主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 原告がなした平成13年10月19日付け産業廃棄物処理施設設置許可申請について,平成13年11月22日に被告がなした却下処分(三重県指令廃対第19-1号)はこれを取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告主文同旨第2 事案の概要等 1 本件は,原告が,平成13年10月19日付けでなした産業廃棄物処理施設設置許可申請について,平成13年11月22日に被告がなした却下処分(三重県指令廃対第19-1号)の取消しを求めた事案である。 2 条例等(甲6,7,乙2ないし6)(1) 三重県生活環境の保全に関する条例(平成13年三重県条例第7号。平成13年3月27日施行。以下「環境保全条例」という。)94条「知事は,産業廃棄物を処理する施設の設置について,その計画段階から地域住民との合意を図ることに努めながら進めることを基本として,必要な事項を別に定めるものとする。」(2) 三重県産業廃棄物処理指導要綱(平成10年6月5日施行・平成13年5月22日改正施行。以下「現指導要綱」という。)1条(目的)「 この要綱は,三重県生活環境の保全に関する条例(平成13年三重県条例第7号)第94条の規定に基づき,産業廃棄物を処理する施設の設置について,必要な事項を定めることにより,適正な産業廃棄物の処理施設の確保と処理の推進を図ることを目的とする。」9条(同意取得手続き)「 処理業者は,前条第1項の同意書を取得するに先立ち,事業の内容を同項各号に規定する者(以下「隣接地所有者等」という。)に周知しなければならない。この場合 」9条(同意取得手続き)「 処理業者は,前条第1項の同意書を取得するに先立ち,事業の内容を同項各号に規定する者(以下「隣接地所有者等」という。)に周知しなければならない。この場合において,事前に事業計画周知計画書を計画地を管轄する県民局生活環境部長に提出するものとする。 2 処理業者は,隣接地所有者等への周知を実施した後は,速やかに実施結果報告書を県民局生活環境部長に提出しなければならない。この場合において,県民局生活環境部長が隣接地所有者等への周知が十分でないと認めるときは,処理業者に対し再度の実施を求めることができる。 3 処理業者は,同意書を取得するに際しては,事前に,使用する同意書の様式を県民局生活環境部長に提出し,確認を受けなければならない。この場合において,県民局生活環境部長の確認を受けないで行った同意の取得は無効とする。・・・」10条(設置等に係る事前協議)「 処理業者は,産業廃棄物の処理施設の設置等を行うときは,法(2条1号において廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)をいうと定義されている。)第14条第1項若しくは第4項,第14条の2第1項,第14条の4第1項若しくは第4項,第14条の5第1項,第15条第1項又は第15条の2の4第1項の許可申請を行うのに先立ち,第6条から前条までの事前調整を行った後に,産業廃棄物処理事業計画書(以下「事業計画書」という。)を県民局生活環境部長に提出し,事前協議を行わなければならない。 2 処理業者は,その他の中間施設の設置若しくはその構造若しくは規模の変更又は第2条第11号イ,ロ若しくはハのただし書に該当する事項を行うときは,前項に規定する許可申請を要するものにあっては申請に先立ち,許可申請を要しないものに の設置若しくはその構造若しくは規模の変更又は第2条第11号イ,ロ若しくはハのただし書に該当する事項を行うときは,前項に規定する許可申請を要するものにあっては申請に先立ち,許可申請を要しないものにあっては工事着工に先立ち,事業計画書を県民局生活環境部長に提出し,事前協議を行わなければならない。 3 前2項の事業計画書の内容に変更があったときは,新たに事業計画書を作成し,提出しなければならない。」16条(事前協議結果の有効期限)「 県民局生活環境部長は,前条による事前協議終了の通知をした日から2年を経過した後において,法の規定による諸手続がなされていない場合は,必要に応じ処理業者に対して経過等について報告又は説明を求めるとともに,関係機関の意見を聴き,事前協議結果を無効にできるものとする。この場合において,県民局生活環境部長はその旨を処理業者及び関係機関に通知するものとする。」附則2項「 三重県産業廃棄物処理指導要綱(平成9年1月20日施行。以下「旧要綱」という。)は,廃止する。」附則3項「 この要綱の施行の際現に旧要綱第10条第1項又は第2項の規定により事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」(3) 三重県産業廃棄物処理指導要綱(平成9年1月20日施行)附則2項「 三重県産業廃棄物処理指導要綱(昭和63年5月31日施行。以下「旧要綱」という。)は,廃止する。」