- 1 -主文 被告は,原告に対し,1287万8263円及びうち132万1274円に対する平成19年3月1日から,うち1155万6989円に対する同年4月1日から各支払済みまでそれぞれ年6分の割合による金員を支払え。 原告のその余の本訴請求を棄却する。 被告の反訴請求を棄却する。 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 本訴被告は,原告に対し,1890万5531円及びうち725万0442円に対する平成19年3月1日から,うち1165万5089円に対する同年4月1日から各支払済みまでそれぞれ年6分の割合による金員を支払え。 反訴原告は,被告に対し,468万7229円及びこれに対する平成19年4月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 事案の要旨本訴は,バスの運行等を業とする原告が,旅行業等を営む被告からスキーツ,,アーバスの運行業務の委託を受け被告のためにバスを運行させたと主張して被告に対し,業務委託契約に基づき,平成18年12月から平成19年2月までの間の未払バス運行代金1890万5531円及びこれに対する各弁済期後の日(うち725万0442円については平成19年3月1日,うち1165- 2 -万5089円については同年4月1日)から各支払済みまでそれぞれ商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 反訴は,被告が,原告が被告の委託に基づくスキーツアーバスの運行業務の遂行中に起こした交通事故により2349万4660円相当の損害を被ったと主張して,原告に対し,業務委託契約の債務不履行に基づき,未払バス運行代金と相殺した の委託に基づくスキーツアーバスの運行業務の遂行中に起こした交通事故により2349万4660円相当の損害を被ったと主張して,原告に対し,業務委託契約の債務不履行に基づき,未払バス運行代金と相殺した後の残額468万7229円及びこれに対する損害発生後の日である平成19年4月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提となる事実(いずれも,当事者間に争いがないか,当事者が争うことを明らかにしない事実である)。 ( )当事者 原告は,バスの運行等を業とする会社であり,平成19年4月3日以前の商号は「a」である。 ,被告は,旅行業等を営む会社である。 ( )本件契約等 原告と被告は,平成18年12月,原告が被告の主催するスキーツアーのためにバスを運行させる旨の契約(以下「本件契約」という)を締結し,。 原告は,同月から平成19年2月まで,本件契約に基づき,被告のためにバスを運行させた。その代金等は,次のとおりである(ただし,平成19年2月分のうち9万8100円は,後記( )の本件バス便に係るものである。 。)期間代金額既払額残額5,809,4635,542,738266,725平成18年12月分8,983,7172,000,0006,983,717平成19年1月分11,655,089 11,655,089同年2月分18,905,531合計(毎月末日締め,翌月末日払い)- 3 -( )本件事故 平成19年2月18日,原告が被告のために運行させていたバスが,原告の従業員の居眠り運転により交通事故を起こし,乗務員1人が死亡し,乗客25人が負傷した(以下,この交通事故を「本件事故」といい,本件事故を起こしたバスの便及び車両を「本件バス便「本件 バスが,原告の従業員の居眠り運転により交通事故を起こし,乗務員1人が死亡し,乗客25人が負傷した(以下,この交通事故を「本件事故」といい,本件事故を起こしたバスの便及び車両を「本件バス便「本件車両」という。 」,。)( )相殺の意思表示 ,,,被告は平成19年6月12日の本件口頭弁論期日において原告に対し本件契約の債務不履行(本件事故)に基づく損害賠償請求債権2349万4660円と,本件契約に基づくバス運行代金支払債務(本訴請求金額1890万5531円から本件バス便に係る代金9万8100円を控除した1880万7431円)とを対当額で相殺するとの意思表示をした。 争点 ( )本件事故により被告が被った損害の額 ( )過失相殺の当否 争点に関する当事者の主張( )争点( )(本件事故により被告が被った損害の額)について (被告の主張)被告は,本件事故により,平成19年3月31日までに,次のとおり合計2349万4660円相当の損害を被った。そして,被告は,同年6月12日,原告に対し,上記損害賠償請求債権とバス運行代金支払債務とを対当額で相殺するとの意思表示をした(前記前提となる事実( ) 。