平成25(行ウ)92 処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年3月20日 名古屋地方裁判所 その他
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判決文本文17,069 文字)

-1-平成26年3月20日判決言渡平成25年(行ウ)第92号処分取消請求事件 主文 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求処分行政庁が平成23年5月31日付けで亡Aに対してした時効特例給付不支給決定を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,昭和60年法律第34号による改正前の厚生年金保険法(以下,厚生年金保険法を「厚年法」といい,同改正前の同法を「旧厚年法」という。)46条の3に基づく通算老齢年金を受給していた亡A(大正8年▲月▲日生,平成24年 ▲ 月 ▲ 日死亡。)が,新たに厚生年金保険の加入記録が判明したことから,旧厚年法42条に基づく老齢年金(以下,単に「老齢年金」という。)の裁定を請求したところ,厚生労働大臣から,老齢年金の裁定を受けるとともに,平成16年11月以前の分の老齢年金については,消滅時効が完成しており,厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(以下「時効特例法」という。)の規定による年金記録の訂正に基づく裁定又は裁定の訂正を原因とするものではないため,時効特例法に基づく給付の対象にもならない旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたことから,亡Aの妻である原告B,亡Aの長男である原告C及び亡Aの長女である原告Dが本件処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め等(1) 本件の関係法令は,別紙「関係法令の定め」に記載したとおりである。 (2) 厚年法(旧厚年法を含む。)による保険給付を受ける権利(基本権)は,-2-受給要件を満たした時点において当然に発生するが,受給権者が年金を受給するためには,厚生労働大臣(平成22年1月よ (2) 厚年法(旧厚年法を含む。)による保険給付を受ける権利(基本権)は,-2-受給要件を満たした時点において当然に発生するが,受給権者が年金を受給するためには,厚生労働大臣(平成22年1月より前は社会保険庁長官。以下同じ。)に裁定を請求し,その裁定を受けなければならない(厚年法33条)。 (3) 老齢年金は,被保険者が高齢者になると稼得能力が低下又は喪失して,所得が減少又は喪失することが多いため,老後の生活を保障するために支給されるものであり,40歳に達した月以降の被保険者期間が15年以上である被保険者が65歳に達したときには受給要件を満たすものとされている(旧厚年法42条1項2号,4号)。 老齢年金の額は,基本年金額に加給年金額を加算した額とされており(旧厚年法43条1項),加給年金の額は,受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の配偶者,18歳未満の子等について計算される(同法44条1項)。 (4) 通算老齢年金は,老齢年金と同様の目的による保険給付であって,被保険者期間が1年以上である者で老齢年金を受けるに必要な被保険者期間を満たしていないものであっても,一定の事由に該当する場合,各公的年金制度に係る被保険者期間等を合算することなどにより支給される(旧厚年法46条の3)。 通算老齢年金の額は,基本年金額に相当する額とされている(旧厚年法46条の4第1項)。 (5) 通算老齢年金の受給権は,受給権者が死亡したとき又は老齢年金の受給権を取得したときは消滅する(旧厚年法46条の6)。 (6) なお,大正15年4月1日以前に生まれた者又は昭和60年法律第34号の施行日である昭和61年4月1日の前日において旧厚年法の老齢年金等の受給権を有していた者については,同 6条の6)。 (6) なお,大正15年4月1日以前に生まれた者又は昭和60年法律第34号の施行日である昭和61年4月1日の前日において旧厚年法の老齢年金等の受給権を有していた者については,同法中同法による老齢年金,通算老齢年金及び特例老齢年金の支給要件に関する規定並びにこれらの年金たる保険給-3-付の支給要件に関する規定であって昭和60年法律第34号によって廃止され又は改正されたその他の法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)は,これらの者について,なおその効力を有するものとされている(昭和60年法律第34号附則63条1項)。 3 前提事実(掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 亡Aは,昭和58年9月12日,社会保険庁長官に対し,通算老齢年金の裁定を請求したところ,同長官は,同年10月6日付けで,受給権発生年月を昭和55年6月とする亡Aの通算老齢年金を裁定した。なお,この際,亡Aは老齢年金の受給資格は満たしていなかった。