【DRY-RUN】主 文 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人は控訴人に対し、控訴人から金一一三万六〇〇〇円の支払いを 受けるのと引換えに、別紙目録(二)記載の建物を引渡し、かつ右建物につき
主文 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人は控訴人に対し、控訴人から金一一三万六〇〇〇円の支払いを受けるのと引換えに、別紙目録(二)記載の建物を引渡し、かつ右建物につき保存登記手続をなしたらえ、その所有権移転登記手続をせよ。 被控訴人は控訴人に対し金五一万八七三八円を支払え。 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審を通じ、これを二分し、その一を控訴人の、その余を被控訴人の負担とする。 この判決は第三項に限り仮に執行することができる。 事実 控訴代理人は、「原判決中控訴人敗訴の部分を取り消す。被控訴人は控訴人に対し別紙目録(二)記載の建物を引渡し、かつ右建物につき保存登記手紙をなしたうえ、その所有権移転登記手続をせよ。被控訴人は控訴人に対し金一一〇万二〇九五円を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決ならびに登記手続の請求を除くその余の部分につき仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用および認否は、次のとおり付加するほか、原判決の事実欄に記載するところと同一であるから、これを援用する。 控訴代理人において、一、 原判決添付別紙目録(一)および(二)を別紙目録(一)および(二)のとおり訂正する。 二、 建物の売買契約をなすにあたり、契約書に間取りを書き入れた図面を添付し、その間取りには畳数まで記入され(畳一枚の大きさは横九〇センチメートル、縦一八〇センチメートルが東京における慣習)、被控訴人の担当社員から売買契約書添付図面の建坪四四平方米(原審において建坪四六平方米と主張したのは建坪四四平方米の誤りであるから訂正する。)に六平方米のベランダがつ チメートルが東京における慣習)、被控訴人の担当社員から売買契約書添付図面の建坪四四平方米(原審において建坪四六平方米と主張したのは建坪四四平方米の誤りであるから訂正する。)に六平方米のベランダがつくものとして売買代金が協定された以上、その建物が既にでき上つたものであると、将来の給付を約束したものであるとにかかわらず、その売買は数量を基礎としたものと解するを妥当とし、「数量は度外視する」という特別の事情が売主側から立証されない限り民法第五六五条または同法第六三四条の規定により不足分について売主の責任を免れえない。そして、完成した建物の面積は三〇・五三平方米であつて、当初の契約面積四四平方米より一三・四七平方米少ないのであるから、被控訴人は控訴人に対し代金減額請求に基づく返還又は損害賠償として別紙計算書記載のとおり金九四万九〇二三円の支払義務がある。 そしてまた被控訴人は控訴人に対し工事遅延による約定の損害金として別紙計算書のとおり金四八万五八一〇円の支払義務があり、以上合計金一四三万四八三三円のらち原判決において認容された金三三万二七三八円を差引き金一一〇万二〇九五円につき当審においてその支払を求めるものである。 三、 被控訴人が本件建物の建坪を三〇・五三平方米であると自白し、後にこれを撤回したことには異議がある。 と述べ、立証として、甲第一〇ないし第一三号証を提出し、甲第一〇号証は本件建物の売買契約書(甲第一号証)作成のとき被控訴人から交付を受けた図面で、本件建物は下の部分であり、甲第一二号証の欄外のインクで記載した部分は控訴代理人が税務事務所の台帳のとおり加筆したものであると述べ、当審における控訴人本人尋問の結果を援用した。 被控訴代理人において、(い) 本件家屋の完成された現在の坪数が三〇・五三平方米で、甲第一一号証 務事務所の台帳のとおり加筆したものであると述べ、当審における控訴人本人尋問の結果を援用した。 被控訴代理人において、(い) 本件家屋の完成された現在の坪数が三〇・五三平方米で、甲第一一号証の図面記載のとおりであり、乙第一号証の面積の一部(居宅部分において二・一平方米少ない)が右甲第一一号証の面積と齟齬していることは認める。