附則3項「 この要綱の施行の際現に旧要綱第7条第1項の規定により産業廃棄物処理事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」(4) 三重県産業廃棄物処理指導要綱(昭和63年5月31日施行。以下「旧指導要綱」という。)6条(事前 業廃棄物処理事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」(4) 三重県産業廃棄物処理指導要綱(昭和63年5月31日施行。以下「旧指導要綱」という。)6条(事前調整対策)「 処理事業者は,産業廃棄物の処理施設の設置等の事業計画の策定にあたっては,次の各号に掲げる内容の対策を講じなければならない。 (1) 計画地を管轄する市町村長とあらかじめ協議し,当該市町村の土地利用に関する計画に適合させるとともに,土地利用に関する条例又は要綱等に基づく手続をすること。 (2) 計画地を選定する場合には,次の立地に関する基準を遵守すること。・・・(3) 周辺環境への影響の予測検討等を行うため,知事が別に定める環境調査指針に基づき,環境調査を実施すること。 (4)最終処分場を設計する場合には,知事が別に定める産業廃棄物の最終処分場の構造に関する基準を遵守すること。 (5) 地域関係者等に事業計画その他必要な事項(最終処分場にあっては,第3号の環境調査の結果を含む。)について説明し,次のイからハまでに定める者の同意書又は承諾書等を得るとともに,ニに定める者の同意書又は承諾書等(公害防止協定書,覚書等を含む。)を得るよう努めるものとする。・・・」7条(設置等に係る事前協議)「 処理事業者は,産業廃棄物の処理施設の設置等を行うときは,法に基づく産業廃棄物処理業,特別監理産業廃棄物処理業,産業廃棄物処理施設の許可申請等を行うに先立ち,前条に基づく事前調整を行った後に産業廃棄物処理事業計画書(第1号様式)を当該計画地を管轄する保健所長に提出し,事前協議を行わなければならない。 2 前項の規定により保健所長に提出した事業計画書の内容に変更があったときは新たに事業計画書を作 事業計画書(第1号様式)を当該計画地を管轄する保健所長に提出し,事前協議を行わなければならない。 2 前項の規定により保健所長に提出した事業計画書の内容に変更があったときは新たに事業計画書を作成し提出しなければならない。」(5) 三重県産業廃棄物処理指導要綱の運用について(通知)(生環第256号平成6年2月17日)「第2条(定義)(第10号ロ産業廃棄物の処理施設の構造又は規模の変更)(8)産業廃棄物の処理施設の構造又は規模の変更には,擁壁,えん堤等の設備,遮水工,浸出液処理設備,燃焼設備,排ガス処理設備の変更,処理能力(最終処分場である場合にあっては,埋立地の面積及び埋立容量をいう。)の変更が該当する。」 3 争いのない事実等(1)原告は,被告に対し,平成7年9月6日に,鈴鹿市A町字B番地において産業廃棄物処理施設設置をなすについての事前協議(以下「本件事前協議」という。)の申請をなした。 (2)原告は,被告から,平成11年9月29日に,本件事前協議終了の通知を受けた(以下「本件事前協議結果」という。)。 (3) 原告は,被告に対し,平成12年7月21日付けで本件事前協議結果に基づいて産業廃棄物処理施設設置許可の申請(以下「本件申請」という。)をした。 (4) 被告は,平成13年8月15日に,本件申請に対して別紙記載の理由(以下「本件不許可理由」という。)をもって不許可処分をした(三重県指令廃対第254号)。 (5) 原告は,平成13年10月19日に,被告に対し,産業廃棄物処理施設設置許可申請(以下「本件再申請」という。)をした。 (6)被告は,平成13年11月22日に,本件再申請に対し,これが環境保全条例94条の規定による三重県廃棄物処理指導要綱に定める手続が行 設設置許可申請(以下「本件再申請」という。)をした。 (6)被告は,平成13年11月22日に,本件再申請に対し,これが環境保全条例94条の規定による三重県廃棄物処理指導要綱に定める手続が行われていないことを理由として,行政手続法7条の規定に基づきその申請を却下する旨の処分(三重県指令廃対第19-1号。以下「本件却下処分」という。)をした(甲5)。 (7) 原告は,平成14年1月17日に,被告の教示に基づいて,環境大臣に対し,本件却下処分につき,行政不服審査の申立てをした(甲9,10)。 4 原告の主張本件却下処分は次のとおり違法であるから,その取消しを求める。 (1) 原告は,環境保全条例94条に基づいて,本件事前協議の申請をなし,その協議が終了しており,この本件事前協議結果に基づいて本件再申請がなされたものであるから,これについて改めて環境保全条例94条の手続をする必要はない。 現指導要綱16条によれば,事前協議要綱の有効期限は,事前協議終了の通知を受けた日から2年間とされており,原告はその期限内である平成13年9月27日に被告に対し,本件再申請と同じ申請書を提出している。 