令和6(行ケ)10060 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月4日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文13,826 文字)

令和7年2月4日判決言渡令和6年(行ケ)第10060号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年12月18日 判決原告X 同訴訟代理人弁理士:廣江武典、廣江政典、橋本哲、吉田哲基、服部素明、谷口直也被告特許庁長官 同指定代理人:大塚正俊、大島康浩、山根まり子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2023-17017号事件について令和6年5月20日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要第2-1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがない。)(1) 原告は、令和4年6月7日、「JPCスポーツ教室」の文字から なり、指定役務を第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、スポーツの興行の企画・運営又は開催、運動施設の提供、運動用具の貸与」とする商標(本願商標)について商標登録出願をした。 (2) 原告は、令和5年7月5日付けで拒絶査定を受けたため、同年10月6日、拒絶査定不服審判を請求した。 特許庁は、上記請求を不服2023-17017号事件として審理を行い、令和6年5月20日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は同年6月4日原告に送達された。 (3) 原告は、令和6年7月3日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 第2-2 本件審決の理由の要旨以下のとおり、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な「JPC」(引用標章)と類似の商標であり、商標法4条1項6 2-2 本件審決の理由の要旨以下のとおり、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な「JPC」(引用標章)と類似の商標であり、商標法4条1項6号に該当する。 第2-2(1) 「JPC」の文字は、財団法人日本障害者スポーツ協会の内部組織である日本パラリンピック委員会(JapaneseParalympicCommittee)の略称であり、パラリンピック競技大会が2001年以降正式にオリンピック開催地で開催され、その様子がテレビやインターネット等を通じて全世界に向けて発信され、当該競技大会及びその関連活動等は広く認識されていることからすると、日本パラリンピック委員会及びその略称「JPC」は、一般に広く認識されて著名性を有するものである。 したがって、「JPC」は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として、本願商標の登録出願前より著名なものであると認められる。 第2-2(2) 本願商標の構成中「スポーツ」の文字は、「陸上競技・野球・テニス・水泳・ボートレースなどから登山・狩猟などにいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛錬の要素を含む身体運動の総称。」の意味、「教室」の文字は、「学校で、授業・学習を行う部屋。大学で、専攻領域ごとの研究室。また、教科別の教官の組織。技芸などを教える所。」の意味をそれぞれ有する語であり、全体としては、「スポーツに関する教室」ほどの意味合いを認識させるにすぎず、本願の指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」との関係においては、役務の質(内容)を表示したものとして看取、理解され得るものであることから、役務の出所識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。 他 授」との関係においては、役務の質(内容)を表示したものとして看取、理解され得るものであることから、役務の出所識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。 他方、本願商標の構成中、「JPC」の文字は、パラリンピック競技大会の関連活動を行っている組織である、日本パラリンピック委員会及びその略称として著名な標章である「JPC」とその構成文字を同じくするものであるから、当該部分は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。 