平成15(ネ)304 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成15年12月24日 広島高等裁判所 山口地方裁判所 平成15(ワ)72
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判決文本文12,391 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1)ア原審被告らは,原審原告Aに対し,連帯して,金2207万3047円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ原審被告らは,原審原告Bに対し,連帯して,金1103万6524円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ原審被告らは,原審原告Cに対し,連帯して,金1103万6524円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 原審原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 2 原審被告らの本件控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて5分し,その4を原審被告らの,その余を原審原告らの,各負担とする。 4 この判決の第1項(1)は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原審原告ら(1) 原判決中原審原告ら敗訴部分を取り消す。 (2) 原審被告らは,連帯して,更に,原審原告Aに対して,金762万5897円,原審原告B及び同Cに対して,各金381万2947円及びこれらに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも原審被告らの負担とする。 2 原審被告ら(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2)ア原審被告らは,原審原告Aに対し,連帯して金1793万7947円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ原審被告らは,原審原告Bに対し,連帯して金896万8973円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金 3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ原審被告らは,原審原告Bに対し,連帯して金896万8973円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ原審被告らは,原審原告Cに対し,連帯して金896万8973円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 エ原審原告らのその余の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも原審原告らの負担とする。 第2 事案の概要 1 原審原告らは,交通事故により死亡したDの相続人(夫と子)であり,上記事故により総額5677万4812円の損害が生じたとして,加害車両の運転者である原審被告及び運行供用者である原審被告会社に対し,原審原告Aにつき2838万7406円及びこれに対する平成12年5月13日(交通事故発生の日)から支払済みまで年5分の割合の遅延損害金の,原審原告B,同Cにつき各1419万3703円及びこれに対する上記同様の遅延損害金の各連帯支払を求めた。 原審は,原審原告らが支払うべき損害の総額を3915万5378円であるとし,原審原告Aにつき1957万7688円,原審原告B,同Cにつき各978万8845円及びこれらに対する遅延損害金の限度で請求を一部認容し,その余の請求を棄却した。 原審原告ら及び原審被告らの双方が控訴し,原審原告らは,当審において請求を減縮し,原審被告らの支払うべき損害の総額を5440万7169円として,原審原告Aにつき金2720万3585円,原審原告B,同Cにつき各1360万1792円及びこれらに対する遅延損害金の各支払を求めた。原審被告らは,原審原告らに賠償すべき損害の総額は3587万5893円にとどまるとして,その旨原判決を変更する 原告B,同Cにつき各1360万1792円及びこれらに対する遅延損害金の各支払を求めた。原審被告らは,原審原告らに賠償すべき損害の総額は3587万5893円にとどまるとして,その旨原判決を変更するよう求めた。 2 その他の事案の概要は,次項に補正し,第4項に当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決「第2 事案の概要」欄2及び3に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 4頁2行目の後に行を改め次を加える。 