主文 1 処分行政庁が原告に対して平成29年1月28日付けでした食品衛生法55条1項に基づく平成29年1月28日から平成29年2月10日までの14日間の営業停止処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,御坊市の設置する「御坊市立給食センター」(以下「本件センター」という。)において,御坊市から委託を受けて食品衛生法52条1項の飲食店営業の許可(以下「本件許可」という。)に基づき給食用副食の調理等の業務(以下「本件業務」という。)を行う原告が,処分行政庁から,同法6条違反を理由とする同法55条1項の営業停止処分(平成29年1月28日から同年2月10日までの14日間。以下「本件処分」という。)を受けたことにつき,本件処分は違法であると主張して,被告を相手として,本件処分の取消しを求めた事案である。 1 関係法令等の定め食品衛生法の定め等ア同法1条は,同法の目的について,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図ることである旨規定する。 イ同法6条3号は,病原微生物により汚染され,又はその疑いがあり,人の健康を損なうおそれがある食品は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供する ために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない旨規定する。 ウ同法52条1項,51条は,飲食店営業を営もうとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定する。また,同法55条1項は,都道府県知事 規定する。 ウ同法52条1項,51条は,飲食店営業を営もうとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定する。また,同法55条1項は,都道府県知事は,営業者が上記イの規定に違反した場合においては,上記許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる旨規定する。(ただし,後記2イのとおり,上記各権限は処分行政庁に委任されている。)エ同法62条3項は,同法55条1項の規定は,営業以外の場合で学校,病院その他の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供与する場合に準用する旨規定する。 ⑵ 処分基準の定め被告は,食品衛生法等の事務を円滑に処理するために必要な事項を定める要綱として,「食品衛生事務処理要綱」(平成12年4月1日施行。乙18。 以下「本件要綱」という。)を定めているところ,本件要綱13条及び別表第1は,同法に基づく不利益処分に関する処分基準(以下「本件処分基準」という。)を,別紙1のとおり定めている。 ⑶ 学校給食衛生管理基準について文部科学大臣は,学校給食法9条1項に基づき,学校給食の適切な衛生管理を図る上で必要な事項について維持されることが望ましい基準として,「学校給食衛生管理基準」(平成21年第64号。甲8)を定めている。そして,学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は,同基準に照らして適切な衛生管理に努めるものとされている(同条2項)。 学校給食衛生管理基準には,「食中毒の集団発生の際の措置」の一つとして,「学校医及び保健所等と相談の上,医療機関を受診させるとともに,給 食の停止,当該児童生徒の出席停止及び必要に応じて臨時休業,消毒その他の事後措置の計画を立て,これに基づいて食中毒の拡大防止の 校医及び保健所等と相談の上,医療機関を受診させるとともに,給 食の停止,当該児童生徒の出席停止及び必要に応じて臨時休業,消毒その他の事後措置の計画を立て,これに基づいて食中毒の拡大防止の措置を講じること」が挙げられている。 ⑷ 食中毒処理要領厚生労働省は,食中毒の適正な処理を図ることを目的として,食中毒処理要領(昭和39年7月13日付け環発第214号別添。乙4)を策定し,各都道府県知事等に通知しているところ,食中毒事件に係る措置に関する部分は,別紙2のとおりである。 2 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)当事者等ア原告は,学校,病院,寮,保養施設,社会福祉施設等の給食業務の請負等を業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 イ処分行政庁は,被告が地域保健法5条1項に基づき設置した保健所の所長であり,和歌山県知事から食品衛生法52条による飲食店営業許可及び同法55条1項によるその停止処分等の事務の委任を受けている(和歌山県地方機関事務委任規則(昭和63年和歌山県規則第20号。乙17)4条18号キ)。 ⑵ 業務委託契約等ア御坊市は,学校給食法6条にいう学校給食の共同調理場として,「御坊市立給食センター」(本件センター)を設置している(甲68)。 イ処分行政庁は,平成24年8月1日,原告に対し,食品衛生法52条1項に基づき,営業所の名称を「御坊市立給食センター」,営業の種類を「飲食店営業」とする営業許可をした(本件許可。