目黒支部の総会も実施され、同支部の支部長選挙等が行われた。(甲8、9) ウ本件発言 被告は、本件総会の質疑において、以下の発言(本件発言)をした。 「実は前回の衆議院議員選挙のときに、当支部は公職選挙法違反の嫌疑というものがかかって大変な騒ぎになりました。これ本会の政連の会長、幹事長にC支部長、F政連支部長呼ばれて、厳重注意を受けておるはずです。これは私聞いてます。違うとおっしゃるんだったら、会長に私確認とりますから。この内容なんですけれど も、特定の候補者の選挙ビラを写真撮って全支部に回してるんです。これ、今、C先生笑われてたんですけど、とにかく僕ら政連の現場で大変だったんですよ。最終的に告発には至りませんでしたけれども、これ厳重注意をしたのはDさんに聞きました。厳重注意と思っていらっしゃらないんだったら、本会確認します私。こういう事情があって、今回、政連支部長の候補者に、C支部長が選ばれて、あげてる方 は、当該写真に写っている方です。というのは、外部的に見て、政連が行った、もっと言えば支部が行った選挙違反嫌疑を直接かけられているという方をわざわざこのタイミングでなぜ推薦して支部長候補になられるんですか。見識がないにもほどがある!これみんなおもってますよ。政連本部。」 3 争点 ( 反嫌疑を直接かけられているという方をわざわざこのタイミングでなぜ推薦して支部長候補になられるんですか。見識がないにもほどがある!これみんなおもってますよ。政連本部。」 3 争点 (1) 本件発言による原告の名誉又は信用毀損の有無(2) 違法性阻却の成否(名誉毀損につき)(3) 原告の損害発生の有無及びその額(4) 差止め及び名誉ないし信用回復措置の必要性 4 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1(本件発言による原告の名誉又は信用毀損の有無)(原告の主張)ア原告の名誉の毀損(ア) 事実の摘示による原告の社会的評価の低下本件発言は、原告が、令和3 年総選挙の際、特定の候補者の選挙ビラの写真を撮 影し、東京会目黒支部所属の会員全体に回したことで、同支部が公職選挙法違反の 嫌疑をかけられ、東政連の会長等から厳重注意を受けたとの具体的事実を摘示するものである。これは、東京会目黒支部の会員に対し、原告が公職選挙法違反の嫌疑をかけられるような人物であるとの印象を抱かせるものであり、原告の社会的評価を低下させるに足りる。 本件発言で言及される公職選挙法違反の嫌疑とは本件メールの送付を指すところ、 これを行ったのは、当時東政連目黒支部の支部長であった原告である。したがって、本件発言によって社会的評価が低下するのも原告である。 (イ) 公然性本件発言は、東京会目黒支部の会員約140 名中41 名が参加した本件総会で行われたものであり、また、その内容は、議事録の記載等を通じて、同会に出席してい ない約100 名の会員に伝えられることが予定されていた。さらに、本件発言の内容に鑑みると、東京会目黒支部以外の行政書士や第三者にも伝播する可能性があった。 イ を通じて、同会に出席してい ない約100 名の会員に伝えられることが予定されていた。さらに、本件発言の内容に鑑みると、東京会目黒支部以外の行政書士や第三者にも伝播する可能性があった。 イ原告の信用の毀損原告と被告は、共に東京会目黒支部に所属する行政書士であり、現実に東京都目黒区内に事務所を構えて顧客に対し行政書士業務を提供していることから、競争関 係にある。 また、被告は、本件発言により、原告につき公職選挙法違反の嫌疑がかかるような政治活動を行った人物であるとの印象を抱かせる虚偽の事実を告知又は流布した。 この事実の告知等は、行政書士相互間における原告の信用を失墜させると共に、本件発言が顧客に伝播することにより顧客の信用をも失墜させるおそれがあり、原告 の行政書士としての営業上の信用を害するものである。したがって、本件発言により原告の営業上の利益は侵害されたといえる。 (被告の主張)ア原告の名誉を毀損しないこと(ア) 原告の社会的評価を低下させるものでないこと 本件発言は、「当支部」が、令和3 年総選挙で公職選挙法違反の嫌疑をかけられ、 原告及びCが東政連の会長及び幹事長に呼ばれて厳重注意を受けたこと、にもかかわらず上記嫌疑をかけられている人物を支部長候補に推薦するのはおかしいとの内容からなるものである。このうち、本件発言の主語である「当支部」は東政連目黒支部を指す。また、公職選挙法違反の嫌疑をかけられながらも支部長候補に推薦された人物とは、原告ではなくEである。 したがって、仮に本件発言が摘示する事実によって社会的評価を低下させられるおそれがある人物がいるとしても、それは東政連目黒支部、E又は同人を推薦したCであって、本件発言は、原告の社会的評価を下げるものとは って、仮に本件発言が摘示する事実によって社会的評価を低下させられるおそれがある人物がいるとしても、それは東政連目黒支部、E又は同人を推薦したCであって、本件発言は、原告の社会的評価を下げるものとはいえない。 (イ) 公然性の欠如本件発言の行われた本件総会は、専ら行政書士を参加者とする総会であり、広く 一般に開かれた会合ではない。したがって、本件発言につき、伝播可能性があるとはいえない。 イ原告の信用を毀損するものでないこと原告の業務の主軸は入管関連等であり、これを行っていない被告との間に競争関係はない。また、本件発言は虚偽の事実を述べるものではない。さらに、本件発言 は、出席者が全員東京会目黒支部所属の行政書士である本件総会において行われたものであり、原告の顧客や取引先に対するものではないから、原告の営業上の利益を侵害するものでもない。 (2) 争点2(違法性阻却の成否(名誉毀損につき))(被告の主張) ア事実の公共性及び公益目的本件発言は、直接的には行政書士会の政治連盟の支部長の選出に関連して、公職選挙法違反の嫌疑の事実を取り上げるものであり、選挙や犯罪といった公共の利害に関するものである。 また、本件発言は、公職選挙法違反の嫌疑がかけられた人物が東政連目黒支部の 支部長候補としてふさわしくないのではないかと指摘し、同支部の運営の適正化を 目的としてされたものであるから、公益目的の下にされたものといえる。本件総会における本件発言を含む被告の発言全体の趣旨を理解すればわかるように、本件発言は、原告個人に対する被告の敵対的な立場を表明してされたものではない。 イ真実性又は真実相当性(ア) 公職選挙法違反の嫌疑の事実 東政連目黒支部は、令和3 年 かるように、本件発言は、原告個人に対する被告の敵対的な立場を表明してされたものではない。 イ真実性又は真実相当性(ア) 公職選挙法違反の嫌疑の事実 東政連目黒支部は、令和3 年総選挙に際し、行政書士会が推薦する候補の応援活動を行っていたところ、原告は、令和3 年10 月20 日、東政連目黒支部として候補者の応援活動をし、その様子をインターネット上で報告すると共に、東京会目黒支部の会員らに対し、写真を添付して選挙応援をした旨のメール(本件メール)を送付した。通常であれば、添付される写真は街頭での応援状況の客観的様子のみにと どまるところ、本件メールには、応援対象の候補者のポスターや政策内容の記載されたビラをアップにした写真までもが添付されていた。 衆議院議員総選挙においては、候補者本人又はその届出政党以外の者が選挙運動用のビラやポスターを添付したメールを送信することは公職選挙法上禁止されており、違反者には罰則が科される。 (イ) 厳重注意の事実本件メールを受信した東京会目黒支部所属の行政書士の一人が、本件メールにつき、公職選挙法違反の選挙運動であるとして、自らの所属する団体にその旨報告した。これを受けた同団体の幹部は、被告に対し、上記行政書士が告発するとまで言っていることから、早期に対処すべき旨等の助言を受けた。そこで、被告は、同幹 部に謝罪をすると共に、上記行政書士へのとりなしを依頼する一方で、Dらに対して状況を報告した。その際、Dらは、「大問題だねこれは。」などと発言した。 後日、被告は、Dから、C及び原告を呼び出し、同人らに対して厳重注意をした旨の連絡を受けた。 (ウ) 事実の真実性等 このように、本件メールにつき公職選挙法違反の嫌疑がかけられていたこと、及 ら、C及び原告を呼び出し、同人らに対して厳重注意をした旨の連絡を受けた。 (ウ) 事実の真実性等 このように、本件メールにつき公職選挙法違反の嫌疑がかけられていたこと、及 びこれについて原告がDから厳重注意を受けたことは、いずれも真実であり、又は被告がこれを真実と信じるに足りる相当な理由がある。 (原告の主張)ア事実の公共性及び公益目的の欠如原告は、行政書士であり公職にあるものではなく、本件発言を含む原告の行動は 私人の私的な事項にとどまるものであり、公共の利害に関する事実とはいえない。 また、被告は、本件発言に先立ち、自身が原告を従前から批判していた立場にあることを明らかにしていることなどから、本件発言は、原告個人に対する敵対的な立場を表明してされたものであり、専ら公共の利益を図る目的でされたとはいえない。 イ真実性及び真実相当性の欠如原告ないし東京会目黒支部は、本件メールに関し、東政連から公職選挙法違反の嫌疑をかけられたことはなく、原告が東政連目黒支部のFacebook アカウントに投稿した内容や交通費の使い方に関して問題視をされたものである。したがって、本件発言が摘示する事実は虚偽である。 また、Dは、令和3 年11 月16 日付けの原告に対するメールにおいて、原告が特定の候補者の選挙ビラの写真を撮影し、東京会目黒支部所属の会員に回したことは全く問題にしていないことなどに鑑みると、本件発言で摘示された事実が真実であると信じるに足りる相当な理由はない。 (3) 争点3(原告の損害発生の有無及びその額) (原告の主張)ア慰謝料 200 万円原告は、本件発言により多大な精神的苦痛を受けており、これを慰謝するに相当な金額は200 万円を下ら 3(原告の損害発生の有無及びその額) (原告の主張)ア慰謝料 200 万円原告は、本件発言により多大な精神的苦痛を受けており、これを慰謝するに相当な金額は200 万円を下らない。 イ弁護士費用 20 万円 原告は、被告に対する損害賠償請求のため、弁護士に事件を委任することを要し た。その費用として損害の1 割に相当する20 万円は、被告の名誉毀損行為等と相当因果関係の範囲にある損害である。 ウ合計 220 万円(被告の主張)否認ないし争う。 (4) 争点4(差止め及び名誉ないし信用回復措置の必要性)(原告の主張)被告は、原告個人と敵対的な立場にあることを表明して本件発言をしているところ、今後も同趣旨の発言が繰り返される蓋然性が高い。このため、被告が同趣旨の事実を告知等する行為を差し止める必要がある。 また、本件発言により原告の名誉及び信用は著しく毀損されたことから、これを回復するためには、名誉ないし信用回復措置の必要性がある。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件発言による原告の名誉又は信用毀損の有無)について(1) 事実認定前提事実(前記第2 の2)、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア本件発言に至る経緯 (ア) 原告は、令和3 年10 月20 日、東政連目黒支部所属の会員からなるメーリングリスト宛てに「総選挙候補者の応援(10/20)|東京都行政書士会目黒支部」と題するメール(本件メール。乙1)を送信した。本件メールには、「総選挙2 日目、政連活動の報告です。」との記載及びリンク先のURL があるほか、「総選挙期間に突入!!/…しっかり候補者の 黒支部」と題するメール(本件メール。乙1)を送信した。本件メールには、「総選挙2 日目、政連活動の報告です。」との記載及びリンク先のURL があるほか、「総選挙期間に突入!!/…しっかり候補者の理念と政策の訴えを聴き、重き一票を投じましょ う!!/行政書士政治連盟目黒支部推薦候補者の応援風景」(「/」は改行部分を意 味する。以下同じ。)などと記載されている。また、これらの記載に続き、ハッシュタグを付して、上記候補者名等のほか、「#東京都行政書士会目黒支部/#東京行政書士政治連盟目黒支部」と記載した上で、「政連幹事一同」とも記載されている。