したがって, 4 )被告の原告に対するバス運行代金支払債務は既に消滅しており,被告は,原,。 告に対し残額468万7229円の損害賠償請求債権を有することになるア被害者に対する返金59万5895円被告は,本件事故の被害者に対し,合計59万5895円の旅行代金を返還した。 - 4 -イ被害者に対する見舞金25万円被告は,本件事故の被害者に対し,合計25万円の見舞金を支払った。 ウ諸経費27万6704円被告は,本件事故の被害者等に対応するため,交通費,見舞品代等として合計27万6704円を 金25万円被告は,本件事故の被害者に対し,合計25万円の見舞金を支払った。 ウ諸経費27万6704円被告は,本件事故の被害者等に対応するため,交通費,見舞品代等として合計27万6704円を支出した。 エバス調達費用の差額69万4575円被告は,原告が本件事故を起こしたため,急遽,原告以外のバス会社に対し,本件契約で定められた代金より高い代金でバスの運行を依頼せざるを得なかった。その差額は,合計69万4575円である。 オバスランクアップ代金の返金45万0320円原告のバスには「らくらくシート」などのランク及び代金の高い座席が設けられていた。被告は,本件事故後,原告以外のバス会社にバスの運行を依頼したが「らくらくシート」などと同等の座席を手配することがで,きないこともあり,顧客に対し,合計45万0320円のバスランクアップ代金(座席を通常のものから「らくらくシート」等に変更するための代金)を返還した。 カバスランク維持費用258万8900円被告は「らくらくシート」などと同等の座席の利用を引き続き希望す,る顧客については,他の旅行会社に振替輸送を依頼し,その代金と顧客が被告に支払うべき旅行代金との差額合計258万8900円を負担した。 キキャンセルによる返金6万9830円被告は,本件事故を理由にキャンセル等を申し出た顧客に対し,合計6万9830円の旅行代金を返還した。 ク逸失利益1856万8436円被告の平成18年3月分のバススキーツアーの売上は,2億3348万5976円であったのに対し,平成19年3月分の売上は,1億4064- 5 -万3793円にとどまった。これは,本件事故により,被告の信用が低下したことや,被告が主催するバススキーツアーのパンフレットが大手旅行会社の店頭から撤去されたことによるもの 1億4064- 5 -万3793円にとどまった。これは,本件事故により,被告の信用が低下したことや,被告が主催するバススキーツアーのパンフレットが大手旅行会社の店頭から撤去されたことによるものであるから,差額の9284万2183円が,本件事故と相当因果関係のある減収になる。そして,被告のバススキーツアーの利益率は20パーセントを下らないから,被告は,本件事故により,1856万8436円の得べかりし利益を失ったことになる。 ケ合計2349万4660円(原告の主張)争う。 ( )争点( )(過失相殺の当否)について (原告の主張),,ア本件事故の主たる原因は原告の従業員であるAの居眠り運転にあるが本件事故が発生するに至った経緯をみると,被告にも相応の責任が認められるから,相当割合による過失相殺又はその類推適用をすべきである。 イ原告は,平成19年2月17日の夜から翌18日の朝にかけて,被告のために,長野から大阪まで定期便2台(運転手各2人)及び回送便(乗客を乗せない便)2台(運転手各1人)のバスを運行させる予定であった。 ところが,同月10日ころから,Bツアーが,原告に対し,上記回送便2台に乗客を乗せることにより,長野から大阪まで臨時便のバス2台を運行させるよう繰り返し要請してきた。 ウ原告は,長距離バスは通常2人の運転手が交代で運転することになっていることから,運転手が足りないとして,Bツアーの臨時便の運行要請を断っていたが,同月15日ころから,被告の従業員であるCも,原告に対し,Bツアーのために臨時便を運行させるよう要請するようになった。原告は,スキーツアーバスの売上の95パーセント以上を占める被告からの- 6 -要請であったため,これを断り切れず,Bツアーのために臨時便を運行させることとし,その結果, う要請するようになった。原告は,スキーツアーバスの売上の95パーセント以上を占める被告からの- 6 -要請であったため,これを断り切れず,Bツアーのために臨時便を運行させることとし,その結果,当初は運転手2人が乗車する予定であった本件車両(定期便)を,Aに1人で運転させることになったものである(本件バス便。 )エしたがって,Aが1人で長野から大阪まで本件車両を運転し,居眠り運転をしたことについては,被告も相応の責任を負うべきであり,相当割合による過失相殺又はその類推適用をすべきである。 