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昭和33(ネ)270 強制執行異議事件

裁判所

昭和35年5月30日 大阪高等裁判所

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4,202 文字

主文 原判決を取消す。被控訴人が訴外Aに対する昭和三一年六月二九目附神戸地方法務局所属公証人B作成第六一、一六三号公正証書の執行力ある正本に基き同年八月二四日原判決末尾添付目録記載の動産に対してした強制執行はこれを許さない。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。本件について昭和三三年三月一〇日当裁判所のした強制執行停止決定(同年(ウ)第一〇五号)は、これを認可する。前項に限り仮に執行することができる。事実 控訴代理人は主文第一、二、三項同旨の判決を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出援用認否は、事実関係につき控訴代理人において、被控訴人が執行吏に委任して為した第一の差押の公示書は債務者方押入の襖の裏に貼付せられたのであるが、右は公示たる効力がなく従つて又控訴人が執行吏に委任してした第二の差押は右第一の差押のあることを知らずにしたものであつて、右第一の差押は無効であり従つて第二の差押及びこれに基く競売競落は適法有効であつて本件物件は控訴人の所有に帰したものである。と述べ、被控訴代理人において、右控訴人の主張はこれを争う。第一の差押の公示書は債務考方の営業の妨げとならないように注意して貼付せられたのであり、これは現在慣行となつている方法であつて無効でなく現に第二の差押についても同様の方法が採られたのである。第二の差押のとき執行吏は債務者の妻Cから第一の差押の事実を告げられたのに敢て差押をしたのであわ仮に右第一の差押の事実を告げられなかつたとしても執行吏としては当然に差押の有無を調査すべきものであり、いずれにしても第二の差押は照査手続に依 第一の差押の事実を告げられたのに敢て差押をしたのであわ仮に右第一の差押の事実を告げられなかつたとしても執行吏としては当然に差押の有無を調査すべきものであり、いずれにしても第二の差押は照査手続に依らなかつた違法があつて無効である。 れたのに敢て差押をしたのであわ仮に右第一の差押の事実を告げられなかつたとしても執行吏としては当然に差押の有無を調査すべきものであり、いずれにしても第二の差押は照査手続に依 第一の差押の事実を告げられたのに敢て差押をしたのであわ仮に右第一の差押の事実を告げられなかつたとしても執行吏としては当然に差押の有無を調査すべきものであり、いずれにしても第二の差押は照査手続に依らなかつた違法があつて無効である。と述べ、証拠関係につき控訴代理人において当審証人D同Cの各証言を援用し、被控訴代理人において当審証人Cの証言を援用したほか、原判決事実摘示と同一であるからこれをここに引用する。理由 被控訴人が訴外Aに対する主文第二項掲記の債務名義に基く強制執行として昭和三一年八月二四日原判決末尾添付目録記載の動産(以下本件物件という。)に対し差押(以下第一の差押という。)を執行したこと、控訴人がその後同年一〇月一八日右訴外人に対する債務名義に基く強制執行として更に前記物件に対する差押(以下第二の差押という。)を執行し、この第二の差押に基く競売により右物件を競落したことはいずれも当事者間に争がない。そうして既に差押えられた物件については更に他の債権者のために差押の手続をすることはできず、この場合には民事訴訟法第五八六条第二項の照査の手続を為すべきものであり、従つて第二の差押は第一の差押がその効力を有する限り、第二の差押を担当した執行吏が第一の差押の事実を知つていたと否とに拘らず、照査手続によらなかつた違法があるわけであるから、先ず右第一の差押の有効無効を判断する。成立に争のない甲第一号証第二号証の一乙第二号証(各差押調書)と原審ならびに当審証人D同C(但しその原審における証言中後記措信しない部分を除く。)原審証人Eの各証言を綜合すると、前記被控訴人の委任による第一の差押においてはこれを担当した執行吏代理Eは本件物件のほか布団だんす等をも差押え債権者の承諾により差押物件全部を債務者の保管に 除く。)原審証人Eの各証言を綜合すると、前記被控訴人の委任による第一の差押においてはこれを担当した執行吏代理Eは本件物件のほか布団だんす等をも差押え債権者の承諾により差押物件全部を債務者の保管に任せたのであるが、その差押を明白ならしめる方法として票目を施すことなく公示を施すに止めることとしたこと、右差押物件はお好焼営業を営む債務者A方店舗及びこれに続く四畳半の居間に存在したのであるが、その差押の公示として公示書を作成しこれを右居間の隅にあつた布団用半間押入れ(右布団だんす)の幅約三尺の開き戸の裏に貼付したのであること、次で控訴人の委任による第二の差押が為されたわけであるが、これを担当した執行吏代理Dは右公示書に気付かず、また立会人C(前記債務者の妻)からも右第一の差押の事実を告知せられなかつたので照査手続によることなく通常の方法により差押を執行したものであることが認められ、右認定に反する証人Cの原審における供述部分は前掲各証拠に照し措信せず他にこれを覆えすべき確証がない。 