令和6(行ケ)10066 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月10日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文25,854 文字)

令和6年12月10日判決言渡 令和6年(行ケ)第10066号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年11月5日判決 原告 ハワード株式会社 同訴訟代理人弁護士 窪田英一郎 同 乾裕介 同 今井優仁 同 中岡起代子 同 本阿弥友子 同 鈴木佑一郎 同 堀内一成 同 山田康太 同 古橋和可菜 被告 西富商事株式会社 同訴訟代理人弁護士 三木浩太郎 同 早川尚志 同 不破佳介 同 早瀬久雄 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 特許庁が無効2023-890089号事件について令和6年6月4日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 被告は、次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1)。 登録番号第6534957号 登録出願日令和4年1月17日 登録査定日令和4年3月17日 設定登録日令和4年3月25日 登録商標(標準文字) 商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第25類 登録出願日令和4年1月17日登録査定日令和4年3月17日 設定登録日令和4年3月25日登録商標(標準文字) 商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第25類バンド、スーツ、ガーター、靴下留め、仮装用衣服、ズ ボンつり、ベルト、運動用特殊衣服、ネクタイ、履物、運動用特殊靴、被服第35類時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、履物 の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する 便益の提供、おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供⑵ 原告は、令和5年12月14日付けで、本件商標の指定商品及び指定役務中、第25類「スーツ、ネクタイ、履物、被服」及び第35類「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、履物の 小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件請求商品役務」という。)について、商標登録無効審判を請求した(無効2023 -890089号、以下「本件無効審判」という。甲33)。 特許庁は、令和6年6月4日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下 ついて、商標登録無効審判を請求した(無効2023 -890089号、以下「本件無効審判」という。甲33)。 特許庁は、令和6年6月4日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月17日に原告に送達された。 原告は、令和6年7月10日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提 起した。 2 本件無効審判における請求の理由(無効理由)の要旨本件商標は、登録第2053119号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第4028688号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第4011760号商標(以下「引用商標3」という。)、登録第4011761号商標(以 下「引用商標4」という。)及び登録第4758759号商標(以下「引用商標5」といい、引用商標1ないし4と併せ「各引用商標」という。)と類似し、本件請求商品役務中の商品又は役務は、各引用商標の指定商品と類似するから、本件商標は、商標法4条1項11号に該当するというものである。 3 各引用商標の内容 ⑴ 登録第2053119号商標(引用商標1。甲2) 登録商標 登録出願日昭和57年1月5日設定登録日昭和63年6月24日指定商品の書換登録日平成20年7月9日 商品の区分、指定商品第25類被服⑵ 登録第4028688号商標(引用商標2。甲3-1、2)登録商標 登録出願日平成7年12月26日 設定登録日平成9年7月18日商品の区分、指定商品第25類靴類⑶ 登録第4011760号商標(引用商標3。甲4-1、2)登録商標 登録出願日平成7年12月26日設定登録日平成9年6月13日 品の区分、指定商品第25類靴類⑶ 登録第4011760号商標(引用商標3。甲4-1、2)登録商標 登録出願日平成7年12月26日設定登録日平成9年6月13日 商品の区分、指定商品第14類時計⑷ 登録第4011761号商標(引用商標4。甲5-1、2)登録商標 登録出願日平成7年12月26日 設定登録日平成9年6月13日商品の区分、指定商品第18類傘⑸ 登録第4758759号商標(引用商標5。甲6-1、2)登録商標 登録出願日平成15年9月5日設定登録日平成16年3月26日商品の区分、指定商品第3類化粧品、せっけん類第9類眼鏡 4 審決の理由の要旨 本件審決の理由の要旨は、本件商標は、各引用商標と類似する商標ではないから、本件請求商品役務が各引用商標の指定商品と同一又は類似する商品又は役務を含むとしても、商標法4条1項11号に該当しないというものである。 5 原告主張の取消事由商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り 第3 取消事由に関する当事者の主張 〔原告の主張〕 1 本件商標のうち「UNITED」の部分が要部として抽出されること⑴ 本件審決の判断本件審決は、「UNITED」の語が「結ばれた、連合した」との意味を有する英語の形容詞であって他の語を修飾するものであるところ、「金、黄金の」 を意味する「GOLD」の語と語義を結合した意味合いは漠然としていることから、本件商標は「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語であって、いずれかの文字部分が要部として抽出されることはないとした。 しかし、以下のとおり、「UNITED」の部分が本件請求 ことから、本件商標は「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語であって、いずれかの文字部分が要部として抽出されることはないとした。 しかし、以下のとおり、「UNITED」の部分が本件請求商品役務との関係で高い識別力を有するのに対して、「GOLD」の部分の識別力はないか、 あったとしても極めて小さいものに過ぎないことから、本件商標が一連一体の結合商標であるということはできない。 ⑵ 本件商標における「UNITED」の部分の識別力ア本件審決の認定するように、「UNITED」の語は、「結ばれた、連合した」との意味を有する英語の形容詞である。本件請求商品役務との関係 では、「UNITED」の部分は、何らかの品質や、用途、形状等を示すものではなく、高い識別力を有する。 