昭和26(う)3830 強盗強姦未遂被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年5月13日 東京高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決中有罪部分を破棄する。      本件公訴事実中強盗の点について被告人は無罪。          理    由  弁護人飯島豊の控訴趣意は別紙同人名義の控訴趣意書の通りで

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判決文本文2,465 文字)

主文 原判決中有罪部分を破棄する。 本件公訴事実中強盗の点について被告人は無罪。 理由 弁護人飯島豊の控訴趣意は別紙同人名義の控訴趣意書の通りである。これに対し、当裁判所は、事実の取調として証人A、同Bを尋問した上、左の通り判断する。 第一点(審判の請求を受けない事件について、判決した違法)。 本件起訴状の記載によると、本件公訴事実は被告人は昭和二十六年一月二十日午前一時頃東京都豊島区ab番地自転車タイヤ修理業C方前路上で、同所通行中のA(当時三十五年)の後から抱き付き、その口を手で押しふさぎ、更に押倒して馬乗りとなる等の暴行脅迫を加え同女の反抗を抑圧して同女所有の化粧道具、印鑑等雑品数点在中の黒皮製ハンドバック一個を強取し、その場において同女を強いて姦淫しょうとしたが悲鳴を聞き飛び出して来たCに発見されたため姦淫の目的を遂げなかつたものであるというのであつて、罰条として刑法第二百四十一条第二百四十二条、罪名とじて強盗強姦未遂と記載されているのであるから、検察官は被告人の右所為を強盗と強姦の結合犯として一罪として取扱はるべき強盗強姦未遂罪として起訴したことが明かである。而して強盗強姦罪が成立するためには、強盗犯人が強盗の機会に婦女を強姦したこと(勿論当初から、強盗し、且つ強姦する犯意のあつた場合も含まれる)を要し、強姦をした者(未遂に終った場合も含む)が後に強盗の犯意を生じた場合は強姦罪(又は未遂罪)と強盗罪とが別個に成立し両<要旨第一>者は併合罪の関係に立つものと解すべく、更に、結合犯たる一罪として起訴せられた強盗強姦罪については、</要旨第一>その構成要件中に強盗及び強姦の各構成要件が結合して含まれているのであるから、裁判所が審理の結果、強姦罪と強盗罪の併合罪であると認めても る一罪として起訴せられた強盗強姦罪については、</要旨第一>その構成要件中に強盗及び強姦の各構成要件が結合して含まれているのであるから、裁判所が審理の結果、強姦罪と強盗罪の併合罪であると認めても、被告人の防禦に実質的な不利益を生じないので、訴因変更の手続を<要旨第二>経ないで、強姦罪及び強盗罪の二罪を認定し得るものというべきである。しかしながら、右強姦罪について親</要旨第二>告罪の告訴を欠き、訴訟条件の欠缺を理由として公訴棄却を為すべき理由あり、或は右二罪の中いずれかが犯罪の証明不十分であつて無罪の言渡を為すべき理由がある場合においても、検察官の起訴は結合犯たる強盗強姦罪の一罪として為されたのであるから、一罪の一部に公訴棄却又は無罪の理由がある場合として、主文において当該部分の公訴棄却又は無罪の裁判を言渡すべきでなく、唯理由中にその旨説明すれば足るのである。 (昭和一一年一〇月一三日大審院判決、刑集一五巻一三〇四項参照)原判決によれば、原審は前記本件公訴事実中、被告人が起訴状記載の日時場所において、被害者Aが被告人のため無理に強姦されようとして貞操に危険を感じ畏怖し抵抗不能になつているに乗じ矢庭に同女の所持する起訴状記載のハンドバッタ一個を強取したという強盗罪を認定し、被告人を懲役二年六月に処し、五年間刑の執行を猶予する旨の言渡を為すと共に、その余の公訴事実については、刑法第二百四十一条前段の強盗強姦罪及びその未遂罪は、強盗犯人が強盗の機会において婦女を強姦し又はその目的を遂げなかつたことをその構成要件とするところ、審理の結果、被告人が被害者Aを強姦しようとした際強盗の犯意があつたものと認められず、本件は強盗強姦未遂罪を構成しないことが明かであり、強姦未遂罪と強盗罪の併合罪と認むべきである。然るに強姦未遂罪の点については訴訟条件たる 者Aを強姦しようとした際強盗の犯意があつたものと認められず、本件は強盗強姦未遂罪を構成しないことが明かであり、強姦未遂罪と強盗罪の併合罪と認むべきである。然るに強姦未遂罪の点については訴訟条件たる適法な告訴が存在しないので、この点は公訴棄却すべきであるとして、主文において、公訴棄却の裁判をしたのである。従つて、原審の措置は前記説明のように、強姦未遂罪について、主文において公訴棄却をした点以外には何等違法な点はないのである。即ち訴因変更の手続を経ないで、強盗強姦未遂罪の起訴について、強盗罪を認定しても、所論のように審判の請求を受けない事件について、判決した違法はないのである。しかしながら強姦未遂罪について、主文において公訴棄却の裁判をすべきでないのに、これについて量定処断しているのであるから、一罪として起訴された事実について、二個の矛盾する裁判をしているからである。しかしながら、公訴棄却の裁判の言渡があつた強姦未遂に関する部分は、当事者の上訴なく、確定していることが記録上明かであり、本件控訴は強盗に関する有罪部分についてだけ為されているに過ぎず、このよう<要旨第三>に、原審裁判所が一罪として起訴された事実を併合罪と認め、これを二個の犯罪に分割して、その一部につい</要旨第三>て有罪一部に対して公訴棄却の裁判をしたときは、その言渡の当否にかかわらず、二個の裁判の主文を生じ、強盗罪の部分についての控訴は、公訴棄却の裁判のあつた強姦未遂罪の部分に及ぼすことを得ず控訴審としては、強盗罪の部分についてのみ審判することを得るに過ぎないのであり、(明治四〇年六月一七日大審院判決、刑録一三輯六七二頁)従つて右強姦未遂罪について、主文において公訴棄却の言渡をした違法は右強盗罪の部分に影響を及ぼさないのであるから、原判決を破棄する理由とはなり得ない。所論 六月一七日大審院判決、刑録一三輯六七二頁)従つて右強姦未遂罪について、主文において公訴棄却の言渡をした違法は右強盗罪の部分に影響を及ぼさないのであるから、原判決を破棄する理由とはなり得ない。所論は理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事佐伯顕二判事久礼田益喜判事真野英一)

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