そうすると、本願商標の構成中、「JPC」の文字を要部として抽出し、当該構成部分のみを引用標章と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 第2-2(3) 本願商標の要部である「JPC」の文字と引用標章とを対比すると、いずれも「JPC」の文字からなる点で外観が同一であり、また、「ジェイピイシイ」の称呼が生じる点で、称呼が同一である。 そして、本願商標の要部と引用標章は、「パラリンピック競技大会の関連活動を行っている組織である、日本パラリンピック委員会(JapaneseParalympicCommittee)及びその略称」という観念も生じる点で、観念が同一である。 第3 取消事由原告が主張する商標法4条1項6号該当性の判断の誤りに関する取消事由は、以下のとおりである。 ・ 「JPC」の文字の著名性判断の誤り(取消事由1)・本願商標と引用標章の類否判断の誤り(取消事由2) 第4 取消事由に関する当事者の主張第4-1 取消事由1(「JPC」の文字の著名性判断の誤り)について第4-1(1) 取消事由1:原告の主張「JPC」の文字が 第4 取消事由に関する当事者の主張第4-1 取消事由1(「JPC」の文字の著名性判断の誤り)について第4-1(1) 取消事由1:原告の主張「JPC」の文字が日本パラリンピック委員会の略称であること、パラリンピック競技大会及びその関連活動等が広く認識されており、同委員会も一般に広く認識されて著名性を有するものであることは認めるが、以下のとおり、その略称である「JPC」までが一般に広く認識されて著名性を有するものであるとはいえない。 ア新聞やインターネットなどにおける使用実績以下の使用実績をみても、「JPC」の文字は、日本パラリンピック委員会の略称として、一般に広く認識されているとはいえない。 ア(ア) 朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞のウェブサイトで提供される記事検索において過去3年分の「JPC」の文字を有する記事を検索したところ、「JPC」の文字が表示されないか(読売新聞)、「日本パラリンピック委員会(JPC)」と表示されて、その後「JPC」の文字のみが表示されるだけである。 しかも、その検索結果は、日本オリンピック委員会の略称である「JOC」で検索される記事数と比較しても少数である。 同様に、インターネット検索エンジンのGOOGLE、MSN、YAHOOのウェブサイトにおいて「JPC」の文字を検索すると、 日本パラリンピック委員会のウェブサイトが表示されるが、その検索結果の見出しにも「日本パラリンピック委員会(JPC)」と表示され、「JPC」の文字が単独で表示されることはない。 これらは、検索結果において「JPC」の文字のみを表示しても、閲覧者はこれが「日本パラリンピック委員会」の略称であると 」と表示され、「JPC」の文字が単独で表示されることはない。 これらは、検索結果において「JPC」の文字のみを表示しても、閲覧者はこれが「日本パラリンピック委員会」の略称であると認識できないために生じた結果であるといえる。 ア(イ) また、上記の検索エンジンによる検索結果の最上位に表示されるのは、日本パラリンピック委員会と無関係のウェブサイトであり、日本パラリンピック委員会と無関係の者が使用する「JPC」の文字も多数表示される。この点からしても、「JPC」の文字が日本パラリンピック委員会ないしその略称として一般に広く認識されているとはいえない。 ア(ウ) さらに、「日本オリンピック委員会」及びその略称である「JOC」は、国語辞典に掲載されているのに対し、「日本パラリンピック委員会」及びその略称「JPC」の文字は、国語辞典に掲載されていない。日本パラリンピック委員会のウェブサイトにおいても、「JPC」の文字を同委員会の略称として宣伝、広告しているページなどは発見できない。やはり、「JPC」の文字は、日本パラリンピック委員会の略称として著名ではない。 イアンケート調査結果原告において、「JPC」の文字が、日本パラリンピック委員会の略称として一般に広く認識されているかについてアンケート調査(以下「本件アンケート」という。)を実施したところ、「JPC」の文字を正しく想起、認識したものの数は、回答者総数624人中11人(1.8%)にすぎず、「JOC」の文字を正しく想起、認識した者(624人中53人、8.4%)より相当少なかった。本件アンケートの回答者は、スポーツ観戦に関心を有する者、又は自 ら運動・スポーツを行う者であり、また、回答者中311人は自らの身体に何 者(624人中53人、8.4%)より相当少なかった。