平成23年3月31日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第17435号売買代金請求事件口頭弁論終結日平成23年2月8日判決東京都渋谷区〈以下略〉原告株式会社ヴィゴラス・カンパニー訴訟代理人弁護士中村忠史同近江広人東京都立川市〈以下略〉被告ジンカンパニー株式会社訴訟代理人弁護士小林 清同井口雄紫主文 1 被告は,原告に対し,440万2640円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,638万1481円及び内金71万0955円に対する平成21年4月1日から,内金567万0526円に対する同年5月1日から各支払済みまで年6分の割合による各金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,原告が,被告との間の婦人服の製造物供給契約に基づいて,被告に対し,婦人服の製造代金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実,弁論の全趣旨により認められる事実又は当裁判所に顕著な事実である。)(1) 当事者ア原告は,婦人服,紳士服,インナーウェア等各種衣料繊維製品の製造販売及び輸出入業務等を目的とする株式会社である。 イ被告は,衣料用繊維製品,衣料品付属品の製造,卸し,販売及びそれらの商品の輸出入等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の婦人服製造代金請求権の取得 入業務等を目的とする株式会社である。 イ被告は,衣料用繊維製品,衣料品付属品の製造,卸し,販売及びそれらの商品の輸出入等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の婦人服製造代金請求権の取得ア原告と被告は,平成19年7月6日ころ,代金の支払は当月末日締め翌々月末払の約定で,原告が,被告の注文に基づいて,婦人服を製造し,被告に供給する旨の製造物供給契約(以下「本件製造物供給契約」という。)を締結した(乙3)。 イ原告は,次のとおり,本件製造物供給契約に基づいて,被告の注文により婦人服を製造して,被告に供給(納品)し,被告に対し,合計638万1481円の代金請求権(以下「本件代金請求権」という。)を取得した。 (ア) 平成21年1月請求分納期日平成21年1月14日品番 734250-760O単価 1830円数量 370枚代金(消費税を含む。) 71万0955円(イ) 平成21年2月請求分a 納期日平成21年2月13日品番 734250-780B単価 2850円数量 538枚代金(消費税を含む。) 160万9965円b 納期日平成21年2月13日品番 734250-781O単価 3300円数量 1173枚代金(消費税を含む。) 406万4445円(ウ) 返品分返品日平成21年2月28日品番 734250-760O単価 1850円数量 2枚代金(消費 ) 返品分返品日平成21年2月28日品番 734250-760O単価 1850円数量 2枚代金(消費税を含む。) 3884円(エ) 合計((ア)+(イ)-(ウ)) 638万1481円(3) 原告の株式会社アルファベットパステルに対する商品の製造販売ア原告は,平成20年11月17日,株式会社アルファベットパステル(以下「アルファベット社」という。)から,品番2911346の婦人服(以下「第1商品」という。)の製造販売の注文を受け,平成21年1月13日,製造した第1商品593枚をアルファベット社に納品した(甲15,19,弁論の全趣旨)。 イ原告は,平成20年11月18日,アルファベット社から,品番2911350の婦人服(以下「第2商品」という。)の製造販売の注文を受け,平成21年1月9日,製造した第2商品596枚をアルファベット社に納品した(甲13,21,弁論の全趣旨)。 ウ原告は,平成20年11月18日,アルファベット社から,品番2916079の婦人服(以下「第3商品」という。)の製造販売の注文を受け,平成21年1月21日,製造した第3商品619枚をアルファベット社に納品した(甲14,22,23,弁論の全趣旨)。 (4) 被告の相殺の意思表示被告は,平成21年10月6日の本件口頭弁論期日において,第1商品ないし第3商品は,被告が独自にデザインをした被告の商品である品番732250-765Oの婦人服(以下「被告商品1」という。),前記(2)イ(イ)aの婦人服(以下「被告商品2」という。)及び同bの婦人服(以下「被告商品3」という。)の形態を模倣した商品であり,原告のアルファベット社に対する第1商 「被告商品1」という。),前記(2)イ(イ)aの婦人服(以下「被告商品2」という。)及び同bの婦人服(以下「被告商品3」という。)の形態を模倣した商品であり,原告のアルファベット社に対する第1商品ないし第3商品の販売は不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する旨主張し,同法4条,5条1項に基づく損害賠償請求権を自働債権とし,原告の本件代金請求権を受動債権として,対当額で相殺する旨の意思表示をした(以下,この相殺を「本件相殺」という。)。 3 争点本件の争点は,被告の本件相殺による原告の本件代金請求権の消滅の有無である。具体的には,①原告のアルファベット社に対する第1商品ないし第3商品の販売が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当するか,すなわち,第1商品ないし第3商品が被告商品1ないし3の形態を「模倣」(同条5項)した商品に該当するか(争点1-1ないし1-3),②原告が賠償すべき被告の損害額(争点2),③被告が本件相殺の主張をすることが信義則に反し許されないか(争点3)である。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(被告商品1の形態の模倣の有無)について(1) 被告の主張ア原告の模倣行為被告商品1は,本件製造物供給契約に基づき,被告がデザインの指示をして原告に発注して,製造された商品である。 第1商品は,以下のとおり,被告商品1の形態を模倣した商品である。 (ア) 実質的同一性第1商品の形態は,被告商品1の形態と実質的に同一である。 a 被告商品1の形態被告商品1(検乙1)の形態は,別紙1の写真(上段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 被告商品1においては,上下2色で形成された胸部(112F,112B)のステッチのひだと,当該ひだと両袖 検乙1)の形態は,別紙1の写真(上段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 被告商品1においては,上下2色で形成された胸部(112F,112B)のステッチのひだと,当該ひだと両袖部との取り合い(114L,114R)におけるギャザー(布を縫い縮めて寄せるひだ。以下同じ。)による拡散模様の部分が他商品に比して特徴的形態である。 (a) 基本的構成① 材質はポリエステルで,比較的濃い色と比較的薄い色の2色からなる。 ② 前身頃は,略緩やかなV字状の襟口(111)と,胸部(112F,112B)と,胸部直下から腰高ほどまで続く胴部(113)とで形成され,胸部(112F)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色,下側が薄い色となっている。 (b) 具体的構成① 前身頃,後ろ身頃において,胸部(112F,112B)には横方向全面に幅約1.5cmのステッチのひだが約1.3cmピッチで形成されている。 ② 身頃と両袖部との取り合い部(114L,114R)においては,胸部側に,ステッチのひだが自然に平面に拡散する納まりとなるギャザーが形成されている。 このステッチのひだから連続されるギャザーが独自の模様を作り出している。 ③ 前身頃の襟口(111)はV字状に形成されている。 b 第1商品の形態第1商品(検乙4)の形態は,別紙1の写真(下段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 (a) 基本的構成① 材質はポリエステルで,比較的濃い色と比較的薄い色の2色からなる。 ② 前身頃は,略緩やかなU字状の襟口(211)と,胸部(212F,212B)と,胸部直下から腰より若干上の高さほどまで続く胴部(213)とで形成され,胸部(212F,212B)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色 U字状の襟口(211)と,胸部(212F,212B)と,胸部直下から腰より若干上の高さほどまで続く胴部(213)とで形成され,胸部(212F,212B)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色,下側が薄い色となっている。 (b) 具体的構成① 前身頃,後ろ身頃において,胸部(212F,212B)には横方向全面に幅約1.5cmのステッチのひだが約1.3cmピッチで形成されている。 ② 身頃と両袖部との取り合い部(214L,214R)においては,胸部側に,ステッチのひだが自然に平面に拡散する納まりとなるギャザーが形成されている。 ③ 前身頃の襟口(211)はU字状に形成されている。 c 対比(a) 被告商品1と第1商品は,襟口の部分が,前者はV字状(111)であるのに対し,後者はU字状(211)である点で相違し,胴(113,213)の長さにおいて相違がみられるものの,いずれも,上下2色で形成された胸部のステッチのひだと,当該ひだと両袖部との取り合いにおけるギャザーによる拡散模様の部分が,特徴的部分として需要者は注意を惹きつけられるものである。 (b) したがって,第1商品の形態の構成は,被告商品1の形態のそれとほぼ同一であるため,衣類の需要者が,被告商品1の形態と第1商品の形態から両者を実質的に同一のものとして受け取るおそれがあるから,両者の形態は,実質的に同一である。 前記の襟口の形状や胴の長さに係る相違点は,被告商品1及び第1商品の形態の実質的同一性に影響を及ぼすものではない。 (イ) 依拠a 被告は,原告から示された何十種類もの生地の中から,シフォン及びサテンを選び,これを組み合わせて被告商品1のデザインを考案した。 原告が第1商品を製造し,アルファベット社に販売した時点において,被告 原告から示された何十種類もの生地の中から,シフォン及びサテンを選び,これを組み合わせて被告商品1のデザインを考案した。 原告が第1商品を製造し,アルファベット社に販売した時点において,被告以外の多数の業者が見頃の上下で異なる素材を使用し,素材の切り替え部分にあるヒダのあるデザインのワンピース等を販売していたという事実は存在せず,被告商品1の形態の特徴的部分(前記(ア)a)は,被告独自のデザインである。 このように,被告商品1は,被告が独自にデザインをした被告の商品である。 b 第1商品について,縫製指示書及び発注書のいずれについても,図があるだけで何ら細かな指示がされていないにもかかわらず,原告が第1商品を完成したのは,原告が被告商品1について詳細に把握していて,それを利用することができたことによるものと考えられる。 したがって,原告が,被告商品1の形態に依拠して,第1商品を製造したことは明らかである。 c 原告は,後記のとおり,原告が被告商品1に用いられたシフォン及びサテンの2種類の異なる生地を1枚の台紙に貼り合わせたものを作成して被告に商品の提案をしたこと,原告は生地のリスクを負っていることなどを根拠として挙げて,被告商品1は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)ではない旨主張する。 しかし,原告の被告に対する生地の提示は,品番や生地名ごとに1枚の台紙に1種類の生地を貼るという方法で行われており,原告の主張するような提案の事実は存在しない。 また,仮に原告の主張するような生地の提案があったと考えたとしても,当該生地の使用や流行に合わせることにより,自動的に被告商品1のデザインになるものではない。 原告の提示する生地は,原告が被告のためだけに購入するものではなく,被告において たと考えたとしても,当該生地の使用や流行に合わせることにより,自動的に被告商品1のデザインになるものではない。 原告の提示する生地は,原告が被告のためだけに購入するものではなく,被告においては本件製造物供給契約に基づいて原告に発注する商品を全量買い取ることとされており,商品が売れない場合の在庫リスクを負っていたことに照らしても,被告商品1が,原告にとって「他人の商品」に当たることは明らかである。 したがって,原告の上記主張は失当である。 イ小括以上のとおり,第1商品は被告商品1の形態を模倣した商品であるから,原告による第1商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 (2) 原告の主張ア被告商品1及び第1商品の形態の実質的同一性(前記(1)ア(ア))について(ア) 被告商品1の形態(前記(1)ア(ア)a)について被告主張の被告商品1の形態の基本的構成及び具体的構成は認める。 しかし,被告商品1において,上下2色で形成された胸部(112F,112B)のステッチのひだと,当該ひだと両袖部との取り合い(114L,114R)におけるギャザーによる拡散模様の部分が他商品に比して特徴的形態であること,ステッチのひだから連続されるギャザーが作り出している模様が独自のものであることは争う。上下2色で形成された胸部のひだ及びギャザーを有する商品は,被告商品1のほかにも多数存在し,被告商品1が当該ひだ等を有することが,他商品に比して特徴的であると認めるべき理由はない。また,当該デザインはシフォン及びサテンの2種類の異なる生地を与えられた場合比較的容易に想起し得るありふれたものであって,被告商品1のデザインが特にオリジナリティのあるデザインということはできず,保護されるべき商品形態 フォン及びサテンの2種類の異なる生地を与えられた場合比較的容易に想起し得るありふれたものであって,被告商品1のデザインが特にオリジナリティのあるデザインということはできず,保護されるべき商品形態に当たらない。 (イ) 第1商品の形態(前記(1)ア(ア)b)について被告主張の第1商品の形態の基本的構成及び具体的構成は認める。 (ウ) 対比(前記(1)ア(ア)c)についてa 不正競争防止法2条1項3号が,商品の周知性を要件とすることなく,模倣商品の販売を不正競争行為とした趣旨は,開発に,自ら商品を開発する場合のような多大の時間,費用を何らかけることなく他人の商品形態を模倣し,しかも投資に伴うリスクを回避してその商品について先行投資した他人と市場において競争しようとすることは,競争の在り方として不当であるから,そのような行為を不正競争行為として禁ずることによって先行投資者の利益を一定期間保護することにある。 上記規定の趣旨に鑑みれば,「模倣」とは,既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一又は実質的に同一形態の商品を作り出すことをいい,行為の客体の面においては,他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に形態が同一であるか,実質的に同一といえる程に「酷似」していることを要し,行為者の認識の面においては,当該他人の商品形態を知り,これと形態が同一であるか,実質的に同一といえる程に「酷似」した商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要するというべきである。 上記規定は,需用者,消費者に生じる混同を問題としているわけではないから,形態の実質的同一性の判断は需用者に混同が生じるか否かといった基準によって決すべきでない。 そして,今日のアパレル業界のOEM取引においては,製造供給業者 混同を問題としているわけではないから,形態の実質的同一性の判断は需用者に混同が生じるか否かといった基準によって決すべきでない。 そして,今日のアパレル業界のOEM取引においては,製造供給業者は同時に複数のアパレル業者との間で取引を行い,しかも,製造供給業者が流行予測に基づき購入した生地又は製造した提案サンプルを利用した商品開発が一般に行われていること,そのため同一の製造供給業者と取引を行う各業者の商品のデザインにある程度共通性が生じることは不可避であり,このような共通性が生じることを許容され,ディテールに相違点があればオリジナルデザインを有する別個の商品とみなされていることなどの実情に鑑みると,同一の製造供給業者とのOEMにより製造された商品間における形態の実質的同一性の判断に際しては,基本的形態及び特徴的部分が同一でなければ実質的同一性が肯定されないことはもとより,寸法,装飾等に相当程度の相違が存すれば実質的同一性は否定されると解さなければならない。 