平成24(ワ)14652 特許権侵害損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年7月23日 東京地方裁判所
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判決文本文115,001 文字)

平成26年7月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第14652号特許権侵害損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成26年4月18日判決東京都千代田区<以下略>原告三菱電機株式会社千葉県船橋市<以下略>原告日本建鐵株式会社上記2名訴訟代理人弁護士近藤惠嗣同重入正希同前田将貴東京都青梅市<以下略>被告東芝ライフスタイル株式会社同訴訟代理人弁護士高 橋 雄一郎同北島志保同訴訟代理人弁理士小川泰典 主文 1 被告は,原告三菱電機株式会社に対し,2663万8741円及びうち595万6515円に対する平成24年6月2日から,うち2058万2226円に対する平成25年12月25日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告日本建鐵株式会社に対し,2663万8741円及びうち595万6515円に対する平成24年6月2日から,うち2058万2226円に対する平成25年12月25日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを75分し,その74を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1の その74を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1の洗濯乾燥機を製造し,販売し,及び販売のために展示してはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載2の洗濯乾燥機を製造し,販売し,及び販売のために展示してはならない。 3 被告は,原告三菱電機株式会社に対し,6億6335万円及びうち4億6883万円に対する平成24年6月2日から,うち1億9452万円に対する平成25年12月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告日本建鐵株式会社に対し,6億6335万円及びうち4億6883万円に対する平成24年6月2日から,うち1億9452万円に対する平成25年12月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「洗濯乾燥機」とする2件の特許権(特許第4917688号及び特許第4307521号。以下,それぞれ「本件688特許」及び「本件521特許」という。)並びに発明の名称を「洗濯機」とする1件の特許権(特許第3205893号。以下「本件893特許」という。)を共有し又は共有していた原告らが,被告の製造販売する別紙ロ号製品目録記載の製品(以下「ロ号製品」という。)は本件688特許に係る発明の,別紙ハ号製品目録記載の製品(以下「ハ号製品」という。)は本件521特許に係る発明の,別紙ニ号製品目録記載の製品(以下「ニ号製品」という。なお,ニ号製品のうち,AW-70VF,AW-80VF及びAW-GN-80VFは,ハ号製品でもある。)は本件893特許に係る発明の各技術的範囲に属すると主張 し,被告に対し,①特許法100条 お,ニ号製品のうち,AW-70VF,AW-80VF及びAW-GN-80VFは,ハ号製品でもある。)は本件893特許に係る発明の各技術的範囲に属すると主張 し,被告に対し,①特許法100条1項に基づき,ロ号製品(別紙物件目録1記載の製品と同じ。),及びハ号製品のうち別紙物件目録2記載の製品の製造,販売及び販売のための展示の各差止めを求めるとともに,②原告らそれぞれにつき,特許権侵害の不法行為責任に基づき,6億6335万円(ロ号製品の販売による損害4億2240万円,ハ号製品の販売による損害2億5110万円,ニ号製品の販売による損害23億9112万円の一部である6億1096万円〔いずれも特許法102条3項による損害額〕の合計額である12億8446万円を上記特許権の共有割合〔各2分の1〕で按分した額である6億4223万円と,本件688特許の侵害に起因する弁護士費用2112万円との合計額)(附帯請求として,原告らそれぞれにつき,うち4億6883万円に対する平成24年6月2日から,うち1億9452万円に対する平成25年12月25日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求める事案である。 1 前提事実等(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)(1) 当事者等ア原告三菱電機株式会社(以下「原告三菱電機」という。)及び原告日本建鐵株式会社(以下「原告日本建鐵」という。)は,電気機械の製造販売その他を業とする株式会社である。 イ被告は,家庭用電気機械器具の製品及び部品の開発,製造並びに販売等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権原告らは,次の内容の本件688特許及び本件521特許を共有しており,かつ,次の内容の本件893特許を共有していた(甲1ないし4,6,7,乙1 を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権原告らは,次の内容の本件688特許及び本件521特許を共有しており,かつ,次の内容の本件893特許を共有していた(甲1ないし4,6,7,乙11,13,14,19)。 ア本件688特許特許番号特許第4917688号 発明の名称洗濯乾燥機出願日平成23年7月15日出願番号特願2011-156450号分割の表示特願2010-272545号(以下「688親出願」という。)の分割(なお,688親出願は特願2010-133755号(以下「688祖父出願」という。)の分割,688祖父出願は特願2008-318414号(以下「688曽祖父出願」という。)の分割,688曽祖父出願は特願平11-90650号(以下「688高祖父出願」という。)の分割である。)原出願日平成11年3月31日登録日平成24年2月3日イ本件521特許特許番号特許第4307521号発明の名称洗濯乾燥機出願日平成21年2月10日 出願番号特願2009-028570号分割の表示特願2003-10578号(以下「521親出願」という。)の分割原出願日平成15年1月20日登録日平成21年5月15日ウ本件893特許特許番号特許第3205893号発明の名称洗濯機出願日平成7年2月28日 出願番号特願平7-39715号登録日平成13年7月6日エ原告らの上記アないしウの特許権の共有持分は,いずれも1対1である。 オ本件893特許は,平成21年7月6日,特許料不納により消滅した(甲6)。 (3) 各発明 録日平成13年7月6日エ原告らの上記アないしウの特許権の共有持分は,いずれも1対1である。 オ本件893特許は,平成21年7月6日,特許料不納により消滅した(甲6)。 (3) 各発明の内容等ア本件688発明(ア) 本件688特許の「特許請求の範囲」における請求項1の記載は,次のとおりである(以下,同特許に係る明細書,特許請求の範囲及び図面を併せて,「本件688明細書」といい,参照の便宜のため,同特許の特許公報の写し(甲2)を本判決末尾に別添1として添付する。)。 「開口部を有する外箱と,前記外箱の開口に設けた蓋と,前記外箱内に支持された外槽と,前記外槽内に回転自在に配置され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽と,前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段とを備え,洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程と,前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程とを有し,前記検知工程による検知を条件に,前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で,前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させて前記洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程へ移行することを特徴とした洗濯乾燥機。」(イ) 本件688発明の構成要件の分説本件688特許の請求項1記載の発明(以下「本件688発明」という。)を構成要件に分説すると,次のとおりである(なお,構成要件HIは,当初,原告らが2つの構成要件に分説していたところ,被告が1つの構成要件にまとめるべきである旨主張し,原告らがこれに同意した ものである。)。 A 開口部を有する外箱と,B 前記外箱の開口に設けた蓋と,C 前記外箱内に支持された外槽と,D 前記外槽 まとめるべきである旨主張し,原告らがこれに同意した ものである。)。 A 開口部を有する外箱と,B 前記外箱の開口に設けた蓋と,C 前記外箱内に支持された外槽と,D 前記外槽内に回転自在に配置され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽と,E 前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段とを備え,F 洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程と,G 前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程とを有し,HI 前記検知工程による検知を条件に,前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で,前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させて前記洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程へ移行することJ を特徴とした洗濯乾燥機。 イ本件521特許(ア) 平成23年12月20日付け審決(訂正2011-390129)による訂正後の本件521特許の「特許請求の範囲」における請求項1ないし3の記載は次のとおりである(以下,同訂正後の同特許に係る明細書,特許請求の範囲及び図面を併せて,「本件521明細書」といい,参照の便宜のため,同特許の特許公報の写し(甲4)及び同審決書の写し(甲5)を本判決末尾に別添2-1及び2-2として添付する。)。 a 請求項1「外箱と,この外箱内に配設する水槽と,該水槽内に回転自在に配設され多数の脱水孔を穿設した洗濯兼脱水槽と,該洗濯兼脱水槽の上面側から洗濯兼脱水槽内に空気を供給する送風ファンと,前記送風フ ァンから前記洗濯兼脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設された回転翼とを具備する洗濯乾燥機であって,前記ヒータをOFF状態で前記送風ファ と,前記送風フ ァンから前記洗濯兼脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設された回転翼とを具備する洗濯乾燥機であって,前記ヒータをOFF状態で前記送風ファンを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水した後に前記回転翼のみを回転させる第1の工程,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる第2の工程,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる第3の工程で動作することを特徴とする洗濯乾燥機。」b 請求項2「前記第2の工程は,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作と前記回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。」c 請求項3「前記第3の工程は,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる動作と前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機。」(イ) 本件521発明の構成要件の分説本件521特許の請求項1ないし3記載の発明(以下,それぞれ「本件521発明1」などという。)を構成要件に分説すると,次のとおりである。 a 本件521発明1A 外箱と,B この外箱内に配設する水槽と,C 該水槽内に回転自在に配設され多数の脱水孔を穿設した洗濯兼脱 水槽と,D 該洗濯兼脱水槽の上面側から洗濯兼脱水槽内に空気を供給する送風ファンと,E 前記送風ファンから前記洗濯兼脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,F 前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設された回転翼とを具備する洗濯乾燥機であって,G 前記ヒータを 送風ファンと,E 前記送風ファンから前記洗濯兼脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,F 前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設された回転翼とを具備する洗濯乾燥機であって,G 前記ヒータをOFF状態で前記送風ファンを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水した後に前記回転翼のみを回転させる第1の工程,H 前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる第2の工程,I 前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる第3の工程で動作することJ を特徴とする洗濯乾燥機。 b 本件521発明2K 前記第2の工程は,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作と前記回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返すL ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。 c 本件521発明3M 前記第3の工程は,前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる動作と前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作とを交互に繰り返すN ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機。 ウ本件893特許 (ア) 平成24年3月7日付け審決(訂正2011-390128)による訂正後の本件893特許に係る明細書の「特許請求の範囲」における請求項14及び15の記載は次のとおりである(以下,同訂正後の同特許に係る明細書及び図面を併せて,「本件893明細書」といい,参照の便宜のため,同特許の特許公報の写し(甲7)及び同審決書の写し(甲8)を本判決末尾に別添3-1及び3-2として添付する。)。 a 請求項14「洗濯等を行う水槽,水道と前記水槽の間に介在して前記水道から前記水槽に水を供給する給水手段を び同審決書の写し(甲8)を本判決末尾に別添3-1及び3-2として添付する。)。 a 請求項14「洗濯等を行う水槽,水道と前記水槽の間に介在して前記水道から前記水槽に水を供給する給水手段を備えた洗濯機において,前記水道と前記水槽とを接続する水道側給水管,給水のための貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管,前記水道側給水管の給水を制御する水道側給水弁,前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁とを有する給水手段と,前記水槽内の水位を検出する検出部と,前記貯留予備タンクに貯留されている水を前記水槽に給水する給水工程で,前記給水工程中に前記検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,前記水道から給水するよう前記給水弁を制御する制御手段と,を備えたことを特徴とする洗濯機。」b 請求項15「貯留予備タンクとして浴槽を用い,前記制御手段における制御は,前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップを有することを特徴とする請求項14に記載の洗濯機。」(イ) 本件893特許の請求項14及び15の発明(以下,それぞれ「本件893発明14」及び「本件893発明15」という。)を構成要件に分説すると,次のとおりである。 a 本件893発明14 A 洗濯等を行う水槽,水道と前記水槽の間に介在して前記水道から前記水槽に水を供給する給水手段を備えた洗濯機において,B 前記水道と前記水槽とを接続する水道側給水管,C 給水のための貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管,D 前記水道側給水管の給水を制御する水道側給水弁,E 前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁と 貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管,D 前記水道側給水管の給水を制御する水道側給水弁,E 前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁とを有する給水手段と,F 前記水槽内の水位を検出する検出部と,G 前記貯留予備タンクに貯留されている水を前記水槽に給水する給水工程で,前記給水工程中に前記検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,前記水道から給水するよう前記給水弁を制御する制御手段と,H を備えたことを特徴とする洗濯機。 b 本件893発明15I 貯留予備タンクとして浴槽を用い,前記制御手段における制御は,前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップを有するJ ことを特徴とする請求項14に記載の洗濯機。 (4) 被告の行為等ア被告は,ロ号ないしニ号製品を販売し,又は販売していた。 イロ号製品の構成について(ア) ロ号製品のうち,機種名が「TW-G520L」,「TW-G520R」及び「TW-Z370L」のもの(以下「ロ号製品1」という。)の構成は,別紙ロ号製品説明書1記載のとおりであり,機種名が「TW-Z8200L」,「TW-Z8200R」,「TW-Q860L」,「TW-Q860R」,「TW-Z82SL」及び「TW-Z8 2SR」のもの(以下「ロ号製品2」という。)の構成は,同説明書2記載のとおりである(以下,それぞれ「ロ号製品の構成a」〔構成hiについては,「ロ号製品1の構成hi」〕などという。)。 (イ) ロ号製品の構成aないしg,jについては当事者間に争いがない。 (ウ) 原告ら及び被告は,ロ号製品1,2の構成hiは,別紙ロ号製品説明書1・2の「構成hi」欄記載のとおりである いう。)。 (イ) ロ号製品の構成aないしg,jについては当事者間に争いがない。 (ウ) 原告ら及び被告は,ロ号製品1,2の構成hiは,別紙ロ号製品説明書1・2の「構成hi」欄記載のとおりである旨各主張するが,客観的構成において異なる主張をするものではないと認められる。 ウハ号製品の構成について(ア) ハ号製品は,外箱と,この外箱内に配設された水槽と,この水槽内に回転自在に配設され壁面に多数の脱水孔が設けられた洗濯・脱水槽と,この洗濯・脱水槽の上面側から洗濯・脱水槽内に空気を供給する送風ファンと,この送風ファンから前記洗濯・脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,前記・洗濯脱水槽の底に配設されたパルセータとを具備する洗濯乾燥機である。 (イ) ハ号製品が別紙ハ号製品工程表記載の工程を行うものであることについては,当事者間に争いがない(以下,上記工程表記載の工程を,それぞれ,順に「送風槽回転1」,「撹拌1」,「槽回転1」などという。)。なお,ハ号製品は,槽回転1の前半においてヒータOFF,後半においてヒータONで動作するものである。 エニ号製品の構成について(ア) ニ号製品の構成は,別紙ニ号製品説明書記載のとおりである(以下,それぞれ「ニ号製品の構成a」などという。)。 (イ) ニ号製品の構成eの「逆流防止弁」に関し,原告らは,「ゴム板であって直接的に電気的制御を受けていない」と特定し,被告は,「ゴム板であって制御を受けていない」と特定する主張をするところ,逆流防止弁が直接的に電気的制御を受けていないことについては当事者間に争 いがない。これに加えて,逆流防止弁が間接的に何らかの制御を受けているとみることができるか否かは評価に係る問題であるから,構成要件Eの充足性において検討する。 (ウ) ニ号製品の構 争 いがない。これに加えて,逆流防止弁が間接的に何らかの制御を受けているとみることができるか否かは評価に係る問題であるから,構成要件Eの充足性において検討する。 (ウ) ニ号製品の構成gに関し,被告は,ニ号製品は「水位センサの検出結果から,浴槽にふろ水がないと判断した場合に」ふろ水用給水ポンプの回転を停止するとともに水道ホースからの給水を制御する電磁弁を開くものである旨主張する。しかし,ニ号製品のサービスガイド(乙31)の14頁には,ニ号製品において,20秒経過毎に水位変化検知を行い,その結果水位変化が基準値以下であることが2回連続した場合に「ふろ水無し検知」がされ,「E5エラー検知」がされるとともに,自動的に水道水給水に切り替える旨が記載されているのであって,ニ号製品における客観的動作は構成gのとおりであると認められる。 オロ号ないしニ号製品の構成要件充足性(ア) ロ号製品についてa ロ号製品の構成aないしfは,本件688発明の構成要件AないしFを充足する(争いがない)。 b ロ号製品は洗濯工程終了後に蓋の開閉を検知するものであるから(ロ号製品の構成g),構成要件Gを充足する。 c ロ号製品は,送風ファンから洗濯・脱水槽内に供給された空気を,複数の脱水孔を介して洗濯・脱水槽と外槽の隙間に所定時間流入させて前記洗濯・脱水槽内部及び外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程(以下「カビプロテクト運転」という。)を備えたものであるから(ロ号製品の構成hi後段),「前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させて前記洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程」(構成要件HI後段)を充足する。 d ロ号製品は洗濯乾燥機であるから 孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させて前記洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程」(構成要件HI後段)を充足する。 d ロ号製品は洗濯乾燥機であるから(ロ号製品の構成j),構成要件Jを充足する。 (イ) ハ号製品についてハ号製品の上記ウ(ア)の構成は本件521発明1の構成要件AないしF及びJを充足する(争いがない)。 (ウ) ニ号製品についてa ニ号製品の構成a,b及びfは本件893発明14の構成要件A,B及びFを充足する(争いがない)。 b ニ号製品は洗濯乾燥機であるから(ニ号製品の構成h),構成要件Hを充足する。 2 争点(1) 本件688特許の侵害の成否アロ号製品は本件688発明の技術的範囲に属するか-構成要件HI前段の充足性イ本件688特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(ア) 記載要件違反の有無(イ) 乙20号証に基づく新規性又は進歩性欠如の成否(ウ) 乙27号証に基づく進歩性欠如の成否(2) 本件521特許の侵害の成否アハ号製品は本件521発明1ないし3の技術的範囲に属するか-構成要件G,HI前段,K及びMの充足性イ本件521特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(ア) 乙31号証に基づく新規性又は進歩性欠如の成否(イ) 乙33号証に基づく進歩性欠如の成否(ウ) 乙45号証又はその対象製品による新規性欠如の成否(3) 本件893特許の侵害の成否 アニ号製品は本件893発明14・15の技術的範囲に属するか(ア) 構成要件Cの充足性(イ) 構成要件Dの充足性(ウ) 構成要件Eの充足性(エ) 構成要件G,Iの充足性イ本件893特許は特許無効審判により無効にされるべきも 的範囲に属するか(ア) 構成要件Cの充足性(イ) 構成要件Dの充足性(ウ) 構成要件Eの充足性(エ) 構成要件G,Iの充足性イ本件893特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(ア) 記載要件違反の有無(イ) 乙37号証による新規性又は進歩性欠如の成否(ウ) 乙38号証による進歩性欠如の成否(エ) 乙51号証による新規性又は進歩性欠如の成否(4) 損害額ア本件688特許の侵害による損害額イ本件521特許の侵害による損害額ウ本件893特許の侵害による損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)(本件688特許の侵害の成否)(1) 争点(1)ア(ロ号製品は本件688発明の技術的範囲に属するか-構成要件HI前段の充足性)(原告らの主張)ア 「前記検知工程による検知を条件に」(ア) 本件688発明において,「前記検知工程による検知」すなわち洗濯工程終了後における蓋の開閉の検知が「条件」とされているのは,通常の使用者であれば,洗濯工程終了後に蓋を開けて洗濯物を取り出した後に蓋を閉めるものであり,蓋の開閉後に洗濯物は槽内に残存していないであろうとの考えに基づき,槽乾燥工程を実施するタイミングを,洗濯工程の終了後(脱水槽又は洗濯兼脱水槽の停止後)で,かつ,洗濯物 を脱水槽又は洗濯兼脱水槽から取り出した後のタイミングとする(本件688明細書の段落【0026】,【0043】)ためのものである。 蓋の開閉動作の検知が「条件」とされている理由が上記のとおりのものであることに照らせば,蓋の開閉検知は槽乾燥工程実行のための「必要条件」であれば足り,蓋の開閉検知によって,自動的に槽乾燥工程に移行するもの(「動作開始条件」)である必要はない。本件688明細書には,槽乾燥工程 らせば,蓋の開閉検知は槽乾燥工程実行のための「必要条件」であれば足り,蓋の開閉検知によって,自動的に槽乾燥工程に移行するもの(「動作開始条件」)である必要はない。本件688明細書には,槽乾燥工程を洗濯運転とは別のコースとして設け(段落【0032】),任意の時点で実行することを可能とした形態が開示されているのであって(段落【0046】),洗濯工程とは別の乾燥コースを任意の時点で実行するためには,実行のための何らかの操作が必要となることからも,本件688発明が槽乾燥工程に自動移行するものに限定されないことが裏付けられる。上記のような解釈は,本件688発明が,「蓋の開閉によって実行される」等ではなく,「(蓋の開閉の)検知を条件として」と記載されるにとどまっていることとも整合するものである。 (イ) この点に関し,被告は,①本件688明細書の段落【0042】の記載,②本件688特許の出願経過において提出した原告らの上申書及び早期審査に関する事情説明書の内容並びに688親出願等との関係を挙げて,蓋の開閉検知は「動作開始条件」として記載されているものであり,「検知を条件に」とは,蓋の開閉検知によって槽乾燥工程に自動移行することを意味するものと解すべきであると主張する。 しかし,本件688明細書の段落【0042】は,本件688発明の一実施例として,自動的に槽乾燥工程に移行するものを開示しているにすぎないから,本件688発明の技術的範囲が,上記実施例における実施形態に限定されるものではない。本件688発明が,任意の時点で槽乾燥工程を実行する形態を含むものであり,本件688明細書において, 槽乾燥工程に自動移行する形態に加え,槽乾燥工程実行のための操作を要する形態も開示されているものとみられることは前述のとおりである。 また 含むものであり,本件688明細書において, 槽乾燥工程に自動移行する形態に加え,槽乾燥工程実行のための操作を要する形態も開示されているものとみられることは前述のとおりである。 また,被告の指摘する上申書(乙11)の記載(本件688発明が,「原出願の出願当初明細書の図4,0039~0044段落の記載に基づくものである」旨の記載)は,分割出願に係る発明が688親出願の出願当初の明細書及び図面(以下「688親出願当初明細書」という。)において開示されていたことの説明として行われたものにすぎず,本件688発明を,688親出願当初明細書の図4,段落【0039】ないし【0044】に記載されている発明に限定する趣旨のものではない。 さらに,被告の指摘する早期審査に関する事情説明書(乙12)の記載(「極端に言えば使用者が洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行うことができ,…」)は,従来の洗濯機において,洗濯兼脱水槽の内部を乾燥させるためには,使用者が洗濯終了後に布などを使用して槽内の水滴等を拭き取る必要があったが,このような手作業は手間と時間を要して面倒であり,実行されにくかったのに対し,本件688発明の槽乾燥工程が,そのような手間と時間を要することなく実行することができるものであることを述べたものにすぎず,必ず槽乾燥工程を毎回行うことを本件688発明の作用効果として述べたものではない。これは,「極端に言えば」との記載からも理解できることである。 (ウ) 以上によれば,被告の主張はいずれも理由がなく,「検知を条件に」とは,蓋の開閉検知を条件に槽乾燥工程に自動移行することを意味しない。 イ 「洗濯物が取り出された状態で…移行」「洗濯物が取り出された状態で」とは,洗濯物が取り出された状態で行われる槽乾燥工程を備えていることを意味し 乾燥工程に自動移行することを意味しない。 イ 「洗濯物が取り出された状態で…移行」「洗濯物が取り出された状態で」とは,洗濯物が取り出された状態で行われる槽乾燥工程を備えていることを意味し,洗濯物が槽内に残存してい る状態で槽乾燥工程に移行する場合がある構成を除外するものではなく,洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程に移行する場合があれば足りる。 前述のとおり,本件688発明は,洗濯工程終了後に蓋の開閉を行う場合,通常の使用者であれば,蓋を開けて洗濯物を取り出し,蓋を閉めるから,蓋の開閉後には槽内に洗濯物は残存していないとの考えに基づき,洗濯工程終了後に蓋の開閉が検知された状態を「洗濯物が取り出された状態」とみなし,槽乾燥工程に移行するものである。したがって,「洗濯物が取り出された状態で…移行」とは,蓋の開閉検知とは別の独立した条件を規定したものではなく,常に洗濯物が残存した状態で槽乾燥工程に移行する構成を除外する意味を有するにとどまるものである。 被告は,「洗濯物が取り出された状態で」とは,槽乾燥工程が,必ず洗濯物が槽内に残存しない状態で行われるものでなければならない旨主張するが,槽内に洗濯物が残存していないことを正確に把握する技術が存在しないことを無視するものであり,不合理である。 ウロ号製品における当てはめ(ア) ロ号製品は,洗濯工程終了後に蓋の開閉検知を行うものであり(ロ号製品の構成g),上記検知が行われた場合で,かつ,「スタート」キーが押下された場合には,カビプロテクト運転を実行する一方,上記検知が行われない場合(蓋の開閉が行われない場合)には,「スタート」キーが押下されてもカビプロテクト運転を実行しないものである(ロ号製品1,2の構成hi)。したがって,ロ号製品は,蓋の開閉検知を,カビプロテクト い場合(蓋の開閉が行われない場合)には,「スタート」キーが押下されてもカビプロテクト運転を実行しないものである(ロ号製品1,2の構成hi)。したがって,ロ号製品は,蓋の開閉検知を,カビプロテクト運転移行のための「必要条件」とするものであり,「前記検知工程による検知を条件に」を充足する。 (イ) ロ号製品におけるカビプロテクト運転は,いずれも,洗濯物が取り出された状態で行われる場合がある(甲10,11)。 なお,ロ号製品のうち,「重量検知」動作(洗濯槽を回転させるモー タを回転させモータに流れる電流値を積分した値が所定値を超過するか否かの判定を行う動作)を行わないものは,蓋の開閉が検知されれば,洗濯物が槽内に残存していてもカビプロテクト運転に移行する(ロ号製品2の構成hi)。また,ロ号製品のうち,「重量検知」動作を行うものも,洗濯槽を回転させるモータを回転させモータに流れる電流値を積分した値が所定値を上回らない場合には,洗濯物が槽内に残存していてもカビプロテクト運転に移行する(ロ号製品1の構成hi)。しかし,ロ号製品は,蓋の開閉によって洗濯物が取り出されたことを通常の動作として想定して,カビプロテクト運転に移行するものであり(甲9),このような製品において,使用者が通常の動作とは異なる動作を行うという,いわば異常状態において,洗濯物が残存した状態でカビプロテクト運転に移行する場合があることをもって,ロ号製品の本件688発明充足性が左右されるものではない。 したがって,ロ号製品は,「洗濯物が取り出された状態で…移行」を充足する。 (ウ) 以上によれば,ロ号製品は,構成要件HI前段を充足する。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ 「前記検知工程による検知を条件に」(ア) 本件688明細書の段落【0042】 (ウ) 以上によれば,ロ号製品は,構成要件HI前段を充足する。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ 「前記検知工程による検知を条件に」(ア) 本件688明細書の段落【0042】には,「槽内の加熱は脱水運転終了後に自動的に開始するから,槽内を確実に乾燥することができる」との記載がある。これに加えて,以下でみる本件688特許及び688曽祖父出願等の出願経過における原告らの主張等に照らせば,「前記検知工程による検知を条件に」とは,検知がなされたときには自動的に槽乾燥工程に移行する構成を意味するものと解するべきである。上記解釈は,「条件」を動作開始条件と捉えるものであり,文言の素直な解 釈である。 (イ) 出願経過についてa 原告らは,本件688特許の分割出願の適法性に関する上申書(乙11)において,「請求項1の下線部に記載の修正事項は,例えば,原出願の出願当初明細書の図4,0039~0044段落の記載に基づくものである。」と記載しているから,本件688発明は,上記図及び段落記載の実施例(第6実施形態)によりサポートされているものである。第6実施形態は,本件688明細書の段落【0042】に記載されているとおり,「槽内を確実に乾燥することができる」ことを作用効果とするものであるところ,蓋の開閉検知がされたとしても槽乾燥工程に自動的に移行しなくてよいと解釈すると,上記作用効果を奏することができない。したがって,「検知を条件に」とは,自動移行を意味するものと解すべきである。 b 原告らは,本件688特許の「早期審査に関する事情説明書」(乙12)において「極端に言えば使用者が洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行うことができ,…優れた効果を発揮することができます。」と記載しており,原告らが,「洗濯のたびに簡単に槽の乾 関する事情説明書」(乙12)において「極端に言えば使用者が洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行うことができ,…優れた効果を発揮することができます。」と記載しており,原告らが,「洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行う」ことを本件688発明の作用効果として主張したことは明らかである。しかるに,蓋の開閉検知がされたとしても槽乾燥工程に自動的に移行しなくてもよいと解釈すると,「洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行う」という上記効果を奏することができない。この点からも,「検知を条件に」が自動移行を意味するものであることが裏付けられる。 c 688曽祖父出願に係る特許第4621278号(乙13)の出願経過において,原告らは,平成22年2月12日付け意見書(乙15)で,特許請求の範囲を「脱水工程終了後,前記蓋の開閉動作の検知を条件として,自動的に移行する」と補正する根拠として,同出願 に係る出願当初の明細書の「段落0042」を引用し(乙15),さらに,審査官の指摘(乙16)に対し,蓋の開閉動作検知は,洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態を意味する旨主張した(乙17)。加えて,原告らは,平成22年9月24日付けの審判請求書(乙18)でも,「…蓋開閉動作が検知されると,当然洗濯物が洗濯兼脱水槽から取り出された状態となり,槽乾燥工程に自動的に移行されます。…」と記載しているのであり,原告らが,同明細書の段落0042の「蓋の開閉動作のあったことを条件として」との記載を,槽乾燥工程への自動移行を意味するものとして理解し,そのように主張していることが明らかである。 上記段落0042は,本件688明細書の段落【0043】に当たるから,本件688明細書の段落【0043】の「蓋の開閉動作のあったことを条件として」も上記と同様に解するべきである。本件68 上記段落0042は,本件688明細書の段落【0043】に当たるから,本件688明細書の段落【0043】の「蓋の開閉動作のあったことを条件として」も上記と同様に解するべきである。本件688発明が,本件688明細書の図4,段落【0039】ないし【0044】の記載に基づくものであることは前記のとおりであるから,構成要件HI前段の「検知を条件として」とは,自動移行を意味するものと解すべきことになる。 d 688祖父出願に係る特許第4733218号(乙14)の出願経過において,原告らは,平成22年6月11日付け上申書(乙19)で,請求項1に係る特許請求の範囲を「…温風供給手段から前記洗濯兼脱水槽内に温風が自動的に供給される…」とする根拠を,「分割直前の原出願明細書の0040段落~0043段落に記載された事項に基づくものである。」と主張した。上記のとおり,原告らは,第6実施形態に自動的に槽乾燥工程に移行する例が開示されていることをもって,「自動的に供給される」との特許請求の範囲を記載したのであるから,同じ段落の記載を根拠とする本件688発明において,自動 移行を条件としない旨主張することはできないはずである。 (ウ) これに対し,原告らは,本件688明細書の段落【0042】の記載は,本件688発明の一実施例を示したものにすぎず,本件688発明は上記実施例記載の構成に限定されない旨主張する。しかし,本件688明細書に開示されている実施形態のうち,一槽式の全自動洗濯機に係る実施例であり,かつ,蓋の開閉検知を「条件」として槽乾燥工程に移行するものは第6実施形態のみであるから,本件688発明をサポートする実施例は,段落【0039】ないし【0044】に記載された第6実施形態のみであり,そのため,原告らも,前記のとおり,その上申書 移行するものは第6実施形態のみであるから,本件688発明をサポートする実施例は,段落【0039】ないし【0044】に記載された第6実施形態のみであり,そのため,原告らも,前記のとおり,その上申書(乙11)において,本件688発明は,「原出願の出願当初明細書の図4,0039~0044段落の記載に基づくものである」旨述べているのである。このような実施例において,槽乾燥工程への移行が「自動的」になされる旨記載されている以上,本件688発明の「検知を条件として」は,自動移行を意味するものとして解釈されるべきである。 (エ) ロ号製品における当てはめロ号製品は,「スタート」キーの押下を条件にカビプロテクト運転に移行するものであり,蓋の開閉検知から槽乾燥工程に自動移行するものではない(ロ号製品1,2の構成hi)。したがって,ロ号製品は「前記検知工程による検知を条件に…槽乾燥工程へ移行」を充足しない。 ウ 「洗濯物が取り出された状態で」(ア) 構成要件HI前段は,「洗濯物が取り出された状態で,…槽乾燥工程へ移行する」というものであるから,洗濯物が取り出されていない状態では槽乾燥工程に移行しないことを規定したものである。