イ本件審決は、「UNITED」が形容詞として他の語を修飾するために用いられることを根拠の一つとして、本件商標が一連一体の造語であると判断しているように見受けられる。 しかし、本件審決も認定するように、「UNITED」と「GOLD」の各語を結合した意味合いは漠然としており、「UNITEDGOLD」という言葉は、特定の意味をなさない。例えば「UnitedNations」や「UnitedStatesofAmerica」のように、地域などが結ばれたことや連合することを示すのとは異なり、本件のよう な「UNITED」の語の使用態様では、「GOLD」との観念上の繋がり は極めて低いものである。 したがって、需要者は「UNITEDGOLD」の語を不可分一体の造語であると認識せず、むしろ「UNITED」という商品において金属の金を含むか、金色の製品であるか、その製品の品質が高いものであることを意味すると理解する。 以上 LD」の語を不可分一体の造語であると認識せず、むしろ「UNITED」という商品において金属の金を含むか、金色の製品であるか、その製品の品質が高いものであることを意味すると理解する。 以上によれば、本件商標に接した需要者は、「UNITED」の部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であると認識する。 ⑶ 「GOLD」の部分の識別力がないことア 「GOLD」の語については、本件審決が認定するとおり「金、黄金の」 という意味を有する語であるが、当該語は平易な語であり、特に被服その他のアパレル関連の製品に使用された場合には、当該製品に金が用いられているか、金色を含むことを表すものとして認識される。したがって、本件請求商品役務との関係で、「GOLD」の部分には、出所識別機能はないか、あったとしても限りなく低いものである。 イまた、「GOLD」の語が、製品の品質が高いことを示す意味で用いられている例も多々存在している(アリナミンメディカルGOLD(甲9)、GoldEdition(甲10)、アミノバイタル○RGOLD(甲11)、シボラナイトGOLD(甲12)、生源ゴールド(甲13)、チオビタゴールド2000(甲14)、キューピーコーワゴールドα(甲15)、OME GAGOLD(甲21),ミネカルゴールド(甲22))。この点、本件審決は、上記の使用例は本件商標の指定商品及び指定役務の取引分野における実情を示すものではないと指摘するが、上記の使用例の需要者と本件商標の指定商品及び指定役務の需要者は、かなりの範囲で共通しているのであるから、上記の使用例の需要者は、本件商標の「GOLD」の文字を出 所識別標識として認識することはなく、単に品質が高いといったことを意 味する 要者は、かなりの範囲で共通しているのであるから、上記の使用例の需要者は、本件商標の「GOLD」の文字を出 所識別標識として認識することはなく、単に品質が高いといったことを意 味するものに留まると認識する。 また、本件審決は、上記の使用例は、「UNITED」のような形容詞と「GOLD」を組み合わせたものではないことを指摘した上で、そのような使用例をもってしても、本件商標のような構成において「GOLD」に識別力がないことを示すものではないと説示している。 しかし、本件請求商品役務との関係で、「UNITED」の語の識別力はあり、また、需要者は、必ずしも「UNITED」の語が後ろの語を修飾するものとは認識しない。 本件商標は、「UNITED」と「GOLD」の間に、外観上一文字分の空白があるような構成となっており、これに接する需要者は、まず、その 前半部分に着目する。また、このような空白があることから、需要者は一連一体に称呼するのではなく、「ユナイテッド」の後に一拍置いて「ゴールド」と称呼する。そして、その後に続く「GOLD」の語が、金属の金を使用するものか、商品が金色であることを示すものか、あるいは、商品の品質が優れていることを示すものと認識する。 ウ上記のほか、「セブンプレミアムゴールド」(甲36の1)のような使用例も存在しており、本件商標の需要者は、本件商標に接したときは、商品やラベル等に金色を用いた製品であるか、あるいは、その商品の品質が高いであろうと認識する。すなわち、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、「セブンプレミアム」というラインナップのもと、惣菜を販売してい る。これに加えて、「セブンプレミアム」よりも高品質であることを表示するために「セブンプレミアムゴールド」というライ パンは、「セブンプレミアム」というラインナップのもと、惣菜を販売してい る。これに加えて、「セブンプレミアム」よりも高品質であることを表示するために「セブンプレミアムゴールド」というラインナップでも惣菜を販売しており、当該表示においては、ゴールドは、通常のラインナップよりも優れた品質であることを表示しているに過ぎないものとして需要者に認識される。また、上記の使用態様は、「セブンプレミアム」と「ゴールド」 の間に一文字程度の空白があり、本件商標の構成態様とも共通するもので ある。上記の取引分野は食品の分野であり、また、コンビニエンスストアという同社の事業の性質上、老若男女を問わず極めて多くの人の目に触れるものである。なお、同社は、全都道府県に出店しており(甲36の2)、令和元年以降の店舗数は約2万1000店、売り上げは約5兆円である(甲36の3)。したがって、本件商標の需要者とはかなりの範囲で共通するも のであり、一般消費者向けの商品においては、「GOLD」の文字が、「GOLD」の文字の前の商品の上等品であるといった意味合いを生じさせるものと理解される。 なお、日経新聞平成25年(2013年)10月22日の記事では、「ゴールド」が付く商品を選ぶ消費者が多く、「金色=上質」であると認識する 傾向が広がっているという記述があり(甲37)、その例として、日本製粉の冷凍パスタ「オーマイプレミアムゴールド」シリーズ、その中の「オーマイプレミアム金のパスタ」、セブン&アイ・ホールディングスの「セブンゴールド」シリーズ、その中の「金のハンバーグステーキ」、「金の麺醤油味 5食」、ミツカンの納豆の「金のつぶ」、菊水食品の「菊水 ゴールド納豆」が挙げられている。当時から10年以上を経過し、より多くの リーズ、その中の「金のハンバーグステーキ」、「金の麺醤油味 5食」、ミツカンの納豆の「金のつぶ」、菊水食品の「菊水 ゴールド納豆」が挙げられている。当時から10年以上を経過し、より多くの企業が「ゴールド」の文字を品質が高いことを示す用途で使用している結果、現在では、更に一般的に、GOLDが示す上記の意味合いが需要者に浸透されるに至っている。 したがって、本件商標に接した需要者は、本件商標中の「GOLD」の 部分には出所識別機能はないものと認識し、「UNITED」の部分のみが出所識別標識として機能するものであると認識する。 ⑷ 取引の実情ア前記のとおり、本件請求商品役務の分野においては、「GOLD」の語を使用することで、元となる製品より優れた品質であることを示唆するもの と理解される。また、アパレル業界において、金を使用し、又は金色を含 む商品であることを示すために、「GOLD」の文字を用いるのは当然であるから、「GOLD」の文字は出所識別標識として機能しない。 イ以上に加えて、ファッション業界においては、メインとなるブランドの他に、メインのブランド名称を用いたサブブランドを展開することが多々見られる。そのうち、識別力が低い色彩からなる語を用いている例として は以下のようなものがある(甲38ないし44)。 