令和2(行ウ)91 損害賠償請求行使請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月27日 名古屋地方裁判所
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判決文本文39,459 文字)

令和5年3月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(行ウ)第91号損害賠償請求行使請求事件口頭弁論終結日令和5年2月15日判決主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用及び補助参加費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は、補助参加人及びAに対し、連帯して1167万1000円及びこれ に対する令和元年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は、Bに対し、1861万4393円及びこれに対する令和元年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 本件は、愛知県(以下、本文において「県」という。)の住民である原告らが、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(以下「本件芸術祭」という。)の「表現の不自由展・その後」と題する企画展(以下「本件展示」という。)において、国及び国民の尊厳を棄損し、著しく不快感を与える一部作品を展示したため、本件芸術祭の安全かつ円滑な運営に支障が生ずる事態となり、①県が 文化庁に対し交付申請していた文化資源活用事業費補助金(以下「本件補助金」という。)が、危機管理上の問題を理由として減額されたとして、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、県の執行機関である被告を相手に、不法行為に基づき、上記作品を展示することを決定した本件芸術祭の芸術監督であった補助参加人、及び、上記作品を展示することを認識していた、あいちトリ エンナーレ実行委員会(以下「実行委員会」という。)の事務局(以下、単に「事 務局」ともいう。)が置かれた県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室(以下「トリエンナーレ推進室 エンナーレ実行委員会(以下「実行委員会」という。)の事務局(以下、単に「事 務局」ともいう。)が置かれた県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室(以下「トリエンナーレ推進室」という。)の推進室長であったA(以下「推進室長」という。)に対し、連帯して、本件補助金の減額分に相当する1167万1000円及びこれに対する不法行為の日の後である令和元年6月1日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。) 所定の年5分の割合による遅延損害金の損害賠償請求をすることを求めるとともに、②県知事かつ実行委員会会長であるB(以下「B知事」という。)が、本件展示を中止したにもかかわらず、独断でこれを再開させたことにより、過剰な警備等の経費の支出を余儀なくされたとして、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、被告を相手に、不法行為に基づき、B知事に対し、過剰 な経費分に相当する1861万4393円及びこれに対する不法行為の日である令和元年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の損害賠償請求をすることを求める事案である。 1 関係法令等の定めは、別紙「関係法令等の定め」に記載したとおりである。 なお、同別紙中で定義した略語は、以下の本文においても用いるものとする。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠(枝番のあるものは各枝番を含む。以下同じ。)等により容易に認められる事実)⑴ 本件芸術祭の概要等アあいちトリエンナーレは、平成22年のあいちトリエンナーレ2010を初回として、3年ごとに開催されている国際芸術祭であり、本件芸術祭 は、その4回目のものであった。 イ県、名古屋市、名古屋商工会議所、一般社団法人中部経済連合会及び県文化振興事業団は を初回として、3年ごとに開催されている国際芸術祭であり、本件芸術祭 は、その4回目のものであった。 イ県、名古屋市、名古屋商工会議所、一般社団法人中部経済連合会及び県文化振興事業団は、あいちトリエンナーレ2010を開催するに際し、その運営主体として実行委員会を設立した。(乙3)ウ本件芸術祭は、令和元年8月1日から開催されたが、本件展示に対し、 多数の苦情が寄せられ、脅迫的ファックスが送信されたこと等を受け、同 月3日をもって本件展示を中断した。 県は、同月9日、「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」(後に「あいちトリエンナーレのあり方検討委員会」に改組。以下、これらを総称し「検証委員会」という。)を設置した。(乙35)エ本件展示の出展者である「表現の不自由展」実行委員会(以下「本件出 展者」という。)は、令和元年9月13日、名古屋地方裁判所に対し、実行委員会を相手方として、本件展示の再開を求める仮処分命令の申立てをした。 検証委員会は、同月25日、対策を講じた上で本件展示を再開する提言をした中間報告書(以下「本件中間報告書」という。)を公表し、実行委員 会及び本件出展者は、同月30日、本件展示の再開を進める方向での裁判上の和解をした。本件展示は、同年10月8日から再開され、本件芸術祭は、同月14日に閉幕した。(以上につき、甲17、乙3)⑵ 本件補助金についてア本件補助金は、文化庁の2019年度文化資源活用事業費補助金であり、 補助事業者を地方公共団体、補助対象事業を、地域住民や芸・産学官とともに取り組む、地域の文化芸術資源を活用した文化芸術事業であって、観光インバウンドの拡充に資するものとしている。(乙10)イ県は、平成31年3月8日、文化庁長官に対し、本件芸 民や芸・産学官とともに取り組む、地域の文化芸術資源を活用した文化芸術事業であって、観光インバウンドの拡充に資するものとしている。(乙10)イ県は、平成31年3月8日、文化庁長官に対し、本件芸術祭について本件補助金の交付を申請し、文化庁長官は、同年4月25日、その採択額を 7829万円として採択した。(乙13)ウ文化庁長官は、令和元年9月26日、県に対し、本件芸術祭について展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態への懸念が想定されたにもかかわらず、県が文化庁に申告しなかったとして、本件補助金の不交付を決定した(以下、これを「本件補助金不交付決定」という。)。 県は、同年10月24日、文化庁長官に対し、不服申出書を提出し、令 和2年3月19日、本件補助金を6661万9000円に減額して申請する旨の意見書を提出した。県は、同意見書において、通常を上回る態勢に要した経費及び再開に要した経費として合計1861万4393円が生じたとした(以下、これを「本件過剰負担経費」という。)。(甲2~5)エ文化庁長官は、令和2年3月23日、県に対し、本件補助金を6661 万9000円として交付することを決定したことを通知した。(甲4)オ実行委員会は、令和2年3月23日、県に対し、本件補助金が減額された1167万1000円について県の負担金を減額する旨の申請(以下「本件負担金減額申請」という。)をし、県は、同日、実行委員会に対し、当該負担金の変更交付決定(以下「本件負担金減額決定」という。)をした。 県は、同月31日、実行委員会に対し、本件負担金減額決定に基づき1167万1000円を戻入するよう通知し、実行委員会は、同年4月10日、県に対し、同額を戻入した(これを、以下「本件戻入」という。)。( は、同月31日、実行委員会に対し、本件負担金減額決定に基づき1167万1000円を戻入するよう通知し、実行委員会は、同年4月10日、県に対し、同額を戻入した(これを、以下「本件戻入」という。)。(以上につき、甲11、乙23、29)⑶ 原告らによる住民監査請求 ア県の住民である原告らは、令和2年7月17日、県監査委員に対し、地方自治法242条1項に基づき、本件訴えと同旨の損害賠償を請求する訴えを提起することを求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。 イ県監査委員は、本件監査請求につき、本件監査請求に係る事実により、 県に損害が生じ又は生ずるおそれはないから、不適法であるとして却下し、令和2年9月14日付けで、原告らに対して通知した。 ⑷ 本件訴えの提起原告らは、令和2年10月2日、本件訴えを提起した。 3 争点及びこれに関する当事者の主張 本件の争点は、①実行委員会と県の法人格の実質的同一性の有無、②県と実 行委員会との間の本件芸術祭に係る準委任契約の成否、③補助参加人及び推進室長の本件補助金の減額に係る共同不法行為の成否、④補助参加人及び推進室長の共同不法行為により県が被った損害の有無及び額、⑤B知事の本件過剰負担経費に係る不法行為の成否、⑥B知事の不法行為により県が被った損害の有無及び額であり、これに関する当事者の主張は、以下のとおりである。 ⑴ 実行委員会と県の法人格の実質的同一性の有無(争点1)(原告らの主張)県と実行委員会は、代表者の同一性、事務局の実質的同一性、実行委員会又はその運営会議の著しい形骸化、県の主体性・主導性、経費負担の実情等に照らせば、実質的に同一の法主体であり、実行委員会の損害は県の損害に 当たる。愛知県行政組織規則によれば、 性、実行委員会又はその運営会議の著しい形骸化、県の主体性・主導性、経費負担の実情等に照らせば、実質的に同一の法主体であり、実行委員会の損害は県の損害に 当たる。愛知県行政組織規則によれば、県民文化局の文化芸術課にトリエンナーレ推進室が置かれており、あいちトリエンナーレに関する事務を処理するものとしていることからしても、本件芸術祭が県主催の事業であることは明らかである。 (被告及び補助参加人の主張) 実行委員会は、県、名古屋市、名古屋商工会議所、中部経済連合会及び県文化振興事業団の構成により、平成20年6月28日に設立総会が開催され、同日、目的、事業、代表の方法、運営会議、経費等を定めた本件規約が施行された。実行委員会は、委員として当初10名、本件芸術祭の時点では24名の委員が選任され、設立から現在まで継続して活動し、3年ごとのあいち トリエンナーレの開催、その準備や広報等の活動をし、毎年度運営会議を開催し、本件規約の変更、事業計画や収支予算、事業報告や収支決算等を議決している。したがって、実行委員会は、権利能力なき社団として独立の法人格を有する。 県は、実行委員会について、経済的な貢献が一番大きく、事務局の事務の 多くを県職員が担っているものの、実行委員会の収入源は名古屋市からの負 担金、チケット・グッズ収入等があり、事務局には名古屋市職員も含まれているから、資金及び事務を県のみが担っているわけではない。また、実行委員会の最高議決機関である運営会議の議決権を有する委員24名(本件芸術祭開催当時)のうち県に関係する委員は5名にとどまり、県が議決を支配することもできない。 県と実行委員会との間の本件芸術祭に係る準委任契約の成否(争点2)(原告らの主張)県と実行委員会との関係は、最高 県に関係する委員は5名にとどまり、県が議決を支配することもできない。 