昭和58(オ)1548 配当異議

裁判年月日・裁判所
昭和60年7月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 大阪高等裁判所 昭和58(ネ)1079
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。      大阪地方裁判所が同庁昭和五七年(リ)第五五一号配当手続事件につい て作成した配当表別紙一を別紙二のとおり変更する。      

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判決文本文5,178 文字)

主    文      原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。      大阪地方裁判所が同庁昭和五七年(リ)第五五一号配当手続事件につい て作成した配当表別紙一を別紙二のとおり変更する。      訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人宇佐美明夫、同今泉純一、同宇佐美貴史の上告理由について  一 原審の確定した事実関係は、次のとおりである。  1 上告人は、D商会ことE(以下「本件債務者」という。)に対し溶接用材等 を売り渡して二一三万八三一〇円の売掛代金債権を有していたところ、本件債務者 が右動産を株式会社F造船工業(以下「本件第三債務者」という。)に対し代金二 六三万四〇三〇円で転売したため(以下右転売代金を「本件転売代金」という。)、 本件転売代金債権に対し民法三〇四条一項本文により動産の先取特権を行うことが できる権利(以下「本件物上代位権」という。)を取得し、その行使として、昭和 五七年三月一〇日、本件転売代金債権のうち二一三万八三一〇円について、差押( 大阪地方裁判所同年(ナ)第四四七号)及び転付命令(同年(ヲ)第七一一号)( 以下「本件転付命令」という。)を取得し、同命令は同月一一日本件第三債務者に 送達された。  2 上告人は、昭和五七年三月五日、本件債務者に対する溶接棒の売掛代金債権 五〇万二〇〇〇円を被保全債権として、本件転売代金債権のうち右同額について、 仮差押命令(同庁同年(ヨ)第八一五号)を取得し、同命令は、同日本件第三債務 者に送達された。  3 被上告人B1産業株式会社は、昭和五七年三月四日、本件債務者に対する約 束手形金債権四四五万五五五〇円及び売掛代金債権一六一万三三四〇円の合計六〇 - 1 - 六万八八九〇円を被保全債権とし、本件転売代金債権額を三二一万四九一〇円とし て、右同額について、仮 者に対する約 束手形金債権四四五万五五五〇円及び売掛代金債権一六一万三三四〇円の合計六〇 - 1 - 六万八八九〇円を被保全債権とし、本件転売代金債権額を三二一万四九一〇円とし て、右同額について、仮差押命令(同庁同年(ヨ)第八〇三号)を取得し、同命令 は同月五日本件第三債務者に送達された。  4 被上告人B2信用金庫は、昭和五七年三月四日、本件債務者に対する約束手 形買戻債権二二九万三三〇〇円を被保全債権として、本件転売代金債権のうち右同 額について、仮差押命令(和歌山地方裁判所同年(ヨ)第四八号)を取得し、同命 令は同日本件第三債務者に送達された。  5 そこで、その後、本件第三債務者は本件転売代金債務全額を供託した(以下 「本件供託」という。)。  6 大阪地方裁判所は、本件供託金の配当を実施するため(同庁昭和五七年(リ) 第五五一号)、昭和五七年一二月三日の配当期日に、別紙一のとおり、手続費用を 除いた金額について上告人及び被上告人らの各債権額に応じて配分する配当表(以 下「本件配当表」という。)を作成した。  二 本訴において、上告人は、本件物上代位権を行使して本件転付命令を取得し たから、本件転付命令に係る債権につき優先配当を受けるべき権利を有する旨主張 して、本件配当表を別紙二のとおり変更する旨の判決を求めた。  三 原審は、前記の事実を確定したうえ、民法三〇四条一項但書にいう差押は、 先取特権に基づく物上代位権についての優先権保全のための対抗要件と解すべきで あり、また、同項但書にいう払渡又は引渡には、物上代位の目的となる債権に対す る一般債権者による差押、仮差押の執行も含まれると解すべきところ、本件におい ては、被上告人らによる本件転売代金債権に対する仮差押の執行が上告人による本 件転売代金債権に対する差押に先行してされているから、上告人は被上告人らに対 押の執行も含まれると解すべきところ、本件におい ては、被上告人らによる本件転売代金債権に対する仮差押の執行が上告人による本 件転売代金債権に対する差押に先行してされているから、上告人は被上告人らに対 し、物上代位権を行使した動産の先取特権者として優先権を主張することができな いものというべきであり、したがつて、本件供託金につき手続費用を除いた金額に - 2 - ついて上告人及び被上告人らに対し、その各債権額に応じて配分した本件配当表に 瑕疵はない旨判断して、上告人の本訴請求を全部棄却すべきものとし、これと同旨 の第一審判決を正当として控訴棄却の判決をした。  四 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次の とおりである。  民法三〇四条一項但書において、先取特権者が物上代位権を行使するためには物 上代位の対象となる金銭その他の物の払渡又は引渡前に差押をしなければならない ものと規定されている趣旨は、先取特権者のする右差押によつて、第三債務者が金 銭その他の物を債務者に払い渡し又は引き渡すことを禁止され、他方、債務者が第 三債務者から債権を取り立て又はこれを第三者に譲渡することを禁止される結果、 物上代位の目的となる債権(以下「目的債権」という。)の特定性が保持され、こ れにより、物上代位権の効力を保全せしめるとともに、他面目的債権の弁済をした 第三債務者又は目的債権を譲り受け若しくは目的債権につき転付命令を得た第三者 等が不測の損害を被ることを防止しようとすることにあるから、目的債権について 一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、その後に先取特権者 が目的債権に対し物上代位権を行使することを妨げられるものではないと解すべき である(最高裁昭和五六年(オ)第九二七号同五九年二月二日第一小法廷判決・民 集三八巻三号四三一頁参照)。   後に先取特権者 が目的債権に対し物上代位権を行使することを妨げられるものではないと解すべき である(最高裁昭和五六年(オ)第九二七号同五九年二月二日第一小法廷判決・民 集三八巻三号四三一頁参照)。  これを本件についてみると、前記事実関係によれば、一般債権者たる被上告人ら は、本件転売代金債権について仮差押の執行をしたにすぎないから、その後に上告 人が本件物上代位権を行使することは妨げられないものというべきである。