メインブランドサブブランド例 ① RalphLauren ・RalphLaurenPurpleLabel(甲38)② URBANRESEARCHStore ・ROSSOURBANRESEARCH(甲39) ③ VALENTINO ・REDValentino(甲40)④ Triumph・TriumphPREMIUMG ・ROSSOURBANRESEARCH(甲39) ③ VALENTINO ・REDValentino(甲40)④ Triumph・TriumphPREMIUMGoldLabel など(甲41)⑤ BURBERRY ・BURBERRYBLACKLABEL など(甲42)⑥ ミキハウス・ミキハウスゴールドレーベル(甲43) ⑦ VivienneWestwood ・VivienneWestwoodRedLabel(甲44)上記以外にも多くのファッションブランドがサブブランドを設けている。 このように、アパレルやファッションの分野において、メインブランドの全体又は一部に色彩を表す語を加えてサブブランドを設けることは多々行われている。「GOLD」の語は色彩を表す語であるから、本件商標は、 上記の例のように、サブブランドとして認識され得る語の組み合わせである。 ウこのような取引の実情を加味すると、本件請求商品役務であるアパレル、ファッションの分野における需要者は、「UNITED」のみが強く支配的な印象を与えるものと認識し、「GOLD」の部分はあくまで「UNITE D」ブランドのサブブランドを意味すると理解するものであり、同一の出 所と混同する。そのことは、Amazonのレビューにおいて、購入者が「最近はユナイテッドを探すことにしている」といった投稿をしている事実からも明らかである(甲27)。 なお、Amazonにおいて「UNITED」、「スラックス」の語で商品を検索すると、裾上げ済みのメンズノースタックの商品が、「ユナイテッ ド」及び「ユナイテッドゴールド」の出所のもとで販売されており(甲45)、需要者は当然これらの製品は 「スラックス」の語で商品を検索すると、裾上げ済みのメンズノースタックの商品が、「ユナイテッ ド」及び「ユナイテッドゴールド」の出所のもとで販売されており(甲45)、需要者は当然これらの製品は同一の出所のもとで販売されているものと認識する。原告は、長年にわたって「UNITED」、「ユナイテッド」の商標のもとで紳士用のスラックスその他の紳士用被服を扱っており、一定以上の認知を得ている。被告が本件商標を同じような商品群に使用する ことによって、原告の顧客が誤って被告商品を購入し、また原告のブランドが希釈化する現実的な危険が生じている。 ⑸ 本件商標が不可分の一連一体の商標ではないこと以上のとおり、本件請求商品役務との関係で、「UNITED」の語には高い識別力があり、支配的な印象を与えるものである一方で、「GOLD」の語 は、識別力がないか、あったとしても極めて低いものであって、出所識別標識としては機能しないものである。 また、「UNITED」が形容詞であったとしても、日本において形容詞としての馴染みはなく、むしろ当該語単体で「団結したもの」、「調和したもの」という名詞的な意味合いをもつ単語と認識される。他方で、「GOLD」が「金」 という名詞の他、「金色の」という形容詞的な意味を持つことは日本において広く認識されているものである。さらに、「UNITEDGOLD」を構成する「UNITED」と「GOLD」の持つ意味の観念上の繋がりは極めて小さく、外観上、称呼上の結合の程度も弱い。 したがって、一般的な需要者は、本件商標に接したときに、全体が一連一 体の商標であるとは認識せず、「UNITED」の部分が支配的印象を与える ものと認識し、可分の商標であると認識するものである。 実際に、「Unite 標に接したときに、全体が一連一 体の商標であるとは認識せず、「UNITED」の部分が支配的印象を与える ものと認識し、可分の商標であると認識するものである。 実際に、「UnitedSports」や「UNITEDCOLLECTION」といった商標との関係で問題となった裁判例(甲23、24)においては、「UNITED」の部分の識別力を認めて要部として抽出している一方、本件審決においては、本件商標が一連一体であることの根拠が明確に 示されているとは言い難い。 以上に照らし、結合商標である本件商標においては、「UNITED」の部分が、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められるものであり、「GOLD」の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合に該当し、商標の各構 成部分がそれらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないから、「UNITED」の部分を抽出し、当該部分だけを引用商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。 2 本件商標と各引用商標の類否 以上のとおり、本件商標からは「UNITED」の文字部分が要部として抽出される。 そこで、本件商標と各引用商標との類否を検討すると、本件商標と各引用商標は「UNITED」の欧文字部分を共通にするものであるから、外観において近似した印象を与えるものである。また、本件商標の要部及び各引用商標の いずれからも「ユナイテッド」の称呼が生じ、また、「1つに結ばれた、連合した」、「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などの観念を生ずるものであるから、両商標は称呼及び観念を同一にするものである。 したがって、本件商標と 呼が生じ、また、「1つに結ばれた、連合した」、「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などの観念を生ずるものであるから、両商標は称呼及び観念を同一にするものである。 したがって、本件商標と各引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであり、かつ、称呼及び観念において同一のものであるから、両商標は 相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 3 被告の主張に対する反論⑴ 被告は、原告が権利者ではない「UNITED」の語を含む商標が155件と非常に多く存在し、ファッション業界において「UNITED」の語はありふれたものであり、需要者も「UNITED(United)○○」という複合語に接する機会が多く、「UNITED」の語の後に別の語が結合さ れた場合は商標全体に着目するのが自然であると主張する(被告の主張1⑴)。 しかし、被告の挙げる155件の商標には、「○○ UNITED」のように「UNITED」が後にくるもの、他の識別力の高い語や図形などと結合しており「UNITED」が明らかに目立たないもの、株式会社ユナイテッドアローズが、そのサブブランドや「UNITEDARROWS」を含む 一体の商標を出願しているケースなどが多く見られる。これに対し、本件商標は「UNITED」の語に続いて金という物質、色または高品質であることを示す中学校レベルの英単語「GOLD」を標準文字により一行で表した結合商標であって、上記155件の登録商標には、明らかに本件商標とは構成・態様が異なる商標が数多く含まれている。 ⑵ 被告は、そもそも、「GOLD」の語は「UNITED」と同様に造語ではなく英語の成語であるところ、当該語単独で登録されている例があるから、「GOLD」の語そのものに一定程度の識別力があ ⑵ 被告は、そもそも、「GOLD」の語は「UNITED」と同様に造語ではなく英語の成語であるところ、当該語単独で登録されている例があるから、「GOLD」の語そのものに一定程度の識別力があるなどと主張する(被告の主張1⑵ア)。 しかし、上記各登録商標のいずれの指定商品役務も、それ自体に金を使用 し、あるいは金色を含むこと、あるいは品質が高いことを示すことが一般的であるとはいえないものであり、当該具体的な指定商品役務との関係で識別力が認められているに過ぎない。 また、「GOLD」の語は、金属の金を含むか、金色を用いているか、あるいは高品質であることを示す語と理解されるものであり、識別力は無いか極 めて低いものであることが明らかである。 ⑶ 被告は「UNITEDGOLD」に係る商品レビュー全54件のうち、1件のみが「ユナイテッド」と記載しているに過ぎないなどとも主張する(被告の主張1⑶イ)。 しかし、Amazonの商品レビューは、当該商品との関係で表示されるものであることから、他のレビューのように本来何も出所について記載する 必要がないし、記載する場合でも商品名全体をコピーアンドペーストすれば良いものである。それにもかかわらず、あえて「ユナイテッド」という記載をしているのは、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められない場合に該当することの証左といえる。 〔被告の主張〕 1 原告の主張1(本件商標のうち「UNITED」の部分が要部として抽出されること)に対して⑴ 原告の主張1⑵(本件商標における「UNITED」の部分の識別力)に対して 原告は、本件請求商品役務との関係では、「UNITED」の部分は何らか 要部として抽出されること)に対して⑴ 原告の主張1⑵(本件商標における「UNITED」の部分の識別力)に対して 原告は、本件請求商品役務との関係では、「UNITED」の部分は何らかの品質や、用途、形状等を示すものではなく、高い識別力を有する旨主張する。 しかし、そもそも「UNITED」の語は「結合した、連合した」の意味を有する英語の形容詞であり(甲7)、知財高裁平成30年(行ケ)第100 19号同30年9月10日判決(以下「平成30年判決」という。甲28)においても、「UNITED」の語は「結合した、連合した」の意味を有する英語の形容詞で、上記意味で使用した結合語として、「UnitedNations」(国際連合)、「UnitedKingdom」(英国)、「UnitedStatesofAmerica」(アメリカ合衆国)があるこ と、被服又は靴類を指定商品として商標登録された「UNITED」を含む 商標は非常に多いことが認定されている。 また、本件商標と各引用商標の指定商品等が重複する被服(類似群コード「17A01」)につき、登録商標において「UNITED」を含む商標にして、原告が権利者でないものは令和6年(2024年)9月現在、155件と非常に多い(乙1)。具体的には、「UNITEDARROWS」、「UN ITEDCOLORSOFBENETTON」、「UNITEDATHLE」、「UNITEDWORKS」、「UNITEDDOORS」、「UNITEDASH」、「UNITEDCARR」、「UNITEDRIVERS」、「UNITEDTOKYO」、「UnitedPrime」等を挙げることができる。 このことから、上記平成30年判決の判断時と同様に、現時点において R」、「UNITEDRIVERS」、「UNITEDTOKYO」、「UnitedPrime」等を挙げることができる。 このことから、上記平成30年判決の判断時と同様に、現時点においても、被服等を扱うファッション業界においては、「UNITED」の語は決して特殊な文字ではない、ありふれたものであることは明らかであるから、本件商標及び各引用商標の需要者は、いずれも「UNITED(United)◯◯」という複合語に接する機会が多く、「UNITED」の語の後に別の語が 結合された場合は商標全体に着目するのが自然である。 さらに、仮に、原告の主張するとおり、「UNITED」(各引用商標)が被服において著名なのであれば、検索サイトにおける検索キーワード候補に「UNITED 服」、「UNITED スラックス」等と表示されてしかるべきであるが、検索サイトYAHOO!において、検索キーワードとして、 「UNITED」を入力すると、被服に関係する候補として「unitedarrows」、「unitedtokyo」、「unitedathle」、「unitedarrowsgreenlabelrelaxing」が候補として表示されるのみで、引用商標は候補として表示されないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「UNITED」(各引 用商標)は、本件商標の指定商品役務との関係で周知な商標であるとはいえ ない(乙2)。 以上のとおり、本件請求商品役務との関係において、「UNITED」の語は出所識別力が弱く、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものでないことは明らかである。 ⑵ 原告の主張1⑶(「GOLD」の部分の識別力がないこと)に対して アそ 弱く、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものでないことは明らかである。 ⑵ 原告の主張1⑶(「GOLD」の部分の識別力がないこと)に対して アそもそも、「GOLD」の語は「UNITED」と同様に造語ではなく英語の成語であるところ、当該語単独で、指定役務第37類において登録番号第3101505号(乙3の1)として、指定商品第4類において登録番号第0274709号(乙3の2)として、指定役務第42類において登録番号第4491804号(乙3の3)として、指定役務第44類にお いて登録番号第6290057号(乙3の4)として、それぞれ登録されているのであるから、「GOLD」の語そのものに一定程度の識別力はあるというべきである。 これに対し、原告は、「GOLD」は識別力がないと主張するが、いずれも論拠に乏しいものである。 イまず、原告は、被服その他のアパレル関連の製品に使用された場合に、当該製品に金が用いられているか、金色を含むことを表すものとして認識されると主張するが(原告の主張1⑶ア)、証拠が何ら提出されておらず、根拠に乏しいものである。 ウ次に、原告は、「GOLD」の語が製品の品質が高いことを示す意味で用 いられている例が多々存在していると主張し、その証拠として、甲9ないし15、21及び22を提出する(原告の主張1⑶イ)。 しかし、第1に、上記各証拠は、いずれも、医薬品、健康食品、食品等、本件請求商品役務の取引分野と異なる取引分野に関する使用例であり、本件商標の指定商品又は役務における取引実情を示すものではないことは、 本件審決が正当に認定したとおりである。原告は、本件商標の指定商品又 は役務の需要者と各証拠の使用例の需要者がかなりの範囲で共 商品又は役務における取引実情を示すものではないことは、 本件審決が正当に認定したとおりである。原告は、本件商標の指定商品又 は役務の需要者と各証拠の使用例の需要者がかなりの範囲で共通する旨述べるが、分野ごとの取引の形態、手法等の実情を捨象して需要者は「一般消費者」として共通するという主張にすぎず、失当である。 