更に、本件メールには、令和3 年総選挙の特定の候補者と並んでEが「行政書士政治連盟」と記載された旗ないし幟様のものを手にしている写真や、上記候補者の選挙ビラと みられる写真が添付され、末尾には、原告の氏名及び連絡先等が記載されている。 加えて、原告は、その頃、東政連目黒支部のFacebook アカウントに同旨の投稿をするなどした。 (イ) Dは、同年11 月13 日、原告及びCに対し、令和3 年総選挙における選挙違反行為として、原告が選挙応援の現場で候補者のビラを手に持って写真に写り、そ の写真及びビラの写真を東政連目黒支部のFacebook アカウントに投稿したり、同支部のメーリングリスト宛てに送付したりしたことや、選挙期間に現場で応援をした会員に交通費2000 円を支給したという噂があるとして、これらの事実関係の確認をした。 また、同月16 日、Dは、原告及びCに対し、この件に関するメール(甲11)を送 信した。同メールには、以下の記載があるが、本件メールや東政連目黒支部のFacebook アカウントへの投稿等に関する言及はない。 ・「今回の目黒支部役員 この件に関するメール(甲11)を送 信した。同メールには、以下の記載があるが、本件メールや東政連目黒支部のFacebook アカウントへの投稿等に関する言及はない。 ・「今回の目黒支部役員の応援活動の件は、/会長としてDの意図は、事件にすることではなく、法令違反に問われない応援活動です。政連本部では、応援活動した日の日当・交通費を役員に対して支給しておりません。本来、候補の応援活動でも 「公示から投票日」までの公職選挙法が適用される期間の金銭の支出は、候補者の事務所が負担するものでありますので、政治団体である東政連が負担することは、不適切になります。」(ウ) その後、原告は、Cと共に、上記噂に関して、Dを含む東政連幹部と意見交換会を行った。その内容等につき、原告は、同月24 日、「東政連召喚のご報告」と 題するメール(甲10)において、以下のとおり報告した。 ・「冒頭に、D会長から、この度の選挙応援活動に関して、目黒支部から意見が上がったことがきっかけとし、東政連と支部長とで意見交換、公職選挙法の再確認を主旨とし、責任追及の意はありません、との意思表示。」・「提出書類/1、10/14~11/2 の間、私が、支部会員ML に発信した内容/2、政連目黒支部の支出帳簿/3、支部役員会で報告済みの支部FB 運営報告(任意提出)」 ・「東政連からは主に2 点、/1、ML での発信はいくつか注意点があり、その再確認と注意喚起、/2、帳簿に選挙期間中の支出がなく、問題なし。」・「東政連から、/自民党発行した選挙運動Q&A の冊子…の一部抜粋の写しをいただき、…会長は、…Q&A 冊子と合わせて、幹事の間で、もっと言えば一般会員も、公職選挙法の勉強と理解を深めよとアドバイスがあった。/ちょうど同じ主旨でC 挙運動Q&A の冊子…の一部抜粋の写しをいただき、…会長は、…Q&A 冊子と合わせて、幹事の間で、もっと言えば一般会員も、公職選挙法の勉強と理解を深めよとアドバイスがあった。/ちょうど同じ主旨でC 支部長と私もそれを考えていたものと、東政連アドバイスと一致してます。」・「本件は大事に至らずこれにて終結。」・「公職選挙法解説の勉強会も、言葉だけでなく、…講義をして頂きたいと考えます。その際、一般会員でご関心のある方…にもご参加頂きたいと考えます。」イ本件総会の概要 本件総会では、第6 号議案までが審議されたところ、被告は、第1 号議案(令和 4 年度事業報告の承認に関する件)及び第2 号議案(令和4 年度収支決算報告の承認に関する件)が一括して審議された際に4 つの質問をした。本件発言はこのうち 3 つ目の質問として行われたものである。その際の質問内容等は、具体的には以下のとおりである。(甲8、9) ・「まず、事業報告の方で伺いたいです。…まず最初に誤解を生じないように申し上げますが、今回の目黒のゴタゴタについてわたし大変心を痛めておりますし、今回政連本会それから日行連に至るまで、私のところに何件も電話がかかってきております。