本件アンケートの回答者は、スポーツ観戦に関心を有する者、又は自 ら運動・スポーツを行う者であり、また、回答者中311人は自らの身体に何らかの障がいを有するものであるにもかかわらず、このような条件を満たした回答者においてさえ、「JPC」の文字を日本パラリンピック委員会の略称として想起、認識した者は極めて少数である。そうすると、スポーツ観戦に関心がなく又は何らの運動・スポーツを行っていない等の一般の者においては、「JPC」の文字を日本パラリンピック委員会の略称として正しく想起、認識する者の数は、さらに少なくなると推測できる。こうした本件アンケートの結果に鑑みても、「JPC」の文字は、日本パラリンピック委員会の略称として、一般に広く認識されて著名性を有しているとはいえない。 第4-1(2) 取消事由1:被告の主張ア日本パラリンピック委員会は、その活動の際に、当該委員会又はその略称を表示するものとして引用標章(「JPC」)を使用している。この引用標章は、日本パラリンピック委員会や当該委員会が実施する活動等を紹介する新聞記事やウェブサイトにおいて、当該委員会又はその略称を表示するものとして広く一般に使用されている。 そして、記事の見出しにおいては、引用標章が「日本パラリンピック委員会」の文字を伴わない形で使用されているところ、その記事は全国紙を含む各種新聞におけるものであり、ウェブサイトはそのような新聞社のものや、全国の一般消費者によく知られた大企業のものである。近年、パラリンピックの認知度が非常に高くなっていることも踏まえれば、引用標章は、日本パラリンピック委員会又はその略称を表示するものとして、広く一般に認識されるに至っているというべきである。 パラリンピックの認知度が非常に高くなっていることも踏まえれば、引用標章は、日本パラリンピック委員会又はその略称を表示するものとして、広く一般に認識されるに至っているというべきである。 よって、引用標章は、「公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章」であって、かつ、広く一般に知られて いて「著名なもの」に該当する。 イ原告は、インターネットによる本件アンケートの結果を踏まえ、引用標章の著名性を否定するが、①本件アンケートは、調査対象者に対する調査会社(マクロミル社)のコンタクト方法等の実施方法の詳細が明らかではないところがあり、②本件アンケートの質問2及び質問3の形式は、「JPC」や「JOC」の正式名称を答えさせるものではなく、これらの文字から連想させるものを問うような質問であって、認知度を量る上では適切とはいえず、③原告の主張のように、自由記述式の質問2の回答結果と、選択式の質問4の回答結果を比較するのは不適切であり、④質問4では、16問中15問が特定の組織の略称を表す欧文字に関する質問になっており、質問数が多すぎて信ぴょう性に影響するという点でも疑義がある。 よって、本件アンケートの結果は、「JPC」の文字について我が国における周知性がないことを推し量る根拠としては適切なものとはいい難い。 第4-2 取消事由2(本願商標と引用標章の類否判断の誤り)について第4-2(1) 取消事由2:原告の主張ア本願商標は、その外観、呼称及び観念のいずれの判断要素においても一体不可分の商標として認定されるものである。本件審決が認定したように、本願商標中の「スポーツ教室」の部分が「スポーツに関する教室」ほどの意味合いを認識させることは認めるが、 れの判断要素においても一体不可分の商標として認定されるものである。本件審決が認定したように、本願商標中の「スポーツ教室」の部分が「スポーツに関する教室」ほどの意味合いを認識させることは認めるが、当該部分が本願の指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」との関係において、役務の出所識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いなどとはいえない。このような本件審決の認定は、本願商標から生じる観念のみに基づいて行われたものであり、本願商標の外観や称呼を総合した上で認定を行っていない点で誤りである。 まず、本願商標の外観は、普通の書体で表した「JPCスポーツ教室」の文字からなる商標であるところ、各文字の大きさ及び書体は同一であり、全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであって、外観に起因して一体性を損なう商標ではない。 また、本願商標の呼称は「ジェイピーシースポーツキョウシツ」ないし「ジェーピーシースポーツキョウシツ」であるが、特段冗長ともいえず、語頭に長音を備えた3音が並び、語呂、語感よく称呼できる。そして、「JPC」、「スポーツ」及び「教室」の文字は需要者、取引者によく知られて容易に称呼できる文字であるから、本願商標は、呼称において一気一連に称呼される。 