第2に、本件商標は、共に成語である「UNITED」と「GOLD」を組み合わせたものであるところ、原告が「GOLD」の語が製品の品質 の高いことを示す意味で用いられているとする例において「GOLD」と組み合わせられている語は、いずれも造語である「アリナミン」(甲9)、「アミノバイタル」(甲11)、「シボラナイト」(甲12)、「生源」(甲13)、「チオビタ」(甲14)、「キューピーコーワ」(甲15)、「ミネカル」(甲22)であり、「GOLD」の部分と比べると識別力が高い語であるから、成 語「UNITED」と「GOLD」との関係と、上記の造語である「アリナミン」等と「GOLD」との関係を同一視することはできず、上記の例と本件とは事案を異にするものである。さらに、甲10は「GoldEdition」という使用例に係るものであるところ、梅酒の有名メーカーであるチョーヤ社の「CHOYA」ロゴと共に用いられており、当該ロ ゴの識別力が、使用例における「GoldEdition」より格別に高いものであるから、識別力が同程度の成語「UNITED」と「GOLD」を組み合わせた本件商標を論じるに適切な例とはいえない。加えて、甲21の使用例は、ギリシア語の「OMEGA」と英語の「GOLD」を組み合わせたものであり、語源の相違から両語が分離可能と評価しうる事 例であって、共に英語の成語で、文法的にも「U 。加えて、甲21の使用例は、ギリシア語の「OMEGA」と英語の「GOLD」を組み合わせたものであり、語源の相違から両語が分離可能と評価しうる事 例であって、共に英語の成語で、文法的にも「UNITED」が「GOLD」を修飾する関係にあり、両語の結びつきが明らかな本件商標とは事案を異にするものである。 加えて、原告は、「UNITED」の語の識別力が強く、本件商標に接した需要者は、まず「UNITED」の部分に着目し、「UNITED」が直 ちに「GOLD」を修飾するとは認識しないから、これを一連一体の語と して称呼することはなく、「GOLD」の語については、金属の金を使用するものか、商品が金色であることを示すものか、あるいは、商品の品質が優れていることを示すものと認識すると主張する(原告の主張1⑶イ)。 しかし、本件請求商品役務との関係において、「UNITED」の語は出所識別力が弱く、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識とし て強く支配的な印象を与えるものではないから、「GOLD」の部分と比べて格別識別力が高いものではない。また、「ユナイテッドゴールド」の称呼は10音から成るものであるところ、ファッション業界において、需要者も「UNITEDASH」、「UnitedPrime」、「UNITEDTOKYO」(甲31各枝番)又は「UNITEDARROWS」(甲 29)等、英語の成語の形容詞と名詞を組み合わせた「UNITED(United)◯◯」という複合語に接する機会が多いから、本件商標をよどみなく一連に称呼することができる。原告の主張はその前提を誤るものである。 以上のとおり、「GOLD」の語は、本件請求商品役務との関係において、 その品質や内容と直ちに結びつくものでもなく、「UN 連に称呼することができる。原告の主張はその前提を誤るものである。 以上のとおり、「GOLD」の語は、本件請求商品役務との関係において、 その品質や内容と直ちに結びつくものでもなく、「UNITED」と同程度に弱いものの、出所識別力を有するから、「GOLD」の語が出所識別標識としての称呼、観念を生じないといえないことは明らかである。したがって、本件審決が、原告の主張する各使用例につき、「本件商標のような構成(形容詞と『GOLD』の語を組み合わせてなる。)において、『GOLD』 の文字部分が、自他商品の出所識別標識としての機能を欠く文字部分として、称呼、観念が生じないような事情を示すものでもないから、本件商標に関する認定、判断の内容に影響しない」(本件審決第5の2⑴エ)と認定したことは正当である。 エ原告は、「GOLD」の文字が「GOLD」の文字の前の商品の上等品で あるという意味合いを生じさせる使用例として、甲36の1ないし3、甲 37を追加提出する(原告の主張1⑶ウ)。 しかし、これらの使用例は、セブンイレブン(甲36の1)やオーマイ(甲37)といったそもそも著名な供給者によって一般的な価格帯の商品が販売されているという前提があり、その一般的な価格帯の商品よりも販売価格が高価に設定され、かつ、具体的な商品名(ハンバーグ、ビーフシ チュー、パスタ等)と合わせて表示されているものである。これに対して、本件は、成語である「UNITED」その語のみでは供給者が誰を指すのかを理解することはできず、かつ、一般的な価格帯の商品と高価格商品という対比も存在しないのであるから、これらの使用例も、本件商標とは事案を異にするものである。 ⑶ 原告の主張1⑷(取引の実情)に対してア原告は、甲38ないし4 格帯の商品と高価格商品という対比も存在しないのであるから、これらの使用例も、本件商標とは事案を異にするものである。 ⑶ 原告の主張1⑷(取引の実情)に対してア原告は、甲38ないし44を追加的に提出し、本件請求商品役務を取り扱うファッション業界において、メインとなるブランドの他に、メインのブランド名称を用いたサブブランドを展開することが多々見られ、その際に「GOLD」を含む色彩を表す語を組み合わせるという取引実情がある と主張する(原告の主張1⑷イ)。 しかし、原告がメインブランドとサブブランドの例として列挙するものは、いずれも、メインブランド名がラルフローレン(甲38)やバーバリー(甲42)等といったその名称そのものが著名であるものであり、「著名商標」と「成語」の組み合わせである点で、「成語」と「成語」の組み合わ せでしかない本件商標と事案を異にするものである。 なお、原告の摘示する使用例においては、「GOLD」の語を用いる場合でも、「ゴールドレーベル」(甲41、43、44)、「GOLDLABEL」(甲44)というように、形容詞として「レーベル」又は「LABEL」の語を修飾する態様のみが挙げられており、「GOLD」単独で原告の「U NITED」ブランドのサブブランドを認識するという原告の主張は論拠 に乏しい。 イまた、原告は、Amazonにおいて「UNITED」、「スラックス」と検索した場合の検索結果や、商品レヴューにおいて、本件商標と各引用商標の、ひいては原告商品と被告商品の混同が現実に生じている旨主張する(原告の主張1⑷ウ)。 しかし、Amazonにおいて「UNITED」、「スラックス」、「メンズ」で検索をかけると、原告商品の「UNITED」、被告商品の「UNITED じている旨主張する(原告の主張1⑷ウ)。 しかし、Amazonにおいて「UNITED」、「スラックス」、「メンズ」で検索をかけると、原告商品の「UNITED」、被告商品の「UNITEDGOLD」以外にも、「UNITEDARROWS」、「UNITEDARROWSgreenlabelrelaxing」、「UNITEDDOORS」等、「UNITED(United)◯◯」とい う複合語の商標が数多く検索結果に現れるから、これは、原告商品と被告商品が混同するというよりむしろ、「UNITED」の語を含む被服に係る商標が多いこと、換言すれば被服等に係る取引分野における「UNITED」の語の識別力が極めて弱いこと(甲29、乙1)を端的に示すものという他はない(乙4)。 また、被告商品の「UNITEDGOLD」に係る商品レビュー全54件(乙5各枝番アマゾン口コミページ)のうち、UNITEDGOLDを「ユナイテッド」と記載するのはわずか1件だけにとどまり(乙5の2の2番目のレビュー)、原告は、当該商品レビューの54分の1に過ぎない投稿を殊更に強調するものである。