「(5) 原判決後の平成15年11月4日,原審被告らは,Dの母Eとの間において,本件事故に基づくEの固有の慰謝料として同人に対し100万円を支払うことを合意し,同月19日にこれを支払った。(甲7,乙11,12,弁論の全趣旨)」 4 当審における当事者の主張(1) 原審原告らDに過失はない。事故現場交差点の状況からすれば,Dの進路からは右方からの進入車両が目に入る状態にある。Dは,右方から進入してくる車両を確認したところ,原審被告が一時停止線で停止したことを確認したからこそ交差点に進入したと考えられる。他方,原審被告は,一時停止規制及び道交法36条による左方進入車両に対する妨害禁止の規制を受ける状態にあったのであるから,同人がこれらの規制に従って一時停止すれば,これを見たDとしては,原審被告がDの車両を無視して交差点に進入してくると考えることはあり得ない。Dに過失ありとする具体的な注意義務違反を構成する事実はない。 また,本件交差点は見通しのよい交差点であり,35%の過失相殺をすべき事案ではない。 (2) 原審被告らア過失割合本件においてはDの過失は35%というべきであって,これを変更すべき事情はない。 イ弁護士費用原審被告らは,原審原告らに対 (2) 原審被告らア過失割合本件においてはDの過失は35%というべきであって,これを変更すべき事情はない。 イ弁護士費用原審被告らは,原審原告らに対し,保険会社を介し,本件訴訟提起前の平成13年9月25日付け書面で,3587万5894円の賠償を提示していたものであって,原審認容額(過失相殺後の損害額)はこれを下まわるものであること,原審原告らは被害者請求をすることも可能であったこと,刑事事件が先行し,その訴訟記録を原審被告らが全て提出していたことからすると,弁護士費用を1割とするのは不当である。 ウ慰謝料の支払原審被告らは,Dの母Eに対し,その固有の慰謝料として100万円を支払った。被害者死亡の場合における慰謝料について,被害者に生じた慰謝料を相続すると解するか,固有の慰謝料を相続人等が取得すると解するかにより慰謝料の総額に差異があるとすべきではなく,上記の金員は控除されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 次項に補正するほかは,原判決「第4 争点に関する当裁判所の判断」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 補正(1) 6頁21行目から24行目までを次のとおり改める。 「(2) 慰謝料 2500万0000円証拠(甲6,7,乙7)によれば,Dは,夫原審原告Aを婿養子に迎え,1町5反の田での米作や養鶏等の傍らパート勤務をし,大正9年生まれの実母E,夫,子である原審原告B,同Cと生活していたものであるが,夫は会社勤めをしていたものの病のために重労働ができず,米作や養鶏等は専らDが担っていたものであって,Dは一家の支柱ないし少なくともこれに準ずる立場にあったものと認められる。このようなDの立場のほか,後記2 勤めをしていたものの病のために重労働ができず,米作や養鶏等は専らDが担っていたものであって,Dは一家の支柱ないし少なくともこれに準ずる立場にあったものと認められる。このようなDの立場のほか,後記2(引用の原判決)の本件事故態様その他本件に顕れた諸般の事情を考慮すると,実母Eに固有の慰謝料として100万円が原審被告らから支払われた事実を考慮しても,Dの死亡による原審原告らの精神的苦痛を慰謝するには2500万円の支払をもってするのが相当である。」(2) 7頁4行目を次のとおり改める。 「(4) 以上合計 4840万7171円」(3) 10頁13行目から11頁12行目までを次のとおり改める。 「(2) 上記の事実によれば,原審被告には,本件交差点に進入するに際して交差道路左方からの進入車両の有無を十分に確認しないまま同交差点に進入した過失があり,本件事故はそのような原審被告の過失に基づき発生したものというべきである。 もっとも,本件交差点は信号機による交通整理が行われておらず,D進行道路から本件交差点付近の原審被告進行道路(右方)の見通しもよかったのであるから,Dにおいても,本件交差点に右方から進入してくる車両の有無を確認して進行すべき注意義務があったものというべきである。そして,乙5,6によれば,原審被告車両が進入を開始した地点から衝突地点までの距離は7.6mであるところ,原審被告は警察の取調べに対し,衝突時点での速度は時速約10kmであった旨供述しているのであるから,等加速度であったとすればこの間の移動に約5.4秒程度を要したことになる(もっとも,上記速度についての供述は原審被告の感覚に基づく不確かなものであって,その倍の時速20km程度に近いものであったとしても不自然ではない ればこの間の移動に約5.4秒程度を要したことになる(もっとも,上記速度についての供述は原審被告の感覚に基づく不確かなものであって,その倍の時速20km程度に近いものであったとしても不自然ではないが,そうとしても2.7秒程度を要することになる。)。