昭和22(ネ)253 所有権確認売買登記抹消手続請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和24年11月9日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      一、 原判決を左の如く変更する。      二、 被控訴人等は控訴人に対して各左記の物件につきその所有権が控 訴人に属することを確認し各左記の登記の抹消登記の申請をなすべし。

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主文 一、 原判決を左の如く変更する。 二、 被控訴人等は控訴人に対して各左記の物件につきその所有権が控訴人に属することを確認し各左記の登記の抹消登記の申請をなすべし。 (1) 被控訴人Aは物件表1、2、乃至8、9、乃至15、16、17、18、19、の物件について昭和十二年五月十日に控訴人から被控訴人Aへ売つたものとして同月十五日に為された所有権移転登記。 (2) 被控訴人Bは物件表20乃至24、25、26、27、28、29、30乃至32、33、34、35、36の物件について昭和十二年二月二十七日に控訴人から被控訴人Bへ売つたものとして同年五月六日に為された所有権移転登記。 (3) 被控訴人B及Cは物件表37乃至42の物件及第五目録記載の家屋について昭和十二年二月二十七日に控訴人から被控訴人B、及Cに売つたものとして同年五月六日に為された所有権移転登記。 (4) 被控訴人Dは物件表16、17の物件について昭和十五年十二月二十五日に被控訴人AからDへ売つたものとして昭和十六年二月十九日に為された所有権移転登記。 (5) 被控訴人Eは物件表19の物件について、昭和十五年十二月二十五日に被控訴人AからEへ売つたものとして昭和十六年二月十九日に為された所有権移転登記。 (6) 被控訴人Fは物件表30乃至32、33、34の物件について昭和十四年十二月二十八日に被控訴人BからFへ売つたものとして同月二十九日に為された所有権移転登記。 (7) 被控訴人Gは物件表30乃至32、33、34の物件について昭和十六年八月二十日に被控訴人FからGへ売つたものとして同月二十二日為された所有権移転登記。 (8) 被控訴人Hは物件表35、36の物件について昭和十五年 至32、33、34の物件について昭和十六年八月二十日に被控訴人FからGへ売つたものとして同月二十二日為された所有権移転登記。 (8) 被控訴人Hは物件表35、36の物件について昭和十五年十一月十五日に被控訴人BからHに売つたものとして同月十六日に為された所有権移転登記。 三、 左の被控訴人等は別紙物件表にある左の物件を夫々控訴人に引渡すべし。 (1) Aは1、2乃至8、9乃至15、18、(2) Bは20仍至29(3) B、Cは37乃至42及第五目録の家屋(4) Dは16、17(5) Eは19、(6) Gは30乃至32、33、34、(7) Hは35、36四 、左の被控訴人等は控訴人に対し各別紙第八記載の金額の割合を以て計算し左の如く支払うべし。 (1) Aは物件表1、2乃至8、9乃至15、18に対する昭和十八年十一月二十八日よりその引渡に至る迄の金額(2) Bは物件表20乃至29に対する昭和十八年十一月二十八日よりその引渡に至る迄の金額(3) B、Cは物件表37仍至42及第五目録記載の家屋に対するBは昭和十八年十一月二十八日よりCは昭和十八年十一月三十日よりその引渡に至る迄の金額(但し昭和十八年十一月三十日以降は両名連帯して支払うこと)(4) Dは物件表16、17に対する昭和十八年十一月二十八日よりその引渡に至る迄の金額(5) Eは物件表19に対する昭和十八年十一月二十八日よりその引渡に至る迄の金額(6) Gは物件表30乃至32、33、34に対する昭和十九年十月三十日よりその引渡に至る迄の金額(7) Hは物件表35、36に対する昭和十九年十月三十日よりその に至る迄の金額(6) Gは物件表30乃至32、33、34に対する昭和十九年十月三十日よりその引渡に至る迄の金額(7) Hは物件表35、36に対する昭和十九年十月三十日よりその引渡に至る迄の金額五、 控訴人その余の請求は棄却する。 