(乙1)(2) 亡Aは,後記(4)のとおり訂正される前のいわゆる年金記録(厚年法28条参照)を前提とすれば,昭和44年3月6日から同年7月1日まで株式会社E銀行F支店において厚生年金保険の被保険者の資格を取得し,同年7月7日から昭和61年4月1日までG株式会社において厚生年金保険の被保険者の資格を取得していたため,昭和59年▲月▲日時点において,厚生年金保険の被保険者期間が180か月間(40歳以降15年)に達し,老齢年金の受給権(基本権)を取得した。このため,亡Aは,同日以降,老齢年金の裁定請求をすれば老齢年金を受給することができたが,後記(5)のとおり,平成22年1月8日まで老齢年金の裁定を請求することはなく,同年5月13日に老齢年金が裁定されるまでの間 ,同日以降,老齢年金の裁定請求をすれば老齢年金を受給することができたが,後記(5)のとおり,平成22年1月8日まで老齢年金の裁定を請求することはなく,同年5月13日に老齢年金が裁定されるまでの間,前記(1)の通算老齢年金を受給し続けた。 (甲1,乙9,12)(3) 亡Aは,昭和61年4月1日にG株式会社を退職し,厚生年金保険の被保険者資格を喪失したため,改定事由該当届を提出した。これを受けて,社会保険庁長官は,同年7月20日付けで通算老齢年金の退職改定の処理を行った。(乙2)(4) 亡Aは,厚生年金保険の被保険者期間が新たに判明したことから,平成22年1月8日,厚生労働大臣に対し,通算老齢年金に係る前記(1)の裁定の訂-4-正を請求したところ,同大臣は,同年9月9日,同裁定を訂正し,厚生年金保険の被保険者期間(昭和21年5月から昭和24年6月まで)を追加した。 (乙3,4)(5) また,亡Aは,平成22年1月8日,厚生労働大臣に対し,老齢年金の裁定請求をしたところ,同大臣は,前記(2)のとおり,亡Aが昭和59年▲月の時点で老齢年金の受給要件を満たしていたため,旧厚年法46条の6に基づき,失権日を昭和59年▲月とする通算老齢年金の失権処理を行うとともに,平成22年5月13日付けで老齢年金の新規裁定を行った。 なお,亡Aが老齢年金の裁定請求をした平成22年1月8日の時点では,亡Aの老齢年金の受給権(基本権)は,受給要件の充足時点から既に5年を経過しており,消滅時効が完成していたものの,厚生労働大臣は,裁定請求が支給要件充足から5年以上経過した後に行われた場合でもその請求自体は認め,当該裁定請求日から5年間遡及する限度で年金の支給を認めるのが通例であることに鑑み,上記受給権(基本権)の消滅時効は援用しなかっ 給要件充足から5年以上経過した後に行われた場合でもその請求自体は認め,当該裁定請求日から5年間遡及する限度で年金の支給を認めるのが通例であることに鑑み,上記受給権(基本権)の消滅時効は援用しなかった。 (乙5,6,9)(6) そして,厚生労働大臣は,前記(5)の通例に鑑み,老齢年金の受給権(支分権)については,消滅時効が完成していない裁定請求日から5年間遡及する限度において支給を認めることとし,平成23年5月31日付けで,過去に時効消滅により支払をすることができなかった年金は,時効特例法の規定による年金記録の訂正に基づく裁定又は裁定の訂正を原因とするものではないとして,亡Aの老齢年金のうち平成16年11月以前の時効消滅した部分(以下「本件不支給部分」という。)について,時効特例給付を支給しない旨の本件処分をし,亡Aに対してその旨通知した。(甲1)(7) 亡Aは,本件処分を不服として,平成23年7月6日付けで近畿厚生局社会保険審査官に対し審査請求をした。(乙7)(8) 亡Aは,審査請求の決定前である平成24年 ▲ 月 ▲ 日に死亡した。そこ-5-で,亡Aの長女である原告Dは,同年3月9日付けで審査請求受継書を提出して,社会保険審査官及び社会保険審査会法12条に基づき,審査請求の手続を受け継いだ。(乙8)(9) 近畿厚生局社会保険審査官は,平成24年3月22日,前記(7)の審査請求を棄却する旨の決定をした。(乙9)(10) 厚生労働大臣は,平成24年5月15日,原告Bに対し,本件不支給部分以外の未支給の保険給付12万6567円を支給した。(乙10)(11) 原告Dは,平成24年5月21日,前記(9)の決定を不服として,社会保険審査会に対し再審査請求をしたところ,同審査会は,同年11月30日,同 付12万6567円を支給した。(乙10)(11) 原告Dは,平成24年5月21日,前記(9)の決定を不服として,社会保険審査会に対し再審査請求をしたところ,同審査会は,同年11月30日,同再審査請求を棄却する旨の裁決をし,同年12月2日,裁決書が原告Dに到達した。(乙11ないし13)(12) 亡Aの妻である原告B,亡Aの長男である原告C及び亡Aの長女である原告Dは,平成25年6月2日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 4 争点及び当事者の主張本件の争点は,原告C及び原告Dの原告適格の有無(争点1。本案前の争点)及び本件処分の適法性(争点2。本案の争点)であり,この点に関する当事者の主張は,次のとおりである。 (1) 争点1(原告C及び原告Dの原告適格の有無)について(被告の主張)保険給付の受給権は,一身専属的な権利であるが(厚年法41条1項本文),厚年法37条1項は,「保険給付の受給権者が死亡した場合において,その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは,その者の配偶者,子,父母,孫,祖父母又は兄弟姉妹であって,その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは,自己の名で,その未支給の保険給付の支給を請求することができる。」