平成15(受)339 否認権行使請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年9月14日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 平成14(ネ)1969
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判決文本文1,770 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人宇佐美明夫,同森戸一男の上告受理申立て理由について 1 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 (1) 株式会社D(以下「破産会社」という。)は,寝具類及び衣料品の販売等を業とする会社であるが,平成7年7月13日,上告人らとの間で,破産会社が上告人らに対して負担する一切の債務の担保として,破産会社の特定の第三債務者らに対する売掛債権を,上告人らにつき各5000万円を限度として譲渡することとし,その債権の譲渡の効力発生の時期は,破産会社において,破産手続開始の申立てがされたとき,支払停止の状態に陥ったとき,手形又は小切手の不渡処分を受けたとき等の一定の事由が生じた時とする旨の契約(以下「本件債権譲渡契約」という。)を締結した。 (2) 破産会社は,平成11年7月1日,支払停止の状態に陥った。 (3) 上告人らは,同日,破産会社から付与された権限に基づいて,破産会社に代わって,上記第三債務者らに対する確定日付のある証書による債権譲渡の通知をした。 (4) 上告人らは,同年9月から10月までの間に,上記第三債務者らから譲受債権の弁済を受けた。 (5) 破産会社は,平成12年3月22日,大阪地方裁判所において破産宣告を受け,被上告人が破産管財人に選任された。 2 被上告人は,本訴において,上告人らに対し,本件債権譲渡契約に係る債権譲渡については破産法72条1号又は2号に基づき,債権譲渡の通知については同- 1 -法74条1項に基づき,それぞれ否認権を行使し,不当利得返還請求権に基づき,譲受債権の弁済として受領した金員の支払を求めている。 3 破産法72条2号は,破産者が支払停止又 については同- 1 -法74条1項に基づき,それぞれ否認権を行使し,不当利得返還請求権に基づき,譲受債権の弁済として受領した金員の支払を求めている。 3 破産法72条2号は,破産者が支払停止又は破産の申立て(以下「支払停止等」という。)があった後にした担保の供与,債務の消滅に関する行為その他破産債権者を害する行為を否認の対象として規定している。同号の規定の趣旨は,債務者に支払停止等があった時以降の時期を債務者の財産的な危機時期とし,危機時期の到来後に行われた債務者による上記担保の供与等の行為をすべて否認の対象とすることにより,債権者間の平等及び破産財団の充実を図ろうとするものである。 債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は,その契約締結行為自体は危機時期前に行われるものであるが,契約当事者は,その契約に基づく債権譲渡の効力の発生を債務者の支払停止等の危機時期の到来にかからしめ,これを停止条件とすることにより,危機時期に至るまで債務者の責任財産に属していた債権を債務者が危機時期に至ると直ちにその責任財産から逸出させることをあらかじめ意図し,これを目的として,当該契約を締結しているものである。 破産法72条2号の規定の趣旨及び上記契約の内容,その目的等に照らすと,上記契約は,同号の規定による否認権行使の実効性を失わせ,これを潜脱しようとするものといわざるを得ず,その契約内容を実質的にみれば,【要旨】上記契約に係る債権譲渡は,債務者に支払停止等の危機時期が到来した後の債権譲渡と同視すべきものであり,上記規定に基づく否認権行使の対象となると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1797号同16年7月16日第二小法廷判決・裁判所時報1368号327頁参照〔編注:民集58巻5号1744頁に登載〕)。 そうすると,被上告人の ると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1797号同16年7月16日第二小法廷判決・裁判所時報1368号327頁参照〔編注:民集58巻5号1744頁に登載〕)。 そうすると,被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は,結論において正当である。したがって,その余の点について判断するまでもなく,論旨は採用することができない。 - 2 -よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖)- 3 -

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