本願商標の観念についても、本願商標は、その構成中「スポーツ教室」部分が、識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものとされるものではないから、需要者・取引者において、「JPCが提供するスポーツに関する教室」ないし「JPCのスポーツに関する教室」ほどの意味合いを生じるものである。 イ上記のとおり、「JPC」の部分は著名とはいえず、しかも、ありふれたアルファベット3文字を組み合わせた 室」ないし「JPCのスポーツに関する教室」ほどの意味合いを生じるものである。 イ上記のとおり、「JPC」の部分は著名とはいえず、しかも、ありふれたアルファベット3文字を組み合わせた簡単な構成にすぎず、構成上顕著な特徴や独創性を有するものではないから、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえない。 ウ以上によれば、本願商標は、「JPCスポーツ教室」と一体不可分の商標として認定されるべきであり、その構成中の「JPC」の部分を役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして抽出することはできず、引用標章と類似すると判断することはできない。 第4-2(2) 取消事由2:被告の主張後記第5-2と同趣旨であるから、詳細は割愛する。 第5 当裁判所の判断第5-1 取消事由1(「JPC」の文字の著名性判断の誤り)について第5-1(1) 商標法4条1項6号の「著名なもの」の意義についてア本件においては、本願商標構成中の「JPC」の文字が日本パラリンピック委員会の略称であり、同委員会が公益に関する団体であって営利を目的としないものであることについて、当事者間に争いはないから、引用標章である「JPC」は、商標法4条1項6号(以下、この項において「本号」という。)の「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」を表示する標章であるといえる。 そこで、引用標章が上記委員会の略称として「著名なもの」といえるかを検討する前提として、「著名なもの」の意義について述べる。 イ本号の趣旨は、①国、地方公共団体、公益に関する団体等の公共性に鑑み、その信用を尊重するとともに、②出所の混同を防いで取引者、 る前提として、「著名なもの」の意義について述べる。 イ本号の趣旨は、①国、地方公共団体、公益に関する団体等の公共性に鑑み、その信用を尊重するとともに、②出所の混同を防いで取引者、需要者の利益を保護しようとしたものと解される。 上記②の趣旨は、商標法4条1項10号と基本的に異なるものではなく、本号の「著名なもの」については、同項10号の「需要者の間に広く認識されている」(いわゆる広知性)と整合的に解釈するのが合理的である。また、上記①の趣旨が加わっている点は、同条3項、47条1項の適用の有無に違いを生じさせている理由になるとしても、本号の「著名なもの」を上記広知性よりも限定的に解釈すべき根拠となるものではない。 そうすると、本号の「著名なもの」とは、4条1項10号の「需要者の間に広く認識されている」と同等の意義を有するものと解すべきである。以下、このような前提で、本号の著名性要件の充足を検討することとする。 第5-1(2) インターネット上での使用状況について ア 「JPC」の文字は、新聞社を含む各種ウェブサイトの記事や、インターネット検索エンジンの検索結果において、「日本パラリンピック委員会(JPC)」というように、正式名称である「日本パラリンピック委員会」という標記を伴うこともあるが(甲7~10、12~14)、記事などの見出しにおいて「JPC」の文字だけが単独で使用され、本文に最初に登場する場合に正式名用が記載されていることも多く(乙16~37)、正式名称を伴わずに「JPC」の文字だけが表記される例もある(乙38)。 また、日本パラリンピック委員会のウェブサイトで、事業内容の説明として「日本パラリンピック委員会(JPC =Japanese に「JPC」の文字だけが表記される例もある(乙38)。 また、日本パラリンピック委員会のウェブサイトで、事業内容の説明として「日本パラリンピック委員会(JPC =JapaneseParalympicCommittee)は、・・・次の事業を行なっています。」と表記され、同ウェブサイトの各所で「【JPC プレスリリース】」、「JPCオフィシャルスポンサー」、「・・・JPC加盟団体向け法務相談窓口」、「JPC 強化本部」、「JPC 女性スポーツ委員会」、「JPC クラス分け委員会」、「JPC 加盟要項」、「JPC 委嘱者一覧」などと、「JPC」の文字が正式名称を伴わないまま単独で使用されている(甲17の1、2)。 