しかし,被告はこれが環境保全条例94条の手続を経ていないことを理由として返却した。原告はこれを不服として本件再申請をしたものである。 したがって,本件再申請は,実質的には本件事前協議結果の有効期限内においてされた有効な申請である。 (2) 本件事前協議結果を被告が無効とするためには,被告において原告に対し,経過等について,報告又は説明を求めるとともに,関係機関に意見を聞くことになっている(現指導要綱16条)。 しかし,本件事前協議結果についてはその手続がなされていない。 したがって,本件再申請は,本件事前協 は説明を求めるとともに,関係機関に意見を聞くことになっている(現指導要綱16条)。 しかし,本件事前協議結果についてはその手続がなされていない。 したがって,本件再申請は,本件事前協議結果が有効なうちになされた有効なものである。 (3) 本来,廃掃法15条の2第1項で定める産業廃棄物処理施設設置許可の要件には,環境保全条例94条に定める事柄を要件としていない。 5 被告の主張(1) 本件却下処分の理由は,概ね以下のとおりである。 ① 環境保全条例94条は,「知事は,産業廃棄物を処理する施設の設置について,その計画段階から地域住民との合意を図ることに努めながら進めることを基本として,必要な事項を別に定めるものとする。」と定め,これを受けて,現指導要綱の1条が「この要綱は,三重県生活環境の保全に関する条例(平成13年三重県条例第7号)第94条の規定に基づき,産業廃棄物を処理する施設の設置について,必要な事項を定めることにより,適正な産業廃棄物の処理施設の確保と処理の推進を図ることを目的とする。」と改正され(乙2,3),この指導要綱が環境保全条例94条に規定する「必要な事項を別に定める」の「別の定め」と位置づけられた。 ② また,現指導要綱では,9条,10条で同意取得手続,設置等に係る事前協議について定めるなど,産業廃棄物処理業の許可を受けようとする者又は既にその許可を受けている者が産業廃棄物処理施設の設置等を行うときは,廃掃法の許可申請に先立ち,これらの手続を行わなければならないとされる。 ③ 現指導要綱の附則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(平成9年1月20日施行のものを指す。)第10条第1項又は第2項の規定により事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」旨定められ 則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(平成9年1月20日施行のものを指す。)第10条第1項又は第2項の規定により事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」旨定められ,さらに,平成9年1月20日施行の上記要綱の附則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(旧指導要綱を指す。)第7条第1項の規定により産業廃棄物処理事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」旨定められている(乙4)。 ④ 原告が本件に関し産業廃棄物処理事業計画書(以下「本件事業計画書」という。)を提出したのは平成7年9月6日であるので,旧指導要綱が適用されることとなる。 ⑤ ところで,旧指導要綱は,その6条,7条において,事前調整対策,事前協議について定め,産業廃棄物処理施設の許可申請等を行う者は,これに先立ち,6条に基づく事前調整を行った後に事業計画書を当該計画地を管轄する保健所長に提出し,事前協議を行わなければならないとされている(乙5)。 そして,旧指導要綱7条2項は,「事業計画書の内容に変更があったときは新たに事業計画書を作成し提出しなければならない。」としている(乙5)。 なお,この「新たに事業計画書」を提出する場合において適用される指導要綱は,既に旧指導要綱が廃止されていることから,現指導要綱が適用されることになる。 ⑥ 旧指導要綱7条2項の「変更」とは,「擁壁,えん堤等の設備,遮水工,浸出液処理設備,燃焼設備,排ガス処理設備の変更,処理能力(最終処分場である場合にあっては,埋立地の面積及び埋立容量をいう。)の変更が該当する。」とされている(乙6)。 ⑦ 原告は,平成13年10月19日,本件再申請の手続をなしたが,申請書添付の書類及び図面によると,申請にかかる施設は 地の面積及び埋立容量をいう。)の変更が該当する。」とされている(乙6)。 ⑦ 原告は,平成13年10月19日,本件再申請の手続をなしたが,申請書添付の書類及び図面によると,申請にかかる施設は,後記(2)①のとおり,本件事業計画書による事業計画の変更に当たるので,新たに事業計画書を提出しなければならないところ,原告は,新たに事業計画書を提出せず,現指導要綱9条で定める同意取得手続や,10条で定める事前協議などの前記の一連の手続を全くしていない。 ⑧ したがって,原告のなした本件再申請は不適法なものであり,却下を免れない。 (2) 原告の主張に対する被告の反論① 原告の主張(1)について本件事前協議は,旧指導要綱の規定により原告が平成7年9月6日に提出した本件事業計画書に基づきなされたものであるところ,本件再申請における事業計画は,以下のとおり,本件事業計画書における処理施設の構造が変更されており,本件事業計画書に基づく事業計画で事前協議が終了しているからといって当該事前協議終了通知が本件再申請の事業計画に有効であるとはいえない。 ア前記(1)⑤のとおり,旧指導要綱7条2項は,「事業計画書の内容に変更があったときは新たに事業計画書を作成し提出しなければならない。」旨定めているのであり,新たな事業計画書を提出する場合は,旧指導要綱はすでに廃止されていることから,これにつき改めて,現指導要綱の手続を行うことが必要である。 イところで,本件再申請の事業計画では,処分場が計画されている位置の周辺にある地下水による掘削法面の崩壊を防止するため,掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼矢板(シートパイル,長さ5m,7m,12mの3種類)を施工することとなっていて,これは本件事業計画書及びそれ 地下水による掘削法面の崩壊を防止するため,掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼矢板(シートパイル,長さ5m,7m,12mの3種類)を施工することとなっていて,これは本件事業計画書及びそれに基づく平成12年7月21日付け本件申請の申請書に全く記載されていなかった(乙7,8)。 ウそこで,これが旧指導要綱7条2項の「事業計画書の内容の変更」に当たるか否かを検討するに,旧指導要綱の運用について(通知)の2条(8)では,「産業廃棄物の処理施設の構造又は規模の変更には,擁壁,えん堤等の設備,遮水工,浸出液処理設備,燃焼設備,排ガス処理設備の変更,処理能力(最終処分場である場合にあっては,埋立地の面積及び埋立容量をいう。)の変更が該当する。」旨記載されていることからも明らかなように,「擁壁,えん堤等の設備」の変更はこれに当たるものとされ,この場合には,新たに事業計画書を提出しなければならず(旧指導要綱7条2項),改めて事前協議の手続を行うことが必要である。 エ一般に,所要の空間を確保するために自然状態の地盤を掘削する場合,地形の改変に伴う地盤の崩壊や過大な変形を防止し,必要に応じ止水を行って所要の空間を確保するための構造物を「土留め構造物」といい,その構造形式から,擁壁,山留め壁及び仮締切り壁に分類されているところであるが,掘削部分の外周に施工される鋼矢板は,この土留め構造物のうちの「山留め壁」に該たり,同じ土留め構造物である「擁壁」と同等の機能を持った設備である。 オ本件事業計画書による事業計画ではなかった鋼矢板を施工することは,「擁壁」に類する設備を設置することであり,「擁壁,えん堤等の設備」を新たに設置する計画に変更されたことになることから,本件は,新たに事業計画書を提出し,改めて事前協議の手続を要 を施工することは,「擁壁」に類する設備を設置することであり,「擁壁,えん堤等の設備」を新たに設置する計画に変更されたことになることから,本件は,新たに事業計画書を提出し,改めて事前協議の手続を要するものというべきである。 ② 原告の主張(2)について前記のとおり,本件再申請の処理施設の構造は,本件事業計画書のものから変更されていることから,本件事前協議が有効であるからといって,本件再申請が事前協議を経てなされていることとはならない。 ③ 原告の主張(3)についてたしかに,廃掃法15条の2第1項は,環境保全条例94条に定める事柄を要件としていない。 しかし,廃掃法は,地方公共団体がその地方の特性に応じて,環境保全条例94条で定めるような要件を条例等によって定めることを禁止しているわけではない。 三重県は,環境保全条例を制定して,その94条の「別に定める」を受けて現指導要綱をこの定めとしているのであり,これらの規定が有効であることは明らかである。 また,行政手続法7条では,「行政庁は,申請書がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず,かつ,申請の記載事項に不備がないこと,申請書に必要な書類が添付されていること,申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については,速やかに,申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め,又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。」とし,同法2条で「法令とは法律,法律に基づく命令,条例及び地方公共団体の執行機関の規則をいう。」としている。 