昭和27(け)2 控訴棄却決定に対する異議申立事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年4月8日 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      名古屋高等裁判所刑事第一部が被告人Aの強姦未遂、強盗致傷被告事件 に付、昭和二十七年三月十九日為した控訴棄却の決定は、これを取り消す。          理    由  弁護人

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判決文本文2,658 文字)

主文 名古屋高等裁判所刑事第一部が被告人Aの強姦未遂、強盗致傷被告事件に付、昭和二十七年三月十九日為した控訴棄却の決定は、これを取り消す。 理由 弁護人鈴木匡の異議申立の要旨は、被告人Aの強姦未遂、強盗致傷被告事件の控訴審において、弁護人鈴木匡は、右被告人から弁護人に選任せられ、控訴審である名古屋高等裁判所に何回となく弁護届の提出をしようとしたが、その都度訴訟記録が送付されていないので、送付後提出されたいとの事であつたが、右記録送付の事実を知り、昭和二十七年二月十一日朝、右事件を審理される名古屋高等裁判所刑事第一部に提出し、控訴趣意書提出期間の指定の通知を待つていたのである。然るに同年三月二十日突然右刑事第一部から、控訴趣意書を指定期間内に提出しないとの理由で、控訴棄却の決定の送達を受け、初めて、控訴趣意書提出期間の指定があつたことを知つたのである。然れども、裁判所は、弁護人が選任されていたにも拘らず、これに控訴趣意書提出期間を通知しなかつたもので、これは、刑事訴訟規則第二百三十六条第一項第二項に違反すること明らかであるから、右控訴棄却の決定は、違法であり、これが取消を求むるため、本件異議申立に及んだ次第であると謂うにある。よつて被告人Aの訴訟記録について案ずるに、同被告人は、強姦未遂、強盗致傷被告事件に付、昭和二十六年十二月二十七日名古屋地方裁判所で、懲役三年六月の有罪判決を受けたので、昭和二十七年一月九日適法に控訴の申立を為したところ、右訴訟記録は同年二月七日控訴裁判所である名古屋高等裁判所に送付され、同日受理され、同裁判所刑事第一部に配り当てられたこと、同刑事第一部裁判長判事Bは、昭和二十七年二月八日、控訴趣意書差出最終日を昭和二十七年三月八日と指定し、昭和二十七年二月十一日午前十一時 され、同日受理され、同裁判所刑事第一部に配り当てられたこと、同刑事第一部裁判長判事Bは、昭和二十七年二月八日、控訴趣意書差出最終日を昭和二十七年三月八日と指定し、昭和二十七年二月十一日午前十一時名古屋拘置所に勾留中の控訴申立人である被告人に対し、前記控訴趣意書差出最終日通知書及び訴訟記録受領通知書が名古屋高等裁判所廷吏Cによつて送達されたこと並に弁護人鈴木匡の弁護人選任届が、昭和二十七年二月十一日名古屋高等裁判所に提出されたが、同弁護人に対しては、控訴趣意書差出最終日の通知が為されていないことが明らかに認められる。 刑事訴訟規則第二百三十六条第一項第二項によれば、控訴趣意書差出の最終日の通知は、控訴申立人に為すと同時に控訴申立人に弁護人があるときは、右通知は、弁護人にもこれをしなげれはならないもので、右の通知は、通知書を送達してこれをしなければならない旨が規定せられていて、本件において、この規定が守られているかどうかについて案ずるに、控訴趣意書差出の最終日の通知書が控訴申立人である被告人に送達せられる以前に弁護人の選任があつたときには、その弁護人にも右の通知書を送達すべきものであるが、控訴申立人に右の通知書が送達された後において、弁護人の選任があつたときは、同弁護人は、控訴申立人から趣意書差出の最終日を聞いて知ることができ、且つ弁護人選任届を提出するとき訴訟記録により、如何なる段階にまで、訴訟が進行しているかを知り得るし、かかることを承知の上弁護人に就任したものと認め得るので、改めて、控訴趣意書差出の最終日を通知するの必要がないものと解すべきである。然るに本件においては、控訴申立人に対して、前記通知書が送達せられたのは、昭和二十七年二月十一日(月曜日)午前十一時で当裁判所訟廷課受付係Dの報告書によれば、弁護人選任届が提出されたのも同 である。然るに本件においては、控訴申立人に対して、前記通知書が送達せられたのは、昭和二十七年二月十一日(月曜日)午前十一時で当裁判所訟廷課受付係Dの報告書によれば、弁護人選任届が提出されたのも同時刻頃で、時間の前後の判定は極めて困難であるが、名古屋拘置所と名古屋高等裁判所とは徒歩で数分の距離しかなく、送達をする廷吏が長い時間通知書を所持することもないので、通知書の発送されたのは、同日の午前十時以後であることが推認され、その頃から午前十一時頃までに弁護人選任届が提出されたものと認めることができる。右の事情の下においては、弁護人鈴木が本件控訴申立人の弁護人に就任したとき、同弁護人は、控訴申立人から控訴趣意書差出の最終日の伝達を受けることも、又訴訟記録を見て、右通知書の送達があつたことを知るごとは、全く不可能に属する。更に廷吏送達報告書の記載を見るに、弁護人を選任するか否かの弁護人選任に関する通知書を送達した旨の記載がないので、控訴裁判所として、既に弁護人が<要旨>選任せられているので、右通知をしなかつたのではないかとの疑問も生ずる。右のように控訴申立人に控訴趣</要旨>意書最終日の通知をしたのと弁護人選任届提出が同時刻か又はその前後か全く不明なときは、被告人の利益を守り、完全に弁護権を行使せしめるため、弁護人にも該通知書を送達すべきものと解するのが相当である。本件弁護人は、被告人のため保釈願を提出し、それに対し意見を述べて居り、且保釈申請却下の決定の送達を受けているので、訴訟記録を見るなり又は書記課に尋ねたりして、通常の注意を以つてすれば、控訴趣意書最終日の指定のあつたことは、極めて容易に知り得たものであり、これを知らなかつたのは、重大なる過失があつたことは認められるが、かゝる過失があつたことによつて、控訴趣意書最終日の通知をしなかつた 意書最終日の指定のあつたことは、極めて容易に知り得たものであり、これを知らなかつたのは、重大なる過失があつたことは認められるが、かゝる過失があつたことによつて、控訴趣意書最終日の通知をしなかつた違法が救済されたり、又は弁護人として異議申立権を喪夫したものと解することはできない。右のように、本件控訴裁判所は弁護人があるにも拘らず、これに控訴趣意書最終日の通知をせず、控訴棄却の決定をしたため、刑事訴訟規則第二百三十六条に違反する違法があることになり、従つて右決定は取消されねばならない。 本件異議申立は理由がある。 よつて刑事訴訟法第四百二十八条第三百八十六条第三百八十五条第四百二十六条第二項により、主文の通り決定する。 (裁判長判事高城運七高橋嘉平判事赤間鎮雄)

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