平成17(ワ)3004 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年1月26日 福岡地方裁判所
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判決文本文50,654 文字)

平成23年1月26日判決言渡平成17年(ワ)第3004号損害賠償請求事件 主文 1 被告らは,株式会社Eに対し,連帯して,18億8000万円及びこれに対する平成17年6月13日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は,被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,株式会社Eに対し,連帯して,18億8000万円及びこれに対する平成17年6月13日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,株式会社E(以下「E」という。)の株主である原告が,同社の代表取締役である被告B(以下「被告B」という。),当時の取締役であった被告C(以下「被告C」という。)及び被告D(以下「被告D」という。)に対し,同社の子会社に対する不正融資等により同社が18億8000万円の損害を被ったと主張して,平成17年7月26日法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)267条3項に基づき,Eへの損害の賠償を請求した株主代表訴訟の事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)当事者等ア原告は,Eの株式8095株を所有する株主である(争いがない。)。 イ被告Bは,平成11年6月16日から平成20年6月3日まで,Eの代表取締役の地位にあった。また,昭和61年8月5日から平成20年6月ころまで,株式会社F(以下「F」という。)の非常勤の取締役を兼任し ていた。さらに,被告Bは,平成11年以降,G株式会社などEの複数の関連会社の代表取締役や取締役,各種審議会や協議会の会長,理事及び委員など,多くの団体の要職を兼務していた。 (甲2の し ていた。さらに,被告Bは,平成11年以降,G株式会社などEの複数の関連会社の代表取締役や取締役,各種審議会や協議会の会長,理事及び委員など,多くの団体の要職を兼務していた。 (甲2の4,甲3の1,乙57,B本人,弁論の全趣旨)ウ被告Cは,平成13年6月13日から平成17年6月13日まで,Eの専務取締役の地位にあった。また,平成13年6月23日から平成15年6月27日まで,Fの非常勤の取締役を兼任し,同日から平成17年6月23日まで,Fの取締役会長を兼任していた。さらに,H株式会社などEの複数の関連会社の非常勤取締役及び多くの審議会や協議会の委員を兼務していた。 (甲2の5,甲3の8,乙57,C本人,弁論の全趣旨)エ被告Dは,平成13年6月13日から平成17年6月13日まで,Eの常務取締役の地位にあった。また,平成11年6月23日から平成17年6月23日まで,Fの非常勤の監査役を兼任していた。さらに,H株式会社などEの複数の関連会社の非常勤監査役,Iの情報化検討委員会の委員及び社団法人I協会の監事を兼務していた。 (甲2の5,甲3の8,乙57,D本人,弁論の全趣旨)オ Eは,農林水産大臣の許可を得て水産物及びその加工品の販売の受託,輸出入などを業とする株式会社である(甲2の5)。 カ Fは,Eの100パーセント子会社であり,食料品の購入,販売又はあっせん等を業とする株式会社であり,現在,水産加工食品の開発と生産を行うとともに,水産総合食品の販売を業としている。 Fには,平成16年12月31日当時,常勤役員4名,正規職員58名,パート58名,アルバイト11名,合計131名の従業員がいた。 (弁論の全趣旨)(2) EとFの関係について ア Fの設立目的,グループ内での位置付けEは,昭 正規職員58名,パート58名,アルバイト11名,合計131名の従業員がいた。 (弁論の全趣旨)(2) EとFの関係について ア Fの設立目的,グループ内での位置付けEは,昭和43年ころ,冷凍物の取扱量が増加し始めたため,将来の拡販を図るため,これを社内で扱うか専門の子会社を設立するか検討し,その結果,グループ企業として,流通ルートの多様化や商圏拡大に応えるのが望ましいと考え,昭和45年にFを設立した。 (争いがない。)イ EとFの事業の関連性Eは,卸売市場法37条,39条等により,原則として,仲卸業者や売買参加者(大手の小売業者)にしか販売できないという制約を受けている。 ただし,Eは,同法39条ただし書各号により,例外的に許される範囲内で市場外販売を行っており,この年間売上額は60ないし80億円ほどである。 他方,Fは,市場外業者であるから,上記制約を受けることなく,直接小売業者に販売できた。そこで,Fは,全国ネットで,Eや商社などから魚介類を中心とする食材を購入し,大口事業者だけでなく,小売業者にも販売していた。 (争いがない。)(3) Fの不良在庫問題ア Fは,Eを含む資金の豊富な仕入業者に対し,一定の預かり期間に売却できなければ,期間満了時に買い取る旨約束した上で,魚を輸入してもらっていた(以下,このような約束のある仕入れ方法を「ダム取引」という。)。 (乙23,証人J,証人K,B本人,弁論の全趣旨)イ Fは,上記預かり期間満了時に,仕入業者から,同期間内に売却できなかった在庫商品をいったん買い取り,その上で,当該仕入業者又は他の仕入業者に対し,一定の預かり期間に売却できなければ期間満了時に買い取 る旨約束して,当該商品を買い取ってもらい,その後,同期間満了時 た在庫商品をいったん買い取り,その上で,当該仕入業者又は他の仕入業者に対し,一定の預かり期間に売却できなければ期間満了時に買い取 る旨約束して,当該商品を買い取ってもらい,その後,同期間満了時に,同期間内に売却できなかった場合には,同じことを繰り返すという取引を行った(以下,このような約束のある取引を,E及びFによる呼称に従い「グルグル回し取引」という。)。なお,グルグル回し取引は,いわゆる循環取引,すなわち,例えば,商品がA→B→C→E→Aと順に取引され,順次価格が上がり,最後になった会社が損失を被る取引のことではなく,Fを中心に,FがEを含む各仕入業者との間で,同一商品についてダム取引を繰り返すというものである。 (証人J,証人K,弁論の全趣旨)ウグルグル回し取引を繰り返すたびに,手数料,冷蔵庫保管料等の実費等が付加されるため,商品の帳簿価格は上がるが,当該商品を市場で売却する場合には,市場価格で売却せざるを得ない。そして,売れ残った商品は品質が劣化し,市場価格が下がっていくから,グルグル回し取引を繰り返すと,時価が簿価を下回る含み損が発生することになる。 そして,仕入業者らからの買戻し時点でさらに品質が落ちたものを価格を上乗せして買い戻さなければならないので,グルグル回し取引は,含み損をもたらし,他方で,グルグル回し取引の相手方には手数料等の利益をもたらす取引である。 (弁論の全趣旨)エ Fは,グルグル回し取引を,株式会社M(以下「M」という。),E,N及びOとの間で行い,これにより,含み損が発生した(以下「本件不良在庫問題」という。)。 グルグル回し取引は,Fの当時の営業本部長兼取締役であったJ(以下「J」という。)らがFの取締役会の承認なく行ったものである。 (証人J,弁論の全趣旨) 本件不良在庫問題」という。)。 グルグル回し取引は,Fの当時の営業本部長兼取締役であったJ(以下「J」という。)らがFの取締役会の承認なく行ったものである。 (証人J,弁論の全趣旨)オ Fは,Mとの間で,グルグル回し取引又はその精算として,以下のとお りの高値あるいは数量で,取引していた。 (ア) Fは,平成16年4月15日,Mから,F製造のさわやか風味だこ(キムチ)120グラム入り1パック(平成19年11月24日の小売価格48円)を6万0012円で購入した(甲25の1,甲26の1)。 (イ) Fは,同年6月12日,Mから,太刀魚骨なし切り身4切れ(平成19年12月当時の小売価格398円)を4万4716円で購入した(甲25の2,甲27)。 (ウ) Fは,同年3月31日,Mから,ヤリイカリング身1キロ(平成19年11月24日の小売価格998円)を2万1374円で購入した(甲25の3,甲26の2)。 (エ) Fは,同年3月31日,Mから,ヤリイカリング下足1キロ(平成19年11月24日の小売価格560円)を2万1374円で購入した(甲25の3,甲26の2)。 (オ) Fは,平成14年12月30日,Mから,冷凍カキを54.31トン,計2724万7560円,冷カキを3.07トン,計193万7170円,カキフライを約21.68トン,計1313万84円,合計約79.06トン,合計金額4231万4814円で購入した(甲25の4)。 カ Fは,Eとの間でも,平成16年4月5日,ぶりを10キロ当たり8万1735円と高値で購入し,同年7月23日,鯛約9.3トンを2253万5000円,10キロ当たり2万3152円と高値で購入し,ヤリイカ,カニ等を10トン以上まとめて購入し,同年7月21日,製品化されたメイタカレイカラアゲを4. 7月23日,鯛約9.3トンを2253万5000円,10キロ当たり2万3152円と高値で購入し,ヤリイカ,カニ等を10トン以上まとめて購入し,同年7月21日,製品化されたメイタカレイカラアゲを4.4トンと3トンを購入し,同月23日,製品化されたメイタカレイ粉付き約20.7トンを購入するなどの取引をしていた(甲25の5から10まで)。 (4) Fの不良在庫についての平成11年の調査 ア Fの常務取締役であったP(以下「P」という。)は,平成11年1月,平成10年度の商品棚卸表の在庫評価額を調べた際,太刀魚,鯛などの在庫評価額が異常に高い額となっていることを発見し,Fの当時の代表取締役であるQ(以下「Q」という。)にその旨報告した。 Qは,この報告を受けて,Fの常勤役員会を開催し,その結果,P及びFの当時の取締役であったL(以下「L」という。)が不良在庫の調査をすることになり,J等からの聞き取り調査が開始された。在庫商品を検品した結果,商品価値のないものばかりであった。 Pは,上記調査の開始と同時に,Eの常務取締役兼Fの非常勤取締役であった被告Bに対し,Fの在庫商品が異常であることを報告したため,被告Bは,同時点で,Fに不良在庫の問題があることを知った。 (争いがない。)イ被告Bは,平成11年1月28日開催のFの取締役会で,不明瞭な在庫があり,P,Lが調査委員として調査している旨の報告を受けたため,きちんと調査するよう発言した。 (争いがない。)ウその後,調査委員のR(以下「R」という。),P,Lは,Qに対し,既に廃棄済みで帳簿に計上中の在庫が206万1190円,不良品などにつき処分が必要な在庫が736万5272円であるとの営業部在庫調査報告書を提出し,Qは,同年4月1日開催のFの取締役会で,営業部不良在 に廃棄済みで帳簿に計上中の在庫が206万1190円,不良品などにつき処分が必要な在庫が736万5272円であるとの営業部在庫調査報告書を提出し,Qは,同年4月1日開催のFの取締役会で,営業部不良在庫調査の件について,調査委員会からの上記報告書を受け,同報告書には,約1000万円が今期不良在庫として処分が必要であり,その他については,今後の営業努力の中で吸収処理できると記してある旨報告した。 被告Bは,この報告を受けて,他にまだ疑わしい在庫がないか確認したところ,Qは,Jが最終報告として提出した不良在庫総額約3400万円以外にはない旨返答した。 そして,同取締役会において,同年1月28日付け取締役会議事録(甲14の1)の「⑦その他」の項目に記載されていた「Q社長より,昨年7月より不良在庫の調査を行っているが12月にJ取締役より不良在庫一覧の提出を受け,諒承し,社内処理等をも考えていたが,不明確な在庫がまだあり,P取締役,L取締役を委員として調査している旨の報告があった。 青柳取締役より事実関係を正確に捉らえ,公正をきす為にも第三者のR監査役を委員に加え,調査して貰いたいとの提言があり,全員これを諒承し,後日,委員会より調査内容を報告するとした。」との部分を全文削除することが決議された(甲14の2,弁論の全趣旨)(5) EとMとの連帯保証契約ア Fは,平成15年3月1日,Mとの間で,輸入商品及び国内商品についての継続的取引契約を締結したが(以下「本件継続的取引契約」という。),同契約の締結については,Fの取締役会で承認を得ていない。 (乙4,弁論の全趣旨)イ Eは,同日,Mとの間で,本件継続的取引契約及び同契約に基づく個別の取引契約から生じるFのMに対する一切の債務について,Fと連帯して履行の責に任ずる旨 得ていない。 (乙4,弁論の全趣旨)イ Eは,同日,Mとの間で,本件継続的取引契約及び同契約に基づく個別の取引契約から生じるFのMに対する一切の債務について,Fと連帯して履行の責に任ずる旨の連帯保証契約を締結した(以下「本件連帯保証契約」という。)。 (乙4,弁論の全趣旨)(6) EのFへの貸付けア Fの在庫について調査するため,調査委員会(以下「本件調査委員会」という。)が発足され,調査委員会の委員長に被告C,委員に被告D,K(以下「K」という。)及びLがそれぞれ選任された(弁論の全趣旨)。 イ本件調査委員会は,平成16年3月31日付けで,Fの在庫,売掛金含み損が13億7829万9000円であるとの在庫・売掛金含み損調査報 告書(以下「本件調査報告書」という。)を作成した(乙5)。 ウ Fは,同年4月30日,Eに対し,平成21年度までに債務超過を解消することを目標とするFの再建計画書を提出するとともに,資金援助の申入れを行った(乙6)。 エ Fは,平成16年6月17日ころ,特別損失(含み損)が14億8000万円であったとして,再建計画の修正案を提出した(乙7)。 オ Eは,同月21日,取締役会で,Fを再建するための資金として,20億円の貸付枠を承認する旨の決議を行った(乙8)。 カ Eは,同月29日から同年12月29日までの間に,Fに対し,以下のとおり,7回にわたり,合計19億1000万円を貸し付けた(争いがない。以下「本件貸付け」という。)。 貸付日貸付額① 平成16年6月 29日 2億円② 同年7月 29日 4億円③ 同年8月 30日 3億円④ 同年9月 29日 8億円⑤ 同 29日 2億円② 同年7月 29日 4億円③ 同年8月 30日 3億円④ 同年9月 29日 8億円⑤ 同年10月28日 1億円⑥ 同年12月 3日 6000万円⑦ 同月29日 5000万円キ Eは,上記貸付金19億1000万円から,Fに対する売掛金債権5億5000万円を回収した(争いがない。)。 (7) EのFに対する債権放棄ア Kは,平成16年12月29日ころ,被告Bに対し,Fの実際の含み損の額が22億6242万円である旨報告した(乙23)。 イ Fは,平成17年2月17日,Eに対し,特別損失(含み損)が22億6242万円である旨記載された再建計画書を提出した(乙24)。 ウ Eは,同月24日,取締役会で,本件貸付金残額の15億5000万円の債権を平成17年度に放棄する旨の決議を行った(乙25,以下「本件債権放棄」という。)。 エ Fは,平成17年3月末日までに,Eに対し,本件貸付金のうち3億6000万円を返済した。 その後,Eは,Fに対し,平成17年4月4日に2億円,同月27日に5000万円,同年5月30日に8000万円の合計3億3000万円を再び貸し付けた(以下「本件新規貸付け」という。)。 (乙27,乙37,乙39から乙41まで,乙58の1,乙59の1,乙60の1)。 オ Eの定時株主総会は,平成17年6月13日,Fに対する支援損15億5000万円を含んだ貸借対照表,損益計算書及び利益処分案を承認する旨の決議を行った(甲8の2,乙26)。 (8) 代表訴訟の前提手続原告は,旧商法267条1項に基づき,平成17年7月7日,Eに対し,被告らのEに対する損害賠償責任を追 及び利益処分案を承認する旨の決議を行った(甲8の2,乙26)。 (8) 代表訴訟の前提手続原告は,旧商法267条1項に基づき,平成17年7月7日,Eに対し,被告らのEに対する損害賠償責任を追及する訴えの提起を請求したが,Eは,同訴えを提起しなかった(争いがない。)。 2 争点(1) 被告らの忠実義務違反及び善管注意義務違反の有無【原告の主張】ア被告らは,Eの代表取締役,専務取締役及び常務取締役として,Eに対し,忠実にその職務を遂行する義務を負い(旧商法254条の3),善管注意義務を負っていたが,以下の①から⑤までのとおり,同義務に違反した。 「経営判断の原則」については,裁判例によってニュアンスが若干異なっているが,「取締役の判断の前提となった事実の認識に重要かつ不注意 な誤りがあったか,その意思決定の過程,内容が企業経営者として特に不合理,不適切なものでなければ取締役に許された裁量の範囲を逸脱しない」との表現で「経営判断の原則」を示しているものが多い。 本件の場合,融資や債権放棄等,原告が既に主張している行為について,被告らには,「事実認識に重要かつ不注意な誤りがあり」,かつ,被告らは融資及び債権放棄等について,Fの取締役・監査役として「個人的な利害関係が存する」ものであるから,上記原則は適用されない。 イ ①グルグル回し取引への関与又は子会社の監視義務違反(ア) グルグル回し取引への関与被告らは,以下のとおり,平成11年1月の時点で,Fの本件不良在庫問題が表面化したにもかかわらず,グルグル回し取引を行ってEに架空の利益をもたらし,利益の水増しという粉飾決算を行っており,これは,忠実義務違反及び善管注意義務違反に当たる。 a ダム取引の異常性ダム取引は, かわらず,グルグル回し取引を行ってEに架空の利益をもたらし,利益の水増しという粉飾決算を行っており,これは,忠実義務違反及び善管注意義務違反に当たる。 a ダム取引の異常性ダム取引は,被告が主張するような,水産業界で一般的に行われているような取引ではない。理由は以下のとおりである。 第1に,魚などの生鮮食料品は,冷蔵庫に保存する期間が長くなれば品質が劣化し,販売価格は下がり,また,季節はずれ商品になり,賞味期限の表示が商品表示法で義務づけられていることから最後には廃棄処理するしかなくなるからである。第2に,デフレ傾向にあった平成12年以降,長く商品を持っていればそれだけ価格が下落するので,先に一定価格で買い付けると損失を被るからである。第3に,売掛金債権が表面化しないので正常な経理処理ができないからである。 第4に,在庫隠しとなるからである。第5に,購入した物が売れ残れば,次回からは売れた範囲を基準に新たな仕入れを行うのが通常であり,ダム取引は在庫管理上あり得ないからである。第6に,ダム取引 は,最後の莫大な損失を被ることが明らかな取引であるからである。 以上の理由から,ダム取引が不正なものであることは,原告,被告及びEなど水産業界では争いのないことである。 また,被告らは,ダム取引を契約在庫,契約取引と同様の取引であると主張しているが,これらは全く異なる取引である。 契約在庫,契約取引は,契約書を交わし,いつどれだけの数量の交付を受けるのか,その後に引渡しを受ける商品に関する冷蔵庫賃,金利をどのように定めるのかなど契約における重要な事項をすべて文書化して行う取引で,社内での稟議書に基づく稟議の作成や取締役会の承認など,手続を踏んで正規に行われるものである。 他方,ダム取引は,FのEに対する再調査報告書でF 契約における重要な事項をすべて文書化して行う取引で,社内での稟議書に基づく稟議の作成や取締役会の承認など,手続を踏んで正規に行われるものである。 他方,ダム取引は,FのEに対する再調査報告書でF自身が認めているとおり,ダム機能と称して会社の承認を受けず,簿外で他社に大量の不良在庫を預け(ピーク時約20億円),これの引取期日がくると,手数料・金利・冷蔵庫賃を上積みして再度預けることを繰り返し,多額の含み損があるものである。 b グルグル回し取引の違法性FとEは,ダム取引及びグルグル回し取引を反復継続して行っているが,これはEにとって実質的には自己取引であるにもかかわらず,取締役会の承認手続はもちろん,社内の稟議手続を無視して行われた違法な取引である。 c 本件不良在庫問題の発覚Pは,平成11年に,被告Bに対し,Fの在庫商品が異常であることを報告しているので,被告Bは,同時点で,Fの商品の在庫評価が異常であることを知っているはずである。 また,Pらが,平成11年にFの不良在庫について調査が行い,平成11年4月11日開催のFの取締役会で,調査結果が報告されたが, Qは,被告Bの「ほかに疑わしき在庫はあるのか」との質問に対し,Jが最終報告した不良在庫3400万円以外にはない旨返答し,結局,上記調査はうやむやになった。 Fの専務取締役になったPは,平成12年5月ころ,F営業部の商品在庫が異常に増えていることに気付き,平成11年4月から平成12年3月までの商品在庫棚卸表を調査し,魚の種別ごとに毎月繰越残高,当月仕入高,当月売上高,当月在庫額,当月利益を月別に1年間分まとめた。この調査の結果,前月繰越高プラス仕入高よりも在庫金額が増えていること,売上げがないのに利益が出ているベトナム関係の魚類が多いことが 入高,当月売上高,当月在庫額,当月利益を月別に1年間分まとめた。この調査の結果,前月繰越高プラス仕入高よりも在庫金額が増えていること,売上げがないのに利益が出ているベトナム関係の魚類が多いことが判明した。Pは,当時のFの代表取締役であったRに対し,同調査結果をまとめた書類を提出して説明し,Rは,被告Bに対し,同書類を持って,同調査結果を報告した。被告Bは,この報告により,Fの本件不良在庫問題を認識したが,そのままにしておけと返答した。Pは,同調査において,大阪営業部のS(以下「S」という。),東京営業部のTから事情を聞いたが,Jの命令でやっている,Rがやらせているのではないかなどと言うだけで,それ以上の実態解明はできなかった。被告Bは,この時点で,本件不良在庫問題を知っていたことは明らかである。 d グルグル回しの背景及び被告BのJに対する指示Eは,平成11年度(平成12年3月末決算期)以降,取扱高,営業利益は減少傾向にあり,業績は悪化していた。 被告Bは,Jに対し,EのためにFが3億円を作るよう指示し,Jは,そのために,Eとの間でグルグル回し取引,ダム取引を行い,その結果,子会社であるFの損失において親会社であるEが利益を吸い上げた。Eは,Fに対し,本件訴訟で問題にしている19億1000万円を貸し付け,その中から5億5000万円の売掛金を回収した。 結局,被告Bは,業績が悪化するEの見せかけの利益を確保するため,FのJに対し,グルグル回し取引を強要していた。 e 被告らは,グルグル回し取引についての認識がなかった旨主張するが,Fの本件不良在庫問題が発生したてん末については,本件調査報告書(乙5)に,平成12年から平成13年にかけて入荷されたものが大口の停滞在庫として残り,平成13年11月当時のR社長か た旨主張するが,Fの本件不良在庫問題が発生したてん末については,本件調査報告書(乙5)に,平成12年から平成13年にかけて入荷されたものが大口の停滞在庫として残り,平成13年11月当時のR社長から停滞在庫を調査するよう指示があり,調査の結果,停滞在庫が判明し,平成14年7月ころからMのダム取引による在庫を含め,物流部に管理を委譲してその消化に努めてきた旨記載されており,被告らは同時期にFの取締役,監査役に就任しているので,これらの経緯についても知り尽くしている。また,本件調査報告書では,グルグル回し取引及びダム取引の中にE分で5億円計上されている。したがって,被告らは,E及びFの取締役,監査役として,グルグル回し取引及びダム取引の発生の拡大及び隠蔽のすべてに関与したと考えられる。 f 前記a及びbのとおりグルグル回し取引は異常な取引であり,このような取引が成立するためには,買い戻しやそのときの価格等についての特約や通謀等が関係各社に存在するはずであり,それは経営のトップである被告らでなければ判断できないはずである。また,被告らが,事実関係の解明のためのきちんとした調査を行っていないこと,グルグル回し取引を実行していたJに対する責任追及をすることなくEへ移籍させて在庫処理の責任者としたこと,グルグル回し取引に関与した関係各社に対する調査・確認及び当該取引の有効性などに関する交渉を行うことなく,後述のとおりMに対するFの債務を極度額の定めなく連帯保証するというEにとって危険きわまりない契約を締結したり,Fに対する19億1000万円の貸付け及びうち15億5000万円の債権放棄という不合理な処理を行っていること,EにおいてFとの取引を担当する業務4係 がE内ではアンタッチャブルな存在とされており,同係が行ったグルグル回し取 付け及びうち15億5000万円の債権放棄という不合理な処理を行っていること,EにおいてFとの取引を担当する業務4係 がE内ではアンタッチャブルな存在とされており,同係が行ったグルグル回し取引であると疑われる取引について,取締役会の承認はなく,被告ら経営陣のみが買付販売与信稟議書に承認印を押していることなどからしても,被告らがグルグル回し取引を承認していたことは明らかである。 (イ) グルグル回し取引についての監視義務違反a 被告Bは,Eの代表取締役兼Fの取締役,被告CはEの専務取締役兼Fの取締役会長,被告DはEの常務取締役兼Fの監査役であるから,Eの業務執行を適切に行うと共に,100%子会社であるFの業務執行が法令定款に反することなく適切に行われるよう監視すべき義務があり,Fに法令定款に反する違法な業務執行がされていることを発見した場合には,直ちに停止させるべき義務があるが,被告らは,これらの義務をすべて怠り,最終的にEに18億8000万円の損失をもたらした。 b すなわち,Fの取締役及び監査役は,Fの借入金及び在庫商品について,平成11年3月末決算期から平成16年3月末決算期までの決算を検討すれば,Fが在庫単価の水増し訂正,架空在庫,グルグル回し取引など安易な方法で表面的な利益を出す粉飾を行っていたことは,容易に知ることができる。例えば,借入金は,平成11年3月には3億6000万円であったが,年々増加し,平成16年3月31日決算期には20億4000万円と約5.6倍に増加しており,その間,銀行借入れに関する増枠を何度も取締役会で審議している。また,商品在庫は,平成11年3月31日決算期では,約7億3600万円であったが,これも年々増加し,平成16年3月末には,16億9500万円となり,倍以上の増加となっている。 締役会で審議している。また,商品在庫は,平成11年3月31日決算期では,約7億3600万円であったが,これも年々増加し,平成16年3月末には,16億9500万円となり,倍以上の増加となっている。そして,これらの在庫及び借入金の増加は,被告らが出席していたFの取締役会でも常に問題とされていた。 水産加工品の製造販売を業とするFにとって,商品在庫及び借入金の急激な増加は会社の存立を危うくするものであるから,F及びFの親会社であるEの取締役及び監査役は,これらについて注意を払い,原因の究明や対策を講ずべき責任と義務があり,被告らがこのような義務を果たしていれば,Fの経営に不自然な点があることに気付くことができたといえる。 また,被告らはEの取締役でもあったところ,EにおけるFとの取引枠は,平成11年4月には約3億3000万円であったのが,平成14年11月には約8億円となり,大幅に増加している。そして,Eにおいて被告らが構成員である常勤取締役会の決裁にかけられていた買付販売与信稟議書の品名・数量・単価・仕入先・販売先・季節等の記載を見れば,不合理な取引であることが明らかであった。 これらの事情からすれば,被告らは,Fの経営又はFとEの取引について,不適切な点があることを疑い,事実関係の調査,すなわち,在庫商品の検品や取引相手企業に対する照会等を行い,上記商品在庫及び借入金の増加等の原因がグルグル回し取引にあることを解明し,これを中止させるとともに,取引相手企業との交渉を行うなど損害の拡大を防止すべきであったにもかかわらず,何らの措置も講じることなくFが破綻するに至るまで放置した。 ウ ②EとMとの間での本件連帯保証契約の締結本件継続的取引契約は,①FのMに対する支払について,注文書や請け書もなく,請 らず,何らの措置も講じることなくFが破綻するに至るまで放置した。 ウ ②EとMとの間での本件連帯保証契約の締結本件継続的取引契約は,①FのMに対する支払について,注文書や請け書もなく,請求書で支払うこととしていること(乙4・2条),②Fの瑕疵担保責任につき,期限の定めもなく,すべてFの負担としていること(乙4・3条),③製造物責任を第三者から問われた場合にはすべてFの費用負担と責任において処理すべきであるとされていること(乙4・4条),④Mについてのみ不可抗力免責されていること(乙4・9条)など, 明らかにFに不利な内容の契約であり,また,同契約によるFの債務を連帯保証する本件連帯保証契約には極度額の定めもない。 Eが,このように,極度額の定めがなく,Fに不利な内容の契約によるFの債務を連帯保証する本件連帯保証契約を締結する際には,通常,FとMとの過去の取引内容と現存債務及び今後負担するであろう債務につき調査をし,将来どのような連帯保証責任を問われるかを予測した上で,これを行うはずである。 にもかかわらず,Eがそのような調査を行った形跡は全くなく,被告Bは,Eの取締役会の事前の承認を得ず,取締役に契約書案の配布もせず,取締役が判断するための情報提供すらしていない。