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昭和41(ネ)8 土地所有権移転登記等抹消登記手続請求事件

裁判所

昭和42年11月15日 名古屋高等裁判所 金沢支部

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5,808 文字

主文 原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。事実 第一当事者の申立一、 控訴代理人は、主文同旨の判決を求め、二、 被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。」旨の判決を求めた。第二当事者の主張一、 被控訴代理人は、請求原因として、次のとおり述べた。(一) 別紙不動産目録記載の各不動産(以下本件不動産という。)は、もと亡Aの所有であつたが、同人は昭和三九年一〇月二二日死亡し、相続が開始した。(二) 亡Aの相続人は、妻の被控訴人、養子の控訴人、同訴外Bの三名であつたが、被控訴人及びBの相続放棄の申述が昭和四〇年一月二二日金沢家庭裁判所小松支部で受理され、控訴人は、本件不動産につき相続を原因として、それぞれ別紙登記目録記載の各所有権移転登記ないし所有権保存登記をなすに至つた。(三) しかしながら、被控訴人の右相続放棄の申述は、控訴人が、被控訴人に無断で勝手にしたものである。(四) 仮にそらでないとしても、被控訴人は、元来無学、無智、愚昧なる女性にして、相続放棄が亡Aの相続財産の放棄を意味するものとは全く知らずに、相続放棄の申述をなしたものであるから、右相続放棄は、意思表示の要素に錯誤があり、無効である。(五) 仮に以上の主張が理由ないとしても、金沢家庭裁判所小松支部で受理された上記相続放棄の申述は、控訴人が「相続放棄をしないのなら老後の面倒は一切見てやらない。放棄すれば生活も十分見てやるし、A家のおばばとして一生楽隠居させてやる。」と言葉巧みに被控訴人をだまし、あるいはまた「おばばの一人や二人を殺すのは朝飯前じゃ、早く放棄を承諾せい。」等と被控訴人を強迫した結果によるものである。よつて被控訴人は、 て一生楽隠居させてやる。」と言葉巧みに被控訴人をだまし、あるいはまた「おばばの一人や二人を殺すのは朝飯前じゃ、早く放棄を承諾せい。」等と被控訴人を強迫した結果によるものである。 見てやるし、A家のおばばとして一生楽隠居させてやる。」と言葉巧みに被控訴人をだまし、あるいはまた「おばばの一人や二人を殺すのは朝飯前じゃ、早く放棄を承諾せい。」等と被控訴人を強迫した結果によるものである。よつて被控訴人は、 て一生楽隠居させてやる。」と言葉巧みに被控訴人をだまし、あるいはまた「おばばの一人や二人を殺すのは朝飯前じゃ、早く放棄を承諾せい。」等と被控訴人を強迫した結果によるものである。よつて被控訴人は、右詐欺、強迫を理由に前記裁判所に相続放棄取消の申述をなし、昭和四〇年一〇月一五日同裁判所においてこれを受理された。(六) かようなわけで、本件不動産に対しては、被控訴人も相続による三分の一の共有持分を有しているから、被控訴人は、控訴人に対し、別紙登記目録記載の各登記を、それぞれ同一相続を原因とする被控訴人の持分三分の一、控訴人の持分三分の二の各割合による所有権移転ないし所有権保存の各登記にするための更生登記手続を求める。二、 控訴代理人は、次のように答弁し、主張した。(一) 被控訴人主張の事実中、(一)、(二)の各事実と(五)の事実中被控訴人が金沢家庭裁判所小松支部に相続放棄取消の申立をなし、被控訴人主張の日に同裁判所においてこれを受理されたことは、いずれもこれを認めるが、その余の事実は全てこれを否認する。(二) 被控訴人は、昭和三九年一〇月二二日から二三日にかけて近親者の間でA家の借財整理に関する話が出た際、「自分は亡Aからその生前住家をもらつているし、農耕はできず、今後とも控訴人に面倒をみてもらいたいから相続は放棄してよい。」旨自ら進んでいい出したのである。そこで同月二九日納骨のため近親の者達がぼ提寺の勝光寺に集つた際、控訴人は相続放棄の申述書を被控訴人に示して、その趣旨をよく説明し、被控訴人も十分これを納得して、あらかじめ持参していた印鑑を被控訴人自ら右申述書に押捺し、これを控訴人が被控訴人に代つて前記裁判所へ提出したのである。かようなわけで、控訴人は、被控訴人主張の如き詐欺、強迫をなしたことはなく、被控訴人の上記相続放棄は 印鑑を被控訴人自ら右申述書に押捺し、これを控訴人が被控訴人に代つて前記裁判所へ提出したのである。かようなわけで、控訴人は、被控訴人主張の如き詐欺、強迫をなしたことはなく、被控訴人の上記相続放棄は、全く同人の真意によるものであるから有効であり、したがつてまた被控訴人主張の相続放棄の取消は、その理由がない。 