さらに、Amazonの商品レビ ューは短文で紹介されるのが通常であって、商品名や企業名を簡略化することは普通に行われており、この表記をもって需要者が同一の出所と混同するという証左にはならない。 以上のとおり、原告商品と被告商品の混同が現実に生じているという原告の主張が成り立つためには、その前提として、原告が権利者であり、被 服を指定商品とする引用商標1が、本件商標の指定商品役務との関係で周 知な商標であるといえることが必要であるところ、引用商標1に周知性はないから、原告の主張はその前提を誤るものである。 ⑷ 原告の主張1⑸(本 商標1が、本件商標の指定商品役務との関係で周 知な商標であるといえることが必要であるところ、引用商標1に周知性はないから、原告の主張はその前提を誤るものである。 ⑷ 原告の主張1⑸(本件商標が不可分の一連一体の商標ではないこと)に対してア本件審決が正当に認定したとおり、本件商標は、①外観において、「UN ITEDGOLD」の欧文字(標準文字)を同じ大きさ及び書体で、語間に1文字分の間隔を空けながらも、横一列にまとまりよく表現した、全体として一連一体の語を表してなる印象を与えるものであり、また、②称呼において、「ユナイテッドゴールド」と称呼することができる。そして、③観念において、「UNITED」と「GOLD」はそれ自体では本件商標 の指定商品又は役務に直ちに結びつかない成語であるところ、本件商標は、「GOLD」の語(一般名詞)が、直前の「UNITED」の語(形容詞)に修飾されていると捉えることが自然であり、その意味合いは漠然としているものの、一連一体の造語と認められる。 また、「UNITED」も「GOLD」も英語の成語であり、それぞれの 語自体は識別力が格別に強くないものであるところ、本件請求商品役務に係る取引分野において、「UNITED」という成語と他の語を結合させた「UNITED(United)◯◯」という構成の商標はありふれており、需要者が当該複合語に接する機会は多いから、「UNITED」の語の後に別の語が結合された商標の場合、需要者は商標全体に着目するという ことが、当該分野における通常の取引の実情である。 イこれに対し、原告は、第1に、「UNITED」の語は形容詞であったとしても日本において形容詞としての馴染みはなく、むしろ名詞的であると認識されていること、「GOLD」が、「金 引の実情である。 イこれに対し、原告は、第1に、「UNITED」の語は形容詞であったとしても日本において形容詞としての馴染みはなく、むしろ名詞的であると認識されていること、「GOLD」が、「金」という名詞の他、「金色の」という形容詞的な意味を持つことが広く日本で認識されていること、及び、 「UNITEDGOLD」を構成する「UNITED」と「GOLD」 の持つ意味の観念上の繋がりは極めて小さく、外観上、称呼上の結合の程度も弱いことから、一般的な需要者は、本件商標に接したときに、全体が一連一体の商標であるとは認識せず、「UNITED」の部分が支配的印象を与えるものと認識し、可分の商標であると認識するものである旨主張する。 しかし、「UNITED」の語が名詞的に使用されていること、「GOLD」が形容詞的な意味を持つことが広く日本で認識されていることについて何ら裏付けはなく、原告の主張は根拠に乏しいものである。かえって、本件請求商品役務に係る取引分野であるファッション業界においては、「UNITEDASH」、「UnitedPrime」、「UNITED TOKYO」(甲31各枝番)又は「UNITEDARROWS」(甲29)等、英語の成語の形容詞と名詞を組み合わせた「UNITED(United)◯◯」という複合語に接する機会が多いことは前記のとおりである。 ウ原告は、第2に、「UnitedSports」(甲23)及び「UN ITEDCOLLECTION」(甲24)に関する裁判例がいずれも「UNITED(United)」を要部として抽出したことに対し、本件審決では本件商標が一連一体であることの根拠が明確に示されているとは言い難い旨主張する。 しかし、甲23の裁判例は、「Sports」の ITED(United)」を要部として抽出したことに対し、本件審決では本件商標が一連一体であることの根拠が明確に示されているとは言い難い旨主張する。 しかし、甲23の裁判例は、「Sports」の語が、特定のブランドの 「スポーツ関連の商品」を想起させる観念を有する語で識別性を有しないから、「UNITED(United)」という、本件請求商品役務に係る取引分野であるファッション業界において特段の意義をもたない成語を要部として抽出可能としたものである。また、甲24の裁判例も、同様に、「COLLECTION」の語が、当該特定の商標に関する商品の集合や、 当該特定の商標と同じ出所の商品を表示するものとして用いられており、 識別性を有しないから、「UNITED(United)」を要部として抽出可能としたものである。したがって、いずれの裁判例も本件とは事案が異なるものであり、原告の主張の根拠とはなりえない。 ⑸ 小括以上のとおり、本件商標は、「UNITED」と「GOLD」について、両 構成部分がそれらを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合している商標である。 よって、本件商標は、分離観察せずに、全体として一体的に観察すべきであり、本件審決に商標法4条1項11号に関する判断の誤りはない。 2 原告の主張2(本件商標と各引用商標の類否)に対して ⑴ 各引用商標について引用商標1は、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、その片仮名部分は欧文字部分の表音に相当する。引用商標2ないし引用商標5は、「UNITED」の欧文字を横書きしてなるものである。 そうすると、いずれも「UNITED」(ユナイテッド)の構成文字は「結ばれた、連合し の表音に相当する。引用商標2ないし引用商標5は、「UNITED」の欧文字を横書きしてなるものである。 そうすると、いずれも「UNITED」(ユナイテッド)の構成文字は「結ばれた、連合した」の意味を有する英語であるから、各引用商標はその構成文字に相応して「ユナイテッド」の称呼を生じ、「結ばれた、連合した」程度の観念が生じる。 ⑵ 本件商標と各引用商標の比較 ア外観について本件商標は、「UNITEDGOLD」の欧文字を同じ大きさで横書きにしてなるのに対し、引用商標1は、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を上下二段に同じ大きさで横書きしてなり、引用商標2ないし5は、「UNITED」の欧文字を同じ大きさで横書きしてなるも のであるところ、本件商標の外観において構成する文字数は欧文字11文 字であるのに対し、引用商標1は欧文字6文字と本件商標には存在しない文字の種類である片仮名6文字からなり、引用商標2ないし引用商標5はいずれも欧文字6文字であって、本件商標と各引用商標は、外観において構成する文字数(引用商標1についてはさらに文字の種類)が明らかに異なり、外観が相違する。 イ称呼について本件商標からは「ユナイテッドゴールド」という10音の称呼が生じるのに対し、各引用商標からは「ユナイテッド」という6音の称呼が生じるから、本件商標と各引用商標は、構成音及び構成音数が明らかに異なり、ゴールドという4音の有無によって語感も異なるものであるから、本件商 標は、各引用商標のいずれとも称呼が相違する。 