【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役二年に処する。 この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 理 由 弁護人妹尾晃の上告趣意第
主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役二年に処する。 この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 理由 弁護人妹尾晃の上告趣意第一点、同杉本幸孝の上告趣意第一点、同高橋俊郎の上告趣意、同金野繁の上告趣意第一点について所論は、刑法二〇〇条は憲法一四条に違反して無効であるから、被告人の本件所為に対し刑法二〇〇条を適用した原判決は、憲法の解釈を誤つたものであるというのである。 よつて案ずるに、刑法二〇〇条は、尊属殺を普通殺と区別してこれにつき別異の刑を規定している点ではいまだ不合理な差別的取扱いをするものとはいえないけれども、法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限つている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法一九九条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法一四条一項に違反して無効であるとしなければならず、したがつて尊属殺にも刑法一九九条を適用するのほかはないことは、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決の示すとおりである。これと見解を異にし、刑法二〇〇条は憲法に違反しないとして、被告人の本件所為に同条を適用している原判決は、憲法の解釈を誤つたものにほかならず、かつ、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、所論はいずれも理由があることに帰する。 弁護人金野繁の上告趣意第二点について所論は、憲法一四条違反をいうが、その実質は刑法二〇〇条の解釈適用の誤りをいう単なる法令違反の主張に帰し、適法な上告理由にあたらない。 - 1 -弁護人妹尾晃の上告趣意第二点、同杉本幸孝の上告趣意第二点、同金野繁の上告趣意第三点について所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、適法な上 し、適法な上告理由にあたらない。 - 1 -弁護人妹尾晃の上告趣意第二点、同杉本幸孝の上告趣意第二点、同金野繁の上告趣意第三点について所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。 被告人本人の上告趣意について所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。 よつて、刑訴法四〇五条一号後段、四一〇条一項本文により原判決を破棄し、同法四一三条但書により被告事件についてさらに判決することとする。 原判決の確定した事実に法律を適用すると、被告人の所為は刑法一九九条、二〇三条に該当するので、所定刑中有期懲役刑を選択し、右は未遂であるから同法四三条本文、六八条三号により法律上の減軽をし、その刑期範囲内で被告人を懲役二年に処し、なお、本件は、被告人がいまだ婚家における生活に馴染みきれず、その間にありがちな姑との感情のくいちがいが深刻に感ぜられて悩んでいたところへ、妊娠初期の精神的不安定も加わつて惹起された偶発的なものと認められ、その方法も、微量の猫いらずを握飯に塗布して海苔の小片でこれをおおうという幼稚単純なものにとどまり、その結果なんらの実害をも生じなかつたのみならず、被害者はこのできごとを特に問題とすることなく、その後当事者間の折合いもよくなり、互いに融和して同一家庭に同居生活を続けている模様であり、また、被告人にはその平素の行状に照らしてなんら反社会的性格が認められず、被告人みずからも本件について深く反省していることがうかがわれるなど、諸般の情状にかんがみ、同法二五条一項一号によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、第一審および原審における訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととして主文のとおり判決する。 この判決は、裁判官岡原昌男の補足意見、裁判 日から三年間右刑の執行を猶予し、第一審および原審における訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととして主文のとおり判決する。 この判決は、裁判官岡原昌男の補足意見、裁判官田中二郎、同下村三郎、同色川- 2 -幸太郎、同大隅健一郎、同小川信雄、同坂本吉勝の各意見および裁判官下田武三の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。 裁判官岡原昌男の補足意見は次のとおりである。 本判決の多数意見は、刑法二〇〇条が普通殺のほかに尊属殺という特別の罪を設け、その刑を加重すること自体はただちに違憲とはいえないけれども、その加重の程度があまりにも厳しい点において同条は憲法一四条一項に違反するというのであるが、これに対し、(一)刑法二〇〇条が尊属殺という特別の罪を設けていることがそもそも違憲であるとする意見、および(二)刑法二〇〇条は、尊属殺という罪を設けている点においても、刑の加重の程度においても、なんら憲法一四条一項に違反するものではないとする反対意見も付されているので、わたくしは、多数意見に加わる者のひとりとして、これらの点につき若干の所信を述べておきたい。その内容は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。 裁判官田中二郎の意見は、次のとおりである。 私は、本判決が、刑法二〇〇条を違憲無効とし、同条を適用した原判決を破棄し、刑法一九九条を適用して被告人を懲役二年に処し、三年間刑の執行を猶予した結論には賛成であるが、多数意見が刑法二〇〇条を違憲無効と解した理由には同調することができない。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここ 数意見が刑法二〇〇条を違憲無効と解した理由には同調することができない。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。 裁判官小川信雄、同坂本吉勝は、裁判官田中二郎の右意見に同調する。 裁判官下村三郎の意見は、次のとおりである。 わたくしは、本判決が、原判決を破棄し、刑法一九九条を適用して、被告人を懲役二年に処し、三年間刑の執行を猶予した結論には賛成であるが、多数意見が原判- 3 -決を破棄すべきものとした事由には同調し難いものがある。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。 裁判官色川幸太郎の意見は次のとおりである。 私は、多数意見の説示のうち、刑法二〇〇条が身分による差別的取扱いの規定であるとする点、および、これが憲法一四条一項に違反するとの結論には賛成であるが、尊属殺人につき普通殺人と異なる特別の罪を規定することが、憲法上許容された範囲の合理的差別であるという見解には、同調することができないのである。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。 裁判官大隅健一郎の意見は、次のとおりである。 私は、刑法二〇〇条の規定が憲法一四条一項に違反して無効であるとする本判決の結論には賛成であるが、その判決の理由には同調することができない。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。 裁判官下田武三の反対意見は、次のとおりである。 わたくしは、憲法一四条一項 昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。 裁判官下田武三の反対意見は、次のとおりである。 わたくしは、憲法一四条一項の規定する法の下における平等の原則を生んだ歴史的背景にかんがみ、そもそも尊属・卑属のごとき親族的の身分関係は、同条にいう社会的身分には該当しないものであり、したがつて、これに基づいて刑法上の差別を設けることの当否は、もともと同条項の関知するところではないと考えるものである。しかし、本判決の多数意見は、尊属・卑属の身分関係に基づく刑法上の差別も同条項の意味における差別的取扱いにあたるとの前提に立つて、尊属殺に関する刑法二〇〇条の規定の合憲性につき判断を加えているので、いまわたくしも、右の点についての詳論はしばらくおき、かりに多数意見の右の前提に立つこととしても、- 4 -なおかつ、安易に同条の合憲性を否定した同意見の結論に賛成することができないのである。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。 検察官横井大三、同横溝準之助、同山室章公判出席昭和四八年四月四日最高裁判所大法廷裁判長裁判官石田和外裁判官大隅健一郎裁判官村上朝一裁判官関根小郷裁判官藤林益三裁判官岡原昌男裁判官小川信雄 裁判官藤林益三裁判官岡原昌男裁判官小川信雄裁判官下田武三裁判官岸盛一裁判官天野武一裁判官坂本吉勝裁判官田中二郎、同岩田誠、同下村三郎、同色川幸太郎は、退官のため署名押印することができない。 裁判長裁判官石田和外- 5 -
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