主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一控訴の趣旨一原判決を取り消す。 二被控訴人横浜市長が控訴人に対してした次の各処分を取り消す。 1 平成9年6月23日付けの道高第71号による通知書をもってした原判決添付別紙文書目録記載一の文書及び同目録記載二の文書についての公文書公開請求却下処分 2 同月30日付けの道高第72号による通知書をもってした同目録記載三の文書についての公文書公開請求却下処分三被控訴人横浜市は、控訴人に対し、金50万円及びこれに対する平成9年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要等一事案の概要、基礎となる事実及び主な争点と当事者の主張は、原判決5頁1行目の「一項」を「1号」に、同末行、同7頁11行目及び原判決添付別紙文書目録中の各「震動」をいずれも「振動」に、同13頁1行目の「三条」を「33条」に、同17頁11行目の「二項」を「2号」にそれぞれ改め、控訴人の当審における補充主張を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の第二ないし第四に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張 1 被控訴人横浜市の本件文書の作成義務について被控訴人横浜市は、横浜環状道路北側区間(横環道北側区間)に関する都市計画の原案作成者であり、都市計画法第14条第1項の規定により、総括図、計画図及び計画書の三つからなる都市計画の図書を作成しなければならない。そして、「都市計画における環境影響評価の実施について」(昭和60年6月6日建設省都市局長通知)(六六通達)は、「調査の結果の概要」、「都市計画に係る事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置」及び「都市計画に係る事 和60年6月6日建設省都市局長通知)(六六通達)は、「調査の結果の概要」、「都市計画に係る事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置」及び「都市計画に係る事業の実施による影響の評価」を計画書の中に附記することを義務づけている。そうすると、被控訴人横浜市は、上記都市計画原案の計画書を作成するために環境影響評価を行う通達上の義務があり、この義務を果たすためには環境影響調査を実施しなければならない。 したがって、被控訴人横浜市が本件文書(原判決添付別紙文書目録記載一ないし三の各文書)を作成したことは明らかである。 2 首都高の本件文書の作成権限について首都高速道路公団法(公団法)は、第29条において首都高速道路公団(首都高)の業務の範囲について厳密に規定し、第53条第3号において首都高が第29条第1項及び第2項に規定する業務以外の業務を行った場合の罰則規定を設けていること、首都高は、いわゆる特殊法人の一つであり、特別の法律の根拠に基づき、国から特殊の存立目的を与えられた特殊の行政主体として、国の特別の監督の下に、その存立目的たる特定の公共事務を行う公法人であることなどに鑑みると、同法第29条第1項及び第2項に規定する業務については厳密に解釈されなければならない。 この見地に立って同法第29条第1項の規定についてみると、同項第1号及び第5号が規定する首都高の業務は、同法第30条第1項に基づく基本計画の指示以降に初めて行うことのできるものであり、その唯一の例外が同法第29条第1項第6号の業務であり、首都高は、国又は地方公共団体の委託がある場合に限り、環境影響評価のための調査を行うことができるものと解すべきである。 なお、首都高は、都市計画決定が行われる以前の段階においては、その決定手続に関与する法的 国又は地方公共団体の委託がある場合に限り、環境影響評価のための調査を行うことができるものと解すべきである。 なお、首都高は、都市計画決定が行われる以前の段階においては、その決定手続に関与する法的権限を有しない。このことは、東京地方裁判所平成元年(ワ)第3761号事件の判決(甲29)及びその控訴審である東京高等裁判所平成9年(ネ)第2537号事件の判決において判示され、また、総務庁行政監察局発行の「高速道路に関する行政観察結果報告書-都市高速道路を中心として-」(甲30)の中でも指摘されている。 そして、甲36の「首都高速道路公団に対する平成12年度出資金の支出について」の末尾21枚目によれば、首都高の同年度の「横浜地区」建設事業計画中の調査費2億2300万円の25パーセントを国及び神奈川県・被控訴人横浜市において負担したことが明らかである。同様に、甲19の2に記載された昭和63年度から平成10年度までの調査費総額14億3746万8000円についても、それぞれの年度の出資率を乗ずれば、国及び神奈川県・被控訴人横浜市が負担した経費の総額が判明するのであり、このことは、首都高が横環道北側区間について行った環境影響調査の経費の一部を被控訴人横浜市等が負担していたこと、さらに、被控訴人横浜市と首都高との間で、環境影響調査を行うことについて契約関係が成立していたことを証明するものである。 