これと 異なる原審の判断には民法三〇四条一項の解釈適用を誤つた違法があるといわざる をえない。  五 次に、本件配当異議の訴えの適否について判断する。 - 3 -  1 民事執行法一五九条三項は、「転付命令が第三債務者に送達される時までに、 転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当 要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。」と規定するが、転付命令 が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権 者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合でも、転付命令を得た者が物上代 位権を行使した先取特権者であるなど優先権を有する債権者であるときは、右転付 命令は、その効力を生ずるものと解すべきところ、本件の前記事実関係によれば、 上告人が本件物上代位権の行使として得た本件転付命令は、被上告人らの仮差押が 執行されたのちに本件第三債務者に送達されたものではあるが、その効力を生じた ものというべきである。  2 ところで、当該債権に対し差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受 けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託は、転付命令が効力 を生じているため法律上差押の競合があるとはいえない場合であつても、第三債務 者に転付命令の効力の有無についての的確な判断を期待しえない事情があるときは、 同 条二項に基づいてした供託は、転付命令が効力 を生じているため法律上差押の競合があるとはいえない場合であつても、第三債務 者に転付命令の効力の有無についての的確な判断を期待しえない事情があるときは、 同項の類推適用により有効であると解するのが相当である。そして、右供託金につ いて、転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに、これを得た債権者を含む全差 押債権者に対し、その各債権額に応じて配分する配当表が作成されたときは、転付 命令を得た債権者は、配当期日における配当異議の申出、さらには配当異議の訴え により、転付命令に係る債権につき優先配当を主張して配当表の変更を求めること ができるものと解するのが相当である。  これを本件についてみると、前記事実関係のもとにおいて、本件供託は、民事執 行法一七八条五項において準用する同法一五六条二項に基づいてされたものと解せ られるところ、本件転付命令は本件供託前に確定してその効力が生じたことが記録 上明らかであるから、本件転売代金債権に対する差押の競合があるとはいえない。 - 4 - しかし、本件転付命令は被上告人らの仮差押が執行されたのちに本件第三債務者に 送達されたものではあるが、その効力の有無について本件第三債務者に的確な判断 を期待することは困難であるから、本件供託は、民事執行法一七八条五項において 準用する同法一五六条二項の類推適用により有効なものというべきである。そして、 本件転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに作成された本件配当表について、 上告人が本件転付命令に係る債権につき優先配当を主張した配当異議の申出及び本 件配当異議の訴えは、適法なものというべきである。  六 以上によれば、本件の事実関係のもとにおいては、前記説示に徴し、上告人 の本訴請求は全部理由があるものというべきである。したがつて、原審の前記法令 の解釈適 の訴えは、適法なものというべきである。  六 以上によれば、本件の事実関係のもとにおいては、前記説示に徴し、上告人 の本訴請求は全部理由があるものというべきである。したがつて、原審の前記法令 の解釈適用の誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであつて、論旨は理由がある から、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本訴請求を全部認容することとする。  よつて、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八六条、九六条、八九条、九三条に 従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    島   谷   六   郎             裁判官    大   橋       進             裁判官    牧       圭   次 別紙 一       配   当   表    債 権 者     債権の種類     債 権 額       配  当 額 上告人          手続費用        三〇五〇円        三〇五〇円 同右           売掛代金    二一三万八三一〇円    五一万 - 5 - 一三二五円 同右           同右       五〇万二〇〇〇円    一二万 〇〇四一円 被上告人B2信用金庫   約束手形金   二二九万三三〇〇円    五四万 八三八七円 被上告人B1産業     同右      四四五万五五五〇円   一〇六万 五四三六円 同右           売掛代金    一六一万三三四〇円    三八万 五七九一円 別紙 二       配   当   金   債 権 者         債権の種類        債 権 額        配 当 額 上告人          手続費用              三〇五〇円        三  当   金   債 権 者         債権の種類        債 権 額        配 当 額 上告人          手続費用              三〇五〇円        三〇五〇円 同右           本件転付命令に係る債権   二一三万八三一〇円    二一三万八三一〇円 同右           売掛代金           五〇万二〇〇〇円      二万七九〇一円 被上告人B2信用金庫   約束手形金         二二九万三三〇〇円     一二万七四六一円 被上告人B1産業     同右            四四五万五五五〇円     二四万七六三九円 同右           売掛代金          一六一万三三四〇円  - 6 -     八万九六六九円 - 7 -

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