と規定し,同条4項は,「未支給の保険給付を受けるべき者の順位は,第1項に規定する順序によ-6-る。」と規定しており,未支給の保険給付を受ける権利については,「配偶者,子,父母,孫,祖父母又は兄弟姉妹」の順位に従った承継が認められている。 そうすると,仮に亡Aにつき未支給の保険給付があったとしても,その支給を請求することができる第1順位の者は亡Aの配偶者である原告Bであり,亡Aの子である原告C及び同Dについては受給 いる。 そうすると,仮に亡Aにつき未支給の保険給付があったとしても,その支給を請求することができる第1順位の者は亡Aの配偶者である原告Bであり,亡Aの子である原告C及び同Dについては受給権が発生していないから,原告C及び同Dは,本件処分の取消しを求めるにつき,「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)には該当せず,両名には原告適格が認められないというべきである。 (原告らの主張)被告の主張は,争う。 (2) 争点2(本件処分の適法性)について(原告らの主張)ア老齢年金の年金額は基本年金額に加給年金額を加算した額であり,通算老齢年金においては,加給年金額の加算はなく,年金額は基本年金額のみであるところ,亡Aは,昭和58年に通算老齢年金の裁定を請求し,通算老齢年金の受給を受けていたが,昭和59年▲月の時点で老齢年金の受給要件を満たしていた。 しかし,社会保険事務所は,亡Aが老齢年金の受給要件を満たした昭和59年▲月の時点(亡Aが65歳の時)や,亡Aが昭和61年(亡Aが67歳の時)に社会保険事務所に対して改定該当届を提出した際のいずれにおいても,亡Aに対して,老齢年金の受給要件を満たしたことについて何ら連絡することはなかった。 その結果,亡Aは平成22年(亡Aが91歳の時)に老齢年金の裁定請求をするまで,加給年金額が加算される老齢年金を受領することができなかった。 -7-したがって,亡Aについては,老齢年金の受給要件を満たした時点に遡って老齢年金が支給されるべきであり,本件処分は違法である。 イ被告は,亡Aに対し,老齢年金の受給要件を満たしている旨のお知らせを送付したと主張するけれども,亡Aの日記にはそのような書面が届いた旨の記載はな されるべきであり,本件処分は違法である。 イ被告は,亡Aに対し,老齢年金の受給要件を満たしている旨のお知らせを送付したと主張するけれども,亡Aの日記にはそのような書面が届いた旨の記載はなく,亡Aが上記書面を受領したことはない。 (被告の主張)ア亡Aの平成16年11月以前の老齢年金の受給権(支分権)は時効消滅している。 すなわち,亡Aは,老齢年金の受給権を昭和59年▲月に取得したから,その支分権は,各支払期月の翌月の初日から5年の経過により順次時効消滅することになる。そして,亡Aは平成22年1月8日に老齢年金の裁定を請求したから,この時点で時効起算点から5年が経過していない平成16年12月分以降の老齢年金の受給権(支分権)は,上記裁定請求により時効が中断されるが,それより前の平成16年11月以前の老齢年金の受給権(支分権)は時効消滅していることになる。 イ亡Aに係る老齢年金には,時効特例法は適用されない。 すなわち,時効特例法では,年金記録の訂正がされた上で裁定が行われた場合には,その年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払われる年金の支給を受ける権利について消滅時効が完成した場合においても年金を支払うものであるとするところ,前記アのとおり,亡Aは,昭和59年▲月の時点で既に老齢年金の受給権を取得していたにもかかわらず,平成22年1月8日まで老齢年金の裁定請求をしなかったため,上記裁定請求の時点では,平成16年11月以前の老齢年金の受給権(支分権)は既に時効消滅していたものである。したがって,亡Aの老齢年金は,記録訂正の有無にかかわらず,裁定請求の遅れによって時効消滅したにすぎず,記録の訂正によって受給権を取得していることが判明して裁定に至ったものではな-8-いから,同法による ,亡Aの老齢年金は,記録訂正の有無にかかわらず,裁定請求の遅れによって時効消滅したにすぎず,記録の訂正によって受給権を取得していることが判明して裁定に至ったものではな-8-いから,同法による特例措置の対象とはならない。 ウ原告らは,社会保険庁長官は,亡Aに対し,老齢年金の受給権を取得した旨を通知すべきであったと主張するけれども,政府が全ての被保険者について受給要件該当性の有無を掌握するのは不可能であり,そうであるからこそ,厚年法33条は,裁定は受給権者の請求に基づいて行う旨を規定しているのであって,厚年法上,社会保険庁長官が受給権者に対して受給権の行使を促すことを求めた規定は存しない。そうすると,社会保険庁長官には,年金の裁定請求を促すべき職務上の法的義務はなく,受給権者が受給資格要件の充足等について知らなかったとしても,それによって時効の進行が妨げられるものではない。 