原告らは,構成要件HI前段は洗濯物が取り出されていない状態を何ら規定していない旨述べるが,上記解釈では,「洗濯物が取り出された状態で」との文言が無意味となる上,原告らが,688曽祖父出願の出願経過におい て提出した意見書(乙15)及び審判請求書(乙18)において,引用文献記載の発明では洗濯物が残っている状態なので外槽壁面を効率よく乾燥させることができないなどと述べて,洗濯物が残存する構成を排除していることとも矛盾するものである。 (イ) ロ号製品における当てはめロ号製品のうち,「重量検知」を行わない製品(ロ号 効率よく乾燥させることができないなどと述べて,洗濯物が残存する構成を排除していることとも矛盾するものである。 (イ) ロ号製品における当てはめロ号製品のうち,「重量検知」を行わない製品(ロ号製品2)は,洗濯工程終了後に蓋の開閉を検知し,「スタート」キーが押下されると,洗濯物が槽内に残存していても槽乾燥工程に移行する(ロ号製品2の構成hi)。また,ロ号製品のうち,「重量検知」を行う製品(ロ号製品1)は,「スタート」キーが押下されると,洗濯槽を回転させるモータを回転させモータに流れる電流値を積分した値が所定値を超過するか否かの判定を行い,上記判定結果が超過しなかった場合には槽乾燥工程に移行するものであるが(ロ号製品1の構成hi),上記所定値は,残存洗濯物重量1.135kgに対応するものである。 以上のとおり,ロ号製品2は,何kgもの洗濯物が残存していても槽乾燥工程に移行するものであり,ロ号製品1は,約1.135kg近くの洗濯物が残存していても槽乾燥工程に移行するものである。このような状態が「洗濯物が取り出された状態」に該当しないことは明らかであり,ロ号製品は「洗濯物が取り出された状態で…移行」を充足しない。 エしたがって,ロ号製品は構成要件HI前段を充足しない。 (2) 争点(1)イ(ア)(記載要件違反の有無)(被告の主張)ア特許法36条6項2号(明確性要件)違反について本件688特許の「前記検知工程による検知を条件に…槽乾燥工程へ移行」(構成要件HI)との文言が,自動移行に限られず,他の操作を待って槽乾燥工程に移行する構成も含むものであるとすれば,上記文言は不明 確である。 加えて,本件688特許の「前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」(構成要件HI)との文言が,「前記検知工程 行する構成も含むものであるとすれば,上記文言は不明 確である。 加えて,本件688特許の「前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」(構成要件HI)との文言が,「前記検知工程による検知」がされた状態を言い換えたにすぎないのか,又は「前記検知工程による検知」と重畳して適用される,槽乾燥工程移行のための独自の条件を定めたものであるのかは明確ではない。また,仮に,上記文言が,槽乾燥工程移行のための独自の条件を定めたものではないとすれば,上記文言が何を規定しているのかは不明であるということになる。 したがって,本件688発明の構成要件HIの記載は不明確であり,本件688特許は,特許法36条6項2号の規定に違反してされたものである。 イ特許法36条6項1号(サポート要件)違反について本件688発明が,蓋の開閉検知により槽乾燥工程に自動移行する構成だけではなく,他の操作を待って槽乾燥工程に移行する構成も技術的範囲に含むものであるとした場合,本件688明細書には,自動移行の例(第6実施形態)が開示されているのみであり,その他の構成につき開示も示唆もないのであるから,本件688発明は,発明の詳細な説明に記載したものではない。 したがって,本件688特許は,特許法36条6項1号の規定に違反してされたものである。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ本件688発明において,「前記検知工程による検知を条件に…槽乾燥工程へ移行」が必要条件を定めたものであること及び「前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」が槽乾燥工程移行のための独自の条件を定めたものではないことはいずれも明確であり,同発明に特許法36条 6項2号に反する点はない。また,同発明は本件688明細書の発明の詳細な説明に 態で」が槽乾燥工程移行のための独自の条件を定めたものではないことはいずれも明確であり,同発明に特許法36条 6項2号に反する点はない。また,同発明は本件688明細書の発明の詳細な説明に記載されているものであり,同発明に同条6項1号に反する点もない。 (3) 争点(1)イ(イ)(乙20号証に基づく新規性又は進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙20発明の内容688高祖父出願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-19684号公報(以下「乙20文献」といい,同文献記載の発明を「乙20発明」という。)には,次の構成を有するドラム式洗濯乾燥機が記載されている(以下,次の構成をそれぞれ「乙20発明a」などという。)。 a 開口部を有する外箱1と,b 前記外箱1の開口部に設けたドア8と,c 前記外箱1に内装された水槽2と,d 前記外箱1内の水槽2の内側に,水平軸3を中心に回転するように支持され,多数の小孔5が整列して形成されているドラム4と,e ドラム4内に風を供給する送風機21及び温風ダクト19と,f 洗い工程,すすぎ工程,中間脱水工程の順からなる洗濯工程と,g 中間脱水終了時点で,ドア8の開閉を検知する検知工程とを有し,hi 中間脱水終了時点で,ドア8の開閉が検知された後,送風機21及び温風ダクト19からドラム4内に空気を供給し,ドラム4内に形成された多数の小孔を通じて水槽2内に流れ込む乾燥工程へ移行するj ドラム式洗濯乾燥機。 イ本件688発明と乙20発明との対比(ア) 乙20発明aは,本件688発明の構成要件Aと一致する。 (イ) 乙20発明bの「ドア8」は,「外箱の開口に設けた蓋」(構成要件B)に相当する。 (ウ) 乙20発明cの「外箱1に内装された水槽2」は,「 件688発明の構成要件Aと一致する。 (イ) 乙20発明bの「ドア8」は,「外箱の開口に設けた蓋」(構成要件B)に相当する。 (ウ) 乙20発明cの「外箱1に内装された水槽2」は,「外箱内に支持された外槽」(構成要件C)に相当する。 (エ) 乙20発明dの「ドラム4」は「洗濯兼脱水槽」(構成要件D)に,ドラム4に形成されている「多数の小孔5」は「複数の脱水孔」(構成要件D)に各相当する。 (オ) 乙20発明eの「送風機21及び温風ダクト19」は,「前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段」(構成要件E)に相当する。 (カ) 乙20発明fの「洗い工程,すすぎ工程及び中間脱水工程の順からなる洗濯工程」は,「洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程」(構成要件F)に相当する。 (キ) 乙20発明において,中間脱水は洗濯工程の最終工程であるから,「中間脱水終了時点」は,「洗濯工程終了後」(構成要件G)に相当するところ,乙20発明gの「中間脱水終了時点で,ドア8の開閉を検知する検知工程」は,「前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程」(構成要件G)に相当する。 (ク) 乙20発明に係るドラム式洗濯乾燥機は,中間脱水終了時点で,ドア8の開閉を検知した後,乾燥工程に移行するものであるから(乙20発明hi),「前記検知工程による検知を条件に…乾燥工程へ移行」(構成要件HI)するものに当たる。なお,乙20発明に係るドラム式洗濯乾燥機は,ドア8の開閉がない場合にも,所定時間が経過した場合には乾燥工程に移行するものであるが,乙20発明が,ドア開閉の有無を優先的に検知する構成となっていること及び本件688発明が「検知工程による検知のみを条件に」槽乾燥工程に移行する旨を規定したものではないことに照らせば,乙20発明が ,乙20発明が,ドア開閉の有無を優先的に検知する構成となっていること及び本件688発明が「検知工程による検知のみを条件に」槽乾燥工程に移行する旨を規定したものではないことに照らせば,乙20発明が「検知工程による検知を条件に…乾燥工程へ移行」するものとみることに支障はない。 また,乙20発明において,上記乾燥工程は,送風機21及び温風ダ クト19からドラム4内に空気を供給し,ドラム4内に形成された多数の小孔を通じて水槽2内に流れ込むものであるから(乙20発明構成hi),「前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させ」(構成要件HI)るものに相当する。 (ケ) 乙20発明jの「ドラム式洗濯乾燥機」は「洗濯乾燥機」(構成要件J)に相当する。 (コ) 以上によれば,本件688発明と乙20発明は,「開口部を有する外箱と,前記外箱の開口に設けた蓋と,前記外箱内に支持された外槽と,前記外槽内に回転自在に配置され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽と,前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段とを備え,洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程と,前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程とを有し,前記検知工程による検知を条件に」,「前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させ」る「工程へ移行することを特徴とした洗濯乾燥機。」である点で一致し,次の点において一応相違する。 a 本件688発明において,「送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を…流入させ」る工程が,「洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程」と定義されているのに対し,乙20発明では 本件688発明において,「送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を…流入させ」る工程が,「洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程」と定義されているのに対し,乙20発明では,特定種類の毛布を乾燥させる工程として説明されており,ドラム4の内部及び水槽2の壁面を乾燥させる工程とは記載されていない点。 b 本件688発明において,「槽乾燥工程」に移行する条件として「前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」と規定されているのに対し,乙20発明では上記条件が記載されていない点。 (サ) 原告らは,乙20発明における乾燥工程(乙20発明hi)は,毛布コースが選択され,かつ,化学繊維の毛布であって所定値以上の重量を有すると判断された場合に実行されるものであるのに対し,本件688発明の槽乾燥工程は,上記のような限定のない「洗濯工程終了後」(構成要件G)に実行されるものであるから,乙20発明は,構成要件Gに相当する構成を備えない旨主張する。しかし,本件688発明の構成要件Gは,検知工程終了後に実行される工程を指す文言を含まないのであるから,検知工程完了後に実行される工程がどのようなものであるかは,構成要件G該当性に影響しない。 原告らの主張の趣旨は,乙20発明における毛布コースの洗い工程,すすぎ工程,中間脱水工程(乙20発明f)が「洗濯工程」(構成要件F)に相当しない旨のものであるとも解される。しかし,上記毛布コースが洗い,すすぎ及び脱水工程を含むものである以上,同工程が「洗濯工程」に相当することは明らかであり,上記工程がどのようなコースの全部又は一部を構成するかという点は,構成要件F該当性を左右しない。 ウ相違点の検討(ア) 相違点aについてドラム式洗濯乾燥機において,脱水後の洗濯物が入 ,上記工程がどのようなコースの全部又は一部を構成するかという点は,構成要件F該当性を左右しない。 ウ相違点の検討(ア) 相違点aについてドラム式洗濯乾燥機において,脱水後の洗濯物が入っているドラム内に温風を供給して乾燥工程を行う場合,洗濯物が乾燥するとともに,ドラム内部及び水槽壁面も乾燥することは,当業者における技術常識である(特開平10-99586号公報〔以下「乙21文献」という。〕の段落【0001】,【0020】及び【0037】,特開平8-173694号公報〔以下「乙22文献」という。〕の段落【0011】参照)。 原告らは,乙20文献における乾燥工程では毛布を完全に乾燥させることはできず,従ってドラム4内部等も乾燥させることはできない旨主 張するが,当業者であれば毛布が乾燥するよう乾燥工程の時間及び温度を設定できることは当然である。そして,洗濯物が乾燥される場合,温風が循環する領域であるドラム4内部及び水槽2壁面も同様に乾燥されることは明らかである。原告らは,毛布によって小孔がふさがれるから,温風が小孔を通じて水槽内に流入し,水槽を乾燥させることはできない旨主張するが,乙20発明に係るドラム4の回転軸が水平方向を向いていること及び小孔がドラム4の全体にわたって形成されていることに照らし,小孔が全て同時にふさがれるという現象は生じ得ない。 したがって,相違点aは実質的ではない。 (イ) 相違点bについてa 本件688明細書の【0043】において,蓋の開閉動作の検知を条件として温風供給手段を動作させることは,温風供給手段を動作させるタイミングを,洗濯物を洗濯兼脱水槽から取り出した後とするための具体的手段として記載されている。したがって,本件688発明において,蓋の開閉を蓋スイッチで検知したならば,そ 温風供給手段を動作させるタイミングを,洗濯物を洗濯兼脱水槽から取り出した後とするための具体的手段として記載されている。したがって,本件688発明において,蓋の開閉を蓋スイッチで検知したならば,それだけで「洗濯物を洗濯兼脱水槽から取り出した」とみなされ,別途,「洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態」が検出されるものではない。よって,「前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」は,「前記検知工程による検知を条件に」と同じことを規定したにすぎないから,相違点bは実質的ではない。 原告らは,乙20発明において毛布が槽内に存在することから,相違点bは実質的であると主張するが,原告らは,充足論において,洗濯物が槽内に残存していても槽乾燥工程に移行する場合がある構成が除外されない旨主張しているのであるから,上記主張は一貫性を欠くものというべきである。 b 仮に相違点bが実質的相違点であるとしても,検知工程による蓋の 開閉検知をもって洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態であるとみなすことは,特開平7-185189号公報(以下「乙23文献」という。),特開平8-112496号公報(以下「乙24文献」という。),特開平10-263270号公報(以下「乙25文献」という。)に記載されているとおり,周知技術に属する。なお,乙20文献記載のドラム式洗濯乾燥機は,ドラム内から毛布を取り出した後に,毛布を再びドラム内に入れられたことを判断する装置を備えるものではない。したがって,「いったん取り出された毛布が形を整えられ再びドラムに入れられた」との記載は,単に乙20発明の用途を説明したものにすぎず,同発明の構成を説明したものではないし,同発明の構成を他の用途に用いることを否定するものではない。よって,上記記載は,乙20発明に上 られた」との記載は,単に乙20発明の用途を説明したものにすぎず,同発明の構成を説明したものではないし,同発明の構成を他の用途に用いることを否定するものではない。よって,上記記載は,乙20発明に上記周知技術を適用し,別の用途(槽内の乾燥)に用いることの阻害事由とはならない。 c さらに,仮に本件688発明の「洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」との文言が,槽乾燥工程に移行するための独自の条件を定めた趣旨であるとしても,特開平10-127979号公報(以下「乙26文献」といい,同文献記載の発明を「乙26発明」という。)には,扉の開閉後に,洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出されたことを検知して,洗濯物がない場合にカビ付着防止のための工程に移行することが記載されている。乙26発明は,その対象(洗濯乾燥機)が乙20発明と共通する上,その課題(カビ付着防止)は,乙20発明においてドラムを乾燥させることに必然的に伴う効果にすぎない。したがって,乙20発明に乙26発明を組み合わせることは,当業者にとって容易であり,上記組合せによって得られる作用効果も特段のものではない。 (ウ) 以上によれば,本件688発明は,乙20発明と同一であり,又は 乙20発明に乙26発明を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものであり,新規性又は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ本件688発明と乙20発明との対比について本件688発明と乙20発明が構成要件AないしF及びJにおいて一致することは認めるが,両発明が構成要件Gにおいて一致することは争う。 これらの発明は,構成要件Gにおいても相違している。 すなわち,乙20発明における乾燥運転は,化学繊維の毛布であって,かつ,所定値以上の重量を が,両発明が構成要件Gにおいて一致することは争う。 これらの発明は,構成要件Gにおいても相違している。 すなわち,乙20発明における乾燥運転は,化学繊維の毛布であって,かつ,所定値以上の重量を有すると判断された場合に実行されるものであるのに対し,本件688発明の構成要件Gの「前記洗濯工程終了後」は,上記のような限定のない,構成要件Fの「洗濯工程」の終了後を指すものである。したがって,乙20発明は,構成要件Gに相当する構成を備えていない。 ウ相違点の検討(ア) 相違点aについて被告は,乙20発明において毛布を乾燥させた場合,ドラム内部及び水槽壁面も乾燥することは技術常識であると主張する。しかし,乙20発明出願当時の技術水準に鑑みれば,化学繊維の毛布を完全に乾燥させることは困難であったから,同発明における化繊毛布乾燥運転は,毛布を完全に乾燥させられるものではなく,したがって,洗濯槽内部及び外槽壁面を乾燥させられるものでもない。 すなわち,乙20発明における乾燥運転は,化学繊維の毛布であって,かつ,所定値以上の重量を有する場合に実行されるものであるところ,化学繊維の毛布は毛足が長く,かつ,高温乾燥ができないものであるから,完全に乾燥させることが困難である。乙20発明の出願人が同出願 から約18年後に発売したドラム式電気洗濯乾燥機の取扱説明書(甲12)においても,なお,化繊毛布を十分に乾燥させることができないことをうかがわせる記載(「乾き残りは反対にたたみ直し,『1~2時間』を選んで追加乾燥してください。」等)があることは,乙20発明出願当時に化繊毛布を十分乾燥させることが困難であったことを裏付けている。 したがって,乙20発明における化繊毛布乾燥運転は,毛布を完全に乾燥させられるものではない。 ることは,乙20発明出願当時に化繊毛布を十分乾燥させることが困難であったことを裏付けている。 したがって,乙20発明における化繊毛布乾燥運転は,毛布を完全に乾燥させられるものではない。 また,仮に乙20発明で毛布を乾燥させることができたとしても,乙20発明においては,化繊毛布が槽内に存在することにより,脱水孔のほとんどがふさがれてしまうから,外槽を十分に乾燥させることはできない。 よって,相違点aは実質的である。 (イ) 相違点bについてa 乙20発明においては,ドアの開閉が検知されなくとも,所定時間の経過により乾燥工程に移行するものであり,ドアの開閉を乾燥工程移行のための必要条件とするものではない。したがって,乙20発明は,「前記検知工程による検知を条件」とする構成を有しない点でも,本件688発明と相違する。 本件688発明は,槽の乾燥を目的とするものであることから,蓋の開閉検知を槽乾燥工程移行のための必要条件とし,洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態という条件の成否を検出するものである。 