県と実行委員会との間の本件芸術祭に係る準委任契約の成否(争点2)(原告らの主張)県と実行委員会との関係は、最高裁平成12年(行ヒ)第96号、同第97号同16年7月13日第三小法廷判決・民集58巻5号1368頁(以下「平成16年最判」という。)に照らして判断すれば、本件芸術祭の遂行に関 して実質的に準委任的な関係が認められ、実行委員会は、その負担した費用の全てを準委任者的地位にある県に負担させる権利を有する。したがって、実行委員会が本件過剰負担経費を支出したことは、県の損害に当たる。 (被告及び補助参加人の主張)平成16年最判は、名古屋市制100周年を記念する事業として1回限り で行われた博覧会であり、世界デザイン博協会の会長、副会長、監事、専務理事及び常務理事は、名古屋市幹部職員が就任していた事案であるのに対し、実行委員会は、文化芸術の発展等普遍的・永続的な目的を掲げ、上記⑴(被告及び補助参加人の主張)のとおり、これに賛同した構成員が参画して設立されたものであり、現在まで継続して活動し、会長以外の要職は県関係者以 外の者が務めるなど、事案を異にする。加えて、本件芸術祭の収支は黒字であったから、準委任的な関係として県が補塡すべき義務が生じることはない。 補助参加人及び推進室長の本件補助金の減額に係る共同不法行為の成否(争点3)(原告らの主張) ア補助参加人は、本件芸術祭の学芸業務の最高責任者として本件芸術祭に ついて監督義務を負うとともに、実行委員会と本件出展者との業務委託契約に基づき、本件展示への出品作品の選定に当たって本件出展者との間で協議する義務があり、また、実行委員会との間の準委任的な関係における いて監督義務を負うとともに、実行委員会と本件出展者との業務委託契約に基づき、本件展示への出品作品の選定に当たって本件出展者との間で協議する義務があり、また、実行委員会との間の準委任的な関係における受任者としての善管注意義務があり、本件芸術祭の趣旨・目的に照らし、来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態が想 定されるなど不適切な作品が出品されることを覚知した場合は、直ちに県及び実行委員会の運営会議に報告すべき義務があった。 しかし、補助参加人は、上記義務に反して、①C作の昭和天皇の肖像写真をバーナーで執拗に燃やし、その灰を靴で踏みつける場景を含む映像動画作品(以下「本件作品①」という。)の出品を実行委員会に秘匿して本件 展示にて展示させ、また、②Dら作のいわゆる従軍慰安婦像として造形され、日本国民を貶めるものと理解される可能性が高い作品(以下「本件作品②」という。)、及び③E作の「愚かな日本人の墓」という意味の言葉を含む名称を用いて戦争犠牲者等を冒涜する趣旨を含むものと理解される作品(以下「本件作品③」といい、本件作品①及び②と併せて、「本件作品 群」という。)等の日本の国や国民の尊厳を棄損し、鑑賞者に著しく不快感を与える作品群を展示させたものであり、これらの補助参加人の行為は不法行為法上違法である。 そして、補助参加人は、本件作品②の展示だけでも街宣車・テロ対策について相当準備しなければ危険であることを認識していたのであり、まし て、本件作品①及び③等を展示すれば、来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態を十分に想定することができたから、上記の違法行為について故意又は重過失がある。 これに対し、補助参加人は、本件展示に展示された本件作品群等が反社会的又は反倫理的 業の円滑な運営を脅かすような事態を十分に想定することができたから、上記の違法行為について故意又は重過失がある。 これに対し、補助参加人は、本件展示に展示された本件作品群等が反社会的又は反倫理的ではないと主張するが、本件作品群は反日ヘイト又は反 日プロパガンダと理解される政治的意図のある作品であり、その他の作品 も同一方向の政治的意図のある作品が大半であって、鑑賞者・公衆に不快感等を与えるハラスメントに該当するものであった。また、補助参加人は、アシスタント・キュレーターの関与について主張するが、補助参加人は芸術監督の地位を濫用してキュレーターによるキュレーションを尽く排除した。実行委員会と本件出展者の各構成員らとの間の契約書によれば、作 品の選定は、補助参加人、キュレーターチーム及び実行委員会が協議の上、適切な方法で行うべきものと定められているにもかかわらず、補助参加人がキュレーターチーム及び実行委員会との協議を経ずに本件作品①を展示したことは、契約違反である。さらに、補助参加人は、明らかに混乱をもたらすと予見できる本件作品①の出展を本件出展者及びCとだけで進 め、キュレーターチーム、事務局及び実行委員会会長に事前に一切相談をせず、令和元年7月16日現在の予定作品リスト(以下「令和元年7月作品リスト」という。)にも掲載しなかったのであり、悪意の不作為や善管注意義務の重大な違反がある。補助参加人が本件作品①を秘密裏に準備していたことは、平成31年4月8日のFとの対談映像における発言から明ら かであり、たとえ、本件作品①の出展が決まったのが令和元年5月27日であっても、上記作品リストに掲載されていないことに変わりはない。補助参加人は、本件作品①の出展が決まり次第、事務局及びキュレーターチームに報告し、作 件作品①の出展が決まったのが令和元年5月27日であっても、上記作品リストに掲載されていないことに変わりはない。補助参加人は、本件作品①の出展が決まり次第、事務局及びキュレーターチームに報告し、作品の選定・展示(展示方法を含む。)等を協議していれば、本件補助金の減額を避けることができた。加えて、補助参加人は、本件展 示に対する妨害行為や犯罪行為が予測できたとしても展示回避義務はないと主張するが、補助参加人が特定の政治思想を色濃く反映させた本件展示を運営させたことに問題があり、展示回避義務という側面からその義務違反の有無を判断すべきものではない。 以上のとおり、実行委員会と県の法人格の実質的同一性や本件芸術祭に 係る準委任契約の存在を措いて、補助参加人の本件芸術祭の監督業務に係 る業務委託契約が実行委員会との契約であるとしても、補助参加人は、県に本件補助金の減額という損害が生じる予見可能性があったから、県に対し不法行為責任を負う。 イ推進室長は、本件芸術祭の事務全般を県において統括するトリエンナーレ推進室の責任者であり、事務局次長として本件展示の企画・展示に関す る事務全般に携わっていた事務局の幹部である。Aは、実行委員会との準委任契約に基づく善管注意義務、及び県職員としての職務遂行義務に基づき、公共事業である本件芸術祭を円滑に遂行する上で妨げとなる事情や危機管理上重大な事態に至る可能性を覚知・予見したときは、直ちに実行委員会の会長であり、県の上司でもあるB知事、実行委員会の会長代行であ るG名古屋市長(以下「G市長」という。)、その他実行委員会の最高意思決定機関である運営会議の各構成員に報告するとともに、適切な対応・対策を提案・実施すべき注意義務があった。 しかし、推進室長は、本件出展者の構成員 「G市長」という。)、その他実行委員会の最高意思決定機関である運営会議の各構成員に報告するとともに、適切な対応・対策を提案・実施すべき注意義務があった。 しかし、推進室長は、本件出展者の構成員が、いずれも美術の専門家ではなく、いわゆる左翼系メディアのジャーナリストや社会活動家として著 名人であることを承知しており、令和元年5月8日、補助参加人、本件出展者及び事務局の会合において、Cが新作映像作品を制作中であり、これも出品したい旨の情報を得、同月22日、本件展示の警備体制等について管轄警察署に相談し、その結果を補助参加人と共有したものの、実行委員会の最高意思決定機関である運営会議の構成員である会長代行のG市長そ の他の構成員に情報提供しなかった。また、推進室長は、同年6月12日、本件作品②及び③を含む本件展示のリスト案をB知事に報告し、B知事から難色を示された後の同年7月12日、最終的にはB知事が展示を了承したことを覚知したものの、上記運営会議の他の構成員に情報提供しなかった。加えて、推進室長は、同月30日、本件展示において本件作品①が展 示されることを覚知し、危機管理上重大な事態に至る可能性を予見したに もかかわらず、B知事に報告することなくこれを放置し、補助参加人の不法行為に加担したものである。これらの推進室長の行為は不法行為法上違法である。 そして、推進室長は、危機管理上重大な事態に至れば本件補助金の支給に重大な支障が生ずることを十分予見し得たから、上記の違法行為につい て故意又は重過失がある。 (被告の主張)ア原告らが補助参加人の義務として主張するものは、実行委員会との関係のものであり、県に対する関係ではない。 また、どのようなイベントや企画でも、妨害の意図をもって確信的に行 (被告の主張)ア原告らが補助参加人の義務として主張するものは、実行委員会との関係のものであり、県に対する関係ではない。 また、どのようなイベントや企画でも、妨害の意図をもって確信的に行 う妨害的行為については、防止や回避に限界がある。そのような妨害的行為によりイベント等の開催・運営が阻害された場合、妨害的行為を行った者や煽った者に責任があることは明白であり、芸術監督である補助参加人の責任ではない。本件展示は、本件芸術祭の106の企画のうちの1企画であり、公立美術館等において過去に何らかの理由により展示ができなく なった作品を揃えるものであり、特定の主義主張に与するものではなく、来場者に「表現の自由」について考えてもらうことをコンセプトとし、本件芸術祭のテーマである「情の時代」に沿ったものと考えられた。 イ次に、県に対する補助参加人の不法行為は成立しないから、その幇助責任も成立せず、推進室長の責任はない。 推進室長は、実行委員会の事務局次長であり、事務局の長は事務局長(芸術文化センター長)であるから、事務局を統括していたものではない。推進室長は、本件出展者の構成員について職業的プロフィール及び客観的経歴の一部を承知していた程度であり、その思想について立ち入る立場にはなく、本件展示の企画のコンセプトは、平成31年3月27日の実行委員 会の運営会議において、会長代行である名古屋市長(副市長が代理出席) を含む全委員に配布され、事業計画は全会一致で承認された。この段階では、本件展示の具体的な作品までは決まっておらず、その後の対応は事務局が進めたが、これらは通例に照らして珍しくない。さらに、事務局は、令和元年5月22日、本件展示に関する警備体制等について警察に相談し、補助参加人と共有したが、通 決まっておらず、その後の対応は事務局が進めたが、これらは通例に照らして珍しくない。さらに、事務局は、令和元年5月22日、本件展示に関する警備体制等について警察に相談し、補助参加人と共有したが、通常の事務の一環として行われたものであり、 意図的に秘匿したものではない。推進室長は、同年6月12日、実行委員会会長であるB知事に対し、本件展示の作品リストを報告し、B知事はこれに懸念を示したが、いずれも安心・安全の確保の観点からであり、B知事が個別の作品の展示の可否を判断したものではない。また、推進室長は、同年7月30日、本件作品①を視聴したものの、これにより責任を負うも のではない。 (補助参加人の主張)ア被告の補助参加人に関する主張は全て援用する。 その他、本件展示の展示物には、危機管理上重大な問題を含む作品は含まれず、公共事業として著しく不適切で特定の政治思想・主張を含む反社 会的・反倫理的な作品群も展示されていない。本件作品①には、Cが作成したコラージュ作品である版画がバーナーで焼損される映像が含まれているが、現在、天皇の写真を特別扱いする規範はない上、その作品に含まれる昭和天皇と思しき部分を焼損して生成された灰に関する部分は靴で踏み付られていないし、愛知芸術文化センター条例や県美術館ギャラリー 利用者の手引きにおいて、本件作品①の展示を許さない旨の規定はない。 