六、 訴訟費用は第一、二審を通して二分しその一を控訴人の負担としその余は被控訴人等の負担とす。 事実 控訴代理人は原判決を取消して左の内容の判決を求めた。 一、 主文第二項同旨の所有権の確認。 二、 主文第二項同旨の所有権移転登記の抹消登記の申請手続をなすこと。(但し主文第二項(4)(5)の抹消登記は被控訴人Aに対しても求む。同(6)(8)の抹消登記は被控訴人Bに対しても求む。同(7)の抹消登記は被控訴人Fに対しても求む。)三、 主文第三項同旨の物件の引渡し。 四、 被控訴人Bは控訴人に対し第六目録記載の家屋について伊那税務署備付の家屋台帳を抹消する手続をなすこと。 五、 被控訴人等に対し別紙第七金員請求に記載してある内容の金員の支払を命ずること。 控訴人はその請求原因として左の如く述べた。 別紙物件表に記載する土地及別紙第五目録記載の家屋は孰れも控訴人の先代Kの所有であつたが、Kは昭和十一年一月二十七日死亡し控訴人が家督相続をした結果その所有権を取得したものである。ところが控訴人も控訴人の親権者であつた母Iも共に全く知らぬ間に右の物件は後段記載の如く被控訴人等の名義に所有権移転登記が為されてある。以上の関係を先々代Jの当時に遡つて詳細に述べれば被控訴人の先々代Jは明治三十九年十一月七日隠居したがJは当時別紙物件表の内耕2、耕9、分16、20乃至24耕25耕26、28、29、耕30、耕35、37乃至39、41、42以上二十筆を所有 べれば被控訴人の先々代Jは明治三十九年十一月七日隠居したがJは当時別紙物件表の内耕2、耕9、分16、20乃至24耕25耕26、28、29、耕30、耕35、37乃至39、41、42以上二十筆を所有したが控訴人の父KはJの隠居によつてこれを相続した。その後Kは明治四十年二月二十五日物件表40の宅地をLから買求め同月二十七日その所有移転登記を為し、更に明治四十五年五月二十六日物件表1の田をMから買求め同月二十八日その所有移転登記をした。そしてKはその父Jの隠居によつて相続した物件の内、物件表耕9、24、耕25、耕30、37、41の六筆は未登記であつたので明治四十年十一月二十二日自己の名義に保存登記を為し他の十四筆は明治四十年十一月二十九日相続による所有権移転登記をした。又物件表41、42の宅地に接続した40の宅地を前記の如くLから買求めて屋敷を拡張してその地上にあつた古い家屋を毀して明治四十年頃別紙第五目録記載の家屋の建築にとりかかり、明治四十五年頃に完成して大正四年五月七日Kは自己の名義で保存登記をした。Kは十五才の頃横浜に出て父Jが隠居した明治三十九年十一月頃には東京a町で綿糸仲買業を営んで相当に暮しており、郷里の家政は母N(Jの妻)妹Oに代行させ、新築家屋には自己の表札をかけ時々帰省して家計の締め括りをしていたが、大正五年十一月妹Oが被控訴人Aと結婚してからは(大正六年十一月十七日入夫婚姻屈出)O夫婚に郷里の家政を代行させ、K所有の田畑山林などを無償で使用収益させていた。そしてKが東京で営業をしていた関係で父Jの存命中から郷里の農業は妹Oの夫に承継させる予定になつて居りKもこれを承知していたので、大正六年十一月二十八日に別紙第三目録の一と第二目録の一に記載してある土地十六筆を被控訴人Aに贈与し翌七年一月二十五日登記したが、この贈与に 夫に承継させる予定になつて居りKもこれを承知していたので、大正六年十一月二十八日に別紙第三目録の一と第二目録の一に記載してある土地十六筆を被控訴人Aに贈与し翌七年一月二十五日登記したが、この贈与にはAが財産に危険を及ぼすような行為をした場合には取戻すと云う条件がつけられてあつたところ、Aは親族の債務を保証して差押を受けそうになつたのでKは怒り贈与の際の条件に従つて昭和十年七月十一日右十六筆全部を被控訴人AからKに贈与させ、同月十三日その所有権移転登記をした。斯様に別紙物件表の土地(第一目録の一、第二目録の一、第三目録の一を合せたものが、物件表記載の土地全部である)及び第五目録記載の家屋はKの所有に属し控訴人が相続によつてこれを取得したものであるが、控訴人も親権者であつたIも、相続登記は勿論何の登記をも申請したこともなく、親族会の招集申請をしたこともないのに、土地家屋全部につき相続登記が出来、控訴人の親権者IがPに委任して申請があつたものとして左のような売買による所有権移転登記が出来ている。 