令和7(わ)128 加重収賄被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年10月28日 佐賀地方裁判所
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判決文本文1,930 文字)

令和7年10月28日宣告裁判所書記官令和7年(わ)第128号加重収賄被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 被告人から10万円を追徴する。 理由 【犯罪事実】被告人は、A町企画政策課長として、同町のふるさと応援寄附金一括管理業務の委託事業者選定に関する事務を統括するなどの職務に従事していたもの、分離前の相被告人Bは、同寄附金事業に関するコンサルティング業務等を営む株式会社C(以下「本件会社」という。)の代表取締役として、同社の業務全般を統括していたものである。 被告人は、令和4年12月13日頃から同月15日頃までの間に、佐賀県杵島郡(住所省略)A町役場において、Bに対し、令和5年4月1日から同6年3月31日までを委託期間とするA町ふるさと応援寄附金一括管理業務の委託事業者を公募型プロポーザル方式(以下「本件プロポーザル」という。)により選定するための審査に当たり、同審査に参加申込みをした他の事業者からA町に提出された企画提案書が非公表とされているにもかかわらず、同提案書を自己の携帯電話機のカメラ撮影機能を用いて撮影した上、その画像データを提供して職務上不正な行為をし、これに対する謝礼の趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、令和5年1月19日頃から同年2月2日頃までの間に、(住所省略)D館南西側設置の喫煙所において、Bから、現金10万円の供与を受け、もって自己の職務上不正な行為をしたことに関し、賄賂を収受した。 【法令の適用】罰条刑法197条の3第2項、令和4年法律第68号441条1項により同年法律第67号2条による改正前の刑法197条の3 第1項刑の執行猶予刑法25条1項追徴刑法197条 罰条刑法197条の3第2項、令和4年法律第68号441条1項により同年法律第67号2条による改正前の刑法197条の3 第1項刑の執行猶予刑法25条1項追徴刑法197条の5後段(被告人が収受した賄賂は没収することができない)【量刑の理由】犯情についてみると、本件プロポーザルは、価格のほか、事業者の専門性、技術力、業務実績、経験等を提出資料やプレゼンテーションを通じて審査するものであるところ、A町のふるさと納税業務を掌理する地位にあった被告人が、同町において秘密事項として厳しく管理されていた参加事業者の企画提案書を携帯電話機で撮影し、その画像データを一参加事業者である本件会社に漏示するという行為は、一方当事者のみを利する不公平なものであるとともに、審査の公正さを害する不当なものというべきである。実際に、本件会社は、被告人から提供を受けた情報を基に、プレゼンテーションや質疑応答が行われる第2次審査に向けた対策を講じることができている。そして、被告人が、職責に反した不正な行為に関して10万円という少なくない額の賄賂を収受したことは、公務員の職務の公正及びこれに対する国民の信頼を損なうものであり、その結果は重い。 被告人は、不正な行為に及んだ動機について、本件会社が委託事業者に選定されることでA町の収入の減少を防ぐことができると思ったなどと述べているが、本件プロポーザルの目的や意義を理解しない独善的な考えといわざるを得ず、直接的な金銭的見返りを目的としていなかったとしても、その意思決定には厳しい非難が妥当する。 もっとも、賄賂の収受については、あらかじめ金銭の授受が約束されていたとはいえない上、贈賄者が積極的に被告人に現金を渡しており、被告人に受動的な面があったといえるから、この点は相応に酌むべき事情といえる とも、賄賂の収受については、あらかじめ金銭の授受が約束されていたとはいえない上、贈賄者が積極的に被告人に現金を渡しており、被告人に受動的な面があったといえるから、この点は相応に酌むべき事情といえる。 このような犯情からすれば、同種事案と比べて重い部類に属するとはいえないものの、被告人の刑事責任を軽視することはできない。 その上で、犯情以外の点をみると、被告人が事実を概ね認めていること、前科前歴 がないこと、妻が出廷し、今後も被告人の更生を支援する旨述べたことなど、被告人にとって有利な事情も認められるから、これらの事情を考慮し、被告人に対しては、主文の刑に処した上、今回に限り、その刑の執行を猶予し、社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断した。 (検察官の求刑:懲役1年6月・主文同旨の追徴、弁護人の科刑意見:付執行猶予)令和7年10月28日佐賀地方裁判所刑事部 裁判長裁判官山田直之 裁判官松村一成 裁判官有水志帆

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