うなわけで、控訴人は、被控訴人主張の如き詐欺、強迫をなしたことはなく、被控訴人の上記相続放棄は 印鑑を被控訴人自ら右申述書に押捺し、これを控訴人が被控訴人に代つて前記裁判所へ提出したのである。かようなわけで、控訴人は、被控訴人主張の如き詐欺、強迫をなしたことはなく、被控訴人の上記相続放棄は、全く同人の真意によるものであるから有効であり、したがつてまた被控訴人主張の相続放棄の取消は、その理由がない。第三証拠関係一、 被控訴代理人は、甲第一号証の一、二、第二号証を提出し、証人Cの証言を援用し、乙第三号証の成立は知らないが、その余の乙各号証の成立は認め、乙第一号証の一ないし三、第四号証の一、二はこれを利益に援用すると述べた。二、 控訴代理人は、乙第一号証の一ないし三、第二、第三号証、第四号証の一、二を提出し、証人D、同Eの各証言及び控訴本人尋問の結果を援用し、甲各号証の成立は全て認めると述べた。理由 一、 本件不動産は、もと亡Aの所有であつたが、同人は昭和三九年一〇月二二日死亡し、その相続が開始したこと、亡Aの相続人は、被控訴人主張のとおり、妻の被控訴人、養子の控訴人及び同訴外Bの三名であつたが、昭和四〇年一月二二日被控訴人とBの相続放棄の申述が金沢家庭裁判所小松支部で受理され、控訴人が本件不動産につき被控訴人主張どおりの各所有権移転登記ないし所有権保存登記を経由していること、ならびに被控訴人が金沢家庭裁判所小松支部に相続放棄取消の申述をなし、被控訴人主張の日に同裁判所においてこれを受理されたことは、当事者間に争いがない。二、 そこで被控訴人の本件相続放棄の効力について判断するに、(一) 成立に争いのない甲第一号証の一、二、証人D、同Eの各証言ならびに控訴本人尋問の結果を総合すれば、亡Aは上記のように昭和三九年一〇月二二日死亡し、同月二四日頃、同人宅にその近親者達が集つて香典開きが行なわ 争いのない甲第一号証の一、二、証人D、同Eの各証言ならびに控訴本人尋問の結果を総合すれば、亡Aは上記のように昭和三九年一〇月二二日死亡し、同月二四日頃、同人宅にその近親者達が集つて香典開きが行なわれたが、その席上亡Aには相当額の負債があることが分り、その整理方法をめぐつて自ずと話が相続関係にも及んだところ、被控訴人も、「自分は百姓仕事などはとてもできず、どうせ控訴人に面倒をみてもらわなければならないし、また亡Aからは生前その住家ももらつているから、相続しようとは思つていない。 合すれば、亡Aは上記のように昭和三九年一〇月二二日死亡し、同月二四日頃、同人宅にその近親者達が集つて香典開きが行なわれたが、その席上亡Aには相当額の負債があることが分り、その整理方法をめぐつて自ずと話が相続関係にも及んだところ、被控訴人も、「自分は百姓仕事などはとてもできず、どうせ控訴人に面倒をみてもらわなければならないし、また亡Aからは生前その住家ももらつているから、相続しようとは思つていない。」といい、Bも控訴人が後を継ぐのが順当だから相続する気はないとの考えで、結局A家は控訴人に継いでもらうのが最も順当であるというような話合になつたこと、そこで同月二九日、納骨のため近親の者達がぼ提寺の勝光寺に集つた際、たまたま午前一〇時の予定がお寺の都合で午後一時に延ばされたので、皆で話合の上、その暇を利用して、相続放棄の手続を済ますことになり、早速控訴人が金沢家庭裁判所小松支部から相続放棄申述書の用紙をもらつてきて、他の近親者らも同席する中で、相続人の被控訴人とBに、右用紙を提示し、且つ相続放棄の趣旨もよく説明した上、控訴人においてそれぞれ該当欄に所要事項を記入し、これに被控訴人とBが、よく納得の上、それぞれあらかじめ用意してきていた各自の印鑑を自ら押捺し、これを控訴人が、右両名に代つて前記裁判所に提出したものであること、しかるに被控訴人は、どういうわけか昭和三九年一一月五日金沢家庭裁判所小松支部で行なわれた審問で、「相続放棄の申述をしたことはない。しかし放棄するか、どらか、よく考えてみるから、しばらく審理をのばしてほしい。」旨を述べて続行を求めたが、翌年一月二二日の審問期日には、「前回の供述は間違いで、相続放棄の申述は真意によるものである。」旨を述べて、右申述 か、よく考えてみるから、しばらく審理をのばしてほしい。」旨を述べて続行を求めたが、翌年一月二二日の審問期日には、「前回の供述は間違いで、相続放棄の申述は真意によるものである。」旨を述べて、右申述の受理を求め、上記のようにこれを受理されたものであることを認めることができ、以上認定の事実関係によれば、被控訴人の本件相続放棄の申述は、全く同人の自由且つ事実の意思に基づいたものと認めるのほかはないものというべく、したがつて被控訴人の本件相続放棄も有効といわざるを得ない。