したがって,この法令に環境保全条例が該当し,この条例の手続が行われていな 」とし,同法2条で「法令とは法律,法律に基づく命令,条例及び地方公共団体の執行機関の規則をいう。」としている。 したがって,この法令に環境保全条例が該当し,この条例の手続が行われていないことから,その他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請であるとして,平成13年11月22日付けで本件却下処分を行った。 これらのことから,上記条例等に基づく手続がなされていないことを理由になされた本件却下処分が違法でないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 本件却下処分の経緯等証拠(甲6,7,乙2ないし9)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① 環境保全条例94条は,「知事は,産業廃棄物を処理する施設の設置について,その計画段階から地域住民との合意を図ることに努めながら進めることを基本として,必要な事項を別に定めるものとする。」と定め,これを受けて,現指導要綱の1条が「この要綱は,三重県生活環境の保全に関する条例(平成13年三重県条例第7号)第94条の規定に基づき,産業廃棄物を処理する施設の設置について,必要な事項を定めることにより,適正な産業廃棄物の処理施設の確保と処理の推進を図ることを目的とする。」と改正され(乙2,3),この指導要綱が環境保全条例94条に規定する「必要な事項を別に定める」の「別の定め」と位置づけられた。 ② また,現指導要綱では,9条,10条で同意取得手続,設置等に係る事前協議について定めるなど,産業廃棄物処理業の許可を受けようとする者又は既にその許可を受けている者が産業廃棄物処理施設の設置等を行うときは,廃掃法の許可申請に先立ち,これらの手続を行わなければならないとされる。 もっとも,現指導要綱の附則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(平 る者が産業廃棄物処理施設の設置等を行うときは,廃掃法の許可申請に先立ち,これらの手続を行わなければならないとされる。 もっとも,現指導要綱の附則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(平成9年1月20日施行のものを指す。)第10条第1項又は第2項の規定により産業廃棄物処理事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」旨定められ,さらに,平成9年1月20日施行の上記要綱の附則3項では,「この要綱の施行の際現に旧要綱(旧指導要綱を指す。)第7条第1項の規定により産業廃棄物処理事業計画書が提出されているものについては,旧要綱の規定を適用する。」旨定められている。 原告が本件に関し本件事業計画書を提出したのは平成7年9月6日であるので,旧指導要綱が適用されることとなる。 ③ ところで,旧指導要綱は,その6条,7条において,事前調整対策,事前協議について定め,産業廃棄物処理施設の許可申請等を行う者は,これに先立ち,6条に基づく事前調整を行った後に事業計画書を当該計画地を管轄する保健所長に提出し,事前協議を行わなければならないとされている(乙5)。 そして,旧指導要綱7条2項は,「事業計画書の内容に変更があったときは新たに事業計画書を作成し提出しなければならない。」としている(乙5)。 なお,この「新たに事業計画書」を提出する場合において適用される指導要綱は,既に旧指導要綱が廃止されていることから,現指導要綱が適用されると解される。 ④ 原告は,平成13年10月19日,本件再申請をしたが,本件再申請の事業計画では,処分場が計画されている位置の周辺にある地下水による掘削法面の崩壊を防止するため,掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼矢板(シートパイル,長さ5m,7m,12 ,本件再申請の事業計画では,処分場が計画されている位置の周辺にある地下水による掘削法面の崩壊を防止するため,掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼矢板(シートパイル,長さ5m,7m,12mの3種類)を施工するとされていた。この工事は,本件事業計画書及びそれに基づく平成12年7月21日付け本件申請の申請書では全く計画されていなかった。 ⑤ 三重県産業廃棄物処理指導要綱の運用について(通知)の第2条(定義)では,「(8)産業廃棄物の処理施設の構造又は規模の変更には,擁壁,えん堤等の設備,遮水工,浸出液処理設備,燃焼設備,排ガス処理設備の変更,処理能力(最終処分場である場合にあっては,埋立地の面積及び埋立容量をいう。)の変更が該当する。」