以上のとおりであるから、本件文書が首都高において作成したものであるとしても、首都高独自の権限に基づいて作成したものでなく、被控訴人横浜市の委託に基づいて作成したものであることは明らかである。 3 被控訴人横浜市が本件文書を取得しなかった意図について原判決は、「被告市の担当部局の者が、原告のような市民からの本件文書についての公文書公開請求を予想し、それを未 のであることは明らかである。 3 被控訴人横浜市が本件文書を取得しなかった意図について原判決は、「被告市の担当部局の者が、原告のような市民からの本件文書についての公文書公開請求を予想し、それを未然に阻止しようとの意図をもって首都高から本件文書を取得しなかったといった事実があったことまでの主張立証はない。」と判示している。しかしながら、控訴人が上記のような被控訴人横浜市の担当職員の意図について立証することは事実上不能であるから、被控訴人らにおいて、被控訴人横浜市の担当職員が本件文書を取得しなかったことにつき上記のような意図をもっていなかったことを立証すべきである。 第三当裁判所の判断一当裁判所も、本件文書は被控訴人横浜市において作成又は取得しておらず、したがって、控訴人の本件文書の公開請求につき本件条例第2条第2号に定める公文書は存在しないものとしてした同被控訴人の本件却下処分は適法であり、控訴人の本件請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決を次のとおり訂正し、控訴人の当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第五争点についての当裁判所の判断」一ないし三に記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決27頁8行目から9行目にかけての「昭和六三年に建設大臣から基本計画を指示され」を「昭和六三年度の」に改める。 2 同29頁5行目の「予想」を「予測」に改める。 3 同31頁末行の「環境影響調査」を「環境影響評価」に、同行から同32頁1行目にかけての「都市計画書」を「計画書」に、同33頁1行目から2行目にかけての「神奈川県と被告市と首都高との間で出資を取り決めた覚書」を「神奈川県と被控訴人横浜市との間で首都高に対する出資金及び補助金等の負担を取り決めた協定 「計画書」に、同33頁1行目から2行目にかけての「神奈川県と被告市と首都高との間で出資を取り決めた覚書」を「神奈川県と被控訴人横浜市との間で首都高に対する出資金及び補助金等の負担を取り決めた協定書」に、同35頁1行目の「環境影響調査手続」を「環境影響評価手続」に、同2行目の「環境影響準備書」を「環境影響評価準備書」にそれぞれ改める。 4 同36頁3行目の「環境影響調査」を「環境影響評価」に、同38頁末行の「都市計画書」を「計画書」にそれぞれ改め、同39頁9行目の「被告市」から同40頁1行目の「いずれにしても、」までを削り、同4行目の「ことまでの主張立証はない」を「ことを認めるに足りる証拠はない」に改める。 二控訴人の当審における主張に対する判断 1 被控訴人横浜市の本件文書の作成義務について道路整備特別措置法第7条の2第1項に定める首都高速道路に関する都市計画は、都道府県知事が定めることとされているが(平成11年法律第87号による改正前の都市計画法(以下同様)第15条第1項第3号、同法施行令第9条第2項第1号口)、指定都市の区域を含む都市計画区域に係る都市計画の決定等については、知事は当該指定都市の長と協議することが必要である(都市計画法第87条第1項)。そして、昭和44年6月14日建設事務次官通達「都市計画法の施行について」の4(1)によれば、上記都市計画決定に必要な原案は市町村が作成することとされているが、都市計画を定めるについては、六六通達により、都市計画を定める者(都市計画決定権者)に対し、環境影響評価の実施とその結果に基づく環境影響評価準備書の作成が義務づけられ、同通達は、「調査の結果の概要」、「都市計画に係る事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置」及び「都市計画に係る事業の実施 影響評価準備書の作成が義務づけられ、同通達は、「調査の結果の概要」、「都市計画に係る事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置」及び「都市計画に係る事業の実施による影響の評価」を都市計画法第14条第1項の「計画書」の中に附記することを義務づけている。本件の場合におけるこの義務の主体は、都市計画の決定権者である神奈川県知事であって、原案作成者である被控訴人横浜市ではなく、したがって、法令及び通達上被控訴人横浜市が本件文書の作成義務を負うものではないことが明らかである。 