イ本件展示については、アシスタント・キュレーターが付いており、補助参加人が実行委員会に秘匿したことはなく、本件芸術祭において個別の展示を逐一実行委員会に報告することも求められていないから、契約違反は認められない。 補助参加人は、令和元年5月24日に本件作品①が収録されたDVDを Cから受領し、同月27日に本件展示への出品を 会に報告することも求められていないから、契約違反は認められない。 補助参加人は、令和元年5月24日に本件作品①が収録されたDVDを Cから受領し、同月27日に本件展示への出品を合意したが、本件補助金の申請をいつ行うのかは知らず、実際に本件補助金の申請を行ったのが同月30日であったとしても、これに当たって本件作品①の展示について報告することは期待できなかった。なお、補助参加人は、本件補助金の申請がされた同日の時点で、キュレーターチームに対し、本件展示をすること や、その基本コンセプト、Cの作品(映像作品でないもの)、本件作品②が出展候補作品となっていることを報告し、実行委員会の委員(県民文化局長)に対し、本件作品②の実物が出品予定であることを報告していた。他方、本件展示の出品リストを決定したのは、本件補助金申請より後の同年6月4日である。 原告らは、補助参加人とFとの対談映像が放映された同年4月8日の補助参加人の発言を根拠に、補助参加人が本件作品①を主催者に隠す意図があったと主張するが、補助参加人は、この時点で本件作品①が収録されたDVDを入手していないから、本件作品①を意図した発言をしていないことは明らかである。また、本件補助金不交付決定の理由は、会場の安全や 事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、文化庁に申告しなかったこととされているが、本件展示をしたことや本件作品群を展示したことは理由とされていない上、本件補助金の募集案内及び募集要項には上記事実を申告すべきことは記載されておらず、本件補助金の申請段階で誰のどの作品を展示するかを具体的に報告するこ とも予定されていないから、補助参加人が本件補助金の不支給や減額となるような行為をしたことはない。 ウ 載されておらず、本件補助金の申請段階で誰のどの作品を展示するかを具体的に報告するこ とも予定されていないから、補助参加人が本件補助金の不支給や減額となるような行為をしたことはない。 ウ現代美術の多くは強いメッセージ性を持っており、それに反発を覚える人から強い非難を浴びることは不可避であり、補助参加人は、本件展示をすることにより強い非難を浴びることを予測していたものの、気に入らな い作品が展示されているというだけでガソリンを捲いて放火する旨予告す るFAXを送り付ける者まで現れることを予測することはできない。仮に、本件展示に対する妨害行為や犯罪行為が予測できたとしても、補助参加人において、作品の展示を回避、中止する義務はない。 補助参加人及び推進室長の共同不法行為により県が被った損害の有無及び額(争点4) (原告らの主張)ア本件芸術祭においては、文化庁から本件補助金として7829万円の補助を受けることを予定していたが、補助参加人及び推進室長の共同不法行為により、来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態を惹起させ、本件補助金のうち1167万1000円の減額を余儀 なくされた。前記⑴及び⑵(原告らの主張)のとおり、実行委員会の損失は県の損失に当たるものであり、県は上記同額の損害を被った。 イ被告及び補助参加人は、本件補助金が減額されたとしても、本件戻入により同額が回収されたから、県に損害はないと主張する。しかし、本件戻入は、B知事が実行委員会運営会議の議決を経ず、独断で決定した本件負 担金減額申請に基づくものであり、これらは実質的に実行委員会から県への贈与契約及びその履行である。推進室長は、会長代行であるG市長の決裁を受けずに同人名義で本件負担金減額申請をして た本件負 担金減額申請に基づくものであり、これらは実質的に実行委員会から県への贈与契約及びその履行である。推進室長は、会長代行であるG市長の決裁を受けずに同人名義で本件負担金減額申請をしているが、そもそも本件運営規程は、実行委員会の運営会議の承認を経ていない無効なものである。 その上、本件運営規程によれば、本件負担金減額申請は会長が決裁すべき 事項には当たらず、事務局次長に認められる専決事項に実行委員会の財産の処分行為という法律行為は含まれておらず、かつ、会長は不在ではなく事務局次長が代決権を有する場合にも当たらないから、違法、無効である。 また、本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定は、実行委員会会長と県知事を兼ねるB知事が行ったものであるから、双方代理(民法108条 1項)に当たり、無効である。被告及び補助参加人は、双方代理について 追認したと主張するが、追認したといえるためには、その契約の事実及び性格を十分に認識して審査や議決をすることを要するものであり、単に収支決算を承認しただけでは追認したとはいえず、本件補助金の減額等が全国規模で報道され、委員がそれを認識し得たとしても、双方代理の事実を認識し、その是非を実質的に審査・議決したのでなければ追認したことに はならない。したがって、1167万1000円の本件戻入がされたとしても、県は実行委員会に対し同額の不当利得返還債務を負っている。 (被告及び補助参加人の主張)ア本件補助金は、7829万円を上限として採択された後、6661万9000円に確定し、1167万1000円が減額されたが、県は、令和2 年4月10日、本件戻入により、上記同額の戻入を受けたから、県に損害が生じ又は生じるおそれはない。したがって、本件監査請求を不適法であるとして 167万1000円が減額されたが、県は、令和2 年4月10日、本件戻入により、上記同額の戻入を受けたから、県に損害が生じ又は生じるおそれはない。したがって、本件監査請求を不適法であるとして却下した監査委員の判断は正当であり、適法な監査請求前置を欠くから、本件訴えは不適法である。加えて、実行委員会は、2019年度収支決算において黒字を計上しており、県に上記減額により何らかの負担 が発生することはない。 イまた、本件補助金は、7829万円を上限として採択額とされたが、これは補助金交付申請書の提出より前の段階であり、補助金交付が内定したにすぎず、補助金交付は決定していない。県は、本件補助金の補助事業者が地方公共団体とされ、実行委員会は補助事業者の資格を有しないため、 実行委員会に代わって本件補助金に応募し、交付を受けた本件補助金をそのまま実行委員会に拠出する仕組みとし、採択された7829万円を実行委員会に拠出する手続を進めたものである。本件補助金の額が最終的に確定し、交付されるのは、実績報告書の審査後であるから、本件芸術祭が終了してから一定の期間を要するが、実行委員会は、本件芸術祭の運営等の ための経費の支払をしなければならないため、県は、実行委員会に対し、 本件補助金の採択額を上限として負担金を拠出したのである。その後、本件補助金の額が減額されたことから、それに合わせて県の拠出額を精算したものであり、これは実行委員会との間においても当然の前提とされていた。したがって、本件戻入は、前払又は仮払の意味合いで拠出されていた7829万円に対し、本件補助金の決定額との差額1167万1000円 を事務的に返金処理したにすぎず、法律行為には当たらないから、双方代理に当たらない。 仮に、本件戻入が法律行為 されていた7829万円に対し、本件補助金の決定額との差額1167万1000円 を事務的に返金処理したにすぎず、法律行為には当たらないから、双方代理に当たらない。 仮に、本件戻入が法律行為に当たるとしても、県が実行委員会に対し本件補助金の採択額7829万円を拠出した行為は、本件補助金が確定し、当初の拠出額を下回る場合は差額を返還することを条件とする贈与又はこ れに準ずる行為であり、本件戻入は、その条件による精算という債務を実行委員会が履行したものにすぎないから、民法108条1項ただし書に当たる。そして、実行委員会においては、本件負担金減額申請につき、本件運営規程6条1項に基づき、「6 重要な(中略)申請等に関すること。」として事務局長が専決をしたのであり、手続に問題はない。また、本件規 約7条2項は、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、会長代行がその職務を代理する旨を定めているところ、会長が双方代理により職務を行い得ない場合、これにより会長代行が職務を代行することになる。実行委員会は、本件負担金減額申請が双方代理に該当するという認識を有していなかったが、本件負担金減額申請は会長代行名義で行っており、このよ うな取扱いは過去においても同様であるから、いずれにしても双方代理には当たらない。なお、G市長は、実行委員会の設立以来会長代行の職にあり、毎年開催されている運営会議にも出席(代理出席を含む。)していたから、本件負担金減額申請が会長代行名義で行われることに同意していた。 仮に、双方代理に当たるとしても、実行委員会は、本件戻入を含む20 19年度の収支決算を運営会議において承認しているから、双方代理につ いて追認がされている。本件補助金については、一旦全額不交付となりながら、令和2年3 員会は、本件戻入を含む20 19年度の収支決算を運営会議において承認しているから、双方代理につ いて追認がされている。本件補助金については、一旦全額不交付となりながら、令和2年3月19日に6661万9000円として交付決定に至ったという経緯があり、本件補助金不交付決定もその後の交付決定も全国規模で大きく報道されていたから、実行委員会の委員は、誰もがその時点で本件補助金が減額されたことを認識していた。また、事務局は、本件訴え の提起後、一部の県及び名古屋市関係を除いた19名の委員に対し、本件戻入の点も含めて説明を行ったが、委員からは反対意見等の特段の意見はなかったことからも、決算の承認により本件戻入の追認がされたことを確認できた。 県の追認についても、決算に合わせて負担金を変更(減額)し、変更し た負担金に合わせて戻入を行うことは過去のあいちトリエンナーレでも行われており、本件戻入も同様であって、本件戻入を受け入れ、その決算が承認されたことをもって、県は追認したものである。 B知事の本件過剰負担経費に係る不法行為の成否(争点5)(原告らの主張) B知事は、県知事と実行委員会会長を兼務していたところ、本件展示は県民を含む圧倒的多数の日本人に強烈な不快感・嫌悪感を催し、少なからぬ日本人の心を深く傷つける作品を含んでいたから、これらの作品を公共事業である本件芸術祭において公衆の観覧に供することは、反社会性・反倫理性を帯び、違法性がある。また、本件展示の再開は、実行委員会の本件規約13 条により、運営に関する重要な事項として、実行委員会の運営会議により議決されるべきであったにもかかわらず、B知事は、独断で本件展示の再開を決定したものである。これらのB知事の行為は不法行為法上違法である。 そし に関する重要な事項として、実行委員会の運営会議により議決されるべきであったにもかかわらず、B知事は、独断で本件展示の再開を決定したものである。これらのB知事の行為は不法行為法上違法である。 そして、B知事は、本件芸術祭について契約違反という認識を有しており、会長代行であるG市長から再三の抗議や運営会議の開催要求があったにも かかわらず、これを無視して本件展示を再開したのであるから、上記の違法 行為について故意又は重過失がある。 (被告の主張)原告らがB知事の不法行為として主張する事実は、いずれも実行委員会の運営に係る事項であり、県に対する加害行為とはならない。 また、本件展示の出展について、平成31年3月27日の実行委員会の運 営会議において、配布されたプレスリリース資料にその概要と共に掲載されており、その事業計画は全会一致で承認されていた。そして、実行委員会会長には、本件規約に基づき専決処分が認められていたほか、本件展示の再開に当たっては、B知事は、実行委員会の各委員に対し、文書で再開のために検討している日程や条件の説明をしているから、B知事が独断で本件展示を 再開したものではなく、それが違法であることはない。 B知事の不法行為により県が被った損害の有無及び額(争点6)(原告らの主張)B知事による本件展示の再開という違法行為により、本件過剰負担経費として1861万4393円が発生したから、これは相当因果関係のある損害 である。 (被告の主張)本件過剰負担経費とされる1861万4393円は、全て実行委員会が支出した費用であり、実行委員会の2019年度収支決算では黒字を計上し、決算は承認されているから、県が負担することはなく、県に損害が生じ又は 生じるおそれはない。したがって、 全て実行委員会が支出した費用であり、実行委員会の2019年度収支決算では黒字を計上し、決算は承認されているから、県が負担することはなく、県に損害が生じ又は 生じるおそれはない。したがって、本件監査請求を不適法であるとして却下した監査委員の判断は正当であり、適法な監査請求前置を欠くから、本件訴えは不適法である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前提事実に加えて、当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(枝番のあ るものは各枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ あいちトリエンナーレ及び実行委員会についてアあいちトリエンナーレは、平成22年のあいちトリエンナーレ2010を初回として、3年ごとに開催されている国際芸術祭である。県、名古屋市、名古屋商工会議所、中部経済連合会及び県文化振興事業団は、あいち トリエンナーレ2010を開催するに際し、運営主体として実行委員会を設立し、平成20年6月28日、設立総会が開催された。(乙3、16)イ実行委員会は、あいちトリエンナーレの開催のほか、次回開催に向けた準備や広報等を継続して行い、毎年度運営会議を開催しており、運営会議においては、本件規約の変更、事業計画や収支予算、事業報告や収支決算 等、本件規約に基づき議決すべき事項について議決している。その議決は、委員の多数決により決するものとされる(本件規約13条2項、6項)が、会長は、緊急を要するときは、これを専決処分することができるとされている(同16条1項)。 事務局は、県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室(トリ エンナーレ推進室)に置かれ、本件芸術祭の当時、愛知芸術文化センター長が事務局長、トリエンナーレ推進室長が事務局次長であり、トリエンナー 県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室(トリ エンナーレ推進室)に置かれ、本件芸術祭の当時、愛知芸術文化センター長が事務局長、トリエンナーレ推進室長が事務局次長であり、トリエンナーレ推進室の職員は、名古屋市の職員が1名いるほかは、県職員等であった。(以上につき、甲6、乙3、18)ウ本件芸術祭当時における実行委員会の委員は24名であり、本件規約別 表1の職にある者が15名、大学教授等が9名であった。このうち、県に関係する委員の職は、県知事、県県民文化局長、県立芸術大学学長、愛知芸術文化センター総長及び公益財団法人愛知県文化振興事業団理事長の5名であった。また、本件芸術祭当時、監事2名、顧問4名、参与22名、アドバイザー1名、幹事6名が置かれ、学識経験者、文化芸術関係者、報 道機関関係者等が選任されていた。このうち、県に関係する職にある者と して、県県民文化局文化部長が幹事(幹事長)、県美術館長が参与であった。 (甲6、乙3、38、証人A)エ本件芸術祭が開催された2019年度の実行委員会の予算は、事業収入1億9600万円、県負担金6億5222万2000円、名古屋市負担金1億7102万4000円、広告・協賛金等収入6900万円等の合計1 0億8824万7000円であった。県負担金は、本件補助金1億円、団体助成金1100万円等の合計1億2700万円を含んでいたが、採択が内定していたのは団体助成金のうち1000万円のみであった。実行委員会は、平成31年3月29日、県に対し、負担金6億5222万2000円から採択されていない補助金、助成金合計1億1700万円を控除した 5億3522万2000円の交付申請をし、県は、同年4月1日、同額の負担金交付決定をした。(甲14、25、29、乙25、26 円から採択されていない補助金、助成金合計1億1700万円を控除した 5億3522万2000円の交付申請をし、県は、同年4月1日、同額の負担金交付決定をした。(甲14、25、29、乙25、26、弁論の全趣旨)オ本件芸術祭は、106の企画があり、その一つに本件展示があった。本件芸術祭の開催目的は、「新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術 の発展に貢献する」、「現代芸術等の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図る」等であり、テーマは「情の時代」「TamingY/OurPassion」、会期は令和元年8月1日から同年10月14日、主な会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館等、主催は実行委員会であった。補助参加人は、平成29年7月18日、実行委員会により本件芸術祭の芸術監督に選任さ れ、同年8月1日に就任した。(以上につき、乙3、9、丙1)⑵ 本件展示についてア平成27年、東京都練馬区の民間ギャラリーにおいて、「表現の不自由展消されたものたち」(以下「前件展示」という。)が開催された。前件展示には、本件作品②及び③が含まれ、本件作品①の作家であるCの「遠近を 抱えて」(以下「前件作品①」という。)等も展示された。(乙35、丙63) イ補助参加人は、本件芸術祭の芸術監督に就任後、本件芸術祭においても「表現の不自由展」を展示したいと考え、平成30年5月10日、キュレーター会議において、「表現の不自由展」を含む43組を本件芸術祭に展示することを提案し、「表現の不自由展」については、前件展示を再現するのではなく、そのコンセプトや平成27年以降に検閲されたものも含めて構 成し直す構想であることを説明した。(甲18、丙63)ウ補助参加人は、平成30年8月、キュレーター 、前件展示を再現するのではなく、そのコンセプトや平成27年以降に検閲されたものも含めて構 成し直す構想であることを説明した。(甲18、丙63)ウ補助参加人は、平成30年8月、キュレーター会議において、再度、「表現の不自由展」を本件芸術祭に展示することを提案した。補助参加人は、本件芸術祭全体の在り方について、「情の時代」という一つのテーマにこだわった展覧会を作るという強い意図があったが、一部のキュレーターから は、キュレーターの個性を発揮した展覧会にすべきとの意見もあり、同年9月に辞任した者もいた。(甲18、丙63)エ県美術館長は、実行委員会からの利用許可の申請に対し、平成30年11月、愛知芸術文化センター条例5条に基づき、ギャラリー展示室の利用を許可する旨決定した。なお、県美術館ギャラリー展示室利用受付許可要 領は、利用を許可しない場合として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動が行われるおそれがあるもの等」を、県美術館ギャラリー利用者の手引きは、展示することができない作品として「鑑賞者に著しく不快感を与えるなど、公安、衛生法規に触れるおそれのある作品」等を、利用を許可しない場合として「特定の個人や集団に対する不当な差別的言動が行われ るおそれがあるもの」等を、それぞれ定めている。(甲18、甲37)オ県美術館の学芸員であり、実行委員会事務局員かつ本件芸術祭プロジェクト・マネージャー(学芸担当)(以下「学芸担当者」という。)は、平成31年1月上旬頃、前件展示のパンフレットを入手し、前件作品①及び本件作品②等が出展されていたことを確認した。補助参加人は、同月17日、 キュレーター会議において、学芸担当者から正式な実施の決まっていない 「表現の不自由展」の実施方法等について確認され、キ 等が出展されていたことを確認した。補助参加人は、同月17日、 キュレーター会議において、学芸担当者から正式な実施の決まっていない 「表現の不自由展」の実施方法等について確認され、キュレーターチームからはチーフ・キュレーターが作品選択に入る提案を受けたが、極力キュレーションに介入しないようにしたい旨の発言をする一方、キュレーションを実行委員会が行うことについて本件出展者が了解するか確認することとした。補助参加人は、同年3月4日、本件出展者のメンバーと打合せを したが、実行委員会がキュレーションを行うことについては拒絶された。 補助参加人は、同月15日、キュレーター会議において、本件芸術祭において本件展示をすることを決めた。(甲18、丙63)カ実行委員会は、平成31年3月27日、運営会議を開催し、各委員に対し、本件芸術祭のプレスリリースを交付し、同年度事業計画を全会一致で 承認した。補助参加人は、同日、愛知芸術文化センターにおいて企画発表会をし、本件芸術祭において本件展示を行うことを発表した。なお、当該プレスリリースには、個々の具体的な展示作品の記載はなかった。 (甲14、18、28、丙63)キ補助参加人は、平成31年4月4日、本件出展者から本件展示の出品候 補作品リスト(以下「平成31年4月作品リスト」という。)の送付を受け、同日、学芸担当者に情報を共有し、同月11日、キュレーターチームに情報を共有した。平成31年4月作品リストには、前件作品①、本件作品②及び③の記載はあるが、本件作品①の記載はなかった。キュレーターチームは、同日、キュレーター会議において前件作品①及び本件作品②の展示 等について議論し、チーフ・キュレーター及びアシスタント・キュレーターは、本件作品②について、安全上の観 。キュレーターチームは、同日、キュレーター会議において前件作品①及び本件作品②の展示 等について議論し、チーフ・キュレーター及びアシスタント・キュレーターは、本件作品②について、安全上の観点から、実物ではなくパネル展示の方法によるべきである旨の意見を述べたが、展示内容の選定権限及び責任主体は本件出展者であることが確認され、今後、本件展示の出展作品についてキュレーターチームは関与せず、実務を担うアシスタント・キュレ ーターのみが関与することになり、補助参加人が直接本件出展者とやり取 りをすることとなった。補助参加人は、同月18日、事務局に対し、本件作品②が本件展示に展示される予定であることを報告した。(甲18、甲35、丙63、証人A)ク補助参加人、本件出展者及び事務局は、令和元年5月8日、初めて共にミーティングを行い、事務局は、本件出展者に対し、本件展示における展 示が政治的に偏ったものになると街宣活動等の抗議が予想されるとの懸念を伝えるとともに、偏りのない展示をし、法令に違反する展示はしない旨の希望を伝え、前件展示を開催したときの警備状況を聴取した。