これに対し,乙20発明は,毛布の乾燥を目的とするものであることから,蓋の開閉検知によって,毛布がドラム内に入れ直されたことを想定しているにすぎない。したがって,上記相違点は,両発明の目的の相違によるものであり,乙20発明において,ドアの開閉により洗 濯物が取り出された状態という条件の成否を検出し,乾燥工程の開始条件とする構成を採用する動機は全くない。 b 本件688発明における槽乾燥工程は洗濯物が取り出された状態で行われるものであるのに対し,乙20発明の化繊毛布乾燥運転は,毛布が槽内に存在する状態で行われるものであるから,この点は実質的相違点である。 そして,乙20発明に係る化繊毛布乾燥運転は,毛布を 行われるものであるのに対し,乙20発明の化繊毛布乾燥運転は,毛布が槽内に存在する状態で行われるものであるから,この点は実質的相違点である。 そして,乙20発明に係る化繊毛布乾燥運転は,毛布を乾燥させるためのものであるから,これを「洗濯物が取り出された状態で」行うべき動機はない。被告は,乙20発明において,使用者が毛布を取り出してドアを閉めた場合には洗濯物が存在しない状態で乾燥工程が行われることを指摘するが,乙20文献に,上記のような変則的な使用方法を示唆する記載は全くない。また,乙26発明は,槽を洗浄するものであって乾燥するものではないから,乙26発明を乙20発明に組み合わせたとしても,本件688発明に想到することはできない。 c したがって,本件688発明は,乙20発明と同一ではなく,かつ,乙20発明から当業者容易に想到することができたものに当たらないから,乙20発明により新規性又は進歩性を欠くものではない。 (4) 争点(1)イ(ウ)(乙27号証に基づく進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙27発明の内容(ア) 688高祖父出願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-347199号公報(以下「乙27文献」といい,同文献記載の発明を「乙27発明」という。)には,次の構成を有する脱水兼用洗濯機が記載されている(以下,次の構成をそれぞれ「乙27発明a」などという。)。 a 開口部を有する外箱1と, b 前記外箱1の開口に設けたトップカバー10と,c 外箱1の内部に配設された水受用の外槽2と,d 前記外槽内に回転自在に配設され,その周壁に多数の脱水孔7を形成した内槽6と,e 熱風を内槽6内に供給する熱風供給装置17とを備え,f 洗い,脱水,すすぎ,脱水,すすぎ,脱水の順からなる洗濯工程と, 内に回転自在に配設され,その周壁に多数の脱水孔7を形成した内槽6と,e 熱風を内槽6内に供給する熱風供給装置17とを備え,f 洗い,脱水,すすぎ,脱水,すすぎ,脱水の順からなる洗濯工程と,hi 前記熱風供給装置17から内槽6内に供給された熱風を,前記多数の脱水孔7を介して前記内槽6と前記外槽2の隙間に流入させて前記内槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる乾燥工程に移行するj 脱水兼用洗濯機。 (イ) なお,上記構成hiに関し,乙27文献には,内槽6内に供給された熱風が内槽6と外槽2の隙間に流入すること及びこれにより内槽内部及び外槽壁面が乾燥させられることについての記載はない。しかし,乙27文献には,最終の脱水時に熱風供給装置17を作動させて熱風を内槽6内に供給することが記載されているところ(乙27文献の段落【0018】),上記内槽6には多数の脱水孔7が形成されているのであるから(乙27発明d),上記熱風は上記脱水孔7から出て行くしかなく,その結果,熱風は,内槽6と外槽2との間の隙間に流入することになる。 また,上記のとおり熱風が内槽6内部及び内槽6と外槽2の隙間に流入すると,内槽6内部及び外槽2壁面は当然に乾燥されることになる。これは,乙27文献に,熱風供給の目的が内槽6の内部の乾燥を行い,湿気を取り除くことにより,内槽6にかびや異臭が発生することを防止することにある旨記載されていることとも整合する。したがって,乙27文献には,上記構成hiが実質的に記載されている。 イ本件688発明と乙27発明との対比(ア) 乙27発明aは,本件688発明の構成要件Aと一致する。 (イ) 乙27発明bの「トップカバー10」は,「外箱の開口に設けた蓋」(構成要件B)に相当する。 (ウ) 乙27発明cの「外箱1の内部に配設さ 本件688発明の構成要件Aと一致する。 (イ) 乙27発明bの「トップカバー10」は,「外箱の開口に設けた蓋」(構成要件B)に相当する。 (ウ) 乙27発明cの「外箱1の内部に配設された水受用の外槽2」は,「外箱内に支持された外槽」(構成要件C)に相当する。 (エ) 乙27発明dの「前記外槽内に回転自在に配設され,その周壁に多数の脱水孔7を形成した内槽6」は,「前記外槽内に回転自在に配設され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽」(構成要件D)に相当する。 (オ) 乙27発明eの「熱風供給装置17」は,「前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段」(構成要件E)に相当する。 (カ) 乙27発明fの「洗い,脱水,すすぎ,脱水,すすぎ,脱水の順からなる洗濯工程」は,「洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程」(構成要件F)に相当する。 (キ) 乙27発明に係る脱水兼用洗濯機は,「前記熱風供給装置17から内槽6内に供給された熱風を,前記多数の脱水孔7を介して前記内槽6と前記外槽2の隙間に流入させて前記内槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる乾燥工程に移行する」(乙27発明hi)ものであるから,「前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を…乾燥させる槽乾燥工程に移行する」(構成要件HI)ものに相当する。 (ク) 乙27発明jの「脱水兼用洗濯機」は,「洗濯乾燥機」(構成要件J)に相当する。 (ケ) 以上によれば,本件688発明と乙27発明は,「開口部を有する外箱と,前記外箱の開口に設けた蓋と,前記外箱内に支持された外槽と,前記外槽内に回転自在に配置され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽と,前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段とを備え,洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程と,前記洗濯工程終了後」, 前記外槽内に回転自在に配置され,複数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽と,前記洗濯兼脱水槽に空気を供給する送風手段とを備え,洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程と,前記洗濯工程終了後」,「前記送風手段から前記洗濯兼脱水槽内に供給された空気を,前記複数 の脱水孔を介して前記洗濯兼脱水槽と前記外槽の隙間に流入させて前記洗濯兼脱水槽内部及び前記外槽壁面を乾燥させる槽乾燥工程へ移行することを特徴とした洗濯乾燥機」である点で一致し,本件688発明が,洗濯工程終了後に槽乾燥工程に移行する条件を「蓋の開閉を検知する」,「検知工程による検知を条件に,前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」とするものであるのに対し,乙27発明では上記条件が定められていない点において相違する。 ウ相違点の検討(ア) 乙27発明において,乾燥工程を有する構成(乙27発明hi)が採用されたのは,脱水槽の乾燥を行い,湿気を取り除くことで,脱水槽にかびや異臭が発生することを防止するためである。そして,特公平5-41278号公報(以下「乙28文献」といい,同文献記載の発明を「乙28発明」という。)には,洗濯後排水をし,洗濯物を入れないで乾燥の空運転を10分ないし20分行えば,熱風により洗濯兼乾燥槽内に付着している水分を蒸発させることができる旨記載されている。 ここで,「洗濯物を入れないで」との状態を作出するために,蓋の開閉をスイッチにより検知する工程を用いることは,争点(1)イ(イ)で主張したとおり,周知技術である。また,乙27発明と乙28発明は,洗濯,脱水及び乾燥機能を備える洗濯機に関するものであるから技術分野の関連性があり,槽の乾燥という課題においても共通している。なお,乙27発明記載の乾燥工程が脱水のため洗濯物を入れた状態で行われ ,洗濯,脱水及び乾燥機能を備える洗濯機に関するものであるから技術分野の関連性があり,槽の乾燥という課題においても共通している。なお,乙27発明記載の乾燥工程が脱水のため洗濯物を入れた状態で行われるものであるのに対し,乙28発明の槽乾燥が洗濯物を入れない空運転であることは,これらの構成の組合せ又は置換えを阻害する要因に当たらない。 むしろ,乙27発明に接した当業者であれば,脱水槽にかび等を発生させないという同発明に係る目的を達成するためには,洗濯工程終了後に洗濯物を取り出して内槽6に熱風を供給する方が,効率が良いことは当 然に思いつくものであり,乙27文献には,乙28発明を組み合わせる動機付けが十分に示唆されているというべきである。 以上によれば,当業者において,乙27発明に乙28文献記載の構成(洗濯後排水し,洗濯物を入れないで乾燥の空運転を行う構成)を適用し,更に周知技術を適用して,蓋の開閉の検知により,洗濯兼脱水槽からの洗濯物の取出し完了を擬制して,これを乾燥工程に移行する条件とすることは容易である。 (イ) したがって,本件688発明は,乙27発明に乙28発明及び周知技術を適用することにより当業者が容易に想到することができたものに当たり,進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ本件688発明と乙27発明との対比について乙27発明における槽乾燥運転は,洗濯物の脱水率の向上を第一の目的とし,内槽内に濡れた洗濯物が残存している状態で脱水のために行われるものであって,内槽外面や外槽壁面までを乾燥させることを目的とするものではない。加えて,上記乾燥運転時には,洗濯物により,内槽と外槽の縁の隙間や脱水孔の大部分はふさがれた状態となることがうかがわれる。 したがって,上記乾燥運転は,内槽及び外 させることを目的とするものではない。加えて,上記乾燥運転時には,洗濯物により,内槽と外槽の縁の隙間や脱水孔の大部分はふさがれた状態となることがうかがわれる。 したがって,上記乾燥運転は,内槽及び外槽壁面を乾燥させるに足りるものではなく,少なくとも外槽壁面は十分に乾燥し得ない。 よって,乙27発明は,被告の指摘する点に加え,外槽壁面乾燥の可否についても本件688発明と相違する。 ウ相違点の検討乙27発明は,騒音や振動の増加を伴わず,耐久性等にも問題を生じることなく,洗濯物の脱水率を上げることを第一の目的とし,副次的な効果として,脱水槽のかびや異臭の発生を防止するものである。したがって, 乙27発明は,洗濯槽に洗濯物が存在する状態で行われる脱水工程において,一定程度の槽乾燥も達成できるという発明であり,乙27発明における熱風供給は,洗濯物が存在する状態で行うことが必要なものである。よって,乙27発明に,槽内に洗濯物を入れない状態で空運転を行う発明である乙28発明を組み合わせることはできない。また,乙28発明は,内槽を乾燥させることを目的とする発明であるところ,乙27発明において,熱風供給により内槽が乾燥する旨は示されているのであるから,既に達成されている目的のために乙28発明記載の構成を採用する動機付けは存在しない。 エしたがって,本件688発明は,乙27発明により容易に想到することができたものに当たらず,進歩性を欠くものではない。 2 争点(2)(本件521特許の侵害の成否)(1) 争点(2)ア(ハ号製品は本件521発明1ないし3の技術的範囲に属するか-構成要件G,H,I,K及びMの充足性)(原告らの主張)ア構成要件G,H,I,K及びMの充足性(ア) ハ号製品の送風槽回転1から撹拌1までの 件521発明1ないし3の技術的範囲に属するか-構成要件G,H,I,K及びMの充足性)(原告らの主張)ア構成要件G,H,I,K及びMの充足性(ア) ハ号製品の送風槽回転1から撹拌1までの工程は,ヒータをOFF状態で送風ファンを動作させながら,洗濯兼脱水槽を回転させて脱水した後に,パルセータのみを回転させるものである。上記工程は,「第1の工程」に相当し,構成要件Gを充足する。 (イ) ハ号製品の槽回転1から撹拌4までの工程は,送風ファン及びヒータを動作させながら,洗濯兼脱水槽を回転させる動作とパルセータを往復回転させる動作とを交互に繰り返すものである。上記工程は,「第2の工程」に相当し,構成要件H及びMを充足する。 (ウ) ハ号製品の槽回転4から槽回転と撹拌の繰り返しまでの工程は,送風ファン及びヒータを動作させながらパルセータを往復回転させる動作 と洗濯兼脱水槽を回転させる動作とを交互に繰り返すものである。なお,上記工程は,槽回転から開始されるものであるが,本件521発明3は,洗濯兼脱水槽の回転動作とパルセータの回転動作が繰り返されていれば足り,その順序を問うものではない。したがって,上記工程は,「第3の工程」に相当し,構成要件I及びMを充足する。 イ被告の主張に対する反論(ア) 被告は,本件521発明1ないし3は,「第1の工程」のみで終了するコースを備え,かつ,上記工程のみで乾燥が可能なものである必要があるところ,ハ号製品は,送風槽回転1から撹拌1まででコースを終了することができず,かつ,上記工程で洗濯物を乾燥させることは不可能であるから,本件521発明1ないし3の技術的範囲に属しない旨主張する。 しかし,第1の工程のみで終了するコースを選択できること及び第1の工程のみで乾燥が可能であることは,本 せることは不可能であるから,本件521発明1ないし3の技術的範囲に属しない旨主張する。 しかし,第1の工程のみで終了するコースを選択できること及び第1の工程のみで乾燥が可能であることは,本件521発明の構成要件ではない。第1ないし第3の工程を順次実行する場合であっても,第1の工程において洗濯物に含まれる水分を減少させることで,第2及び第3の工程を短縮することが可能であり,ランニングコストを軽減でき経済的な洗濯乾燥機を提供するとの本件521発明1ないし3の作用効果を奏することは可能である。被告の指摘する本件521明細書の記載(段落【0027】)は,第1の工程と第2の工程を切り替え可能に設定してもよい旨の記載の後に,上記切り替えを可能とした場合の実施例及び作用効果を記載したものにすぎず,本件521発明の技術的範囲を限定するものではない。 また,ハ号製品の送風槽回転1は,動作時間は本件521明細書の図1の「送風エコ乾燥」よりも短いものの,回転速度は上記「送風エコ乾燥」よりも速いものであって,動作時間を単純に比較して乾燥の可否を 論じることはできない。 (イ) 被告は,本件521発明1ないし3における第1ないし第3の工程は,脱水工程終了後の乾燥工程である必要があるところ,ハ号製品における「高速サイクロンスピン」(送風槽回転1)及び「高速プリヒート脱水」(撹拌1から撹拌4まで)は,いずれも脱水工程であって乾燥工程ではないから,これらの工程を含む工程が「第1の工程」及び「第2の工程」に相当することはないと主張する。 しかし,本件521発明は,乾燥工程と脱水工程を区別するものではない。本件521明細書には,乾燥工程と脱水工程を区別する記載は存在しないばかりか,図1では,「第1の工程」である「送風エコ乾燥」工程の前 し,本件521発明は,乾燥工程と脱水工程を区別するものではない。本件521明細書には,乾燥工程と脱水工程を区別する記載は存在しないばかりか,図1では,「第1の工程」である「送風エコ乾燥」工程の前半部分を「エコ脱水」と名付けているのであり,第1ないし第3の工程が「脱水工程終了後の乾燥工程」である必要がある旨の被告の主張に理由はない。 そもそも,脱水工程も乾燥工程も,洗濯物の水分を除去するという点で共通した作用を備える工程であり,脱水工程と乾燥工程を明確に区別することは不可能であって,被告の主張は,被告がハ号製品の各工程に付した名称を根拠にするものにすぎない。被告は,平成16年から平成20年までの間,被告の製品の取扱説明書において,「高速サイクロンスピン」及び「高速プリヒート脱水」が「高速サイクロンスピン乾燥」という乾燥工程を構成するものである旨の記載をしてきたにもかかわらず(甲13),本件521特許登録後に上記記載を削除したものであり(乙30),被告が,上記工程を乾燥工程の一部であると認識していたことが明らかである。 (ウ) 以上によれば,被告の主張はいずれも理由がなく,ハ号製品は構成要件G,H,I,K及びMをいずれも充足する。 (被告の主張) ア原告らの主張は争う。 イ第1ないし第3の工程は「脱水工程終了後の乾燥工程」の一部であること本件521明細書において,脱水工程と乾燥工程は整然と区別して記載されており,第1ないし第3の工程は,上記乾燥工程に属するものとして記載されているのであるから(段落【0001】,【0002】,【0004】,【0009】及び【0018】),第1ないし第3の工程は,「脱水工程終了後の乾燥工程」に属するものと解すべきである。 しかるに,ハ号製品の各工程のうち,原告らが「 ,【0002】,【0004】,【0009】及び【0018】),第1ないし第3の工程は,「脱水工程終了後の乾燥工程」に属するものと解すべきである。 しかるに,ハ号製品の各工程のうち,原告らが「第1の工程」及び「第2の工程」に相当すると主張する工程は,「高速サイクロンスピン」及び「高速プリヒート脱水」に当たる工程であり,これらは,すすぎ後に初めて行われる脱水工程の一部であって,「脱水工程終了後の乾燥工程」ではない。したがって,これらの工程を「第1の工程」及び「第2の工程」に当てはめる原告らの主張は失当である。なお,ハ号製品において,乾燥工程は槽回転4から始まるところ,ハ号製品では,上記乾燥工程以前の脱水工程の後半(槽回転1)において,既にヒータが作動しているのであり,ハ号製品に「第1の工程」に相当する工程は存在しない。 したがって,ハ号製品は,構成要件G及びHを充足しない。 ウ第1の工程のみで乾燥を終了するコースを備えることが必要であること本件521発明の目的が,洗濯物の布質等の条件に応じて適した乾燥方法を選択できることにあること(段落【0009】,【0011】,【0027】)に照らし,本件521発明においては,少なくとも「第1の工程」のみで終了できるコースを選択できることが必要である。また,本件521明細書に,本件521発明の効果として,「洗濯物の布質…などの条件によって,冷風を供給するだけで洗濯物に含まれている水分を飛ばすことができる場合は,送風ファンのみを動作させ冷風を供給する送風乾燥 とし…効率よく乾燥させ使用者のニーズに応えることができる。」(段落【0011】)との記載があり,実施例においても,ヒータに通電せず外気を洗濯兼脱水槽内にそのまま供給する工程が自動的に設定される場合が記載されていること(段 者のニーズに応えることができる。」(段落【0011】)との記載があり,実施例においても,ヒータに通電せず外気を洗濯兼脱水槽内にそのまま供給する工程が自動的に設定される場合が記載されていること(段落【0027】)に照らせば,「第1の工程」は,これのみで乾燥が可能な工程であることを要すると解すべきである。 しかるに,ハ号製品において,送風槽回転1は,脱水工程の前半部分であるから,必ず,撹拌1から撹拌4までの工程(「高速プリヒート脱水」)が後続するものであり,原告らが「第1の工程」であると主張する送風槽回転1及び撹拌1で動作が終了することはあり得ない。また,本件521明細書で「第1の工程」として記載されている「送風エコ乾燥」は41分間も行われるものであり,条件によっては洗濯物の乾燥が十分可能であるのに対し,ハ号製品の送風槽乾燥1はすすぎ直後の大量の水を含んだ洗濯物に対し6ないし9分間のみ行われるものであり,それのみで乾燥が可能なものではない。 したがって,ハ号製品の送風槽乾燥1及び撹拌1は,「第1の工程」に相当せず,ハ号製品は構成要件Gを充足しない。 (2) 争点(2)イ(ア)(乙31号証に基づく新規性又は進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙31発明の内容等(ア) 「サービスガイド東芝全自動洗濯機」(以下「乙31文献」といい,同文献記載の発明を「乙31発明」という。)