なお,昭和59年及び昭和61年当時の社会保険事務所の対応については記録が残っていないものの,昭和58年4月28日付けの社会保険庁年金保険部業務第一課長及び第二課長の通知(昭和58年4月28日庁業発第17号)によれば,社会保険庁年金保険部業務第二課においては,通算老齢年金の受給者で,老齢年金の受給要件を満たしていると思われる者に対し,老齢年金の受給要件を満たしていると思われる旨のお知らせを送付していたのであるから,亡Aに対しても,同人について受給権が発生した昭和59年▲月の時点で,同様の通知が送付されていたと考えられる。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告C及び原告Dの原告適格)について(1) 被告は,亡Aにつき未支給の保険給付があったとしても,厚年法37条4項によれば,その支給を請求することができる第1順位の者は亡Aの配偶者であ 点1(原告C及び原告Dの原告適格)について(1) 被告は,亡Aにつき未支給の保険給付があったとしても,厚年法37条4項によれば,その支給を請求することができる第1順位の者は亡Aの配偶者である原告Bであり,亡Aの子である原告C及び同Dは,支給を請求することができる地位にないのであるから,上記原告両名は本件処分の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しない旨主張する。 (2) 厚年法37条1項,4項によると,受給権者が死亡した場合にその者に支-9-給していない年金があるときは,受給権者の配偶者,子,父母,孫,祖父母又は兄弟姉妹であって,受給権者の死亡当時その者と生計を同じくしていたものは,厚生労働大臣の支給決定を受けることにより,上記の順序に従って未支給年金を受給することができるものとされており,時効特例法によって支払うこととされる未支給年金についてもこれと同様である。そして,上記の順序に従えば,受給権者の死亡当時その者と生計を同じくしていた配偶者がいた場合には,子その他の次順位以下の者には未支給年金は支給されないこととなる。 もっとも,未支給年金については,これら遺族からの厚年法37条1項に基づく請求に基づき,厚生労働大臣が上記請求をした遺族がその給付を受けることができる遺族に当たるかどうかを判断した上で,支給決定がされるものであり,未支給年金の給付を受けることができる遺族に該当するか否かは,単に同条4項に規定する順位のみで決せられるわけではなく,上記請求をした遺族が受給権者の死亡当時にその者と生計を同じくしていたか否かや先順位の遺族の有無についての審査を経て初めて決せられるものである。そうすると,受給権者が,自らの裁定請求に対して基本権としての受給権を否定する裁定又は支分権としての受給権を否定する決定がされた や先順位の遺族の有無についての審査を経て初めて決せられるものである。そうすると,受給権者が,自らの裁定請求に対して基本権としての受給権を否定する裁定又は支分権としての受給権を否定する決定がされたため,上記裁定等の取消しを求める訴えを提起し又はその前段階である審査請求等をしたものの,その係属中に死亡した場合には,当該受給権者に係る厚年法37条1項に列挙されている範囲の遺族は,いずれも上記裁定等が取り消されれば,当該受給権者自身の受給権(基本権)又は未支給年金の給付を受け得る地位ないし利益を承継し得る立場にあるというべきであり,個々の遺族が生計同一要件や先順位の遺族の有無についての審査を経て同条により未支給年金の給付を受けることができる遺族に該当するかどうかは,改めて同条1項に基づく未支給年金の請求がされた際の厚生労働大臣の判断に委ねられていると解するのが相当である。したがって,厚年法37条1項に列挙されている範囲-10-の遺族は,上記裁定等の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,上記裁定等の取消訴訟における原告適格を有するというべきである。 (3) これを本件についてみると,前記前提事実のとおり,原告Bは亡Aの配偶者で,原告C及び原告Dは亡Aの子であって,いずれも厚年法37条1項に列挙されている範囲の遺族に該当するから,本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,本件訴訟における原告適格を有するというべきである(なお,前記前提事実によると,本件処分によって時効消滅しているとされた平成16年11月以前の分以外の未支給年金は,平成24年5月15日に,原告Bに支給されているが,これは当該支給分についての判断がされたものにすぎず,仮に原告らが時効消滅を争う未支給年金分について本件処分が取り消されることにな の未支給年金は,平成24年5月15日に,原告Bに支給されているが,これは当該支給分についての判断がされたものにすぎず,仮に原告らが時効消滅を争う未支給年金分について本件処分が取り消されることになった場合には,改めて厚生労働大臣により厚年法37条により上記未支給年金分の給付を受けることができる遺族に該当するかどうかについての判断がされることになるから,現段階において,同項に列挙されている範囲の遺族である原告C及び原告Dについて本件処分の取消しを求める法律上の利益がないということはできない。)。 (4) なお,本件処分に対しては,原告Dのみが亡Aの承継人として同人のした審査請求手続を受け継ぎ,審査請求に対する社会保険審査官の決定及び再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経たにとどまり,原告B及び原告Cは,審査請求及び再審査請求を経ていないため,原告B及び原告Cについては,審査請求等前置の要件(行政事件訴訟法8条1項ただし書,厚年法91条の3)が問題となり得る。 