(二) 被控訴人は、本件相続放棄の申述は、控訴人が被控訴人に無断でしたものである。 述は真意によるものである。」旨を述べて、右申述の受理を求め、上記のようにこれを受理されたものであることを認めることができ、以上認定の事実関係によれば、被控訴人の本件相続放棄の申述は、全く同人の自由且つ事実の意思に基づいたものと認めるのほかはないものというべく、したがつて被控訴人の本件相続放棄も有効といわざるを得ない。(二) 被控訴人は、本件相続放棄の申述は、控訴人が被控訴人に無断でしたものである。仮にそうでないとしても、本件相続放棄は要素に錯誤があるから無効であるといい、更には本件相続放棄は、被控訴人主張の如き控訴人の詐欺、強迫によるものである旨を主張してその効力を争い、前掲の甲第一号証の一、成立に争いのない甲第二号証、乙第一号証の一ないし三の各陳述記載ならびに証人Cの証言中には、一部被控訴人の右各主張事実に副うような部分もあるが、これらは、前掲の各証拠に比照し、あるいはその供述内容自体から考えて、たやすくこれを信用することはできないし、他に上記認定を覆えし、被控訴人の右各主張事実を肯認するに足る確証もない。(三) もつとも被控訴人の本件相続放棄は、その後上記のように、被控訴人の申立により、昭和四〇年一〇月一五<要旨>日金沢家庭裁判所小松支部においてその取消の申述が受理されているので、右受理審判と別個に、本件の如く</要旨>別訴で当該相続放棄の有効性を主張し得るかどうかは、一応問題ではあるが、もともと相続放棄取消の受理審判は、相続放棄の受理審判と同様、一応の公証的意味を有するにとどまるものであること、相続の放棄またはその取消の申述を却下する審判に対しては即時抗告をなし得るが、右各申 、もともと相続放棄取消の受理審判は、相続放棄の受理審判と同様、一応の公証的意味を有するにとどまるものであること、相続の放棄またはその取消の申述を却下する審判に対しては即時抗告をなし得るが、右各申述の受理審判に対しては不服申立の道がなく(家事審判法第一四条、家事審判規則第一一五条第二項、第一一四条第一項、第一一一条)、利害関係人は、別訴で相続放棄の有効、無効を争う以外に方法がないことなどを考え合せると、相続放棄取消受理の審判は、相続放棄の受理審判とともに、相続放棄の効力に関する実体的権利関係を終局的に確定するものではなく、右の実体的権利関係は、民事訴訟法による裁判によつてのみ終局的にこれを確定すべきものと解するのが相当であるから、被控訴人の上記相続放棄取消受理の審判は、何ら上記判断の妨げとなるものではないといらべきである。 、別訴で相続放棄の有効、無効を争う以外に方法がないことなどを考え合せると、相続放棄取消受理の審判は、相続放棄の受理審判とともに、相続放棄の効力に関する実体的権利関係を終局的に確定するものではなく、右の実体的権利関係は、民事訴訟法による裁判によつてのみ終局的にこれを確定すべきものと解するのが相当であるから、被控訴人の上記相続放棄取消受理の審判は、何ら上記判断の妨げとなるものではないといらべきである。三、 果して以上説示の次第であつてみれば、被控訴人の本件相続放棄は有効にして、その無効を前提とする被控訴人の本訴請求は、その理由なく、失当たるを免れない。してみれば、右理由なき被控訴人の本訴請求を認容した原判決また失当にして、本件控訴は理由があるから、民事訴訟法第三八六条によつて原判決を取り消し、被控訴人の本訴請求はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき同法第九六条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官西川力一裁判官島崎三郎裁判官河合長志)登記目録第一別紙不動産目録第一記載の不動産につき金沢地方法務局山中出張所昭和四〇年六月一七日受付第九六二号をもつてなされた控訴人名義の所有権移転登記第二同目録第二記載の不動産につき同出張所同日受付第九六三号をもつてなされた控訴人名義の所有権移転登記第三同目録第三記載の不動産につき同出張所同日受付第九六四号をもつてなされ 有権移転登記第二同目録第二記載の不動産につき同出張所同日受付第九六三号をもつてなされた控訴人名義の所有権移転登記第三同目録第三記載の不動産につき同出張所同日受付第九六四号をもつてなされた控訴人名義の所有権移転登記第四同目録第四記載の不動産につき同出張所同日受付第九五七号をもつてなされた控訴人名義の所有権保存登記不動産目録第一<記載内容は末尾1添付>第二<記載内容は末尾2添付>第三<記載内容は末尾3添付>第四<記載内容は末尾4添付>

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