甲5)。 ウ御坊市と原告は,平成24年8月1日,業務委託期間を同日から平成27年7月31日までとして,御坊市立の幼稚園,小中学校等に係る「給食用副食の調理・配缶,コンテナ及び配送車輌への積込みとその配送並びに 給食後の食器・備品の回収・洗浄・消毒・ 日から平成27年7月31日までとして,御坊市立の幼稚園,小中学校等に係る「給食用副食の調理・配缶,コンテナ及び配送車輌への積込みとその配送並びに 給食後の食器・備品の回収・洗浄・消毒・整理整頓」の業務委託契約を締結し(甲2),さらに,平成27年8月1日,業務委託期間を同日から平成30年7月31日までとする同内容の業務委託契約を締結した(甲3。以下,両契約を特に区別せず,「本件契約」という。)。 本件契約に関して作成された基本契約書(甲2,3。以下「本件契約書」という。)及び業務委託仕様書(甲4。以下「本件仕様書」という。)では,原告は,本件センターにおいて,御坊市が作成する献立表に基づいて,御坊市の提供する食材を使用して,副食を調理するものとされており(本件契約書5条,本件仕様書5⑨),また,「食材の契約・購入」については御坊市の業務と,「食材の衛生管理」については原告の業務とする旨,それぞれ定められている(本件仕様書別表1)。 食中毒の発生及び本件処分についてア処分行政庁は,平成29年1月26日(木)午後10時頃,御坊市内の医療機関から,御坊市内の小中学生十数名が,嘔吐,下痢等の症状を呈して受診したとの連絡を受け,調査を開始した(甲11)。 イ御坊市教育委員会は,平成29年1月27日(金),原告に対し,同月30日(月)から同年2月3日(金)まで,本件センターにおける給食の調理,提供を停止する旨伝え,原告はこの前提で対応を準備した(甲58)。 ウ処分行政庁は,平成29年1月28日(土),原告に対し,食品衛生法55条1項に基づき,同日から同年2月10日(金)まで14日間の営業停止を命ずる処分をした(甲1。本件処分)。 本件処分に係る営業停止命令書(以下「本件書面」という。)には,「食品衛生法(昭和22 条1項に基づき,同日から同年2月10日(金)まで14日間の営業停止を命ずる処分をした(甲1。本件処分)。 本件処分に係る営業停止命令書(以下「本件書面」という。)には,「食品衛生法(昭和22年法律第233号)第6条の違反により同法第55条の規定に基づき,平成29年1月28日から平成29年2月10日まで14日間営業の停止を命ずる」と記載されているものの,それ以外に,本件処分の内容を説明する記載はない。 さらに,被告は,平成29年1月28日,記者会見を開き,御坊市立の小中学校等において,本件センターが同月25日に調理した給食(塩ちゃんこ,磯和え,ご飯,牛乳)によるノロウイルス集団食中毒(以下「本件食中毒」という。)が発生したため,原告に本件処分をした旨発表した(甲11)。 本件処分後の経過ア御坊保健所は,平成29年2月6日,本件食中毒の原因食品は磯和えであり,その汚染経路については,特定には至らなかったが,「従業員の手指に係る汚染」及び「加熱後の工程における使用する機器の洗浄不足に係る汚染」が強く疑われた旨発表した。同日時点における御坊保健所の調査結果によれば,本件食中毒の患者数は750名以上である。(以上,甲6)なお,磯和えの調理に関し,原告は,本件センターにおいて,ホウレンソウとモヤシ及び焼きちくわを蒸した後,調味料とキザミのりを加えて混ぜ合わせ,クラスごとの食缶に分けて配送するという作業を行ったのであるが(甲13,18),上記キザミのり自体は,御坊市が株式会社東海屋(以下「東海屋」という。)から調達したものであった(甲20)。 イ原告の担当者は,平成29年2月7日,御坊保健所において,本件食中毒に係る調査結果について説明を受け,さらに,食中毒事故再発防止策について報告した(甲58)。 したものであった(甲20)。 イ原告の担当者は,平成29年2月7日,御坊保健所において,本件食中毒に係る調査結果について説明を受け,さらに,食中毒事故再発防止策について報告した(甲58)。 ウ御坊市教育委員会は,原告に対し,平成29年2月16日付けで,以下の理由を挙げて,本件契約に基づく副食の調理等の受託を継続するよう依頼する書面を発出した(甲7)。 原告に対する営業停止命令は,被害拡大防止を図るため,早急に現場を保存し,原因追究並びに感染経路を特定する必要性から,緊急避難的に行われたものであり,不正又は不誠実な行為による一般的な法令違反に対するものではない。 磯和えからノロウイルスが検出されたが,感染経路については,管轄保健所によるふき取り検査,調理工程の確認,調理員の聞き取り調査,原材料と検食の調査,一部を除いた食材の検査を実施したものの,特定できなかった。 衛生管理について,原告の体調不良者の管理及び調理作業に関する工程管理については,特段の不備は認められなかった。 エ東京都は,平成29年2月28日,東京都立川市学校給食共同調理場が調理・提供した給食を原因とするノロウイルスによる食中毒について,当該給食に東海屋製造のキザミのりが使用されていたところ,仕入れ先に保管されていた同じ賞味期限の未開封製品の一部からノロウイルスが検出され,その遺伝子配列と,患者のふん便等から検出されたノロウイルスの遺伝子配列とが一致した旨発表した(甲14)。 