尤も、右居宅部分の面積は、不動産登記事務取扱手続準則第一二七条第一項第一二号によれば「内壁で囲まれた部分の水平投影面積」となつており、本件建物の居室の内法の面積が三〇・五三平方米であるという趣旨である。 しかしながら、本件建物の居宅部分の面積は建築基準法施行令第二条第二項第二号、第三号の規定により外壁または区画壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によることが原則である。 そこで、右計算方法によつて計算すると、本件建物の居室部分は三二・九〇平方米(九坪九合五勺)、ベランダ部分三・四一平方米(一坪〇三勺)である。 (ろ) 被控訴人は昭和三八年七月ころ技術担当者を派遣し、控訴人に対し設計図に基づき部屋の間取り構造を説明し、控訴人は異議なくこれを了承した。 (は) 畳の団地サイズについて、従来日本住宅公団その他一般の分譲住宅業者の建築する部屋はいわゆる団地サイズの畳を使用しており、その畳の広さは横八〇センチメートル、縦一六〇センチメートルで、これが公知の事実である。本件分譲住宅においては横九〇センチメートル、縦一七〇センチメートルのものを和室に使用し、一般の団地サイズのものより広幅となつている。 (に) 分譲住宅の部屋の売買価格の算定について、被控訴会社はコーポの部屋を商品として売出しているが、その売買価格の算定は次の算定方式によつて決定している。 すなわち、コーポ建物の敷地買収費または敷地借地権の取得費 屋の売買価格の算定について、被控訴会社はコーポの部屋を商品として売出しているが、その売買価格の算定は次の算定方式によつて決定している。 すなわち、コーポ建物の敷地買収費または敷地借地権の取得費、建築請負代金および以上の合計額に対する四〇パーセントの荒利益を総計したうえ、さらに、他方コーポ建物の建ぺい率から割出した最大の建築床面積の建物にK二〇(九坪の居室)の部屋が幾部屋出来るかを計算して、前記三者の総計金額を右のK二〇の部屋数で割つて一部屋の基準価格を決定する。 次に、被控訴会社ではK二〇のほかにK二五(一二坪五合)、LK二〇(一〇坪)、K三〇(一三坪五合)、K四〇(一八坪)、K五〇(二二坪五合)等の部屋を売り出しているが、いずれもK二〇の基準価格に坪数増加の割合を乗じてその基準価格を決定している。そして、各部屋の実際の売買価格はさらに各部屋の位置すなわち階数、向き等を考慮して基準価格に一割ないし二割の金額を増減して決定する。事実上は階数の上のもの程高く、日あたりのよい東南向きの角の部屋が最高の価格となつている。 (ほ) 被控訴会社においては、分譲高層住宅建設用の敷地を入手すると、企画部においてその敷地の形状、方位、交通等の諸条件を考慮しながら、建ぺい率で許容される最大限建築面積の範囲内に個々の住宅の配列と諸施設の配置を如何にしたらよいかを決定し、通称「プラン図」を作成し、ついで営業部で右プラン図に基づき個々の住宅内部の間取りや諸施設の配置を具体的に図示し、およその規模と機能が理解できるような見取図を作成する。これが通称「営業用図」で、専ら広告用パンフレツト等に使われる。さいごに設計部で、以上のプラン図、営業用図を参考にし、それに盛られた諸要求を満足させるよう配慮しながら建築基準法その他の建築諸規定を基準にして詳細かつ正確な施 専ら広告用パンフレツト等に使われる。さいごに設計部で、以上のプラン図、営業用図を参考にし、それに盛られた諸要求を満足させるよう配慮しながら建築基準法その他の建築諸規定を基準にして詳細かつ正確な施行用図面を作成する。これが「設計図」であるが、本件契約書添付図面(甲第一号証の添付図面)は右営業用図面であつて、設計図の写ないし縮尺図ではなく、その使用目的からも面積計算の基礎とはなしえないものである。 と述べ、立証として、当審証人Aの証言を援用し、甲第一二号証のうち控訴代理人作成部分(欄外のインク書きの部分)の成立は不知、その余の部分の成立は認める。甲第一〇、第一一、第一三号証の成立はいずれも認めると述べた。 理由 一、 控訴人は、被控訴人のした本件建物の面積についての自白の撤回に異議がある旨主張するが、本件口頭弁論の全趣旨によれば、被控訴人は「本件建物の内法の面積が三〇・五三平方米である」旨一貫して主張していることが明らかであるから、被控訴人の本件建物の面積についての主張は何ら自白の撤回には当らず、控訴人の右主張は採用できない。 