以上によると、「JPC」の文字は、日本パラリンピック委員会又はその略称を表示するものとして、広く一般に使用されていると推認できるといえ、原告が主張するように、上記のウェブサイトを閲覧する本願商標の指定役務に係る需要者において、「日本パラリンピック委員会」という正式名称を伴わなければ、その意味を理解することができないとはいえない。 イさらに、インターネットの各種検索エンジンによって「JPC」の文字を検索すると、検索結果として、①Googleの場合は、上から順に「JapanPercussionCenter」、「株式会社JPC:ホームページ」、「JPC株式会社」、「日本パラリンピック委員会(JP C)」と表示され(甲12、26)、②マイクロソフトのMSNの場合は、上から順に「JPC スポーツ教室・・・」、「JPC スポーツ教室岐阜店・・・」、「日本パラリンピック委員会」と表示され(甲13、27)、③YAHOO!JAPANの場合は、上から順に「JapanPercus JPC スポーツ教室・・・」、「JPC スポーツ教室岐阜店・・・」、「日本パラリンピック委員会」と表示され(甲13、27)、③YAHOO!JAPANの場合は、上から順に「JapanPercussionCenter」、「株式会社JPC:ホームページ」、「JPC株式会社」、「日本パラリンピック委員会(JPC)」と表示される(甲14、28)。 このように、「日本パラリンピック委員会」の検索結果は上位3~4位に必ず入っているのであり、しかも、「日本パラリンピック委員会」以外の検索結果は、本願商標の指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは無関係であることからすると、同指定役務に係る需要者との関係では、「日本パラリンピック委員会」は最上位に掲載されているといえる。 以上の事実は、「JPC」の文字が、日本パラリンピック委員会又はその略称として一般に広く認識されていることを示す有力な根拠となり得るものである。 第5-1(3) 本件アンケートの結果についてア証拠(甲31、41、46、47、いずれも枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば、本件アンケートの結果(一部抜粋)は、別紙「本件アンケート結果」記載のとおりであると認められる。 イ質問1の回答結果によれば、「JPC」を聞いたことがあると答えた回答者は、624人中179人(28.7%)になっており、回答者全体の約3割という高い割合になっている。 もっとも、質問2で、「JPC」と聞いて思い浮かぶものを最大3つまで挙げた回答者のうち、「日本パラリンピック委員会」及び「ジャパンパラリンピック委員会」と回答した者は、合計で11人 (1.8%)にとどまっている。原告はこの点を指摘して「 のを最大3つまで挙げた回答者のうち、「日本パラリンピック委員会」及び「ジャパンパラリンピック委員会」と回答した者は、合計で11人 (1.8%)にとどまっている。原告はこの点を指摘して「JPC」の著名性を否定するが、質問2の質問内容は、「思い浮かぶもの」を最大3つまで回答させるものであり、日本パラリンピック委員会を知っている者が、同委員会に多少なりとも関連し得るものとして、例えば、「パラリンピック」(全体での回答者34人、5.4%)、「パラスポーツ」(4人、0.6%)、「オリンピック」(4人、0. 6%)、「日本パラリンピック」(3人、0.5%)、「障害者スポーツ」(2人、0.3%)、「パラ五輪」(1人、0.2%)、「スポーツ」(3人、0.5%)、「障害者」(3人、0.5%)等を選択した可能性も否定できない。そして、以上の選択肢の合計回答者数は54人(8.7%)に上り、以上の結果は、「JPC」について、完全に正確な理解とまではいえなくても、日本パラリンピック委員会に関係する略語であるとの認識という意味であれば、需要者における相当の認知度を示すものということができる。 ウ原告は、本件アンケートの結果、「JPC」の認知度が「JOC」より低いと主張する。確かに、質問3の回答結果によれば、「JOC」について思い浮かぶものを最大3つまで回答させたところ、「JOC(日本オリンピック委員会)」(51人、8.2%)、「日本オリンピックいいんかい」(1人、0.2%)及び「JAPANオリンピック委員会」(1人、0.2%)と回答した者の合計は53人(8.5%)であり、「JPC」と聞いて「日本パラリンピック委員会」及び「ジャパンパラリンピック委員会」と回答した者(合計11人、1.8%)より多くなっている。しかし、本件では「JP 合計は53人(8.5%)であり、「JPC」と聞いて「日本パラリンピック委員会」及び「ジャパンパラリンピック委員会」と回答した者(合計11人、1.8%)より多くなっている。しかし、本件では「JPC」自体の著名性が認められれば足りるのであり、「JOC」と比較してその認知度が低いからといって、このことから「JPC」が日本パラリンピック委員会ないしその略称として認知されていないと推認することはできない。 