令和1(ワ)916 不当利得返還等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年5月13日 札幌地方裁判所
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判決文本文17,209 文字)

- 1 -判決 主文 1 被告は,原告1に対し,17万6787円及びこれに対する令和3年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告2に対し,121万1306円及びこれに対する令和3年5月1 3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを6分し,その1を原告らの,その余を被告の各負担とする。 5 この判決は,1,2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 被告は,原告1に対し,21万5904円及びうち17万6787円に対する平成30年12月28日から,うち3万円に対する令和元年6月4日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告2に対し,204万9492円及びうち121万1306円に対 する平成31年1月12日から,うち24万円に対する令和元年6月4日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は,仮に執行することができる。 第2 事案の概要 1 本件は,日本育英会(被告の被承継団体。以下,承継の前後を問わず「被告」ということがある。)から第2種奨学金を借り受けた元奨学生の保証人であった原告1と,同保証人であった亡2が,被告の請求により,自己の保証債務額(貸金返還債務の各2分の1)を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して,原告1及び原告2(亡2の相続人)が,下記金員の支払を求めている事案である。 (1) 原告1 - 2 -ア不当利得返還請求権に基づいて,①過払元金17万6787円,②民法(平成29年法律第44号に 人)が,下記金員の支払を求めている事案である。 (1) 原告1 - 2 -ア不当利得返還請求権に基づいて,①過払元金17万6787円,②民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)704条に基づいて平成30年12月27日までに発生した民法所定の確定遅延利息9117円,③過払元金に対する同月28日から支払済みまで民法704条に基づく民法所定の年5分の割合による遅延利息 イ不法行為に基づいて,慰謝料3万円及びこれに対する令和元年6月4日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金(2) 原告2ア不当利得返還請求権に基づいて,①過払元金121万1306円,②民法 704条に基づいて平成31年1月11日までに発生した民法所定の確定遅延利息59万8186円,③過払元金に対する同月12日から支払済みまで民法704条に基づく民法所定の年5分の割合による遅延利息イ不法行為に基づいて,慰謝料24万円及びこれに対する令和元年6月4日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延 損害金 2 前提事実証拠等を掲記したもの以外,当事者間に争いがない。 (1) 本件保証契約1ア元奨学生1は,平成9年6月頃,被告から,入学した学校の学資に充てる ため,第2種奨学金100万8000円を,年利2%,被告が定める返還開始年度の10月から毎月8513円(最終割賦金8510円)ずつ132回の月賦で返還する約定で借り入れた(以下「本件奨学金1」という。)。 イ元奨学生1の父(以下,「連帯保証人1」ということがある。)は,平成11年3月31日,被告に対して,本件奨学金1について連帯 賦で返還する約定で借り入れた(以下「本件奨学金1」という。)。 イ元奨学生1の父(以下,「連帯保証人1」ということがある。)は,平成11年3月31日,被告に対して,本件奨学金1について連帯保証した。 また,原告1は,同日,元奨学生1の委託を受けて,被告に対して,本件 - 3 -奨学金1について単純保証した(以下「本件保証契約1」という。)。 ウ元奨学生1は,平成11年3月に学校を卒業して,同年10月から本件奨学金1の支払を開始したが,支払が遅延し,平成24年10月10日時点で,本件奨学金1の債務残高が93万6427円に達していた。 被告は,同日,原告1に対し,本件保証契約1に基づいて,93万642 7円の支払を請求した。 原告1は,被告に対し,本件保証契約1に基づいて,別紙・入金一覧表(添付省略)のとおり,平成24年10月22日から平成31年1月までの間に,合計67万0800円を支払った。なお,被告は,このうち2万5800円については,分別の利益を認め,同年3月22日に原告1に返還した。 (2) 本件保証契約2ア元奨学生2は,平成20年2月までに,被告から,入学した学校の学資に充てるため,第2種奨学金240万円を,年利1.75625%,被告が定める返還開始年度の次年度10月から毎月1万4739円(最終割賦金1万4847円)ずつ180回の月賦で返還する約定で借り入れた(以下「本件 奨学金2」という。)。 イ元奨学生2の父(以下,「連帯保証人2」ということがある。)は,平成20年3月31日,被告に対して,本件奨学金2について連帯保証した。 また,亡2は,同日,元奨学生2の委託を受けて,被告に対して,本件奨学金2について単純保 」ということがある。)は,平成20年3月31日,被告に対して,本件奨学金2について連帯保証した。 また,亡2は,同日,元奨学生2の委託を受けて,被告に対して,本件奨学金2について単純保証した(以下「本件保証契約2」という。)。 ウ元奨学生2は,平成20年10月から本件奨学金2の支払を開始すべきところ,一度もその支払をしなかった。 亡2は,平成21年2月24日,本件保証契約2に基づいて,242万2613円を支払った。 エ亡2は,平成28年12月28日,死亡した。 亡2の相続人は,原告2(亡2の妻)及び亡2の子3人で全員であり,平 - 4 -成31年1月1日,本件保証契約2に関する被告に対する不当利得返還請求権を原告2が単独で相続する旨の遺産分割協議を行った。(甲11)(3) 本件省令等の定め及び本件手引きの記載ア元奨学生1,連帯保証人1及び原告1が作成した本件奨学金1の奨学金借用証書には,被告の奨学規程その他の規定及び同借用証書用紙と併せて受領 した「返還のてびき」(以下「本件手引き」という。)記載の取扱いに従って奨学金を返還する旨が記載されている。 元奨学生2,連帯保証人2及び亡2が作成した本件奨学金2の返還誓約書にも,同内容の記載がある。 イ日本育英会が行う学資金回収業務の方法に関する省令(昭和59年文部省 令42号。)4条及び独立行政法人日本学生支援機構に関する省令(平成16年文部科学省令23号)28条には,「被告は,学資貸与金要返還者(注・元奨学生)又は連帯保証人に対する督促によっては割賦金の返還を確保することが困難であると認めるときは,当該要返還者の連帯保証人以外の保証人に対し,延滞している割賦金の額及びその 貸与金要返還者(注・元奨学生)又は連帯保証人に対する督促によっては割賦金の返還を確保することが困難であると認めるときは,当該要返還者の連帯保証人以外の保証人に対し,延滞している割賦金の額及びその支払方法等を示して返還を請求す るものとする。」旨の規定がある(以下「本件省令等の定め」という。)。 ウ本件手引きには,保証人について「本人や連帯保証人が返還しない場合,本人に代わって返還する人です。」などと記載され,特に平成19年度の本件手引きには「4親等以内の親族でない人を連帯保証人・保証人にする場合は,返還総額の返還を確実に保証できる人を選んでください。」と記載され ている。 3 原告らの主張(1) 保証契約の分別の利益についてアいわゆる分別の利益(民法456条,427条)は,実体法上,債権者と第三者との間で,主たる債務について保証契約が成立することにより当然に 効果が生じるものであって,保証人の援用(権利主張)を要しない。 - 5 -イ本件省令等の定めは保証人に対する延滞金の請求方法を規定したものであり,被告が保証人に対して全額を請求することを認めた規定ではない。 本件手引きの記載も,元奨学生や連帯保証人が支払をしない場合に責任を負うという当然の事柄と,親族ではない者を保証人にする際には弁済資力を有する者とすることを求めるもの(平成19年度の本件手引き)に過ぎず, 民法456条の適用を排除する特約ということはできない。 (2) 保証人が分別の利益を知らずに負担部分を超えて支払った場合の効力についてア保証人が,分別の利益を知らずに主たる債務の全額について保証債務を負っていると誤信して,自らの負担部分を超えた支払を行ったときは,当該超 過 分を超えて支払った場合の効力についてア保証人が,分別の利益を知らずに主たる債務の全額について保証債務を負っていると誤信して,自らの負担部分を超えた支払を行ったときは,当該超 過部分について債務が存在しないのに錯誤に基づき弁済をしたことになるから,有効な弁済とはいえず,被告の利得は法律上の原因を欠く。 イこの点,被告は,保証人が分別の利益を知らずに負担部分を超えて支払った場合であっても,事務管理(民法697条)が成立するから,かかる弁済は有効であると主張する。しかしながら,この場合,保証人は,自らの保証 債務の履行と誤信して弁済しているのであって,主債務者又は共同保証人(以下「主債務者等」という。)のための事務として弁済しているわけではないから,事務管理は成立しない。 (3) 被告が悪意の受益者であることについて被告は,原告1・亡2が保証人として分別の利益を有し,本件奨学金1・2 の残債務の2分の1の保証債務しか負わないことを知っていたのに,これを超える部分について支払を受けたのであるから,悪意の受益者(民法704条)として,受領時から遅延利息の支払義務を負う。 (4) 保証人の負担部分を超える金額についての請求が不法行為を構成することについて 被告は,原告1・亡2が本件奨学金1・2の残債務の2分の1の保証債務し - 6 -か負っていなかったのに,その事実を秘して全額の支払を請求し,原告ら(原告2は亡2の代理人)をして全額の支払義務があるものと誤信させた。 被告のかかる行為は不法行為を構成する。 (5) 原告1の個別事情についてア原告1は,元教え子であった元奨学生1から依頼され,被告との間で本件 保証契約1を締結した。 被告のかかる行為は不法行為を構成する。 (5) 原告1の個別事情についてア原告1は,元教え子であった元奨学生1から依頼され,被告との間で本件 保証契約1を締結した。 イ原告1は,被告の担当者から,元奨学生1が既に自己破産し,連帯保証人1も死亡している事実を聞かされていたのであって,自己の負担部分を超える部分を第三者弁済等して,後日,元奨学生1らに求償しようなどと考えていたはずなどない。 原告1が自己の負担部分を超えて支払を続けたのは,分別の利益を放棄したためでも,元奨学生1らのためでもなく,本件奨学金1の残債務全額について保証債務を負っていると誤信し,被告の請求に応じなければ自身の財産が差押えを受けると考えた結果,自己の債務として支払ったものである。したがって,原告1が負担部分を超えてした弁済は,債務が存在しないのに支 払ったものに他ならない。 ウ原告1は,本件保証契約1に基づく保証債務額が本件奨学金1の残債務(93万6427円)の2分の1(46万8213円)であるのに,全額の支払義務があると誤信して合計64万5000円を支払ったのであるから,差額の17万6787円が過払となっており,被告の不当利得となる。 原告1が上記の支払をしたのは,被告が原告1に対して分別の利益について説明することなく残債務全額の請求を行ったためであり,これは,不法行為を構成する。これによる原告1の損害(慰謝料)は3万円が相当である。 (6) 亡2(原告2)の個別事情についてア本件保証契約2は,亡2の妻である原告2が,亡2から家のこと全般につ いて包括的な委任を受け,亡2にその旨を告げずに,亡2の代理人として締 - 7 -結した。 イ原告2 ア本件保証契約2は,亡2の妻である原告2が,亡2から家のこと全般につ いて包括的な委任を受け,亡2にその旨を告げずに,亡2の代理人として締 - 7 -結した。 イ原告2は,元奨学生2及びその父(連帯保証人)と連絡が取れない状態の下,被告から送付された「奨学金の返還について」(甲7,8)を亡2宛の請求書であると考え,本件奨学金2の残債務全額を弁済した。 原告2が,亡2の代理人として,亡2の負担部分を超えて残債務全額を支 払ったのは,分別の利益を放棄したためでも,元奨学生2らのためでもなく,本件奨学金2の残債務全額について保証債務を負っていると誤信し,被告の請求に応じなければ亡2の財産が差押えを受け,本件保証契約2を締結したことが亡2に発覚すると考えたためである。したがって,原告2が負担部分を超えてした弁済は,債務が存在しないのに支払ったものに他ならない。 ウ原告2は,亡2の代理人として,本件保証契約2に基づく保証債務額が本件奨学金2の残債務(242万2613円)の2分の1(121万1307円)であるのに,全額の支払義務があると誤信して242万2613円を支払ったのであるから,差額の121万1306円が過払となっており,被告の不当利得となる。 原告2が亡2の代理人として上記の支払をしたのは,被告が亡2に対して分別の利益について説明することなく残債務全額の請求を行ったためであり,これは,不法行為を構成する。これによる亡2の損害(慰謝料)は24万円が相当である。 原告2は,亡2の上記不当利得返還請求権及び損害賠償請求権を相続した。 4 被告の主張(1) 保証契約の分別の利益についてア訴訟法上,分別の利益が認められるためには,保 原告2は,亡2の上記不当利得返還請求権及び損害賠償請求権を相続した。 4 被告の主張(1) 保証契約の分別の利益についてア訴訟法上,分別の利益が認められるためには,保証人が,他の共同保証人の存在を主張・立証しなければならないと解されている。すなわち,分別の利益は,権利の一部消滅事由又は一部障害事由であって,保証人は,分別の 利益を主張しない限り,主たる債務全額に相当する保証債務を負うことにな - 8 -る。 イまた,原告らは,本件省令等の定めや,本件手引きの記載に従って奨学金を返還する旨を誓約して,本件保証契約1・2を締結しており(前提事実(3)),奨学金の残債務全額の返還を求められることを了解していた。 ウしたがって,本件保証契約1・2は,保証人が分別の利益を援用すること によって初めて,実体法上,保証債務の額が保証人の頭数に応じて分割されるのであり,保証人は,分別の利益を主張しない限りは,通常の保証と同様に,主たる債務全額に相当する保証債務を各自負担すると解すべきである。 (2) 保証人が分別の利益を知らずに負担部分を超えて支払った場合の効力について 仮に,保証人が,分別の利益の主張をしなくても,法律上当然に共同保証人の頭数で分割された保証債務しか負担しないと解したとしても,以下のとおり,保証人が,主たる債務の全額又はその負担部分を超えてした弁済は有効である。 ア分別の利益を有する保証人が,自己の負担部分を超えて,弁済した場合,主債務者に対しては民法462条1項,他の共同保証人に対しては同法46 5条2項の準用する同法462条1項を根拠として,それぞれ求償権を取得するところ,これらの求償権の法的性質は事務管理に基づく費用償還請求権と解さ 62条1項,他の共同保証人に対しては同法46 5条2項の準用する同法462条1項を根拠として,それぞれ求償権を取得するところ,これらの求償権の法的性質は事務管理に基づく費用償還請求権と解される。そのため,分別の利益を有する保証人が,その負担部分を超えてした弁済の有効性については,事務管理の成否を検討する必要がある。 イ保証人は,主債務者が債務を履行しないときにその履行をする責任を負う のであり(民法446条1項),保証債務の履行は,保証人自身の債務の履行であるとともに,主債務者のための事務(弁済)でもある。また,保証人は,このような責任を負うことを理解して保証契約を締結した以上,その後,主債務者と疎遠になったり,主債務者が無資力になったりという事情があったとしても,弁済時における「主債務者のためにする意思」を特に否定する ような特段の事情がない限り,当該弁済は主債務者のためになされたという - 9 -性質は否定されない。よって,分別の利益を有する保証人が,その負担部分を超えてした弁済には,事務管理が成立する。 ウ以上のように,保証人がその負担部分を超えてした弁済に事務管理が成立する以上,当該弁済は有効と扱われるのであって,当該保証人から債権者に対する自己の負担部分の超過額についての不当利得返還請求は認められず, このことは,保証人が,分別の利益を有することを認識していたか否かによって左右されないというべきである。 (3) 被告が悪意の受益者であるとの原告らの主張について争う。 (4) 被告が不法行為責任を負わないことについて ア保証人が,分別の利益を主張して自己の負担部分のみの弁済を行うか,分別の利益を主張せずに自己の負担部分を超える部分についても弁済を行い,後 告が不法行為責任を負わないことについて ア保証人が,分別の利益を主張して自己の負担部分のみの弁済を行うか,分別の利益を主張せずに自己の負担部分を超える部分についても弁済を行い,後に主債務者等に求償するかは,保証人自身が選択すべきことである。しかも,保証人が分別の利益を有することは,誰でもアクセスできる基本法たる民法に明記されており,専門家に相談してその知見を得ることも容易である (実際,原告らは,弁護士に相談した上で,弁済を行っている。)。 したがって,分別の利益を有する保証人に対して,その旨を告げずに一括請求したとしても,直ちに説明義務違反の違法があるということはできない。 イなお,被告は,亡2(原告2)に対して,「奨学金の返還について」を送付しているが,これは,元奨学生2らへの遅滞解消の督促を依頼したものに過 ぎず,本件奨学金2の残債務を一括請求したものではない。 (5) 原告1の個別事情についてア原告1は,元教え子であった元奨学生1を応援する前向きな気持ちから,保証人として,元奨学生1が弁済できない場合には元奨学生1に代わって弁済しなければならないという責任を自覚した上で,本件保証契約1を締結し たものである。 - 10 -イ原告1は,その後,元奨学生1の破産などを知ったが,保証人としての責任を果たすために分割払いで弁済を続けてきたのであり,それはまさに,主債務者が弁済できないから,主債務者に代わって,主債務者のためにする意思に基づいて弁済してきたということに他ならない。 (6) 亡2(原告2)の個別事情について ア原告2は,甥である元奨学生2が母を亡くして大変な時期であったことや,元奨学生2の就職を祝うという意味を込めて, うことに他ならない。 (6) 亡2(原告2)の個別事情について ア原告2は,甥である元奨学生2が母を亡くして大変な時期であったことや,元奨学生2の就職を祝うという意味を込めて,元奨学生2を応援する前向きな気持ちから,保証人として,元奨学生2が弁済できない場合には元奨学生2に代わって弁済しなければならないという責任を自覚した上で,亡2の代理人として本件保証契約2を締結したものである。 イ原告2は,その後,元奨学生2と疎遠になったが,元奨学生2らが支払うべきものを,同人らに代わって一括弁済したのであり,それはまさに,主債務者が弁済できないから,主債務者に代わって,主債務者のためにする意思に基づいて弁済したということに他ならない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実に各掲記の証拠等を総合すると,以下の事実が認められる。 (1) 本件保証契約1とその履行等ア原告1は,元高校教師であったところ,平成10年11月頃,前年に原告1が担任として卒業させた元奨学生1から,保証人になってもらうよう委託 され,平成11年3月31日,本件保証契約1を締結した。