イ、 別紙第三目録の一につき昭和十二年五月六日被控訴人Aに売渡し同月十五日登記。 ロ、 別紙第二目録の一につき昭和十二年二月二十七日被控訴人Bに売渡し同年五月六日登記。 ハ、 別紙第一目録の一及別紙第五目録記載の家屋につき、昭和十二年二月二十七日被控訴人B同Cに売渡し同年五月六日登記。 次に第三目録の一記載の内、分16は耕16、耕18、耕19の三筆に分筆せられたのであるが、被控訴人Aはこれを左の如く売渡し且登記をしている。 ニ、 耕16を昭和十五年十二月二十五日被控訴人Dに売渡し昭和十六年二月十九日登記。 ホ、 耕19を右と同日に被控訴人Eに売渡し右と同日に登記。 次に第二目録の一の内耕30、耕33、耕35につき被控訴人Bはこれを左の如く 二月二十五日被控訴人Dに売渡し昭和十六年二月十九日登記。 ホ、 耕19を右と同日に被控訴人Eに売渡し右と同日に登記。 次に第二目録の一の内耕30、耕33、耕35につき被控訴人Bはこれを左の如く売渡し且登記をしている。 へ、 耕30、耕33を昭和十四年十二月二十八日被控訴人Fに売渡し同月二十九日登記。 ト、 耕35を昭和十五年十一月十五日被控訴人Hに売渡し同月十六日登記。 被控訴人Fは更に左の如く売渡し登記をしている。 チ、 耕30、耕33を昭和十六年八月二十日被控訴人Gに売渡し同月二十二日登記。 以上の次第であつて係争物件は控訴人の所有に属するところ被控訴人はその所有権を争うから請求の趣旨に記載してあるように所有権の確認、各登記の抹消、物件の引渡を求める。 次に係争物件は控訴人先代Kが無償で被控訴人Aに使用収益させていたものであるが、被控訴人等が擅に自己の名義に所有権取得登記をした時から不法占有になつたものであるからこの時以降賃料相当額の損害を賠償する義務がある中途で耕地整理のあつた土地については従前の土地を、換地登記(昭和十八年六月八日)の前日まで、換地を、換地登記の日から現在に至るまで、不法に占有していることになる。そして各物件の一ケ年の相当賃料額は物件表の下の欄及第五目銖の家屋の項に記載してある通りであるからこれに則つて別紙第七の如き計算により金員の支払を求める。又別紙第五目録の家屋と第六目録の家屋とは同一物件であるが被控訴人Bは別紙第六目録記載の家屋につき長野縣伊那税務署長に対し虚偽の申告を為し家屋台帳を作成せしめたものであるからその抹消手続をすることを求めると述べ、尚被控訴人等の取得時効完成したと云う抗弁に対してこれは時機に後れたものであるから却下を求める。別紙第二目録の一、第三目録の一の土地合計十六筆は昭和十年七 るからその抹消手続をすることを求めると述べ、尚被控訴人等の取得時効完成したと云う抗弁に対してこれは時機に後れたものであるから却下を求める。別紙第二目録の一、第三目録の一の土地合計十六筆は昭和十年七月十一日被控訴人Aから控訴人先代Kに贈与され向月十三日その所有権移転登記を経たからとの贈与の日以後のAの占有は所有の意思のない占有である。又別紙第一目録の一の土地六筆と第五目記載の家屋についてはこれ等の土地は控訴人の先代Kがその父Jの隠居によつて相続し、物件表の宅地だけは明治四十年二月二十五日にLから買求め家屋を建築しこれを母N妹Oに管理させ大正五年十一月OA婚姻以後は同人等に管理させ、無償で使用させておいたものであるから同人等の占有は権原の性質上所有の意思を伴わぬものであると述べた。 被控訴人等は本件控訴は棄却するとの判決を求め事実上の供述は原判決摘示の通りであるから之を引用する。 証拠として控訴人は甲第一号証の一乃至四十三、甲第二号証、甲第三号証の一、二、甲第四号証、甲第五、六号証の各一、二、甲第七、第八号証、第九号証の一、二、甲第十号証、甲第十一号証の一、二、三を提出し原審証人O、IQ、R、S、Tの供述原審における被控訴本人Bの供述、原審鑑定人Uの鑑定の結果(二回)当審証人I、Vの供述を援用し乙第一号証の一は成立を認め、二は不知、乙第二号証の一乃至十五、乙第三号証、乙第五号証の成立を認む。