また,Fの取締役会での承認も得ていない。 Mは,本件連帯保証契約締結の時点で,グルグル回し取引の相手方であるFの経営状態,資産内容等を危惧し,Fが破綻した場合にMが莫大な損失を被るため,Eに連帯保証するよう求めたと考えられる。被告らが上記調査を行わずに本件連帯保証契約を締結したのは,MとFとのグルグル回し取引に深く関わっていたために,Mからの連帯保証の求めを断ることができなかったためと考えざるを得ない。 このように,被告らは,何らの調査もせずに 連帯保証契約を締結したのは,MとFとのグルグル回し取引に深く関わっていたために,Mからの連帯保証の求めを断ることができなかったためと考えざるを得ない。 このように,被告らは,何らの調査もせずに,EとMとの間で極度額の定めのない本件連帯保証契約を締結しており,これは,善管注意義務違反及び忠実義務違反に当たる。 エ ③本件貸付けについて(ア) 本件貸付けをする際の調査及び被告らの認識aFの本件不良在庫問題及び損失額についての被告らの認識EがFのグルグル回し取引の相手方であるMとの間で本件連帯保証契約を締結したのは,平成15年3月1日であるから,被告Bは,遅くともその時点で,FとMとのグルグル回し取引の実態について認識 し,Fの本件不良在庫問題について認識したと思われる。 また,被告らは,本件貸付け当時,Fの特別損失が14億8000万円であるという情報しか持っていなかった旨主張する。 しかしながら,被告Cは,毎月2,3回以上開催されるFの常勤役員会及び取締役会には必ず出席して意見を述べ,本件調査委員会の委員長にもなっており,被告Dは,本件調査委員会の委員として調査したのであるから,それだけの情報しかなかったということはあり得ない。しかも,この14億8000万円という特別損失額は,在庫を1品ごとに現品確認して算出したわけではなく,あくまでも推定額として算出した額である。さらに,本件調査報告書には,ダム取引により他の仕入業者らに預けてある在庫(以下「預け在庫」という。)として,簿外で15億円,そのうちEに対する預け在庫は5億円と計上されているが,あくまでも簿外であるから詳細な調査をしないと実態は分からないし,ダム取引についての必要経費を1億1475万円と推定しており,損失額はあくまでも推定にすぎないことを十 庫は5億円と計上されているが,あくまでも簿外であるから詳細な調査をしないと実態は分からないし,ダム取引についての必要経費を1億1475万円と推定しており,損失額はあくまでも推定にすぎないことを十分に分かっていたと思われる。現に,半年後にはFの損失額を22億6000万円と大幅に修正しており,14億8000万円の損失額に関する調査が極めて杜撰なものであったといえるが,この調査には被告C,被告Dが直接関与している。したがって,被告C及び被告Dは,被告Bを含むEぐるみでFの本件不良在庫問題を発生させたこと及び14億8000万円という損失額がいい加減な数字であるかをあらかじめ分かっていたと考えられる。 b 調査不足会社が資金を貸し付けるに当たっては,使途目的,債務者の返済能力,信用状況,営業成績,資産内容,連帯保証人や担保はあるか,金利の定めや弁済期等をどのように定めるか等について一般的に調査するべきである。 しかしながら,被告らは,本件貸付けを行うに当たり,使途目的,必要額を調査していない。 また,Fの返済能力,信用状況,営業成績,資産内容等については,被告Bが設置を決定した本件調査委員会により行われたが,同調査委員会は,経理の専門家である公認会計士などが入っておらず,しかも,わずか2,3週間の調査期間で13億7829万9000円というFの含み損額を算出している。この調査が杜撰なものであったことは,後日更に不良在庫額が22億6242万円と大幅に増額されたことからも明らかである。 さらに,Eは,本件貸付けに当たり,連帯保証人や担保を求めることを一切せず,消費貸借契約書を作成せず,金利や返済方法等に関する取決めも行わなかったのであるから,調査不足といえる。 このように,被告らは,十分な調査を怠り,極めて杜撰な調 証人や担保を求めることを一切せず,消費貸借契約書を作成せず,金利や返済方法等に関する取決めも行わなかったのであるから,調査不足といえる。 このように,被告らは,十分な調査を怠り,極めて杜撰な調査しか行っていない。被告らは,この杜撰な調査結果に基づくFの再建計画案について,最初から実行できるとは考えていなかったのではないかと思われ,最初から融資ありきで,本件貸付けを行ったと思われる。 FのJが独断でMに対しFの関連会社であるUへの4900万円の融資を依頼していたところ,平成16年5月ころ,Fは,Mから連帯保証を求められた。この点を審議する取締役会に出席していた被告Bは,「独断専行による叱責と今後ダム機能在庫を回収していく予定であるが,そうなればMは融資した金額を引き上げる可能性が高く,その融資を肩代わりする心構えで取り組もう」という趣旨の発言をした。 しかしながら,被告Bとしては,本来,JがFの取締役会にかけることもなく独断でMに対して依頼したために行われた貸金について,なぜFが連帯保証をしなければならないのか,この貸金の肩代わり返済資金をEがFに融資して債権放棄をしなければならないのか,そもそ もMがUに対して貸し付けたことに関する証書があるのか,融資した時期,金利及び弁済期などの融資の条件は何か,なぜ独断でこのようなことをしたのかを問題にすべきであった。このようなことをせず,安易に融資の肩代わり返済に取り組むよう指示し,その資金をEに融資させたことは,本件貸付けに当たり行うべき調査を行わなかった点において,違法な融資である。 c 本件貸付けの手続被告らは,被告BがEの取締役会にFの状況を十分に説明し,取締役会の承認を得て融資したと主張するが,この説明は,前記のとおり,杜撰な調査に基づくものでその説明自体が不当 c 本件貸付けの手続被告らは,被告BがEの取締役会にFの状況を十分に説明し,取締役会の承認を得て融資したと主張するが,この説明は,前記のとおり,杜撰な調査に基づくものでその説明自体が不当であるから,被告ら以外の取締役は,誤った情報により誤った意思決定を強いられたといえる。 また,本件の個々の貸付けは,貸金の社内規定も取締役会の承認もないのに行われている。取締役会は,融資枠の承認をしたにすぎないのであるから,個々の貸付けについても,使途及び返済可能性などを審査すべきである。これらをせず,個々の貸付けを実行したことも手続違反である。 (イ) Eらがとり得る手段被告らは,ⓐグルグル回し取引を続ける,ⓑFが銀行融資を得て資金を調達する,ⓒDがFに融資する,ⓓFの破産又は民事再生手続をとるという方策について検討した結果,ⓐ,ⓑ及びⓓの方法は採用できないので,ⓒの方法をとった旨主張するが,以下のとおりその主張には合理性がない。 まず,ⓐについて,被告らは,調査に相当な時間がかかり,その間グルグル回し取引を続ければ損害が大きくなる,詳細な調査をしても本件調査報告書と大差がないと思ったなどとと主張するが,Fがグル グル回し取引をしていた相手は,M,Vのほか,E等数社にすぎず,専門家による調査を行おうと思えば,比較的短期間のうちにできたはずであるから,その結果を踏まえて対処するのが通常の経営者というべきである。 また,ⓑについて,被告らは,W銀行からFに対する新旧すべての融資につきEに連帯保証を求められたので,F倒産の場合にはEに著しく大きな損害が発生すると主張する。しかしながら,銀行が新規融資をするに当たり,旧債務について連帯保証を求めるということはあり得ないことであるし,仮に,そのようなことであれば 倒産の場合にはEに著しく大きな損害が発生すると主張する。しかしながら,銀行が新規融資をするに当たり,旧債務について連帯保証を求めるということはあり得ないことであるし,仮に,そのようなことであれば,Fが生き残るのは難しいと判断するのが通常である。 さらに,ⓓについて,被告らは,最悪の場合,Eの倒産等の危険が発生する可能性があったと主張する。しかしながら,グルグル回し取引は,M,E,V及びN等数社の間でしか行われていなかったのであるから,話合いによる解決を図ることが十分に可能であったといえ,例えば,M,E,V等に対する実債務額を確定し,長期返済をすることも可能であったと考えられる。被告らは,Fが民事再生手続をとった場合,再生計画案を承認してもらえない可能性を心配した旨主張するが,100パーセント子会社が民事再生手続や破産に至った場合,親会社で法的に責任を問われるような場合を除き,民事再生計画案が否決されるということは通常考えられないことであり,被告らの心配は,グルグル回し取引でEが利益を上げ,Fに損失を押し付けるという倒産の原因にEが深く関与していたことからくるものである。 そして,被告らは,ⓐ,ⓑ及びⓓの方法を採用できないとして,ⓒの方法,すなわち本件貸付けによる方法を採用した旨主張するが,前記のとおり,本件貸付けに当たり調査すべき事項等の調査を行っておらず,したがって,ⓒの方法をとる合理性は全くない。 (ウ) 利息や担保を取らなかったことEは,本件貸付けに当たり,利息も担保も取らないという,経営者として不合理,不適切な判断をしている。 (エ) 本件貸付け及び債権放棄によってもFの信用は回復しなかったこと本件貸付け及び債権放棄によっても,Fの信用は回復せず,Eは,次のとおり連帯保証した。なお,XはMが商 な判断をしている。 (エ) 本件貸付け及び債権放棄によってもFの信用は回復しなかったこと本件貸付け及び債権放棄によっても,Fの信用は回復せず,Eは,次のとおり連帯保証した。なお,XはMが商号変更した会社であり,YはXの親会社である。 平成17年 9月 Z 極度額1億5000万円平成18年 6月 a 極度額 1500万円11月 b 極度額1億円12月 Y 極度額2億5000万円同月 X 極度額 2000万円合計 5億3500万円上記連帯保証による平成19年3月31日決算期における保証残は5億3500万円となり,Fが同日において8億1200万円の債務超過であるから,上記連帯保証が実行される可能性は否定できない。 この事態を踏まえ,平成19年5月22日付け監査報告書(甲24)では,Fに対する債権及び保証につき,相当額の貸倒引当金及び債務保証引当金が設定されていないことが一般に公正妥当と認める企業会計の基準に準拠していないと指摘された。Fは,平成20年1月末になっても前記債務超過を解消できず,大幅な事業縮小や解散を検討せざるを得ない状態に追い込まれている。 以上の事実は,本件貸付け及び債務放棄が違法であった証左である。 (オ) Fの現状被告らは,取締役は,営利を目的とする会社の経営を委ねられた専門家として長期的な視点に立って全株主にとって最も利益となるように職 務を遂行すべき善管注意義務,忠実義務を負っており,Fを救済した場合,第1に,Fが全国ネットワークを持っているので後にこれを利用でき,第2に,年間約20億円以上の取引を維持でき,第3に,Fに賃貸 務を遂行すべき善管注意義務,忠実義務を負っており,Fを救済した場合,第1に,Fが全国ネットワークを持っているので後にこれを利用でき,第2に,年間約20億円以上の取引を維持でき,第3に,Fに賃貸しているシーフード加工センター他の年間8845万2000円賃料収入が維持できるという利益がある旨主張する。 しかしながら,現在,Fの全国販売ネットやシーフード加工センターなどは消滅し,業務用スーパーが一軒残っただけである。 このように,被告らが主張するFを救済した場合に得られる利益は,ほとんど消滅している。本件貸付け及び本件債権放棄は,すべて長期的視点で行われたものではなく,被告らの経営に関する失敗を隠し,保身を図る目的だけで実行されたものであり,被告らが善管注意義務,忠実義務を果たしていないことは明らかである。 (カ) 以上のように,被告らは,Fのグルグル回し取引による本件不良在庫問題について深く認識しており,本件貸付金が回収困難であると当然予見できたにもかかわらず,十分な調査を怠り,漫然と若しくは故意に,利息も担保も取らずに,本件貸付けを行ったのであり,これは,善管注意義務違反及び忠実義務違反に当たる。 本件貸付けの主たる目的は,Fが,M,E,Vなどに対し,ダム取引及びグルグル回し取引に関する請求書記載金額を支払うことにあったのであるから,本件貸付けに当たり,自らあるいは管理・審査部門を指揮監督して,その取引がE及びFの正規な手続を踏んで行われたものであるか,請求内容が相場価格や商品台帳,売掛金台帳などと照合して正常なものであるか,これに対する支払が正当なものであるかなどを確認し,仮に正規な手続を踏んでいないとか,異常な金額・数量の取引であれば,その取引経過・原因・責任を究明すべき注意義務があるのにこれらをすべて怠り,Mら これに対する支払が正当なものであるかなどを確認し,仮に正規な手続を踏んでいないとか,異常な金額・数量の取引であれば,その取引経過・原因・責任を究明すべき注意義務があるのにこれらをすべて怠り,MらのFに対する不当な請求に応じるため 本件貸付けを行ったのであるから,この点についても,善管注意義務,忠実義務違反に当たる。 オ ④本件債権放棄について被告らは,ⓐ弁済期限をかなりの長期に変更すること,ⓑ債権放棄をすることによって,子会社支援損として処理すること,ⓒFを破産ないし民事再生させることの3つの方法のうち,ⓐ及びⓒの方法を採用できないので,ⓑの方法をとった旨主張する。 しかしながら,ⓐについて,被告らは,返済期限の長期化は銀行との約束違反となり,Fが倒産してしまう危険性があると主張するが,銀行が融資の条件として5年間で債務超過を解消するとの条件を入れたとは到底考えられないし,債務超過が続いたとしても工夫次第で販売先等の信用をつなぎ止めることは可能であるから,返済期間を長期化することにより,Fが倒産するはずがない。 また,被告らが債権放棄を選択したことは安易というほかない。被告らはE及びFの代表取締役等として,いわば自己取引的な立場にあった。自らの義務違反,失敗の結果をE及び株主等に押し付ける形での債権放棄が許されるはずがない。 なお,被告らは,税理士との協議と税理士の指導に基づいて平成17年度の債権放棄実行をEの取締役会で承認したと主張するが,平成17年度(平成17年4月1日から平成18年3月31日まで)には債権放棄の意思表示をしていない。その理由について,被告らは,平成17年3月28日,公認会計士から,平成16年度内に子会社支援損として経理処理すべきと指摘されたと主張す 成18年3月31日まで)には債権放棄の意思表示をしていない。その理由について,被告らは,平成17年3月28日,公認会計士から,平成16年度内に子会社支援損として経理処理すべきと指摘されたと主張するが,年度末を3日後に控えた時期に公認会計士がそのような無責任なことを言い出すことはあり得ない。