原告1が教え子の保証人になったのは,元奨学生1以外にはいない。 原告1は,本件保証契約1締結時,保証人が分別の利益を有することを知らなかった。(甲32〔2頁〕,原告1本人〔12頁〕)イ元奨学生1は,平成11年3月に短大を卒業して就職し,同年10月から 本件奨学金1の返済を開始したが,就職先を辞めてしまったため,本件奨学 - 11 -金1の返済が滞るようになり,平成24年4月4日,破産手続開始決定を受けた。(弁論の全趣旨〔訴状・3頁〕,乙15〔項番52〕)。 ウ原告1は,平成2 まったため,本件奨学 - 11 -金1の返済が滞るようになり,平成24年4月4日,破産手続開始決定を受けた。(弁論の全趣旨〔訴状・3頁〕,乙15〔項番52〕)。 ウ原告1は,平成24年5月11日頃,被告から,本件奨学金1の残債務146万5166円を一括で支払うよう求める督促状の送付を受けた。 原告1は,同年7月2日頃,被告に対し,状況届(「年金の他,警備会社で パートとして稼働している。妻の病院費用や娘の奨学金の返還などのため,人様の子を助ける余裕はない。連帯保証人1は死亡したが,母は生きているはず。」などと記載あり。)及び平成24年度所得証明書(給与収入169万7980円,公的年金等収入272万5063円)を送付した。 被告は,「検討した結果,今後の返還は可能と判断しました。分割返還に も対応できるので被告まで連絡して下さい。」などと記載した「奨学金の返還について」と題する書面を送付し,原告1は,同月8日,同書面を受け取った。また,被告は,原告1の求めに応じて,同月12日,原告1に対して,元奨学生1の住所及び同人は破産手続開始決定を受けていることなどを記載した書面をファクシミリ送信した。(甲32〔2頁〕,乙15〔項番55~ 62〕)エ原告1は,平成24年8月か9月頃,元奨学生1の自宅を訪ねた。 元奨学生1は,食事も満足にできていない様子だった。原告1は,同年10月頃,生活保護を受けるための手助けをする際に元奨学生1と会ったが,元奨学生1は生活保護を受けることができず,その後,音信不通となった。 (甲32〔3,5頁〕)オ原告1は,平成24年7月8日以降,被告に電話するなどして,本件保証契約1の履行について協議を重ねた結果,同年8月13日,分割弁 その後,音信不通となった。 (甲32〔3,5頁〕)オ原告1は,平成24年7月8日以降,被告に電話するなどして,本件保証契約1の履行について協議を重ねた結果,同年8月13日,分割弁済に応じる旨を回答し,同月21日頃,毎月8600円を分割弁済する旨の分割返還計画書と延滞金減免願を被告に提出した。 その後も,原告1は,納得できず,弁護士会の無料法律相談を受けたが, - 12 -「支払わざるを得ない。」,「あなたの債務だから支払わなかったら差し押さえになる。」などと告げられた。 原告1は,同年10月10日,延滞金の減免を受け,同月22日から,本件奨学金1の残債務について,月額8600円の分割弁済を開始した。(甲3,32〔3~5頁〕,乙15〔項番61~71〕) カ原告1は,その後,約定の分割弁済を継続したが,なお納得できず,平成23年3月頃,再度,弁護士会の無料法律相談を受けたが,上記オと同様の説明を受けたにとどまった。(甲32〔4~5頁〕,乙15〔項番76〕)キ原告1は,平成30年11月頃,被告が分別の利益を知らせずに保証人に奨学金の全額を請求している旨の新聞報道を見て,初めて分別の利益につい て知り,同月1日,被告に問い合わせるとともに,同年12月頃,本件訴訟代理人に対して,被告への不当利得返還請求手続等を委任した。(甲3,32〔5頁〕,乙15〔項番86〕)(2) 本件保証契約2とその履行等ア元奨学生2は,原告2の兄の息子(原告2の甥)に当たる。 元奨学生2は,平成16年4月に大学に入学したが,平成19年4月,母(原告2の兄の妻)を亡くした。平成20年2月頃,必修の単位を落として留年し,就職先の内定を取り消された結果,同 元奨学生2は,平成16年4月に大学に入学したが,平成19年4月,母(原告2の兄の妻)を亡くした。平成20年2月頃,必修の単位を落として留年し,就職先の内定を取り消された結果,同年3月,別の就職先を大学からあっせんしてもらって,大学を中退した。(甲33〔2頁〕)イ原告2は,平成19年秋頃,元奨学生2及びその父(連帯保証人)から, 本件奨学金2について保証人になって欲しいと依頼された。原告2は,元奨学生2は就職が決まっていたこともあり,奨学金の返還ができなくなることはないだろうと考え,就職祝いの趣旨も兼ねて,承諾した。 もっとも,原告2自身は専業主婦で収入がなかったため,保証人になれないと考え,夫である亡2を保証人とすることとした。亡2は,当時単身赴任 していたこともあって,家のことはすべて原告2に任せており,「家のこと - 13 -は俺に言うな。」と言っていた。また,亡2は,金銭トラブル等に巻き込まれることを強く嫌っており,原告2との関係も険悪だった。