オ大阪市は,平成29年3月5日頃,本件食中毒のほか,東京都立川市及び東京都小平市の小学校などで発生したノロウイルスによる集団食中毒の原因は,東海屋が提供したキザミのりであるとして,東海屋に対し,食品衛生法に基づく営業禁止処分をし,さらに商品の回収を命じた。上記判 び東京都小平市の小学校などで発生したノロウイルスによる集団食中毒の原因は,東海屋が提供したキザミのりであるとして,東海屋に対し,食品衛生法に基づく営業禁止処分をし,さらに商品の回収を命じた。上記判断の根拠としては,御坊市を含む各市の患者から検出されたノロウイルスの遺伝子型と,東海屋の加工所の裁断機などに付着していた同遺伝子型が一致したこと等が指摘されている。(以上について,甲15,18,61,62)なお,本件処分に関し,平成29年1月25日の調理に供された開封済みの原材料(キザミのりを含む。)は,御坊保健所の指示により廃棄されたため,平成29年2月28日の時点では本件センターに単独では保管されておらず,キザミのりだけの検査は実施されていない(甲6,58,乙2)。 カ東海屋は,原告に対し,平成29年4月5日付けで,本件食中毒の原因 は,キザミのりに付着していたノロウイルスであり,出荷前の裁断・梱包過程においてノロウイルスが付着したものと考えられるとして,深くお詫びする旨の顛末書(甲20)と,東海屋が被害児童,被害教職員等に対する補償の最終的な責任を負うことを自認する報告書(甲21)を提出した。 本件処分が解除されていないこと食中毒処理要領(乙4)には,食中毒に関して営業者が取るべき措置について,当初危険の範囲が不明瞭であったものが後に明確になっていく場合を念頭に置いて,関係営業者に与える影響はなるべく少なくするよう十分注意しなければならないとして,不必要であった制限は順次解除(法的には撤回処分と理解できる。)し,必要な部分のみに縮小していくことが必要であるとしている(別紙2)。しかるところ,被告は,現時点においても,本件処分を解除していない(弁論の全趣旨)。 審査請求及び訴訟提起等 きる。)し,必要な部分のみに縮小していくことが必要であるとしている(別紙2)。しかるところ,被告は,現時点においても,本件処分を解除していない(弁論の全趣旨)。 審査請求及び訴訟提起等ア原告は,平成29年3月3日,本件処分について審査請求を行った。 なお,被告は,本件訴訟の提起後である同年5月26日,上記審査請求を却下した。(以上,乙13,19②)イ原告は,平成29年5月2日,本件処分の取消訴訟を提起するとともに,同月19日,本件処分の執行停止を申し立てた(当庁平成29年(行ク)第2号,顕著な事実)。 ウ当裁判所は,平成29年9月28日,上記執行停止の申立てについて,本案事件の第1審判決言渡し後60日が経過する日まで本件処分の効力を停止し,その余の申立てを却下する旨決定した(顕著な事実)。 3 本件の争点 訴えの利益・・・争点1 本件処分の違法性・・・争点2 4 争点に係る当事者の主張 争点1について(原告の主張)本件処分による営業停止期間は経過したものの,以下のとおり,なお不利益が残存するから,訴えの利益は認められる。 ア本件処分基準によれば,本件処分後1年間は,後行処分があった場合,加重された処分を受けることになる。 イ各自治体は,指名競争入札に関する要綱等において,食品衛生法違反又は「不正行為又は不誠実な行為」を資格停止事由等と定めている。 しかるところ,原告は,本件処分を受けた結果,22自治体(地方公営企業も含む。以下「本件各自治体」という。)から指名停止処分,入札参加資格停止処分を受け,各停止期間が満了した後も,次の不利益が残っている。 本件各自治体が定める審査基準,募集要項等では,過去3年又は5年の間に食品衛 各自治体」という。)から指名停止処分,入札参加資格停止処分を受け,各停止期間が満了した後も,次の不利益が残っている。 本件各自治体が定める審査基準,募集要項等では,過去3年又は5年の間に食品衛生法違反又は「不正行為又は不誠実な行為」等があった者は,指名競争入札の資格要件を満たさない者として扱われている。 したがって,原告に対する指名停止処分等は,3年間又は5年間の指名停止処分等と何ら変わらない。 そして,指名停止処分ないし入札参加資格停止処分に処分性が認められると解されることに照らすと,かかる不利益は,訴えの利益を根拠付けるというべきである。 自治体によっては,今後一定の期間内に,指名停止処分ないし入札参加資格停止処分があった場合,加重された処分を受けることになる。 ウ一般競争入札において,各自治体の募集要項では,地方自治法施行令167条の4第2項1号の事由を欠格事由としており,また,過去5年間(又は過去3年間)食品衛生法の営業停止処分を受けていないことを同施行令167条の5及び167条の5の2の積極的資格制限として定めるのが通例である。なお,指名競争入札においても同様である(同施行令167条 の11)。 エ学校給食の受託契約は,随意契約で行われることも少なくないが,公募型プロポーザル方式により行われるため,実質的には制限付指名競争入札と異なるところはない。