また、本件出展者は、Cが新作の映像作品を作成しており、これを出品したい旨の意向を有していることを伝えた。(甲9、18、甲35、丙63) ケ事務局は、令和元年5月22日、本件展示の警備体制等について管轄警察署に相談し、その結果を補助参加人と共有した。事務局は、同月25日頃、警察からの助言に基づき、本件展示の展示会場に警備員を配置する具体的な検討を開始した。(甲18、乙38、証人A)コ補助参加人は、令和元年5月25日頃、Cから本件作品①のDVDを受 け取った。補助参加人は、同月27日、C及び本件出展者のメンバーと打合せをし、本件作品①を 。(甲18、乙38、証人A)コ補助参加人は、令和元年5月25日頃、Cから本件作品①のDVDを受 け取った。補助参加人は、同月27日、C及び本件出展者のメンバーと打合せをし、本件作品①を本件展示に展示することを決めたが、本件作品①を本件展示の作品リストに掲載せず、事務局、キュレーターチーム及び実行委員会会長であるB知事へ報告することはなかった。また、アシスタント・キュレーターは、同年6月12日、本件作品①のDVDを受領し、そ の内容を把握したが、事務局に対し、特に報告する必要があるとは考えなかった。(甲9、18、丙63)サ実行委員会会長であるB知事は、令和元年6月12日、事務局から本件展示の展示案の提示を受け、本件作品②及び③を含む展示作品を知ったが、本件作品①は展示案に記載がなかったため、その存在を認識しなかった。 B知事は、同月20日、補助参加人に対し、本件作品②の展示をすること、 実物を展示すること、写真撮影をすること等への懸念を表明し、展示方法の変更を求めた。これを受けて、補助参加人は、複数回、本件出展者と協議をしたが、同年7月12日、本件作品②の実物展示及び写真撮影が許されなければ本件展示自体を止めると言われ、同月17日、妥協案として各作家がSNSに写真を投稿することを禁止することとし、補助参加人、実 行委員会及び本件出展者は、同月19日、3者連名で会場に撮影した写真をSNSに投稿することを禁止する旨の掲示をすることを合意した。 (甲18、丙63)シ事務局は、本件出展者から抗議活動への対応方法について、専門家の紹介を受け、令和元年7月10日、音声案内装置を導入し、苦情電話と通常 の電話の振り分けをすることができる体制を整え、同月25日、電話機を25台体制とした。また、事 対応方法について、専門家の紹介を受け、令和元年7月10日、音声案内装置を導入し、苦情電話と通常 の電話の振り分けをすることができる体制を整え、同月25日、電話機を25台体制とした。また、事務局は、本件展示の展示予定作品一覧(同月16日現在)(令和元年7月作品リスト)を作成し、同月22日、名古屋市の観光文化交流局文化歴史まちづくり部文化振興室室長に対し、令和元年7月作品リスト及び本件展示開催後の電話対応への想定問答集を交付した。 さらに、補助参加人及び推進室長は、同月25日、街宣車対策について弁護士と相談した。(甲18、35、36、42、乙35)ス実行委員会及び本件出展者は、令和元年7月19日、本件芸術祭への本件展示の業務委託契約を締結した。(甲22)セ推進室長は、令和元年7月30日、本件作品①を視聴し、その内容を把 握したが、激しい抗議運動を受けるようなものであるとは認識せず、実行委員会会長であるB知事への報告をしなかった。(甲9、乙38、証人A)ソ本件芸術祭の開催前日である令和元年7月31日、新聞の朝刊に本件作品②が展示される旨が報道され、事務局への抗議電話が多数寄せられるようになった。(甲18、証人A) 本件芸術祭開幕後の経緯 ア本件芸術祭は、令和元年8月1日、開幕したが、展示室の外に抗議の人が集まり、SNS上は本件展示の作品の写真が投稿された。また、事務局、県庁、県の機関、協賛・協力企業等に対し、抗議・苦情の電話、FAX、メールがあり、事務局は他の業務ができない状態となった。県美術館は、同月2日朝、ガソリンによる放火を予告するFAXを受けたため、事務局 が警察へ通報し、補助参加人は、同日夕方、記者会見を行い、展示の変更を含めた対処を行う旨発表した。実行委員会会長で 美術館は、同月2日朝、ガソリンによる放火を予告するFAXを受けたため、事務局 が警察へ通報し、補助参加人は、同日夕方、記者会見を行い、展示の変更を含めた対処を行う旨発表した。実行委員会会長であるB知事は、同日夜、補助参加人と面談し、抗議電話や脅迫メールのみならず、ガソリン缶を携行してのテロ予告まであり、このままでは安心・安全を保てないことから、翌3日に記者会見を開いて本件展示を終了させることを提案した。B知事 及び補助参加人は、同月3日、抗議電話や来場者の混乱が続いたため、このままでは安全性が確保できず、本件芸術祭を円滑に運営することが困難と判断し、同日をもって本件展示を中止することを決めた。 事務局及び県庁は、同年8月1日から同月31日までの間に、合計1万0379件の抗議(電話3936件、メール6050件、FAX393件) を受け、個別の作品に対する批判は本件作品群に集中した。脅迫の主な内容は、①県美術館にガソリン携行缶を持っていく、②愛知芸術文化センターに放火する、③県内の小中学校、高校、幼稚園にガソリンを散布して着火する、④県庁等にサリンとガソリンを撒き散らすなどであり、上記①については、同月7日に被疑者が逮捕され、その後、威力業務妨害の罪で懲 役1年6月(執行猶予3年)の判決が言い渡された。 (以上につき、甲18、乙4、5、証人A)イ県は、令和元年8月9日、本件芸術祭について、県及び実行委員会等の関係団体における企画、準備、実行の体制、公金を使った芸術作品の展示、芸術活動への支援、開催時の危機管理体制、対外コミュニケーション等の 在り方を客観的・専門的見地から総合的に検証するとともに、今後の類似 イベントの充実・改善に向けた意見を聴取する等のため、6人の委員による「あいちトリエ 対外コミュニケーション等の 在り方を客観的・専門的見地から総合的に検証するとともに、今後の類似 イベントの充実・改善に向けた意見を聴取する等のため、6人の委員による「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」(検証委員会)を設置した。 (甲18)ウ本件芸術祭に参加するアーティスト2人が、令和元年8月6日、展示を中止し、展示室を閉鎖し、同月10日以降、本件芸術祭の参加アーティス トの一部が自身の展示室を閉鎖したり、展示内容を変更したりするようになった。また、アーティスト・芸術業界、メディア等から抗議や批判が寄せられ、国内外のキュレーターやアーティストから、海外のアーティストは展示の中止を検閲と同様に捉えること、本件展示が再開されないままであれば、今後の本件芸術祭はもちろん、他の国内の芸術祭や国公立美術館 での現代美術の活動に海外アーティストが参加しなくなる事態が生じ得ること等が指摘されるようになった。(甲18、乙35、証人A)エ本件出展者は、令和元年9月13日、名古屋地方裁判所に対し、実行委員会を相手方として、本件展示の再開を求める旨の仮処分命令の申立てをした。検証委員会は、同月25日の第3回会議において、脅迫や抗議電話 への十分な対策を講じ、展示方法や解説プログラムの改善・追加、写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底等の条件が整い次第、速やかに本件展示を再開すべきである旨の提言がされている中間報告書(本件中間報告書)を公表し、B知事は、本件中間報告書を受けて、本件展示の再開を目指したいと表明した。そこで、実行委員会及び本件出展者は、同月3 0日、本件中間報告書に対するB知事の方針を踏まえ、同年10月6日から同月8日までの間に本件展示の再開を進める方向で裁判上の和解をした。 (甲1 た。そこで、実行委員会及び本件出展者は、同月3 0日、本件中間報告書に対するB知事の方針を踏まえ、同年10月6日から同月8日までの間に本件展示の再開を進める方向で裁判上の和解をした。 (甲17、乙1、7)オ実行委員会会長であるB知事は、令和元年9月30日、運営会議を開催する時間的余裕はないと考え、これを開催することなく、本件展示を再開 する旨の判断をした。B知事は、同年10月4日付け文書により、実行委 員会の委員に対し、再開に向けた条件を付け、再開の時期を同月6日から8日を想定して、本件展示を再開するよう本件出展者に協議を呼び掛けたことを報告した。そして、B知事は、同月7日、翌8日から本件展示を再開すると発表し、同日から本件展示が再開され、本件芸術祭は、同月14日に閉幕した。(甲35、乙1、3、15、38、証人A) カ検証委員会は、令和元年12月18日付けで、本件展示に関する調査報告書(以下「本件調査報告書」という。)を公表した。本件調査報告書においては、本件中間報告書が公表され、その提言を受けて、県庁と本件出展者は再開を決定した旨が記載されている。(甲18)本件補助金について ア本件補助金は、文化庁の2019年度文化資源活用事業費補助金であり、補助事業者を地方公共団体、補助対象事業を、地域住民や芸・産学官とともに取り組む、地域の文化芸術資源を活用した文化芸術事業であって、観光インバウンドの拡充に資するものとする。本件補助金は、補助事業として採択する旨の通知の後、①補助金交付申請書の提出、②補助金交付申請 書の審査、補助金交付の決定、補助金交付決定通知、③(補助事業実施後、)実績報告書の提出、④実績報告書の審査・確認、補助金の額の確定通知、補助金の交付という流れにより交付され 補助金交付申請 書の審査、補助金交付の決定、補助金交付決定通知、③(補助事業実施後、)実績報告書の提出、④実績報告書の審査・確認、補助金の額の確定通知、補助金の交付という流れにより交付され、文化庁長官が、実績報告書の内容を審査し、当該補助事業の成果が補助金の交付の決定及びこれに付した条件に適合すると認めたとき、交付すべき補助金の額が確定される。(乙1 0~12)イ県は、平成31年3月8日、文化庁長官に対し、本件芸術祭について、執行団体名を実行委員会、国庫補助額を上限額である1億円と記載した実施計画書を提出して本件補助金の交付を申請した上、同年4月25日、国庫補助額を7829万円と記載した実施計画書を提出し、文化庁長官は、 同日、採択額を上記同額として採択した。(甲5、乙13、41、42) 実行委員会は、同日、県に対し、本件補助金採択額に応じた7829万円の変更交付申請をし、県は、同日、同額の負担金変更交付決定をした。 当該負担金変更交付決定においては、負担金の交付の条件として、事業の内容を変更し、又は中止し、若しくは廃止する場合には、速やかに被告の承認を受けなければならないこと、実績報告書を本年度の事業完了後、決 算書を添えて速やかに被告に報告しなければならないこと、残金が生じた場合には返還するものとすること、支払方法として、資金計画に基づき前金払とすることとされていた。(乙27、28)ウ文化庁長官は、令和元年9月26日、本件芸術祭について展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態への懸念が想定されたにもかか わらず、県が文化庁に申告しなかったとして、本件補助金不交付決定をした。県は、文化庁長官に対し、同年10月24日、不服申出書を提出し、令和2年3月19日、本件補助金不 念が想定されたにもかか わらず、県が文化庁に申告しなかったとして、本件補助金不交付決定をした。県は、文化庁長官に対し、同年10月24日、不服申出書を提出し、令和2年3月19日、本件補助金不交付決定に対する意見として、本件補助金を6661万9000円に減額して申請する旨の意見書を提出した。 