他方,D車両の速度は証拠上明らかではないので,原審被告車両が本件交差点に進入を開始した時点におけるD車両の位置は断定できないものの,D車両は原動機付自転車であり,しかも同車の進行道路は時速30kmの速度規制があるから,Dがこれを遵守していたとすれば,原審被告車両が本件交差点に進入を開始した(動き出した)時点におけるD車両の位置は,衝突地点から約22.5mから45mということになり,この時点でDが原審被告車両の動きを発見していたとすれば衝突地点より手前で安全に停止できた可能性は否定できない(これが制限速度より高速度であったために停止困難であったとすれば,その面でDの過失として評価されざるを得ない。)。乙4,5によれば,Dは,原審被告車両との衝突直前に「きゃあ」という叫び声を発していたものであって,上記のとおり原審被告車両がD車両の右側方から衝突したものであることを考慮すると,Dは衝突前から原審被告車両の動静が視野に入っていたこと(それがDにとって意外な動きをしたこと)を窺わせるものではあるが,他方では,Dが原審被告車両の動きを発見したのが遅れたことをも窺わせるものであって,この面ではDにも過失があったものというべきである。 この点,原審原告らは,原審被告車両が一時停止をしており,左方車優先の規制も受けていたことから,Dは原審被告車両が交差点に進入しないとの正当な信頼をしていた可能性がある旨主張する。たしかに,乙6によれば,本件事故の態様は,D車両の右側面に原審被告車両の前部が衝突し の規制も受けていたことから,Dは原審被告車両が交差点に進入しないとの正当な信頼をしていた可能性がある旨主張する。たしかに,乙6によれば,本件事故の態様は,D車両の右側面に原審被告車両の前部が衝突したものであり,しかも,原審被告車両の前下部バンパーの右側にも衝突による凹みがあること,したがって,僅かな間合いがあればD車両は原審被告車両と衝突せずにその前方を通過できたはずであること,裏返せば,原審被告車両が一時停止した後に本件交差点に進入し始めたのは,D車両が本件交差点に相当に接近した時点であったと認められる。しかも,上記のような衝突態様に加え,前記認定のとおり,原審被告車両は,D車両と衝突する直前には規制に従って本件交差点手前で一時停止をし,右方約28.3メートルの地点に本件交差点に進入しようとする車両を発見して,その通過を待って本件交差点に進入したものであることを考慮すれば,Dが本件交差点に進入しようとの判断をした時点においては,原審被告車両は一時停止をしてその右方道路からの進入車両の通過を待っていた状態にあって,Dにおいて原審被告車両がそのまま停止を継続して左方からの進行車両であるD車両の通過を待ってくれるとの期待ないし信頼をした可能性は否定できない。しかし,仮にDがそのような信頼ないし判断をしたとしても,そのような判断をした後に,しかも,D車両がそのまま進行すれば交差点を安全に通過できる状態に至る以前に,原審被告車両がその信頼を裏切るような動きを示したとすれば,Dにおいてもこれを認識し,可能である限りはこれを回避するための措置をとるべき義務があるものというべきところ,上記判示のとおり,原審被告車両は一時停止をした後に発進して本件交差点に進入したものであって発進後衝突までには多少の時間があり,Dが注意を継続していれば原審被告車両の 義務があるものというべきところ,上記判示のとおり,原審被告車両は一時停止をした後に発進して本件交差点に進入したものであって発進後衝突までには多少の時間があり,Dが注意を継続していれば原審被告車両のそのような動きを認識し,衝突を防止できた可能性は否定できないのであるから,仮にDに原審原告ら主張のような信頼があったとしても,これをもってDの過失を全面的に否定することはできない。 もっとも,前記のとおり,原審被告車両の進行道路の幅員(外側線で表示された歩道部分を除く)が4.6mであるのに対し,D車両の進行道路は,本件交差点のD車両進入側の幅員(外側線で表示された歩道部分を除く)が8.7m,D車両出口側の幅員が6.8mであって,原審被告進行道路に比してその幅員が明らかに広い道路というべきであり,しかも,原審被告進行道路(停止地点)とD車両進行道路とは相互に見通しは良かったのであるから,原審被告において同方向に注意を向けていればD車両の発見は容易であり,かつ,左方車・広路進行車として本来その進行妨害をすべきではなかったのに,原審被告は,右方車の通過待ち後には左方道路に全く注意を払わず発進し,D車両の側面に衝突したものであること,他方,D車両からみれば,一時停止した原審被告車両がそのまま停止して左方車・広路進行車を優先してくれると信頼した可能性があり,それが過失を否定し得るものではないとしても,Dの過失を減殺する要素として考慮すべきであり,これらの事情及び前記認定の事実を総合すれば,Dの過失は15%と評価すべきである。 (3) なお,Dが装着していたものとみられるヘルメットは同人が倒れた場所から離れた場所に飛んでいたこと,Dの死因が外傷性脳挫傷であったことは前記認定のとおりであるが,上記の事実のみをもってしては,上記のヘルメッ Dが装着していたものとみられるヘルメットは同人が倒れた場所から離れた場所に飛んでいたこと,Dの死因が外傷性脳挫傷であったことは前記認定のとおりであるが,上記の事実のみをもってしては,上記のヘルメットがDの頭部から離脱した原因ないしDが外傷性脳挫傷となり死亡に至った原因が,ヘルメットの形状ないし装着方法の不適切その他D側の過失と評価すべき事情に基づくものと認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (4) 以上により過失相殺を行った後のD(ないし原審原告ら)の損害額は以下のとおり4114万6095円となる(円未満四捨五入)。 (計算式)48,407,171×(1-0.15)=41,146,095この金額を原審原告らの相続分に応じて除すると,以下のとおり,原審原告Aにつき2057万3047円,その他の原審原告らにつき各1028万6524円となる(下記の計算においては,円未満の四捨五入による処理の結果,これを合算すると本来の損害額を1円上回ることとなるため,これを調整するために原審原告A分から1円を控除しており,同人については円未満切り捨てと同様の結果となる。)。 (計算式)原審原告A 41,146,095÷ 2=20,573,047その他の原審原告ら 41,146,095÷ 4=10,286,524 」(4) 11頁19目「180万円」を「150万円」と,同頁20行目「90万円」を「75万円」と,各改める。 (5) 11頁14行目「(1)」を削除し,同頁21行目から25行目までを次のとおり改める。 「4 以上によれば,原審被告らが賠償すべき原審原告らの損害額は,以下のとおり,原審原告Aにつき2207万3047円, 行目「(1)」を削除し,同頁21行目から25行目までを次のとおり改める。 「4 以上によれば,原審被告らが賠償すべき原審原告らの損害額は,以下のとおり,原審原告Aにつき2207万3047円,その他の原審原告らにつき各1103万6524円となる。 (計算式)原審原告A 20,573,047+1,500,000=22,073,047その他の原審原告ら 10,286,524+ 750,000=11,036,524 」 3 以上によれば,原審原告らの請求は,原審原告Aについては金2207万3047円及びこれに対する平成12年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員の,その他の原審原告らについては各金1103万6524円及びこれに対する上記期間についての同率による金員の,各支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,原審原告らの本件控訴に基づき,これと一部異なる原判決を変更し,原審被告らの本件控訴をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第3部裁判長裁判官下司正明裁判官能勢顯男裁判官齋藤憲次(原判決引用部分)第2 事案の概要 2 前提事実等(確定の根拠は各末尾に示す。)(1) 交通事故の発生以下の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 日時平成12年5月13日午後1時55分ころ場所山口県防府市ab番地のc付近道路(以下「本件事故現場」という。)被害車両原動機付自転車(車両番号・防府市de,以下「D車両」という。) 後1時55分ころ場所山口県防府市ab番地のc付近道路(以下「本件事故現場」という。)被害車両原動機付自転車(車両番号・防府市de,以下「D車両」という。)被害者 D加害車両普通貨物自動車(登録番号・山口fgh,以下「F車両」という。)同運転者被告F事故態様  F車両が交通整理の行われていない交差点を直進するに当たり,左方道路から進行してきたD車両と出合い頭に衝突したもの(2) Dの死亡Dは,本件事故によって受けた外傷性脳挫傷により,平成12年5月13日午後3時6分ころ,外傷性ショック等により死亡した。 (争いがない事実,甲1,4)(3) 被告らの責任原因ア被告F民法709条(争いがない)イ被告会社自動車損害賠償保障法3条(争いがない)(4) 原告らとDとの関係等原告Aは,Dの夫であり,原告B及び原告Cは,Dの子である。 そして,Dの死亡に基づく相続により,原告Aは2分の1,原告B及び原告Cはそれぞれ4分の1ずつ,Dの権利義務を承継した。 (甲1,2) 3 争点(1) D(ないし原告ら)の損害(2) 過失相殺(3) 弁護士費用第4 争点に関する当裁判所の判断 1 争点(1)(原告らの損害)について(1) 逸失利益 2190万7171円証拠(甲1)によれば,Dは昭和19年10月14日生であることが認められ,したがって,本件事故当時(平成12年5月13日)におけるDの年齢は55歳である。 賃金センサス平成12年第1巻第1表中の産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・年 生であることが認められ,したがって,本件事故当時(平成12年5月13日)におけるDの年齢は55歳である。 