そして,全国のほぼ全ての公募型プロポーザル方式による公募条件では,過去5年間(又は過去3年間)食品衛生法の営業停止処分を受けていないこと等が応募・提案の資格要件とされている。 オ上記ウ,エに関し,申立代理人が調査した範囲では,平成29年7月27日時点において,63か所の自治体において,一般競争入札,指名競争入札,公募型プロポーザル又は随意契約によっ 件とされている。 オ上記ウ,エに関し,申立代理人が調査した範囲では,平成29年7月27日時点において,63か所の自治体において,一般競争入札,指名競争入札,公募型プロポーザル又は随意契約によって給食調理業務委託契約を締結するに当たっては,当該事業者が過去3年間又は5年間程度の一定期間食品衛生法による営業停止処分を受けていないことを申込要件としていた(甲103)。 (被告の主張)争う。営業停止期間の経過により,訴えの利益は失われた。 ア本件要綱別表第1(本件処分基準)は,上段において,食品衛生法各条に掲げるような食品又は添加物を販売することを禁止し,同時に販売に至る前の一連の行為をも禁止する規定の違反に対する処分について定めている。これらは違反発見時に健康被害は生じていないが,今後人の健康を損なうおそれのあることとなる可能性が強いものとして,その違法状態を排除し,適法状態へ回復することを目的として処分内容を定めている。なお,加重規定があるのは,1年以内に再び同じ違反を繰り返すことを故意とみなしているためである。 他方,現に健康被害が生じている「食中毒事件による処分」については,直ちにその拡大防止のため必要にして十分な措置を講じなければならないことから,本件処分基準は下段において,別に処分基準を定めているものである。そして,「食中毒事件による処分」については,再度の違反につい ての記載はなく,加重規定は設けていない。 本件処分は食中毒事件による処分であるから,本件処分基準を理由に訴えの利益を根拠付けることはできない。 イ各地方公共団体の入札,契約の基準については個々の地方公共団体が定めているものであり,当該入札,契約の可否については,各地方公共団体が裁量的な判断をなすべきものである。 本件処 きない。 イ各地方公共団体の入札,契約の基準については個々の地方公共団体が定めているものであり,当該入札,契約の可否については,各地方公共団体が裁量的な判断をなすべきものである。 本件処分は,他の地方公共団体等の給食調理業務への入札参加等を制限する目的で行ったものではない。 本件処分によって,原告が入札・応募資格等の制限を受けるとしても,それは行政処分がもたらす名誉・信用等の損害で,事実上の効果に過ぎず,これらは回復すべき法律上の利益には当たらない。 なお,食品衛生法上は,営業者が行政処分の結果被った損失について損失補償をすべき規定は設けられていない。すなわち,食品衛生法の規定に違反しているにもかかわらず,営業者が財産権を行使することは,食品衛生上有害であるから,これを制限することが公共の福祉に適合するとの法的判断が同法上示されているものと解することができる。 以上によれば,各地方公共団体の入札,契約に関する不利益を理由に訴えの利益を根拠付けることはできない。 ウ小括よって,本件訴えは却下すべきである。 争点2について(原告の主張)ア本件処分が処分行政庁の裁量権を逸脱するものであること以下のとおり,本件処分は必要性がないのみならず,著しく相当性を欠くものであって,処分行政庁の裁量権を逸脱したものである。 原告に食品衛生法6条に違反する行為はないこと 本件契約書及び本件仕様書に定められているとおり,原告は御坊市の調達した食材を用いて調理することとされているところ,本件食中毒の原因は,御坊市がその責任の下に調達した食材そのものにあり,原告が本件契約に基づいて行うべき業務の範囲外に原因があるということになる(原告が,キザミのりを加熱処理せずに磯和えに投入 ろ,本件食中毒の原因は,御坊市がその責任の下に調達した食材そのものにあり,原告が本件契約に基づいて行うべき業務の範囲外に原因があるということになる(原告が,キザミのりを加熱処理せずに磯和えに投入した行為は,御坊市の指示に従ったに過ぎない。)。 したがって,原告がキザミのりを加熱処理せずに磯和えに投入した行為は,食品衛生法6条3号所定の行為に該当しないと解すべきである。 原告には過失がないこと食品衛生法6条違反を理由に同法55条に基づき事業者に行政処分を課すためには,当該違反が故意又は過失によることを要するものと解される。 しかるところ,原告は,本件契約書及び本件仕様書に定められているとおり,御坊市の指示に従ってキザミノリを加熱処理せずに磯和えに投入したにすぎないのであるから,仮に原告の行為が客観的には同法6条3号に該当するとしても,原告に過失はなく,原告に営業停止処分を課すことは認められない。 本件処分は必要性がないことa 御坊市教育委員会は,本件食中毒事件の発生後,学校給食衛生管理基準に基づき,自らの判断において,以後の本件センターにおける給食の調理・提供の停止を決定し,原告にもその旨指示していた。そのため,本件センターにおける一部の業務(副食の調理)のみを受託している原告により児童等に副食が提供される事態は事実上あり得なかった。 したがって,本件処分をするにつき,緊急性・公益性の観点からの必要性は全くなかった。 