b 被告商品1と第1商品は,①着丈の長さが,前者は約81cmであるのに対し,後者は約70cmである点,②肩から袖にかけてのラインの形状が,前者は肩口がやや角張っているのに対し,後者は肩口が丸みを帯び,なだらかなラインになっている点,③肩から袖にかけて使用されている生地の量の点,④襟口の形状が,前者はV字状(111)であるのに対し,後者はU字状(211)である点,⑤バスト,袖口幅等各箇所の寸法の点において,相違している。 着丈の長さ(上記①)は,それによって商品の種類が区別されることがあるように,衣料品の印象を大きく基礎づける基本的形態である。 現に,被告商品1は着丈が長いことにより,商品の種類としては,ワンピースに分類されるのに対し,第1商品は着丈がやや短いことによりブ とがあるように,衣料品の印象を大きく基礎づける基本的形態である。 現に,被告商品1は着丈が長いことにより,商品の種類としては,ワンピースに分類されるのに対し,第1商品は着丈がやや短いことによりブラウスに分類されるものであり,両商品の着丈の長さの違いにより全体の印象も全く異なるものとなっている。 肩から袖にかけてのラインの形状(上記②)及び使用されている生地の量(上記③)の相違によっても,全体の印象が全く異なるものとなっている。 襟口(上記④)は,衣料品の中央上部に存し,最も目に付きやすい場所の一つであって,全体の印象を決定づける箇所であり,被告商品1及び第1商品の襟口の形状の相違が見る者に与える印象を異にしている。 このように被告商品1と第1商品とを対比して観察した場合に,着丈の長さ,肩のライン及び袖の形状という基本的な形態が大きく相違し,襟口の形状,その他各箇所の寸法も相違するから,形態が同一であるということも,実質的に同一といえる程に酷似しているということもできない。 したがって,両商品の形態は,実質的に同一ではない。 イ依拠(前記(1)ア(イ))について(ア) 原告は,平成20年10月末ころ,アルファベット社から商品の製造依頼を受け,原告従業員のA1(以下「A1」という。)とアルファベット社の担当者が打合せを行った。その際,アルファベット社の担当者は,持参した雑誌に掲載されている商品の写真をA1に見せて,「こういうのやりたいんだけど」などと要望した。当該写真の商品は,被告以外の業者が販売していた商品であったが,被告商品1と同様,2種類の素材で同系色の生地を使用した商品であり,身頃胸部にステッチのヒダが存していた。 原告は,同年11月初旬頃,アルファベット社から,デザイン画及び指示書により,襟口をU 被告商品1と同様,2種類の素材で同系色の生地を使用した商品であり,身頃胸部にステッチのヒダが存していた。 原告は,同年11月初旬頃,アルファベット社から,デザイン画及び指示書により,襟口をUネックにすること,袖口,着丈及び裾幅の数値等の指示を受けた。原告は,同指示書に基づいて,商品のファーストサンプルを製造し,アルファベット社に提供した際,後ろに特段の装飾が付いていないのはデザインとして寂しい感じがするので,何か付けた方がいいということになり,アルファベット社が第1商品のデザインを提案及び決定した。 その後,アルファベット社は,同年11月17日,原告に対し,第1商品の発注依頼をした。原告は,第1商品の縫製仕様書(甲18)を作成の上,中国の協力工場に同商品の製造を依頼した後,平成21年1月13日,製造された第1商品593枚をアルファベット社に納品した。 第1商品の製造経緯は,上記のとおりであり,基本的なアイデア,寸法,装飾等につきアルファベット社の指示があり,原告は,その指示に従って第1商品を製造したものであって,被告商品1の形態に依拠して製造したものではない。 原告が第1商品を製造した当時,被告商品1のように,2種類の素材を使用し,切り替え部分にステッチのヒダがある商品は,被告以外の多数のブランドから発売され,雑誌でも紹介されていたものであり,被告商品1及び第1商品のデザインにある程度の共通性が存するからといって,第1商品のデザインが被告商品1のデザインに依拠したものであると推認されるものではない。 (イ) 被告商品1は,以下のとおり,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 a アパレル業界においては,その時々の流行によっていかなる商品が売れるかが大きく異なってくるため,迅速に 以下のとおり,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 a アパレル業界においては,その時々の流行によっていかなる商品が売れるかが大きく異なってくるため,迅速に商品化を実現する必要があることから,OEMの製造供給業者は,取引先業者から発注があった場合に速やかに商品化を実現できるように,あらかじめ,取引先業者が欲するであろう生地を予測して,当該生地を大量に購入し,提案した生地による商品開発において,最終的に商品化に至らなかった場合に生地代金相当額のリスクを負うというリスク,すなわち生地リスクを負っている。 原告と被告間の本件製造供給契約に基づく取引において,被告が最終的に商品化に至らなかった場合の生地代金について負担を負うことなく,商品開発を進めることができるのは,原告が生地リスクを負っているからである。 b また,流行を意識した女性用衣料品の場合,そのときの流行及び選択した生地の種類により,実現し得る商品のデザインは限定されるから,生地の提案は商品開発において極めて大きなウェイトを占めている。 原告は,被告に対し,被告商品1に用いられたシフォン及びサテンの2種類の異なる生地を1枚の台紙に貼り合わせたものを作成して被告に商品の提案をした。 また,原告従業員のA1は,上記生地提案の以前から,シフォン及びサテン等の異なる2種類の素材の生地を組み合わせた商品を提案するのがよいと考え,その旨被告に伝えていた。 このように異なる2種類の素材の生地を組み合わせるという被告商品1のデザインの基本的なコンセプトは原告のアイデアである。 c さらに,原告は,被告商品1のファーストサンプル及びセカンドサンプルを製造して,被告に提供し,被告は,これらのサンプルの提供を受けることにより,商品のアイデ ンセプトは原告のアイデアである。 c さらに,原告は,被告商品1のファーストサンプル及びセカンドサンプルを製造して,被告に提供し,被告は,これらのサンプルの提供を受けることにより,商品のアイデアを具現化し,さらなる縫製指示等を原告に行うことが可能となるとともに,展示会を開催し,商品の売れ行きについての見込みを付けることができた。 そして,原告は,被告から被告商品1の発注を受けた後,中国の工場に対し製造依頼をし,製造された被告商品1を被告に納品することにより,被告商品1の商品化が最終的に実現した。 このように,原告は,サンプルの提供,商品の製造,納品等を行うことにより,被告商品1の商品化において物理的側面においても必要不可欠な役割を果たしている。 d 以上のとおり,被告商品1の開発において,原告は生地リスクを負い,被告はかかる原告の生地リスクの下で商品開発を行うことができるというメリットを享受していること,原告は,生地の事前購入,生地提案,サンプルの製造,受注後の協力工場への製造依頼,納品,その他被告商品1の商品化において必要不可欠な役割を果たしており,被告の独力により被告商品1を製造しているとはいえないことからすると,原告は,被告商品1の開発において,被告の共同開発者として,費用と労力を負担しているといえるから,被告商品1は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 ウ小括以上のとおり,第1商品の形態は,被告商品1の形態と実質的に同一ではなく,第1商品は被告商品1の形態に依拠して製造したものではないから,第1商品は被告商品1の形態を模倣した商品とはいえない。 また,そもそも被告商品1は,原告にとって「他人の商品」に該当しない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第1 のではないから,第1商品は被告商品1の形態を模倣した商品とはいえない。 また,そもそも被告商品1は,原告にとって「他人の商品」に該当しない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第1商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当しない。 2 争点1-2(被告商品2の形態の模倣の有無)について(1) 被告の主張ア原告の模倣行為被告商品2は,本件製造物供給契約に基づき,被告がデザインの指示をして原告に発注して,製造された商品である。 第2商品は,以下のとおり,被告商品2の形態を模倣した商品である。 (ア) 実質的同一性第2商品の形態は,被告商品2の形態と実質的に同一である。 a 被告商品2の形態被告商品2(検乙2)の形態は,別紙2の写真(上段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 被告商品2においては,身頃胸部ギャザー(1222F)が上下方向に走る凹凸形状(1231F)と,中央部の略逆三角形状の谷形状のニット模様編みの部分(12211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編みの部分(12212L,12212R)が他商品に比して特徴的形態である。 (a) 基本的構成① 全体として,比較的濃い色の半袖のチュニックであり,材質がポリエステルの身頃を囲んで首から胸部にかけてニット模様編みが前身頃から後ろ身頃にかけて形成され(1221F,1221B),腰部全周(1232),両袖部上腕部全周(125L,125R)にわたって幅略3cmのニット模様編みが形成されている。 ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(1222F,1222B)が形成されて,これが独特の上下方向に走る凹凸形状(1231F,1231B)を作り ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(1222F,1222B)が形成されて,これが独特の上下方向に走る凹凸形状(1231F,1231B)を作り出している。 (b) 具体的構成① 前身頃胸部のニット模様編み(1221F)は一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,ニット模様編みの中央部が略逆三角形状に谷(12211)が形成され,この谷から左右方向それぞれ斜めにニット模様編みの略半円が二つずつ(12212L,12212R)形成されている。このニットの外観は,上記(a)②と共に,独自の味わいを醸し出している。 ② 前身頃の襟口(121)は略緩やかなU字状に形成されている。 b 第2商品の形態第2商品(検乙5)の形態は,別紙2の写真(下段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 (a) 基本的構成① 全体として,比較的薄い色の半袖のチュニックであり,ポリエステルの身頃を囲んで首から胸部にかけてニット模様編みが前身頃から後ろ身頃にかけて形成され(2221F,2221B),腰部全周(2232)にわたって,幅略3cmのニット模様編みが形成されている。また,両袖部先端部全周(225L,225R)にわたってニット模様編みが形成されている。 ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(2222F,2222B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(2231F,2231B)を作り出している。 (b) 具体的構成① 前身頃胸部のニット模様編みは一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル 2231F,2231B)を作り出している。 (b) 具体的構成① 前身頃胸部のニット模様編みは一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,ニット模様編みの中央部が略逆三角形状に谷(22211)が形成され,この谷から左右方向それぞれ斜めにニット模様編みの略半円が二つずつ(22212L,22212R)形成されている。 ② 前身頃の襟口(221)は略緩やかなU字状に形成されている。 c 対比被告商品2と第2商品は,両袖部におけるニット模様編みが,前者は上腕部(125L,125R)にあるのに対し,後者は先端部(225L,225R)にある点で相違がみられるものの,いずれも,胸部ニット模様編み部分とポリエステル部分との取り合い部に形成されるギャザーによる上下方向に走る凹凸形状,中央部の略逆三角形状の谷形状のニット模様編み及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編み,U字状の襟口,腰部全周にわたる幅略3cmのニット模様編みの部分が,特徴的部分として需要者は注意を惹きつけられるものである。 したがって,第2商品の形態の構成は,被告商品2の形態のそれと少なくとも特徴的部分に関してはほぼ同一であるため,衣類の需要者が,被告商品2の形態と第2商品の形態から両者を実質的に同一のものとして受け取るおそれがあるから,両者の形態は,実質的に同一である。 前記の両袖部におけるニット模様編みの位置に係る相違点は,細かな個所の相違といいきれるものではないかもしれないが,需用者の目を最初に惹きつける主要部分は中央部に位置する胸部であり,上記相違点は,被告商品2及び第2商品の形態の実質的同一性に影響を及ぼすものではない。 (イ) 依拠a 被告は,原告が提案 ,需用者の目を最初に惹きつける主要部分は中央部に位置する胸部であり,上記相違点は,被告商品2及び第2商品の形態の実質的同一性に影響を及ぼすものではない。 (イ) 依拠a 被告は,原告が提案したサンプル(検甲1。以下「本件提案サンプル」という。)を基に被告商品2のデザインを考案したが,本件提案サンプルと被告商品2を比較すれば明らかなように,被告商品2は本件提案サンプルの部分的改変にとどまるようなものではなく,被告商品2のデザインは被告独自の発想に基づくものである。 すなわち,本件提案サンプル(検甲1)では胸部のニット模様編みの部分がタンクトップのような形になっているが,被告商品2では,形を変更し,本件提案サンプルとは異なり,胸部の中央部に略逆三角形の谷形状のニット模様編み及びその両側に二つの略半円形状のニット模様編みを設けたものであり,この模様編みは本件提案サンプルの胸部模様編み部分の一部といえるようなものではないし,他の部分の寸法も,パターンによって指示した数値としており,本件提案サンプルと同じではない。 このように,被告商品2は,被告が独自にデザインをした被告の商品である。 b(a) 第2商品について,縫製指示書及び発注書のいずれについても,図があるだけで何ら細かな指示がされていないにもかかわらず,原告が第2商品を完成したのは,原告が被告商品2について詳細に把握していて,それを利用することができたことによるものと考えられる。 したがって,原告が,被告商品2の形態に依拠して,第2商品を製造したことは明らかである。 (b) 原告は,後記のとおり,原告では,取引先アパレル業者から商品の発注を受けた場合,中国の工場に商品の製造を依頼しており,その際,ある程度細かい部分についてはその工場に任せているところ,第 (b) 原告は,後記のとおり,原告では,取引先アパレル業者から商品の発注を受けた場合,中国の工場に商品の製造を依頼しており,その際,ある程度細かい部分についてはその工場に任せているところ,第2商品についてもそのような製造過程を経て製造され,胸部模様編み下部のモチーフ編みについて特に具体的な指示をせずに,付けられた旨主張する。 しかし,完成品は発注者ブランドの商品として売り出すことが予定されているものである。発注者としては,細かな部分まで指示を出して注文するのが通常であり,どのような形態の商品ができるか分からないような形で注文をするなどということは,到底考えられることではない。また,仮に中国の工場が独自の判断でモチーフ編みを付けたものであったとしても,原告は,それが被告商品2と同様のデザインであることが分かっていたはずであるから,当然修正するよう依頼すべきであった。 したがって,第2商品の胸部模様編み下部のモチーフ編みについても,原告が被告商品2と類似することを知りながら,その指示によって製造されたと考えるのが自然であり,原告の上記主張は失当である。 c 原告は,後記のとおり,被告商品2は,原告が作成した本件提案サンプルを部分的に改変した商品にすぎないから,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)ではない旨主張する。 しかし,本件提案サンプル自体は,原告にとって「他人の商品」ではないものの,被告の指示によって製造された被告商品2は,上記aのとおり,本件提案サンプルとは全く別個の被告の商品であるから,原告にとって「他人の商品」である。 そして,被告としては,あくまで被告商品2を被告の商品として被告のブランド名で販売するのであるから,同様のものを他社名で販売されるということを了承するはずもない。 とって「他人の商品」である。 