また、原告は、質問4の結果も踏まえ、「JPC」は、「JFA」、「JAL」、「JAXA」、「JICA」、「JRA」、「JRE」などといった略称と比較しても認知度が低いとも主張するが、上記同様の理由でそのような比較は失当である。 原告は、本件アンケートの対象者(回答者)が、スポーツ観戦に関心を有する者か、自ら運動・スポーツを行う者であり、これらの条件を満たさない一般の者においては、「JPC」の文字を日本パラリンピック委員会の略称として想起、認識する者はさらに低くなるとも主張する。しかし、上記のように、「JPC」が同委員会の略称として広く認識されて「著名なもの」といえるかについては、本願商標の指定役務に係る需要者との関係で判断するのが相当であり、これを広く一般の者にまで広げる原告の上記主張は、その前提において採用することができない。 エ以上によれば、本件アンケートの結果は、原告が主張するような「JPC」の認知度の低さを示すものとは必ずしもいえず、むしろ、需要者における相当の認知度を示すものと評価することができる。 第5-1(4) 以上に加え、昨今におけるパラリンピック競技に関する活動の活性化やその宣伝広告の状況を踏まえると、「JPC」の文字が、原告が主張するように、国語辞典に掲 評価することができる。 第5-1(4) 以上に加え、昨今におけるパラリンピック競技に関する活動の活性化やその宣伝広告の状況を踏まえると、「JPC」の文字が、原告が主張するように、国語辞典に掲載されておらず、あるいは、仮に「JOC」の文字より知名度が低いとしても、なお、引用標章は、本願商標の指定役務に係る需要者の間において広く認識されており、著名性を有すると認めるのが相当である。 よって、取消事由1に関する原告の主張は、採用できない。 第5-2 取消事由2(本願商標と引用標章の類否判断の誤り)について第5-2(1) 要部観察について本願商標の構成中、「JPC」の文字は、「日本パラリンピック委員会又はその略称」を表示する標章として著名な引用標章と構成文 字を同一にするものであるから、当該文字部分は、「日本パラリンピック委員会」ほどの意味合いを理解させるものである。本願商標は、当該文字部分によって、「日本パラリンピック委員会」に関するものであることを強く理解、認識させるものであり、「JPC」の文字は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 また、「スポーツ」の文字と「教室」の文字を結合してなる「スポーツ教室」の文字は、「陸上競技やテニスなどのスポーツの技術等を教えるところ」ほどの意味合いを認識させる語として広く一般に使用されているものと認められるから(乙43~48)、当該文字部分は、本願の指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」との関係において、役務の質を表示したものであって、役務の出所識別標識として機能しないか、その機能が極めて弱いものといえる。 そうすると、本願商標の構成中の「JPC」の文字部分は、「ス 関係において、役務の質を表示したものであって、役務の出所識別標識として機能しないか、その機能が極めて弱いものといえる。 そうすると、本願商標の構成中の「JPC」の文字部分は、「スポーツ教室」の文字部分と比較して、強く支配的な印象を与えるということができるから、本願商標は、その構成中の「JPC」の文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを引用標章と比較して、商標の類否判断をすることが許されるといえる。 したがって、本願商標は、これを構成する文字全体から生じる「ジェイピイシイスポーツキョウシツ」の呼称及び「日本パラリンピック委員会によるスポーツの技術等を教えるところ」の観念のほか、その構成中の要部である「JPC」の文字に相応して、「ジェイピイシイ」の呼称及び「日本パラリンピック委員会」の観念を生じるものといえる。 そして、引用標章と本願商標の要部である「JPC」と引用標章を比較すると、両者はその構成文字を同じくし、外観、呼称及び観 念において同一である。そうすると、本願商標と引用標章は類似するというべきである。 第5-2(2) 原告の主張についてこれに対し、原告は、本願商標中の「スポーツ教室」の部分が「スポーツに関する教室」ほどの意味合いを認識させることは認めるものの、当該部分が本願の指定役務に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」との関係で、役務の出所識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものとはいえないと主張する。 