b 調理受託事業者に対する営業停止処分は,当該事業者に著しい事業上の不利益・損失を負わせるものであるから,事故原因の調査によって,当該事業者に帰責事由があることが判明した後になされるべきである。このことは,東京23区ほか多くの自治体が定める不利益処分 しい事業上の不利益・損失を負わせるものであるから,事故原因の調査によって,当該事業者に帰責事由があることが判明した後になされるべきである。このことは,東京23区ほか多くの自治体が定める不利益処分基準からも明らかである。 しかるに,本件処分は,原告に本件食中毒について何らかの帰責事由があるかどうかの調査途中の極めて不十分な調査状況下で,本件食中毒の原因について原告が実施した作業過程内にあるとの誤った事実認識に基づいてされたものである。 このような段階では,仮に処分行政庁が,給食の提供を停止する必要があったとしても,原告に対する営業停止処分ではなく,食品衛生法62条3項により準用される同法55条1項に基づき,集団給食施設の運営主体(御坊市教育委員会所管の本件センター)に対する食事提供停止命令で対応すべきであった。 イ理由附記の要件を欠くこと本件書面には,本件処分の根拠条文の記載しかなく,当該法条の適用の原因となった具体的な事実関係及び事実に対する法条の適用関係の摘示が欠如しており,処分理由の提示は全くされていないというべきである。 被告は,行政手続法14条1項ただし書に該当する旨主張する。 しかし,行政手続法14条1項ただし書の場合においては処分後相当の期間内に,同項の理由を示さなければならない(同条2項)ところ,被告は,本件書面の交付時に,違反理由や食中毒の原因施設と断定した理由を丁寧に説明した旨主張しているのであるから,本件処分発令直後でも,処分理由を示すことができたことは明らかである。 したがって,同条2項の求める「処分後相当の期間内」に処分理由が 示されたとはいえず,本件処分について理由附記の要件を欠いている。 被告は,口頭による処分理由の説明をし,原告も処分理由を十分に理 同条2項の求める「処分後相当の期間内」に処分理由が 示されたとはいえず,本件処分について理由附記の要件を欠いている。 被告は,口頭による処分理由の説明をし,原告も処分理由を十分に理解していた旨主張するが,行政手続法14条3項は,「不利益処分を書面でするときは,前二項の理由(不利益処分の理由)は,書面により示さなければならない。」と規定しており,本件処分は書面でされているのであるから処分理由の提示も書面でしなければならないのであって,被告の主張する点は本件手続の違法性に影響を及ぼす事情ではない。 ウ結論以上によれば,本件処分は違法である。 (被告の主張)ア原告に食品衛生法6条違反があること原告の主張は,否認ないし争う。原告がキザミのりを磯和えに混和(投入)した行為は,食品衛生法6条に規定する使用,調理に該当する。 イ故意又は過失が要件とならないこと原告の主張は,争う。食品衛生法の目的に照らせば,食中毒事件の疑いが強いと認められる場合,行政庁は処分時において,「病原微生物により汚染され,又はその疑いがあり,人の健康を損なうおそれのあるもの」を販売(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合も含む)の用に供するために調理した者に対し,被害の拡大を防止するため,調理した者の過失の有無にかかわらず,営業停止等の処分をすることができると解される。 ウ本件処分が相当なものであること本件処分は,原因食品と断定された副食の調理受託者である原告に対して,飲食に起因する衛生上の危害発生の防止,すなわち,食中毒事故による被害の拡大を防止するためになされた必要にして十分な措置である。処分当時の状況からして,裁量権の逸脱濫用は全くなく,違法な行政処分ではない。 なお,本件処分の営業停止期間 による被害の拡大を防止するためになされた必要にして十分な措置である。処分当時の状況からして,裁量権の逸脱濫用は全くなく,違法な行政処分ではない。 なお,本件処分の営業停止期間は,本件処分基準の「食中毒事件による処分」「食中毒患者数又は死亡者数」「2人以上死亡 500人以上」欄の定める15日間から,1日の営業自粛期間を差し引いて決定した。 営業停止処分は,原因食品を調理提供した営業者に対して行うものである。よって,仮に原因食材がキザミのりであると判明していたとしても,食品衛生法の規定からは,原告に対して営業停止処分を行うことになる。 原告が主張する本件センターに対する食事提供停止命令は,食中毒の発生原因が「給食センター」の範囲でしか推定できない場合に行うものである。 エ理由の提示に瑕疵がないこと次の事情によれば,本件処分時における理由の提示に瑕疵はない。 a 食中毒事故発生時には,被害拡大防止のために速やかな措置が求められている。 b 本件処分の内容自体は,14日間の営業停止処分に過ぎない。 c 食中毒事故発生時において原告及び処分行政庁が認識した事実関係,処分の根拠法令及び処分の選択について,複雑な適用・解釈が必要とされるものではない。 d 処分行政庁は,本件書面の交付時において,口頭で,①違反理由,食中毒の原因施設と断定した理由,②営業停止日数が14日間となる理由を丁寧に説明した。