オ被告は,Aが過労状態にあったことを指摘し,原告の労務管理に問題があったと主張する。しかしながら,仮に原告の労務管理に問題があったとしても,被告は,原告の運転手の労働環境を認識していたか,少なくとも容易に認識できたはずであるから,過失割合を決めるに当たって上記の点を考慮するのは相当でない。 (被告の主張)ア本件事故の発生について,被告に何らかの落ち度があったということはできないから,過失相殺又はその類推適用をする余地はない。 イ原告は,CがBツアーのために臨時便のバスを運行させるよう要請し,その結果,本件バス便の運転手が1人になったものであると主張するが,否認する。本件契約では,運転手を2人乗車させることになっていたにもかかわらず,原告は,Aに1人で本件車両を運転させ,その結果,居眠り運転により本件事故が発生したのであるから,本件事故の責任を専ら原告が負うべきことは当然である。 ウまた,Aが居眠り運転をした背景には,原告の労働条件が過酷であり,。 ,Aがほとんど休まずに働いていたことがあると考えられるこの点からも本件事故について全責任を負うべき立場にあるのは原告であり,被告に責任はないというべきである。原告は,仮に原告の労務管理に問題 。 ,Aがほとんど休まずに働いていたことがあると考えられるこの点からも本件事故について全責任を負うべき立場にあるのは原告であり,被告に責任はないというべきである。原告は,仮に原告の労務管理に問題があったとしても,被告もそのことを認識していたなどと主張するが,原告の運転- 7 -,,。 手の労働環境は原告内部の事柄であり被告が与り知るところではないエ以上のとおり,本件事故の原因は,原告の従業員であるAの居眠り運転であり,その背景には,原告の杜撰な労務管理があるものと認められるから,本件事故は,専ら原告の過失により生じたものというべきである。したがって,過失相殺又はその類推適用が認められる余地はない。 第3当裁判所の判断 争点( )(本件事故により被告が被った損害の額)について ( )本件事故の態様等 証拠(甲9ないし15,17ないし22,27)によれば,本件事故は,原告の従業員であるAが,平成19年2月17日午後5時20分ころ,本件車両を運転して長野県内の車庫を出発し,大阪方面へ帰るスキー客を乗せてその運転を継続し,翌18日午前5時25分ころ,大阪府吹田市内の府道2号線(大阪中央環状線)において,本件車両を時速約60キロメートルで走行させていた際,居眠り運転をし,本件車両を本線と側道との分離帯に衝突させ,次いで,中央分離帯にある大阪モノレールの支柱に衝突させて大破させたというものであり,その結果,A自身が重傷を負ったほか,乗務員1人が死亡し,乗客25人全員が重軽傷を負ったこと,本件事故は,新聞各紙で大きく報道されたことが認められる。そこで,このような本件事故の態様及び結果等を踏まえ,被告が被った損害について検討する。 ( )積極損害について(主張額492万6224円) ア被害者に対する返金(主張額59万 とが認められる。そこで,このような本件事故の態様及び結果等を踏まえ,被告が被った損害について検討する。 ( )積極損害について(主張額492万6224円) ア被害者に対する返金(主張額59万5895円)証拠(乙2,被告代表者)によれば,被告は,本件事故により負傷した,,,乗客25人に対し合計59万3700円の旅行代金を返還しそのため。 ,,振込手数料2195円を支出したことが認められるしたがって被告は合計59万5895円相当の損害を被ったものと認められる。 イ被害者に対する見舞金(主張額25万円)- 8 -証拠(乙2,被告代表者)によれば,被告は,本件事故により負傷した乗客25人に対し,損害を填補するための賠償金とは別に,それぞれ1万円の見舞金を支払ったことが認められる。スキーツアーを主催した旅行会社として,ツアー客が本件事故のような交通事故に遭遇して負傷した場合に見舞金を支払うことは通常のことであると考えられ,その金額(1人当たり1万円)も社会通念上相当な範囲内であると認められるから,本件事故により,被告は,合計25万円相当の損害を被ったものというべきである。 ウ諸経費(主張額27万6704円)証拠(乙4,被告代表者)によれば,被告は,本件事故により負傷した乗客の病院や自宅,警察署等を訪問するため,交通費及び見舞品代として合計16万2834円を支出し,同額相当の損害を被ったものと認められる。