また,Eは,平成17年8月26日,福岡税務署長から,損金の額に算入されない子会社支援損15億5000万円については,当事業年度末において,債権の全 部又は一部が消滅した事実は認められず,当事業年度末において実質的にその全額が回収できないことが明らかである事実も認められないとの更正通知書を受け,その結果,法人税,事業税等で約7749万円の納税を余儀なくされており,これもEが受けた損失といえる。 カ ⑤債権放棄後の新規貸付けについてFは,平成17年3月10日及び同月31日,合計3億6000万円をEに返済したが,その直後の同年4月4日,同月27日及び同年5月30日,合計3億3000万円がEからFに対して新たに貸し付けられ,最終的にこの貸付金は回収不能となった。被告らは,Fの債務超過額が増え続け,c公認会計士(以下「c公認会計士」という。)から貸付金の回収の見込みがないと指摘された直後に,回収の見込みの有無やその時期を検討することなく,担保や保証も取らず,取締役会の承認を得ることもなく,本件新規貸付けを行ったものであり,被告らに善管注意義務違反があることは明らかである。 キ以上のように,被告らは,①グルグル回し取引に関与し,又は,これに対する適切な監督を行わず,②十分な調査をせずにEとMとの本件連帯保証契約を締結し,③グルグル回し取引についての自らの責任を免れるために十分な調査をせずにEからFへの本件貸付けを行った上,④本件貸付 対する適切な監督を行わず,②十分な調査をせずにEとMとの本件連帯保証契約を締結し,③グルグル回し取引についての自らの責任を免れるために十分な調査をせずにEからFへの本件貸付けを行った上,④本件貸付けについて債権放棄を行い,さらに,⑤回収の見込みがないにもかかわらず,債権放棄後に新規貸付けを行って貸付金を回収不能にしたのであるから,被告らには,善管注意義務違反及び忠実義務違反がある。 【被告らの主張】ア取締役は,善管注意義務及び忠実義務を負っているが,事業を営み,利益を上げるためには,時々刻々変化する諸々の要素を的確に把握して総合評価し,短期的,長期的な将来予測を行った上,時期を失することなく経営判断を積み重ねていかなければならないから,専門家である取締 役には,その職務の遂行に当たり,広い裁量が与えられているものである。したがって,取締役に対し,過去の経営上の措置が善管注意義務及び忠実義務に違背するとしてその責任を追及するためには,その経営上の措置をとった時点において,取締役の判断の前提となった事実の認識に重要かつ不注意な誤りがあったか,あるいは,その意思決定の過程,内容が企業経営者として特に不合理,不適切なものであったことを要するものと解するのが相当である。 イ ①グルグル回し取引への関与について(ア) ダム取引の一般性についてa 明太子の原料である筋子のように,1年の中で盛漁期や漁期が限られている魚や原料を1年間安定して一定量を販売するためには,水揚げ量が多いときに,大量に魚を購入して倉庫に保管しておき,水揚げ量のないときや少ないときに備える必要がある。 資金が豊富な業者であれば,水揚げ量の多いときに大量の魚を自ら購入して自己の倉庫で保管することができるが,資金が豊富でない業者は,このよう 揚げ量のないときや少ないときに備える必要がある。 資金が豊富な業者であれば,水揚げ量の多いときに大量の魚を自ら購入して自己の倉庫で保管することができるが,資金が豊富でない業者は,このようなことはできない。例えば,年商10億のサバ加工屋が,短期間で6,7億円もの原料を自社資金で買い付けするのは不可能である。 このような場合,資金が豊富でない会社は,資金が豊富な会社に大量の魚を購入してもらい,一定の期間内にそれを買い取ることで,得意先に安定して提供することができる。他方,資金が豊富な会社は,商社としての役割を果たしているだけで,一定の期間内に資金が豊富でない会社に確実に買い取ってもらえるので,利益にこそなれ,損害は発生しない。 このような取引は,引取期間,冷蔵庫代,金利等を決めて行われ,一般には「契約在庫」「契約取引」と言われるが,Fでは「ダム取 引」という言葉を使用しており,これは,金融機関に代わる商社による在庫融資の一形態である。 このように,資金が豊富でない会社が,大量の魚を安定して供給することを求める大手得意先を得るためには,どうしてもダム取引が必要であることから,ダム取引は一般的に行われている。 b 原告は,冷蔵庫に保存する期間が長くなれば品質が劣化し価値が下がる旨指摘するが,それは冷蔵庫に保存する期間が長くなったときの場合であり,一定の期間内であれば,価値の減少はほとんどない。 また,売掛金債権が表面化しないので,正常な経理処理が難しいという問題もあるが,通常のダム取引が1回行われるだけであれば,正常な経理処理は可能であった。 なお,原告は,デフレ傾向であったので,長く持てばそれだけ価値が下がる旨主張するが,通常のダム取引での保管期間は長期間ではないので,保存期間で価 けであれば,正常な経理処理は可能であった。 なお,原告は,デフレ傾向であったので,長く持てばそれだけ価値が下がる旨主張するが,通常のダム取引での保管期間は長期間ではないので,保存期間で価格が下がるという問題はあっても,デフレの影響が及ぶことはない。もちろん,ダム取引を繰り返してグルグル回し取引を行えば,長期間になるので,デフレの影響を受けることはある。 (イ) グルグル回し取引へのE及び被告Bの関与aFのグルグル回し取引の相手方が,Eであったことは認めるが,Eは,当時,グルグル回し取引に加担しているとの認識はなかった。 すなわち,グルグル回し取引は,ダム取引後,ダム取引の預かり期間満了時に,仕入業者から,同期間内に売却できなかった不良在庫となった商品をいったん買い取り,当該仕入業者又は他の仕入業者に対し,一定の預かり期間に売却できなければ期間満了時に買い取る旨約束した上で,当該商品を買い取ってもらい,その後,当該期間満了時に,当該期間内に売却できなかった場合に,同じことを繰り返すという取引であるから,仕入業者は,他の仕入業者とFとの間でグルグル 回し取引が行われた商品を購入する場合,通常のダム取引が行われているという認識があるだけで,グルグル回し取引が行われているとの認識は全くない。また,仕入業者が,Fとの間で既にグルグル回し取引を行った商品を再度購入する場合でも,一度に相当量の取引が行われており,その中に通常のダム取引も含まれているため,購入する商品が前回の取引と同じ商品であるとの認識はなく,通常のダム取引をしているという認識しかない。 したがって,Eの担当者も,Fの担当者がグルグル回し取引をしているとの認識はなかったのであるから,Eは,グルグル回しに加担しているとの認識はなかった。 ム取引をしているという認識しかない。 したがって,Eの担当者も,Fの担当者がグルグル回し取引をしているとの認識はなかったのであるから,Eは,グルグル回しに加担しているとの認識はなかった。 b また,被告Bが,業績悪化するEの見せかけの利益を確保するため,FのJに対し,グルグル回し取引を強要していたという事実もない。 被告Bは,Fを犠牲にして,Eの利益を図ったことはない。例えば,EがFに新工場を賃貸する際,本来の計算方法で賃料を出していれば,年間1億0003万円の賃料となっていたところ,被告Bは,この金額だとFの負担が大きくなると考え,賃料はできるだけ低い金額にすべきであると意見を述べ,年間5760万円の賃料が決定している。 被告Bは,Fを犠牲にしてEの利益を上げようとすれば,賃料をできるだけ高くするはずであるが,このように,正反対の行為を行っている。 したがって,被告BがEの利益を上げるために,グルグル回し取引を強要させるということはあり得ない。 (ウ) 本件不良在庫問題についての被告らの認識a 被告らは,Eの取締役の業務を行いながら,非常勤で子会社であるFの取締役や監査役をしていたのであるから,被告らは,Fの取締役会に出てきた議案について,提出される資料,報告に基づいて,適正, 妥当か判断することしか行うことができず,Fの日常業務に積極的に関与することはなかった。 本件不良在庫問題は,F内でも現場担当者などの一部しか分かっていなかった。 原告の主張によれば,Pも本件不良在庫問題について関知していなかったとのことであり,もしそうであれば,常勤の代表取締役であるPでさえ関知していなかった事項を,非常勤である被告らが関知することはあり得ない。 b 被告Bは,平成11年1月28日ころ,Fの在 なかったとのことであり,もしそうであれば,常勤の代表取締役であるPでさえ関知していなかった事項を,非常勤である被告らが関知することはあり得ない。 b 被告Bは,平成11年1月28日ころ,Fの在庫に問題があることを認識したが,同年4月1日開催の取締役会で調査結果が出たので,この問題は解決したものと考えていた。 c 原告は,Pが,平成12年5月ころ,平成11年4月から平成12年3月までの商品在庫棚卸表を調査し,前月繰越高プラス仕入高よりも在庫金額が増えていること,売上げがないのに利益が出ているベトナム関係の魚類が多いことが判明したため,Pは,Rに対し,調査結果をまとめた書類を提出して報告し,Rは,被告Bに対し,この調査結果を報告し,被告Bは,この報告により,Fの本件不良在庫問題を認識したが,そのままにしておけと返答した旨主張するが,Rが被告Bに対してこのような報告をしたことはない。 dPは,平成15年6月27日にFの代表取締役に就任したが,被告Bが平成16年3月上旬ころ,被告CからFの在庫について問題があるようだとの情報を得るまでの約9か月間,被告Bに対してFの本件不良在庫問題を報告したことは一度もなかった。 (エ) グルグル回し取引についての監視義務違反a 被告らは,Fの非常勤の役員であったことから,基本的には取締役会を通じてしか監視できなかったところ,取締役会には,平成11年以 降,Fに不良在庫があることについて何ら報告されなかった。 b 原告は,平成11年3月と平成16年3月を比べてFの借入金が約5.6倍に,商品在庫が2倍以上になっているので,これらについて原因を究明し,対策を講じるべきだった旨主張している。 しかしながら,在庫の増加が見られた加工原料課は,契約在庫や計画在庫が多い上,Fの加工事 品在庫が2倍以上になっているので,これらについて原因を究明し,対策を講じるべきだった旨主張している。 しかしながら,在庫の増加が見られた加工原料課は,契約在庫や計画在庫が多い上,Fの加工事業は新規事業であったため適正量についての判断資料がなく,問題性を認識することはできなかった。また,上記のような借入金及び商品在庫の増加は,取引量が増加すれば生じることであるから,被告らは,この増加は売上増加に伴って発生したものと判断し,グルグル回し取引の存在を疑い調査をするという認識をしなかった。 なお,原告は比較の対象を平成16年3月にしているが,平成16年の時点にはグルグル回し取引についての調査をさせており,被告らは迅速な対応を行った。 cFの取締役会に報告がなかったため,被告らが,F内においてグルグル回し取引が行われていることを認識する方法としては,個々の取引金額を内容まで立ち入ってチェックすることが必要であるが,膨大な取引がある中でこのような作業を行うことは常勤の取締役でも困難であり不可能である。よって,非常勤の役員に過ぎない被告らがこのような作業を行うことは不可能であり,ここまで調査する義務はない。 また,このような調査をあえて行うことは,子会社の日常の業務に不当に介入することとなり,許されるものではない。 dEでは,2000万円超の買付販売は,常勤取締役会の承認が必要になっていたが,その目的は資金繰り及び取引先の信用性のチェックにあるため,常勤取締役会で検討されていた内容は,せいぜい総額と取引先名であり,個々の商品の単価まで確認することは必要とされて いなかった。 また,Eの在庫の量は,売上のわずか5%にも満たない額であり,在庫の増加も売上の増加に伴うものと考えて不自然ではなかった。そして,Eにお 価まで確認することは必要とされて いなかった。 また,Eの在庫の量は,売上のわずか5%にも満たない額であり,在庫の増加も売上の増加に伴うものと考えて不自然ではなかった。そして,Eにおいて在庫のチェックをする事業本部の事業管理課からも問題を指摘するような報告は一切なかったところ,多数の要職に就いていた被告らが,1日1万件の営業取引があるEにおいて,具体的な問題点を指摘されないにもかかわらず,Fとの取引だけを抽出して調査するのは不可能である。 e 被告らは,業務4係の業務内容について知らない。被告らが同係を設置したものではなく,担当を区分けしたものにすぎないからである。 f 以上のとおり,被告らがグルグル回し取引を早期に把握できなかった点について,被告らに監視義務違反はない。 ウ ②Mとの本件連帯保証契約の締結について(ア) 本件連帯保証契約の経緯についてFは,平成15年2月19日,Eに対し,Fの主力取引先であるMから商品取引契約書の締結の申出を受けたので,連帯保証をお願いしたいと申請した。この際,FがEに提出した申請書(丙4)には,MとFとの商品取引契約書,Mの企業概要,平成14年度のFのMからの仕入額の表が添付されていた。 Eは,常勤取締役会で上記申請について協議し,①MがFの主力取引先であること,②平成14年度のMからの月々の仕入額は,3600万円から2億7000万円の範囲にすぎないこと,③Fの経営状態はよいとの報告を受けていたことから,本件連帯保証契約を締結する旨決議した。 Eは,平成15年2月24日,取締役会を開催し,本件連帯保証契約の締結を決議した。なお,同日の取締役会議事録(丙5)では,連 帯保証した旨報告したことになっているが,この時点では,まだ連帯保証していないので 2月24日,取締役会を開催し,本件連帯保証契約の締結を決議した。なお,同日の取締役会議事録(丙5)では,連 帯保証した旨報告したことになっているが,この時点では,まだ連帯保証していないので,連帯保証する旨の報告をして了承されたというのが正確である。 (イ) 善管注意義務違反についてEが本件連帯保証契約を締結した時点では,Fの本件不良在庫問題は発覚しておらず,取引は正常に行われており,FがMに対して多額の債務を負っている旨の報告もなかったし,被告らは知り得る立場になかった。 その状況で,Fから本件連帯保証契約の締結を要求された場合,Eの取締役が判断すべきことは,①MがFの主要取引先か,②責任の範囲はFのMからの年間仕入額で決まってくるので,この年間仕入額がどの程度かである。 