は,521親出願の出願前に頒布された刊行物である。 これは,乙31文献の28ないし29頁に記載された「真下排水パイプ取付説明書」,30ないし31頁に記載された「排水ジョイントセット取付説明書」及び32頁に記載された「調整ゴム脚取付説明書」が,乙31文献の対象洗濯機を小売りする販売店の配送担当者向けに記載さ れたものであり,乙31文献が, れた「排水ジョイントセット取付説明書」及び32頁に記載された「調整ゴム脚取付説明書」が,乙31文献の対象洗濯機を小売りする販売店の配送担当者向けに記載さ れたものであり,乙31文献が,その対象洗濯機の発売時には配布されていなければならないものであること,乙31文献の1頁に対象洗濯機として挙げられている機種(AW-D802VP,AW-D702VP)が,遅くとも平成14年10月時点で発売済みであったことから明らかである。 (イ) 乙31文献には,次の構成を有する洗濯乾燥機が記載されている(以下,それぞれ「乙31発明a」などという。)。 a 外箱と,b 外箱内に配設する水槽と,c 上記水槽内に回転自在に配設され多数の脱水孔を穿設された洗濯脱水槽と,d 前記洗濯脱水槽の上面側から洗濯脱水槽内に温風を供給するファンと,e 上記ファンから洗濯脱水槽へ供給される空気を加熱するヒータと,f 上記洗濯脱水槽の内底部に配設されたパルセータとを具備する洗濯乾燥機であって,g~i 次の「乾燥行程表」記載の工程で動作するj 洗濯乾燥機。 イ本件521発明1と乙31発明との対比(ア) 乙31発明aないしfは,本件521発明1の構成要件AないしFと一致する。 (イ)a 乙31発明の「乾燥」工程における最初の槽回転は,ヒータをOFF状態で送風ファンを動作させながら,洗濯脱水槽を回転させるものである。乙31発明に係る洗濯乾燥機は,その後,最後の1分間に,ヒータをOFF状態で送風ファンを動作させながら「槽回転orパルセータ撹拌」を行うものであるから,パルセータのみを回転させる工程が記載されていることになる。 b この点に関し,原告らは,①乙31発明の「乾燥」工程における最初の槽回転は洗濯物の脱水を行うもの セータ撹拌」を行うものであるから,パルセータのみを回転させる工程が記載されていることになる。 b この点に関し,原告らは,①乙31発明の「乾燥」工程における最初の槽回転は洗濯物の脱水を行うものではないから,「洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」する工程(構成要件G)に相当しない,②乙31 発明の「槽回転orパルセータ撹拌」において,洗濯兼脱水槽及びパルセータは回転していない,③「第1の工程」において,回転翼の回転は,遅くとも「第2の工程」の前に行われなければならないと主張する。 しかし,①本件521明細書の段落【0009】に,本件521発明1の目的が,脱水後の洗濯物を乾燥させる場合に,条件によって異なる乾燥方法を設定し,洗濯物に適した乾燥方法を選択できることにある旨記載されていることに照らし,本件521発明1の第1ないし第3の工程は,いずれも脱水後の乾燥工程を指すものである。したがって,第1の工程において洗濯兼脱水槽を回転させる際に,洗濯物から水分を遠心分離する必要はなく,構成要件Gにおける「脱水する」とは,洗濯兼脱水槽を回転させるといった程度の意味を有するにすぎない。したがって,乙31発明の最初の槽回転が洗濯兼脱水槽を回転させるものである以上,上記構成は「洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」する工程(構成要件G)に相当する。 また,②前記乾燥工程表の「槽回転orパルセータ撹拌」において,「DDモータ正転」及び「DDモータ反転」欄が白抜きとなっているのは,上記工程において槽回転又は撹拌が多数回繰り返されるため,正転時期と反転時期を正確に書き分けることができないからにすぎない。仮に上記工程において槽回転及びパルセータ撹拌が行われないとすれば,乙31文献の対象洗濯機は,最大240分間にわたり,槽及びパルセータが停止した 時期を正確に書き分けることができないからにすぎない。仮に上記工程において槽回転及びパルセータ撹拌が行われないとすれば,乙31文献の対象洗濯機は,最大240分間にわたり,槽及びパルセータが停止した状態でファン及びヒータを動作させ,最後の1分間にファンによる送風のみを行うというものとなり,洗濯物が固まった状態で表面のみ乾燥又は熱劣化してしまい,商品として成立し得ないものとなる。 さらに,③本件521発明1の文言上,洗濯兼脱水槽の回転の後に 回転翼のみの回転がなされれば足り,両動作の間に他の動作が入ることは排除されていない上,本件521明細書の記載を参酌しても,「第1の工程」における回転翼の回転が,第2の工程よりも前に行われるべき必要性をうかがわせる記載はない。本件521特許は,521親出願の出願当初の明細書(乙57参照)の段落【0025】に記載された発明から,「送風エコ乾燥」(第1の工程)と「加熱乾燥工程」(第2及び第3の工程)を選択して切り替え可能に設定できる発明を分割したものというべきであり,本件521明細書の「送風エコ乾燥工程を最初に実施してから加熱乾燥工程に移行してもよい」との記載(段落【0026】)は,本件521特許に係る説明には当たらない。したがって,原告らの主張はいずれも相当ではない。 c よって,乙31文献には,構成要件Gに相当する構成が記載されている。 (ウ) 乙31発明の「乾燥」工程では,例えば,2番目の「槽回転」から3番目の「パルセータ撹拌」までの間に,ファン及びヒータを動作させながら,洗濯脱水槽を回転させる「槽回転」及び「パルセータ撹拌」の繰り返しが実行される。 したがって,乙31文献には,構成要件Hに相当する構成が記載されている。 (エ) 乙31発明の「乾燥」工程では,例えば,4番 転させる「槽回転」及び「パルセータ撹拌」の繰り返しが実行される。 したがって,乙31文献には,構成要件Hに相当する構成が記載されている。 (エ) 乙31発明の「乾燥」工程では,例えば,4番目の「パルセータ撹拌」から5番目の「槽回転」までの間に,ファン及びヒータを動作させながら,パルセータを往復回転させる「パルセータ撹拌」及び「槽回転」の繰り返しが実行される。 したがって,乙31文献には,構成要件Iに相当する構成が記載されている。 (オ)a 乙31発明jは,構成要件Jと一致する。 b 原告らは,本件521発明1の「洗濯乾燥機」(構成要件J)は,洗濯工程終了後,自動で乾燥工程に移行する機能を備えた洗濯機を意味するものと解すべきところ,乙31発明に係る洗濯機は上記機能を備えない「ヒータ乾燥付全自動電気洗濯機」であるから,乙31文献に構成要件Jに相当する構成は記載されていないと主張する。 しかし,当業者が,「洗濯乾燥機」と「ヒータ乾燥付全自動電気洗濯機」を上記のような意味で区別する慣習はなく,本件521発明の「洗濯乾燥機」は,洗濯工程終了後,自動で乾燥工程に移行する機能を備えた洗濯機に限定されない。原告らの指摘する甲13,14号証の記載は,対象製品の説明を個別に記載したものにすぎず,洗濯乾燥機に関する一般的説明をしたものではない。したがって,乙31文献には,構成要件Jに相当する構成が開示されている。 (カ) 以上によれば,本件521発明1と乙31発明は一致するため,本件521発明1は新規性を欠く。 ウなお,前記のとおり,乙31発明は,「第1の工程」において,回転翼のみの回転動作を,槽回転による脱水の直後に行うものではない。しかし,仮にこの点が本件521発明1と乙31発明との相違点であるとされたとしても のとおり,乙31発明は,「第1の工程」において,回転翼のみの回転動作を,槽回転による脱水の直後に行うものではない。しかし,仮にこの点が本件521発明1と乙31発明との相違点であるとされたとしても,本件521発明1は次のとおり進歩性を欠く。 (ア) 洗濯乾燥機の動作モードには種々のものがあるから,回転翼のみを回転させる動作をどこに挿入するかは設計事項にすぎない。また,回転翼のみの回転による脱水を,乾燥工程の最後ではなく,槽回転による脱水と「第2の工程」の間に挿入することで,作用効果に相違が生じることもない。したがって,上記相違点は実質的ではない。 (イ) 特開2001-178985号公報(以下「乙32文献」といい,同文献記載の発明を「乙32発明」という。)には,乾燥送風機15とヒータ16をオンして内槽4内に温風を送風しながら内槽4を高速回転 させて脱水すること及び第1の所定時間経過後に内槽4を停止し,第2の所定時間経過後に回転翼6を間欠駆動して洗濯物を撹拌することが記載されている。また,乙32文献には,上記工程は温風を送風しているが,乾燥用送風機15のみを駆動し,内槽4内に送風するだけでもよい旨が記載されている。 したがって,乙32文献には,ヒータをOFF状態で送風ファンを動作させながら,洗濯兼脱水槽を回転させて脱水した後に回転翼のみを回転させる工程が記載されているところ,乙31発明及び乙32発明は,いずれも洗濯乾燥機に関するものであり,脱水工程から乾燥工程に移行するに当たってのステップに関するものであるから,作用・機能も完全に一致している。また,ヒータの電源をオフにすることの課題が消費電力の低減であることは技術常識であるから,乙31発明に乙32発明を組み合わせることは当業者にとって容易である。 したがって, 全に一致している。また,ヒータの電源をオフにすることの課題が消費電力の低減であることは技術常識であるから,乙31発明に乙32発明を組み合わせることは当業者にとって容易である。 したがって,乙31発明に乙32発明を組み合わせることにより,本件521発明1に想到することは,当業者にとって容易であり,本件521発明1は進歩性を欠く。 エ本件521発明2及び3との対比(ア) 前記イ(ウ)のとおり,乙31文献には,ファン及びヒータを動作させながら,「槽回転」及び「パルセータ撹拌」の繰り返しが実行されることが記載されており,上記動作は,本件521発明2の構成要件Kと一致する。 (イ) 前記イ(エ)のとおり,乙31文献には,ファン及びヒータを動作させながら,「パルセータ撹拌」及び「槽回転」の繰り返しが実行されることが記載されており,上記動作は本件521発明3の構成要件Mと一致する。 (ウ) 乙31発明が本件521発明1に係る構成要件を全て開示するもの であること,及び仮に乙31発明が構成要件Gにおいて本件521発明1と相違するとしても,上記相違点は実質的ではなく,又は乙31発明に乙32発明を組み合わせることにより,当業者において容易に想到可能なものであることは,前記イ及びウでみたとおりである。 (エ) したがって,本件521発明2及び3は新規性又は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は,乙31文献の頒布時期については否認し,その余の主張については争う。 イ乙31文献の頒布時期について(ア) 乙31文献には,同文献の作成時期をうかがわせる記載はない。被告は,乙31文献はその対象洗濯機の販売開始時期である平成14年10月までに小売店に頒布されたものであると主張する一方,乙31文献の作成時期を平成14年 同文献の作成時期をうかがわせる記載はない。被告は,乙31文献はその対象洗濯機の販売開始時期である平成14年10月までに小売店に頒布されたものであると主張する一方,乙31文献の作成時期を平成14年12月と主張しているのであり,作成時期と頒布時期の主張が整合していない。 (イ) 乙31文献の頒布時期に関する被告の上記主張は,乙31文献中に,「真下排水パイプ取付説明書」等の記載があり,これらの説明書が対象製品の発売時には配布されているべきものであることを根拠とするものであるが,上記説明書は,乙31文献の対象洗濯機とは別のサービス部品の取付説明書として,乙31文献とは独立して作成されたものであり,乙31文献は,これらの説明書を添付したものにすぎない。したがって,乙31文献の作成時期及び頒布時期がこれらの説明書よりも後であることは十分に考えられるのであり,乙31文献は521親出願の出願前に頒布された刊行物に該当しない。 ウ本件521発明1と乙31発明との対比について(ア) 乙31発明が構成要件Gに相当する構成を備えないことa 本件521発明1の「前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」とは, 洗濯物の脱水を行うものでなければならない。しかるに,乙31発明の「乾燥行程表」の「乾燥」工程における最初の槽回転は,回転速度40rpm,回転時間3分間というものであり,脱水を行うものではなく,洗濯物を脱水槽全体に広げておくためのものにすぎない。したがって,上記槽回転は,「前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」する構成(構成要件G)に相当しない。 b 乙31発明の「乾燥行程表」における「槽回転orパルセータ撹拌」欄では,「DDモータ正転」及び「DDモータ反転」欄が白抜きとなっているとおり,DDモータがOFFの状態となっているから,洗濯兼脱水 乙31発明の「乾燥行程表」における「槽回転orパルセータ撹拌」欄では,「DDモータ正転」及び「DDモータ反転」欄が白抜きとなっているとおり,DDモータがOFFの状態となっているから,洗濯兼脱水槽もパルセータも回転していない。また,「槽回転orパルセータ撹拌」欄では,その時間(240分,120分,60分,30分)が,「乾燥設定時間」(4時間,2時間,1時間,0.5時間)に対応した記載となっているから,上記欄は,独立した工程を記載したものではなく,それまでの槽回転又はパルセータ撹拌終了までの時間を表示しているものである。仮に上記欄が独立した工程を記載したものであるとすれば,最後の槽回転又はパルセータ撹拌が4時間ないし30分継続することになり,極めて不合理である。 以上を総合して考えれば,上記「槽回転orパルセータ撹拌」欄の,1分間のヒータオフの表示は,乾燥工程全体が槽回転及びパルセータ撹拌の繰り返しで行われること及びその最後の槽回転又はパルセータ撹拌において,モータをオフにして槽もパルセータも停止した状態で1分間だけヒータを停止してファンによる送風のみを行うことを表示したものと解するほかない。したがって,乙31文献には,「前記ヒータをOFF状態で前記送風ファンを動作させながら…前記回転翼のみを回転させる」構成は記載されていない。 c 仮に,上記「槽回転orパルセータ撹拌」が被告の主張する動作を 記載したものであるとしても,上記動作は構成要件Gに相当しない。 すなわち,本件521明細書の段落【0021】の記載からは,「前記回転翼のみを回転させる」動作が,「前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」することによって洗濯槽に張り付いた洗濯物を掻き落とすための動作であることは明らかであり,上記動作が,第2及び第3の工程におけ 記回転翼のみを回転させる」動作が,「前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」することによって洗濯槽に張り付いた洗濯物を掻き落とすための動作であることは明らかであり,上記動作が,第2及び第3の工程における加熱乾燥を効率よく行うためのものである以上,上記動作は,遅くとも第2の工程よりも前に行われるものでなければならないことが明らかである。しかるに,乙31発明における最後のパルセータ撹拌は,第2の工程より前に行われるものではないから,乙31発明は,「前記回転翼のみを回転させる」構成(構成要件G)を備えない。 (イ) 乙31発明が構成要件Jに相当する構成を備えないこと当業者は,「洗濯乾燥機」と「ヒータ乾燥付全自動洗濯機」を,洗濯工程終了後,自動で乾燥工程に移行する機能を備えた洗濯機であるか否かによって明確に区別している。これは,被告自身が,その製品の取扱説明書において両者を区別して記載していること(甲13,14),乙31文献自体に,「…洗濯乾燥機のように乾燥率を検知して終了する仕様ではありません」等の記載があることからも明らかである。そして,ヒータ乾燥付全自動洗濯機では,使用者が自ら洗濯物をほぐすことが求められているのであり(甲14),本件521発明のように,回転翼のみの回転により洗濯物を掻き落とす動作(構成要件G)は必要ない。 したがって,「洗濯乾燥機」(構成要件J)とは,洗濯工程終了後,自動で乾燥工程に移行する機能を備えた洗濯機を意味するものと解すべきであり,ヒータ乾燥付全自動洗濯機は,「洗濯乾燥機」(構成要件J)に相当しない。 乙31発明に係る洗濯機は,「ヒータ乾燥付全自動洗濯機」であるか ら,乙31発明は,「洗濯乾燥機」(構成要件J)に相当する構成を備えない。 エ以上によれば,被告の主張は,本件521発明1と乙 発明に係る洗濯機は,「ヒータ乾燥付全自動洗濯機」であるか ら,乙31発明は,「洗濯乾燥機」(構成要件J)に相当する構成を備えない。 エ以上によれば,被告の主張は,本件521発明1と乙31発明の相違点の認定において誤っているものであるから理由がないことが明らかであり,本件521発明1は,乙31発明により新規性又は進歩性を欠くものではない。 オ本件521発明2及び3は,本件521発明1と従属関係にあるから,本件521発明1が乙31発明により新規性又は進歩性を欠くものではない以上,本件521発明2及び3も乙31発明により新規性又は進歩性を欠くものではない。 (3) 争点(2)イ(イ)(乙33号証に基づく進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア 521親出願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-342288号公報(以下「乙33文献」といい,同文献記載の発明を「乙33発明」という。)には,次の構成を有する洗濯乾燥機が記載されている(以下,それぞれ「乙33発明a」などという。)。 a 外箱1と,b この外箱内に配設する外槽2と,c 上記外槽2内に回転自在に設けられ,壁面に多数の脱水孔を形成した洗濯兼脱水槽15と,d フレキシブルチューブ3及びノズル27を通じて洗濯兼脱水槽15の上方開口部から洗濯兼脱水槽15内に空気を供給する送風機5と,e 送風機5からフレキシブルチューブ3及びノズル27を通じて洗濯兼脱水槽へ供給される空気を加熱する加熱装置4と,f 洗濯兼脱水槽15の内底部に配設された回転翼19と,g 加熱装置4及び送風機5を動作させながら,高速回転乾燥1(ステッ プ7)を行った後,回転翼19を往復回転させる掻き落としの行程(ステップ8)を行い,h 加熱装置4及び送風機5を動作させながら 置4及び送風機5を動作させながら,高速回転乾燥1(ステッ プ7)を行った後,回転翼19を往復回転させる掻き落としの行程(ステップ8)を行い,h 加熱装置4及び送風機5を動作させながら,高速回転乾燥2(ステップ9),掻き落としの行程(ステップ10),高速回転乾燥3(ステップ11),掻き落としの行程(ステップ12)を行い,i 加熱装置4及び送風機5を動作させながら,ループ処理により,洗濯兼脱水槽15の低速回転動作と回転翼19の回転による解し動作を交互に行う行程(ステップ13)と,低速回転乾燥の行程(ステップ14)とを繰り返し実行するj 洗濯乾燥機。 イ本件521発明1と乙33発明との対比(ア) 乙33発明aないしfは,本件521発明1の構成要件AないしFと一致する。 (イ) 乙33発明gのステップ7は,「洗濯兼脱水槽を回転させて脱水」するものであり,ステップ8は,上記脱水後に「回転翼のみを回転させる」ものである。 したがって,乙33発明gは,「前記送風ファンを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させて脱水した後に前記回転翼のみを回転させる」ものである点で構成要件Gと一致し,「前記ヒータをOFF状態で」上記動作を行うものではない点で本件521発明の構成要件Gと相違する。 (ウ) 乙33発明hのステップ9及びステップ11は,加熱装置4及び送風機5を動作させながら,洗濯兼脱水槽15を高速回転させるものであるから,「前記送風ファン及び前記ヒータを動作させながら…回転させる第2の工程」(構成要件H)に相当し,構成要件Hと一致する。 (エ) 乙33発明iのステップ13は,加熱装置4及び送風機5を動作さ せながら,回転翼19を往復回転させるものであるから,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら…往 Hと一致する。 (エ) 乙33発明iのステップ13は,加熱装置4及び送風機5を動作さ せながら,回転翼19を往復回転させるものであるから,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら…往復回転させる第3の工程」(構成要件I)に相当し,構成要件Iと一致する。 (オ) 乙33発明jは構成要件Jと一致する。 (カ) 以上によれば,乙33発明と本件521発明1は,乙33発明が「第1の工程」を「前記ヒータをOFF状態で」行うものではない点で相違し,その余の点において一致する。 ウ相違点の検討(ア) 本件521発明1において,第1の工程をヒータOFF状態で行う構成を採用したのは,洗濯物の布質等の条件によって異なる乾燥方法を設定し,洗濯物に適した乾燥方法を選択できるようにするためであるところ(本件521明細書の段落【0009】),乾燥機において,乾燥対象の質に応じ,又は消費電力の抑制を目的としてヒータの通電を適宜OFFにすることは技術常識又は周知技術である(乙32文献の段落【0074】,特開2000-279684号公報〔以下「乙34文献」という。〕の段落【0025】,特開2002-306891号公報〔以下「乙35文献」という。〕の段落【0075】及び【0076】,実願平2-38400号(実開平3-128094号)のマイクロフィルム〔以下「乙36文献」という。〕中の明細書4頁下1行ないし5頁2行及び8頁下3行ないし下2行参照)。また,本件521明細書の段落【0011】に記載されている,上記構成を採用することによる効果(洗濯物の布質等の条件によって,冷風を供給するだけで洗濯物に含まれている水分を飛ばすことができる場合には,送風ファンのみを動作させることとし,効率よく乾燥させ使用者のニーズに応えることができる。)は,上記技術常識又 件によって,冷風を供給するだけで洗濯物に含まれている水分を飛ばすことができる場合には,送風ファンのみを動作させることとし,効率よく乾燥させ使用者のニーズに応えることができる。)は,上記技術常識又は周知技術から予想される程度を超えるものではない。 (イ) したがって,本件521発明1は,乙33発明に技術常識又は周知技術に係る構成を組み合わせることにより,当業者において容易に想到することができたものであり,進歩性を欠く。 エ本件521発明2及び3との対比(ア) 乙33発明hのステップ9及びステップ11が,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる」動作に相当することは,前記イ(ウ)でみたとおりである。また,乙33発明hのステップ10及びステップ12は,加熱装置及び送風機を動作させながら回転翼19を往復回転させるものであるから,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら…前記回転翼を往復回転させる」動作に相当する。 乙33発明において,ステップ9ないしステップ12は順次行われるものであるから,ステップ9ないしステップ12は,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作と前記回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返す」ものに当たり,乙33発明hは本件521発明2の構成要件Kと一致する。 (イ) 乙33発明iのステップ13が,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる」動作に相当することは,前記イ(エ)でみたとおりである。また,乙33発明iのステップ14は,加熱装置及び送風機を動作させながら,洗濯兼脱水槽を低速回転させるものであるから,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら,…前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作」に相当す 3発明iのステップ14は,加熱装置及び送風機を動作させながら,洗濯兼脱水槽を低速回転させるものであるから,「前記送風ファン及びヒータを動作させながら,…前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作」に相当する。 乙33発明において,ステップ13とステップ14は,ループ処理により繰り返し実行されるものであるから(乙33発明i),乙33発明は,「前記送風ファンおよび前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる動作と前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作とを交互に 繰り返す」ものに当たり,乙33発明iは本件521発明3の構成要件Mと一致する。 (ウ) 乙33発明が本件521発明1と,第1の工程を「前記ヒータをOFF状態で」行うことを除き一致すること及び上記相違点に係る構成が技術常識又は周知技術の適用により当業者において容易に想到可能なものであることは,前記イ及びウでみたとおりである。 (エ) したがって,本件521発明2及び3は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ構成要件Gに係る相違点は容易想到ではないこと(ア) 乙33文献には,ステップ7において,ヒータを動作させることが明確に記載されており(乙33文献の段落【0033】),この点において,乙33発明は,「ヒータをOFF状態で」第1の工程を行う本件521発明1の構成要件Gとは明確に相違する。 (イ) 乙34文献ないし乙36文献は,それぞれ,槽内が高温になり布傷みが発生することを防ぐ等のため,洗濯兼脱水槽の温度が設定温度を超えた場合に加熱装置を強・弱・オフ制御する等,固有の動機によってヒータオフによる乾燥を行うものであり,かつ,これらの乾燥は,本件521発明1のように最初に行われるものではない。 一方,乙33発明は,ステップ7ないし12で高 フ制御する等,固有の動機によってヒータオフによる乾燥を行うものであり,かつ,これらの乾燥は,本件521発明1のように最初に行われるものではない。 一方,乙33発明は,ステップ7ないし12で高速回転乾燥と掻き落としを繰り返すことにより洗濯物を乾燥させるものであり,ステップ7においてのみヒータをOFFにする動機は全くなく,かつ,乙34文献ないし乙36文献記載の,ヒータオフによる乾燥を行う動機について記載も示唆もない。むしろ,乙33発明は,ステップ7において遠心脱水及び温風によって洗濯物から水分を除去するものであり,ヒータをオフにすることはステップ7の上記効果に反するものである。 ウしたがって,乙33発明に乙34文献ないし乙36文献記載の技術を組み合わせて本件521発明1に想到することは当業者にとって容易ではなく,本件521発明1ないし3は,乙33発明により進歩性を欠くものではない。 (4) 争点(2)イ(ウ)(乙45号証又はその対象製品による新規性欠如の成否)(被告の主張)ア 「三菱全自動電気洗濯乾燥機(家庭用)MAW-D8TPMAW-D7TP取扱説明書」(以下「乙45文献」といい,同文献記載の発明を「乙45発明」という。)は,521親出願の出願前に頒布された刊行物であり,乙45文献の対象製品であるMAW-D8TP及びMAW-D7TP(以下,これらの製品をいずれも「乙45対象製品」という。)は,521親出願の出願前に公然と販売されたものである。 イ乙45対象製品が521親出願の出願前に公然と販売されたものであること(ア) 原告三菱電機のウェブサイトにおいて,乙45対象製品の発売日は平成14年12月1日と記載されている(乙46)。 (イ) ウェブサイト「価格.com」には,平成15年1月17日22時 こと(ア) 原告三菱電機のウェブサイトにおいて,乙45対象製品の発売日は平成14年12月1日と記載されている(乙46)。 (イ) ウェブサイト「価格.com」には,平成15年1月17日22時51分に,乙45対象製品を1週間くらい使用している旨の投稿がされている(乙47。以下「本件投稿」という。)。本件投稿に係る投稿者(ハンドルネーム「慶タンママ」。以下「本件投稿者」という。)は,他の投稿者との間に会話が成立していること(乙54,55),上記サイトにおいて投稿を行うためには,上記サイトで実在のメールアドレス等を入力して登録を行う必要があること(乙61)に照らし,実在の人物である。また,本件投稿者が,原告三菱電機以外の製品についても感想等を投稿していること(乙56),上記サイトにおいて,営利目的等による書き込みが禁止されていること(乙61)に照らし,本件投稿者 は企業関係者ではなく一般消費者である。 本件投稿者の上記投稿内容は,時系列において上記(ア)でみた乙45対象製品の発売日と整合している上,乙45対象製品の機能(「カラット運転」・「霧重力すすぎ」)及び使用感,早期購入できた経緯,購入動機等について具体的かつ詳細に述べるものであり,その信用性に疑いの余地がない。乙45対象製品に関する上記投稿内容は,乙45対象製品であるMAW-D8TPが平成15年1月1日から販売されていた旨の三菱お客様相談センターに対する問合せ結果(乙59)とも整合するものである。 (ウ) これに対し,原告らは,乙45対象製品の発売日は平成14年12月1日から平成15年1月20日に延期され,更にその出荷は同月21日以降に延期された旨主張し,その裏付けとして,甲16,17号証を提出する。 しかし,甲16号証は,平成14年12月27日以降の 月1日から平成15年1月20日に延期され,更にその出荷は同月21日以降に延期された旨主張し,その裏付けとして,甲16,17号証を提出する。 しかし,甲16号証は,平成14年12月27日以降の乙45対象製品の出荷が停止されたことを示すのみであり,同日以前に出荷された製品がないことや,既に出荷された製品が回収されたこと等を示すものではない。むしろ,同号証に「当面(3ヶ月間)は出荷数,出荷先を把握しておくこと。」と記載されていることからは,同日以前に出荷された製品があったと理解されるものである。 また,甲17号証からは,既に出荷された製品に大きな問題はなく回収の必要性はないこと,不具合は単に評価方法の問題であったこと,平成15年1月17日以前の量産品については水槽カバーの構造変更措置は執られなかったこと等が読み取れるのみである。 仮に原告三菱電機において甲16号証記載の出荷停止措置がされたとしても,年末年始の商戦における実際の必要性から,不具合が確認されなかった相当数の製品が,特定の取引先に現実に販売されてしまうこと は十分にあり得るのであって,平成15年1月20日まで乙45対象製品が一つも店頭に並ばなかったとは考えられない。 (エ) 以上によれば,乙45対象製品は521親出願の出願前に公然と販売されたものに当たる。 (オ) 乙45文献は,乙45対象製品の取扱説明書であるから,乙45対象製品の販売と同時に頒布されたものであり,521親出願の出願前に頒布された刊行物に当たる。 ウ原告らは,乙45対象製品が本件521発明1ないし3の実施品であることを認めている。また,乙45文献は,乙45対象製品の取扱説明書であり,同文献には,本件521発明1ないし3の構成要件AないしNに係る構成が開示されている。 エした 明1ないし3の実施品であることを認めている。また,乙45文献は,乙45対象製品の取扱説明書であり,同文献には,本件521発明1ないし3の構成要件AないしNに係る構成が開示されている。 エしたがって,本件521発明1ないし3は,521親出願の出願前に乙45文献に記載されたものであり,又は同出願前に日本国内において公然実施をされた発明であって,新規性を欠く。 (原告らの主張)ア乙45対象製品が本件521発明1ないし3の実施品であることは認めるが,乙45対象製品の発売日に関する被告の主張は否認する。 イ乙45対象製品の当初の発売予定日は平成24年12月1日であったが(乙46),上記発売予定日は平成15年1月20日に延期され(乙47),平成24年12月25日,乙45対象製品の出荷判定会議が行われた(甲16号証は,上記会議議事録である)。上記会議においては,新機種初品検査結果報告等を踏まえて種々の議論がされ(甲16の上段),その結果,乾燥性能の確認等の実施及び合格を条件に出荷承認がされ(甲16の下段左側「審議結果 1.」),同月26日から出荷を開始することとされた(甲16の下段左側「審議結果 3.」)。しかし,「添付資料A」(甲18)記載のとおり,同月26日に行われた乾燥性能検査におい て乾燥性能等が基準をクリアーしなかったため,同日の出荷は見合わされ,同月27日に出荷停止措置がされた(甲16の下段右側,品証部長コメント,事業部長の指示事項)。なお,原告三菱電機が出荷判定のために実施する各種検査は抜取検査であり,不具合が発見された場合,製品全部につき出荷承認がされないから,出荷停止措置にもかかわらず,不具合が発見されなかった製品が出荷されたなどという事実はない。その後,平成15年1月21日に再度出荷判定会議が開催され れた場合,製品全部につき出荷承認がされないから,出荷停止措置にもかかわらず,不具合が発見されなかった製品が出荷されたなどという事実はない。その後,平成15年1月21日に再度出荷判定会議が開催され(甲17号証は,上記会議議事録である。),同会議の結果,出荷が承認されて,乙45対象製品の出荷が開始された。 したがって,乙45対象製品が出荷されたのは,2度目の出荷判定会議が終了した平成15年1月21日午後3時10分以降である(甲17の下段の開催日時)。 ウ被告は,本件投稿者による投稿を根拠に,乙45対象製品が521親出願の出願前に発売された旨主張する。しかし,本件投稿が実在する人物による具体的体験を記載したものであると認めるべき根拠はない。また,本件投稿者の記載する製品購入価格が乙45対象製品の定価の半額程度であること,本件投稿者の指摘する製品の機能(「カラット運転」,「霧重力すすぎ」)が乙45対象製品の旧製品も備えるものであること,本件投稿者の記載する購入時期が上記旧製品の処分時期に合致することに照らせば,本件投稿者が購入した製品は乙45対象製品の旧製品である可能性が高い。 なお,本件投稿者は,乙45対象製品の中蓋の存在や投入口の広さについて言及しており(乙55),このような記載は,乙45対象製品の実寸を知らなければすることができない。しかし,上記投稿は,乙45対象製品の発売開始後である平成15年1月24日にされたものであり,同月20日以前に乙45対象製品が市場に流通していなければ投稿できなかったものとはいえない。 したがって,本件投稿者による投稿を根拠に,乙45対象製品が521親出願の出願前に発売されていたものと認めることはできない。 エ被告は,三菱お客様相談センターに対する問合せの結果,乙45対象 したがって,本件投稿者による投稿を根拠に,乙45対象製品が521親出願の出願前に発売されていたものと認めることはできない。 エ被告は,三菱お客様相談センターに対する問合せの結果,乙45対象製品は平成15年1月1日から販売されていた旨の回答を得た(乙59)と主張する。 しかし,そもそも元旦に新製品の販売を開始することは考えられない。 また,上記回答(乙59)では,生産期間を平成15年1月から8月と回答しており,販売期間と生産期間が矛盾している。上記回答は,データベース(甲21添付資料 CTI検索画面)に基づきされたものであるところ,上記データは,元データに年月の記載しかないものに,便宜上「1日」との日付を記入したものである。 したがって,上記回答から,乙45対象製品が521親出願の出願前に発売されていたものと認めることはできない。 オ以上によれば,乙45対象製品は521親出願の出願前に公然と販売されたものに当たらず,その取扱説明書である乙45文献も,同出願前に頒布されたものに当たらない。 したがって,本件521発明1ないし3は,乙45文献又は乙45対象製品によって新規性を欠くものではない。 3 争点(3)(本件893特許の侵害の成否)(1) 争点(3)ア(ア)(構成要件Cの充足性)(原告らの主張)アニ号製品は浴槽にあるふろ水等を前記洗濯・脱水槽に給水するためのふろ水用給水ホース,及びふろ水用給水ホースが取り付けられるふろ水用給水ホース接続部を備えるものであるところ(ニ号製品の構成c),「浴槽」は「貯留予備タンク」に,「ふろ水用給水ホース」は「給水のための貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管」に 各相当するから,ニ号製品は構成要件Cを充足する。 イ被告は,浴槽 タンク」に,「ふろ水用給水ホース」は「給水のための貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管」に 各相当するから,ニ号製品は構成要件Cを充足する。 イ被告は,浴槽は「貯留予備タンク」に相当しないと主張する。しかし,「貯留予備タンク」とは,文言上,給水のための水を貯留しておく予備のタンクを指すことが明らかであって,浴槽はその概念に含まれる。また,本件893明細書に,「給水貯留予備タンク」と「浴槽」が排他的な概念であることを示す記載は存在しない。使用後のふろ水を洗濯用水に利用することは本件893特許の出願前から行われていたことであって,「給水貯留予備タンク」が浴槽を含む概念であることは,当業者において極めて容易に理解できるものである。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ(ア) 本件893明細書の段落【0084】,【0088】の記載を参酌すれば,「貯留予備タンク」と「浴槽」は文言上明確に区別されており,一方が他方の上位概念であるという関係にないことが明らかである。また,本件893明細書の段落【0089】及び【0092】にも,「給水貯留予備タンク」と「浴槽」が排他的な概念であることを示す記載が存在する。したがって,「貯留予備タンク」(構成要件C)に浴槽は含まれない。 (イ) ニ号製品は,浴槽にあるふろ水を給水に用いるものであり(ニ号製品の構成c),「貯留予備タンク」に相当する構成を備えないから,構成要件Cを充足しない。 (2) 争点(3)ア(イ)(構成要件Dの充足性)(原告らの主張)アニ号製品は,水道ホースからの給水を制御する電磁弁を備えているから(ニ号製品の構成d),構成要件Dを充足する。 イ被告の主張に対する反論 (ア) 被告は,本件893特許の訂正審判における 製品は,水道ホースからの給水を制御する電磁弁を備えているから(ニ号製品の構成d),構成要件Dを充足する。 イ被告の主張に対する反論 (ア) 被告は,本件893特許の訂正審判における原告らの主張を根拠として,本件893発明14における「給水弁」が分岐弁に限定される旨主張する。 しかし,本件893発明14は,その文言上,「水道側給水弁」と「貯留予備タンク側給水弁」が一つの分岐弁であることを何ら要求するものではない。構成要件Gの「前記給水弁」との記載は,「水道側給水弁」と「貯留予備タンク側給水弁」の両者を指すことが明らかであり,上記記載をもって,上記給水弁が一つの分岐弁であると限定解釈すべきものとは解されない。 被告は,本件893明細書における実施例3及び9を根拠として上記限定解釈をすべき旨主張するが,実施例3は,給水弁を一つにまとめることができるという技術常識に基づき,本件893発明14の作用効果とは無関係な構成として,分岐弁を用いてもよいことを開示したものにすぎない。 (イ) したがって,被告の上記主張は失当であり,本件893発明14における「給水弁」は分岐弁に限定されない。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ 「水道側給水弁」(構成要件D)(ア) 原告らは,本件893特許の訂正審判事件(訂正2011-390128)の審判請求書(乙8の1)において,本件893発明14は同明細書の実施例3及び9を根拠とする旨主張し,拒絶理由通知(乙9)及び審決(甲8)でもこれを前提とする判断がされている。 そこで,実施例3及び9についてみると,本件893明細書において,実施例3及び9は【図7】,【図15】に示されており,同図において,給水弁は「35a」として示されている。段落【0064】には,「3 施例3及び9についてみると,本件893明細書において,実施例3及び9は【図7】,【図15】に示されており,同図において,給水弁は「35a」として示されている。段落【0064】には,「3 5aは図6に示すような給水管35の分岐部に設けられた3方向分岐方式の給水弁である。」と記載されており,段落【0058】には,「例えば図6に示すように,3管31,31,32のうちの2管を流れるように制御可能な分岐弁であればいかなるものでもよい。」と記載されている。 以上の本件893明細書の記載に照らせば,【図6】の「給水弁」は,2方向の流れを制御し,水道側給水弁と貯留予備タンク側給水弁の両方の役割を果たすものと理解せざるを得ない。 (イ) 以上のとおり,本件893発明14が根拠とする実施例3及び9において,「給水弁」は,水道側給水弁と貯留予備タンク側給水弁の両方の役割を果たす分岐弁として記載されており,かつ,上記実施例は,「給水弁」を上記のとおりのものとすることで,給水弁が一つ少なくて済むことを唯一の作用効果とするものであるから,本件893発明14の「水道側給水弁」(構成要件D)と「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)も,同様に,制御部からの指令によって開閉動作する一つの分岐弁の二つの機能のそれぞれを特定したものと解するほかない。 本件893発明14は,本件893特許の当初明細書(乙1の2)には存在せず,平成12年12月27日付け拒絶理由通知(乙3)を受けて平成13年3月9日付け手続補正によって追加されたものであり,当初明細書には独立した2つの給水弁を備え,かつ,本件893発明14に係る構成を有する実施例は記載されていないことからも,「水道側給水弁」及び「貯留予備タンク側給水弁」を上記のとおり解釈すべきことが裏付けられる。また, 2つの給水弁を備え,かつ,本件893発明14に係る構成を有する実施例は記載されていないことからも,「水道側給水弁」及び「貯留予備タンク側給水弁」を上記のとおり解釈すべきことが裏付けられる。また,上記解釈は,本件893発明14の構成要件Gにおいて,「前記給水弁を制御する制御手段」と,「水道側給水弁」と「貯留予備タンク側給水弁」をまとめる記載がされていることとも整合するものである。 ウニ号製品の「電磁弁」(構成d)は,水道ホースからの給水を制御するものにすぎず,制御部からの指令によって開閉動作する分岐弁の一つの機能を特定したものではないから,「水道側給水弁」(構成要件D)を充足しない。 (3) 争点(3)ア(ウ)(構成要件Eの充足性)(原告らの主張)ア 「貯留予備タンク側給水弁」の解釈(ア) 「貯留予備タンク側給水弁」が分岐弁に限られないことは,構成要件Dに関し主張したとおりである。 (イ) 被告は,「給水弁」とは電気的に直接開閉制御を行う電気的駆動弁でなければならない旨主張する。しかし,「給水弁」とは,弁が有する機能によって弁を特定するものであり,「給水を制御する弁」という程度の意味を有するにすぎないのであって,制御方法が電気的であるか手動であるか等とは無関係である。構成要件Gには,「給水弁」が「制御手段」によって「制御」される旨の記載があるが,本件893明細書には,上記「制御」が電気的制御に限られる旨の記載はみられない。当業者において,水道管の給水電磁弁を「給水弁」ということが多いからといって,本件893発明14における「給水弁」を電磁的給水弁に限定して解釈すべき根拠とはならない。 (ウ) また,被告は,「給水弁」とは,給水の有無を切り替え,制御する弁であって,給水方向への流れを食い止める働きをするも 4における「給水弁」を電磁的給水弁に限定して解釈すべき根拠とはならない。 (ウ) また,被告は,「給水弁」とは,給水の有無を切り替え,制御する弁であって,給水方向への流れを食い止める働きをするものであることを要する旨も主張する。しかし,「弁」とは,「配管系や機械内の流体の流れを制御するために用いられる部品」を意味するにとどまり,水流を食い止めるものに限定されない。本件893発明14及び15の作用効果を奏するためには,一方の給水弁が開いているときに他方の給水弁が閉じている必要があるのであって,上記作用効果との関係では,「給 水弁」とは,閉じるべきときに閉じ,開くべきときに開くことによって,給水の水流を制御する弁であれば足りるというべきである。 (エ) 以上によれば,「貯留予備タンク側給水弁」とは,電気的駆動弁であるか否かにかかわらず,貯留予備タンク側からの給水の水流を制御する弁であり,一定の条件(電気的か否かにかかわらない。)によって水道からの給水から貯留予備タンクからの給水に切り替えるよう制御される弁を意味し,かつ,それで足りると解すべきである。 イニ号製品における当てはめ(ア) ニ号製品におけるふろ水用給水ポンプは,羽根車(インペラ)が回転することによって,ふろ水用給水ホースからポンプ内に給水が行われる構造となっており,ポンプが作動して給水が行われている限り,逆止弁はポンプの吸引力で必ず開く。また,上記ふろ水用給水ポンプにおいて,羽根車が停止すると,ふろ水用給水ホースから水を吸い上げることができなくなり,逆止弁にふろ水用給水ポンプ内に残存する水の圧力が作用して,その水圧によって逆止弁が閉じられる。同時に,電磁弁が開いて水道からの給水が開始されると,水道水はふろ水用給水ポンプに到達し,その水道水の水圧により,逆 用給水ポンプ内に残存する水の圧力が作用して,その水圧によって逆止弁が閉じられる。同時に,電磁弁が開いて水道からの給水が開始されると,水道水はふろ水用給水ポンプに到達し,その水道水の水圧により,逆止弁は更に閉じられることになる。 以上のとおり,ニ号製品における逆止弁は,給水される水流が生じているときには開き,給水される水流がなくなることによって閉じ,逆流を防止することで貯留予備タンクからの給水の流路を制御するものであって,かつ,羽根車の回転や電磁弁の開閉を介して,水道からの給水から貯留予備タンクからの給水に切り替えるよう制御されるものであるから,「貯留予備タンク側給水弁」に相当する。 (イ) 被告は,羽根車が回転していなくともふろ水用給水ホースから水が流入すれば逆止弁は開くし,羽根車が回転しても周りに水が充満していなければ逆止弁は開かないと主張する。しかし,ニ号製品において,羽 根車が回転していないにもかかわらずふろ水用給水ホースから水が流入するような態様での使用は禁じられているし(甲13の6頁),ニ号製品は,水道水を呼び水としてポンプ内に導入し,羽根車の周りに水を充満させる動作を行うものであって,ポンプが故障していない限り,羽根車の周りに水が充満しない状態が続くことはない。したがって,これらの点は,逆止弁が羽根車及び電磁弁の動作を介して制御手段によって制御されていることを何ら左右するものではない。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ 「貯留予備タンク側給水弁」(ア) 「貯留予備タンク側給水弁」が,制御部からの指令によって開閉動作する分岐弁の一つの機能を特定したものと解すべきことは,「水道側給水弁」(構成要件D)の解釈において主張したとおりであるところ,ニ号製品の逆止弁(構成e)は分岐弁ではなく,制 の指令によって開閉動作する分岐弁の一つの機能を特定したものと解すべきことは,「水道側給水弁」(構成要件D)の解釈において主張したとおりであるところ,ニ号製品の逆止弁(構成e)は分岐弁ではなく,制御部からの指令によって動作して給水制御をするものでもない。 (イ) また,「給水弁」は,「制御手段」によって「制御」されるものであることを要するところ(構成要件G),ニ号製品の逆止弁(構成e)は単なるゴム板であって,何ら制御を受けていない。原告らは,「給水弁」が電気的駆動弁に限定されるべき理由はないと主張するが,洗濯機の分野における給水弁が電気的駆動弁であることは技術常識であり,本件893明細書に,「給水弁」につき,上記技術常識と異なる解釈をすべきことをうかがわせる記載は存在しない。また,原告らは,ニ号製品の逆止弁が羽根車及び電磁弁の動作を介して制御部によって制御されている旨の主張をするが,ニ号製品の逆止弁は,羽根車が回転していなくてもふろ水用給水ホースから水が流入すれば開き,また,羽根車が回転していても周りに水が充満していなければ開かないものであって,羽根 車及び電磁弁の上記動作を介して開閉を制御されているものにも当たらない。 (ウ) さらに,「給水弁」とは,その文言上,給水の有無を切り替え,制御する弁であるから,給水方向への流れを食い止める働きをするものと解すべきであり,本件893明細書の実施例9についても,これを前提とする記載がされているところ(段落【0084】),ニ号製品の逆止弁は,入力側から出力側に向けて給水方向への流れを食い止める働きを有しない。 (エ) 以上によれば,ニ号製品の逆止弁(構成e)は「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)に相当せず,ニ号製品は構成要件Eを充足しない。 (4) 争点(3)ア(エ) い止める働きを有しない。 (エ) 以上によれば,ニ号製品の逆止弁(構成e)は「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)に相当せず,ニ号製品は構成要件Eを充足しない。 (4) 争点(3)ア(エ)(構成要件G,Iの充足性)(原告らの主張)アニ号製品は,外部貯水槽(浴槽)に貯留されている水を洗濯・脱水槽に給水する工程において,水位センサの検出結果から,一定の時間間隔における水位変化が所定値以下であることが2回連続した場合に,ふろ水用給水ポンプの羽根車の停止によって逆止弁を閉じ,かつ,水道ホースからの給水を制御する電磁弁を開くものであるところ(ニ号製品の構成g),ニ号製品は,一定の時間間隔における水位変化が所定値以下であることが2回連続することにより,「一定時間水槽内に給水がないと判断」しているものである。ニ号製品は,上記判断に基づき,給水弁である逆止弁及び電磁弁を制御し,水道からの給水に切り替えを行っているのであるから,ニ号製品は構成要件Gを充足する。 イニ号製品は,貯留予備タンクとして浴槽を用いるものであり(ニ号製品の構成c),浴槽の水を洗濯・脱水槽に給水する工程において,一定の時間間隔における水位変化が所定値以下であることが2回連続した場合に, 水道からの給水に切り替えるようプログラムされた制御装置を備えている(ニ号製品の構成g)。したがって,ニ号製品におけるふろ水給水の制御は,水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップを有しているから,ニ号製品は構成要件Iを充足する。 (被告の主張)ア原告らの主張は争う。 イ構成要件G「前記給水弁を制御する制御手段」(構成要件G)とは,「水道側給水弁」(構成要件D)と「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)の両給水弁を制御する手段を意味するところ,構 。 イ構成要件G「前記給水弁を制御する制御手段」(構成要件G)とは,「水道側給水弁」(構成要件D)と「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)の両給水弁を制御する手段を意味するところ,構成要件Eの充足性において主張したとおり,ニ号製品の逆止弁は単なるゴム板であって何ら制御を受けているものではない。したがって,ニ号製品は「前記給水弁を制御する制御手段」(構成要件G)を有さず,構成要件Gを充足しない。 ウ構成要件I上記イのとおり,ニ号製品が「前記給水弁を制御する制御手段」(構成要件G)を有しない以上,ニ号製品は構成要件Iを充足しない。 (5) 争点(3)イ(ア)(記載要件違反の有無)(被告の主張)ア本件893発明14のうち,「水道側給水弁」(構成要件D)と「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)が二つの独立した給水弁でもよいとすれば,本件893明細書には,3方向に切り替え可能な給水弁しか開示されていないのであるから,上記発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない。 イ本件893発明14のうち,「貯留予備タンク」(構成要件C)は,浴槽とは異なる排他的なものと解すべきであるところ,本件893明細書に,浴槽ではなく貯留予備タンクを用いる例であって,かつ,「…給水弁を制 御する制御手段」(構成要件G)に相当する構成を有する例は開示されていないから,上記発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない。 ウ上記のとおり,本件893明細書上,「貯留予備タンク」は浴槽とは異なる排他的なものとして記載されているところ,本件893発明15は,「貯留予備タンクとして浴槽を用い」(構成要件I)というものであり,本件893明細書の記載と矛盾している。 エ以上によれば,本件893発明14及び15に係る特許は特許法 ろ,本件893発明15は,「貯留予備タンクとして浴槽を用い」(構成要件I)というものであり,本件893明細書の記載と矛盾している。 エ以上によれば,本件893発明14及び15に係る特許は特許法36条6項1号に違反してされたものである。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ被告は,本件893明細書には「水道側給水弁」(構成要件D)及び「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)として分岐弁を用いる例しか開示されていない旨指摘する。しかし,特許法36条6項1号は,特許請求の範囲を全てカバーする実施例を開示することを求めるものではないところ,本件893明細書には,当業者が本件893発明14の課題を解決できると認識できる程度の開示がされている。また,「貯留予備タンク」と「浴槽」が排他的な概念ではないことは,構成要件Cに関し主張したとおりである。 ウしたがって,本件893発明14及び15に係る特許は特許法36条6項1号に違反してされたものではない。 (6) 争点(3)イ(イ)(乙37号証による新規性又は進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙37発明の内容本件893特許の出願前に頒布された刊行物である特開昭62-148693号公報(以下「乙37文献」といい,同文献記載の発明を「乙37発明」という。)には,次の構成を有する洗濯機が開示されている(以下, それぞれ「乙37発明a」などという。)。 a 洗濯等を行う洗濯槽9,水道と前記洗濯槽9との間に介在して前記水道から前記洗濯槽9に水を供給する水道水電磁弁13を備えた洗濯機において,b 前記水道と前記洗濯槽とをつなぐ管(乙37文献の第2図において,水道蛇口と,洗濯槽9の直上にある水道水給水電磁弁13とをつなぐ二重線)と,c 給水のための浴槽と前記洗 た洗濯機において,b 前記水道と前記洗濯槽とをつなぐ管(乙37文献の第2図において,水道蛇口と,洗濯槽9の直上にある水道水給水電磁弁13とをつなぐ二重線)と,c 給水のための浴槽と前記洗濯槽9とを接続する管(乙37文献の第2図において,風呂水供給電磁弁11と吸水ポンプ12をつなぎ,更に吸水ポンプ12の先に延びる二重線)と,d 前記水道側給水管の給水を制御する水道水給水電磁弁13と,e 前記浴槽側の給水を制御する風呂水給水電磁弁11とを有する給水手段と,f 洗濯槽9内の水位を検出する水位検出手段6と,g 前記浴槽に貯留されている風呂水を前記洗濯槽9に給水する給水工程で,風呂水終了検知手段7に,記憶手段2から理論上の給水時間のデータが入力されると同時に風呂水終了検知手段7で実際の給水時間がカウントされ,実際の給水時間が前記理論上の給水手段と一致しても水位検出手段6から出力がない場合,風呂水終了検知手段7において,風呂水がなくなって給水がないと判断し,当該情報が給水自動切換手段8に入力され,それ以後の給水を水道水給水とする旨の情報が記憶手段2に入力され,制御手段3が以後の給水を水道水給水に切り替える,風呂水終了検知手段7,給水自動切換手段8,記憶手段2及び制御手段3とh を備える洗濯機。 イ本件893発明14の新規性欠如(ア) 乙37発明aないしe及びhは,本件893発明14の構成要件A ないしE及びHと一致する。 (イ)a 乙37発明fの「水位検出手段6」は,洗濯槽9内の水位を検出するものであるから,「前記水槽内の水位を検出する検出部」(構成要件F)に相当し,構成要件Fと一致する。 b 原告らは,本件893発明14における「検出部」(構成要件F)は,水位の変化を連続して検出できる水位計であるこ 前記水槽内の水位を検出する検出部」(構成要件F)に相当し,構成要件Fと一致する。 b 原告らは,本件893発明14における「検出部」(構成要件F)は,水位の変化を連続して検出できる水位計であることを要するところ,乙37発明fの「水位検出手段6」は設定水位に達したか否かを検出するのみであるから,「検出部」(構成要件F)に相当しないと主張する。しかし,本件893発明14の構成要件Fは,「前記水槽内の水位を検出する検出部」と規定するのみであり,その具体的構成を規定するものではないから,水槽内の水位を検出可能な水位計であれば「検出部」(構成要件F)に相当するものと解すべきである。原告らの主張がデジタルセンサも「検出部」に含むことを前提とするものであれば,その出力値は離散値とならざるを得ないから,本件893発明14の「検出部」と乙37発明fの「水位検出手段6」との相違は,出力値の分解能の大小の問題(本件893発明14では分解能が特定されていない一方,乙37発明では分解能が2値である)に帰着することになる。そして,上記相違は実質的なものではない。 したがって,原告らの主張はいずれも相当ではない。 (ウ) 乙37発明gの「風呂水終了検知手段7,給水自動切換手段8,記憶手段2及び制御手段3」は,風呂水給水の場合に,水位検出手段6が検出した洗濯槽9の水位検出結果に基づき,理論上の給水時間に達するまでの間に洗濯槽9内の水位が規定水位まで達しない場合には,風呂水がなくなったと判断し,水道から給水するよう風呂水供給電磁弁11及び水道水給水電磁弁13を制御するものであるから,「制御手段」(構成要件G)に相当し,構成要件Gと一致する。原告らは,乙37発明g の制御手段3は「一定時間水槽内に給水がないと判断」するものではないと主張するが,「 するものであるから,「制御手段」(構成要件G)に相当し,構成要件Gと一致する。原告らは,乙37発明g の制御手段3は「一定時間水槽内に給水がないと判断」するものではないと主張するが,「風呂水がなくなった場合」と「一定時間水槽内に給水がない」こととは同義である。原告らは,風呂水はなくなっていないが吸水ポンプの不具合等により一定時間水槽内に給水がない場合もあり得ると主張するが,乙37発明においても,上記場合には風呂水給水が停止されるから,乙37発明がこの点において本件893発明14と相違するものではない。 (エ) 以上によれば,本件893発明14は乙37発明と一致するから,本件893発明14は新規性を欠く。 ウ本件893発明15の新規性欠如(ア) 乙37発明は,給水のために浴槽を用いるものであるから(乙37発明c),「貯留予備タンクとして浴槽を用い」るもの(構成要件I前段)に相当する。 (イ) 乙37文献の第3図には,ステップ22において,実際の給水時間と所定値(理論上の給水時間)との比較が行われ,実際の給水時間が上記所定値まで達していない場合にはステップ19へ進み,ステップ19において,洗濯槽9内の水位が設定水位まで達したかどうかの判断が行われ,設定水位まで達したとの検出がされていなければステップ17に戻り,ステップ20及び21が実行された後,ステップ22に戻るという処理ループが記載されている。したがって,乙37発明においては,ステップ20で実際の給水時間が理論上の給水時間を超えたと判断されず,かつ,ステップ19で洗濯槽9内の水位が設定水位まで達したとの判断がされない限り,ステップ19において,水位が設定水位まで達したか否かの判断が繰り返されることになるところ,上記判断は「水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返 9内の水位が設定水位まで達したとの判断がされない限り,ステップ19において,水位が設定水位まで達したか否かの判断が繰り返されることになるところ,上記判断は「水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップ」(構成要件I後段)に相当する。原告らは,ステップ19における判断は設定水位に達してい るか否かの判断であって,給水の有無を判断する構成要件Iのステップとは異なると主張するが,原告らが「検出部」をデジタルセンサも含むものと解釈しているのであれば,上記相違は変化判定の対象である出力値の分解能の大小にすぎず,実質的な相違ではない。 (ウ) 以上によれば,本件893発明15は乙37発明と一致するから,本件893発明15は新規性を欠く。 エ本件893発明14の進歩性欠如(ア) 原告らの主張を前提とすれば,乙37発明は,①本件893発明14の「検出部」(構成要件F)が水位変化を逐次検出するものであるのに対し,乙37発明に係る水位検出手段6が設定水位に達したか否かを検出するのみである点及び②本件893発明14の「制御手段」が「一定時間水槽内に給水がないと判断」した場合に制御を行うものであるのに対し,乙37発明に係る制御手段3が風呂水がなくなったと判断した場合に制御を行うものである点で本件893発明14と相違することになる。