しかしながら,前記(2)で説示したとおり,受給権者が,自らの受給権を否定する裁定又は決定の取消しを求めて審査請求等をしたものの,その係属中に死亡した場合には,当該受給権者に係る厚年法37条1項に列挙されている範囲の遺族は,いずれも上記裁定等が取り消されれば,当該受給権者自身の未支給年金の給付を受け得る地位ないし利益等を承継し得る立場にある-11-上,当該受給権者の同順位の遺族が同項に基づきした請求は,全員のためその全額につきしたものとみなされ,同順位の遺族の1人に対してした支給は全員に対してしたものとみなされるのであるから(同条5項),亡Aの承継人として審査請求手続を受け継いだ原告Dと,同原告と同順位にある原告C及び先順位にある原告Bとは,本件処分について一体 した支給は全員に対してしたものとみなされるのであるから(同条5項),亡Aの承継人として審査請求手続を受け継いだ原告Dと,同原告と同順位にある原告C及び先順位にある原告Bとは,本件処分について一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,原告Dが承継した審査請求及び再審査請求は,同時に他の原告らのためにした審査請求及び再審査請求でもあるといえるような特段の事情が存するというべきである。 したがって,原告B及び原告Cについても,審査請求等の手続が経由されたものと同視することができるから,上記原告らの訴えは適法である(最高裁昭和58年(行ツ)第75号同61年6月10日第三小法廷判決・裁判集民事148号159頁参照)。 2 争点2(本件処分の適法性)について(1)ア厚年法は,基本権たる年金受給権の発生要件や給付金額に関する規定を設けながら,厚生労働大臣において,受給権者の裁定請求に基づいて年金受給権を裁定することとしているが(33条),これは画一公平な処理により無用の紛争を防止し,給付の法的確実性を担保するため,その権利の発生要件の存否や金額等につき厚生労働大臣が公権的に確認するのが相当であるとの見地から,基本権たる年金受給権について,厚生労働大臣による裁定を受けて初めて支給が可能となる旨を明らかにしたものである(最高裁平成3年(行ツ)第212号同7年11月7日第三小法廷判決・民集49巻9号2829頁参照)。 イ他方,各支払期月に支払われるべき具体的な年金を受給する権利は,基本権たる年金受給権に基づいて成立する支分権であり,厚生労働大臣等による裁定を必要とせず,法律の定めるところにより基本権から当然に発生するものであり,一定の支払期限の到来によって具体化し,成立するもの-12-である。 ウ平成19 り,厚生労働大臣等による裁定を必要とせず,法律の定めるところにより基本権から当然に発生するものであり,一定の支払期限の到来によって具体化し,成立するもの-12-である。 ウ平成19年法律第111号による改正前の厚年法92条1項は,保険給付を受ける権利は,5年を経過したときは,時効によって消滅する旨規定しているところ,これは基本権を対象とするものであり,支分権については同条の適用はなく,会計法30条後段により5年の消滅時効に服するものとされ,さらに,同法31条1項後段により,その消滅時効については,時効の援用を要せず,また,時効の利益を放棄することもできず,その消滅の効果は絶対的に生ずるとされている。 そうすると,支分権たる年金受給権は,会計法の規定に従い,その発生から5年を経過する都度,自動的に順次時効消滅するということになり,このことは,基本権について裁定を受けていない場合であっても,裁定請求をすることができる状態にあった以上,変わるところはないというべきである。 エ時効特例法は,基礎年金番号に統合されていない記録が存在していることなど年金記録の管理をめぐって国民の間に不信・不安が高まっていることに鑑み,年金記録の訂正に伴う増額分の年金が,時効により消滅して支給できなくなるという不利益を解消するために制定されたものである。具体的には,同法の施行の日以前に厚生年金保険法の受給権者であった者(時効特例法の施行の日以前に年金を受給できていたはずなのに記録漏れのために受給資格がないとされていた者を含む。)について,年金記録の訂正がされた上で基本権に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合においては,その裁定による当該訂正に係る基本権に基づき支払われる保険給付の支分権について裁定の日までに消滅時 ついて,年金記録の訂正がされた上で基本権に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合においては,その裁定による当該訂正に係る基本権に基づき支払われる保険給付の支分権について裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても,年金を支払う旨の特例措置を規定したものであって,①同法施行前に基本権についての裁定を受けて年金を受給していた者について,記録の訂正により年金額が増えた場合や,②同法施行前に年金を受給することがで-13-きていたはずなのに記録漏れのために受給資格がないとされていた者について,記録の訂正により受給資格があることが明らかになり,裁定を受けて年金を実際に受給することができることとなった場合に,未支給年金の支分権について,消滅時効が既に完成している部分についても年金を支払うこととしたものである。