そして,被告としては,あくまで被告商品2を被告の商品として被告のブランド名で販売するのであるから,同様のものを他社名で販売されるということを了承するはずもない。 原告の被告に対する本件提案サンプルの提供は,トップブランドによる流行を紹介したようなものにすぎず,あくまで被告のデザインこそが,被告商品2の中心であり,被告商品2は,原告にとって「他人の商品」である。 したがって,原告の上記主張は失当である。 イ小括以上のとおり,第2商品は被告商品2の形態を模倣した商品であるから,原告のアルファベット社に対する第2商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 (2) 原告の主張ア被告商品2及び第2商品の形態の実質的同一性(前記(1)ア(ア))について(ア) 被告商品2の形態(前記(1)ア(ア)a)について被告主張の被告商品2の形態の基本的構成及び具体的構成は,中央部の谷形状のニット模様編みの部分(12211)が略逆三角形であるとの点(前記(1)ア(ア)a(b)①)を除き,認める。なお,ポリエステル部あるいはポリエステル部分は,レーヨン60%,ポリエステル40%である。 上記谷形状のニット模様編みの部分は,円形状に近い形状である。 また,被告商品2において,身頃胸部ギャザー(1222F)が上下方向に走る凹凸形状(1231F)と,中央部の谷形状のニット模様編みの部分(12211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編みの部分(12212L,12212R)が他商品に比して特徴的形態であること,ニットの外観が独自の味わいを醸し出していることは争う。上記ニット編み部分中の谷及び略半円(12211,12212L,12212R)は,身頃胸部のニット編み部 が他商品に比して特徴的形態であること,ニットの外観が独自の味わいを醸し出していることは争う。上記ニット編み部分中の谷及び略半円(12211,12212L,12212R)は,身頃胸部のニット編み部分全体(1221F,12211,12212L,12212R)の一部分あるいは最下部に付属された部分にすぎず,これらの部分が独自な味わいを醸し出しているものと評価することはできない。 (イ) 第2商品の形態(前記(1)ア(ア)b)について被告主張の第2商品の形態の基本的構成及び具体的構成は,全体として比較的薄い色である点,中央部の谷形状のニット模様編みの部分(22211)が略逆三角形であるとの点(前記(1)ア(ア)b(b)①)を除き,認める。なお,ポリエステル部分あるいはポリエステル部は,レーヨン60%,ポリエステル40%である。 第2商品と被告商品2は同じ生地を使っているので,第2商品も,被告商品2と同様,全体として比較的濃い色であり,また,上記谷形状のニット模様編みの部分は,円形状に近い形状である。 (ウ) 対比(前記(1)ア(ア)c)について被告商品2と第2商品は,①袖口幅が,前者は38cmであるのに対し,後者は44cmである点,②袖のニット模様編みが,前者は袖の中程に存在するが,袖口には存在しないのに対し,後者は袖の中程には存在せず,袖口に存在する点,③袖のニット模様編みの形状の点,④肩幅,着丈,袖丈等各箇所の寸法の点において,相違している。 上記①及び②により,両商品は,袖の形状が明確に異なる。 このように被告商品2と第2商品とを対比して観察した場合に,袖の形状という基本的形態を明らかに異にし,袖におけるニット模様編みの位置,形状,その他各箇所の寸法も相違するから,形態が同一であるということも,実質的に同一とい 2商品とを対比して観察した場合に,袖の形状という基本的形態を明らかに異にし,袖におけるニット模様編みの位置,形状,その他各箇所の寸法も相違するから,形態が同一であるということも,実質的に同一といえる程に酷似しているということもできない。 したがって,両商品の形態は,実質的に同一ではない。 イ依拠(前記(1)ア(イ))について(ア)a 原告従業員のA1は,平成20年10月初旬ころ,アルファベット社の担当者との間で商品開発に向けた打合せを行った際,原告がデザイン及び製造をした本件提案サンプルを担当者に見せ,本件提案サンプルを基にした商品の製造を提案した。 その打合せにおいて,アルファベット社の担当者が,商品の基本的箇所の数値を決め,デザインの基本的内容を決めた。その後,原告は,アルファベット社から,デザイン図及び基本的数値を記載した指示書による指示(甲21)を受け,その指示に基づいて,商品のファーストサンプルを製造し,アルファベット社に提供した。 その後,アルファベット社は,同年11月18日,原告に対し,第2商品の発注依頼をした。原告は,第2商品の縫製仕様書(甲20)を作成の上,中国の協力工場に製造を依頼した後,平成21年1月9日,製造された第2商品596枚をアルファベット社に納品した。 第2商品の製造経緯は,上記のとおりであり,第2商品は,本件提案サンプルのデザインを基本とし,着丈,袖丈,ネックの天幅,裾幅,バストの数値,袖口にかぎ針を付けること等の数値及び装飾等についてアルファベット社の指示があった部分については当該指示に従い,指示のなかった部分については本件提案サンプルを基に原告が決定して,製造されたものであって,被告商品2の形態に依拠して製造したものではない。 b ところで,原告は,中国の工場に商品の製 示に従い,指示のなかった部分については本件提案サンプルを基に原告が決定して,製造されたものであって,被告商品2の形態に依拠して製造したものではない。 b ところで,原告は,中国の工場に商品の製造を依頼する際には,細かい事項については当該工場の判断に委ねることもあったところ,第2商品のファーストサンプルの製造を依頼するに際しても,胸部模様編み下部のモチーフ編みについて特に具体的な指示をせずに,製造を依頼した。 しかるに,当該工場は,独自の判断で,ファーストサンプルに胸部模様編み下部のモチーフ編みを付けた。これは,当該工場が被告商品2の製造も行っていたため,被告商品2と同様に,当該部分にモチーフ編みを付けたものと思われる。 そして,アルファベット社がファーストサンプルの当該モチーフ編みを気に入ってしまったため,当該モチーフ編みが存する形で第2商品の製造が行われることになった。 このように,第2商品の胸部模様編み下部のモチーフ編みは,原告が意図したものではなく,第2商品に当該部分が存在するからといって,原告が第2商品の製造に際し被告商品2の形態に依拠したものとはいえない。 (イ) 被告商品2は,以下のとおり,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 a 被告商品2は,原告が自らの流行予測に基づき独自に開発製造した本件提案サンプルを基に製造された商品である。 被告商品2の製造に際して行われた被告の縫製指示は,本件提案サンプルのデザインをそのまま使用すること及び単純に量を増やしたりすることを内容とするものが大部分を占め,本件提案サンプルのデザインに部分的改変を加えるものにすぎず,被告独自の発想に基づく指示は皆無である。 被告が主張する被告商品2の特徴的部分等についても,被告は,本 容とするものが大部分を占め,本件提案サンプルのデザインに部分的改変を加えるものにすぎず,被告独自の発想に基づく指示は皆無である。 被告が主張する被告商品2の特徴的部分等についても,被告は,本件提案サンプルのデザインをそのまま使用すべき旨の指示等を行ったにすぎない。例えば,被告商品2の縫製指示書においては,①ギャザーについて,「ギャザー1.5倍」,「ギャザー1.6倍」,「ギャザー1.8倍」という記載があるが(乙7の3),これは,原告のデザインによる本件提案サンプルに存していた身頃のギャザー(甲11の1ないし4)の量を単純に増やすことの指示にすぎないこと,②腰部全周ニット模様編みについての縫製指示として「御社サンプルと同じ編み」との記載があるが(乙7の2),これは,本件提案サンプルに存していた腰部全周のニット編み部分(甲11の1ないし4)のデザインをそのまま用いることの指示であること,③袖部中程のかぎ針部分についての縫製指示として「御社サンプルと同じ編み」との記載があるが(乙7の2),これは,本件提案サンプルに存していた袖部中程のかぎ針部分(甲11の1ないし4)のデザインをそのまま用いることの指示であること,④「御社サンプルと同じひもを編みに通す」との記載があるが(乙7の3),これは,本件提案サンプルに存していた腰部ニット編み部分のひものデザイン(甲11の1,3)を使用する旨の指示であることなどである。 また,被告が特徴的部分であると主張する被告商品2の身頃胸部のニットのモチーフ編み部分のデザインを見ても,基本的には本件提案サンプルの身頃のニット模様編み部分のデザイン(甲11の1,3)を踏襲するものであり,到底被告独自の発想により生み出されたものであるとはいえない。被告の縫製指示書(乙7の1)による身頃胸部のニットのモチー の身頃のニット模様編み部分のデザイン(甲11の1,3)を踏襲するものであり,到底被告独自の発想により生み出されたものであるとはいえない。被告の縫製指示書(乙7の1)による身頃胸部のニットのモチーフ編みに関する縫製指示は,本件提案サンプルの身頃のニット模様編み部分の範囲を変更したものにすぎない。上記モチーフ編み部分は,その上部に存する身頃のニット模様編み部分と同一の素材により構成され,同ニット模様編み部分の最下部に位置し,その大きさに鑑みても,同ニット模様編み部分の一部にすぎないとみるべきである。 さらに,被告商品2及び本件提案サンプルは,生地が同一であり,基本的形態及び具体的部分のいずれにおいても共通性を有している。 このように被告商品2のデザインは,本件提案サンプルを基本として部分的に改変を加えたものにすぎない。 b 以上のとおり,被告商品2は,原告が独自に開発製造した本件提案サンプルを基に製造された商品であり,被告商品2のデザインは,本件提案サンプルを基本として部分的に改変を加えたものにすぎないこと,被告は,原告の生地リスクの下で安全かつ迅速な商品開発を行うことができるというメリットを享受していること,原告は,被告商品2の開発において,ファーストサンプル及びセカンドサンプルの製造,受注後の協力工場への製造依頼,納品等被告商品2の商品化において必要不可欠な役割を果たしていることからすると,原告は,被告商品2の開発において,費用と労力を負担しているといえるから,被告商品2は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 ウ小括以上のとおり,第2商品の形態は,被告商品2の形態と実質的に同一ではなく,第2商品は被告商品2の形態に依拠して製造したものではないから,第2商品は被告商品2の形態 号)に該当しない。 ウ小括以上のとおり,第2商品の形態は,被告商品2の形態と実質的に同一ではなく,第2商品は被告商品2の形態に依拠して製造したものではないから,第2商品は被告商品2の形態を模倣した商品とはいえない。 また,そもそも被告商品2は,原告にとって「他人の商品」に該当しない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第2商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当しない。 3 争点1-3(被告商品3の形態の模倣の有無)について(1) 被告の主張ア原告の模倣行為(第3商品関係)被告商品3は,本件製造物供給契約に基づき,被告がデザインの指示をして原告に発注して,製造された商品である。 第3商品は,以下のとおり,被告商品3の形態を模倣した商品である。 (ア) 実質的同一性第3商品の形態は,被告商品3の形態と実質的に同一である。 a 被告商品3の形態被告商品3(検乙3)の形態は,別紙3の写真(上段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 被告商品3においては,身頃胸部ギャザー(1322F)が上下方向に走る凹凸形状(1331F)と,中央部の谷形状のニット模様編みの部分(13211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編みの部分(13212L,13212R)が他商品に比して特徴的形態である。 (a) 基本的構成① 全体として,比較的薄い色の半袖のワンピースであり,ポリエステルの身頃を囲んで首から胸部にかけてニット模様編みが前身頃から後ろ身頃にかけて形成され(1321F,1321B),腰部全周(1332),両袖部上腕部(見頃と袖の取り合い部)全周(134L,134R)にわたって幅略3cmのニット模様編みが形成されており,両袖部先端部(135L,13 (1321F,1321B),腰部全周(1332),両袖部上腕部(見頃と袖の取り合い部)全周(134L,134R)にわたって幅略3cmのニット模様編みが形成されており,両袖部先端部(135L,135R)は,略5分の4程度がニット模様編みで構成されている。 ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(1322F,1322B)が形成されて,これが独特の上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B)を作り出している。 (b) 具体的構成① 前身頃胸部のニット模様編みは一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,ニット模様編みの中央部に谷(13211)が形成され,この谷から左右方向それぞれ斜めにニット模様編みの略半円が二つずつ(13212L,13212R)形成されている。このニットの外観は,上記(a)②と共に,独自の味わいを醸し出している。 ② 前身頃の襟口(131)は略緩やかなV字状に形成されている。 b 第3商品の形態第3商品(検乙6)の形態は,別紙3の写真(下段)に示すように,次の(a)及び(b)の構成からなる。 (a) 基本的構成① 全体として,比較的濃い色の半袖のワンピースであり,ポリエステルの身頃を囲んで首から胸部にかけてニット模様編みが前身頃から後ろ身頃にかけて形成され(2321F,2321B),両袖部先端部全周(235L,235R)にわたって幅略3cmのニット模様編みが形成されている。 ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(2322F,2322B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(2331F,2331B)を作り出し る。 ② 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(2322F,2322B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(2331F,2331B)を作り出している。 (b) 具体的構成① 前身頃胸部のニット模様編みは一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,ニット模様編みの中央部に谷(23211)が形成され,この谷から左右方向それぞれ斜めにニット模様編みの略半円が二つずつ(23212L,23212R)形成されている。 ② 前身頃の襟口(231)は略緩やかなV字状に形成されている。 c 対比被告商品3と第3商品は,両袖部におけるニット模様編みが,前者は上腕部(134L,134R)及び先端部(135L,135R)にあるのに対し,後者は先端部(235L,235R)にのみある点,前者は腰部(1332)にニット模様編みがあるのに対し,後者はそれがない点で相違がみられるものの,いずれも,胸部ニット模様編み部分とポリエステル部分との取り合い部に形成されるギャザーによる上下方向に走る凹凸形状,谷形状のニット模様編み及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編み,V字状の襟口の部分が,特徴的部分として需要者は注意を惹きつけられるものである。 したがって,第3商品の形態の構成は,被告商品3の形態のそれと少なくともその特徴的部分においてほぼ同一であるため,衣類の需要者が,被告商品3の形態と第3商品の形態から両者を実質的に同一のものとして受け取るおそれがあるから,両者の形態は,実質的に同一である。 前記の両袖部におけるニット模様編みの位置及び腰部におけるニット模様編みの有無に係る相違点は,細かな箇所の相違といい 一のものとして受け取るおそれがあるから,両者の形態は,実質的に同一である。 前記の両袖部におけるニット模様編みの位置及び腰部におけるニット模様編みの有無に係る相違点は,細かな箇所の相違といいきれるものではないかもしれないが,需用者の目を最初に惹きつける主要部分は中央部に位置する胸部であり,上記相違点は,被告商品3及び第3商品の形態の実質的同一性に影響を及ぼすものではない。 また,胸部において被告商品3の方にのみボタンが付いているが,これはささいな相違点の一つにすぎない。 (イ) 依拠a 被告は,本件提案サンプル(検甲1)を基に被告商品3のデザインを考案したが,本件提案サンプルと被告商品3を比較すれば明らかなように,被告商品3は本件提案サンプルの部分的改変にとどまるようなものではなく,被告商品3のデザインは被告独自の発想に基づくものである。 