乙第四号証の一乃至四の内、登記官吏作成部分の成立を認めその余の部分は不知と述べた、被控訴人等は乙第一号証の一、二乙第二号証の一乃至十五、乙第三号証、乙第四号証の一乃至四、乙第五号証を提出し、原審証人O、W、P及被控訴本人Cの供述を援用し甲第五、第六号証の各一、二、甲第七第八号証は不知、その他の甲号各証の成立を認む(但し甲第十一号証の一乃至三に付認 号証の一乃至四、乙第五号証を提出し、原審証人O、W、P及被控訴本人Cの供述を援用し甲第五、第六号証の各一、二、甲第七第八号証は不知、その他の甲号各証の成立を認む(但し甲第十一号証の一乃至三に付認否なし)と述べた。 理由 控訴人先代Kが昭和十一年一月二十七日死亡し控訴人が家督相続をしたことは当事者間に争がない。控訴人は別紙物件表記載の土地(別紙第一目録の一、第二目録の一、第三目録の一を合わせたもの)及別紙第五目録記載の家屋はKの所有であつたところ控訴人が相続によつて取得した物件であると主張するので、先ず別紙第二目録の一及第三目録の一の土地合計十六筆に付て按ずるに成立に争なき甲第一号証の一乃至三十六と原審並当審の証人Iの証言によれば、右は控訴人の先々代Jの所有であつたがJの隠居によりKが相続して之を取得したもので第三目録の一の内の1だけがKの代になつて明治四十年五月二十八日Mから買求めたものであることが認められる。その後Kは右十六筆を大正六年十一月二十八日被控訴人Aに贈与し大正七年一月二十五日その登記をしたが、昭和十年七月十一日にこれを取戻し昭和十年七月十三日被控訴人AよりKに贈与による所有権移転登記をしたことは当事者間に争がない。被控訴人等は右の如く昭和十年七月十三日K名義に戻したのはAの財産隠匿のために通謀の上やつたもので、昭和十年七月十五日Aは再びKからこれが贈与をうけたが未だ登記をしないうちにKは死亡したので、この土地は全部被控訴人Aのものであると主張するが、この点に関する原審に於ける被控訴本人Cの供述乙第二号証の十一(Aの調書)乙第二号証の十二(Cの調書)乙第二号証の十五(Xの調書)の記載は措信しない。乙第一号証の一には「貴方の状態回復するか又はB成年に達し相当と認むるとき更に無償にて貴方に贈与するも 証の十一(Aの調書)乙第二号証の十二(Cの調書)乙第二号証の十五(Xの調書)の記載は措信しない。乙第一号証の一には「貴方の状態回復するか又はB成年に達し相当と認むるとき更に無償にて貴方に贈与するものなり」とあつてKは一旦Aから取戻したものの將来事情によつては再びAに贈与する意存であつたことをうかがわれるけれ共この時贈与したものと認めることは出来ぬ他にこれを認むべき証拠がない。然らば第二目録の一、第三目録の一の土地合計十六筆はK死亡の当時全部Kの所有に属し控訴人は相続によつてこわを取得したものである。次に物件表の内、別紙第一目録の一の土地及第五目録の家屋につき按ずるに成立に争なき甲第一号証の三十七乃至四十三と原審及当審証人Iの証言によれば右第一目録の一の土地はKがその父Jの隠居によつて相続したもので40だけがKの代になつて明治四十年二月二十五日Lから買求めた(同月二十七日登記)ものであるし第五目録記載の家屋はKが大正四年頃に建築したものであることが認められる。被控訴人等は以上第一目録の一の土地と第五目録の家屋はKの妹Oが事実上Y家を相続することとなつていたので、大正五年Aを入夫に迎うるにあたりA夫婦が(大正六年十一月十七日入夫婚姻届出)J、K等より贈与をうけたものであると主張するけれども、原審証人O、被控訴本人C、Bの各供述乙第二号証の十一、十二の記載は措信しない。他にこれを認めうべき証拠がない(もし右の物件についても贈与を受けたものとすれば当時第二目録の一、第三目録の一の土地についてはKからAに対して前述の如く贈与による所有権移転登記をしたのであるからこれも共に登記するのが当然と思われる)。然らば右第一目録の一の土地及第五目録の家屋もK死亡の当時Kの所有に属し控訴人は相続によつてこれを取得したものである。被控訴人等は時効を援用し大正 であるからこれも共に登記するのが当然と思われる)。然らば右第一目録の一の土地及第五目録の家屋もK死亡の当時Kの所有に属し控訴人は相続によつてこれを取得したものである。