甲21の10、甲22並びに神奈川県及び首都高に対する各調査嘱託の結果によれば、横環道北側区間に関する環境影響評価(調査、予測及び評価)は、都市計画決定権者である神奈川県知事が、被控訴人横浜市及び首都高の協力の下に、実施したこと、その調査等に当たっては、昭和63年度に横環道北側区間についての予算が採択されたことにより事業予定者となった首都高があらかじめ同年度から平成9年度にかけて所定の技術指針に基づき実施していた環境影響調査のデータ、資料等の提供を受けたこと、神奈川県は、平成10年6月、環境影響評価準備書を作成、公表したことが認められるばかりでなく、平成9年6月に発行された本件パンフレット(甲1)は、同年10月の被控訴人横浜市による都市計画原案の作成に先立ち、同被控訴人が事業予定者である首都高と共同して作成、配布したものであり、その時点における被控訴人横浜市の計画案を、首都高があらかじめ実施していた環境影響調査のデータ等とともに公表し、併せて、今後に向けての情報として、「引き続き都市計画原案の説明会や環境影響評価についての説明会を開催するとともに、パンフレットの配布などによって市民の意見をききながら、都市計画、環境影響評価の手続を進め 、今後に向けての情報として、「引き続き都市計画原案の説明会や環境影響評価についての説明会を開催するとともに、パンフレットの配布などによって市民の意見をききながら、都市計画、環境影響評価の手続を進めていく」旨を明らかにする趣旨のものであり、本件文書の作成義務が被控訴人横浜市にあることを前提とするものではないことが明らかである。 控訴人の主張は、採用することができない。 2 首都高の本件文書の作成権限について首都高は、有料の自動車専用道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行うこと等により自動車専用道路の整備を促進して交通の円滑化を図り、もって首都の機能の維持及び増進に資することを事業目的とするものであり(公団法第1条)、この目的を達成するため、東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、自動車専用道路で都市計画において定められたものの新設、改築、維持、修繕その他の管理を行うことなど、同法第29条第1項各号所定の業務を行うこととされている。 そして、首都高が昭和63年以降横環道北側区間に係る都市計画の事業予定者であったことは、前記認定のとおりであるところ、首都高は、将来の都市計画事業の開始に備えて、事業予定者として相応の準備をする必要があり、将来の都市計画事業の実施に向けての環境影響の予測とそのために必要な調査は、首都高において、前記公団法の規定を根拠として、独自の権限で行うことができるものと解するのが相当である。控訴人は、国又は地方公共団体から委託を受けた場合に限り、公団法第29条第1項第5号の附帯業務として、環境影響評価のための調査を行うことができるにすぎないと主張するが、そのように狭く解釈すべき根拠を見出すことは困難であり、採用することができない。 なお、甲29の判決は、都市計画決定が行われる以前の段 影響評価のための調査を行うことができるにすぎないと主張するが、そのように狭く解釈すべき根拠を見出すことは困難であり、採用することができない。 なお、甲29の判決は、都市計画決定が行われる以前の段階において、首都高は都市計画の決定手続に関与する法的権限を有しないことを説示しているにすぎず、事業予定者として独自に環境影響等の調査をすることが法的に禁止されているとの判断を示しているものではない。また、甲30の行政監察結果報告書は、首都高が都市高速道路の基本計画策定、指示について経営の観点から意見を述べる法的な仕組みがないことの欠点を指摘しているにすぎない。さらに、首都高の資金は大別すると出資金、補助金、借入金、首都高速道路債券等から成り立っているが、このうち出資金は、公団法第4条の規定により政府と関係地方公共団体から受け入れる資本金であり、首都高は独立の事業主体としてこれらの資本金から事業費を支出しているのであって、これらの資本金は特定の調査等に対する委託料としての性質を有するものではない。以上の点に関する控訴人の主張も採用することができない。 3 被控訴人横浜市が本件文書を取得しなかった意図について以上説示したとおり、被控訴人横浜市は法令及び通達上本件文書の作成義務を負わないのに対し、首都高は本件文書を作成する権限を有し、現にこれを作成したことが認められるところ、被控訴人横浜市の担当部局の者が、控訴人のような市民からの本件文書についての公文書公開請求を予想し、それを未然に阻止する意図をもって首都高から本件文書を取得しなかったことを認めるに足りる証拠はない。 第四結論よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第67条第1項、第61条を適用して、主文 る証拠はない。 第四結論よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第67条第1項、第61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官魚住庸夫裁判官飯田敏彦裁判官菅野博之
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