そして,Eの取締役らは,上記申請書(丙4)添付の資料により,①Mが株式会社Yの子会社であり信頼できる会社であり,かつ,年間仕入額からしてもFの主要取引先であり,取引を円滑に行うには連帯保証の必要性があること,②平成14年度のMからの月々の仕入額は3600万円から2億7000万円であることから,連帯保証をしても特に問題はないと判断し,本件連帯保証契約の締結を承認したのである。 被告らが,Eの子会社であるFとMとの取引がより円滑に行われるためにMの要請を受け入れることが必要であると判断したことは,当時提出された資料(丙4)等からみて,親会社の取締役として妥当な判断といえ,著しく不合理な判断をしたとは到底いえないし,取締役会決議も経ているので,手続的にも問題はない。 したがって,被告らには何ら善管注意義務に違反するところはない。 (ウ) 原告は,被告らがFとMとのグルグル回し取引に深く関わっていたこ とから連帯保証の求め で,手続的にも問題はない。 したがって,被告らには何ら善管注意義務に違反するところはない。 (ウ) 原告は,被告らがFとMとのグルグル回し取引に深く関わっていたこ とから連帯保証の求めを断れなかった旨主張するが,そもそも被告らがグルグル回し取引に関与した事実はない。 また,原告は,被告らが当時グルグル回し取引について何の調査もしなかったことを問題視しているが,この時点では,グルグル回し取引の問題は,まだ発覚していないのであるから,親会社といえども子会社の具体的な取引について調査することなどあり得ない。 エ ③本件貸付けについて(ア) 本件貸付けをする際の被告らの認識,調査及び手続aFの不良在庫問題及び損失額についての被告らの認識Fの不良在庫問題は,平成16年2月に行われた社内アンケートで発覚したのであるから,それ以前に,被告らが問題を認識することはなかった。 b 本件貸付けについての調査について被告Bは,Fに不良在庫に関する特別損失があることを知った後,直ちに本件調査委員会を発足させて,平成16年3月31日に本件調査報告書を提出させた。本件調査報告書によれば,Fの在庫,売掛金含み損は13億7829万9000円とのことであった。Fは,平成16年4月30日,Eに平成21年度までに債務超過を解消することを目標とした再建計画書(乙6)を提出して,本件貸付けの申し入れを行い,更に同年6月17日ころ,特別損失が14億8000万円であったとして債権計画書の修正案(乙7)を提出した。このように,被告らは,Fの不良在庫に関する特別損失を知った後,直ちに本件調査委員会を発足させ,情報を集め,同調査委員会の調査により,Fの特別損失が14億8000万円であるという情報を得ており,被告らがFの非常 告らは,Fの不良在庫に関する特別損失を知った後,直ちに本件調査委員会を発足させ,情報を集め,同調査委員会の調査により,Fの特別損失が14億8000万円であるという情報を得ており,被告らがFの非常勤の取締役・監査役にすぎず常勤でなかったこと,EがFに対して派遣社員などを出していないことからすれば,それ以上に詳細な情報を得ることは不可 能であり,調査を尽くし,その調査結果に基づいて本件貸付けを決定したのであるから,被告らに善管注意義務及び忠実義務違反はない。 c 本件貸付けの手続Eは,平成16年6月21日,取締役会を開催し,その際,被告Bは,本件調査委員会に調査させたところ,Fには15億円近い預け在庫が存在すること,自社が保管している在庫についても多数の不良在庫が存在しており,そのため預け在庫を含め14億8000万円の処分損が見込まれる旨の説明を行い,被告ら常勤取締役が,Fを倒産させるか,融資を行い再建させるかを検討したが,Fには多くの従業員がいること,市場流通の強化のためにはどうしてもFとの連携を深めていく必要があること,Fの役員の更迭を図れば健全な再建が可能であると思われることから,Fに融資を行い,再建させたい旨述べ,被告Bは,その再建策として,EがW銀行から15億円の融資を受け,Eの自己資金5億円を併せた20億円を限度枠として,Fに貸し付けたい旨の議案を説明した。その結果,全員異議なく,取締役会でFに対して20億円の枠で再建資金を貸し付けることが決議された。 このように,被告Bは,本件調査委員会の調査を踏まえて,取締役会にFの状況を十分に説明し,決議を経て本件貸付けを実行しているので,手続上の問題もない。 (イ) Eの取り得る手段についてaEが,本件調査報告書による報 の調査を踏まえて,取締役会にFの状況を十分に説明し,決議を経て本件貸付けを実行しているので,手続上の問題もない。 (イ) Eの取り得る手段についてaEが,本件調査報告書による報告を受けた段階で取り得る手段は,ⓐ詳細な調査が完了するまでグルグル回し取引を続ける,ⓑFが銀行から融資を受けて預け在庫を買い取る,ⓒDがFに貸し付けてFが預け在庫を買い取る,ⓓFを破産させるか民事再生手続をとらせるというものであった。 このうち,ⓐの方法については,詳細な調査には相当な時間がかか ることが予想され,その結果を待ってその間グルグル回し取引を続ければ,当然利息などで損害が大きくなること,仮に,詳細な調査をしたとしても,本件調査報告書とそれほど大きな差はないと思われること,この方法は単に解決を後回しにするにすぎないこと,グルグル回し取引を続ければ被告らが損害を拡大させたとして善管注意義務違反を問われる可能性があることから選択しなかった。 また,ⓓの方法については,Fを破産させた場合,Eは,Fに対し5億円を限度とする与信をしていたので,その分の損害が確実に発生すること,Eは,FのMに対する債務の連帯保証をしていたので,約8億5000万円の債務を負うこと,EのFに対する出資額3000万円が無価値になること,Fの破産により,親会社であるEの信用が全国的に低下し,Eに対する出荷が減少し,販売先の量販店が離れ,大幅な売上減少を生じさせることが予想され,最悪の場合はEも倒産する危険も出てくる可能性があること,民事再生手続をとった場合,破産と同じ問題が発生すること,親会社であるEが資産を有しているにもかかわらず子会社であるFが民事再生手続をとった場合,再生計画案を承認してもらえない可能性も大きいこと,たとえ承認してもら 場合,破産と同じ問題が発生すること,親会社であるEが資産を有しているにもかかわらず子会社であるFが民事再生手続をとった場合,再生計画案を承認してもらえない可能性も大きいこと,たとえ承認してもらっても今後銀行は親会社であるEに対しても融資条件を変更し,融資枠が大幅に減少することが予想されること,他方で,Fを救済した場合,Fが販売の全国ネットを持っているので,それを今後も利用でき,年間約20億円以上の取引が維持できること,EがFに賃貸しているシーフード加工センター他の年間8845万2000円の賃料収入が維持できることから,選択しなかった。 さらに,ⓑの方法については,被告Bが,W銀行に対して交渉した結果,W銀行は,ⓑの方法をとる条件として,Fに対する新しい融資分だけでなく,Fに対するW銀行の新旧すべての債権について, Eが連帯保証することを要求したため,このような要求に従うと,Fが将来倒産することになった場合,Eの損害が著しく大きくなることから選択できないと判断した。 そこで,被告らは,最後の手段として,ⓒの方法を選択した。Eは,平成16年3月期末には37億円強の利益剰余金があったことから,銀行借入れ15億円と自己資金5億円による20億円を限度とした本件貸付けは,財務的に問題がなかった。また,Fは,管理体制さえ強化して通常の事業を行っていけば,Eに対する債務の返済をしながら,再建することは可能であると考えられた。 したがって,被告らが,ⓒの方法を選択し,本件貸付けを選択したことは,経営者の判断として合理的であり,かつ適切であったといえる。 b これに対して,原告は,ⓓのFを破産又は民事再生させる方法以外に取引各社に長期返済を依頼することも可能である旨主張するが,以下の理由により,このような方法をとることは,不 であったといえる。 b これに対して,原告は,ⓓのFを破産又は民事再生させる方法以外に取引各社に長期返済を依頼することも可能である旨主張するが,以下の理由により,このような方法をとることは,不可能かつ不適当であった。 まず,預け在庫は引取りの期日が設定されていたと思われ,かつ,商品の売却等による名義変更と代金の決済は通常取引どおり行われていたので,長期返済となれば,相手方に資金負担,不良債権等の問題が発生し,協議が難航することは確実であり,そのことが相手方との通常取引に影響することは明白であった。また,在庫の引取りを長期化すると,預け在庫の劣化が進み,含み損の金額が更に増加したものと推定される。少しでも早く預け在庫を引き取り,検品して損害額を確定し,早急に販売する必要があった。さらに,銀行などに多大な在庫含み損が発生したFの状況を説明し,取引を継続してもらうことに苦労したが,取引の継続には,在庫の適正化,透明化は不可欠な問題であるところ,多額の不明瞭な長期返済金や在庫が残った場合,銀行 に説明がつかず,当時の状況では,銀行取引の継続は不可能であり,そうなれば,Fの倒産は明白であった。 c なお,仮に,本件貸付けを決定する時点で,Fの22億6242万円の損失額が判明していたとしても,Fを破産させるか,民事再生手続をさせるか,本件貸付けを行うかは,非常に高度な経営判断を要するところであるが,上記のようにFを破産させると親会社であるEの信用失墜を起こさせることを考えると,Fを破産させるという手段はなかなかとり得ないから,本件貸付けを決定したことも合理的である。 (ウ) 無利息,無担保であることについてFは,Eの100パーセント子会社であるから,人的,物的担保及び利息を取らないことは経営判断として許容されるものであり を決定したことも合理的である。 (ウ) 無利息,無担保であることについてFは,Eの100パーセント子会社であるから,人的,物的担保及び利息を取らないことは経営判断として許容されるものであり,親会社の経営者として合理的かつ適切な判断である。 オ ④債権放棄について(ア) Eの取り得る手段についてFは,本件調査報告書の損害額(14億8000万円)と平成16年12月29日ころ出された報告書の損害額(22億6000万円)とが大幅に異なったことから,Eに対する債務を当初の計画どおり弁済することが不可能となった。そこで,Eとしては,ⓐ弁済期限をかなりの長期に変更すること,ⓑ債権放棄をすることによって,子会社支援損として処理すること,ⓒFを破産ないし民事再生手続をとらせることの3つの方法が考えられた。 しかし,ⓒの方法は,何ら債権回収につながらない上,前記のとおりの問題があり,選択できなかった。 また,ⓐの方法は,銀行が要求している5年間での債務超過の解消の約束を守れないし,長期間Fが債務超過となることから,信用失墜により大手取引先が離れてしまう危険性が高く,そうなるとFが倒産 する危険があること,3年間の債務超過の状況でないと貸倒しとしては落とせないところ,Fはこれまで債務超過ではなかったことから,今後3年間貸倒れとしては落とせないという税務処理上の不利益もあった。そこで,この方法も選択しなかった。 これに対し,ⓑの方法は,Dとしては利益が出ている状況で行えば,子会社支援損として処理でき,Fとしては,債務がなくなるので信用失墜を防止できるという利益があった。 したがって,被告らが,債権放棄を選択したことは,経営者として合理的であり,かつ,適切であったといえる。 (イ) 債権放棄の手続及び税務上の利益 ので信用失墜を防止できるという利益があった。 したがって,被告らが,債権放棄を選択したことは,経営者として合理的であり,かつ,適切であったといえる。 (イ) 債権放棄の手続及び税務上の利益について被告Bは,Eの取締役会において,Fの特別損失額が14億8000万円でなく,その後の調査で22億6000万円であることが判明したこと,Fの平成16年度の決算見込みは約20億円の債務超過となること,Fが出している平成17年から平成21年までの再建計画案だと5年間の利益は3億1680万円であり,平成21年度においても15億8290万円の債務超過状態となること,銀行が要求している5年間での債務超過の解消の約束を守るためには,Eの15億5000万円の債権放棄が必要となること,債権放棄の時期としては税理士との協議と税理士の指導に基づいて平成17年度の実行となることの説明を行った。 その後,15億5000万円の債権放棄を行い,Fを存続させるか,それとも債権放棄せず倒産させるか協議した結果,債権放棄に賛成7,反対2で,債権放棄することが可決された。 そこで,被告らが債権放棄を平成17年度にしようと考えていたところ,平成17年3月28日,公認会計士から,15億5000万円の貸付金は回収見込みがないと考えられるので平成16年度に子会社支援損として経費処理すべきであると指摘され,このような処理をしないので あれば,監査の重要性の範囲を超えているので,公認会計士としては意見を付けてしか監査報告書を出せない,健全性維持の観点からは処理は速いほどいいし,利益が出ているときに欠損処理すべきであると言われた。 被告らは,これを受け,顧問税理士と平成16年度に欠損処理することの打合せを行い,欠損処理をすることを決意し,平成17年4月5日,Eは,臨 利益が出ているときに欠損処理すべきであると言われた。 被告らは,これを受け,顧問税理士と平成16年度に欠損処理することの打合せを行い,欠損処理をすることを決意し,平成17年4月5日,Eは,臨時取締役会で平成16年度において債権放棄を行う旨決議し,同年6月14日の株主総会でも同支援損を含む貸借対照表,損益計算書及び利益処分案が承認され,同月29日に同支援損を記載した確定申告をしたが,税務調査を受け,支援損の処理の時期について,平成17年度に処理すべきであるとの指摘を受け,その結果,平成16年度の法人税額などの更正決定を受けた。 このように,平成16年度は子会社支援損として税務上処理できなかったが,平成17年度は子会社支援損として処理したことから,本来9341万7000円の税額が,子会社支援損の計上により156万500円となった。平成18年度以降7年間,欠損の繰り延べができるので,仮に,1年間の取扱高が600億円であった場合,平成18年度以降の1年間の税額は725万円となり,7年間の合計で5075万円となる。 この間に債権放棄を行わず子会社支援損を計上していなかったならば,過去の税額から1年間の税額は9347万円となり,7年間の合計で6億5429万円となっていた。したがって,債権放棄を行わず,子会社支援損を計上しない場合と比較すると,平成17年度から8年間で合計6億9539万6500円の節税をすることができるようになった。 子会社支援損を計上することはいつでもできるが,子会社支援損を計上することは,売上が多いときに行わなければ意味がない。しかしながら,Eの売上が将来下がることは可能性としてあり得るから,売上が多 い平成17年度のうちに早期に債権放棄を行い,子会社支援損を計上することにした被告らの判断は,経営者として極め い。