被告は,このほか,宿泊費や会議費等として合計11万3870円を支出したと主張するが,被告は,大阪市b区内に本店を置く会社であるから,大阪近郊の病院等を訪問するために社員が宿泊する必要があったとは認め難く,また,喫茶店等で会議を開く必要があったとも認め難いから,被告が主張する上記支出が,本件事故と相当因果関係のある であるから,大阪近郊の病院等を訪問するために社員が宿泊する必要があったとは認め難く,また,喫茶店等で会議を開く必要があったとも認め難いから,被告が主張する上記支出が,本件事故と相当因果関係のある損害に当たると認めることはできない。 エバス調達費用の差額(主張額69万4575円)証拠(甲1ないし4,乙5,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件事故があった平成19年2月18日から同年3月9日までの間,24回にわたり,原告以外のバス会社にバスの運行を委託し,代金合計516万4425円を支払ったこと,原告がこれらのバスを運行させた場合,代金は合計446万9850円であったことが認められる。したがって,被告は,差額である69万4575円相当の損害を被ったものと認めるのが相当である。 - 9 -この点につき,原告は,原告において代わりのバスを手配することが可,。 ,能であったから上記差額は損害に当たらないと主張するしかしながら本件事故の重大性等に照らすと,原告と被告との間の信頼関係は本件事故によって既に破壊されるに至っており,被告が原告以外のバス会社にバスの運行を委託したこともやむを得ないと認められるから,原告の上記主張を採用することはできない。 オバスランクアップ代金の返金(主張額45万0320円)証拠(甲1ないし4,乙3)及び弁論の全趣旨によれば,原告のバスには「らくらくシート「独立シート」などのランク及び代金の高い座席」,が設けられていたこと,被告は,本件事故後,原告以外のバス会社にバスの運行を委託したが「らくらくシート」などと同等の座席を手配できな,いこともあり,そのため,顧客160人に対し,合計44万8400円のバスランクアップ代金(座席を通常のものから「らくらくシート」などに変更するための代金)を シート」などと同等の座席を手配できな,いこともあり,そのため,顧客160人に対し,合計44万8400円のバスランクアップ代金(座席を通常のものから「らくらくシート」などに変更するための代金)を返還し,振込手数料1920円を支出したことが認められる。したがって,被告は,合計45万0320円相当の損害を被ったものと認められる。 カバスランク維持費用(主張額258万8900円)証拠(甲1ないし4,乙7,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件事故後「らくらくシート」などの利用を引き続き希望する,顧客357人のために,他の旅行会社に対し,同等の座席による振替輸送を依頼し,その代金と被告の旅行代金との差額合計258万8900円を負担したことが認められる。したがって,被告は,同額相当の損害を被ったものと認められる。 キキャンセルによる返金(主張額6万9830円)証拠(乙6)によれば,被告は,平成19年2月19日から同月21日までの間に本件事故を理由に旅行契約の解約を申し出た顧客3人に対し,- 10 -合計6万1200円の旅行代金を返還し,振込手数料630円を支出したこと,同月21日に出発予定であった顧客のために,出発地と目的地との間の往復のタクシー代金7580円を支払い,振込手数料420円を支出。 ,,したことが認められる本件事故の重大性等に照らすとこれらの支出は本件事故と相当因果関係があると認められるから,被告は合計6万9830円相当の損害を被ったものと認められる。 ク合計以上のとおり,被告は,合計481万2354円の積極損害を被ったものと認められる。 ( )消極損害について(主張額1856万8436円) ア証拠(乙1の1ないし5)によれば,平成15年から平成19年までにおける被告の毎年3月分のバススキ 積極損害を被ったものと認められる。 ( )消極損害について(主張額1856万8436円) ア証拠(乙1の1ないし5)によれば,平成15年から平成19年までにおける被告の毎年3月分のバススキーツアーの売上は,次のとおりであると認められる。 