県は、当該意見書において、通常を上回る態勢に要した経費及び再開に要 した経費として合計1861万4393円が生じ(本件過剰負担経費)、補助対象経費から本件過剰負担経費及び展示会場の安全や事業の円滑な運営に係る懸念に関連する経費を除いた部分に相当する補助金の交付を求める旨の考え方を示した。(甲2~5、乙38、証人A)エ文化庁長官は、令和2年3月23日、県に対し、本件補助金を6661 万9000円として交付することを決定したことを通知した。 実行委員会(会長代行G市長名義)は、同日、県に対し、本件補助金が当初採択額から減額された1167万1000円について県の負担金を減額する申請(本件負担金減額申請)をし、県(B知事名義)は、同日、実行委員会に対し、当該負担金の変更交付決定(本件負担金減額決定)をし た。なお、実行委員会においては、本件運営規程6条1項に基づき、事務 局長が本件負担金減額申請について専決をした。県は、当該変更交付決定に基づき、同月31日、実行委員会に対し、1167万1000円を戻入するよう通知し、実行委員会は、同年4月10日、県に対し、同額を戻入した(本件戻入)。(以上につき、甲4、11、60、乙23、29、38、証人A) 本件芸術祭の決算ア実行委員会の運営会議は、令和2年8月17日、2019年度収支決算を承認する議決をした。同決算において、事業収入(国際現代美術展収入、舞台芸術 9、38、証人A) 本件芸術祭の決算ア実行委員会の運営会議は、令和2年8月17日、2019年度収支決算を承認する議決をした。同決算において、事業収入(国際現代美術展収入、舞台芸術入場券収入等)2億7105万6541円、負担金収入(県負担金及び名古屋市負担金)6億8278万8211円等の事業活動収入の合 計は10億4780万0531円、事業活動支出の合計は10億3313万6131円であり、事業活動収支差額は1466万4400円の黒字であった。事務局員は、遅くとも令和3年9月までに、実行委員会の委員のうち19名(説明を受け入れないことが確実と考えられた名古屋市関係者3名は含まれていない。)に対し、本件訴えが提起されたという経緯を踏ま え、本件戻入について説明をしたが、反対意見等の特段の意見はなかった。 (甲51、52、乙22、32、35、38、39、証人A)イ県は、令和2年11月定例県議会において、令和元年度県歳入歳出決算を認定した。令和元年度歳出のうち、県民文化費129億6977万9906円中の文化学事振興費37億6619万3691円の中に、本件芸術 祭事業費の負担金6億0075万5757円が含まれており、この金額は平成31年度予算から1167万1000円の本件戻入等を減額した金額であった。(甲29、乙29、30、34、弁論の全趣旨) 2 争点1(実行委員会と県の法人格の実質的同一性)について原告らは、実行委員会に生じた損害が県に生じた損害であるといえること の根拠として、実行委員会と県が実質的に法人格の同一性が認められると主 張し、これに対し、被告及び補助参加人は、実行委員会は権利能力なき社団であると主張するから、まず、この点を検討する。 権利能力なき社団に該当するためには に法人格の同一性が認められると主 張し、これに対し、被告及び補助参加人は、実行委員会は権利能力なき社団であると主張するから、まず、この点を検討する。 権利能力なき社団に該当するためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な 点が確定していることを要するものと解される(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)。 前記認定事実及び本件規約(甲6)によれば、実行委員会は、委員、役員、芸術監督、顧問、芸術顧問、参与、アドバイザー、運営会議、有識者部 会、幹事会等の組織を備え、運営会議及び幹事会において多数決の原則が行われていることが認められ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、代表の方法、総会の運営、財団の管理その他団体としての主要な点が確定しているから、権利能力なき社団としての要件を備えているものと認められる。 そこで、実行委員会が権利能力なき社団であることを前提として、県と実行委員会に法人格の実質的な同一性が認められるかを検討する。 前記認定事実によれば、実行委員会の構成員は、県のみならず名古屋市、名古屋商工会議所、中部経済連合会及び県文化振興事業団等が含まれており、会長代行、副会長、幹事長代理、幹事は県の関係者以外の者が就任し、運営 会議の議決は委員の多数決により決するものとしている(前記認定事実ア、イ)。そして、委員のうち県関係者以外の委員が過半数を占めており(本件芸術祭当時、24名の委員のうち、県に直接関係する職にある者は県知事及び県県民文化局長の2名であり、県に関係する職にある者として イ)。そして、委員のうち県関係者以外の委員が過半数を占めており(本件芸術祭当時、24名の委員のうち、県に直接関係する職にある者は県知事及び県県民文化局長の2名であり、県に関係する職にある者として、県立芸術大学学長、愛知芸術文化センター総長及び公益財団法人愛知県文化振興事業団 理事長を加えて5名)、収入のうち県負担金の割合は高いものの、それ以外に も国際現代美術展収入等の事業収入、広告・協賛金等収入、名古屋市負担金等の収入も存在する(同ウ、エ)。また、実行委員会の事務局はトリエンナーレ推進室に置かれ、事務局職員の多くは県職員であるが、名古屋市職員も存在し、あいちトリエンナーレの目的が県のためのものに限られるとはいえず、本件芸術祭の会場も県の施設に限られないこと(同イ、オ)等からす れば、実行委員会と県に法人格の実質的な同一性があるといえないことは明らかである。 原告らは、会長代行であるG市長の意見が取り入れられていないと主張するが、前記認定事実⑴イのとおり、会長には、運営会議の議決事項について、緊急を要するときは、これを専決処分することができるとされており(本件 規約16条)、本件展示の再開等についても、同議決事項である「その他実行委員会の運営に関する重要な事項」(同13条2項3号)として専決権限に含まれるものと認められる上に、実行委員会会長であるB知事は、本件展示の再開に当たって実行委員会の委員に説明文書を送っているところ、名古屋市関係者以外の委員が実行委員会会長であるB知事の方針と異なる意見を有し ていたことをうかがわせる証拠はなく、会長代行であるG市長の意見が取り入れられていないとしても、そのことをもって、県と実行委員会の法人格の実質的同一性があるとはいえない。また、原告らは、権利能力な ていたことをうかがわせる証拠はなく、会長代行であるG市長の意見が取り入れられていないとしても、そのことをもって、県と実行委員会の法人格の実質的同一性があるとはいえない。また、原告らは、権利能力なき社団であっても、県の事業執行の一方法たる存在として、当該団体を実施機関である県と同視した判断をした裁判例(名古屋高等裁判所平成15年12月25日 判決(甲53))があると指摘するが、当該裁判例は情報公開条例に基づく文書公開請求における実施機関について判断した裁判例にとどまり、実行委員会の損害を県の損害と同視し得るかという意味での法人格の同一性が問題となる本件とは事案を異にする。したがって、これにより県と実行委員会に法人格の実質的同一性があるとはいえない。 以上によれば、県と実行委員会に法人格の実質的同一性があるとはいえな い。 3 争点2(県と実行委員会との間の本件芸術祭に係る準委任契約の成否)について次に、原告らは、実行委員会に生じた損害が県に生じた損害であるといえることの根拠として、県と実行委員会との間に準委任契約の関係があると主 張するから、この点を検討する。 前記認定事実のとおり、実行委員会は、平成20年6月に設立され、3年ごとのあいちトリエンナーレの開催に向けた活動を継続し、県負担金以外の収入もあるから、本件芸術祭に当たって実行委員会に生じた損害を直ちに県が負担するような関係にあると認めることはできない。また、原告らが準 委任契約の関係にあると主張する根拠である平成16年最判の事案は、名古屋市制100周年を記念する1回限りで行われた博覧会について、当該博覧会の準備及び開催運営を行うことを目的とし、存続期間を定めて団体が設立されたところ、当該博覧会の開催運営経費を賄い切れないこと 古屋市制100周年を記念する1回限りで行われた博覧会について、当該博覧会の準備及び開催運営を行うことを目的とし、存続期間を定めて団体が設立されたところ、当該博覧会の開催運営経費を賄い切れないことが判明したため、収支が赤字となることを回避することを目的として名古屋市が当該博覧 会の施設等を総額約10億円で売買したことにつき、当該売買契約を締結した名古屋市長に対する損害賠償請求が問題となった住民訴訟の事案において、当該団体の収支に関して市の準委任関係の余地を認めて同市長の損害賠償責任を否定したものである。これに対し、本件芸術祭に係る実行委員会の損失については、実行委員会が、上記のとおり、権利能力なき社団としての実体 を備え、継続的に活動することが予定されており、県以外に負担金の負担者が存在していること等からすれば、県が、あいちトリエンナーレに多くの負担金を拠出し、その運営や意思決定において大きな役割を担っていることを勘案しても、実行委員会に生じた損失に関し、県との準委任契約の成立が認められるものでないことは明らかである。したがって、平成16年最判の事 案は、本件芸術祭に係る県と実行委員会の関係とは事案を異にし、これと同 様に解釈すべきものとはいえない。 ⑵ 以上によれば、県と実行委員会との間の本件芸術祭に係る準委任契約が成立しているとは認められない。 4 争点4(補助参加人及び推進室長の共同不法行為により県が被った損害の有無及び額)について 原告らは、補助参加人及び推進室長の本件補助金の減額に係る共同不法行為があり、これにより県に同額の損害が生じたと主張し、これに対し、被告及び補助参加人は、補助参加人及び推進室長の共同不法行為によって損害が生じるとしても、これは実行委員会に生じるにとどまり、県に 行為があり、これにより県に同額の損害が生じたと主張し、これに対し、被告及び補助参加人は、補助参加人及び推進室長の共同不法行為によって損害が生じるとしても、これは実行委員会に生じるにとどまり、県に損害が生じ又は損害が生じるおそれはなく、県に損害が生じたとする住民監査請求は不適 法であり、本件訴えは監査請求前置を欠き不適法であると主張するから、まず、争点4について検討する。 地方自治法242の2第1項4号に基づく住民訴訟において住民が代位行使する損害賠償請求権は、損害の有無、その額を含め、民法その他の私法上の損害賠償請求権と異なるところはないというべきである(最高裁平成5年 (行ツ)第15号同6年12月20日第三小法廷判決・民集48巻8号1676頁参照)。 前記認定事実によれば、本件補助金は、文化庁の2019年度文化資源活用事業費補助金であり、補助事業者を地方公共団体とし、本件補助金の対象となる事業の実施主体は地方公共団体でなければならないものとされている。 また、上記事業費補助金は、予算の範囲内で補助するものであり、補助事業として採択する旨の通知がされた後は、補助金交付申請書の提出をし、補助金交付申請書の審査を経て、補助金交付の決定、その旨の通知がされ、補助事業を実施した後に実績報告書の提出をし、実績報告書の審査・確認を経て、補助金の額の確定通知がされ、補助金の交付という流れにより交付されるこ ととなっており、交付すべき補助金の額が確定するのは、文化庁長官が、実 績報告書の内容を審査し、当該補助事業の成果が補助金交付の決定及びこれに付した条件に適合すると認めたときであるとされている。 本件において、県は、平成31年3月、文化庁長官に対し、執行団体名を実行委員会、国庫補助額を原則的な上限額であ 成果が補助金交付の決定及びこれに付した条件に適合すると認めたときであるとされている。 