とされていることから,被告は,上記の工事の変更が旧指導要綱7条2項の「変更」に該当し,新たに原告が事業計画書を提出しなければならないと判断したが,原告が,新たに事業計画書を提出せず,現指導要綱9条で定める同意取得手続や,10条で定める事前協議などの前記の一連の手続を全くしなかったことから,本件再申請を却下した。 2 原告の主張(1)について上記1の認定事実によれば,本件事前協議は,旧指導要綱の規定により原告が平成7年9月6日に提出した本件事業計画書に基づきなされたものであるところ,本件再申請における事業計画は,本件事業計画書における処理施設の構造が変更されているから,本件事業計画書に基づく事業計画で事前協議が終了しているからといって当該事前協議終了通知が本件再申請の事業計画に有効であるとはいえない。 すなわち,本件再申請における事業計画では,本件事業計画書及びそれに基づく平成12年7月21日付け本件申請の申請書では全く計画がなかった掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼 えない。 すなわち,本件再申請における事業計画では,本件事業計画書及びそれに基づく平成12年7月21日付け本件申請の申請書では全く計画がなかった掘削部分の約3m外側に全周約340mにわたり鋼矢板(シートパイル,長さ5m,7m,12mの3種類)を施工するという工事が計画されているが,これは,旧指導要綱の運用について(通知)の2条(8)の,「擁壁,えん堤等の設備」の変更に該当し,旧指導要綱7条2項の「事業計画書の内容の変更」があるものと認められる。したがって,本件再申請に当たっては,新たに事業計画書を提出しなければならず(旧指導要綱7条2項),改めて事前協議の手続を要すると認められる。 原告は,本件再申請につき,新たに事業計画書を提出したり,改めて事前協議の手続をとったりしていない。 以上によれば,原告の主張(1)は採用できない。 なお,この点,原告は,「長期間にわたる事前協議で詳細なる行政指導を受けてきたもので,事前協議の段階では適法と認められ,住民同意も得られている。一部に不備があり計画変更しなければならない点があったとしても,そのこと自体被告の指導に誤りがあったということになり,その過ちを犯した被告が原告に再度事前協議の手続をやり直せというのは正義に反する。」とも主張するが,仮に被告の事前協議の際の行政指導に一部不当な点があったとしても,上記説示のとおり,事業計画書の内容の変更があれば,再度事前協議の手続を要すると解すべきであるから,原告の同主張は採用できない。 3 原告の主張(2)について上記1で説示のとおり,本件再申請の処理施設の構造は,本件事業計画書のものから変更されているから,本件事前協議が有効であるからといって,本件再申請が,事前協議を経てなされていることとはならない。 したがって,原告の 本件再申請の処理施設の構造は,本件事業計画書のものから変更されているから,本件事前協議が有効であるからといって,本件再申請が,事前協議を経てなされていることとはならない。 したがって,原告の主張(2)は採用できない。 4 原告の主張(3)について特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、当該条例は国の法令に違反しないと解される。 しかるに,証拠(甲7,乙1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,環境保全条例及び現指導要綱は,産業廃棄物処理施設の設置を巡る紛争が絶えない状況をふまえ,処理施設の設置の計画段階から地域住民との合意を得ながら進めることで紛争を防止し,また地域の実情に応じたよりよい施設となるようにするという目的で制定されたものであることが認められるが,廃掃法は,「廃棄物の排出を抑制し,及び廃棄物の適正な分別,保管,収集,運搬,再生,処分等の処理をし,並びに生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」ものであって(同法1条),必ずしも廃棄物についてのあらゆる事項について国がすべてを規制する趣旨で制定されたものとはいえない。地方公共団体が上記のような特殊な地方的実情と必要に応じて環境保全条例及び現指導要綱などの特別の規制を加えることを,廃掃法は容認していると解するのが相当である。 る趣旨で制定されたものとはいえない。地方公共団体が上記のような特殊な地方的実情と必要に応じて環境保全条例及び現指導要綱などの特別の規制を加えることを,廃掃法は容認していると解するのが相当である。 したがって,原告の主張(3)は採用できない。 5 以上によれば,本件却下処分には原告主張の違法はなく,本件却下処分は適法である。したがって,原告の請求は理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 津地方裁判所民事部裁判長裁判官内田計一裁判官後藤隆裁判官大竹貴
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