原告が本件について処分理由を十分に認識していたことは,原告のプレスリリースや審査請求の状況からも明らかである。 ①に関し,本件要綱は,営業許可取得時等に必要に応じて開示されるもので,常時閲覧(公表)の対象となっているものではない。 e 大津市,京都市及び和歌山市における食品衛生法違反を理由とする に関し,本件要綱は,営業許可取得時等に必要に応じて開示されるもので,常時閲覧(公表)の対象となっているものではない。 e 大津市,京都市及び和歌山市における食品衛生法違反を理由とする 営業停止命令書の記載も本件書面と同様の記載をしており,本件書面における文言によって処分対象者が当該処分の内容を十分に把握・理解できるものとしている。 行政手続法14条1項本文は,行政庁が不利益処分をする場合には,名あて人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならないとするが,同項ただし書は「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は,この限りでない。」と規定する。そして,次のとおり,被告における処分の理由の提示は,本件処分後にも,十分になされている(同条2項)。 a 被告は,本件処分当日である平成29年1月28日付けでプレスリリースをし,さらに,同年2月1日付けでプレスリリースをしており,原告もこの内容を当然認識している。 b 被告は,平成29年2月7日,原告に対し,「御坊保健所調査結果について(平成29年2月6日現在)」を交付した上で,本件食中毒の特性,検査結果,患者数,原因食品,汚染経路等について,当該時点における被告の認識を説明している。 c 上記以外においても,被告と原告は,御坊市教育委員会等も交え,本件食中毒の対応策などについて何度も協議を重ねており,その都度,被告から本件食中毒に関する説明を行っている。 オ結論以上によれば,本件処分は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(訴えの利益)についてはじめに本件処分について,現時点で既に営業停止期間は経過していることは明らかであるから,なお本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が認 められ 1(訴えの利益)についてはじめに本件処分について,現時点で既に営業停止期間は経過していることは明らかであるから,なお本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が認 められるか否かを検討する(行政事件訴訟法9条1項)。 処分基準についてア行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には,上記先行の処分に当たる処分を受けた者は,将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは,上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても,当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解される(最高裁平成26年(行ヒ)第225号同27年3月3日第三小法廷判決・民集69巻2号143頁)。 イ本件の検討本件処分基準の位置付け弁論の全趣旨によれば,本件要綱は常時公表されているわけではないものの,営業許可取得時等に必要に応じて開示されるものと認められ(前記第2・4⑵(被告の主張)エd),不利益処分の取消訴訟である本件訴訟においても書証として提出されていることも踏まえると,本件要綱は,処分行政庁における純粋な内部規範にとどまらず,公にされているものというべきである。そうすると,本件要綱中に定められた本件処分基準は,行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準に当たると認められる。 加重規定の適用の有無a 前記認定のとおり,本件処分は食品衛生法6条違反を理由とするものであるところ,本件処分基準は,「営業者が初めて(食品衛生法6条に)違反したとき」 当たると認められる。 加重規定の適用の有無a 前記認定のとおり,本件処分は食品衛生法6条違反を理由とするものであるところ,本件処分基準は,「営業者が初めて(食品衛生法6条に)違反したとき」に課す処分よりも,「営業者が再度(同条に)違反したとき」に課す処分を重く定め,同様に,「(同条)違反の結 果人体に被害を与えたとき」に課す処分よりも,これを「1年以内に再度犯したとき」に課す処分を重く定めている(別紙1参照)。 以上によれば,本件処分基準は,本件処分が行われた後に原告が法6条違反を理由に処分を受けるときには,本件処分基準の定めにより処分の量定を加重する不利益な取扱いを受ける旨を定めているものであると解するのが相当である(原告主張のとおり,本件処分が行われた後1年以内に再度食品衛生法6条違反を犯し,人体に被害を与えたときは,本件処分基準のD欄が適用され,最も不利益な取扱いを受け得ることとなる。)。 