被控訴人等は時効を援用し大正七年一月二十五日より十年又は二十年を経過し取得時効完成していると主張するが、別紙第二目録の一と第三目録の一の十六筆の土地は前段認定の如く大正七年一月二十五日Kより被控訴人Aに対し贈与による所有権移転登記を経て名実共に被控訴人Aの所有となり、その後Aは昭和十年七月十三日これをK名義に所有権移転登記をするまで所有主としてこれを占有していたもので、他人のものを占有していた関係にたたないしその後は管理者として占有するもので、所有の意思を以て占有するものでない。又別紙第一目録の一の土地と別紙第五目録の家屋についてもその管理者としてこれを占有していたものと認むべきで、所有の意思を以て占有していたものではないから(管理者として占有していたことに付ては後に認定する)取得時効の主張は理由がない。ところが以上の物件につき控訴人主張の如く被控訴人等に夫々所有権移転登記がなされていることは当事者間に争がなく原審並に当審証人I、原審証人Pの供述によれば右は被控訴人Cが控訴人の親権者母Iの印を預つていた頃これを冒用して親族会の招集申請書、買証書、委任状を作成して被控訴人Aと同道して司法書士Pに登記手続を依頼し、被控訴人A、B、Cの名義に移したもので控訴人も親権者であつたIも共に関知しなかつたことが認められる。この点に関する原審に於ける被控訴人Cの供述乙第二号証の十一、十二の記載は措信しない。他にこれを覆す証拠はない。然らば被控訴人A、B、Cは本件物件の所有権を取得することなく又被控訴人D、E、F、G、H等は孰れも無権利者である被控訴人A、B等より讓受けたものであるからこ は措信しない。他にこれを覆す証拠はない。然らば被控訴人A、B、Cは本件物件の所有権を取得することなく又被控訴人D、E、F、G、H等は孰れも無権利者である被控訴人A、B等より讓受けたものであるからこれも亦所有権を取得することはない。而して被控訴人等は控訴人の所有権を争うものであるから控訴人は被控訴人等に対し所有権の確認を求める法律上の利益があるし、又違法の登記が現存する限り主文第二項に記載した登記名義人に対しその登記の抹消を求むる控訴人の請求は正当である(被控訴人Aは主文第二項の(4)(5)に付Bは同(6)(8)に付同Fは同(7)に付孰れも登記名義人でないからこの部分に関し同人等に登記の抹消を求むる部分は棄却する)次に物件の引渡請求につき按ずるに本件物件が前段認定の如く控訴人の所有に属するところ被控訴人等がそれぞれ控訴人主張の如く占有することは被控訴人等の明かに争わざるところであるから之を自白したものと看做す。而して成立に争なき乙第二号証の十一(Aの調書、但し前記採用せざる部分を除く)原審証人O、Q、原審及当審証人Iの証言によれば控訴人先代Kは若年の頃に東京に出て綿糸問屋株式現物店等を営み昭和十一年五十六才で死亡したが、郷里には妹Oに入夫Aを迎へA夫婦に家政を委ね本件不動産を無償で使用せしめていたこと、Kも郷里の家に調度品を買求めて備付けたり盆暮には諸払のために帰郷していたことが認められるし、Aにあてた成立に争なき乙第五号証によれば実弟Cを援助するにはその使途を考えた上で為せとか、A夫婦、娘Bは自分に代つて郷里の家を守れと云う趣旨の指示を与えている。以上の事実によるとKは郷里を離れ東京で独立の生活を営んでいた関係上、郷里の本件不動産は家産として所有し、A夫婦に家政一切の処理を委ねその対価として本件不動産を無償で使用収益することを許容 えている。以上の事実によるとKは郷里を離れ東京で独立の生活を営んでいた関係上、郷里の本件不動産は家産として所有し、A夫婦に家政一切の処理を委ねその対価として本件不動産を無償で使用収益することを許容していたものであるから、A夫婦はKとの間の黙示の委任契約に基いて本件不動産の管理者としてこれを占有して来たものと認める(BはAの娘、CはK実弟であるからA<要旨>夫婦に本件不動産の管理権がある限りKは同人等の占有も許容していたものと認める)而して委任契約は</要旨>本来委任者の死亡によつて終了するのであるが、右の如くKが東京に暮している関係上郷里の留守を託するために妹Oに入夫Aを迎へ爾来三十余年に及んでいるようか場合にはA夫婦の身分上の地位を信任して委任したものであるから、Kの死亡によりて直ちに委任が終了したと見るべきでなく、相続人たる控訴人が解約の告知をしたときに終了すると解するのが穏当でおる。