しかしながら,Eの売上が将来下がることは可能性としてあり得るから,売上が多 い平成17年度のうちに早期に債権放棄を行い,子会社支援損を計上することにした被告らの判断は,経営者として極めて妥当な判断である。 したがって,ⓑの方法を選択し,本件債権放棄を行ったことは,経営者として合理的であり,かつ適切なものである。 カ ⑤本件新規貸付けについて本件新規貸付けは,実質的には借り換え,すなわち,期限を猶予しただけであり,新たな貸付けとは評価できない。 また,本件新規貸付けは,平成16年6月21日にされたFに対する20億円の枠内で貸付を行うことを承認する旨のEの取締役会の決議に基づいてされたものであり,手続に違法はない。さらに,本件新規貸付けに当たっては,伺い書の形で稟議を取っており,常勤取締役全員が承認しているし,貸付けの際には,弁済期や利息を定め,金銭消費貸借契約書が作成されている。 本件新規貸付けについては,保証や担保の取り決めはないが,それはFがEの100%子会社であるからであり,これらがなくても違法ではない。 そして,被告らは,仮に本件新規貸付けによる貸付金が回収不能となったとしても,Fを破産させないため,そのことがひいてはEの信用を維持することにもつながると考えて本件新規貸付けを行ったものであり,合理的な判断であるといえる。 キ以上のとおり,被告らは,経営者として合理的かつ適切な選択として,上記①から⑤までを行ったのであるから,被告らに善管注意義務違反及び忠実義務違反はない。 (2) 損害の発生及びその額【原告の主張】本件連帯保証によりEに生じた損害は,FがMに支払った9億4054万5458円である。なぜなら,Eは,FのMに対する支払代金を融資し,そ (2) 損害の発生及びその額【原告の主張】本件連帯保証によりEに生じた損害は,FがMに支払った9億4054万5458円である。なぜなら,Eは,FのMに対する支払代金を融資し,そ の後債権放棄をしているからである。また,本件貸付けによる損害は,その後放棄した15億5000万円及び回収不能となった本件新規貸付け分の3億3000万円の合計18億8000万円である。本件債権放棄による損害は,債権放棄額の15億5000万円である。本件新規貸付けによる損害は,回収不能となった3億3000万円である。 そして,被告らが違法なグルグル回し取引を承認していた又は適切な監督を怠ったことにより,本件連帯保証契約,本件貸付け,本件債権放棄及び本件新規貸付けがされることとなったことは明らかである。したがって,被告らが違法なグルグル回し取引を承認又は監視義務を懈怠していたことにより生じた損害は,最終的には,債権放棄額15億5000万円及び回収不能となった本件新規貸付額3億3000万円の合計18億8000万円となる。 【被告らの主張】原告の主張は,それを裏付ける証拠がなく,争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実証拠及び弁論の全趣旨によれば,前提事実のほか,以下の事実が認められる。 (1) 被告BとJとの関係被告Bは,昭和61年から約3年間Fに出向し,Fの取締役営業部長として勤務した。その当時,Jは,Fの営業部課長であり,被告BがFへ出向していた上記期間中,被告Bの部下として働いた。 (乙31の1から3まで,B本人)(2) Fの取締役会及び常勤役員会Fの取締役会は,3か月に1回から3回程度の頻度で開催され,取締役及び監査役が出席していた。 また,常勤役員会は,1か月に まで,B本人)(2) Fの取締役会及び常勤役員会Fの取締役会は,3か月に1回から3回程度の頻度で開催され,取締役及び監査役が出席していた。 また,常勤役員会は,1か月に1回程度の頻度で開催されていたが,非常勤の取締役及び監査役は出席していなかった。 (甲14の1から26まで,甲53,C本人,弁論の全趣旨)(3) F非常勤監査役による監査被告Dは,Fの非常勤監査役として勤務し,預金,借入金については,銀行から出された残高証明と整合するか否か,売掛金については,相手方から提出された残高確認と整合するか否か,在庫については,冷蔵業者から出された在庫証明を帳簿と照らし合わせて,その数値が決算書に正しく反映されているか否かを確認していた。すなわち,第三者が発行する証明書と,会社の経理担当者等が作成する元帳の数字が合っているかどうかは確認をしていたが,在庫の内容を確認したり,売上日報等を一枚一枚確認したりするようなことはなかった。 (D本人)(4) Eの取締役会,常勤取締役会及び営業会議ア Eの取締役会は,取締役及び監査役の出席の下,毎月1回,月末に開催されていた(甲13の1から10まで,甲53)。 イ Eの常勤取締役会は,ほぼ毎日,午前8時から9時くらいまでの時間帯に20分間から1時間程度にわたって,常勤取締役の出席の下,Eの日常業務に関する一切の事項について審議していた。Fとの取引に関する後記買付販売与信稟議書に関しては,この常勤取締役会において審議されていた。 (甲53,弁論の全趣旨)ウ Eの営業会議は,毎月1回,月の初旬に開催され,1か月間の営業状況の報告及び今後の方針の協議をしていた。これにはEのすべての取締役及び各本部の部長 。 (甲53,弁論の全趣旨)ウ Eの営業会議は,毎月1回,月の初旬に開催され,1か月間の営業状況の報告及び今後の方針の協議をしていた。これにはEのすべての取締役及び各本部の部長等が出席していた。 (甲53,弁論の全趣旨)(5) Eにおける買付販売についての管理体制Eの買付販売については,その取引額に応じて,以下のとおりの決裁基準 が設定されていた(甲19,甲53)。 300万円以下買付販売伺書により部長が決定する。 300万円超,500万円以下買付販売伺書により副本部長が決定する。 500万円超,2000万円以下買付販売伺書により本部長が決定する。 2000万円超,5000万円以下買付販売与信稟議書を常勤取締役会が審議し,社長が決定する。 5000万円超買付販売与信稟議書を常勤取締役会が審議し,社長が決定し,これを取締役会が承認する。 (6) Eにおける買付販売についての審査の実際前記(5)のとおり,Eにおいては2000万円を超えた買付販売は常勤取締役会の承認が必要とされていたが,被告らは,買付販売与信稟議書を確認する目的が当該取引によりEの資金がショートする危険性がないかどうか,取引の相手方が信用できるかどうかを審査することにあり,それを確認するには上記の点をチェックすれば足りるし,単価等の細部については営業部本部長が確認しているはずであるとの認識を有していたため,買付販売与信稟議書の記載のうち買付総額,相手先,利益率の記載だけを確認し,個々の商品の単価等は確認していなかった。 被告らが承認した買付販売与信稟議書の中には,同一の品名の商品について,異なる単価 稟議書の記載のうち買付総額,相手先,利益率の記載だけを確認し,個々の商品の単価等は確認していなかった。 被告らが承認した買付販売与信稟議書の中には,同一の品名の商品について,異なる単価で仕入れ又は販売する旨の記載のあるものもあった。 (甲53,B本人,弁論の全趣旨) F及びEの1日の取引量ア Fの1日の取引量は,取引数が300くらい,売上げは少なくとも3000万円から4000万円程度であり,売上日報が1日30枚以上作成さ れていた(証人J,証人K,D本人,弁論の全趣旨)。 イ Eの1日の売上げは約2億円であり,売上日報は300枚程度が作成されていた(証人K,弁論の全趣旨)。 (8) FとEの取引ア EにおけるFとの取引を担当する部署EにおけるFとの取引を担当する部署は,主として事業本部(加工原料課,冷凍課,加工製品課)であり,平成13年ころの担当役員は,取締役事業部長のd(以下「d」という。)であったところ,その後,eに交替し,平成16年ころからはf(以下「f」という。)が担当した。 平成13年4月1日からは,加工原料課の担当ごとに業務1係から業務8係までに係が分かれ,業務4係がFとの取引を主に担当した。 (甲53,C本人,弁論の全趣旨)イ取引の内容等平成9年から平成10年ころ,FのJとEのdは,FとEとの間において預け在庫の枠として5億円を設定し,この枠内で以下のとおりのダム取引を開始した。 ダム取引は,本来,①Fが商品を製造するための原料である鮮魚は特定のシーズンに大量に仕入れる必要があったため,資金力のあるEにこれを購入して在庫として抱えてもらい,Fは商品を製造するペースに合わせてEから必要な分だけ原 が商品を製造するための原料である鮮魚は特定のシーズンに大量に仕入れる必要があったため,資金力のあるEにこれを購入して在庫として抱えてもらい,Fは商品を製造するペースに合わせてEから必要な分だけ原料を仕入れる目的で,あるいは,②Fが製造したブリの半製品やベトナムの商材の工場で加工した半製品等が,魚の場合は年末に販売が集中するためそれまでに必要量を計画的に作り込んでおく必要があるところ,当該販売時期までに累積する原料の代金を支払うだけの資金力がFにはなかったため,一度半製品という形でEに買い取ってもらい,販売時期前にこれを買い戻すという目的で,行われていた。ところが,その後,上記目的を離れて,③Fの不良在庫や資金不足を解消するという一 般的な目的でも行われるようになった。そして,これらの取引をする際には代金額に5%の利益を上乗せしていたが,個別の取引について契約書は作成されなかった。 さらに,Jは,Fに不良在庫があることを認識した平成14年の春ころから,Eのfと話をし,これを一時的に解消する対策として,Fが上記5億円の限度でEに不良在庫の製品を売り,それを再びFが買い戻すが,その分だけ新たにEに不良在庫の製品を売るということを継続的に繰り返すというグルグル回し取引を始めた。Jは,このような取引を始めるに当たって,Fの取締役会の承認を得ることはしなかった。 (甲25の5,9及び10,甲53,証人J,証人K,弁論の全趣旨)(9) FとMとの取引ア Fは,平成12年ころから,Fの資金繰りのため,その大阪支店とMとの間で,MがFの在庫を預かり,Fがそこから必要な分だけ仕入れて売るというダム取引を開始した。この取引は,当時のF大阪支店長のSとMの担当者であるgとの話合いにより始まった。Fにとっては,金融 Mとの間で,MがFの在庫を預かり,Fがそこから必要な分だけ仕入れて売るというダム取引を開始した。この取引は,当時のF大阪支店長のSとMの担当者であるgとの話合いにより始まった。Fにとっては,金融機関から資金を借り入れるよりも金利負担が少なくて済むという点に,この取引のメリットがあった。 (証人J,弁論の全趣旨)イ平成14年ころ,Fの在庫に関するMからの請求が多いことに疑問を持ったJがFの在庫について調査したところ,Mのところに約8億円のFの在庫があることが判明したため,Jは,当時のFの社長であったRに報告した。 (証人J)ウ平成14年10月から11月ころ,Jは,Mのh社長に対し,上記在庫約8億円をFがMから直ちに買い取るのは困難であるため,FとMとの間に8億円の取引枠を設け,本来Fが在庫商品を販売する場合にはMから当 該商品を買い取らなければならないところを,代金を支払う代わりにFからMに別の商品を提供することとして,漸次的な在庫処分のための時間を与えてくれるように申し込み,Mのh社長の了解を得た。その際,Jは,hに対し,2年後には在庫8億を4億くらいに減らすことを約束したが,このような約束は,Fの取締役会の承認を経ることなく,Jが自らの判断に基づいて行った。 このようにして,FとMの間でもグルグル回し取引が開始されることとなったが,その際,通常の手数料等のほかに,在庫を販売する際に出た損分を特定の在庫に上乗せするという帳簿上の処理を行うなどしていたことから,小売1パック48円のさわやか風味ダコの単価が6万0012円となっているなど,単価が異常に高額なものが発生するようになった。 (証人J,弁論の全趣旨)(10) 本件連帯保証契約に当たっての審理 さわやか風味ダコの単価が6万0012円となっているなど,単価が異常に高額なものが発生するようになった。 (証人J,弁論の全趣旨)(10) 本件連帯保証契約に当たっての審理Eは,平成15年3月1日,Fのために,Mとの間で,本件連帯保証契約を締結することとなった。その際,被告らは,常勤取締役会において,Fから提供された資料(丙4の1,2)を見て,FとMとの間の年間取引額,月別の取引額,工場長の調査報告等を確認したが,保証債務が最大いくらになるのかについては検討せず,FのMに対する買掛債務がその時点でいくらあるのかについて調査することもなく,極度額の定めのない本件連帯保証契約を締結することを承認した。 (B本人,C本人,D本人)(11) Fの在庫及び短期借入金の増加ア Fの各年度末(各年3月31日)における在庫の総額は,以下のとおりである(甲57の1,甲58の1,2,甲59の1,2,甲60の1,2)。 平成11年度末 7億3611万8370円 平成12年度末 9億7293万1266円平成13年度末 13億8325万5251円平成14年度末 17億8111万9777円イ Fの各年度末(各年3月31日)における短期借入金残高は,以下のとおりである(甲57の2,甲58の1,2,甲59の1,2,甲60の1,2)。 平成11年度末 3億6000万円平成12年度末 6億5000万円平成13年度末 13億8000万円平成14年度末 18億9000万円(12) Fの在庫増等に関するF取締役会の審議状況Fの取締役会においては,平成12年10月31日,銀行借入承認枠 3億8000万円平成14年度末 18億9000万円(12) Fの在庫増等に関するF取締役会の審議状況Fの取締役会においては,平成12年10月31日,銀行借入承認枠を10億7000万円から15億2000万円に増枠することが承認された。その際,被告Bから,借入増額の要因を解明し,これを改善すること,特に在庫を圧縮すること及び上記借入承認枠を超過する場合は臨時取締役会を開催するようにとの要請があった。 また,F取締役会においては,平成13年5月17日,銀行借入承認枠をさらに3億円増枠することが承認された。 平成14年1月30日,銀行借入承認枠の18億2000万円を臨時に3億円増枠することについて審議した際,被告Dから,「売上げは増加しているものの,借入金がふくらんだ主な要因である在庫増に歯止めがかかっていない」旨の指摘がされた。また,被告Bから,借入金がふくれた要因について整理し,早急に改善するように,との要請があった。これに対して,Jは,在庫が多いから借入金が減らない旨の説明をした。 さらに,F取締役会においては,平成14年5月22日,銀行借入承認枠を恒常的に3億8000万円増枠することが,平成14年10月31日,銀 行借入承認枠22億円を臨時枠(平成15年3月31日まで)4億円追加することが,それぞれ承認された。