そこで,原告2は,平成20年3月31日,亡2に相談することなく,亡2の代理人として本件保証契約2を締結した。 原告2は,本件保証契約2締結時,保証人が分別の利益を有することを知 らなかった。(甲33〔3~4頁〕,原告2本人〔8頁〕)ウ元奨学生2は,平成20年10月から本件奨学金2の返済を開始すべきところ,一度も支払をしなかった。 原告2は,同年秋から冬にかけて,被告から,「元奨学生2らと連絡がつかないので,居場所を知らないか。」と問い合わせる電話を複数回受け,被 告に元奨学生2の転居先を伝えるとともに,元奨学生2に電話やメール,手紙などを出したが,全く連絡が取れなかった。元奨学生2の父(原 で,居場所を知らないか。」と問い合わせる電話を複数回受け,被 告に元奨学生2の転居先を伝えるとともに,元奨学生2に電話やメール,手紙などを出したが,全く連絡が取れなかった。元奨学生2の父(原告2の兄)にも連絡したが,同人自身にも借金があり,返済が難しいとの話だった。 原告2は,平成21年1月10日頃,被告から,「本件奨学金2について4万3579円が延滞の状態にある。保証人である亡2において,元奨学生 2及び連帯保証人に対して,早急に延滞を解消するよう強く督促・指導してもらいたい。元奨学生2らから支払がない場合には,亡2に請求する場合がある。」旨を記載した「奨学金の返還について」(甲7)の送付を受け,同年2月3日頃にも同趣旨の書面(甲8。延滞額は5万8318円に増えていた。)の送付を受けたが,亡2にその旨を伝えることはしなかった。(甲7,8,3 3〔4~6頁〕)エ原告2は,平成21年2月18日,被告からの請求について,弁護士に相談した。 弁護士は,原告2に対して,「亡2は,被告から保証人として確実に奨学金の返還を求められる。延滞金は支払をしない限りどんどん増えていく。支 払をしない場合には裁判になることもある。亡2の代理として被告と交渉す - 14 -ることもできるが,あくまで亡2から依頼を受ける必要がある。亡2に内緒で処理するということであれば,被告からいくら払えばいいのかを聞いて延滞部分を都度払うか,残金を一括で支払うしかない。」とアドバイスしたが,亡2が分別の利益を有することについては説明しなかった。(甲31,33〔5~6頁〕) オ原告2は,弁護士のアドバイスも踏まえ,いち早く弁済して,亡2に請求が来ないようにしたいと考え,被告に電話したところ,本件奨 については説明しなかった。(甲31,33〔5~6頁〕) オ原告2は,弁護士のアドバイスも踏まえ,いち早く弁済して,亡2に請求が来ないようにしたいと考え,被告に電話したところ,本件奨学金2の残債務は242万2613円である旨を告げられた。そこで,原告2は,平成21年2月24日,亡2を代理して,被告に対し,同金額を振込送金した。(甲33〔6~7頁〕) 2 保証契約の分別の利益について(1) 本件保証契約1・2とも,原告1・亡2の他に連帯保証人1・2がいたから,原告1・亡2は,いわゆる分別の利益を有し,民法456条,427条により,本件奨学金1・2の残債務の2分の1の限度で保証債務を負う。 (2) 被告は,保証人が分別の利益を援用しない限り,主たる債務の全額に相当す る保証債務を負担しており,原告らが分別の利益を援用せずにした弁済は,原告らの負担部分を超える部分についても,自らの保証債務を履行したに過ぎないから,当然に有効であると主張する。 しかしながら,金銭債務などの可分債務は,民法427条により,債務者の特段の権利主張を要することなく当然に分割債務になるのであって,分別の利 益を規定した民法456条は,国によって立法例が分かれていることによる疑義をなくし,数人が各別の行為で保証した場合も含むことを示すために設けられた規定に他ならない。実際,民法456条は,「保証人は,…請求することができる。」(民法452条。いわゆる催告の抗弁),「保証人が…証明したときは…」(民法453条。いわゆる検索の抗弁)とは異なり,分別の利益の効果 発生に保証人の何らかの行為を要求していない。 - 15 -また,民法456条が保証人に分別の利益を認めた趣旨は,保証人の保護と法律関 索の抗弁)とは異なり,分別の利益の効果 発生に保証人の何らかの行為を要求していない。 - 15 -また,民法456条が保証人に分別の利益を認めた趣旨は,保証人の保護と法律関係の簡明のためであるが,かかる趣旨に照らしても,主たる債務が可分債務である場合には,各保証人は平等の割合をもって分割された額についてのみ保証債務を負担すると解するのが相当である。 よって,被告の上記主張は採用できない(債権者が数人の保証人の1人のみ を相手に全額の保証債務の履行を求める訴えを提起した場合に,他に保証人がいる旨の抗弁が主張されない限り,全額の支払を命ずる判決がなされることになるが,これは,実体法上の要件の主張責任が各当事者に分配され,各自が立証責任を負う要件事実を主張しなかった結果に過ぎない。このことは,弁済がなされて債権が実体法上消滅していたとしても,弁済の抗弁が主張されない限 り,当該債権が有効に存在することを前提として判決されるのと同じことである。)