ウ観念について本件商標は「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語を表していると解すべきであって特定の観念を生じない一方、各引用商標は「結ばれた、連合した」程 とも称呼が相違する。 ウ観念について本件商標は「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語を表していると解すべきであって特定の観念を生じない一方、各引用商標は「結ばれた、連合した」程度の観念を生じるにすぎず、両者は観念におい ても相違する。 エ小括したがって、本件商標と各引用商標とは類似しない。よって、本件商標は、各引用商標とは非類似の商標というべきであり、商標法4条1項11号に該当しないとした本件審決に誤りはない。 第4 当裁判所の判断取消事由(商標法4条1項11号に関する判断の誤り)の有無等に対する判断は、以下のとおりである。 1 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用され た場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かに よって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法 廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そして、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観 察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商 類否を判定することは許されないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観 察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁昭和34年(オ)第856号同36年6月23日第二小法廷 判決・民集15巻6号1689頁参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、そ れ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二 小法廷判決・集民228号561頁参照)。 2 本件商標の構成等⑴ 外観本件商標の構成は、前記第2の1⑴のとおりであり、「UNITED」及び「GOLD」の欧文字を同書体、同大で、「UNITED」と「GOLD」との間に一文字分の空白を空けるほかは等間隔で横書きにしてなるものである。 ⑵ 称呼本件商標からは、その綴りに応じて、「ユナイテッドゴールド」の称呼が生じる。 原告は、本 と「GOLD」との間に一文字分の空白を空けるほかは等間隔で横書きにしてなるものである。 ⑵ 称呼本件商標からは、その綴りに応じて、「ユナイテッドゴールド」の称呼が生じる。 原告は、本件商標のうち、「UNITED」の部分が要部として抽出されるから、本件商標からは「ユナイテッド」の称呼も生じる旨を主張する。 この点、「UNITED」は、英語で、「結ばれた、団結した、連合した」(甲7、30-1)などの意味を持つ形容詞、「GOLD」は、英語で、「(鉱物)金、黄金」(甲8、30-2)などの意味を持つ名詞であり、我が国においても、それぞれの意味する英語の単語として、一般に知られているところである。 本件商標は、「UNITEDGOLD」の欧文字を同書体、同大で、「UNITED」と「GOLD」との間に一文字分の空白を空けるほかは等間隔で横書きにしてなるものであり、特段「UNITED」の部分が強調されているものでもない。本件商標を構成する「UNITED」と「GOLD」は、前者はアルファベット6文字、後者はアルファベット4文字にとどまるから、 本件商標は全体として冗長なものとはいえず、それらの間に一文字分の空白があるとしても、両者が別個独立の構成であるとの印象を受けるものではなく、前記のとおり、「UNITED」は「結ばれた」などの意味を有する形容詞であるから、通常は他の語と一体となってその語を修飾するために用いられるもので、単独では意味を取りにくい語である。そうすると、本件商標で ある「UNITEDGOLD」の構成のうちの「UNITED」の部分の みが強く支配的な印象を与えるものではない。 加えて、本件請求商品役務の一部であり、本件商標と引用商標1の指定商品等が重複する「被服」(類似群コード「1 のうちの「UNITED」の部分の みが強く支配的な印象を与えるものではない。 加えて、本件請求商品役務の一部であり、本件商標と引用商標1の指定商品等が重複する「被服」(類似群コード「17A01」)において、登録商標に「UNITED」を含む商標であって原告が権利者でないものは155件あり(乙1)、これらは、「UNITEDARROWS」、「UNITEDC OLORSOFBENETTON」、「UNITEDATHLE」、「UNITEDWORKS」、「UNITEDDOORS」、「UNITEDASH」、「UNITEDCARR」、「UNITEDRIVERS」、「UNITEDTOKYO」、「UnitedPrime」などであるところ、これら「UNITED」(文字列に小文字があるものを含む)を含む商標のう ちには、被服の業界でそれなりの知名度を有するものも多くある。このうち、本件請求商品役務と関連のある指定商品又は役務に係るものとして、「UNITEDASH」は、洋服、コートを指定商品として、「UnitedPrime」は、運動用特殊靴、被服及び履物を指定商品として、「UNITEDTOKYO」は、靴クリーム、身飾品、貴金属製靴飾り、時計、文房具 類、被服、履物、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する 便益の提供等を指定商品及び指定役務として、それぞれ商標登録がされている(甲31の1ないし3)。 また、Amazon 益の提供、時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する 便益の提供等を指定商品及び指定役務として、それぞれ商標登録がされている(甲31の1ないし3)。 また、Amazonのサイトにおいて、「United スラックスメンズ」の条件で検索をすると、原告に係る「UNITED」、被告に係る「UNITEDGOLD」のほか、「UNITEDARROWS」、「UNITE DDOORS」、「UNITEDARROWSgreenlabel」 等、上記「UNITED(United)」を含む商標に係る商品が数多く検索結果に現れる(乙1、4)との取引の実情も認められる。そうすると、被服やそれに伴う身の回り品等を取り扱うファッション業界及びそれらの小売業界においては、「UNITED」という部分の識別力は弱いものと認められる。 したがって、本件商標のうち、「UNITED」の部分に格別の識別力があるものとは認められないから、本件商標は、「UNITEDGOLD」との一体不可分の構成の商標としてみるのが相当であり、「UNITED」と「GOLD」とに分離して観察されるものではないと認められるから、本件商標からは「ユナイテッド」の称呼は生じないと解するのが相当である。 ⑶ 観念上記のとおり、本件商標は「UNITEDGOLD」との一体の構成の商標であると解される。