その際,Jから,今期末までに在庫を12億6000万円まで圧縮する旨の説明がされたが,具体的な数量等の説明はなかった。また,被告Dから,借入金が膨れる要因及び問題点を的確に掴み早急に改善するように,との要請がされた。 (甲14の5,同8,同10及び11,甲39の4,甲53,証人J)(13) Eの在庫増加の状況ア Eの在庫総額は,以下のとお に掴み早急に改善するように,との要請がされた。 (甲14の5,同8,同10及び11,甲39の4,甲53,証人J)(13) Eの在庫増加の状況ア Eの在庫総額は,以下のとおりである(甲53)。 平成13年4月30日 12億8629万6460円平成14年4月30日 18億7507万6879円平成15年4月30日 18億0926万4318円イまた,そのうち事業本部の加工原料課における在庫の額は,以下のとおりである(甲53)。 平成13年4月30日 4億4522万5729円平成14年4月30日 8億4598万4508円平成15年4月30日 8億7823万9266円(14) Eにおける在庫増等に関する審議状況ア常勤取締役会における審議状況平成13年9月22日の常勤取締役会において,dは,在庫の管理状況を徹底的にチェックするように厳しく指導するとともに,長期在庫は今年中に処分するように指示をした。 平成14年7月30日,事業本部の在庫が合計22億6862万7210円,うち加工原料課15億7958万6414円である旨の報告がされた。 平成14年11月18日,監査を行ったc公認会計士から,在庫管理(Fほか子会社を含む)に関する指導がされた。 (甲53)イ営業会議における審議状況平成12年9月7日,8月途中で在庫が15億円であり,福岡県魚市場と比較すると在庫が多い旨の指摘がされた。 平成12年11月8日,17億円以上の在庫あることが報告されたため,長期在庫の中身を事業本部部長が判断して11月中に在庫処理の目途を付けるように指 比較すると在庫が多い旨の指摘がされた。 平成12年11月8日,17億円以上の在庫あることが報告されたため,長期在庫の中身を事業本部部長が判断して11月中に在庫処理の目途を付けるように指示がされた。 平成12年12月7日,長期在庫については回転率を上げて対処するよう指示がされた。 (甲53)(15) 本件不良在庫問題の判明被告Cは,平成15年12月ころ,FのLから,Fの在庫が多く,何かおかしい面があるということを聞いた。 そこで,被告Cは,平成16年3月上旬,被告Bに対し,Fの在庫に問題がある旨を話した。これを聞いたBは,そのころ,この問題を調査するための本件調査委員会を立ち上げた。 (B本人,C本人,弁論の全趣旨)(16) 本件調査委員会の調査等被告Bは,本件調査委員会に対し,Fに不良在庫が相当あるから調査するよう指示した。本件調査委員会は,これを受け,JほかFの担当者らからの聴き取り調査を行うとともに,Fに報告書を提出させた。しかしながら,契約書,覚書,帳簿類及び棚卸しの一覧表など,具体的な書類を確認することはせず,また,Jから聴取した内容を信頼し,それ以上踏み込んだ調査をすることもしなかった。 本件調査委員会は,このような調査をした上で,Fの在庫・売掛金含み損を13億7829万9000円とする平成16年3月31日付けの本件調査 報告書(乙5)を作成し,Fは,これに基づき,平成16年4月30日付けのFの再建計画書(乙6)を作成し,Eに提出した。被告Bは,この再建計画書を見た上で,これについてもう一度慎重に検討するよう求めたところ,Fは,同年6月17日ころ,Eに対し,特別損失額を14億8000万円とするFの再建計画の修正案(乙7)を提 。被告Bは,この再建計画書を見た上で,これについてもう一度慎重に検討するよう求めたところ,Fは,同年6月17日ころ,Eに対し,特別損失額を14億8000万円とするFの再建計画の修正案(乙7)を提出した。 この際,被告Bは,本件調査委員会に対し,具体的な調査方法等を指示しておらず,また,本件調査委員会がどのような方法で調査を行ったのかを確認することもしなかった。 (証人J,証人K,B本人,C本人,弁論の全趣旨)(17) 本件貸付け被告Bは,Fの特別損失を14億8000万円とする上記再建計画の修正案(乙7)を受け,Fの再建策を検討し,W銀行との交渉の結果,W銀行からEが借り受けることによって調達した金員をFに貸し付けることとした。 そこで,被告Bは,常勤取締役らによる検討を経た上で,平成16年6月21日のEの取締役会において,20億円の枠内でFに対して融資を行うことを提案し,これを承認する旨の決裁を得た。 その後,この決議に基づき,前提事実カのとおりの本件貸付けがされたが,個々の貸付けに当たっては,常勤取締役の持ち回り決議により承認し,取締役会は開催されなかった。また,被告らは,融資した金員が適切に使用されたか否かの確認をすることはなかった。 (乙8,乙61,B本人,D本人,弁論の全趣旨)(18) 本件債権放棄本件貸付けがされた後,前提事実(7)のとおり,Fの特別損失額が22億6242万円であることが判明したため,当初のFの再建計画を実行することが困難となった。そこで,Eの常勤取締役らが対応策を協議したところ,Fを倒産させるよりもEのFに対する債権を放棄することによりFの再建を 図る方が,Fの親会社であるEの信用の維持につながるし,税務上のメリットもあ ,Eの常勤取締役らが対応策を協議したところ,Fを倒産させるよりもEのFに対する債権を放棄することによりFの再建を 図る方が,Fの親会社であるEの信用の維持につながるし,税務上のメリットもあるとの理由で,Fに対する債権を放棄するのが妥当であるとの結論に至った。そこで,この結論に基づき,平成17年2月24日のEの取締役会において,Fに対する15億5000万円の債権を放棄する旨の議題が提案され,これを承認する旨の決議がされた。 (乙25,B本人)(19) 本件新規貸付けFは,Eに対し,平成17年3月10日から同月31日までに,合計3億6000万円を返済したが,Eは,Fに対し,同年4月4日から同年5月30日までに,新たに合計3億3000万円を貸し付けた。 その後,EとFとの間で,同年9月30日,平成18年4月3日,同年10月3日などに,同様の3億3000万円の返済及び貸付けが繰り返された。 Eの常勤取締役らは,本件新規貸付けについては,100%子会社を助けるための資金提供であり,Fに対する20億円の枠内の融資である本件貸付けのうち,本件債権放棄分を除く3億6000万円を,3億3000万円に減額した上での実質的な期限の猶予(Fからみての,いわゆる借換え)であるという意識であったため,個別の各貸付けについての承認に当たっては,Fの返済能力について個々に十分に検討を加えることはなかった。 (甲53,D本人,弁論の全趣旨)(20) 各役員の処遇等についてア被告BがEの社長を退職した際,退職金は支給されなかった(甲30,B本人)イ Jは,平成16年6月19日にFの取締役を解任された際,Fから社員としての退職金の支給を受けたが,役員としての退職慰労金等の支給は受けなかっ 退職金は支給されなかった(甲30,B本人)イ Jは,平成16年6月19日にFの取締役を解任された際,Fから社員としての退職金の支給を受けたが,役員としての退職慰労金等の支給は受けなかった。 また,被告Bは,実態を把握しているJに半年から1年の間在庫処理に 当たらせることにより迅速かつ適切な在庫処理ができるものと考えて,Fを退職したJをEに部長として雇用し,EからFへ営業本部専任部長として出向させ,Jは,在庫処理に専念した。Jは,平成17年2月末に被告Bに言われて職を辞すまで,Eから月50万円の報酬の支給を受けた。 (甲14の24,証人J,B本人)(21) Fの不良在庫処理及びその後の経営状態等ア Fは,平成16年4月ころから同年10月ころまでの間,E,M及びVから,当時存在した預け在庫を,合計16億7830万5360円で買い取った(丙3)。 イ Fは,平成17年3月期の決算において,8億2000万円の当期純損失を計上した。 その後,Fは,平成19年3月31日の時点で8億1200万円の債務超過,平成20年3月31日の時点で19億9600万円の債務超過となった。 (甲23,甲29の1,甲54)ウ平成20年6月16日,Eの株主総会において,Fに巨額の赤字が生じた原因を解明すること等を目的とした調査委員会を設けることが提案され,これに基づき,Eの取締役及びそのOBらを構成員とする経営調査委員会が設けられた。そして,同委員会が関係者らから聴き取り調査を行うなどした結果,Fの借入金は25億7000万円,債務超過額21億円であり,平成16年度から平成20年度までの累積の特別損失総額は41億2000万円が見込まれる旨が報告された。 (甲40の などした結果,Fの借入金は25億7000万円,債務超過額21億円であり,平成16年度から平成20年度までの累積の特別損失総額は41億2000万円が見込まれる旨が報告された。 (甲40の2)エさらに,平成21年6月,Eの株主総会において,平成21年4月30日法律第29号及び同年6月19日法律第54号による改正前の産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づくFのEES(借入 金の資本繰入れ)による再建案が提案されたが,株主から説明が不十分であり再調査が必要との意見が出されたため,弁護士や公認会計士などから構成される外部調査委員会による調査が行われることとなった。同調査委員会は,関係者らからの聴き取り等の調査をした結果,ダム取引及びグルグル回し取引によるFの平成16年3月31日までの損失を27億8000万円と試算した。 (甲49,甲50,甲54,弁論の全趣旨)オ農林水産省は,平成21年8月26日,産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づき,Fの取引先であるW銀行,西日本シティ銀行及びEがFに対して有する債権合計18億3000万円をFの株式に切り替える金融支援を実施し,Fの債務超過額を2億円に減少させる旨の事業再構築計画を認定した。これにより,Fは,事業規模を大幅に縮小し,年1億円の利益を出すことが見込まれる業務用スーパー1店舗だけを残すこととなった。 (乙69,弁論の全趣旨) 2 争点(1)(忠実義務違反及び善管注意義務違反)についてグルグル回し取引自体が,これを繰り返すことにより,その当事者たる会社に損害をもたらすものであること及びFとEらとがかかる取引を継続したことは,前提事実(3)及び前記1(8)に認定のとおりであるから,以下,かか 引自体が,これを繰り返すことにより,その当事者たる会社に損害をもたらすものであること及びFとEらとがかかる取引を継続したことは,前提事実(3)及び前記1(8)に認定のとおりであるから,以下,かかる取引に関連する被告らの行動について検討する。 (1) ①グルグル回し取引への関与又は子会社の監視義務違反についてアグルグル回し取引への関与(ア) まず,前提事実(3)オ及びカ並びに前記1(6)のとおり,FとMとの間の取引及びFとEとの間の取引には,商品の単価が異常に高額な取引があることや,被告らは同一の品名の商品について異なる単価が記載された買付販売与信稟議書を承認していることから見る限り,被告らがグ ルグル回し取引を行うこと自体に積極的に関与又はこれを承認していた可能性を全く否定し去ることはできない。しかし,前提事実(1)イ,ウ及びエに認定のとおり,多くの役職を兼務していた被告らが,前記1(7)のとおり,多数存在するF及びEの個々の取引内容の詳細をチェックすることは事実上不可能に近く,また,Eにおける買付販売与信稟議書の記載内容(甲53)からしてもその取引の異常性が一見して明らかとまではいえない。そうすると,上記の稟議書の承認等の事情のみをもって,被告らがグルグル回し取引に積極的に関与又はこれを承認していたことまで推認することはできない。 また,グルグル回し取引は,その内容からして相手方当事者の協力が必要な取引であるが,証拠(甲45)によれば,一般に,担当者が代表取締役等の経営の中心的立場にある者の承認を得ることなく行うこともあり得ることが認められる。そして,前提事実オのとおり,FのJがFの取締役会の承認を得ることなくグルグル回し取引を行っていることなどに照らすと,EとFとの間でグルグル回 認を得ることなく行うこともあり得ることが認められる。そして,前提事実オのとおり,FのJがFの取締役会の承認を得ることなくグルグル回し取引を行っていることなどに照らすと,EとFとの間でグルグル回し取引が行われたこと自体をもって,直ちに被告らの関与を推認することはできない。 (イ) 次に,前記1(10),(16),(17)及び(19)に認定した事実からすると,原告が主張するとおり,本件連帯保証契約の締結,本件調査委員会の調査並びに本件貸付け及び本件新規貸付けに当たって,その調査及び審査の内容には,相当に杜撰な点があることは否定できない。 しかし,FがEの100%子会社であることや,グルグル回し取引が通常想定されていた取引ではなかったことなどからすると,被告らがその取引の問題の重大性を直ちに認識できずに上記のような対応を取ってしまったという事情があるからといって,直ちに被告らがグルグル回し取引に積極的に関与又は承認していたことを推認することは困難である。 かえって,前記1(15)から(18)までのとおり,被告らは,本件不良在庫 問題を把握した時点からすると比較的早期に本件調査委員会を立ち上げてFの不良在庫の実態を調査し,その結果を踏まえてFの再建を検討し,銀行との交渉等を行っていることが認められ,これらからすると,被告らは,本件不良在庫問題の原因を明らかにしようとし,FひいてはEの損害を食い止めようと対応していたことがうかがえる。 さらに,前記1(1)及び(20)に認定のとおり,被告BとJとは,以前上司と部下の関係にあり,Jは,グルグル回し取引によりFに損害を与えたことからFの取締役を解任されたにもかかわらず,社員分の退職金の支給を受けた上,Eに部長として迎えられており,原告は,これらを被告Bの 部下の関係にあり,Jは,グルグル回し取引によりFに損害を与えたことからFの取締役を解任されたにもかかわらず,社員分の退職金の支給を受けた上,Eに部長として迎えられており,原告は,これらを被告Bの上記取引への積極的関与又は承認を示す事情の一と主張する。 しかし,Jは,Fの在庫の実態を良く知る者の一人であるから,本件不良在庫問題を迅速かつ適切に解決する目的で,EがJを雇用してFの不良在庫の処理を担当させたとしても何ら不自然とはいえない。