期間売上前年比平成15年3月4億2085万4829円平成16年3月3億4345万2862円81.6パーセント平成17年3月3億2025万0254円93.2パーセント平成18年3月2億3348万5976円72.9パーセント平成19年3月1億4064万3793円60.2パーセント上記認定のとおり,被告のバススキーツアーの売上は,本件事故前の数年間,前年比約93パーセントないし73パーセントと一貫して減少傾向にあったと認められる上,証拠(甲9,13,被告代表者)によれば,暖冬や,スキーの人気の低下,道路整備が進み自家用車を利用する者が増えたことなどにより,バススキーツアーの顧客が一般的にも減少する傾向にあったものと認められることなども考慮すると,本件事故がなかったとしても,被告の平成19年3月分のバススキーツアーの売上は,平成18年- 11 -3月分の売上の82.5パーセント(平成16年3月分,平成17年3月分,平成18年3月分の各前年比の平均値)である1億9262万5930円にとどまっていたものと認めるのが相当である。 0.8160.9320.7290.825(++)÷3≒233,485,9760.825192,625,930×=したがって,本件事故に起因する減収は,上記金額と実際の売上との差額である5198万2137円ということになる。 192,625,930140,643,79351,982,137-=イそして,証拠(甲23,24,3 する減収は,上記金額と実際の売上との差額である5198万2137円ということになる。 192,625,930140,643,79351,982,137-=イそして,証拠(甲23,24,30,31,証人D,被告代表者)によれば,バススキーツアーの代金を設定する際には,バス,ホテル及びリフト等の費用合計額に20パーセント程度の金額を上乗せした金額を代金とするのが通常であり,広告費用や旅行代理店に支払う手数料などを差し引くと,旅行会社の最終的な利益は売上の3パーセントないし8パーセント程度になるのが一般的であること,被告も同様の方法により旅行代金を決めていたこと,社団法人日本旅行業協会の調査において,第一種旅行業者(国内旅行及び海外旅行の主催及び販売を含むすべての旅行業を行うことができる業者)111社の営業利益率が平均4.1パーセントであり,旅行業取扱実績等報告書を提出している526社のそれが平均4.7パーセントであるとの結果が示されていることが認められる。これらの事情に照らせば,被告が本件事故により失った得べかりし利益は,上記減収額の5パーセントである259万9106円であると認めるのが相当である。 51,982,1370.052,599,106×=ウ被告は,被告のバススキーツアーの利益率は20パーセントを下らないから,減収額の20パーセントが損害であると主張する。しかしながら,被告代表者自身,被告の利益率が約20ないし30パーセントであるというのは,パンフレット代や代理店手数料などの経費を考慮していない数字- 12 -であると供述しているところ,逸失利益を算定するに当たっては,これらの経費も控除するのが相当であるから,被告の上記主張を採用することはできない。 ( )よって,被告は,本件事故により,合計741万1 あると供述しているところ,逸失利益を算定するに当たっては,これらの経費も控除するのが相当であるから,被告の上記主張を採用することはできない。 ( )よって,被告は,本件事故により,合計741万1460円相当の損害 を被ったものと認めるのが相当である。 争点( )(過失相殺の当否)について ( )認定事実 前記前提となる事実並びに証拠(甲1,25ないし27,証人E,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。 ア原告と被告は,平成15年ころ,被告が主催するスキーツアーのバスが故障した際,原告が代わりのバスを運行させたことから取引をするようになり,平成18年12月から平成19年3月にかけては,本件契約に基づき,原告が被告のために,毎日2台のバスを大阪・長野間で運行させることになっていた。原告は,被告のほか,Bツアーのために臨時便のバスを運行させることもあったが,原告の冬季の売上の95パーセント程度は,被告との取引によるものであった。 イ原告は,被告から,同年2月18日の夜から翌19日の朝にかけて臨時便のバス2台を大阪から長野まで運行させるよう委託を受けたことから,同月17日から翌18日にかけて,長野から大阪まで,定期便2台(運転手各2人)のほか,回送便2台(運転手各1人)のバスを運行させる予定であった。 ウ同月上旬ころ,Bツアーが,原告の専務取締役であり,旅行会社との交渉を担当していたF(原告の現代表者)に対し,同月17日の夜に長野か。 ,ら大阪まで臨時便のバス2台を運行させるよう要請してきたこれに対しFは,長距離バスは通常2人の運転手が交代で運転することになっている- 13 -ところ(甲16参照,原告においては,同日の夜には上記のとおりバス)4台に対して運 させるよう要請してきたこれに対しFは,長距離バスは通常2人の運転手が交代で運転することになっている- 13 -ところ(甲16参照,原告においては,同日の夜には上記のとおりバス)4台に対して運転手を6人しか手配していなかったことから,運転手が足りないとしてこの要請を断った。