これにより,過去5年より前の支払分の年金を含め,記録の訂正に係る増額分は全て支払われることとなる。 もっとも,上記のような時効特例法の趣旨,目的に照らすと,単なる裁定請求の遅れなどによりその年金の支給を受けないまま時効消滅した場合のように,年金記録の訂正に関わらないものについては,同法による救済の対象とはならないものというべきである。 オ以上で説示したことからすれば,時効特例法1条の規定する「厚生年金保険法28条の規定により記録した事項の訂正がされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合」とは,①記録した事項が訂正されたことによって,受給資格を満たしていることが新たに判明し,初めて基本権が裁定されるに至った場合,②基本権について裁定はあったが,当該裁定の基礎となっていた記録した事項が訂正されたことによって,当該裁定そのものの訂正を要するに至った場合のいずれかの場合をいうも 基本権が裁定されるに至った場合,②基本権について裁定はあったが,当該裁定の基礎となっていた記録した事項が訂正されたことによって,当該裁定そのものの訂正を要するに至った場合のいずれかの場合をいうものと解するべきである。 (2) これを本件についてみるに,前記前提事実(2)のとおり,亡Aの厚生年金保険の被保険者期間は,訂正前の年金記録に基づけば,昭和59年▲月に40歳以降15年に達しており,亡Aは,年金記録の訂正によらなくとも,同時点で,既に老齢年金の受給資格を満たし,基本権たる年金受給権を取得していたものである。ところが,亡Aは,長年にわたって老齢年金の裁定請求を怠っていたために,本件不支給部分に係る支分権が時効消滅することとなったものであり,前記前提事実(4)のとおり,年金記録の訂正が行われたとしても,それは亡Aが老齢年金の基本権を有していることが新たに判明したも-14-のではなく,年金記録が訂正された結果,老齢年金の基本権の取得時期が遡ったにすぎない。そうすると,本件は,上記(1)オの①又は②のいずれの場合にも該当せず,時効特例法1条に規定する「厚生年金保険法28条の規定により記録した事項の訂正がされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合」に当たらないというべきである。 したがって,本件処分は,適法である。 (3) これに対し,原告らは,社会保険庁から老齢年金の受給権(基本権)が発生したことについて連絡がなかったのであるから,支分権についても時効消滅せず,受給権発生当時から支給されるべきである旨主張する。 しかしながら,厚年法においては,受給権(基本権)についての裁定は受給権者からの請求を待って行われるものとされているのであり(厚年法33条),国ないしその機関にお るべきである旨主張する。 しかしながら,厚年法においては,受給権(基本権)についての裁定は受給権者からの請求を待って行われるものとされているのであり(厚年法33条),国ないしその機関において,受給権者に対し,受給権の発生等につき通知等をすべき法的義務を負うことを定めた規定は存しない。 したがって,原告らの上記主張は,失当というほかはなく,本件処分の適法性を左右するものではない。 第4 結論以上の次第で,原告らの請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官笹本哲朗-15- 裁判官平野佑子-16-(別紙)関係法令の定め 1 時効特例法の定め時効特例法1条は,同法の施行日である平成19年7月6日において厚生年金保険法による保険給付を受ける権利を有する者又は施行日前において当該権利を有していた者(同法37条の規定により未支給の保険給付の支給を請求する権利を有する者も含む。)について,同法28条の規定により記録した事項の訂正がされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合においては,その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利について当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても,当該権利に基づく保険給付を支払うものとする旨規定している。 2 旧厚年法の定め(1) 老齢年金ア受給権者旧厚年法42条1項は,老齢年 完成した場合においても,当該権利に基づく保険給付を支払うものとする旨規定している。 2 旧厚年法の定め(1) 老齢年金ア受給権者旧厚年法42条1項は,老齢年金は,被保険者又は被保険者であった者が次の各号の一に該当する場合に,その者に支給する旨を定めている。 1号被保険者期間が20年以上である者が,60歳(第3種被保険者としての被保険者期間が20年以上である者及び女子については,55歳。 以下この号及び次号において同じ。)に達した後に被保険者の資格を喪失したとき,又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなく60歳に達したとき。 