前記⑵のとおり、「UNITED」は、英語で、「結ばれた、団結した、連合した」などの意味を持つ形容詞、「GOLD」は、英語で、「(鉱物)金、黄金」などの意味を持つ名詞であり、我が国においても、 それぞれの意味を有する英語の単語として、一般に知られているところではあるが、「結ばれた、団結した、連合した」などの意味を持つ形容詞と、「(鉱 などの意味を持つ名詞であり、我が国においても、 それぞれの意味を有する英語の単語として、一般に知られているところではあるが、「結ばれた、団結した、連合した」などの意味を持つ形容詞と、「(鉱物)金、黄金」などの意味を持つ名詞を組み合わせても、それが一つの言葉として何らかの一定の意味を有するとは認められないから、「UNITED」と「GOLD」から成る「UNITEDGOLD」から特定の観念を生ず ることはなく、本件商標からは、特定の観念が生じるものとは認められない。 3 各引用商標の構成等⑴ 外観引用商標1は、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を上下二段に同じ大きさで同書体、同大(「ッ」は小文字)で等間隔に横書きに してなり、引用商標2ないし5は、「UNITED」の欧文字を同書体、同大 で等間隔に横書きにしてなるものである。 ⑵ 称呼前記⑴のとおり、引用商標1は、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を上下二段に同じ大きさで横書きしてなるものであり、それぞれの称呼はいずれも「ユナイテッド」であることから、引用商標1からは 「ユナイテッド」との、引用商標2ないし5からは文字に相応して、「ユナイテッド」との称呼が生じる。 ⑶ 観念各引用商標からは、上記2⑶で検討したとおりの「UNITED」の語の意味から、それぞれ「結ばれた、団結した、連合した」程度の観念が生じる ものと認められる。 4 本件商標と各引用商標の類否について⑴ 外観の比較本件商標の外観において、構成する文字数は欧文字10文字(空白部分は数えない)であり、引用商標1は欧文字6文字と本件商標には存在しない文 字の種類である片仮名6文字からなり、引用商標2ないし引用商標5はいずれも欧 、構成する文字数は欧文字10文字(空白部分は数えない)であり、引用商標1は欧文字6文字と本件商標には存在しない文 字の種類である片仮名6文字からなり、引用商標2ないし引用商標5はいずれも欧文字6文字であって、本件商標と各引用商標は、外観において構成する文字数が異なり、引用商標1については文字の種類が異なるものも含まれることから、本件商標と各引用商標はいずれも外観が相違する。 ⑵ 称呼の比較 本件商標の称呼である「ユナイテッドゴールド」と各引用商標の称呼である「ユナイテッド」は、構成音及び構成音数が異なり、本件商標の称呼のうちの「ゴールド」との音の有無によって語感も異なるから、本件商標と各引用商標はそれぞれ称呼が相違する。 ⑶ 観念の比較 観念について、本件商標を構成する「UNITED」と「GOLD」のそ れぞれの意味するところからすると、一体の構成である本件商標からは特定の観念が生じるものとは認められない一方、各引用商標からは、前記の「UNITED」の意味に応じて、「結ばれた、団結した、連合した」程度の観念が生じるものと認められ、観念において比較することはできない。 ⑷ 類否の判断 本件請求商品役務と、各引用商標の指定商品は、いずれもその指定商品・役務の内容から、需要者は一般の消費者であると認められるところ、一般の消費者は、必ずしも商標の構成を細部にわたり記憶して取引に当たるものとはいえないから、そのような需要者が通常有する注意力の程度を踏まえて、本件商標と各引用商標の外観、称呼及び観念の要素を総合勘案することとな る。 本件商標と各引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較できないから、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と各引用商標とは互い 合勘案することとな る。 本件商標と各引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較できないから、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と各引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。 ⑸ 結論以上のとおり、本件商標は、各引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決の判断に誤りはない。 5 原告の主張に対する判断⑴ 原告は、前記第3〔原告の主張〕1のとおり、本件商標中の「UNITE D」の部分に識別力がある一方、「GOLD」の部分には識別力がないから、「UNITED」が要部として抽出され、これによれば、本件商標と各引用商標は類似する(前記第3〔原告の主張〕2)旨を主張する。 しかし、原告の主張に係る「GOLD」の語が品質が高いことを表すとの実例(甲9ないし15、21、22、36の1、37等、前記第3〔原告の 主張〕1⑶イ、ウ)においては、「GOLD」の語が、「アリナミン」(甲9)、 「セブンイレブン」と関連する「セブンプレミアム」(甲36の1)等の相応の識別力を有する語と組み合わせて用いられており、またサブブランドとして用いられている「GOLD」等の色彩表示(甲38ないし44、前記第3〔原告の主張〕1⑷)についても、同様に「ミキハウス」(甲43)等の識別力の強いブランド名と組み合わせて用いられているものであるから、これら は、「GOLD」の語と組み合わされた「UNITED」の語が前記2⑵のとおり強い識別力を有しない本件とは事情が異なる。既に述べたとおり、本件商標の構成や取引の実情等に鑑みると、本件商標の構成中、「UNITED」の部分にのみ識別力があり、「GOLD」の部分に識別力がないものとは認 別力を有しない本件とは事情が異なる。既に述べたとおり、本件商標の構成や取引の実情等に鑑みると、本件商標の構成中、「UNITED」の部分にのみ識別力があり、「GOLD」の部分に識別力がないものとは認められず、「UNITED」が要部として抽出されるとは認められないというべ きである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 原告は、前記第3〔原告の主張〕2のとおり、本件商標と各引用商標とは類似する旨を主張する。 しかし、既に述べたとおり、本件商標は「UNITEDGOLD」とし て一連一体のものと認識され、これにより本件商標から生じる外観、称呼及び観念は、いずれも各引用商標と相違するか、比較することができないものである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ その他、原告は種々主張するが、上記1ないし4で説示した判断に反する ところは、上記説示の理由により、いずれも採用することができない。 6 結論以上によれば、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。 よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 中平 健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 水野正則

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