しかし、本件において、そのような主張を基礎づけるに足りる取引の実情等について、具体的な主張・立証があるわけではなく、失当というべきである。 また、原告は、「JPC」の部分の著名性を争い、当該 において、そのような主張を基礎づけるに足りる取引の実情等について、具体的な主張・立証があるわけではなく、失当というべきである。 また、原告は、「JPC」の部分の著名性を争い、当該部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないとも主張するが、これが採用できないことは、上記のとおりである。 第5-2(3) 小括以上のとおり、原告の主張する取消事由2も理由がない。 第6 以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。したがって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官宮坂昌利 裁判官本吉弘行 裁判官岩井直幸 (別紙)本件アンケート結果 1 調査概要調査委託先:マクロミル調査方法 :インターネット調査対象者:全国の15歳以上70歳未満の者回答者数 :624人調査期間 :令和6年8月6日から同月9日まで条件 :回答者の全てがスポーツ観戦に関心を有する者か、自ら運動・スポーツを行う者である。また、回答者624人中311人は自らの身体に何らかの障がいを有する者であり、残りの313人は健常者である。 回答者の全てがスポーツ観戦に関心を有する者か、自ら運動・スポーツを行う者である。また、回答者624人中311人は自らの身体に何らかの障がいを有する者であり、残りの313人は健常者である。 2 質問1(甲31-1) (1) 質問内容 あなたは、「JPC」を聞いたことがありますか。 (2) 回答結果 人数 聞いたことがある。 聞いたことがない。 全体 28.7% 71.3% うち健常者 18.5% 81.5% 障がいを持つ方 38.9% 61.1% 3 質問2(甲31-2) (1) 質問内容 あなたが、「JPC」と聞いて、思い浮かぶものを最大3つまでお答えください。※思い浮かぶものがない場合は、「わからない」とお答えください。【1つ目のみ必須】 (2) 回答結果(一部抜粋) 全体(624人) うち健常者(313人) うち障がいを持つ方(311人) 日本パラリンピック委員会 1.6% 1.3% 1.9% パラリンピック 5.4% 3.2% 7.7% パラスポーツ 0.6% 0.3% 1.0% オリンピック 0.6% 0.6% 0.6% 日本パラリンピック 0.5% 0.6% 0.3% 障害者スポーツ 0.3% 0.0% 0.6% ジャパンパラリンピック委員会 0.2% リンピック 0.5% 0.6% 0.3% 障害者スポーツ 0.3% 0.0% 0.6% ジャパンパラリンピック委員会 0.2% 0.3% 0.0% パラ五輪 0.2% 0.3% 0.0% ・・・ スポーツ 0.5% 0.3% 0.6% ・・・ 障害者 0.5% 0.3% 0.6% ・・・ その他 8.2% 4.5% 11.9% わからない・特に無し 80.9% 86.6% 75.2% 4 質問3(甲31-3) (1) 質問内容 あなたが、「JOC」と聞いて、思い浮かぶものを最大3つまでお答えください。※思い浮かぶものがない場合は、「わからない」とお答えください。【1つ目のみ必須】 (2) 回答結果(一部抜粋) 全体(624 人) うち健常者(313 人) うち障がいを持つ方(311 人) JOC(日本オリンピック委員会) 8.2% 7.7% 8.7% ・・・ 日本オリンピックいいんかい 0.2% 0.0% 0.3% ・・・ JAPANオリンピック委員会 0.2% 0.3% 0.0% ・・・ 5 質問4(甲41-1~甲41-14) (1) 質問内容 次の略称のうち、あなた 5 質問4(甲41-1~甲41-14) (1) 質問内容 次の略称のうち、あなたはどの程度知っていますか。あてはまるものをそれぞれ一つずつお選びください。 (2) 回答結果(一部抜粋) 全体(624人)うち健常者(313人)うち障がいを持つ方(311人) 日本パラリンピック委員会、ジャパンパラリンピック委員会 1.8% 1.5% 1.9% JFA(日本サッカー協会) 44.7% 45.7% 43.7% JAL(日本航空) 76.4% 76.0% 76.8% JAXA(宇宙航空研究開発機構) 39.6% 33.5% 45.7% JICA(国際協力機構) 29.6% 27.5% 31.8% JRA(日本中央競馬会) 51.3% 46.6% 55.9% JRE(東日本旅客鉄道) 34.5% 34.5% 34.4%

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