すなわち,本件提案サンプル(検甲1)では胸部の模様編みの部分がタンクトップのような形になっているが,被告商品3では,前記2(1)ア(イ)aで述べたの同様に,胸部のニット模様編みの部分の形を変更しており,この模様編みは本件提案サンプルの胸部模様編み部分の一部といえるようなものではなく,他の部分の寸法も,パターンによって指示した数値としており,本件提案サンプルと同じではなく,さらに,袖口に模様編みが付けられている。 このように,被告商品3は,被告が独自にデザインをした被告の商品である。 b 第3商品について,縫製指示書及び発注書のいずれについても,図があるだけで何ら細かな指示がされていないにもかかわらず,原告が第3商品を完成したのは,原告が被告商品3について詳細に把握していて,それを利用することができたからであると考えられる。 また,原告は,後記のとおり,第3商品の胸部 ていないにもかかわらず,原告が第3商品を完成したのは,原告が被告商品3について詳細に把握していて,それを利用することができたからであると考えられる。 また,原告は,後記のとおり,第3商品の胸部模様編み下部のモチーフ編みは,中国の工場によって原告の指示によることなく付けられた旨主張するが,前記2(1)ア(イ)b(b)と同様の理由により,上記主張は理由がない。 したがって,原告が,被告商品3の形態に依拠して,第3商品を製造したことは明らかである。 c 原告は,後記のとおり,被告商品3は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)ではない旨主張するが,前記2(1)ア(イ)cと同様の理由により,上記主張は失当である。 イ原告の模倣行為(第2商品関係)第2商品は,以下のとおり,被告商品3の形態を模倣した商品である。 (ア) 実質的同一性被告商品3の形態は,前記ア(ア)aのとおりであり,第2商品の形態は,前記2(1)ア(ア)bのとおりであである。 被告商品3と第2商品は,別紙4の写真(上段が被告商品3,下段が第2商品)に示すように,上腕部のニット模様編み(被告商品3の134L,134R)の有無,腰部ニット模様編みに付属するひも(第2商品の2233)の有無,胸部のボタン(被告商品3の1323)の有無の点で相違し,また,襟口の形状に若干の相違がみられるものの,いずれも,胸部ニット模様編み部分とポリエステル部分との取り合い部に形成されるギャザー(1322F,1322B,2222F,2222B)による上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B,2231F,2231B),中央部の谷形状のニット模様編み(13211,22211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編み(13212L,13212R,222 形状(1331F,1331B,2231F,2231B),中央部の谷形状のニット模様編み(13211,22211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編み(13212L,13212R,22212L,22212R),腰部全周(1332,2232)にわたるニット模様編みの部分が,特徴的部分として需要者は注意を惹きつけられるものである。 したがって,第2商品の形態の構成は,被告商品3の形態のそれと少なくともその特徴的部分においてほぼ同一であり,しかも,両袖部先端部(135L,135R,225L,225R)のニット模様編みについてもほぼ同一であるため,衣類の需要者が,被告商品3の形態と第2商品の形態から両者を実質的に同一のものとして受け取るおそれがあるから,両者の形態は,実質的に同一である。 前記の上腕部のニット模様編みの有無等の相違点は,わずかな違いであって,両商品の形態の実質的同一性に影響を及ぼすものではない。 (イ) 依拠前記ア(イ)と同旨ウ小括以上のとおり,第3商品及び第2商品は,いずれも被告商品3の形態を模倣した商品であるから,原告による原告のアルファベット社に対する第3商品及び第2商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 (2) 原告の主張ア被告商品3及び第3商品の形態の実質的同一性(前記(1)ア(ア))について(ア) 被告商品3の形態(前記(1)ア(ア)a)について被告主張の被告商品3の形態の基本的構成及び具体的構成は,全体として薄い色であるとの点(前記(1)ア(ア)a(a)①)を除き,認める。 なお,ポリエステル部あるいはポリエステル部分は,レーヨン60%,ポリエステル40%である。 被告商品3は,全体として比較的濃い色である。 また,被告商品3に ア)a(a)①)を除き,認める。 なお,ポリエステル部あるいはポリエステル部分は,レーヨン60%,ポリエステル40%である。 被告商品3は,全体として比較的濃い色である。 また,被告商品3において,身頃胸部ギャザー(1322F)が上下方向に走る凹凸形状(1331F)と,中央部の谷形状のニット模様編みの部分(13211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編みの部分(13212L,13212R)が他商品に比して特徴的形態であること,ニットの外観は,独自の味わいを醸し出していることは争う。すなわち,上記ニット編み部分中の谷及び略半円(13211,13212L,13212R)は,身頃胸部のニット編み部分全体(1321F,13211,13212L,13212R)の一部分あるいは最下部に付属された部分にすぎず,これらの部分が独自な味わいを醸し出しているとは評価することはできない。 (イ) 第3商品の形態(前記(1)ア(ア)b)について被告主張の第3商品の形態の基本的構成及び具体的構成は,両袖部先端全周(235L,235R)のニット模様編みの幅が略3cmであるとの点(前記(1)ア(イ)b(a)①),襟口(231)がV字状であるとの点(前記(1)ア(イ)a(b)②)を除き,認める。なお,ポリエステル部あるいはポリエステル部分は,レーヨン60%,ポリエステル40%の合成である。 両袖部先端全周(235L,235R)のニット模様編みの幅は約5cmであり,前身頃の襟口(231)の形状は,U字状である。 (ウ) 対比(前記(1)ア(ア)c)について被告商品3と第3商品は,①前身頃及び後ろ身頃の着丈の長さが,前者は同じであるのに対し,後者は前身頃の方が後ろ身頃の着丈よりも長い点,②袖丈が,前者は44cmであるのに対し,後者は35 について被告商品3と第3商品は,①前身頃及び後ろ身頃の着丈の長さが,前者は同じであるのに対し,後者は前身頃の方が後ろ身頃の着丈よりも長い点,②袖丈が,前者は44cmであるのに対し,後者は35.7cmである点,③袖口幅が,前者は44cmであるのに対し,後者は55cmである点,④袖口のニット模様編みの幅が,前者が後者よりも広い点,⑤袖の中程にニット模様編みが,前者は存在するのに対し,後者は存在しない点,⑥ウエスト部分において,前者はウエスト全周にニット模様編みがあるのに対し,後者はウエスト全周に身頃と同じ生地による切り替えがある点,⑦胸部のニット模様編み下部中央の装飾の形状が,前者はほぼ完全な円形をしているのに対し,後者は菱形に近い形をしている点,⑧バスト,肩幅,着丈等各箇所の寸法の点において,相違している。 上記②ないし④により,両商品は,袖の形状が明確に異なる。 このように被告商品3と第3商品とを対比して観察した場合に,前身頃と後ろ身頃の長さの異同,袖の形状という基本的形態を明らかに異にし,袖の中程のニット模様編みの有無,袖口のニット模様編みの幅,ウエスト全周の装飾の生地,胸部のニット模様編み下部中央の装飾の形状,その他各箇所の寸法といった具体的部分においても多数相違しているから,形態が同一であるということも,実質的に同一といえる程に酷似しているということもできない。 したがって,両商品の形態は,実質的に同一ではない。 イ被告商品3及び第2商品の形態の実質的同一性(前記(1)イ(ア))について(ア) 被告商品3び第2商品が,胸部ニット模様編み部分とポリエステル部分との取り合い部に形成されるギャザー(1322F,1322B,2222F,2222B)による上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B,223 商品が,胸部ニット模様編み部分とポリエステル部分との取り合い部に形成されるギャザー(1322F,1322B,2222F,2222B)による上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B,2231F,2231B)を有すること,ニット模様編みの中央部の谷(13211,22211)及びその両側の二つの略半円形状のニット模様編み(13212L,13212R,22212L,22212R),腰部全周(1332,2232)にわたるニット模様編み部分を有することは認め,上記各部分が特徴的である旨の主張及び上記各部分に需用者が注意を惹きつけられる旨の主張は争う。 また,被告商品3及び第2商品が,両袖部先端部(135L,135R,225L,225R)のニット模様編みを有することは認める。 (イ) 被告商品3及び第2商品は,①着丈の長さが,前者は79cmであるのに対し,後者は71cmであり,これにより商品の種類が,前者はワンピースとされるのに対し,後者はチュニックとされる点,②袖丈の長さが,前者は44cmであるのに対し,後者は51.5cmである点,③袖の中程にニット模様編みが,前者は存在するのに対し,後者は存在しない点,④前身頃胸部ニット編み部分にボタンが,前者は存在するのに対し,後者は存在しない点,⑤腰部ニット模様編み部分にひもが,前者は存在しないのに対し,後者は存在する点,⑥バスト,肩幅等の寸法の点ににおいて相違する。 このように被告商品3と第2商品とを対比して観察した場合に,着丈の長さ及び袖の形状という基本的形態を明らかに異にし,袖の中程にあるニット模様編みの有無,身頃胸部のボタンの有無及び腰部のひもの有無,その他各箇所の寸法という具体的部分においても多数相違しているから,形態が同一であるということも,実質的に同一といえる程に酷似し るニット模様編みの有無,身頃胸部のボタンの有無及び腰部のひもの有無,その他各箇所の寸法という具体的部分においても多数相違しているから,形態が同一であるということも,実質的に同一といえる程に酷似しているということもできない。 したがって,両商品の形態は,実質的に同一ではない。 ウ依拠(前記(1)ア(イ),イ(イ))について(ア)a 第2商品の製造経緯は,前記2(2)イ(ア)のとおりであり,原告は,被告商品3の形態に依拠して第2商品を製造したものではない。 b 前記2(2)イ(ア)aのとおり,原告は,平成20年10月初旬ころ,アルファベット社の指示に基づいて,第2商品のファーストサンプルを製造し,アルファベット社に提供した。 その際,原告は,アルファベット社から,「(着丈が)長いのも作ってほしい」として,商品の製造依頼を受け,アルファベット社からの指示(甲23)に基づいて,第3商品のファーストサンプルを製造し,これをアルファベット社に提供した。さらに,原告は,同年11月初旬ころ,アルファベット社の指示に基づいて,セカンドサンプル製造し,これをアルファベット社に提供した。 その後,アルファベット社は,同月18日,原告に対し,第3商品の発注依頼をした。原告は,第3商品の縫製仕様書を作成の上,中国の協力工場に製造を依頼した後,平成21年1月21日,製造された第3商品619枚をアルファベット社に納品した。 第3商品の製造経緯は,上記のとおりであり,第3商品は,本件提案サンプルのデザインを基本とし,着丈,袖丈,腰部全周の切り替えの幅,裾丈の寸法等についてアルファベット社の原告に対する指示に基づいて製造されたものであって,被告商品3の形態に依拠して製造したものではない。 第3商品に胸部模様編み下部のモチーフ編みが付けられ 幅,裾丈の寸法等についてアルファベット社の原告に対する指示に基づいて製造されたものであって,被告商品3の形態に依拠して製造したものではない。 第3商品に胸部模様編み下部のモチーフ編みが付けられた経緯は,前記2(2)イ(ア)bのとおりであり,当該モチーフ編みは,原告が意図したものではなかったから,第3商品に当該部分が存在するからといって,原告が第3商品の製造に際し被告商品3の形態に依拠したものとはいえない。 (イ) 被告商品3は,被告商品2について述べたのと同様(前記2(2)イ(イ))に,原告が独自に開発製造した本件提案サンプルを基に製造された商品であり,被告商品3のデザインは,本件提案サンプルを基本として部分的に改変を加えたものにすぎないこと,被告は,原告の生地リスクの下で安全かつ迅速な商品開発を行うことができるというメリットを享受していること,原告は,被告商品3の開発において,ファーストサンプル及びセカンドサンプルの製造,受注後の協力工場への製造依頼,納品等被告商品3の商品化において必要不可欠な役割を果たしていることからすると,原告は,被告商品3の開発において,費用と労力を負担しているといえるから,被告商品3は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない。 エ小括以上のとおり,第3商品及び第2商品の形態は,いずれも被告商品3の形態と実質的に同一ではなく,第3商品及び第2商品は被告商品3の形態に依拠して製造したものではないから,第3商品及び第2商品は,いずれも被告商品3の形態を模倣した商品とはいえない。 また,そもそも被告商品3は,原告にとって「他人の商品」に該当しない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第3商品及び第2商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行 ない。 また,そもそも被告商品3は,原告にとって「他人の商品」に該当しない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第3商品及び第2商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当しない。 4 争点2(被告の損害額)について(1) 被告の主張ア不正競争防止法5条1項の損害額(ア) 第1商品ないし第3商品の譲渡数量原告は,アルファベット社に対し,第1商品を593枚,第2商品を596枚,第3商品を619枚製造販売した。 (イ) 単位数量当たりの利益額被告商品1の1枚当たりの利益額は6376円,被告商品2の1枚当たりの利益額は5256円,被告商品3の1枚当たりの利益額は7186円である。 上記各利益額の算出根拠は,別紙計算書記載のとおりである。別紙計算書中の「卸価格(定価の55%程度)」とは,被告の各卸先の卸価格の平均単価が定価の55%程度であることを意味する。 (ウ) 損害額そうすると,不正競争防止法5条1項に基づく被告の損害額は,被告商品1の模倣行為による侵害に係る分が378万0968円(593枚×6376円),被告商品2の模倣行為による侵害に係る分が313万2576円(596枚×5256円),被告商品3の模倣行為による侵害に係る分が第3商品との関係で444万8134円(619枚×7186円)及び第2商品との関係で428万2856円(596枚×7186円)の合計1564万4534円となる。 (エ) 被告商品1についての「販売することができないとする事情」の不存在等原告は,後記のとおり,被告商品1は第1商品の販売が開始された時点で既に販売は終了し,再発注の可能性もなかったから,被告商品1と第1商品が市場において競合することはなかったなどとして,第1商品は,被告商品1との とおり,被告商品1は第1商品の販売が開始された時点で既に販売は終了し,再発注の可能性もなかったから,被告商品1と第1商品が市場において競合することはなかったなどとして,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」(不正競争防止法5条1項)に該当せず,また,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」(同項ただし書)が存在する旨主張する。 しかし,売れ残っていた被告商品1は平成21年1月中旬までセール販売されており,第1商品の販売が開始される前に被告商品1が完売されていたわけではない。また,被告商品1は,売り場の前面に出して販売をし,雑誌にも掲載されるなど,人気商品と呼べるものであって,再発注の可能性がなかったわけではない。現に被告商品1と実質的に同一である第1商品が異なる時期に販売されているのであるから,被告商品1について再発注の可能性があったというべきである。 さらに,被告においては,契約その他の制限があるために被告商品1を製造販売することが不可能であったというような事情は存在せず,原告による第1商品の製造販売行為がなければ,さらなる追加注文を受け,被告商品1を販売し得たものである。 