しかし,BツアーはFに対し,臨時便の運行要請を繰り返した。 エバススキーツアーを主催する旅行業者間では,手配しているバスの台数や座席に余裕があるかどうかなどについて日常的に情報を交換し,座席が不足する場合には,他の業者に振替輸送を依頼するのが一般的であった。 そのようなことから,被告の従業員であるCも,BツアーとFとの上記交渉経過を把握しており,Fに対し「Bツアーは,原告が回送便を2台運,行させることを知ったので,これらに乗客を乗せるよう要求すると思いま。」。 ,,,,すと伝えるなどしたそして実際Bツアーの担当者はFに対し「大阪に向かう回送便が2台あることは分かっている。どうせバスを走らせるなら,客を乗せて走っても同じことではないか」などと言って,被。 告のために長野から回送するバス2台にBツアーの乗客を乗せることによ,,,り臨時便として運行させるよう要請するようになったがそれでもなおFは,運転手が足りないことを理由にこの要請を断っていた。 オところが,同月15日ころになると,Bツアーだけでなく,Cも,Fに対し「Bの臨時増発便の手配ができれば,自分のところのあぶれている,客を乗せることができるので助かる「最後はその方法しかないでしょ。」,う」などと言って,Bツアーのために臨時便を運行させるよう要請する。 ようになり,併せて,途中のサービスエリア等で交代することにより3人で2台のバスを運転する方法,あるいは,大型二種の運転免 。」,う」などと言って,Bツアーのために臨時便を運行させるよう要請する。 ようになり,併せて,途中のサービスエリア等で交代することにより3人で2台のバスを運転する方法,あるいは,大型二種の運転免許を持たない乗務員を乗車させて運転手2人の体裁を整えた上,1人で全行程を運転する方法を提案するに至った。 Cは,Fに数回程度電話をかけたほか,原告の当時の代表取締役であったEに対しても,電話で同様の要請をした。 - 14 -カE及びFは,当初はCの上記要請を断っていたが,冬季の売上の大部分を占める被告の要請を断ることはできないなどと考え,Bツアーのために臨時便のバス2台を運行させることとし,その上で,従業員に負担をかけないため,E及びその子であるAがそれぞれ1人で全行程を運転することにして,これを前提に次のとおり運転手の配置換えをした。その結果,被告の定期便の運転手が1人になることについては,Cも了承していた。 (当初の予定)定期便1G,F定期便2A,H回送便1E回送便2I(新たな予定)定期便1G,H定期便2(本件バス便)A臨時便1E臨時便2I,Fキ上記配置換えの結果,本件バス便を1人で担当することになったAは,同月17日午後5時20分ころ,本件車両を運転して長野県内の車庫を出発し,スキー場7か所で乗客を乗せた後,京都を経て大阪まで運転を継続し,翌18日午前5時25分ころ,大阪府吹田市内で居眠り運転をした結果,本件事故を起こした。 ク原告におけるAの勤務状況は,同年1月18日から本件事故があった同年2月18日までの間,次のとおりであり,Aは,同年1月30日の夜から同年2月18日まで,20日間連続で勤務していた。また,Aのこのような勤務状況は,平成18年12月から平成19年1月17日までの間も同様であった の間,次のとおりであり,Aは,同年1月30日の夜から同年2月18日まで,20日間連続で勤務していた。また,Aのこのような勤務状況は,平成18年12月から平成19年1月17日までの間も同様であった。 - 15 -勤務日28日休日3日拘束時間405時間20分(1日平均14時間28分)労働時間326時間50分(1日平均11時間40分)運転時間173時間30分(1日平均6時間11分)( )過失割合について 本件事故は,本件車両の運転手であったAの居眠り運転が原因で発生したものであるところ,Aが本件事故前日(平成19年2月17日)の午後5時20分ころから本件事故を起こした同月18日午前5時25分ころまで,本件車両を1人で運転していたことからすると,本件車両の運転が夜間長距離に及ぶことが事前に明らかであったにもかかわらず,運転手の交代要員を置いていなかったことが,上記居眠り運転を招いた大きな原因であったというべきである。そして,前記( )で認定したとおり,原告が本件車両をA1人 に運転させることになったのは,被告の従業員であるCからBツアーのために臨時便を運行させるよう求められ,これを断り切れずに運転手の配置換えをしたためであり,その結果被告のための定期便(本件バス便)の運転手の交代要員がなくなることは,Cも了承していたものである。