加えて,上記認定のとおり,Jが実際に不良在庫処理に専念し,再雇用の約半年後には被告Bに言われて職を辞していることも併せ考えると,上記の事情が,直ちに被告Bのグルグル回し取引への積極的な関与又は承認があったことを示す事情と見ることはできない。 (ウ) この点に関し,原告は,被告BがJに対し,EのためにFにおいて3億円の売上げを作るよう指示し,そのための方法としてグルグル回し取引を指示していたなどと主張し,これに沿う証拠として,証人Pの証言及び同人作成の陳述書(甲37)がある。 しかし,J,R及び被告Cらの言動から被告BがJに対しグルグル回し取引を指示したと推測したとのPの供述は,これを裏付ける具体的かつ客観的な証拠を伴わない憶測に基づくものというべきであるから,その信用性は乏しく,原告の前記主張は,採用することができない。 イ被告らの監視義務違反 (ア) 前提事実(4)のとおり,被告Bは,平成11年1月ころにFにおいて不良在庫の問題が起こったことを認識していたことが認められる。また,前記1(11)から(14)までに認定の事実からすると,被告らは,Fの非常勤取締役及び監査役の立場で,Fの在庫及び銀行からの短期借入金が平成11年ころから大幅に 認識していたことが認められる。また,前記1(11)から(14)までに認定の事実からすると,被告らは,Fの非常勤取締役及び監査役の立場で,Fの在庫及び銀行からの短期借入金が平成11年ころから大幅に増加し続けており,平成14年ころには,これらが改善を要するレベルに達していることを認識していたこと,また,Eの取締役の立場でも,Eの在庫が多いことが従前から問題とされており,平成13年9月22日の常勤取締役会において在庫管理状況を徹底的にチェックするよう厳しく指導すること及び長期在庫の処分することとされたにもかかわらず,その後も在庫は減少せず,事業本部の加工原料課における在庫はむしろ大幅に増加している状況にあり,そのような状況下において,平成14年11月18日,Eの取締役会において,c公認会計士が,Fほか子会社を含めて在庫管理を適切に行うよう指導したことを認識していたこと,がそれぞれ認められる。 このように,被告らは,E及びFにおいて従前から問題とされてきた在庫の増加について,取締役会等における指摘及び指導にもかかわらずこれが改善されないことを認識していたのであるから,Eの代表取締役又は取締役として,遅くとも上記c公認会計士からの指摘を受けた平成14年11月18日の時点で,Eの取締役として,E及び子会社であるFの在庫の増加の原因を解明すべく,従前のような一般的な指示をするだけでなく,自ら,あるいは,Eの取締役会を通じ,さらには,Fの取締役等に働きかけるなどして,個別の契約書面等の確認,在庫の検品や担当者からの聴き取り等のより具体的かつ詳細な調査をし,又はこれを命ずべき義務があったといえる。そして,前提事実オ及びカ並びに前記1(6),(8)イ及び(9)エ認定の事実からすると,この時点においても,請求書や買付販売与信稟議書等の 詳細な調査をし,又はこれを命ずべき義務があったといえる。そして,前提事実オ及びカ並びに前記1(6),(8)イ及び(9)エ認定の事実からすると,この時点においても,請求書や買付販売与信稟議書等の記載を検討すれば,FとE又はFとM との間の取引において不当に高額な単価の取引があることや,同一の品名の商品の単価が異なる取引があることなどが明らかであったと推認される。したがって,被告らが上記のような調査をすれば,直ちに問題の全容を解明することまでは難しいとしても,F及びEにおいてグルグル回し取引による不適切な在庫処理が行われていることを発見し,これを検討した上で,不良在庫の適切な処分及びグルグル回し取引の中止などの対策を取ることにより損害の拡大を防止することが可能であったといえる。にもかかわらず,被告らは,何ら具体的な対策を取ることなく,FひいてはEの損害を拡大させるに至ったのであるから,被告らには上記の内容の調査義務を怠った点に,忠実義務及び善管注意義務違反が認められる。 (イ) この点に関し,被告らは,Fの取締役会への報告内容や,その在庫の適正量に関する判断資料の欠如及びEにおける常勤取締役会での承認手続の目的などからして,被告らがグルグル回し取引を早期に把握できなかった点について,被告らに監視義務違反はない旨主張する。 しかしながら,平成14年11月18日の時点では,既に,それまでの会議等における報告や議論から,不良在庫が問題となっていたことを被告らが認識していたというべきは上記認定のとおりであって,被告らが同時点においてその原因を詳らかにした上で親会社であるEの損害を生じさせないような対策を講じる義務があることは,Eの代表取締役又は取締役の立場上当然である。被告らが挙げる上記事情は,いずれもかかる 同時点においてその原因を詳らかにした上で親会社であるEの損害を生じさせないような対策を講じる義務があることは,Eの代表取締役又は取締役の立場上当然である。被告らが挙げる上記事情は,いずれもかかる義務違反を認めるのに妨げとなるものではなく,被告らの主張は採用できない。 (2) ②本件連帯保証契約の締結,③本件貸付けについてア前記(1)アのとおり,被告らがグルグル回し取引に関与していたとは認められないから,この点についての原告の主張は理由がない。 一方,前記(1)イのとおり,被告らは,遅くとも平成14年11月18日の時点で,Fの在庫問題について調査を行うべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠っていたものであり,被告らは,その後の平成15年3月に本件連帯保証契約を締結する際にも,前記1(10)のとおり,Fから提供された資料のみを検討しただけで詳細な調査や検討を行うことなく,安易に極度額の定めのない本件連帯保証契約を締結したというのであるから,まず,この点に忠実義務及び善管注意義務違反があったというべきである。 イまた,前記1(15)のとおり,Fの不良在庫問題については,平成15年12月にF内に本件調査委員会が設立され,調査が行われて本件調査報告書が提出されている。しかし,前記1(16)に認定の事実からすると,本件調査委員会のFの不良在庫に関する調査の内容としては,契約書や帳簿等の確認及び検品などの手当てをしておらず,Jから聴き取った内容を安易に信用するなど,本件不良在庫問題の原因及びFの損害を解明するには,なお不十分なものであったといわざるを得ない。そして,本件調査委員会は,本件調査報告書の再検討を求められるや,同報告書が提出されてからわずか約2か月後にはFの特別損失額を約1億円も上方修 するには,なお不十分なものであったといわざるを得ない。そして,本件調査委員会は,本件調査報告書の再検討を求められるや,同報告書が提出されてからわずか約2か月後にはFの特別損失額を約1億円も上方修正する修正案を提出したことからすれば,被告らは,本件調査委員会による調査結果の信用性にも一定の疑問を抱くべきであったといえる。にもかかわらず,被告らが構成するEの取締役会は,本件調査報告書の信用性について,具体的な調査方法を確認するなどといった検証を何らすることなく,その調査結果を前提として本件貸付けを行ったのであるから,この点についても忠実義務及び善管注意義務違反があったというべきである。 ウ以上に関して,被告らは,本件連帯保証契約締結に当たって,Eの子会社であるFとMとの取引がより円滑に行われるためにMの要請を受け入れることが必要と判断したこと,本件貸付けに当たって,被告らがFの再建 方法を検討した結果,破産及び民事再生手続,銀行からの融資,取引先への長期返済の依頼等の他の手段に比較して,最良の手段であると判断して本件貸付けを行ったことは,いずれも経営判断として妥当であったと主張する。 しかし,そもそも,経営判断の前提となるFの経営状況に関する調査が不十分であれば再建策について適切な判断をすることは不可能であるところ,Fの経営状況に関する調査や本件調査報告書の正確性についての検証を行うことができないほどに緊急の対応を要したとの事情はうかがわれない。加えて,前提事実(7)ア及びイ並びに前記1(21)のとおり,平成16年12月29日ころにはFの特別損失が22億6242万円である旨の報告がされ,その後本件債権放棄等によってもFが自力で経営を立て直すことができない結果となったことを併せ考えると,本件調査報告書の信用性 12月29日ころにはFの特別損失が22億6242万円である旨の報告がされ,その後本件債権放棄等によってもFが自力で経営を立て直すことができない結果となったことを併せ考えると,本件調査報告書の信用性の検証などを行わないまま,たやすく本件貸付けを実行するに至った被告らの判断に合理性があるということもできない。したがって,被告らの主張は採用できない。 (3) ④本件債権放棄,⑤本件新規貸付けについてア前記1(18)に認定のとおり,本件債権放棄は,本件貸付け後,Fの特別損失額が22億6242万円であることが判明したため,当初のFの再建計画が頓挫しただけでなく,本件貸付けの回収も極めて困難な状況となっていたところ,Fを倒産させるよりもEのFに対する債権を放棄することによりFの再建を図る方が,Fの親会社であるEの信用の維持につながるし,税務上のメリットもあるというEの取締役会の判断で行われたものである。 この点については,債権放棄という手段が当時考えられた選択のうちで結果として最良であったかは別として,上記判断の前提となったFの特別損失額等の事実に関する被告らの認識に誤りはなく,回収が期待できない債権に固執するよりも,これを放棄してFの債権を期待するという判断も企業経 営者として特に不合理,不適切とはいい難く,これをもって取締役としての裁量の範囲を逸脱するものとはいえない。 したがって,本件債権放棄について,被告らの忠実義務あるいは善管注意義務違反は認められない。 イまた,本件新規貸付けは,前記1(19)のとおり,Fに対する支援策として融資枠内で既に行われていた3億6000万円について,3億3000万円に減額した上での実質的な期限の猶予(Fからみた,いわゆる借換え)の性格を有するのであって 19)のとおり,Fに対する支援策として融資枠内で既に行われていた3億6000万円について,3億3000万円に減額した上での実質的な期限の猶予(Fからみた,いわゆる借換え)の性格を有するのであって,全く新たな貸付けを行ったものではないから,これを行ったことについて,別途,被告らに取締役としての忠実義務あるいは善管注意義務違反があったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 3 争点(2)(損害の発生及びその額)について(1) グルグル回し取引についての注意義務違反の点について前提事実(3)ウのとおり,グルグル回し取引は,手数料,冷蔵庫保管料等の実費及び利益が加算される一方,商品は品質が劣化するため,取引を繰り返すほど,時間が経てば経つほど損害が大きくなる取引である。そして,前記2(1)ウのとおり,被告らが平成14年11月18日の時点で具体的な調査をすべきであったのにこれを怠り,グルグル回し取引を平成16年3月ころまで継続させることとなったことによりFの損害を拡大させたことが推認できる。そして,グルグル回し取引が継続されることとなった期間の長さ及び前記1(21)のとおりのFの経営状態や各種調査による損害額の推定結果からすると,平成14年11月18日以降もグルグル回し取引が継続されたことによって拡大した損害は相当多額に上ることが推測される。 もっとも,原告は,グルグル回し取引から生じた損害の額について具体的な主張及び立証をしないところ,本件証拠からは,同日時点で既にFにどれだけの損害が生じていたのか,Fの不良在庫が具体的にどのように処理され たのかなどといった事情が必ずしも明確ではなく,また,Fの経営悪化にはグルグル回し取引以外の要素も影響していることがうかがえることなどからすると か,Fの不良在庫が具体的にどのように処理され たのかなどといった事情が必ずしも明確ではなく,また,Fの経営悪化にはグルグル回し取引以外の要素も影響していることがうかがえることなどからすると,被告らが平成14年11月18日の時点で具体的な調査を怠った前記忠実義務及び善管注意義務違反の行為によってEに生じた損害の数額を具体的に認定することは困難である。 (2) 本件連帯保証契約についての注意義務違反の点についてこの点については,原告の主張によっても,本件連帯保証契約によって直ちに損害が発生したというのではなく,その結果,本件貸付けを行わざるを得なくなり,本件債権放棄等によりその回収ができなくなったことで損害が発生したというのであるから,本件貸付けの注意義務違反として,次に検討する。 (3) 本件貸付けの注意義務違反の点について前記2(2)のとおり,被告らは,本件調査報告書の信用性を検証することなく本件貸付けを行った点に忠実義務及び善管注意義務違反が認められるところ,本件貸付けによってEがFに交付した19億1000万円のうち,本件債権放棄により放棄した15億5000万円及び本件新規貸付けにより交付した3億3000万円の合計18億8000万円が回収不能となったというのであるから,同額をもって,本件貸付けについての忠実義務及び善管注意義務違反により生じた損害額と認めるのが相当である。 (4) 以上のとおり,被告らがグルグル回し取引についての調査義務を怠ったことによる損害の数額を,それ自体として具体的に認定することは困難であるものの,被告らは,本件調査報告書の信用性を検証することなく本件貸付けを行ったことによりEに18億8000万円の損害を生じさせたことが認められ,原告も同額を請求しているのであるから ことは困難であるものの,被告らは,本件調査報告書の信用性を検証することなく本件貸付けを行ったことによりEに18億8000万円の損害を生じさせたことが認められ,原告も同額を請求しているのであるから,被告らの各忠実義務及び善管注意義務違反によるEの損害の数額は18億8000万円とするのが相当であると認める。 したがって,被告らは,Eに対し,18億8000万円及びこれに対する平成17年6月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の連帯支払義務を負うというべきである。 4 結論よって,原告の各請求はすべて理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。なお,仮執行宣言は,事案に照らし相当でないから,これを付さないこととする。 福岡地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官岩木宰 裁判官小田島靖人 裁判官鈴木拓磨

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