ところがKの家督相続人たる控訴人が本訴を提起し被控訴人等に対して本件物件の引渡を求めているが、とれは従来の委任関係を終了せしめんとする解約の告知と解することが出来る。従て本件訴状の送達と共に従来の委任関係は終了し爾後、被控訴人Aは管理者として占有する正権原を失つたものであるし、延てB、Cの占有も正権原を失うに至つたものである。故に被控訴人A、B、C等に対しその占有する主文掲記の物件の引渡を求むる控訴人の請求は正当である。又被控訴人、D、E、G、Hはこれを占有する正権原あることの証拠がたいから右の被控訴人等に対してその占有する主文掲記の物件の引渡を求むる控訴人の請求も亦正当である。 次に控訴人の金員の請求に付判断する。先ず被控訴人A、B、Cに対する請求に付按ずるに同人等の占有が本件訴状の送達によつて正権原を失つたことは前段認定の如くであるから被控訴人 の請求も亦正当である。 次に控訴人の金員の請求に付判断する。先ず被控訴人A、B、Cに対する請求に付按ずるに同人等の占有が本件訴状の送達によつて正権原を失つたことは前段認定の如くであるから被控訴人A、Bは本件訴状送達の翌日たる昭和十八年十一月二十八日より被控訴人Cは同昭和十八年十一月三十日より各その引渡に至るまで不法占有者として控訴人に対しその蒙つた損害を支払わなければならない(但し物件表37乃至42及別紙第五目録の家屋に付ては被控訴人B、Cは共同不法占有者として昭和十八年十一月三十日以降は連帯して支払わなければならぬ)この点に付控訴人は被控訴人等が擅に自己名義に所有権取得登記をした日から不法占有になつたと主張するけれ共、従来の適法の占有は所有権取得登記が違法であるために不法(権原のない占有のこと)に転ずる理由はないから右の主張は採用しない。而してその損害金は原審鑑定人Uの鑑定の結果に徴し別紙第八に記載する金額を相当と認める(但し物件表22、23、37乃至42に付ては控訴人の主張する範囲を越える鑑定の結果は採用しない。又別紙第五目録の家屋に付ては鑑定がないがこれは控訴人の主張する金額には被控訴人等に於て明かに争わないからこれを自白したものと与なし控訴人の主張する金額による)次にその他の被控訴人等に対する請求に付按ずるに同被控訴人等は本件物件が控訴人の所有であることを知つて讓り受けたとか当然これを知りうべかリしに讓受けたと云う証拠はないからその占有が正権原に基かぬものであつても故意過失の責なく、従つて控訴人はその所有権取得登記の時からの損害金を請求することは出来ぬ。然し右の被控訴人等は本件訴状の送達によつて以上の事実は知りうべかリしものであるから同日以降は過失の責を負うべきものである。従つて被控訴人DEは本件訴状送達の翌日たる昭和十 を請求することは出来ぬ。然し右の被控訴人等は本件訴状の送達によつて以上の事実は知りうべかリしものであるから同日以降は過失の責を負うべきものである。従つて被控訴人DEは本件訴状送達の翌日たる昭和十八年十一月二十八日より、又被控訴人G、Hは同昭和十九年十月三十日より各その引渡に至るまで不法占有者として控訴人に対しその蒙つた損害を支払わなければならぬ。而してその損害金は原審鑑定人Uの鑑定の結果に徴し別紙第八に記載する金額を相当と認める(被控訴人Fは訴状送達後は占有していないから同人に対する請求は全部棄却する)尚控訴人は被控訴人Bに対し別紙第六目録の家屋に付伊那税務署備付の家屋台帳の抹消手続を求めているが、右の家屋が家屋台帳に被控訴人Bの名義となつていることは甲第二号証で認められるが、別紙第六目録の家屋と別紙第五目録の家屋が同一物件であることの証拠はないから右の請求は排斥する。 仍て控訴人の本訴請求中所有権の確認を求むる部分、主文記載の登記名義人に対し各登記の抹消を求むる部分、物件引渡を求むる部分及金員請求の一部につきこれを認容し、その他を乗却し民事訴訟法第三百八十六条、第八十九条、第九十二条、第九十三条第一項、第九十五条を適用して主文の如く判決する。 (裁判長判事大野璋五判事柳川昌勝判事浜田宗四郎)

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