。 (3) なお,被告は,原告らは本件省令等の定めや本件手引きの記載に従って奨学金を返還する旨を誓約して,本件保証契約1・2を締結したのだから,奨学金の残債務全額の返還を求められることを了解していた旨を主張する。 しかしながら,本件省令等の定めは,被告による奨学金の返還請求方法を定めたものに過ぎず,保証人が被告に対し奨学金の残債務全額を負担することを定めたものとは解されない。本件手引きの記載も,主債務者が支払をしない場合に保証人が責任を負うとの当然の事柄を説明したに過ぎず,やはり,被告が保証人に奨学金の残債務全額を請求することができる旨を定めたものとは解 されない(平成19年度の本件手引きの記載も,一定の資力を有する保証人を選ぶこ 然の事柄を説明したに過ぎず,やはり,被告が保証人に奨学金の残債務全額を請求することができる旨を定めたものとは解 されない(平成19年度の本件手引きの記載も,一定の資力を有する保証人を選ぶことを求めるものに過ぎない。保証人としては,分別の利益を援用することなく保証債務全額を支払うことも可能なのであって,そのような資力を有する保証人を選ぶことが求められていたからといって,当該保証人が当然に保証債務全額の請求を受けることを承諾していたということはできない。)。 被告の上記主張は採用できない。 - 16 - 3 保証人が分別の利益を知らずに自己の負担部分を超えてした弁済の効力について(1) 保証人が,分別の利益を有していることを知らずに,自己の負担を超える部分を自己の保証債務と誤信して債権者に対して弁済した場合には,この超過部分に対する弁済は,保証債務を負っていないのに,錯誤に基づき自己の保証債 務の履行として弁済をしたものといえるから,「債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合」(民法707条1項),すなわち非債弁済に他ならない。そのため,保証人による自己の負担を超える部分に対する弁済は無効であって,保証人は,債権者に対し,当該超過部分相当額の不当利得返還請求権を有するというべきである。 (2)アこれに対して,被告は,保証人による自己の負担部分を超えてした弁済は,他人(主債務者等)のための事務管理に当たり,弁済は有効となるから,保証人の債権者に対する自己の負担の超過部分相当額の不当利得返還請求は認められないと主張する。しかし,他人の事務を自己の事務と誤信した場合には他人のためにしたとはいえず,事務管理は成立しないところ,保証人が 自己の負担を超える部分を自己の保証債務 得返還請求は認められないと主張する。しかし,他人の事務を自己の事務と誤信した場合には他人のためにしたとはいえず,事務管理は成立しないところ,保証人が 自己の負担を超える部分を自己の保証債務と誤信して弁済した場合についても,他人の事務を自己の事務と誤信したといえるから,事務管理は成立しない。よって,この点についての被告の主張は,その前提を欠く。 イまた,被告は,保証人が自己の負担を超える部分について弁済することによって,主債務者等に対して求償権を取得するから(民法459条1項,4 62条1項,465条1項参照),当該弁済を有効として扱うのが民法の趣旨であり,保証人の債権者に対する不当利得返還請求は認められないと主張する。しかし,保証人が,分別の利益を有していることを知らずに,自己の負担を超える部分を自己の債務であると誤信してした弁済は,非債弁済(民法707条1項)として無効になり,その結果,超過部分について債権者の 不当利得となることは前記のとおりである。被告が指摘する民法の求償権の - 17 -規定は,保証人の弁済が有効であることによって生じる効果を定めたものにすぎず,この規定を根拠として,無効な弁済を有効として扱うべきであるとの被告の上記主張は,独自の見解というほかなく,採用できない。 (3) 本件において,原告1は,本件保証契約1に基づく保証債務額が本件奨学金1の残債務(93万6427円)の2分の1(46万8213円)であるのに, 分別の利益を知らず,主たる債務全額の支払義務があると誤信して合計64万5000円を支払った。 原告1は,被告から一括請求を受けた当時,生活に余裕がなく,分割弁済も困難であるとして,被告と交渉を行っていたのであり(認定事実(1)ウ),仮に分別の利益を有 4万5000円を支払った。 原告1は,被告から一括請求を受けた当時,生活に余裕がなく,分割弁済も困難であるとして,被告と交渉を行っていたのであり(認定事実(1)ウ),仮に分別の利益を有することを知っていたのであれば,当然,自己の負担部分を超 える弁済はしなかったものと認められる。すなわち,原告1の弁済は,自己の保証債務の履行として行ったものであって,元奨学生1や連帯保証人1のために行ったものとはいえない。 したがって,原告1 が,自己の負担部分を超えて弁済した17万6787円は,非債弁済として無効であり,被告の不当利得となる。 (4) また,原告2は,亡2の代理人として,本件保証契約2に基づく保証債務額が本件奨学金2の残債務(242万2613円)の2分の1(121万1307円)であるのに,分別の利益を知らず,主たる債務全額の支払義務があると誤信して合計242万2613円を支払った。 