b これに対し,被告は,第2・4(被告の主張)アのとおり,本件処分は食中毒事件を理由にするものであるところ,食中毒事件に関する処分基準欄(本件処分基準の下段)には再度の違反についての記載はなく,加重規定は設けていないから,訴えの利益を根拠付けることはできない旨主張する。 そこで検討するに,本件食中毒に対する処分は食品衛生法第6条に違反するとしてなされたものである。しかるところ,本件処分基準は上段の欄において「違反条項」として「法第6条」,「違反内容条文内容」として「不衛生な食品又は添加物の販売等の禁止」とし,「違反状況及び処分内容」として上記aのとおり定めている。しかして,食品衛生法6条の禁止事項の中には販売の他に調理等も含まれており,食中毒事案を繰り返した場合に加重処罰することにより健康被害を防止する必要 況及び処分内容」として上記aのとおり定めている。しかして,食品衛生法6条の禁止事項の中には販売の他に調理等も含まれており,食中毒事案を繰り返した場合に加重処罰することにより健康被害を防止する必要性があることは,食中毒以外の同条違反の場合と同じく認められること(食中毒による健康被害の拡大防止目的で処分をすることと,食品衛生法6条違反を理由に処分をすることは矛盾しない。),本件処分基準の下段に「食中毒事件による処分」の欄に停止日数が定められているのは,処分が恣意にわたらないようにするために「食中 毒患者又は死亡者数」に応じた処分の目安を示すものと解されることを踏まえると,先に食中毒事案があった場合において,その後に食品衛生法6条違反があったときには,本件処分基準の上段の加重規定の適用があると解される。 なお,被告主張の解釈に従うと,過去1年以内に食品衛生法6条違反による処分歴のある営業者が,再度同条違反(食中毒を伴わないもの)に及んだ場合,当該過去の違反が食中毒を伴わなかった時には加重規定の適用があり,他方,当該過去の違反によって食中毒を生じていた時には加重規定の適用がないこととなるが,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図るという食品衛生法の目的に照らすと,後者の営業者の方が,より営業制限の必要性が高いことは明らかである。かかる結論は妥当性を欠くものであって,被告の解釈は不合理というほかない。 よって,本件処分基準は,処分行政庁が先行処分に当たって「食中毒事件による処分」欄を適用した場合であっても,それが食品衛生法6条違反である限り,再度同法6条の違反に及んだ時は加重規定の適用がある趣旨を定めているものと解すべきであって,本件処分基準の下段に「食中毒事件による処分」とする た場合であっても,それが食品衛生法6条違反である限り,再度同法6条の違反に及んだ時は加重規定の適用がある趣旨を定めているものと解すべきであって,本件処分基準の下段に「食中毒事件による処分」とする欄の記載があることをもって,食中毒事件について上記aが適用されないとは解することはできず,被告の主張は採用できない。 小括よって,原告は,本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと認めるのが相当である。 ⑶ まとめ以上によれば,原告が主張するその余の不利益の点について検討するまでもなく,本件訴えについて,訴えの利益がある。 2 争点2(本件処分の違法性)について理由の提示についてア検討前記認定のとおり,本件処分は書面(本件書面)によってなされているところ,本件書面には原告が食品衛生法6条に違反したため同法55条1項に基づき営業停止処分をした旨記載されているにとどまり,本件食中毒に関し,原告が本件センターにおいて行ったいかなる行為をもって同法6条所定の違反行為と評価したかについて全く記載されていない。 すなわち,本件書面には本件処分の根拠法条しか記載されておらず,本件処分の原因となる基本的な事実関係すら記載されていないのであるから,行政手続法14条1項本文,3項の要求する書面による理由の提示がなされたということはできない。 よって,本件処分には取消事由となるべき手続的違法性が認められる。 イ被告の主張について被告は,①食中毒事故発生時には,被害拡大防止のために速やかな措置が求められていること,②本件処分の内容自体は,14日間の営業停止処分に過ぎないこと,③食中毒事故発生時において原告及び処分行政庁が認識した事実関係,処分の根拠法令及び処分の選択について,本件 措置が求められていること,②本件処分の内容自体は,14日間の営業停止処分に過ぎないこと,③食中毒事故発生時において原告及び処分行政庁が認識した事実関係,処分の根拠法令及び処分の選択について,本件においては,複雑な適用・解釈が必要とされるものではないこと,④処分行政庁は,本件書面の交付時において,必要事項を口頭で丁寧に説明しており,原告も本件について処分理由を十分に認識していたこと,⑤大津市,京都市及び和歌山市における食品衛生法違反を理由とする営業停止命令書の記載も本件書面と同様のものであることに照らすと,行政手続法14条1項本文の求める理由の提示がなされたものであると主張する。 しかし,①ないし③及び⑤は,本件書面に本件処分の原因となる基本 的な事実関係を全く記載しなかったことを正当化できる事情ではない。 