賃金センサス平成12年第1巻第1表中の産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・年齢別(55歳ないし59歳)の平均年収額が353万1000円であることは,当裁判所に顕著な事実である。 また,55歳から67歳までの就労可能年数12年に対応するライプニッツ係数が8.8632であることは,当裁判所に顕著な事実である。 生活費控除率については,弁論の全趣旨により,30パーセントを相当と認める。 以上を基礎として,Dの逸失利益を算定すると,次のとおりとなる。 (計算式) 3,531,000×(1-0.3)×8.8632≒21,907,171(2) 慰謝料 2400万0000円本件において顕れた諸般の事情(後記2において述べる本件の事故態様を含む。)に照らせば,原告らの精神的苦痛を慰謝するには,上記金額の支払をもってするのが相当であると認める。 (3) 葬儀費用 150万0000円原告らがDの葬儀関係費用として少なくとも150万円を超える金額を支出したとの事実は,弁論の全趣旨によってこれを認め,本件において顕れた諸般の事情に照らせば,そのうち150万円が本件各事故と相当因果関係を有するものと認める。 (4) 以上合計 4740万7171円 2 争点(2)(過失相殺)について(1) 証拠(認定の根拠は各末尾に示す。)によれば,以下の事実を認めることができる。 ア本件事故現場の状況概要は別紙交通事故現場見取図(以下「別紙見取図」という。)記載のとおりであるが,詳 (認定の根拠は各末尾に示す。)によれば,以下の事実を認めることができる。 ア本件事故現場の状況概要は別紙交通事故現場見取図(以下「別紙見取図」という。)記載のとおりであるが,詳細は以下のとおりである。 (現場の位置)北西方向(i方面)から南東方向(j方面)に伸びる市道k線と,北東方向(l方面)から南西方向(m方面)に伸びる市道n線とが,ほぼ十字型に交差する道路上である。 (道路の状況)市道k線幅員は,交差点より北西側が約5.1メートル,南東側が約4. 8メートルであるが,交差点より北西側の道路の内側には,道路北東端から約0.5メートルの位置に,外側線が白色ペイントの実線で表示されている。 アスファルトで舗装されており,中央線,中央分離帯,縁石,ガードレール等は設置されていない。 市道n線幅員は,交差点より北東側が約9.6メートル,南西側が約6. 8メートルであるが,交差点より北東側の道路の内側には,道路北西端から約0.9メートルの位置に,外側線が白色ペイントの破線で表示されている。 アスファルトで舗装されており,中央線,中央分離帯,縁石,ガードレール等は設置されていない。 (交通整理の状況)信号機は設置されていない。 (交通規制の状況)山口県公安委員会の指定により,市道k線及び市道n線の双方に,最高速度30キロメートル毎時,駐車禁止の規制がされている。 交差点進入に際しては,市道k線には一時停止の規制がされ,交差点入口にその標識及び表示が設けられているが,市道n線には一時停止の規制はされていない。 (視認の状況)北西方向から交差点に向かう市道k線は,進行方 には一時停止の規制がされ,交差点入口にその標識及び表示が設けられているが,市道n線には一時停止の規制はされていない。 (視認の状況)北西方向から交差点に向かう市道k線は,進行方向の右側に高さ約1. 8メートルのブロック塀が設置されているが,そのブロック塀は交差点入口付近では停止線より後方に斜角となっているため,右方の見通しの妨害とはなっておらず,別紙見取図記載①の地点から右方は約50メートルの距離まで視認可能である。 また,上記道路の進行方向の左側には,高さ約2メートルの看板2枚,カーブミラー,消火栓標識,一時停止標識,電柱が設置されているが,いずれも支柱が細いため左方の見通しの妨害とはなっておらず,別紙見取図記載①の地点から左方は約100メートルの距離まで視認可能である。 他方,北東方向から交差点に向かう市道n線は,進行方向の右側に高さ約1.5メートルのフェンスが設置されているが,右方の見通しの妨害とはなっていない。 (天候の状況)本件事故当時は,昼間であったが,降雨中であった。 (乙6)イ本件事故当時の状況概要は別紙見取図記載のとおりであるが,その詳細は以下のとおりである。 本件事故当日,被告Fは,被告会社の業務に従事し,山口県防府市iの現場で作業を行った後,帰社するためF車両を運転し,市道k線を走行して北西方向から本件事故現場の交差点に差し掛かった。 被告Fは,一時停止標識に従い,別紙見取図記載①の地点で一時停止した。被告Fは,交差道路(市道n線)の左方(北東方向)を確認したところ,進入車がいないものと考え,次いで交差道路の右方(南西方向)を確認したところ,進入車両を右方28.3メートルの位置に認め,その車両が交差点を通過した (市道n線)の左方(北東方向)を確認したところ,進入車がいないものと考え,次いで交差道路の右方(南西方向)を確認したところ,進入車両を右方28.3メートルの位置に認め,その車両が交差点を通過したのを待機した。