そうすると,原告が本件車両をA1人に運転させ,その結果,Aが居眠り運転をして本件事故を起こしたことについては,被告にも相当程度の責任があるものといわざるを得ない。 もっとも,本件事故の直接の原因は,原告の従業員であるAの居眠り運転であるから,本件事故について第一次的な責任を負うのは,あくまで原告で。 ,,,あるまた前記( )の認定事実によればAが居眠り運転をした背景には 原告 原告の従業員であるAの居眠り運転であるから,本件事故について第一次的な責任を負うのは,あくまで原告で。 ,,,あるまた前記( )の認定事実によればAが居眠り運転をした背景には 原告がAに対し,平成18年12月から本件事故当日まで2か月以上にわたり,毎日のようにバスの長距離運転を含む長時間の労働をさせており,そのため,Aが日常的に相当な過労状態にあったという,原告の労務管理上の問- 16 -題があったものと認められるから,Aの居眠り運転(本件事故)の一因がCの上記要請にあるからといって,本件事故発生に対する被告の寄与の程度をさほど重視することは相当でない。さらに,臨時便の運行を原告に強く求めていたのはあくまでBツアーであって,Cは,F及びEに対し,電話で数回程度,臨時便の運行要請をしただけにすぎないし,F及びEが真にバスの運行の安全を最優先に考えるのであれば,Bツアー及びCの要請を断るのが相当であったというべきである。 これらの諸事情のほか,本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告が被った損害額につき,2割の過失相殺をするのが相当である。 ( ) 結論 よって,被告は,原告に対し,本件事故について,前記認定の損害額741万1460円からその2割を控除した592万9168円の損害賠償請求債権を取得したことになる。 相殺前記前提となる事実( )のとおり,被告は,平成19年6月12日の本件口 頭弁論期日において,原告に対し,本件契約の債務不履行に基づく損害賠償請求債権と本件契約に基づくバス運行代金支払債務とを対当額で相殺するとの意思表示をした。この意思表示は,被告が負っていたバス運行代金支払債務のうち履行期の早いものから順に相殺の対象とする趣旨を含むものと解されるところ,被告が有していた損害賠償請求債権の額は,上記 との意思表示をした。この意思表示は,被告が負っていたバス運行代金支払債務のうち履行期の早いものから順に相殺の対象とする趣旨を含むものと解されるところ,被告が有していた損害賠償請求債権の額は,上記のとおり592万9168円であり,他方,被告が負っていたバス運行代金支払債務の額は,平成18年12月分が26万6725円,平成19年1月分が698万3717円であるから(前記前提となる事実( ) ,相殺の結果,被告が有していた損害賠償 2 )請求債権全額と,被告が負っていたバス運行代金支払債務(原告の本訴請求債権)のうち平成18年12月分の全部(26万6725円)及び平成19年1月分の一部566万2443円が消滅したことになる。よって,原告が被告に- 17 -請求することができるバス運行代金は,同月分の残額132万1274円及び同年2月分のうち1155万6989円(本件契約に基づくバス運行代金は,原告がバスの運行を完了させて初めて請求することができるものと解されるから,原告は被告に対し,同月分のうち本件バス便に係る代金9万8100円を請求することはできないと認めるのが相当である)の合計1287万826。 3円ということになる。 以上によれば,原告の本訴請求は,未払代金1287万8263円及びうち平成19年1月分の132万1274円に対する弁済期の翌日である同年3月1日から,うち同年2月分の1155万6989円に対する弁済期の翌日である同年4月1日から各支払済みまでそれぞれ商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。また,被告の反訴請求は全部理由がない。よって,本訴請求を上記の限度で認容し,その余の本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第3 の余は理由がない。また,被告の反訴請求は全部理由がない。よって,本訴請求を上記の限度で認容し,その余の本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第3民事部裁判長裁判官石井寛明裁判官内野俊夫裁判官古庄順
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