また,④についても,行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,処分行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されるところ,上記趣旨に鑑みると,本件書面に記載することを要する本件処分の理由の程度は,原告の知,不知にかかわりがないものというべきである。さらに,行政手続法14条3項が書面による処分については書面による理由の提示を要求していることに鑑みると,被告主張の口頭での説明を根拠に,適法な理由の提示がなされたと評価することはできないものと解するのが相当である。 (以上について,最高裁昭和45年(行ツ)第36号同昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁,同 ,適法な理由の提示がなされたと評価することはできないものと解するのが相当である。 (以上について,最高裁昭和45年(行ツ)第36号同昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁,同平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・集民166号773頁参照)以上によれば,被告の主張はいずれも採用できない。 被告は,行政手続法14条1項ただし書を援用した上で,処分の理由の提示は,本件処分後にも,十分になされている旨主張する。 しかし,本件書面に処分理由を記載することに支障があった理由は見当たらない(被告からも具体的な主張はない。)。 したがって,本件処分について,同法14条1項ただし書にいう「理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要」があったとはいえない。 そして,前記理由の提示の趣旨に鑑みると,本件処分後に理由の提示が追完されたとしても,同項本文違反の違法性は治癒されるものではないというべきである(上記最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決参照)。 よって,被告の主張する処分後の対応が,その説明態様や内容等に照らして同条2項,3項の理由の提示と評価できるか否かについて検討するまでもなく,かかる主張は採用できない(なお,被告は,第2・4(被告の主張)エaないしc記載の事由をもって,本件処分後に理由の提示を十分に行った旨主張するが,同a及びcは,プレスリリースないし口頭説明であって,原告に対する書面による説明とは評価できず,同bも本件処分後の調査内容の説明にすぎず,いずれも理由の提示の追完とは認めがたい。)。 ⑵ 小活以上によれば,原告の主張するその余の違法事由について検討するまでもなく,本件処分は取消しを免れない。 なお,付言するに,本件は取消訴訟である以上,取消事由の 認めがたい。)。 ⑵ 小活以上によれば,原告の主張するその余の違法事由について検討するまでもなく,本件処分は取消しを免れない。 なお,付言するに,本件は取消訴訟である以上,取消事由の有無の判断に当たっては,処分行政庁が処分当時認識していた事情ではなく,本件処分当時に客観的に存在した事情を基礎とすべきこととなる。 しかるところ,食品衛生法55条1項に基づく営業停止処分の目的の一つに食中毒事件による被害拡大防止の観点が含まれるとしても,同条が,営業停止処分を,被害拡大防止の必要性があれば取ることができる暫定的措置の形式ではなく,あくまで食品衛生法違反行為に対する不利益処分という形式で定めていることに鑑みると,本件処分について処分行政庁の裁量権の逸脱濫用の有無を判断するにあたっては,本件処分の必要性(本件処分の発生後の原告の対応状況も踏まえて,行政指導では不十分であったか等についても当然考慮すべきである。)の観点のみならず,原告が同条違反の行為に及んだことについての帰責性の程度や,本件処分によって原告に生じた不利益の程度(執行停止事件で原告が主張するもの等)も考慮されるべきと解される。 そして,厚生労働省作成の食中毒処理要領(別紙2)に,営業者等「に対する措置は,できるだけ速やかに実施しなければならない。原因食品及び原因 施設がはじめから確認し得る場合はもちろん,一応推定しか出来ない場合,あるいは疑わしい場合においても,危害の拡大防止のため,必要にして十分な措置を直ちに講じなければならない。」との記載があることは,少なくとも取消訴訟における上記判断枠組みを左右するものではないと解される。 3 結論よって,原告の請求には理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 和歌山地方裁判所 少なくとも取消訴訟における上記判断枠組みを左右するものではないと解される。 主文 よって,原告の請求には理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 理由 和歌山地方裁判所民事部 裁判長裁判官中山誠一 裁判官五十部隆 裁判官岩谷彩 (別紙1)処分基準を添付(別紙2)乙4の別添1食中毒処理要領の12頁「Ⅵ 措置」以下を付ける。
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