本件において、県は、平成31年3月、文化庁長官に対し、執行団体名を実行委員会、国庫補助額を原則的な上限額である1億円として本件補助金の交付を申請した上、同年4月25日、国庫補助額を7829万円へと変更し、 文化庁長官は、同日、採択額を同額として採択し、これを受けて、実行委員会が、同日、県に対し負担金変更交付申請をし、県は、同日、同額の負担金変更交付決定をしたが、令和元年9月26日、文化庁長官から、本件芸術祭について展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような事態への懸念が想定されたにもかかわらず、県が文化庁に申告しなかったとして、本件補助 金不交付の決定がされたため、県は、同年10月24日、文化庁長官に対し、不服申出書を提出した上、令和2年3月19日、本件補助金不交付決定に対する意見として、本件補助金を6661万9000円に減額して申請する旨の意見書を提出し、これに対し、文化庁長官が、同月23日、県に対し、本件補助金を6661万9000円として交付することを決定し、その旨を通 知したものである。そして、これを受けて、実行委員会(会長代行G市長名義)は、同日、県に対し、当初採択額から減額された1167万1000円について、県の負担金を減額する旨の負担金変更交付申請(本件負担金減額申請)をし、県(B知事名義)が、同日、実行委員会に対し、本件負担金減額決定をするとともに、同月31日、1167万1000円を戻入するよう 通知し、実行委員会は、同年4月10日、県に対し、本件戻入をしたものである。 この点につき、原告らは、本件戻入は、実行委員会から県に対する贈与契約であり、同契約は、被告と実行委員会会長を兼務するB知事が双方を代表 は、同年4月10日、県に対し、本件戻入をしたものである。 この点につき、原告らは、本件戻入は、実行委員会から県に対する贈与契約であり、同契約は、被告と実行委員会会長を兼務するB知事が双方を代表して行われたものであり、無効であると主張するが、上記のとおり、本件補 助金は、地方自治体が補助事業者とされていたことから、県を経由して手続 が行われたものの、県が文化庁長官に対して提出した実施計画書においては、執行団体者は実行委員会と記載されており、本件補助金はその全額が実行委員会において執行されることが予定されていたものといえる。現実にも、2019年度の実行委員会の予算において県負担金の一部(以下「本件負担金」という。)として本件補助金1億円とされていたものが、本件補助金として7 829万円が採択されると、実行委員会及び県は、同日、本件負担金を7829万円へと変更しているのであり、このような取扱いは過去のあいちトリエンナーレも同様であったものと認められる(証人A)。そして、県は、本件補助金の額の確定及び交付を待たずして、本件負担金の交付決定をし、実行委員会に対し本件負担金を支払ったところ、これは、実行委員会において、 本件補助金の額の確定及び交付の前に、本件芸術祭の各種準備や実施のために資金を使用する必要があったことによるものであって、その関係上、本件負担金について本件補助金が減額されたため、実行委員会との間で減額分に相当する額について本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定がされたものであり、県と実行委員会との間においては、本件補助金相当額の本件負担 金について、本件補助金の交付決定額と同額となるよう変更されることが当初から予定されていたものとみるのが合理的である。 このような本件負担金減額申請及び本件 ては、本件補助金相当額の本件負担 金について、本件補助金の交付決定額と同額となるよう変更されることが当初から予定されていたものとみるのが合理的である。 このような本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定は、その旨の申請に基づき補助金の交付金額の減額を決定するものであるから、法律行為に当たるというべきであって、その性質は契約であり、普通地方公共団体の長が 当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結にも、民法108条が類推適用される(平成16年最判参照)が、実行委員会においては、このような場合には会長代行G市長名義を用いることとしているから、直ちに108条1項本文の双方代理に当たるものとはいい難い。加えて、この点を措いて双方代理に当たるとしても、上記のとおり、本件負担金の額は本件補助金の交 付決定額と同額となるよう変更されることが当初から予定されていたもので あるから、県と実行委員会との間においては、本件補助金の額に応じて本件負担金の額を変更することを停止条件として贈与契約に当たる当初の補助金交付決定を行い、その後に、本件補助金の額が変更されることによって、当該条件が成就したことによる本件負担金の額の変更に係る債務の履行を行うことが当然に予定されていたものであり、現に、本件補助金について減額決 定がされたことによって、条件が成就したことから、本件負担金の減額申請及びその旨の決定という法形式により、本件負担金の額の変更に係る返還債務の履行を行うこととされ、その申込み及び承諾に相当する本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定がされたものということができる。 そうすると、本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定並びにこれらに 基づく本件戻入は、全体として、本件補助金の減額分に相当する本件負担金の変更 担金減額決定がされたものということができる。 そうすると、本件負担金減額申請及び本件負担金減額決定並びにこれらに 基づく本件戻入は、全体として、本件補助金の減額分に相当する本件負担金の変更に係る返還債務の履行として行われたものといえるから、同項ただし書により、無権代理の問題は生じることはなく、有効というべきである。 なお、原告らは、本件負担金減額申請について会長代行G市長の同意がなく、当該申請及びこれを前提とする本件負担金減額決定は無効であると主張 するが、G市長が個別的に明示の意思表示をしていなくとも、実行委員会が平成20年に設立されて以来、本件規約において、名古屋市長が会長代行とされ(6条3項)、会長代行は、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理するものとされており(7条2項)、これは、双方代理により、会長の法律行為が無権代理となる場合を含むと解されるから、本件負担金減 額申請に当たっては、会長代行であるG市長が被告を代理することとなり、この場合、本件運営規程6条1項、別表3の「重要な(中略)申請等に関すること。」に基づき、事務局長が専決するものと定められているから、本件負担金減額申請について事務局長が専決したことについて、手続的な瑕疵があったものとはいえない。また、原告らは、本件運営規程は実行委員会の運営 会議の承認を経ていない無効なものであると主張するが、本件運営規程は、 事務局に関し必要な事項は会長が別に定める旨の本件規約17条4項に基づき会長が定めたものと認められる(甲6、乙40)から、別途、運営会議の承認を要するものとは認められない。 したがって、本件戻入は有効であり、県に損害の発生は認められないから、争点3について判断するまでもなく、県が補助参加人及び推進室長 40)から、別途、運営会議の承認を要するものとは認められない。 したがって、本件戻入は有効であり、県に損害の発生は認められないから、争点3について判断するまでもなく、県が補助参加人及び推進室長に対し不 法行為に基づく損害賠償請求権を有しているとは認められない。この場合、県監査委員においては、監査請求を却下するのではなくこれを棄却すべきであるから、適法な監査請求はあったものと認められ、本件訴えは適法である。 5 争点6(B知事の不法行為により県が被った損害の有無及びその額)について 原告らは、B知事の本件過剰負担経費に係る不法行為があり、これにより県に同額の損害が生じたと主張し、これに対し、被告は、B知事の不法行為によって損害が生じるとしても、これは実行委員会に生じるにとどまり、県に損害が生じ又は損害が生じるおそれはなく、県に損害が生じたとする住民監査請求は不適法であり、監査請求前置を欠く本件訴えは不適法であると主 張するから、まず、争点6について検討する。 原告らは、本件過剰負担経費合計1861万4393円が県の損害であると主張するが、本件過剰負担経費を負担したのは実行委員会であるものと認められ(甲3、乙22)、県の損害ではない上、仮に実行委員会の債務が超過した場合には、県が負担金を拠出することにより当該債務の一部を負担する 可能性があるとしても、前記認定事実アのとおり、実行委員会の2019年度収支は、事業活動収支差額が1466万4400円の黒字となって決算が承認されているものであるから、本件過剰負担経費に係る費用を県が負担するおそれがあるとはいえない。 したがって、県の損害は認められないから、争点5について判断するまで もなく、被告がB知事に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有してい に係る費用を県が負担するおそれがあるとはいえない。したがって、県の損害は認められないから、争点5について判断するまでもなく、被告がB知事に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているとは認められない。この場合、県監査委員においては、監査請求を却下するのではなくこれを棄却すべきであるから、適法な監査請求はあったものと認められ、本件訴えは適法である。以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がない。 第4 結論 よって、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官 日置朋弘 裁判官 佐久間隆 裁判官 柏戸夏子 (別紙)関係法令等の定め 第1 愛知県行政組織規則(昭和39年愛知県規則第21号)6条(県民文化局に属する課)1項 県民文化局に次の課を置く。(中略)文化芸術課 2~12項略 13項 文化芸術課においては、次の事務をつかさどる。ア 1号略 イ 2号 あいちトリエンナーレに関すること。ウ 3、4号略 14項 文化芸術課にトリエンナーレ推進室を置く。15項 トリエンナーレ推進室においては、あいちトリエンナーレに関する事務を処理する。 16項略 第2 あいちトリエンナーレ実行委員会規約(以下「本件規約」という。) 1 3条(目的)実行委員会は、あいちトリエンナーレの準備及び開催運営等を行うことにより、次に掲げる事項を達成することを目的とする。 会規約(以下「本件規約」という。) 1 3条(目的)実行委員会は、あいちトリエンナーレの準備及び開催運営等を行うことによ り、次に掲げる事項を達成することを目的とする。 新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献すること。 現代芸術等の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図ること。 文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図ること。 2 4条(事業)実行委員会は、前条の目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。 