…最初に申し上げておきますが、私個人的な理由で、C支部長にどうこうと申し上げるつもりありませんし、また…F政連支部長についてはかねてより私は 直接ご本人にも批判をしていた立場なので、そういうところをしっかり考慮の上で 聞いていただきたいと思います。」・(1 番目の質問及び2 番目の質問をした後)「前回のこれ聞いていない方がほとんどです。支部の幹部からは何の発表もありませんから」と述べた上で、本件発言をした。 ・(本件発言に引き続き)「しかもこの候補者は「東 問及び2 番目の質問をした後)「前回のこれ聞いていない方がほとんどです。支部の幹部からは何の発表もありませんから」と述べた上で、本件発言をした。 ・(本件発言に引き続き)「しかもこの候補者は「東京都行政書士会政治連盟」と、 そんな組織ありませんから。「東京行政書士政治連盟」ですから。そんな見識の低いことで、じゃあ馬鹿にしてるのか、政連をと!…いい加減にしてください目黒!」(この後に4 番目の質問)・(Cの回答後の再質問において)「選挙違反の件、そんなに軽くないです。これ確認してもいいです。…笑いながら答えられることじゃないですよ支部長!その当 事者として、今回の政治の支部長が推薦されらっしゃる候補者は、写真にしっかり出てるんです。」ウ本件総会後の東政連目黒支部総会本件総会に引き続き東政連目黒支部の総会が実施されたが、同支部の支部長選挙については、Eが辞退したことにより、他の行政書士が支部長となった。(甲9) エ本件総会議事録の記載本件総会の議事録(甲8)では、被告の本件発言につき、「一昨年秋の衆議院議員総選挙における当支部内の会員の行動に対し、東政連で問題視され、公職選挙法違反の嫌疑がかけられたことは大問題である。当事者が本日の政連支部長選挙に立候補するのは容認しがたい。」と記載されている。 また、これに対するCの回答については「公職選挙法違反の嫌疑をかけられた事実はない。東政連より、交通費等の使い方等に関し、疑念を抱かれないようと注意を受けた(※後記)。/※政連支部長が政連支部フェイスブックに投稿した内容や、交通費の使い方が問題視されたもの。投稿された写真に、当該候補者が他の政連支部幹部とともに写っている。政連支部長が再発防止のため、公職選挙法勉強会を開 催した。」と記載さ クに投稿した内容や、交通費の使い方が問題視されたもの。投稿された写真に、当該候補者が他の政連支部幹部とともに写っている。政連支部長が再発防止のため、公職選挙法勉強会を開 催した。」と記載されている。 (2) 検討アある表現が名誉毀損に当たるかどうかは、たとえ精読すれば別個の意味に解されないことはないとしても、一般読者の普通の読み方と注意を基準として解釈した意味内容に従い、人の社会的評価を低下させるものか否かにより判断するのが相当である(最高裁昭和29 年(オ)第634 号同31 年7 月20 日第二小法廷判決・民集 巻8 号1059 頁参照)。 イ本件発言のうち、人の社会的評価を低下させる可能性のある事実の摘示としては、①公職選挙法違反の嫌疑に関するものと、②東政連会長であるDからの厳重注意に関するものとがあるといえる。 (ア) このうち、①公職選挙法違反の嫌疑の点については、「当支部は公職選挙法 違反の嫌疑というものがかかって」、「外部的に見て、政連が行った、もっと言えば支部が行った選挙違反嫌疑を直接かけられているという方」とあるように、東政連目黒支部として行った選挙応援活動を問題とし、「選挙違反嫌疑を直接かけられているという方」という特定の個人を違反行為の具体的な主体として挙げるものといえる。この「選挙違反嫌疑を直接かけられているという方」とは、被告の発言を全 体としてみると、本件発言の中で引き続いて言及されている「わざわざこのタイミングで」「推薦」されて「支部長候補」になっている人物であるEを指すものとみられる。すなわち、本件発言を聞いた一般の者の普通の読み方と注意を基準とすると、本件発言において、令和3 年総選挙に関して公職選挙法違反の嫌疑がかけられているのは東政連 る人物であるEを指すものとみられる。