したがって,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」に該当し,また,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」は存在しないから,原告の上記主張は,理由がない。 イ小括したがって,被告は,原告に対し,不正競争防止法4条,5条1項に基づく1564万4534円の損害賠償請求権(本件相殺の自働債権)を取得したものである。 (2) 原告の主張ア被告主張の損害額は したがって,被告は,原告に対し,不正競争防止法4条,5条1項に基づく1564万4534円の損害賠償請求権(本件相殺の自働債権)を取得したものである。 (2) 原告の主張ア被告主張の損害額は争う。 イ被告商品1については,以下のとおり,第1商品の販売が開始された時点で既に販売は終了し,再発注の可能性もなく,被告商品1と第1商品が市場において競合することはなかったものであり,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」(不正競争防止法5条1項)に該当せず,また,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」(同項ただし書)が存在するというべきである。 (ア) 被告商品1は,平成20年7月から同年9月までを販売シーズンとして想定した「秋物」として商品化され,同年6月に店頭販売が開始されたが,当該シーズン中で完売されることなく売れ残り,さらに,これを売り尽くすべくセールを行った後の平成21年1月中旬の時点においてもなおも売れ残りが生じていたから,その後売れる可能性はほぼ皆無であった。したがって,被告商品1は,人気商品といえるような商品ではない。 また,ある商品が次の年の同一シーズンに再販売されることは,定番商品でもない限りほとんどないところ,被告商品1は定番商品ではなく,その時々の流行を取り入れた流行商品であるから,シーズンを超えて販売されることなど想定されておらず,ましてや次年度以降の同一シーズンに再販売されることなど全く予定されていなかった。 (イ) 被告商品1は,平成21年1月終わりころから同年2月初めころには店頭から回収され,倉庫に保管されるなどしたが,他方で,第1商品は,同年1月13日に納品され,その後,店頭販売されており,第 (イ) 被告商品1は,平成21年1月終わりころから同年2月初めころには店頭から回収され,倉庫に保管されるなどしたが,他方で,第1商品は,同年1月13日に納品され,その後,店頭販売されており,第1商品及び被告商品1が同時に店頭販売された時期は,全くなかったか,あったとしてもごくわずかであったはずである。 しかも,上記(ア)のとおり,被告商品1は,前年の平成20年7月から9月までを販売時期として想定されていた商品であり,同期間を超え,セールでも売れ残っていたのであるから,第1商品の販売時点において,商品としての価値は皆無に等しく,被告商品1は実質的には第1商品と競合関係にあったとはいえず,第1商品の販売により被告商品1の販売に何ら影響があったとは考えられない。 (ウ) したがって,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」(不正競争防止法5条1項)に該当せず,また,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」(同項ただし書)が存在するというべきであるから,被告商品1の模倣行為による侵害に係る不正競争防止法5条1項に基づく被告主張の損害額は,理由がない。 5 争点3(信義則違反の有無)について(1) 原告の主張ア(ア) 前記1(2)ア(ウ)aのとおり,今日のアパレル業界のOEM取引においては,製造供給業者は同時に複数のアパレル業者との間で取引を行い,しかも,製造供給業者が流行予測に基づき購入した生地又は製造した提案サンプルを利用した商品開発が一般に行われていること,そのため同一の製造供給業者と取引を行う各業者の商品のデザインにある程度共通性が生じることは不可避であり,このような共通性が生じることを許容され,ディテールに相違点があれば 一般に行われていること,そのため同一の製造供給業者と取引を行う各業者の商品のデザインにある程度共通性が生じることは不可避であり,このような共通性が生じることを許容され,ディテールに相違点があればオリジナルデザインを有する別個の商品とみなされている実情があり,被告もかかる実情を知らなかったはずはない。 また,複数の業者との間において取引関係にある製造供給業者が事前購入できる生地には限りがあるため,生地の重複は避けられず,商品は生地と流行によりデザインがある程度規定されるから,生地が重複する以上,デザインにまで重複が生じることは当然あり得る事態である。そして,今日における日本のファッションの流行は世界のトップブランドの最新デザインに従って作られるから,各社商品のデザインはその当時の流行に倣ったものとなり,自ずとデザインに重複が生じてくる。 被告は,原告の流行予測結果を利用し,原告の生地リスクの下で,迅速に,商品の開発製造を実現するというメリットを享受するために,原告とのOEMを採用したものであるが,OEMにおいて他社商品のデザインとの間にある程度共通性が生じることは,上記メリットと表裏の関係にある。 (イ) 被告商品1ないし3及び第1商品ないし第3商品は,寸法,装飾等の諸点において明白に相違しており,今日のアパレル業界の常識に従えば,第1商品ないし第3商品は明らかにオリジナル商品として許容されるものである。 イ以上によれば,被告が,同一の製造供給業者とOEM取引を行っている業者の商品間ではデザインに共通性が生じることは当然に生じる事態であることを認識し,原告の生地リスクの下,原告の流行予測を利用し,迅速な商品開発を実現するというメリットを享受すべく原告とのOEMを採用しながら,被告商品1ないし3及び第1商品ないし第3 じる事態であることを認識し,原告の生地リスクの下,原告の流行予測を利用し,迅速な商品開発を実現するというメリットを享受すべく原告とのOEMを採用しながら,被告商品1ないし3及び第1商品ないし第3商品のデザイン間に明白な相違点があるにもかかわらず,第1商品ないし第3商品が被告商品1ないし3の形態を模倣した商品であるなどとして不正競争防止法に基づく損害賠償請求権を行使することは,今日のOEMの実情を無視し,アパレル業界の取引通念を逸脱し,原告の正当な取引上の信頼を著しく害するものであるから,被告による本件相殺の主張は,信義則に反し,許されない。 (2) 被告の主張ア原告が主張するように,OEMにおいて,同一の製造供給業者から商品の製造供給を受けているアパレル業者間で生地の重複があることが避けられず,アパレル業者はそれを許容していること,被告においても,OEMにおいて生地の重複が生じ得ることを許容し,迅速に商品開発を行うというメリットを享受すべくOEMを採用したことは認める。 しかし,OEMにおいて,デザインにある程度共通性が生じることが避けられず,それも許容されているという点については,「ある程度」の程度によるものであって,他ブランドとデザインが重ならないようにすることは常識であり,ましてや,他社の商品に依拠したサンプルを提案し,類似商品を他社に流すということが許容されているはずがない。 第1商品ないし第3商品の形態は,被告商品1ないし3と実質的に同一であり,許容される程度の類似にとどまるものではない。 仮にOEM製造を依頼する業者が他社への類似商品の供給を許容しなければならず,不正競争防止法による保護を受けられないとすれば,OEM取引は敬遠され,かえって,製造供給業者にとって不利な事態に陥ることになる。 また する業者が他社への類似商品の供給を許容しなければならず,不正競争防止法による保護を受けられないとすれば,OEM取引は敬遠され,かえって,製造供給業者にとって不利な事態に陥ることになる。 また,製造供給業者の提案サンプルとそれを基にした商品の相違点が部分的改変にとどまらない場合も当然に存在し,需要者からみて,提案サンプルとは異なる商品であると捉えられるようなものもある。このような商品は提案サンプルとは別の商品として,不正競争防止法によって保護されるべきである。提案サンプルの提供を受けたということだけで,その者のデザインの考案,その者の独特のデザイン市場の形成が保護されなくなるなどという考えは,あまりにも乱暴な理論である。 さらに,被告は,各製造供給会社に対し,同じようなものを売らないでほしいということや,被告のデザインが取り入れられたサンプルを他ブランドには見せないで欲しいということを伝えており,そのことについて気遣ってくれる会社がほとんどである。被告は,原告従業員のA1に対しても,似たものは売らないように伝えていた。 原告は,注文に対して迅速に対応するため,生地を大量に購入しておかなければならないことによるリスクを主張するが,一方で,製造供給業者は,そのような迅速な対応を「売り」にして多くの顧客を獲得し利益を得ているのであるから,リスクの面のみが強調されるべきではない。このようなリスクは企業努力によって克服されてしかるべきものである。原告による生地の購入は被告のためだけにされるわけではなく,全ての取引先アパレル業者のためにされることである。また,被告は,原告の他の取引先アパレル業者との間においてデザインに共通性が生じることを当然の前提に取引を行っていたわけではない。 なお,原告提出の甲25ないし44は,本件提案サンプ ことである。また,被告は,原告の他の取引先アパレル業者との間においてデザインに共通性が生じることを当然の前提に取引を行っていたわけではない。 なお,原告提出の甲25ないし44は,本件提案サンプルを基に製造された商品のものではなく,当該提案サンプルとどれほどの違いがあるのか不明であり,また,原告が挙げる取引先が甲25ないし44で示される共通性を把握し,これを許容しているかどうかについても不明であるから,本件とは無関係である。 イしたがって,被告が原告に対して不正競争防止法に基づいて損害賠償請求権を行使することは,何ら信義則に反するものではないから,被告による本件相殺の主張が信義則に反し許されないとの原告の主張は,理由がない。 第4 当裁判所の判断原告が被告に対する本件代金請求権(638万1481円)を取得したことは,前記争いのない事実等(2)のとおりである。 これに対し被告は,被告の原告に対する不正競争防止法4条,5条1項に基づく損害賠償請求権を自働債権とする本件相殺により,本件代金請求権は消滅し,その支払義務はない旨主張するので,以下において判断する。 1 争点1-1(被告商品1の形態の模倣の有無)について(1) 本件の経過等前記争いのない事実等と証拠(甲4ないし24,45,乙1ないし10,12ないし17(以上,枝番のあるものは枝番を含む。),検甲1,検乙1ないし6,証人A1,証人C1,証人B1)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件の経過等として,以下の事実が認められる。 ア原告と被告は,平成19年7月6日ころ,本件製造物供給契約を締結し,以後,原告が,被告の注文に基づいて,婦人服を製造し,被告に供給するようになった。 原告と被告の取引は,原告が提案する生地又はサンプル品を基に,被告がデザインをし 本件製造物供給契約を締結し,以後,原告が,被告の注文に基づいて,婦人服を製造し,被告に供給するようになった。 原告と被告の取引は,原告が提案する生地又はサンプル品を基に,被告がデザインをして婦人服を発注し,原告が被告のブランド名で製造する,いわゆるOEM供給によるものであった。 原告は,被告のほかに,OEM供給を行う取引先を数十社有し,これらの取引先に対しても,被告に提案する生地又はサンプル品と同じものを提案していた。そのため,原告の取引先間で,商品に使用する生地が重複する事態が生じ得るものであり,被告においても,原告と取引を行うに際し,このような事態が生じ得ることを認識していた。 原告は,被告を含む取引先から注文を受けた婦人服の製造を中国の工場に依頼して行っていた。 一方,被告は,婦人服販売の直営店を有し,原告から供給を受けた婦人服を直営店で販売するとともに,他の業者に卸販売をしていた。 イ(ア) 原告従業員のA1は,平成20年2月ころ,被告従業員のB1(以下「B1」という。)の依頼に応じて,十数種類の生地の見本(生地スワッチ)を被告に送付した。 被告従業員のC1(以下「C1」という。)及びD1(以下「D1」という。)は,原告から送付された上記生地の中からシフォンとサテンの2種類の生地を選択して,D1がワンピースのデザインをした。 被告従業員のE1(以下「E1」という。)は,D1のデザインに基づいて縫製指示書(乙4)及びパターン(型紙。以下同じ。)を作成し,同月28日,それらをA1に送付した。 原告は,被告から送付された上記縫製指示書とパターンを基に商品のファーストサンプルを製造し,これを被告に送付した。 D1,E1及びC1は,上記ファーストサンプルを検討し,前記縫製指示書(乙4)に修正点を書き込み 送付された上記縫製指示書とパターンを基に商品のファーストサンプルを製造し,これを被告に送付した。 D1,E1及びC1は,上記ファーストサンプルを検討し,前記縫製指示書(乙4)に修正点を書き込み,同年3月26日,これを修正したパターンと共に原告に送付し,修正を指示した。 (イ) 被告は,平成20年4月8日から同月10日にかけて,被告の展示会において,被告の修正指示に基づいて製造された被告商品1のサンプル品を発表した。 (ウ) 被告は,平成20年4月21日,原告に対し,本件製造物供給契約に基づいて,被告商品1の製造を発注し,同年6月4日,原告から,被告商品1を458枚納品を受け,同月6日,被告の直営店及び卸販売先の業者に出荷した。 被告商品1は,同月6日ころから,被告の直営店の店頭及び卸販売先において,「秋物」(秋物商品)として,販売された。 その後,平成20年12月ころから平成21年1月中旬ころまでの間,被告の直営店で,売れ残った被告商品1のバーゲンセールが行われた。 被告商品1(検乙1)の形態は,別紙1の写真(上段)のとおりである(ただし,上記写真画像の色彩は検乙1と同一ではない。)。 (エ) 原告は,平成20年11月17日,アルファベット社から,第1商品の製造販売の発注を受けた。 原告は,平成21年1月13日,上記発注に基づいて,アルファベット社に対し,第1商品を593枚納品した。 第1商品(検乙4)の形態は,別紙1の写真(下段)のとおりである(ただし,上記写真画像の色彩は検乙4と同一ではない。)。 ウ(ア) 被告従業員のC1とD1は,平成20年3月27日ころ,原告の展示会に行ったところ,原告が製造した本件提案サンプル(検甲1)が展示されていた。 その後,被告は,同年7月ころ,原告に依頼して,本件 被告従業員のC1とD1は,平成20年3月27日ころ,原告の展示会に行ったところ,原告が製造した本件提案サンプル(検甲1)が展示されていた。 その後,被告は,同年7月ころ,原告に依頼して,本件提案サンプルの送付を受け,これを基にデザインの検討を始めた。 被告は,原告に対し,同月16日,生地染めの色指示書(乙12)を送付し,同月18日,本件提案サンプルを基にデザインした2種類の婦人服の縫製指示書(乙7の1ないし5)及びパターンを送付した。 上記縫製指示書には,本件提案サンプルの胸部ニット模様編みの下部のラインを変更して新たに被告がデザインをしたモチーフ編みを付けること(乙7の1),上記モチーフ編みを付ける位置(乙7の2,4),上記モチーフ編みを袖口にも付けること(乙7の4)などの指示が記載されている。 原告は,これらの指示に基づき,2種類の商品のファーストサンプルを作成し,被告に送付した。 被告は,同年8月12日,原告に対し,上記各ファーストサンプルを修正する指示(乙7の3,5)をし,同年9月8日,その指示に基づいて製造されたセカンドサンプルについて,さらに再修正する指示(乙7の3,5)をした。 (イ) 被告は,平成20年10月7日から同月9日にかけて,展示会において,被告の再修正指示に基づいて製造された被告商品2及び被告商品3のサンプル品を発表した。 (ウ) 被告は,平成20年10月20日,原告に対し,本件製造物供給契約に基づいて,被告商品2及び被告商品3の製造を発注し,平成21年1月26日,原告から,被告商品2を538枚,被告商品3を1173枚納品を受け,同月30日,被告の直営店及び卸販売先の業者に出荷した。 被告商品2及び被告商品3は,同月30日ころから,被告の直営店の店頭及び卸販売先において販売さ 38枚,被告商品3を1173枚納品を受け,同月30日,被告の直営店及び卸販売先の業者に出荷した。 被告商品2及び被告商品3は,同月30日ころから,被告の直営店の店頭及び卸販売先において販売された。 被告商品2(検乙2)の形態は,別紙2の写真(上段)のとおりであり,被告商品3(検乙3)の形態は,別紙3の写真(上段)及び別紙4の写真(上段)のとおりである(ただし,上記各写真画像の色彩は,検乙2及び検乙3と同一ではない。)。 (エ) 原告は,平成20年11月18日,アルファベット社から,第2商品及び第3商品の製造販売の発注を受けた。 