2号 40歳(女子については,35歳)に達した月以後の被保険者期間が15年以上(そのうち,7年6か月以上は,第4種被保険者以外の被保-17-険者としての被保険者期間でなければならない。)である者が,60歳に達した後に被保険者の資格を喪失したとき,又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして60歳に達したとき。 3号 35歳に達した月以後の第3種被保険者としての被保険者期間が15年以上である者が,55歳に達した後に被保険者資格を喪失したとき,又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして55歳に達したとき。 4号同法42条1項1号から3号までのいずれかに規定する被保険者期間を満たしている被保険者が65歳に達したとき,又は被保険者が65歳に達したときに上記各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たすに至ったとき。 5号同法42条1項1号から3号までのいずれかに規定する被保険者期間を満たしている被保険者が,60歳以上65歳未満である間において,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等 き。 5号同法42条1項1号から3号までのいずれかに規定する被保険者期間を満たしている被保険者が,60歳以上65歳未満である間において,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等級に該当するに至ったとき,又は60歳以上65歳未満である被保険者であって,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等級であるものが,上記各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たすに至ったとき。 イ年金額(ア) 旧厚年法43条1項は,老齢年金の額は,基本年金額に加給年金額を加算した額とする旨を定めている。 (イ) 旧厚年法43条3項は,同条1項の基本年金額については,受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は,その計算の基礎としない旨を定めている。 (ウ) 旧厚年法43条4項は,被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し,かつ,被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは,同条3項の規定にかかわら-18-ず,その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を基本年金額の計算の基礎とするものとし,資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から,年金の額を改定する旨を定めている。 (エ) 旧厚年法44条1項は,加給年金額は,受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の配偶者,18歳未満の子又は旧厚年法別表第一に定める1級若しくは2級の障害の状態にある子について計算される旨規定している。 ウ支給停止①旧厚年法46条1項本文は,老齢年金は,受給権者である被保険者が65歳に達するまでの間は,その支給を停止する旨を,②同項ただし書は,受給権者である被保険者 ている。 ウ支給停止①旧厚年法46条1項本文は,老齢年金は,受給権者である被保険者が65歳に達するまでの間は,その支給を停止する旨を,②同項ただし書は,受給権者である被保険者が60歳以上65歳未満である間において,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等級である期間があるときは,その期間については,等級に応じ,老齢年金の額の一部の支給を停止する旨を,それぞれ定めている。 (2) 通算老齢年金ア受給権者旧厚年法46条の3は,通算老齢年金は,被保険者期間が1年以上である者で老齢年金を受けるに必要な被保険者期間を満たしていないものが,次の各号の一に該当する場合に,その者に支給する旨を定めている。 1号次のいずれかに該当する者が,60歳に達した後に被保険者の資格を喪失したとき,又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして60歳に達したとき。 イ通算対象期間を合算した期間が,25年以上であること。 ロ国民年金以外の公的年金制度に係る通算対象期間を合算した期間が,20年以上であること。 -19-ハ他の公的年金制度に係る通算対象期間が,当該制度において定める老齢・退職年金給付を受けるに必要な資格期間に相当する期間以上であること。 ニ他の制度から老齢・退職年金を受けることができること。 2号 60歳に達した後に被保険者の資格を喪失し,又は被保険者の資格を喪失した後に60歳に達した者が,被保険者となることなくして同法46条の3第1号イからニまでのいずれかに該当するに至ったとき。 3号同法46条の3第1号イからニまでのいずれかに該当する被保険者が65歳に達したとき,又は被保険者が65歳に達した後に同号イから の3第1号イからニまでのいずれかに該当するに至ったとき。 