二、 ところで、控訴人主張の原判決事実欄中請求原因一の事実は当事者間に争いがない。 そして、当裁判所も原審と同じく、本件建物の売買契約は民法第五六五条に規定する数量を指示した売買にはあたらず、従つて控訴人の同条に基づく代金減額の請求は失当であると判断するが、その理由は次のとおり付加するほか、原判決の理由(原判決原本五枚目裏二行目から同六枚目裏末行まで)に記載するところと同一であるからこれを引用する。 (い) 原判決原本五枚目裏五行目の「証言および」の次に「原審ならびに当審における」を加え、同六枚目表三行目および四行目に「本件建物の間口が四米、奥行が一一・五米とでてきたのでその面 を引用する。 (い) 原判決原本五枚目裏五行目の「証言および」の次に「原審ならびに当審における」を加え、同六枚目表三行目および四行目に「本件建物の間口が四米、奥行が一一・五米とでてきたのでその面積は四六平方米」とあるのを、「その面積は四四平方米」と訂正する。 (ろ) 当審にあらわれたすべての資料によるも当裁判所の認定を動かすに足りない。 <要旨>三、 しかしながら、本件建物の売買契約は被控訴人の建築する分譲住宅用ビルデイングにつき建築完成前に特</要旨>定の一区劃を売買の目的物としてなされたものであるから、いわゆる製作物供給契約に該当し、もしその後完成した建物に瑕疵があるときは、売主たる被控訴人は請負に関する民法第六三四条の規定に基づく担保責任を負担すべきてあり、そしてその瑕疵には売買契約の際両当事者の予定した部屋の形状、床面積等がその後当初予期しない設計変更により変更され、そのため利用価値が相当程度減少するにいたつた場合をも包含するものと解すべきである。ところで本件においては、契約後の設計変更により本件F室の脇に非常階段が設置されることとなつたためその床面積が二・一平方米減少したことおよび完成した右F室の居宅部分(ベランダ部分を除く。)の面積が三二・九〇平方米であることは被控訴人の自認するところであり、成立に争いのない甲第一号証、同第一〇号証および乙第一号証によると、本件契約書添付の図面では右F室は長方形となつていたが、右設計変更により出人口側横の部分が非常階段のために削られて長方形の一角が欠け出入口側が窮屈となつていることが明らかであるから、これらの事実を勘案すると、本件契約の際当事者の合意した建物に比べて、完成した建物は買主たる控訴人にとつて無視し難い利用価値の減少があることが認められ、これは民法第六三四条所定の瑕疵に該当 るから、これらの事実を勘案すると、本件契約の際当事者の合意した建物に比べて、完成した建物は買主たる控訴人にとつて無視し難い利用価値の減少があることが認められ、これは民法第六三四条所定の瑕疵に該当するものといわざるをえない。被控訴人は控訴人において右設計変更を異議なく了承した旨主張するがこれを肯認するに足りる証拠はない。 しからば本件建物の完成したとき、控訴人は被控訴人に対し事実上不可能な瑕疵の修補に代えて損害の賠償を請求することができ、その損害は特段の事情の認められない本件においては、居宅部分の売買代金を基準として算出した減少面積についての代金相当額であるというべきであり、そして売却部屋の単価の基準価格が結局居宅部分の床面積を基準として算出されることは被控訴人において主張するところであるから、当事者間に争いのない本件売買代金三一〇万円を基として右減少面積二・一平方米に相応する額を算出すると金一八万六〇〇〇円(円以下四捨五入)となり、被控訴人は控訴人に対しこれが損害を賠償する責任があるものといわねばならない。 控訴人は約定の面積は四四平方米、完成した面積は三〇・五三平方米であつて、減少面積は一三・四七平方米であると主張して右以上の損害の賠償を求めているが、本件売買契約においては目的物の面積は示されておらず、控訴人主張の四四平方米は同人の独自の計算によるものであることは前記認定のとおりであつて、他に契約当時右の面積が約定又は予定されていたことを認めるに足りる証拠はなく、また控訴人主張の右完成面積は前示乙第一号証及び弁倫の全趣旨によると部屋の内法による面積であることが明らかであるから、前記認定の損害額以上の損害を被つたとする控訴人の主張はその立証がないことに帰し、これを認容することはできない。 