原告は,上記発注に基づいて,アルファベット社に対し,平成21年1月9日に第2商品を596枚,同月21日に第3商品を619枚それぞれ納品した。 第2商品(検乙5)の形態は,別紙2の写真(下段)及び別紙4の写真(下段)のとおりであり,第3商品(検乙6)の形態は,別紙3の写真(下段)のとおりである(ただし,上記各写真画像の色彩は,検乙5及び検乙6と同一ではない。)。 エ(ア) 被告は,平成21年2月中旬ころ,アルファベット社の店頭において,第2商品及び第3商品が販売されていることを確認した際,第2商品及び第3商品が被告商品2及び3を模倣した商品であると考え,原告に説明に来るように要請した。 (イ) 原告取締統括部長のF1(以下「F1」という。)とA1は,平成21年3月3日,被告を訪れ,被告代表者,C1及びB1との間で話合いをした。 その後,F1は,「類似商品の販売についてのお詫び」と題する同月4日付け書面(乙1)を被告に提出した。 上記書面には,「このたびの御社企画の商品に対する類似品を他社に販売いたしましたこと,誠に申し訳なく,お詫び申し上げます。」などの記載がある。 (ウ) 4日付け書面(乙1)を被告に提出した。 上記書面には,「このたびの御社企画の商品に対する類似品を他社に販売いたしましたこと,誠に申し訳なく,お詫び申し上げます。」などの記載がある。 (ウ) 被告は,平成21年3月13日,原告に対し,原告が被告商品1ないし被告商品3を模倣した商品を販売しているとして,「アルファベット社商品」の販売の差止め,被告商品2及び被告商品3の在庫の買取り等及び損害賠償を求める旨の同日付け書面(甲4)を送付した。 被告は,同月16日,被告商品2の在庫(199枚)及び被告商品3の在庫(672枚)を原告に返品し,同月23日,原告に対し,上記返品分を店頭販売価格で算出した買取代金(消費税分を含む。)として1051万4910円を請求した。 (エ) 原告の代理人弁護士は,平成21年4月1日到達の内容証明郵便で,被告に対し,第2商品及び第3商品は,被告商品2及び被告商品3の形態を模倣したものではなく,被告の請求に応じることはできない,F1は,被告との取引関係を悪化させないように譲歩して詫び状を提出しただけである旨の通知(甲7の1)をした。 (オ) 原告は,平成21年5月27日,本件訴訟を提起した。 (2) 被告商品1及び第1商品の形態の実質的同一性の有無ア被告商品1及び第1商品の形態の共通点及び相違点(ア) 前記(1)の認定事実及び弁論の全趣旨によれば,①被告商品1(検乙1)は,被告が原告から提供を受けた生地を基にデザインをし,本件製造物供給契約に基づいて平成20年4月21日に原告に製造を発注し,原告が中国の工場に製造委託をして製造された商品であること,②第1商品(検乙4)は,原告が同年11月17日にアルファベット社から製造販売の発注を受けたことに基づいて中国の工場に製造委託をして製造された商品であ 工場に製造委託をして製造された商品であること,②第1商品(検乙4)は,原告が同年11月17日にアルファベット社から製造販売の発注を受けたことに基づいて中国の工場に製造委託をして製造された商品であることが認められる。 (イ) 被告商品1が前記第3の1(1)ア(ア)a記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有すること,第1商品が同b記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有することは,当事者間に争いがない。 上記争いのない事実と証拠(甲18,19,乙4,検乙1,4)を総合すると,被告商品1及び第1商品の形態には,次のとおりの共通点及び相違点があることが認められる。 A 共通点① 材質はポリエステルで,比較的濃い色のシフォン(ビンテージシフォン)と比較的薄い色のサテン(ビンテージサテン)の2種類の生地が使用されている点② 別紙1の写真に示すように,前身頃は,襟口(111,211)と,胸部(112F,112B,212F,212B)と,胸部直下から裾まで続く胴部(113,213)とで形成され,胸部(112F,212F)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色,下側が薄い色となっており,また,後ろ身頃においても,胸部(112B,212B)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色,下側が薄い色となっている点③ 前身頃及び後ろ身頃において,胸部(112F,112B,212F,212B)に横方向全面に幅約1.5cmのステッチのひだが約1.3cmピッチで形成されている点④ 上記③の胸部のステッチのひだが,前身頃(112F,212F)においてはビンテージシフォン及びビンテージサテンの2種類の生地部分に形成されているのに対し,後ろ身頃(112B,212B)においてはビンテージシフォンの生地部分にのみ形成されている点 F)においてはビンテージシフォン及びビンテージサテンの2種類の生地部分に形成されているのに対し,後ろ身頃(112B,212B)においてはビンテージシフォンの生地部分にのみ形成されている点⑤ 身頃と両袖部との取り合い部(114L,114R,214L,214R)においては,胸部側に,ステッチのひだが自然に平面に拡散する納まりとなるギャザーが形成されている点B 相違点① 着丈が,被告商品1は81cmであるのに対し,第1商品は70cmであり,被告商品1は第1商品より11cm長い点② 前身頃の襟口の形状が,被告商品1(111)が略緩やかなV字状であるのに対し,第1商品(211)は略緩やかなU字状である点③ 肩から袖にかけてのラインの形状が,被告商品1は肩口がやや角張っているのに対し,第1商品は肩口が丸みを帯び,なだらかなラインになっている点イ検討(ア) 以上を前提に,被告商品1(検乙1)の形態と第1商品(検乙4)の形態とを比較すると,両商品は,①比較的濃い色のビンテージシフォンと比較的薄い色のビンテージサテンの2種類の生地を使用し,胸部(112F,112B,212F,212B)の略2分の1の高さを境にして,上側が濃い色,下側が薄い色となっているという基本的な構成(前記ア(イ)A①,②)において共通し,②前身頃及び後ろ身頃において,胸部に横方向全面に幅約1.5cmのステッチのひだが約1.3cmピッチで形成され,しかも,上記ステッチのひだが,前身頃(112F,212F)においてはビンテージシフォン及びビンテージサテンの2種類の生地部分に形成されているのに対し,後ろ身頃(112B,212B)においてはビンテージシフォンの生地部分にのみ形成されている点,身頃と両袖部との取り合い部(114L,114R,214 テンの2種類の生地部分に形成されているのに対し,後ろ身頃(112B,212B)においてはビンテージシフォンの生地部分にのみ形成されている点,身頃と両袖部との取り合い部(114L,114R,214L,214R)においては,胸部側に,ステッチのひだが自然に平面に拡散する納まりとなるギャザーが形成されている点という特徴的な形態(前記ア(イ)A③ないし⑤)においても共通していることによれば,被告商品1と第1商品は,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるものと認められる。 もっとも,被告商品1と第1商品には,前記ア(イ)B①ないし③のとおりの相違点や袖口等の寸法の違い(甲18,乙4,検乙1,4)がある点で相違するが,これらの相違は,商品の全体的形態に与える変化に乏しく,商品全体からみるとささいな相違にとどまるものと認められるから,被告商品1及び第1商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではないというべきである。 (イ)a 原告は,上下2色で形成された胸部のひだ及びギャザーを有する商品は,被告商品1のほかにも多数存在し,被告商品1が当該ひだ等を有すること(前記ア(イ)A③ないし⑤)が,他商品に比して特徴的であるといえず,また,当該デザインはシフォン及びサテンの2種類の異なる生地を与えられた場合比較的容易に想起し得るありふれたものであって,保護されるべき商品形態に当たらない旨主張する。 しかし,原告がアルファベット社に第1商品を製造販売した当時,被告商品1のように,上下2色で形成された胸部のひだ及びギャザーを有する商品が,他に多数存在していたことを認めるに足りる証拠はなく,また,被告商品1の前記ア(イ)A③ないし⑤の形態がありふれたものであることを認めるに足りる証拠もない。 したがって,原告の上記主張は, 品が,他に多数存在していたことを認めるに足りる証拠はなく,また,被告商品1の前記ア(イ)A③ないし⑤の形態がありふれたものであることを認めるに足りる証拠もない。 したがって,原告の上記主張は,理由がない。 b 次に,原告は,①今日のアパレル業界のOEM取引においては,製造供給業者は同時に複数のアパレル業者との間で取引を行い,しかも,製造供給業者が流行予測に基づき購入した生地又は製造した提案サンプルを利用した商品開発が一般に行われていること,そのため同一の製造供給業者と取引を行う各業者の商品のデザインにある程度共通性が生じることは不可避であり,このような共通性が生じることを許容され,ディテールに相違点があればオリジナルデザインを有する別個の商品とみなされていることなどの実情に鑑みると,被告商品1と第1商品のように,同一の製造供給業者とのOEMにより製造された商品間における形態の実質的同一性の判断に際しては,寸法,装飾等に相当程度の相違が存すれば実質的同一性は否定されると解さなければならない,②被告商品1と第1商品とを対比して観察した場合に,着丈の長さ,肩のライン及び袖の形状という基本的な形態が大きく相違し,襟口の形状,その他各箇所の寸法も相違し,見る者に与える印象が大きくことなるから,被告商品1及び第1商品の形態は,実質的は同一ではない旨主張する。 しかし,同一の生地を基に婦人服を製造したからといって必ずしも同一のデザインになるものとは限らないし,前記(ア)認定のとおり,原告が主張する被告商品1及び第1商品の相違点は,商品の全体的形態に与える変化に乏しく,商品全体からみるとささいな相違にとどまるものと認められるから,両商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。 したがって,原告の上記主張は,採用するこ 形態に与える変化に乏しく,商品全体からみるとささいな相違にとどまるものと認められるから,両商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (ウ) 以上のとおり,被告商品1及び第1商品の形態は,実質的に同一である。 (3) 依拠の有無ア前記(1)及び(2)の認定事実によれば,①被告商品1及び第1商品は,原告が提供した同種類の生地を基に,原告が製造委託をした中国の工場で製造されていること,②アルファベット社から原告に対する第1商品の製造販売の発注があった時期(平成20年11月17日)は,被告から原告に対する発注に基づいて製造された被告商品1の販売が,被告の直営店の店頭及び卸販売先で開始された時期(同年6月6日ころ)よりも約5か月後であること,③被告商品1及び第1商品の形態は実質的に同一であることからすれば,原告は,被告商品1の形態に依拠して第1商品を製造したものと認められる。 イこれに対し,原告は,第1商品は,原告従業員のA1がアルファベット社の担当者から,雑誌に掲載された2種類の素材で同系色の生地を使用し,身頃胸部にはステッチのひだが存する商品(被告以外の業者の商品)の写真を示され,それを基にして寸法,装飾等につき原告がアルファベット社から指示を受けて製造したものであって,被告商品1の形態に依拠して製造したものではないなどと主張し,これに沿う証人A1の供述部分及び陳述書(甲24)の記載部分がある。 しかし,他方で,証人A1は,アルファベット社の担当者から見せられた雑誌の名称,掲載されていた商品の業者のブランド名については,覚えていない旨供述していること,当該雑誌のコピーその他証人A1の上記供述部分(上記陳述書の記載部分を含む。)を客観的に裏 から見せられた雑誌の名称,掲載されていた商品の業者のブランド名については,覚えていない旨供述していること,当該雑誌のコピーその他証人A1の上記供述部分(上記陳述書の記載部分を含む。)を客観的に裏付ける証拠は提出されていないことに照らすと,証人A1の上記供述部分は,措信することはできない。 また,前記(2)イ(ア)認定のとおり,被告商品1及び第1商品の形態は酷似しており,このような酷似は,原告がアルファベット社の指示に従って第1商品を製造した結果,偶然に生じたものとは考え難く,むしろ,原告が被告商品1の製造過程で把握した被告商品の形態に関する情報が利用されたことに起因するものと解するのが自然である。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 ウまた,原告は,被告商品1の開発において,OEM製造供給業として,「生地リスク」(取引先業者から発注があった場合に速やかに商品化を実現できるように,あらかじめ,取引先業者が欲するであろう生地を予測して,当該生地を大量に購入し,提案した生地による商品開発において,最終的に商品化に至らなかった場合に負担する生地代金相当額のリスク)を負い,被告はかかる原告の生地リスクの下で商品開発を行うことができるというメリットを享受していること,原告は,生地の事前購入,生地提案,サンプルの製造,受注後の協力工場への製造依頼,納品,その他被告商品1の商品化において必要不可欠な役割を果たしており,被告の独力により被告商品1を製造しているとはいえないことからすると,原告は,被告商品1の開発において,被告の共同開発者として,費用と労力を負担しているといえるから,被告商品1は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない旨主張する。 しかし,被告商品1の生地の代金は製造代金に含まれてお して,費用と労力を負担しているといえるから,被告商品1は,原告にとって「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当しない旨主張する。 しかし,被告商品1の生地の代金は製造代金に含まれており,原告が事前に当該生地を購入し,原告主張の「生地リスク」を負っているからといって原告が被告商品1の開発費用を負担したことにはならない。 また,被告商品1のデザインは被告が独自に行い,原告は被告の指示に従って被告商品1を製造したにすぎず,そのデザインの創作に関与したものとはいえない。この点について証人A1の供述中には,2種類の生地の組合せが売れるということで,シフォンとサテンの2種類の生地を1枚の台紙に貼ったものを被告に送付して生地の提案をした旨の供述部分があり,これと同旨の陳述書(甲24)の記載部分がある。しかし,証人C1及び証人B1は,原告から送付のあったのは1枚の台紙に生地のサンプルが1枚付いたもの(生地スワッチ)であり,1枚の台紙に2種類の生地を貼ったものが送付されたことはない旨供述していること,原告が被告に対し2種類の生地を1枚の台紙に貼った生地サンプルを作成し,これを送付したことを客観的に裏付ける証拠は提出されていないことに照らし,証人A1の上記供述部分及び上記陳述書の記載部分は措信することはできない。 さらに,原告による被告商品1の製造及び被告への納品は,被告との間の本件製造物供給契約に基づくものであり,原告は,その製造及び納品の対価として,被告商品1の製造代金を被告に請求できることに照らすと,原告が被告商品1の製造及び納品を行ったからといって,被告商品1の開発について被告と共同して費用と労力を負担しているとはいえない。 したがって,被告商品1が原告にとって「他人の商品」に該当しないとの原告の上記主張は,理由がない 行ったからといって,被告商品1の開発について被告と共同して費用と労力を負担しているとはいえない。 したがって,被告商品1が原告にとって「他人の商品」に該当しないとの原告の上記主張は,理由がない。 (4) 小括以上によれば,第1商品は被告商品1に依拠して作成された実質的に同一の形態の商品であると認められるから,第1商品は,被告商品1の形態を模倣した商品に該当するというべきである。 したがって,原告のアルファベット社に対する第1商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 2 争点1-2(被告商品2の形態の模倣の有無)について(1) 被告商品2及び第2商品の形態の実質的同一性の有無ア被告商品2及び第2商品の形態の共通点及び相違点(ア) 前記1(1)の認定事実及び弁論の全趣旨によれば,①被告商品2(検乙2)は,被告が原告から提供を受けた本件提案サンプルを基にデザインをし,本件製造物供給契約に基づいて平成20年10月20日に原告に製造を発注し,原告が中国の工場に製造委託をして製造された商品であること,②第2商品(検乙5)は,原告が同年11月18日にアルファベット社から製造販売の発注を受けたことに基づいて中国の工場に製造委託をして製造された商品であることが認められる。 (イ) 証拠(検乙2,5)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品2は,前記第3の2(1)ア(ア)a記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有し,第2商品は,同b記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有すること,被告商品2及び第2商品のポリエステル部の組成は,ポリエステル40%,レーヨン60%であることが認められる。 上記認定事実と証拠(甲20,21,乙7の1ないし3,検乙2,5)を総合すると,被告商品2及び第2商品の形態には, エステル部の組成は,ポリエステル40%,レーヨン60%であることが認められる。 上記認定事実と証拠(甲20,21,乙7の1ないし3,検乙2,5)を総合すると,被告商品2及び第2商品の形態には,次のとおりの共通点及び相違点があることが認められる。 A 共通点① 別紙2の写真に示すように,半袖のチュニックであり,ポリエステル部(ポリエステル40%,レーヨン60%。以下同じ。)とニット模様編み部から構成されている点② 前身頃及び後ろ身頃において,ポリエステル部を囲んで,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1221F,1221B,2221F,2221B)にニット模様編みが,腰部全周(1232,2232)にわたって幅略3cmのニット模様編みがそれぞれ形成されている点③ 前身頃,後ろ身頃共,胸部のニット模様編み部分と取り合うポリエステル部には,ギャザー(1222F,1222B,2222F,2222B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(1231F,1231B,2231F,2231B)を作り出している点④ 前身頃胸部のニット模様編み(1221F,2221F)は一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,中央部に略逆三角形の谷形状のニット模様編み(12211,22211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編み(12212L,12212R,22212L,22212R)が形成されている点⑤ 前身頃の襟口(121,221)は略緩やかなU字状に形成されている点B 相違点① 被告商品2においては,上腕部にニット模様編み(125L,125R)が形成されているが,袖口には形成されていないのに対し,第2商品においては,袖口にニット模様 されている点B 相違点① 被告商品2においては,上腕部にニット模様編み(125L,125R)が形成されているが,袖口には形成されていないのに対し,第2商品においては,袖口にニット模様編み(225L,225R)が形成されているが,上腕部には形成されていない点② 袖口幅が,被告商品2は38cmであるのに対し,第2商品は44cmであり,被告商品1は第1商品より6cm狭い点イ検討(ア) 以上を前提に,被告商品2(検乙2)の形態と第2商品(検乙5)の形態とを比較すると,両商品は,半袖のチュニックであり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,前身頃及び後ろ身頃において,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1221F,1221B,2221F,2221B)にニット模様編みが,腰部全周(1232,2232)にわたって幅略3cmのニット模様編みがそれぞれ形成されているという基本的な構成(前記ア(イ)A①,②)において共通し,具体的構成においても,前記ア(イ)A③ないし⑤のとおり共通している。 しかし,他方で,被告商品2においては,上腕部にニット模様編み(125L,125R)が形成されているが,袖口には形成されていないのに対し,第2商品においては,袖口にニット模様編み(225L,225R)が形成されているが,上腕部には形成されていない点で相違し,しかも,第2商品の袖口のニット模様編みの幅が約15cmであること(検乙2)から,両商品の袖部分のポリエステル部とニット模様編み部分とのバランスに顕著な相違がみられ,これにより両商品の全体から受ける印象は異なるものとなっている。 したがって,被告商品2と第2商品は,商品全体の形態が酷似しているとはいえず,その形態が実質的に同一であると認めることはできない。 (イ) これに対 体から受ける印象は異なるものとなっている。 したがって,被告商品2と第2商品は,商品全体の形態が酷似しているとはいえず,その形態が実質的に同一であると認めることはできない。 (イ) これに対し被告は,被告商品2の形態の特徴的部分は,胸部ギャザー(1222F)が上下方向に走る凹凸形状(1231F)と,胸部中央部の略逆三角形の谷形状のニット模様編みの部分(12211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分(12212L,12212R)であり,上記特徴的部分は,被告商品2及び第2商品との間で共通しているところ,需用者の最初の目を最初に惹きつける主要部分は中央部分に位置する胸部であるから,上記特徴的部分が共通している以上,両袖部におけるニット模様編みの位置に係る相違点は,被告商品2及び第2商品の実質的同一性に影響を及ぼさない旨主張する。 しかし,被告商品2及び第2商品は,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,両部のバランスが商品の形態の同一性の判断において重要な要素の一つであるといえるのであって,被告が主張する胸部のニット模様編みの部分の形態等が共通することを考慮してもなお,前記(ア)認定の袖口及び上腕部におけるニット模様編みの有無に係る相違部分に照らすと,両商品において,商品全体の形態が酷似しているものとはいえない。 また,被告商品2は,原告が製造した本件提案サンプル(検甲1)を基に被告がデザインをして製造された商品であるところ,本件提案サンプルにおいても,胸部にニット模様編みが形成されているが,本件提案サンプルには被告商品2のような胸部中央部の谷形状のニット模様編みの部分及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分は存在しないこと並びに上記ニット模様編みの各部分の形態に照らすなら サンプルには被告商品2のような胸部中央部の谷形状のニット模様編みの部分及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分は存在しないこと並びに上記ニット模様編みの各部分の形態に照らすならば,上記ニット模様編みの各部分は,被告が主張するように被告商品2における特徴的形態の一つであると認められる。しかし,不正競争防止法2条1項3号により保護される商品の形態は,商品の一部分の形態ではなく,商品全体の形態であるというべきであり,上記胸部のニット模様編みの各部分の形態が共通するからといって,被告商品2及び第2商品において,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるということはできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (2) 小括以上のとおり,第2商品は被告商品2と実質的に同一の形態の商品であるものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,第2商品は,被告商品2の模倣した商品に該当するものと認めることはできない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第2商品の販売が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当するとの被告の主張は,理由がない。 3 争点1-3(被告商品3の形態の模倣の有無)について(1) 被告商品3及び第3商品の形態の実質的同一性の有無ア被告商品3及び第3商品の形態の共通点及び相違点(ア) 前記1(1)の認定事実及び弁論の全趣旨によれば,①被告商品3(検乙3)は,被告が原告から提供を受けた本件提案サンプルを基にデザインをし,本件製造物供給契約に基づいて平成20年10月20日に原告に製造を発注し,原告が中国の工場に製造委託をして製造された商品であること,②第3商品(検乙6)は,原告が同年11月18日にアルファベット社から製造販売の発注を受 づいて平成20年10月20日に原告に製造を発注し,原告が中国の工場に製造委託をして製造された商品であること,②第3商品(検乙6)は,原告が同年11月18日にアルファベット社から製造販売の発注を受けたことに基づいて中国の工場に製造委託をして製造された商品であることが認められる。 (イ) 証拠(検乙3,6)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品3は,前記第3の3(1)ア(ア)a記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有し,第2商品は,同b記載の「基本的構成」及び「具体的構成」を有すること,被告商品3及び第3商品のポリエステル部の組成は,ポリエステル40%,レーヨン60%であることが認められる。 上記認定事実と証拠(甲22,23,乙7の1,4,5,検乙3,6)を総合すると,被告商品3及び第3商品の形態には,次のとおりの共通点及び相違点があることが認められる。 A 共通点① 別紙3の写真に示すように,半袖のワンピースであり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成されている点,② 前身頃及び後ろ身頃において,ポリエステル部を囲んで,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1321F,1321B,2321F,2321B)にニット模様編みが形成されている点③ 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(1322F,1322B,2322F,2322B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B,2331F,2331B)を作り出している点④ 前身頃胸部のニット模様編み(1321F,2321F)は一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,中央部に谷形状のニット模様編み(13211,23211)及びそ 21F)は一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,中央部に谷形状のニット模様編み(13211,23211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編み(13212L,13212R,23212L,23212R)が形成されている点⑤ 袖口の先端部分に複数の略半円形状のニット模様編み(135L,135R,235L,235R)が形成されている点B 相違点① 被告商品3においては,上腕部にニット模様編み(134L,134R)が形成されているのに対し,第3商品においては,上腕部にニット模様編みが形成されていない点② 被告商品3の袖口のニット模様編みの幅(135L,135R)が,第3商品の袖口のニット模様編みの幅(235L,235R)より約10cm広い点③ 被告商品3においては,ウエスト部分(1332)に全周にわたってニット模様編みがあるのに対し,第3商品においては,ウエスト部分に全周にわたって身頃と同じ生地による切り替えがあるが,ニット模様編みが存在しない点④ 被告商品3においては,前身頃の胸部にボタン(1323)があるのに対し,第2商品においては,ボタンがない点⑤ 袖口幅が,被告商品3は44cmであるのに対し,第2商品は55cmであり,被告商品3は第3商品より11cm狭い点⑥ 前身頃の襟口が,被告商品3は略緩やかなV字状であるのに対し,第3商品は略緩やかなU字状である点イ検討(ア) 以上を前提に,被告商品3(検乙3)の形態と第3商品(検乙6)の形態とを比較すると,両商品は,半袖のワンピースであり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,前身頃及び後ろ身頃において,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1 )の形態と第3商品(検乙6)の形態とを比較すると,両商品は,半袖のワンピースであり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,前身頃及び後ろ身頃において,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1321F,1321B,2321F,2321B)にニット模様編みが形成されているという基本的な構成(前記ア(イ)A①,②)において共通し,具体的構成においても,前記ア(イ)A③ないし⑤のとおり共通している。 しかし,他方で,被告商品3においては,上腕部にニット模様編み(134L,134R)が形成されているのに対し,第3商品においては,上腕部にニット模様編みが形成されていない点,被告商品3の袖口のニット模様編みの幅(135L,135R)が,第3商品の袖口のニット模様編みの幅(235L,235R)より約10cm広い点,被告商品3においては,ウエスト部分(1332)に全周にわたってニット模様編みがあるのに対し,第3商品においては,ウエスト部分に全周にわたって身頃と同じ生地による切り替えがあるが,ニット模様編みが存在しない点で相違することから,両商品の袖口部分,上腕部及びウエスト部分におけるポリエステル部とニット模様編み部分とのバランスに顕著な相違がみられ,これにより両商品の全体から受ける印象は異なるものとなっている。 したがって,被告商品3と第3商品は,商品全体の形態が酷似しているとはいえず,その形態が実質的に同一であると認めることはできない。 (イ) これに対し被告は,被告商品3の形態の特徴的部分は,胸部ギャザー(1322F)が上下方向に走る凹凸形状(1331F)と,胸部中央部の谷形状のニット模様編みの部分(13211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分(13212L,13212R)であり,上記特徴的部分は,被告 凸形状(1331F)と,胸部中央部の谷形状のニット模様編みの部分(13211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分(13212L,13212R)であり,上記特徴的部分は,被告商品3及び第3商品との間で共通しているところ,需用者の最初の目を最初に惹きつける主要部分は中央部分に位置する胸部であるから,上記特徴的部分が共通している以上,両袖部におけるニット模様編みの位置,腰部(ウエスト部分)におけるニット模様編みの有無に係る相違点は,被告商品3及び第3商品の実質的同一性に影響を及ぼさない旨主張する。 しかし,被告商品3及び第3商品は,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,両部のバランスが商品の形態の同一性の判断において重要な要素の一つであるといえるのであって,被告が主張する胸部のニット模様編みの部分の形態等が共通することを考慮してもなお,前記(ア)認定の上腕部及びウエスト部分におけるニット模様編みの有無,袖口のニット模様編みの幅の広さに係る相違部分に照らすと,両商品において,商品全体の形態が酷似しているものとはいえない。 また,被告が主張する上記胸部のニット模様編みの各部分の形態が共通するからといって,被告商品3及び第3商品において,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるということはできないことは,前記2(1)イ(イ)で述べたところと同様である。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (2) 被告商品3及び第2商品の形態の実質的同一性の有無ア被告商品3及び第2商品の形態の共通点及び相違点前記(1)ア(イ)及び前記2(1)ア(イ)の各認定事実と(甲20,乙7の5,検乙3,5)を総合すると,被告商品3及び第2商品の形態には,次のとおりの共通点及び相違点があることが 通点及び相違点前記(1)ア(イ)及び前記2(1)ア(イ)の各認定事実と(甲20,乙7の5,検乙3,5)を総合すると,被告商品3及び第2商品の形態には,次のとおりの共通点及び相違点があることが認められる。 