3号同法46条の3第1号イからニまでのいずれかに該当する被保険者が65歳に達したとき,又は被保険者が65歳に達した後に同号イからニまでのいずれかに該当するに至ったとき。 4号同法46条の3第1号イからニまでのいずれかに該当する被保険者が,60歳以上65歳未満である間において,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等級に該当するに至ったとき,又は60歳以上65歳未満である被保険者であって,その者の標準報酬等級が第1級から第20級までの等級であるものが,同号イからニまでのいずれかに該当するに至ったとき。 イ年金額(ア) 旧厚年法46条の4第1項は,通算老齢年金の額は,基本年金額に相当する額とする旨を定めている。 (イ) 老齢年金に係る旧厚年法43条3項及び同条4項の規定は,同法46条の4第3項によって,通算老齢年金にも準用されている。 ウ失権旧厚年法46条の6は,通算老齢年金の受給権は,受給権者が死亡したとき又は老齢年金の受給権を取得したときは,消滅する旨を定めている。 3 厚年法の定め-20-(1) 記録厚年法28条は,厚生労働大臣は,被保険者に関する原簿を備え,これに被保険者の氏名,資格の取得及び喪失の年月日,標準報酬,基礎年金番号その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない旨を定めている。 (2) 裁定厚年法33条は,保険給付を受ける権利は,その権利を有する者の請求に基いて,厚生労働大臣が裁定する旨規定している。 (3) 年金の支給期間及び支払期月ア厚年法36条1項は,年金の支給は,年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め,権利が の請求に基いて,厚生労働大臣が裁定する旨規定している。 (3) 年金の支給期間及び支払期月ア厚年法36条1項は,年金の支給は,年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め,権利が消滅した月で終わるものとする旨を定めている。 イ厚年法36条3項本文は,年金は,毎年2月,4月,6月,8月,10月及び12月の6期に,それぞれその前月分までを支払う旨を定めている(なお,平成元年法律第86号による改正前は,毎年2月,5月,8月及び11月の4期に,それぞれの前月までの分を支払う旨定められていた。)。 (4) 未支給の保険給付ア厚年法37条1項は,保険給付の受給権者が死亡した場合において,その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは,その者の配偶者,子,父母,孫,祖父母又は兄弟姉妹であって,その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは,自己の名で,その未支給の保険給付の支給を請求することができる旨を定めている。 イ厚年法37条3項は,同条1項の場合において,死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは,同項に規定する者は,自己の名で,その保険給付を請求することができる旨を定めている。 ウ厚年法37条4項は,未支給の保険給付を受けるべき者の順位は,第1項に規定する順序による旨定めている。 エ厚年法37条5項は,未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以-21-上あるときは,その1人のした請求は,全員のためその全額につきしたものとみなし,その1人に対してした支給は,全員に対してしたものとみなす旨定めている。 (5) 受給権の保護及び公課の禁止厚年法41条1項本文は,保険給付を受ける権利は,譲り渡し,担保に とみなし,その1人に対してした支給は,全員に対してしたものとみなす旨定めている。 (5) 受給権の保護及び公課の禁止厚年法41条1項本文は,保険給付を受ける権利は,譲り渡し,担保に供し,又は差し押さえることができない旨規定している。 (6) 不服申立てと訴訟との関係厚年法91条の3は,同法90条1項又は91条に規定する処分の取消しの訴えは,当該処分についての再審査請求又は審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができない旨定めている。 (7) 時効厚年法92条1項(平成19年法律第111条による改正前のもの。)は,保険給付を受ける権利は,5年を経過したときは,時効によって消滅する旨などを定めている。 4 会計法の定め(1) 会計法30条後段は,国に対する権利で,金銭の給付を目的とするものは,5年間これを行わないときは,時効により消滅する旨を定めている。 (2) 会計法31条1項後段は,国に対する権利で,金銭の給付を目的とするものについては,別段の規定がないときは,時効の援用を要せず,また,その利益を放棄することができないものとする旨を定めている。 5 社会保険審査官及び社会保険審査会法の定め社会保険審査官及び社会保険審査会法12条は,審査請求人が審査請求の決定前に死亡したときは,承継人が,審査請求の手続を受け継ぐ旨規定している。

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