四、 そして、本件建物の売買代金の支払 法による面積であることが明らかであるから、前記認定の損害額以上の損害を被つたとする控訴人の主張はその立証がないことに帰し、これを認容することはできない。 四、 そして、本件建物の売買代金の支払関係ならびに控訴人主張の工事遅延による約定の損害金の請求のうち金三三二、七三八円の支払を求める部分は正当であつてその余は失当であることについては、当裁判所も原審と同一の判断をするが、その理由は原判決の理由(原判決原本八枚目表四行目から同一〇枚目裏二行目まで)に記載するところと同一であるから、これを引用する。 五、 以上のとおりであるから、被控訴人は控訴人に対し本件建物の引渡とその保存登記手続ならびに所有権移転登記手続を、残代金一一三万六〇〇〇円の支払と引換えにこれをなすべき義務があり、控訴人の右引渡および登記手続を求める部分は右の限度で認容し、その余は棄却すべく(被控訴人は本訴において控訴人のなした残代金供託の効果を争い、本件建物の引渡とその保存登記手続ならびに所有権移転登記手続を求める請求の棄却を求めているので、いわゆる同時履行の抗弁をなしたものと解すべきである。)、また控訴人の金員の支払を求める部分は前記三項と四項の合計金五一万八七三八円の限度においてこれを認容し、その余は棄却すべきである。 よつて、原判決が控訴人の本訴請求のうち、本件建物の引渡とその所有権移転登記を求める部分につき残代金一一三万六〇〇〇円の支払いと引換えにこれを認容し、金員の支払いを求める部分につき金三三万二七三八円の請求を認容した部分は相当であるが、右金額以上の金員の請求を棄却したのは失当であつて、控訴人の本件控訴は一部理由があり、かつ控訴人は当審において保存登記手続を求める請求を追加したので、右のとおり原判決を変更することとし、なお主文第三項のみに仮執行宣言を付 棄却したのは失当であつて、控訴人の本件控訴は一部理由があり、かつ控訴人は当審において保存登記手続を求める請求を追加したので、右のとおり原判決を変更することとし、なお主文第三項のみに仮執行宣言を付するを相当と認め、民事訴訟法第三八五条、第三八六条、第九六条、第八九条、第九二条、第一九六条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官青木義人裁判官高津環裁判官弓削孟)目録(一)東京都港区a町b番地c番地d鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付一一階建一階四四三・〇七平方米二階四八四・一四平方米三階ないし一一階各五一一・五七平方米地下一階五〇四・六〇平方米(二)右(一)のうち八階F号室建物番号七六号鉄骨鉄筋コンクリート造一階建居宅(実測)建坪三〇・五三平方米(九坪二四)(公簿上)建坪三八・八七平方米(一二坪七六)計算書(一)金三六三万一〇〇〇円(当初の契約坪数に基づく代金額、売買契約書《構第一号証》添付図面建坪四四平方米―添付図面間口四米、奥行一一米として-)内訳金三一〇万円建物代金金五三万一〇〇〇円雑作代金(二) 金三六三万一〇〇〇円(支払代金額)内訳(い)金一一四万円昭和三七年二月九日(甲第二号証)(ろ)金八五万五〇〇〇円同年一一月二日(甲第三号証)(は)金五〇万円西方マンション保証金充当(甲第四号証)(に)金一一三万六〇〇〇円昭和三八年一一月九日供託(甲第五号証)(三)金二一五万〇九七七円(完成した建物面積三〇・五三平方米に対する代金)(甲第一一号証、甲第一二号証)(四)金九四万九〇二三円(減坪金額)前記(一)の建坪から(三)の建坪を差引いた減面積一三・四七平方米の金額(五)金四八万五八一〇円(売買契約書 方米に対する代金)(甲第一一号証、甲第一二号証)(四)金九四万九〇二三円(減坪金額)前記(一)の建坪から(三)の建坪を差引いた減面積一三・四七平方米の金額(五)金四八万五八一〇円(売買契約書《甲第一号証》第三条に基づく損害金)建物代金として支払った前記(三)(い)ないし(は)の合計金二四九万五〇〇〇円に対する昭和三七年一〇月末日から同三八年九月末日まで日歩金五銭の割合による工事遅延損害金(六)金一四三万四八三三円前記(四)と(五)の合計金
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