A 共通点① 別紙4の写真に示すように,半袖の婦人服であり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成されている点,② 前身頃及び後ろ身頃において,ポリエステル部を囲んで,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1321F,1321B,2221F,2221B)にニット模様編みが,腰部全周にわたってニット模様編み(1332,2232)がそれぞれ形成されている点③ 袖口全周にわたってニット模様編み(135L,135R,225L,225R)が形成されている点④ 前身頃,後ろ身頃共,胸部ニット模様編み部分と取り合うポリエステル部分には,ギャザー(1322F,1322B,2222F,2222B)が形成されて,上下方向に走る凹凸形状(1331F,1331B,2231F,2231B)を作り出している点⑤ 前身頃胸部のニット模様編み(1321F,2221F)は一定の装飾パターンを左右略対称にあしらったモチーフ編みとなっており,ニット部とポリエステル部との取り合い箇所においては,中央部に谷形状のニット模様編み(13211,22211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編み(13212L,13212R,22212L,22212R)が形成されている点⑥ 袖口の先端部分に複数の略半円形状のニット模様編み(135L,135R,225L,225R)が形成されている点B 相違点① 被告商品3においては,上腕部にニット模様編み(134L,134R)が形成されているのに対し,第2商品においては,上腕部にニット模様編み 225L,225R)が形成されている点B 相違点① 被告商品3においては,上腕部にニット模様編み(134L,134R)が形成されているのに対し,第2商品においては,上腕部にニット模様編みが形成されていない点② 被告商品3には,前身頃の胸部にボタン(1323)があるのに対し,第2商品においては,ボタンがない点③ 第2商品においては,腰部のニット編み部分にひも(2233)があるが,被告商品3の腰部のニット編み部分にひもがない点④ 袖丈が,被告商品3は44cmであるのに対し,第2商品は51. 5cmであり,被告商品3は第2商品より7.5cm短い点⑤ 着丈が,被告商品3は79cmであるのに対し,第2商品は71cmであり,被告商品3は第2商品より8cm長い点⑥ 前身頃の襟口が,被告商品3は略緩やかなV字状であるのに対し,第2商品は略緩やかなU字状である点イ検討(ア) 以上を前提に,被告商品3(検乙3)の形態と第2商品(検乙5)の形態とを比較すると,両商品は,半袖の婦人服であり,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,前身頃及び後ろ身頃において,首から胸部にかけてほぼ同じ範囲(1321F,1321B,2221F,2221B)にニット模様編みが,腰部全周にわたってニット模様編み(1332,2232)がそれぞれ形成されているという基本的な構成(前記アA①,②)において共通し,具体的構成においても,前記アA③ないし⑥のとおり,袖口全周にわたってニット模様編み(135L,135R,225L,225R)が形成され,袖口の先端部分に複数の略半円形状のニット模様編み(135L,135R,225L,225R)が形成されている点などの諸点において共通している。 しかし,他方で,被告商品3においては上腕部にニット 袖口の先端部分に複数の略半円形状のニット模様編み(135L,135R,225L,225R)が形成されている点などの諸点において共通している。 しかし,他方で,被告商品3においては上腕部にニット模様編み(134L,134R)が形成されているのに対し,第2商品においてはこれが形成されていない点で相違し,これにより上腕部におけるポリエステル部とニット模様編み部分とのバランスに相違がみられること,このほか,前身頃の胸部のボタンの有無,袖丈の長さ等の点(前記アB②ないし⑥)においても相違することから,両商品の形態を全体として観察した場合,両商品において,商品全体の形態が酷似しているとまで認めることはできない。 (イ) これに対し被告は,被告商品3の形態の特徴的部分は,胸部ギャザー(1322F)が上下方向に走る凹凸形状(1331F)と,胸部中央部の谷形状のニット模様編みの部分(13211)及びその両側に二つずつの略半円形状のニット模様編みの部分(13212L,13212R)であり,上記特徴的部分は,被告商品3及び第2商品との間で共通しているところ,需用者の最初の目を最初に惹きつける主要部分は中央部分に位置する胸部であるから,上記特徴的部分が共通している以上,両商品の相違点は,被告商品3及び第2商品の実質的同一性に影響を及ぼさない旨主張する。 しかし,被告商品3及び第2商品は,ポリエステル部とニット模様編み部から構成され,両部のバランスが商品の形態の同一性の判断において重要な要素の一つであるといえるところ,両商品は,上腕部におけるニット模様編みの有無の点で相違し,これにより上腕部におけるポリエステル部とニット模様編み部分とのバランスに相違をもたらしていること,その他の相違点(前記アB②ないし⑥)に照らすと,被告が主張する胸部のニッ 編みの有無の点で相違し,これにより上腕部におけるポリエステル部とニット模様編み部分とのバランスに相違をもたらしていること,その他の相違点(前記アB②ないし⑥)に照らすと,被告が主張する胸部のニット模様編みの部分の形態を始め,前記(ア)Aのとおりの共通点が存在することを考慮してもなお,両商品において,商品全体の形態が酷似しているとまで認めることはできない。 また,被告が主張する上記胸部のニット模様編みの各部分の形態が共通するからといって,被告商品3及び第2商品において,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるということはできないことは,前記2(1)イ(イ)で述べたところと同様である。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (3) 小括以上のとおり,第3商品及び第2商品は被告商品3と実質的に同一の形態の商品であるものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,第3商品及び第2商品は,被告商品3を模倣した商品に該当するものと認めることはできない。 したがって,原告のアルファベット社に対する第3商品及び第2商品の販売が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当するとの被告の主張は,理由がない。 4 争点2(被告の損害額)について(1) 前記1認定のとおり,第1商品は被告商品1の形態を模倣した商品した商品であり,原告のアルファベット社に対する第1商品の販売は不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 そして,前記1(3)の認定事実に照らせば,上記不正競争行為について,原告に故意又は過失があるものと認められるから,原告は,上記不正競争行為によって被告に生じた損害を賠償する責任があるというべきである。 そこで,以下において,被告主張の損害の有無及び不正競争防止法5 告に故意又は過失があるものと認められるから,原告は,上記不正競争行為によって被告に生じた損害を賠償する責任があるというべきである。 そこで,以下において,被告主張の損害の有無及び不正競争防止法5条1項に基づく損害額について判断する。 (2) 被告は,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」(不正競争防止法5条1項)に該当するところ,原告のアルファベット社に対する第1商品の譲渡数量は593枚,被告商品1の1枚当たりの利益額は6376円であるから,不正競争防止法5条1項に基づく被告の損害額は,378万0968円となる旨主張する。 これに対し原告は,被告商品1については,第1商品の販売が開始された時点で既に販売は終了し,再発注の可能性もなく,被告商品1と第1商品が市場において競合することはなかったものであり,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」に該当せず,また,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」(不正競争防止法5条1項ただし書)が存在する旨主張する。 アそこで検討するに,①被告が,婦人服販売の直営店を有し,原告から供給を受けた婦人服を直営店で販売するとともに,他の業者に卸販売をしていたこと,②被告は,平成20年6月4日,原告から,被告商品1を458枚納品を受け,同月6日,被告の直営店の店頭及び卸販売先の業者に出荷し,そのころから,被告商品は,被告の直営店及び卸販売先において,「秋物」(秋物商品)として販売が開始され,その後,同年12月ころから平成21年1月中旬ころまでの間,被告の直営店で,売れ残った被告商品1のバーゲンセールが行われたこと,③原告が,平成20年11月17日,アルフ 商品)として販売が開始され,その後,同年12月ころから平成21年1月中旬ころまでの間,被告の直営店で,売れ残った被告商品1のバーゲンセールが行われたこと,③原告が,平成20年11月17日,アルファベット社から,第1商品の製造販売の発注を受け,平成21年1月13日,アルファベット社に対し,第1商品を593枚納品したことは,前記1(1)ア,イ(ウ)及び(エ)のとおりである。 上記①ないし③の事実に,④被告における「秋物」の販売の時期は,通常7月の終わりから9月ころまでであること(証人B1,弁論の全趣旨),⑤被告商品1が「秋物」の通常の販売時期を超えて通年あるいは翌シーズンに被告の直営店で販売することが想定された商品であることをうかがわせる証拠はないことを総合すると,「秋物」である被告商品1は,平成20年9月ころには通常の販売時期を終了し,少なくとも平成21年1月13日に原告からアルファベット社に第1商品の納品がされた時点では,被告が直営店での店頭販売のために再発注する見込みはなかったものといわざるを得ない。 しかし,他方で,被告は,直営店での店頭販売のほかに,第1商品を他の業者に卸売販売していたものであり,現に原告がアルファベット社に被告商品1と実質的に同一の形態の第1商品を製造販売していることに照らすならば,被告商品1は,原告の不正競争行為がなければ,アルファベット社のような業者から発注される可能性があったものと認められるから,第1商品は,被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」に該当すると認めるのが相当である。 また,被告と原告間の本件製造物供給契約において,被告が原告に被告商品1を追加発注することにつき契約上の制限があったことをうかがわせる事情は存在しないから,被告において,第1商品の譲 当である。 また,被告と原告間の本件製造物供給契約において,被告が原告に被告商品1を追加発注することにつき契約上の制限があったことをうかがわせる事情は存在しないから,被告において,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を「販売することができないとする事情」があったものと認めることはできない。 したがって,第1商品が被告商品1との関係において「侵害の行為がなければ販売することができた物」に該当せず,第1商品の譲渡数量の全部に相当する被告商品1を被告が「販売することができないとする事情」が存在するとの原告の主張は,理由がない。 イ原告のアルファベット社に対する第1商品の製造販売数量が,被告主張の593枚であることは,前記ア③のとおりである。 ウ被告は,別紙計算書のとおり,直営店及び卸販売を合わせた被告商品1の1枚当たりの利益額を算出し,その算出額6376円をもって不正競争防止法5条1項の「単位数量当たりの利益の額」である旨主張する。 (ア) しかし,前記ア認定のとおり,被告商品1は,平成20年9月ころには通常の販売時期を終了し,平成21年1月13日に原告からアルファベット社に第1商品の納品がされた時点では,被告が直営店での店頭販売のために再発注する見込みはなく,また,その後に被告の直営店で販売することが想定された商品であるともいえないことに照らすならば,被告の直営店での利益額を考慮することは妥当ではなく,被告商品1の1枚当たりの卸販売による利益額をもって「単位数量当たりの利益の額」と認めるのが相当である。 そして,証拠(乙21,22の1ないし23)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,原告から納品のあった被告商品1(458枚)のうち,103枚を業者に卸販売したこと,②上記103枚のうち,75枚の卸販売価格は 証拠(乙21,22の1ないし23)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,原告から納品のあった被告商品1(458枚)のうち,103枚を業者に卸販売したこと,②上記103枚のうち,75枚の卸販売価格は,38枚分につき各6480円,2枚分につき各6264円,31枚分につき各5940円,3枚分につき5400円,1枚分につき4320円の合計46万3428円であることが認められる。 被告が卸販売した上記103枚のうち,上記②の75枚分の卸販売価格の平均は,計算上6179円(46万3428円÷75)となるが,他方で,上記②の75枚以外の分の卸販売価格に関する証拠は提出されていない。 これらの事情を勘案すると,被告商品1の1枚当たりの卸販売価格は,被告が別紙計算書の「卸価格」欄において主張するとおり,5940円であると認めるのが相当である。 (イ) 次に,証拠(乙2の1,証人B1)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品1の1枚当たりの原価は,被告が別紙計算書の「原価(A)」欄において主張する1枚当たり2603円を上回るものではないことが認められる。 そうすると,被告商品1の1枚当たりの卸販売による利益額は,被告が別紙計算書の「卸での1着当たりの利益」欄において主張するとおり,3337円と認めるのが相当である。 エ以上によれば,不正競争防止法5条1項に基づく被告の損害額は,197万8841円(593枚×3337円)となる。 (3) したがって,被告は,原告に対し,不正競争防止法4条,5条1項に基づき,197万8841円の損害賠償請求権を取得したものと認められる。 5 争点3(信義則違反の有無)について(1) 原告は,被告が,同一の製造供給業者とOEM取引を行っている業者の商品間ではデザインに共通性が生じることは当然に生じる事態で たものと認められる。 5 争点3(信義則違反の有無)について(1) 原告は,被告が,同一の製造供給業者とOEM取引を行っている業者の商品間ではデザインに共通性が生じることは当然に生じる事態であることを認識し,原告の生地リスクの下,原告の流行予測を利用し,迅速な商品開発を実現するというメリットを享受すべく原告とのOEMを採用しながら,被告商品1及び第1商品のデザイン間に明白な相違点があるにもかかわらず,第1商品が被告商品1の形態を模倣した商品であるなどとして不正競争防止法に基づく損害賠償請求権を行使することは,今日のOEMの実情を無視し,アパレル業界の取引通念を逸脱し,原告の正当な取引上の信頼を著しく害するものであるから,被告による本件相殺の主張は,信義則に反し,許されない旨主張する。 しかし,前記1(2)のとおり,第1商品は,被告商品1の形態と商品全体の形態が酷似し,実質的に同一の形態の商品と認められ,また,前記1(3)ウのとおり,被告商品1の生地の代金は製造代金に含まれており,原告が事前に当該生地を購入し,原告が生地リスクを負っているからといって被告商品1の開発費用を負担したことにはならないことに照らすならば,原告の上記主張は,その前提を欠くものとして,採用することができない。 (2) そして,被告の本件相殺により,原告の被告に対する本件代金請求権(638万1481円)と被告の原告に対する不正競争防止法4条,5条1項に基づく損害賠償請求権(197万8841円)は対当額で消滅したものと認められるから,原告の本件代金請求権の残額は,440万2640円となる。 そうすると,被告は,原告に対し,上記残額440万2640円及びこれに対する平成21年5月1日(本件製造物供給契約に基づく同年2月請求分の代金の支払期日の翌日)か ,440万2640円となる。 そうすると,被告は,原告に対し,上記残額440万2640円及びこれに対する平成21年5月1日(本件製造物供給契約に基づく同年2月請求分の代金の支払期日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払義務があるというべきである。 6 結論以上によれば,原告の請求は,440万2640円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払を認める限度で理由があるからこれを認容することとし,その余は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官上田真史 裁判官石神有吾
▼ クリックして全文を表示