あいちトリエンナーレの準備及び開催運営その他実行委員会の目的を達成するために必要な事業 3 5条(委員)1項実行委員会の委員は、次のとおりとする。 ア 1号別表1に掲げる職にある者イ 2号若干名の学識経験者2項 前項2号に規定する委員は、12条1項1号に規定する運営会議の同意を得て会長が委嘱する。 4 6条(役員)1項実行委員会に、次の役員を置く。 ア会長1名イ会長代行 1名ウ副会長2名エ監事2名2項 会長は、愛知県知事をもって充てる。 3項会長代行は、名古屋市長をもって充てる。 4項副会長は、名古屋商工会議所会頭及び一般社団法人中部経済連合会長をもって充てる。 5項監事は、運営会議の同意を得て会長が委嘱する。 5 7条(職務)1項会長は、実行委員会を代表し、会務を統括する。 2項会長代行は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。 3項副会長は、会長代行とともに会長を補佐する。 4項監事は、実行委員会の業務及び会計を 長代行は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。 3項副会長は、会長代行とともに会長を補佐する。 4項監事は、実行委員会の業務及び会計を監査する。 9条(芸術監督) 1項実行委員会に、あいちトリエンナーレの学芸業務の最高責任者として芸術監督を置く。 2項芸術監督は、運営会議において選任し、会長が委嘱する。 10条(顧問、芸術顧問及び参与) 1項実行委員会に、顧問、芸術顧問及び参与を置くことができる。 2~5項略 11条(アドバイザー) 1項実行委員会に、あいちトリエンナーレの展開に関し専門的な観点から助言を得るため、アドバイザーを置くことができる。 2項略 12条(会議) 1項実行委員会に、次の会議を置く。 ア運営会議 イ有識者部会 ウ幹事会 2項前項に定めるもののほか、実行委員会に会長が必要と認める会議を置くことができる。 13条(運営会議) 1項運営会議は、会長、副会長その他の委員をもって構成する。 2項運営会議は、次の事項を議決する。 ア 1号事業計画及び収支予算 イ 2号事業報告及び収支決算 ウ 3号その他実行委員会の運営に関する重要な事項 3項運営会議は、会長が招集する。 4項略 5項運営会議は、構成員の3分の2以上の出席をもって成立する。 6項運営会議の議事は、出席者の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 7~9項略 14条(有識者部会) 1項あいちトリエンナーレの芸術部門の企画に関 営会議の議事は、出席者の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 7~9項略 11 14条(有識者部会) 1項あいちトリエンナーレの芸術部門の企画に関し、専門的な観点から芸術監督に助言を行うため、運営会議に有識者部会を置く。 2項有識者部会は、5条1項1号に規定する委員のうちから会長が指名する者 及び同項2号に規定する委員をもって構成する。 3~5項略6項芸術監督は、有識者部会の経過及び結果を会長に報告する。 7項略 12 15条(幹事会)1項実行委員会の円滑な運営を図るため、運営会議の下に幹事会を置く。 2項幹事会は、幹事長、幹事長代理及び幹事をもって構成し、それぞれ、別表 2に掲げる職にある者をもって充てる。 3項13条3項から9項までの規定は、幹事会について準用する。この場合において、それらの規定中「運営会議」とあるのは「幹事会」と、「会長」とあるのは「幹事長」と読み替えるものとする。 13 16条(会長の専決処分) 1項会長は、運営会議の議決事項について、緊急を要するときは、これを専決処分することができる。 2項会長は、前項の規定により専決処分をしたときは、これを次の運営会議に おいて報告しなければならない。 14 17条(事務局)1項実行委員会の事務を処理するため、事務局を置く。 2項 事務局は、愛知県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室(トリエンナーレ推進室)に置く。 3項略4項事務局に関し必要な事項は、会長が別に定める。 15 18条(経費)実行委員会の活動に必要な経費は、負担金その他の収入をもって (トリエンナーレ推進室)に置く。 3項略4項事務局に関し必要な事項は、会長が別に定める。 15 18条(経費)実行委員会の活動に必要な経費は、負担金その他の収入をもって充てる。 16 19条(会計年度)実行委員会の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。 17 別表1(5条関係) 区分職名委員愛知県知事名古屋市長名古屋商工会議所会頭一般社団法人中部経済連合会会長名古屋商工会議所専務理事一般社団法人中部経済連合会専務理事中日新聞社代表取締役社長日本放送協会名古屋放送局長独立行政法人国際交流基金理事愛知県立芸術大学学長愛知芸術文化センター総長愛知県県民文化局長名古屋市観光文化交流局長公益財団法人愛知県文化振興事業団理事長公益財団法人名古屋市文化振興事業団理事長 18 別表2(15条関係)区分職名幹事長愛知県県民文化局文化部長幹事長代理名古屋市観光文化交流局文化歴史まちづくり部長幹事名古屋商工会議所総務管理部長一般社団法人中部経済連合会企画部長愛知芸術文化センター管理部長公益財団法人愛知県文化振興事業団常務理事 第3 あいちトリエンナーレ実行委員会事務局運営規程(以下「本件運営規程」という。) 1 1条(目的)この規程は、あいちトリエンナーレ実行委員会規約17条の規定に基づき、事務局の運営に関し、必要な事項を定め、適正な事務処理の実施を図ることを 目的とする。 2 2条(所掌事務)所掌事務は、次のとおりとする。 ~略 予算、決算その他財務に関すること。 ~略 その他実行委員会の運営に関すること。 2 2条(所掌事務) 所掌事務は、次のとおりとする。 予算、決算その他財務に関すること。 その他実行委員会の運営に関すること。 3 5条(会長専決事項) 会長は、別表2に掲げる事項を決裁するものとする。 4 6条(専決) 1項 事務局長、事務局次長、事務局主幹及びグループ長は、別表3に掲げる事項について専決することができる。 2項 前項の規定にかかわらず、重要若しくは異例と認められる事項、新規の事項又は疑義のある事項については、上司の決裁を受けなければならない。 5 7条(代決) 1項 会長が不在であるときは事務局長が、会長の決裁すべき事項を代決することができる。 2項 事務局長が不在であるときは事務局次長が、事務局長の決裁すべき事項を代決することができる。 3項 略 6 別表2(5条関係) 会長決裁事項 1 実行委員会運営に関する基本方針に関すること。 2 規約の制定及び改廃に関すること。 3 規約に規定する役員等の委嘱に関すること。 4 運営会議の招集に関すること。 5 緊急を要する運営会議の議決事項に関すること。 6 その他特に重要な事務に関すること。 7 別表3(6条関係) 区分専決事項事務局長 1 事業の計画及び実施方針に関すること。 2~5 略 6 重要な照会、依頼、回答、通知、報告、諮問、進達、副申、申請等に関すること。 7、8 略 9 予算科目の流用に関すること。 10 予備費の使用に関すること。 11 3000万円以上の支出に関すること。 12~15 略 16 その他重要な事務に関すること。 事務局次長 1 簡易な照会、依頼、回答、通知、報告、諮問、進達、副申、申請等に関すること。 予備費の使用に関すること。 11 3000万円以上の支出に関すること。 12~15 略 16 その他重要な事務に関すること。 事務局次長 1 簡易な照会、依頼、回答、通知、報告、諮問、進達、副申、申請等に関すること。 2 略 3 3000万円未満の支出に関すること。 4~8 略 9 その他重要な事務以外の事務に関すること。 以下略以下略 第4 愛知芸術センター条例(平成3年愛知県条例第2号) 1 5条1項次に掲げる者は、センターの利用について、各施設の長の許可を受けなけ ればならない。 ア 1号愛知県美術館の展示室を利用して、展覧会を行おうとする者イ 2号愛知県芸術劇場のホール又はリハーサル室を利用して、舞台芸術の公演、 国際会議等を行おうとする者 2 9条(利用者の義務)センターの利用者は、センターの利用に際しては、この条例及びこれに基づく規則の規定並びに5条2項の規定により許可に付けられた条件及び関係職員の指示に従うとともに、センターの秩序を乱すような行為をしてはならない。 3 10条(許可の取消し及び利用の中止命令)1項各施設の長は、センターの利用者が前条の規定に違反したときは、5条1項の許可を取り消し、又は利用の中止を命ずることができる。 2項知事は、公共の福祉のためやむを得ない理由があるときは、5条1項の許可を取り消し、又は利用の中止を命ずることができる。 4 12条(規則への委任)この条例に定めるもののほか、センターの利用条件その他センターの管理に 関し必要な事項は、規則で定める。 第5 愛知芸術文化センター管理規則 1 6条条例5条1項の許可を受けようとする者は、利用許可申請書を美術館等の長 に その他センターの管理に 関し必要な事項は、規則で定める。 第5 愛知芸術文化センター管理規則 1 6条条例5条1項の許可を受けようとする者は、利用許可申請書を美術館等の長 に提出しなければならない。 2 39条この規則に定めるもののほか、センターの管理に関し必要な事項は、センター長が定める。ただし、次に掲げる利用等に関し必要な事項は、センターの各施設の長が定める。 1号美術館の展示室の利用(後略) 第6 愛知県美術館ギャラリー展示室利用受付許可要領 1 1条(趣旨) この要領は、愛知芸術文化センター管理規則39条の規定に基づき、愛知県美術館ギャラリーの展示室(以下「展示室」という。)及び附属審査保管室(以下「審査保管室」という。)の利用許可等に関し必要な事項を定める。 2 8条(利用許可をしない場合)次の各号に掲げる場合には、利用許可を行わない。 1~3号略 4号本邦外出身者に対する不当な差別的言動が行われるおそれがあるもの。 3 9条(許可の取消し及び利用中止命令)1項館長は、展示室及び審査保管室の利用者が愛知芸術文化センター条例9条 の規定に違反したときは、条例5条1項に規程する許可を取消し、又は利用の中止を命じることができる。 2項館長は、公共の福祉のためやむを得ない理由があるときは、条例5条1項に規定する許可を取消し、又は利用の中止を命じることができる。 第7 愛知県美術館ギャラリー利用者の手引き(前略) 2 利用の御案内利用できる催物の範囲 県民の芸術文化の向上に資すると認められる展覧会で、次に該当するものとします。 ア主要美術団体による全国的又は全県的な規模による創作美術 ) 2 利用の御案内利用できる催物の範囲 県民の芸術文化の向上に資すると認められる展覧会で、次に該当するものとします。 ア主要美術団体による全国的又は全県的な規模による創作美術品の一般公募展イ国、地方公共団体及び公共性を有する機関等による国際的又は国内的に 定評のある美術作品の展覧会ウその他芸術振興、国際親善等のため適当と認められる美術展(中略)展示作品の制限次に掲げるような作品は、展示室に展示することができません。 (中略) コ鑑賞者に著しく不快感を与えるなど、公安、衛生法規に触れるおそれのある作品サその他美術館長が不適当と判断する作品 3 利用申込みの手続次のような場合には、利用を許可しません。 (中略)エ特定の個人や集団に対する不当な差別的言動が行われるおそれがあるもの。 以上

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