被告Fは,上記車両の通過後,交差道路左方から進入する車両はないものと思い込み,交差道路左方の確認を十分に行わないままF車両を発進させ,時速約10キロメートルで交差点に進入した。ところが,そのとき交差道路左方からD車両が交差点に進入してきたため,現場見取図記載②の地点(同記載①の地点との距離は約7.6メートル)を走行中のF車両の前部が,同記載<ア>の地点を走行中のD車両右側に,同記載<×>の位置で衝突した。 被告Fは,そのとき初めてD車両の存在に気が付き,別紙見取図記載③の地点(同記載②の地点との距離は0.6メートル)でブレーキを掛け,同記載④の地点(同記載③の地点との距離は1.1メートル)で停止したが,D車両は同記載<イ>の地点(同記載<ア>地点との距離は1.8メートル)に転倒し,Dは同記載<ウ>の地点(同記載<イ>の地点との距離は2.8メートル)で頭部から多量に出血した状態で倒れていた。 なお,本件事故後,路面には,D車両の左ステップバーによって形成されたものと思われる擦過痕が,別紙見取図記載l1の地点に長さ約0.4メートルにわたり,また,別紙見取図記載l2の地点に長さ約0.5メートルにわたり,それぞれ印象されている。 他方,別紙見取図記載<オ>の地点には,Dのものと思われるヘルメットが遺留されているが,同地点と他の地点との距離は,証拠上必ずしも明らかではない(この点,論告要旨〔乙8〕には,Dのヘルメットが衝突地点から6メートル前後,衝突後転倒した被害者の頭部から5メートル前後離れた場所に落下してい 点と他の地点との距離は,証拠上必ずしも明らかではない(この点,論告要旨〔乙8〕には,Dのヘルメットが衝突地点から6メートル前後,衝突後転倒した被害者の頭部から5メートル前後離れた場所に落下していた旨の記載が存在するが,実況見分調書〔乙6〕には,別紙見取図記載<オ>の地点と他の地点との測定距離は表示されていない。)。 (乙4ないし6)以上の事実を認めることができる。証拠中上記認定に反する部分は採用しない。 (2) 上記の事実関係の下においては,本件事故は,被告Fが交差点に進入するに際し交差道路左方から進入してくる車両の有無を十分に確認しないまま進行した過失によって発生したものというべきであるが,他方,上記交差点が信号機による交通整理が行われていないものであったことに照らせば,Dにおいても,その進行交差道路右方から進入してくる車両の有無を確認することにより,本件事故の発生又はこれに基づく損害の発生若しくは拡大を防止することができたものというべきである。以上のほか,本件事故現場付近の交通規制状況(本件事故現場の交差点においては,一時停止の交通規制が,F車両の進行方向には存在する反面,D車両の進行方向には存在しなかったこと),その履践状況(F車両が交差点の手前で一時停止をしていること),本件事故の態様(本件事故はF車両が道路交通法36条1項所定の左方優先原則に違反して発生したものであること),事故車両の形態(四輪車たるF車両対単車たるD車両の事故であること),その他本件において顕れた諸般の事情を総合考慮すると,本件事故に対するDの過失割合は25パーセントと認めるのが相当である。 (3) 以上により過失相殺を行った後のD(ないし原告ら)の損害額は,以下のとおりとなる。 (計算式) 47,407,171×(1-0.2 過失割合は25パーセントと認めるのが相当である。 (3) 以上により過失相殺を行った後のD(ないし原告ら)の損害額は,以下のとおりとなる。 (計算式) 47,407,171×(1-0.25)≒35,555,378この金額を,原告A,原告B及び原告Cにつき,その相続による承継割合(前記第2の2(4))で除すると,以下のとおりとなる。 (計算式)原告A 35,555,378÷2=17,777,689≒17,777,688原告B及び原告C 35,555,378÷4=8,888,844.5≒8,888,845(上記の計算式においては,原告B及び原告Cの損害額の端数を切り上げたことから,損害総額を3555万5378円に一致させるために,原告Aの損害額を1円減額している。) 3 争点(3)(弁護士費用)について(1) 原告らがその権利実現のため訴訟の提起及び追行を弁護士に委任したことは,当裁判所に顕著な事実である。そして,本件事案の内容,審理経過,立証活動の難易,認容額その他弁論に表れた諸般の事情を考慮すると,原告らが本件訴訟の追行に要した費用のうち本件事故と相当因果関係のある損害は,以下のとおりであると認める。 原告A 180万円原告B及び原告C 各90万円(2) 以上によれば,被告らが賠償すべき原告らの損害額は,以下のとおりとなる。 (計算式)原告A 17,777,688+1,800,000=19,577,688原告B及び原告C 8,888,845+900,000=9,788,845 9,577,688原告B及び原告C 8,888,845+900,000=9,788,845

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