すなわち、本件発言を聞いた一般の者の普通の読み方と注意を基準とすると、本件発言において、令和3 年総選挙に関して公職選挙法違反の嫌疑がかけられているのは東政連目黒支部であり、その直接的具体的な違反行為の主体は、原告ではな く、Eとされているものと理解される。 (イ) 次に、②厳重注意の点について、被告は、本件発言において、「本会の会長、幹事長にC支部長、F政連支部長呼ばれて、厳重注意を受けておるはずです。」などと言及しているが、原告だけでなくCの名前も挙げられている。また、組織としての問題が生じた場合に、その責任者が、個人としての責任の有無にかかわりなく組 織の責任者として注意を受けることは一般にあり得るところである。そうすると、 厳重注意に係る事実の摘示を聞いた一般の者の普通の読み方と注意を基準とした場合、その摘示をもって、原告個人の社会的評価を低下させるものとは必ずしも理解されない。 (ウ) 以上より、本件発言は、それを聞いた一般の者の普通の読み方と注意を基準とした場合、原告個人の社会的評価を低下させるものとはいえない。すなわち、本 件発言をもって原告の名誉を毀損するものとはいえない。 また、同様の理由から、本件発言をもって原告の信用を毀損するものということもできない。 ウ原告の主張についてこれに対し、原告は、本件発言により原告自身が公職選挙法違反の嫌疑をかけら れるような行為をしたことが摘示され、原告個人の社会的評価が低下した旨を主張する。 しかし、本件発言により原告個人の社会的評価が低下したといえないことは上記のとおりである。 もっとも、本件発言で言及される公職選挙法違反の嫌疑につき、本件メールの送 付を指すものと理解すると、これを行っ 発言により原告個人の社会的評価が低下したといえないことは上記のとおりである。 もっとも、本件発言で言及される公職選挙法違反の嫌疑につき、本件メールの送 付を指すものと理解すると、これを行ったのは、当時東政連目黒支部の支部長であった原告であることから、本件発言によって原告の社会的評価が低下したものとみる余地もないではない。また、本件発言には、「特定の候補者の選挙ビラを写真撮って全支部に回しているんです」との言及があり、本件メールを送信するなどしたのは原告である。しかし、被告は、本件発言において、「選挙ビラ」の「写真」を送付 した人物が原告であることに明示的には言及していない。本件総会当時、東京会目黒支部及び東政連目黒支部所属の会員間において、本件発言に係る「選挙ビラ」の「写真」の送付者として原告が明示的かつ容易に想起されることをうかがわせる具体的な事情も見当たらない。その他本件発言の前後の被告の発言をみても、本件発言において、Cに対してはさておき、原告に対し、令和3 年総選挙との関係で誹謗 中傷ないし批判を加える趣旨のものと理解されるものは見当たらない。 その他原告が縷々指摘する事情を踏まえても、この点に関する原告の主張は採用できない。 2 まとめ以上のとおり、被告の本件発言は原告の名誉及び信用の毀損行為とは認められない。そうである以上、その余の点について論ずるまでもなく、原告は、被告に対し、 不法行為(民法709 条)及び不正競争(不競法2 条1 項21 号)に基づき、損害賠償請求権(民法709 条、不競法4 条)、差止請求権(不競法3 条)及び名誉ないし信用回復措置請求権(民法723 条、不競法14 条)をいずれも有しない。 第4 結論よって、原告の請求は、いずれも理由がないから、 条、不競法4条)、差止請求権(不競法3条)及び名誉ないし信用回復措置請求権(民法723条、不競法14条)をいずれも有しない。 主文 よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、判決する。 理由 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 石井奈沙 裁判官 志摩祐介 別紙当事者目録 原告 A同訴訟代理人弁護士足立正 被告 B同訴訟代理人弁護士山崎真一郎 阿部大介 押見和彦 別紙謝罪広告リスト省略 別紙目黒支部会員一覧表省略
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