平成17(行コ)115 違法公金支出差止等請求控訴事件(原審・大津地方裁判所平成16年(行ウ)第3号)

裁判年月日・裁判所
平成18年3月23日 大阪高等裁判所 棄却 大津地方裁判所 平成16(行ウ)3 住民訴訟
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判決文本文2,076 文字)

- 1 -平成18年3月23日判決言渡平成17年(行コ)第115号違法公金支出差止等請求控訴事件(原審・大津地方裁判所平成16年(行ウ)第3号)判決主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人は,被控訴人補助参加人Aに対し,475万3588円及びこれに対する平成16年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 第2事案の概要原判決「第2事案の概要」の記載を引用する。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件訴えは控訴人のB市長就任により不適法になったものと判断する。その理由については,後記のとおり補足するほかは,原判決「第3当裁判所の判断」の記載を引用する。 理由の補足地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項は,住民訴訟を提起できる者につき,「普通地方公共団体の住民は,前条第1項の規定による請求をした場合において,」と定めており,文理上それ以上に特段の限定をしていない。また,法242条1項も,監査請求ができる者につき,「普通地方公共団体の住民」と定めており,文理上それ以上に特段の限定をしていない。 しかし,法242条1項の規定は,「普通地方公共団体の住民は,当該普通地方- 2 -公共団体の長(中略)について,違法若しくは不当な公金の支出(中略)があると認めるときは,これらを証する書面を添え,監査委員に対し,監査を求め,(中略)当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と定める。この文理からすると,住民監査請求は,住民が,地方公共団体の長(以下「長」という。)など執行機関等の行為に対して異なる見解を 填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と定める。この文理からすると,住民監査請求は,住民が,地方公共団体の長(以下「長」という。)など執行機関等の行為に対して異なる見解を有し不服がある場合において,必要な措置を求めることを予定した制度であり,長自身が住民監査請求をすることは予定されていないと解すべきである。実質的にみても,長は,法に従い,違法又は不当と判断する行為を行わず,あるいはその是正のための措置を執ることが可能なのであるから,住民監査請求を利用する法律上の利益が認めがたいといえる。住民訴訟も,住民監査請求の結果に不服がある住民が当該執行機関等を被告として訴えを提起するのであるから,執行機関である長自身が訴えを提起することは予定されていないと解すべきである。 また,本件の請求に即してみれば,執行機関である長が申立人として住民監査制度を,原告として住民訴訟制度をそれぞれ利用し,特定の者への訴え提起を義務づける判決を得ることを認めれば,執行機関である長が住民訴訟を利用して本来であれば必要な議会の議決(法96条1項12号)を経ずに訴えを提起することができることになり得る。これは,地方公共団体の訴えの提起に関する議会の承認の権限を制約する結果になりかねない。法は,長と議会との関係についてさまざまな規定を置いており,それを実質上変更するようなこともまた,法の予定しない事態であるといわねばならず,議会の承認の手続を省略する必要から長による訴え提起の利益を認めることはできない。 もっとも,本件においては,控訴人は,B市長に就任する前に住民監査を経て住民訴訟を提起した。このような経過に照らすと,控訴人が普通地方公共団体の住民個人として住民訴訟を遂行する権利あるいは利益をいったん取得したからこれが保- 3 -護されるべき る前に住民監査を経て住民訴訟を提起した。このような経過に照らすと,控訴人が普通地方公共団体の住民個人として住民訴訟を遂行する権利あるいは利益をいったん取得したからこれが保- 3 -護されるべきであるとも,考え得なくはない。 しかし,仮に上記のような権利又は利益を観念するとしても,原告たる者が現に執行機関の地位に就いた以上は,前記のとおり,住民訴訟の原告として予定されない状況が生じたことに変わりはない。住民訴訟を提起,遂行する権利は,当該普通地方公共団体全体の利益のために認められ,住民個人の利益を擁護するために認められるのではないから,当該住民が執行機関として当該普通地方公共団体の利益のために活動できる権限を有するに至った場合にまで住民訴訟を提起,遂行する権利を認める必然性があるとはいえないし,そのような権利を認めなかったとしても,個人の権利及び利益を違法に害することにはならないというべきである。 このようにみてくると,控訴人は,本案判決を求める利益を欠くといえるし,住民訴訟の出訴権者であるともいえない。 以上によれば,原判決は,相当である。 よって,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第7民事部裁判長裁判官竹中省吾裁判官竹中邦夫裁判官久留島群一

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