原告2が被告から電話及び「奨学金の返還について」の送付を受けた当時(こ の頃,被告から一括返済を求められたかのような原告2の供述は,甲7の文言等に照らして信用できない。),元奨学生2とは連絡がとれず,連帯保証人2も借金があって返済が難しいという状態だったのであり(認定事実(2)ウ),原告2が,後日,元奨学生2又はその父に求償することを予定して,自己の負担部分を超える部分も含めて本件奨学金2の弁済を行ったものとは考え難い。他方, 原告2が本件奨学金2を弁済したのは,被告からの請求を亡2に知られたくな - 18 -かったという理由からであるが(同オ),亡2の負担部分に限って弁済を行えば,その後は被告から亡2に請求が来ることはない以上,これを超える弁済はしなかったものと認められる。すなわち,原告2 18 -かったという理由からであるが(同オ),亡2の負担部分に限って弁済を行えば,その後は被告から亡2に請求が来ることはない以上,これを超える弁済はしなかったものと認められる。すなわち,原告2の弁済は,亡2の保証債務の履行として行ったものであって,元奨学生2や連帯保証人2のために行ったものとはいえない。 したがって,原告2が,亡2の代理人として,自己の負担部分を超えて弁済した121万1306円は非債弁済として無効であり,被告の不当利得となる。 原告2は,亡2の上記不当利得返還請求権を相続した。 4 被告が悪意の受益者といえるか否かについて原告らは,原告1・亡2が本件奨学金1・2の残債務の2分の1の保証債務し か負っていないことを知っていたのに,これを超える部分について支払を受けたから,被告は悪意の受益者であると主張する。 しかしながら,分別の利益を有する保証人から,負担限度を超える支払を受けた場合,これが無効な弁済であり法律上の原因を欠くものとして不当利得になるのか否かについては,種々の見解が激しく対立しており,いずれの見解を是とす べきかは必ずしも明らかとはいえなかったし,この点に関する裁判例も必ずしも明確とはいえない。そうすると,被告が,負担限度を超える支払を受けることについて法律上の原因があると考えて,分別の利益を援用しなかった原告1・亡2から本件奨学金1・2の残債務の2分の1を超える支払を受けたという本件において,後にその考えを当裁判所に否定されたからといって,支払を受けた当時に おいて当然に悪意の受益者であったということはできない。 よって,本件における原告らの弁済は無効であり,法律上の原因を欠くものとして不当利得に当たる旨の当裁判所の判決が言い渡された日(令和3年 おいて当然に悪意の受益者であったということはできない。 よって,本件における原告らの弁済は無効であり,法律上の原因を欠くものとして不当利得に当たる旨の当裁判所の判決が言い渡された日(令和3年5月13日)以降に限って,被告は悪意の受益者として,遅延利息の支払義務を負うものというべきである。 5 保証人の負担部分を超える金額についての請求が不法行為を構成するか否か - 19 -について原告らは,保証人に対してその負担部分を超える金額について請求することが直ちに不法行為に当たるかのように主張する。 しかしながら,保証人としては,主債務者等に後日求償権を行使したり,あるいは,単純に主債務者等を援助する趣旨などから,自己の負担部分を超える部分 についても弁済を行うか否かを選択できる立場にあるのであり,被告が原告1・亡2に対して全額の支払を請求したことが,直ちに不法行為に当たるということはできない。また,上記のとおり,分別の利益を有する保証人が支払義務を負う範囲について種々の見解が激しく対立しており,いずれの見解を是とすべきかが必ずしも明らかではなかったという状態において,被告が,原告1・亡2に対し て,分別の利益について説明すべき法的義務を負っていたということもできない。 原告らの上記主張は採用できず,その余の点を検討するまでもなく,原告らの損害賠償請求には理由がない。 第4 結論以上のとおり,原告1の請求は17万6787円及びこれに対する令和3年5 月13日からの遅延利息の支払を求める限度で,原告2の請求は121万1306円及びこれに対する令和3年5月13日からの遅延利息の支払を求める限度で理由があるから,これらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから,これらを棄 求める限度で,原告2の請求は121万1306円及びこれに対する令和3年5月13日からの遅延利息の支払を求める限度で理由があるから,これらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 主文 札幌地方裁判所民事第3部 裁判官小西俊輔 裁判官豊富育 裁判長裁判官髙木勝己は,転補につき,署名押印することができない。 裁判官小西俊輔

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