三尺の開き戸の裏に貼付したのであること、次で控訴人の委任による第二の差押が為されたわけであるが、これを担当した執行吏代理Dは右公示書に気付かず、また立会人C(前記債務者の妻)からも右第一の差押の事実を告知せられなかつたので照査手続によることなく通常の方法により差押を執行したものであることが認められ、右認定に反する証人Cの原審における供述部分は前掲各証拠に照し措信せず他にこれを覆えすべき確証がない。そうして右認定の事実によれば第一の差押につき為された前記公示の方法は、これを担当した前記執行吏代理において差押物件の大部分が債務者方の営業の用に供する物であることを配慮したのと後日強制執行が為される場合には必ず前記押入れの戸を開き公示書を発見するであろうから差押を明白ならしめるに充分であると考えて執つたものであること原審証人Eの証言により認めうるところであるけれども凡そ有体動産の差押は執行吏がその物を占有してこれを為すのが本則で、ただ債権者の承諾ある場合又は運搬に著しい困難のある場合は債務者の保管に任すことができるが、この場合には封印その他の方法で差押を明白にするときに限り差押の効力を生じるもので<要旨第一>あることは民事訴訟法第五六六条の規定によつて明らかなところ のある場合は債務者の保管に任すことができるが、この場合には封印その他の方法で差押を明白にするときに限り差押の効力を生じるもので<要旨第一>あることは民事訴訟法第五六六条の規定によつて明らかなところである。而して執行吏が右にいう差押を明白</要旨第一>にするに付いても債務者の利益名誉を尊重すべきことは当然で、故ら不必要に衆目にふれるような方法を執ることは失当ではあるが、本件のように店先、座敷等家屋内各所に存する物件を差押えながら押入の開戸の裏側にこれを公示するが如き本件物件についてはその差押を明白にせられたものというに足らない。即ち第一の差押はその差押の効力を生じなかつたものといわねばならず従て後に為された第二の差押は少くとも本件物件に関する限り照査手続によらなかつたことは違法でなくこれに基く競落により控訴人はその所有権を取得したものというべきである。そうして成立に争のない甲第二号証の二によると前記債務者Aは右競落により控訴人の所有に帰した本件物件を爾後控訴人のために保管することを約したことが認められるから、控訴人はその所有権取得を以て被控訴人に対抗することをうべく、よつてこの所有権に基き第一の差押の排除を求める控訴人の本訴請求は正当である。 手続によらなかつたことは違法でなくこれに基く競落により控訴人はその所有権を取得したものというべきである。そうして成立に争のない甲第二号証の二によると前記債務者Aは右競落により控訴人の所有に帰した本件物件を爾後控訴人のために保管することを約したことが認められるから、控訴人はその所有権取得を以て被控訴人に対抗することをうべく、よつてこの所有権に基き第一の差押の排除を求める控訴人の本訴請求は正当である。この点について被控訴人は、「民事訴訟法第五四九条に定める第三者の異議権は当該強制執行の開始前からその目的物につき所有権その他の権利あるときに限りこれを主張しうるのであつて、控訴人のように強制執行開始後に所有権を取得した者は右の異議を主張することができない。」というけれども、この異議はこれを主張する第三者がその物につき有する所有権その他その物の譲渡又は引渡を妨げる権利であつて執行債権者に対抗しうるものを有する限り、その権利取得が当該強制執行開始前であり従てその強制執行か当初から為さるべきでなか 三者がその物につき有する所有権その他その物の譲渡又は引渡を妨げる権利であつて執行債権者に対抗しうるものを有する限り、その権利取得が当該強制執行開始前であり従てその強制執行か当初から為さるべきでなかつた場合は勿論、当該強制執行開始後であり従てその強制執行が当初においてはこれを為すに支障がなかつたけれどもその後右権利取得により爾後強制執行が続行さるべきでないようになつた場合においても、これを主張しうるものと解するのが相当であるから、この点の被控訴人の主張はこれを採用することができず、<要旨第二>なお前記第一の差押は既に説明のとおり少くとも本件物件についてはその効力がないものではあるけれども、</要旨第二>なお差押の外形が存し差押債権者が差押の有効なことを主張する以上その物件につき所有権等を有する第三者は爾後の執行手続を排除するため民事訴訟法第五九四条の異議の訴を提起しうるものというべきである。以上説明のとおり控訴人の本訴請求は正当であるからこれを認容すべく、これと反対の見解の下に右請求を棄却した原判決は不当であつて本件控訴は理由があるから民事訴訟法第三八六条第九六条第八九条第五四九条第四項第五四八条第一、二項に則り主文のとおり判決する。(裁判長裁判官吉村正道裁判官竹内貞次裁判官大野千里)

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