しかし,上記相違点は,次のとおり,当業者において容易想到である。 (イ) 乙37発明と乙38発明の組合せによる進歩性欠如本件893特許の出願前に頒布された刊行物である特開平2-11199号公報(以下「乙38文献」といい,同文献記載の発明を「乙38発明」という。)には,「検出部」(構成要件F)及び「制御手段」(構成要件G)に相当する構成が開示されている。なお,原告らは,乙38発明が上記構成を備えるも 文献」といい,同文献記載の発明を「乙38発明」という。)には,「検出部」(構成要件F)及び「制御手段」(構成要件G)に相当する構成が開示されている。なお,原告らは,乙38発明が上記構成を備えるものであることを認めている。 乙37発明と乙38発明は,風呂水を汲み上げて用いる洗濯機に関するものである点で共通する上,その課題も,風呂水の給水過程で風呂水がなくなった場合に水道水給水に切り替えるという点で同一である。また,両発明に係る洗濯機は,乙38発明において「貯留予備タンク側給 水弁」に相当する構成がないことを除けば全て一致する。さらに,本件893発明14の作用効果をみても,乙37発明や乙38発明を超えるものは存在しない。 したがって,本件893発明14は,乙37発明に乙38発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到することができたものに当たり,進歩性を欠く。 (ウ) 乙37発明への周知技術の適用による進歩性欠如洗濯機の水位検知において,逐次水位を検出することは,特開平2-134196号公報(以下「乙49文献」という。)の3頁右上欄5ないし14行及び特許第2586535号公報(以下「乙50文献」という。)の2頁3欄7ないし17行に開示されているとおり,周知技術である。また,水位変化が少なくなったことにより給水や排水の停止を判断することも,乙38文献,乙49文献及び乙50文献に開示されているとおり,周知技術である。 したがって,当業者であれば,乙37発明に上記各周知技術を適用して本件893発明14に容易に想到することができるものであり,本件893発明14は進歩性を欠く。 オ本件893発明15の進歩性欠如(ア) 原告らの主張を前提とすれば,乙37発明は,前記エ(ア)でみた①,②の点に加え,③「前記 ることができるものであり,本件893発明14は進歩性を欠く。 オ本件893発明15の進歩性欠如(ア) 原告らの主張を前提とすれば,乙37発明は,前記エ(ア)でみた①,②の点に加え,③「前記水槽内に給水があるか否かの判断」を繰り返し行うか否かという点で相違することになる。しかし,上記相違点は,次のとおり,当業者において容易想到である。 (イ) 乙37発明と乙38発明の組合せによる進歩性欠如原告らは,乙38発明が構成要件Iに該当する構成を備えることを認めているところ,乙37発明と乙38発明の組合せが容易であることは,前記オ(イ)のとおりである。 したがって,乙893発明15は,乙37発明に乙38発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到することができたものに当たり,進歩性を欠く。 (ウ) 乙37発明への周知技術の適用による進歩性欠如洗濯機の水位検知において,水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すことは,乙38文献,乙49文献及び乙50文献に開示されているとおり,周知技術である。 したがって,当業者であれば,乙37発明に上記周知技術を適用して本件893発明15に容易に想到することができるものであり,乙893発明15は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ本件893発明14の新規性欠如の主張について(ア) 乙37発明が「検出部」(構成要件F)に相当する構成を備えないこと本件893発明14は,「検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき」給水を切り替えるものであるから(構成要件G),「検出手段」(構成要件F)とは,給水過程において,水位を連続的に検出するものでなければならない。しかるに,乙37発明fの「水位検出手段6」は,設定水位に達したか否かを検 であるから(構成要件G),「検出手段」(構成要件F)とは,給水過程において,水位を連続的に検出するものでなければならない。しかるに,乙37発明fの「水位検出手段6」は,設定水位に達したか否かを検知するのみであるから,「検出部」(構成要件F)に相当しない。 (イ) 乙37発明が「制御手段」(構成要件G)に相当する構成を備えないこと本件893発明14の「制御手段」(構成要件G)は,一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,ふろ水給水から水道水給水に切り替えるものであり,「制御手段」(構成要件G)とは,そのような切替え を制御するものである。しかるに,乙37発明gの「制御手段3」は,風呂水給水を開始してからの給水時間が理論上給水に必要な時間に達しても,洗濯槽の水位が設定水位まで到達しない場合に,風呂水給水から水道水給水に切り替えるものであり,給水を切り替える条件において「制御手段」(構成要件G)と明らかに異なる。被告は,「風呂水がなくなった場合」と「一定時間水槽内に給水がない」ことは同義であると主張するが,吸水ポンプの不具合等,風呂水がなくなっていなくとも一定時間水槽内に給水がない場合は生じ得るのであり,被告の主張は相当ではない。 よって,乙37発明gの「制御手段3」は「制御手段」(構成要件G)に相当せず,乙37発明は構成要件Gに相当する構成を備えない。 (ウ) したがって,本件893発明14は,乙37発明により新規性を欠くものではない。 ウ本件893発明14の進歩性欠如の主張について(ア) 乙37発明と乙38発明の組合せによる進歩性欠如の主張について乙37発明と乙38発明は,それぞれ異なる目的を解決するために別個の構成を採用しており,上記組合せを行うことは当業者において容易ではない。 すなわ の組合せによる進歩性欠如の主張について乙37発明と乙38発明は,それぞれ異なる目的を解決するために別個の構成を採用しており,上記組合せを行うことは当業者において容易ではない。 すなわち,乙37発明は,できる限り風呂水を利用して給水することを目的として,風呂水給水の場合の給水時間の最大値よりも十分な安全率をもたせて設定した所定時間を経過してもなお設定水位に到達しない場合に給水を切り替えるものである。他方,乙38発明は,風呂水がほとんど残っていない場合に無駄な時間を要さず,即それを検知して水道水給水に切り替えることを目的とするものであり,「風呂水給水水路の途中に圧力スイッチ27用のエアトラップ26を設け,風呂水給水途中に圧力スイッチ27が閉側から開側に切換った時に風呂水がなくなった ものと判断する風呂水終了検知手段」を備えることにより,上記目的を達成するものである。 したがって,両発明は,それぞれ異なる目的で給水の切替制御を行うものであり,乙37発明の「検出部」及び「制御手段」のみを乙38発明の「検出部」及び「制御手段」に置き換えることは当業者であっても容易ではない。 (イ) 乙37発明への周知技術の適用による進歩性欠如の主張について被告は,乙38文献,乙49文献及び乙50文献に示されている周知技術を乙37発明に適用して本件893発明14に想到することは当業者にとって容易であると主張する。しかし,乙37発明に乙38発明を適用することが容易でないことは前記(ア)のとおりである。また,乙49文献は水道水給水の異常報知に関する発明を,乙50文献は洗濯機の排水制御に関する発明を各開示するものであり,風呂水給水と何ら関係がないから,これらの文献記載の発明を乙37発明に適用することも容易ではない。 (ウ) 常報知に関する発明を,乙50文献は洗濯機の排水制御に関する発明を各開示するものであり,風呂水給水と何ら関係がないから,これらの文献記載の発明を乙37発明に適用することも容易ではない。 (ウ) したがって,本件893発明14は進歩性を欠くものではない。 エ本件893発明15の新規性欠如の主張について(ア) 乙37発明が「前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップ」(構成要件I)を備えないこと乙37文献記載の「ステップ19」は,設定水位に達したか否かの判断を行うものであり,給水の有無を判断するものではない。したがって,乙37発明に係る洗濯機は,「前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップ」を有するものではなく,構成要件Iに相当する構成を備えない。 (イ) したがって,本件893発明15は,乙37発明により新規性を欠くものではない。 オ本件893発明15の進歩性欠如の主張について乙37発明に乙38発明又は周知技術を組み合わせて本件893発明14に想到することが当業者にとって容易ではなく,本件893発明14が進歩性を欠くものではないことは前記ウのとおりであるから,本件893発明15も,同様に進歩性を欠くものではない。 争点(3)イ(ウ)(乙38号証による進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙38発明の内容等乙38文献には,次の構成を有する電気洗濯機が記載されている(以下,それぞれ「乙38発明a」などという。)。 a 洗濯兼脱水槽を収容したタンク28,タンク28に水道水を供給する給水弁14を備えた電気洗濯機において,b 前記水道とタンク28とを接続する管,c 浴槽と,前記タンク28に給水するための給水用ポンプ12とを接続する管,d タンク内に水道水を供給する る給水弁14を備えた電気洗濯機において,b 前記水道とタンク28とを接続する管,c 浴槽と,前記タンク28に給水するための給水用ポンプ12とを接続する管,d タンク内に水道水を供給するための給水弁14,e 風呂水等をタンク28内に給水するための駆動用ポンプ及び給水用ポンプ12と,f タンク28内の水位に応じて変動する空気だまり32内の圧力を,エアーホース33を通じて検知し,水圧に応じた周波数信号を出力する水位検知手段3と,g 給水用ポンプ12による風呂水のタンク28への給水時に,水位検知手段3からの出力信号に基づき,サイクル数Nが所定サイクル数に達するまでの間にタンク28内の水位が設定水位に達していなかったと判断した場合には,水道水を給水するよう給水弁14をONする制御装置5と, h を備えた電気洗濯機。 イ本件893発明14の進歩性欠如(ア) 本件893発明14と乙38発明との対比a 乙38発明aないしd,fないしhは本件893発明14の構成要件AないしD,F,Hと一致する。 b 乙38発明eの駆動用ポンプ及び給水用ポンプは,風呂水等をタンク内に給水するためのものであるから,「給水手段」(構成要件E)に相当する。 c 以上によれば,本件893発明14と乙38発明は,「洗濯等を行う水槽,水道と前記水槽の間に介在して前記水道から前記水槽に水を供給する給水手段を備えた洗濯機において,前記水道と前記水槽とを接続する水道側給水管,給水のための貯留予備タンクと前記水槽とを接続する前記貯留予備タンク側給水管,前記水道側給水管の給水を制御する水道側給水弁」,「を有する給水手段と,前記水槽内の水位を検出する検出部と,前記貯留予備タンクに貯留されている水を前記水槽に給水する給水工程で,前記給水工程中に 管,前記水道側給水管の給水を制御する水道側給水弁」,「を有する給水手段と,前記水槽内の水位を検出する検出部と,前記貯留予備タンクに貯留されている水を前記水槽に給水する給水工程で,前記給水工程中に前記検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,前記水道から給水するよう前記給水弁を制御する制御手段と,を備えた洗濯機」である点で一致し,次の点において相違する。 本件893発明14は,給水手段が「貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁」を有するのに対し,乙38発明には上記構成がなく,代わりに給水用ポンプ12が備えられている点。 (イ) 相違点の検討a 給水用ポンプが逆止弁を内蔵することは,次のとおり,技術常識又 は周知技術に属する。 すなわち,実公平2-32231号公報(以下「乙39文献」という。),実公平2-32232号公報(以下「乙40文献」という。),特開平4-91394号公報(以下「乙41文献」という。),特公平4-5840号公報(以下「乙42文献」という。),特公平4-35638号公報(以下「乙43文献」という。)には,逆止弁を内蔵する給水ポンプが開示されている。また,本件893特許の出願前に販売されていた日立全自動洗濯機NW-60RS1(以下「NW-60RS1製品」という。)は,呼び水式風呂水ポンプを内蔵するものであり,かつ,NW-60RS1製品の取扱説明書(以下「乙51文献」といい,同文献記載の発明を「乙51発明」という。)には,「風呂水ポンプの内部には,常に水が残っています。」との記載があるから,上記ポンプは逆止弁を内蔵するものである。 したがって,仮に逆止弁が「貯留予備タンク側給水弁」に相当するものであるとすれば,上記 風呂水ポンプの内部には,常に水が残っています。」との記載があるから,上記ポンプは逆止弁を内蔵するものである。 したがって,仮に逆止弁が「貯留予備タンク側給水弁」に相当するものであるとすれば,上記相違点は,技術常識又は周知技術に係るものにすぎないことになる。なお,乙38発明が,貯留予備タンク側給水弁を制御する「制御手段」(構成要件G)を備えない点においても本件893発明14と相違するとしても,原告らの主張によれば,ポンプの駆動によって上記逆止弁を閉じることも「制御」に当たるというのであり,このような制御手段も技術常識又は周知技術に係るものにすぎないことになる。そして,上記相違点に係る作用効果は乙38発明に記載の程度を超えるものではない。 原告らは,乙38発明に係る給水ポンプ12は外付け式ポンプを利用するものであって,同ポンプ内に逆止弁を設けることは技術常識又は周知技術ではなく,かつ,その内部に逆止弁を設ける動機も存在しないと主張する。しかし,本件893発明14は,ポンプの有無やそ の位置等を規定するものではないから,ポンプが外付けであるか否かは無関係であり,ポンプ内に逆止弁を設けることが技術常識又は周知技術であるか否かを検討すれば足りる。この点が技術常識又は周知技術に係るものであることについては,前述のとおりである。 b 乙39文献及び乙40文献には,逆止弁を内蔵した風呂水汲み上げ用のポンプを電気洗濯機内に設けることが開示されている。上記各文献記載の発明は,いずれも乙38発明と同じく洗濯機に関するものであって,技術分野の関連性がある上,風呂水を洗濯機に汲み上げるという点で作用・機能の共通性もある。 原告らは,乙39文献及び乙40文献において,ホースが貯水槽の底に取り付けられているという構造上の都合から,ホース 連性がある上,風呂水を洗濯機に汲み上げるという点で作用・機能の共通性もある。 原告らは,乙39文献及び乙40文献において,ホースが貯水槽の底に取り付けられているという構造上の都合から,ホースに逆止弁を設けているものであり,乙38発明はこのような逆止弁を設ける動機付けがないと主張する。しかし,乙38発明に係る洗濯機のように,低い位置から風呂水を給水する際に,逆流を防止するため,洗濯機と風呂との間に逆止弁を設ける必要性は一般的に存在する上,乙38発明の給水用ポンプ12が内蔵式のもの等である場合には,呼び水の抜け等の防止のため逆止弁が必須となるのであるから,乙38発明に逆止弁を設ける動機付けは存在する。 そうすると,当業者が,乙38発明に係る給水ポンプ12を乙39文献又は40文献記載の逆止弁内蔵の風呂水汲み上げ用ポンプに置き換えることは容易である。 c したがって,本件893発明14は,乙38発明に技術常識若しくは周知技術を適用し,又は乙39文献若しくは40文献記載の発明を適用することにより,当業者が容易に想到することができたものであり,進歩性を欠く。 ウ本件893発明15の進歩性欠如 (ア) 本件893発明15と乙38発明との対比a 乙38発明に係る電気洗濯機は,給水のために浴槽を用いるものである(乙38発明c)。また,乙38発明に係る制御手段5は,乙38文献第2図記載のステップ507においてタンク28内の水位がいまだ設定水位に達していないと判断し,ステップ510において所定サイクル数に達していないと判断する限り,ステップ505ないし510及びステップ516の処理ループを繰り返すものであり,その間,ステップ507での「設定水位に達したか否か」の判定を繰り返すものであるから,「前記水槽内に給水があるか否 り,ステップ505ないし510及びステップ516の処理ループを繰り返すものであり,その間,ステップ507での「設定水位に達したか否か」の判定を繰り返すものであるから,「前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップを有する」ものに相当する。 したがって,乙38文献には,構成要件Iが開示されている。 b 乙38発明が,「貯留予備タンク側吸水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁」に相当する構成を備えないこと及び上記相違点に係る構成が技術常識若しくは周知技術の適用又は乙39文献若しくは乙40文献記載の発明の適用により当業者において容易に想到することができるものであることは,前記イのとおりである。 (イ) したがって,本件893発明15は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ乙38発明は,「貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)に相当する構成を備えない上,「制御手段」(構成要件G)に相当する構成も備えない。そして,以下のとおり,これらの相違点に係る構成は,周知技術又は技術常識に係るものではなく,かつ,乙38発明に上記構成を適用する動機付けも存在しない。 (ア) 「貯留予備タンク側給水弁」についてa 乙38発明に係る給水用ポンプは外付け式のものであるところ,乙 38文献で従来例として挙げられている特開昭60-256494号公報に開示されている外付け用ポンプには逆止弁がないこと(甲15の第3図),原告らが市販の外付け式給水用ポンプを分解した結果,ポンプ内に逆止弁が存在しなかったことに照らし,外付け用給水ポンプが逆止弁を内蔵することが技術常識ではないことは明らかである。 また,通常,給水ポンプでは,自吸動作を行う場合に,ポンプ内に呼び水を保持して自吸動作を確実に行うために逆止弁が設け ,外付け用給水ポンプが逆止弁を内蔵することが技術常識ではないことは明らかである。 また,通常,給水ポンプでは,自吸動作を行う場合に,ポンプ内に呼び水を保持して自吸動作を確実に行うために逆止弁が設けられるものであるが,外付け式給ポンプの場合,ポンプ自体が水中に沈められるため,別途呼び水をポンプ内に入れる必要がない。したがって,このような外付け式ポンプに逆止弁を設ける必要はないから,外付け式ポンプにおいて,逆止弁を内蔵することは周知技術にも当たらない。 b 加えて,上記のとおり,外付け式給水ポンプにおいて,逆止弁が無用のものである以上,乙38発明に係る給水用ポンプに逆止弁を設ける動機付けがない。被告は,浴槽への風呂水の逆流を防止するため洗濯機と風呂との間に逆止弁を介在させることの一般的動機付けが存在すると主張するが,洗濯への利用後の浴槽内の風呂水は通常は排水されるものであることに照らし,浴槽への逆流を防止する必要は必ずしも生じない。むしろ,風呂水ホース内や投げ込み式ポンプ内に逆止弁を設けると,ホースに残存した水を浴室側に排水することができなくなり,問題を生じるのであり,被告の主張するような一般的動機付けは存在しない。 c なお,乙38発明に係る給水ポンプが投げ込み式のものであることは,乙38文献の請求項及び明細書(2頁左下欄11~13行)の記載から明らかである。 d 被告は,乙38発明に乙39文献又は乙40文献記載の発明を組み合わせることで,本件893発明14に容易に想到できた旨主張する が,乙39文献及び乙40文献において,逆止弁はホースに設けられているものであり,これは,ホースが貯水槽の底に設けられているという構造上の理由によるものである。しかるに,乙38発明において,上記のような構造上の理由は存在しないのであるか 止弁はホースに設けられているものであり,これは,ホースが貯水槽の底に設けられているという構造上の理由によるものである。しかるに,乙38発明において,上記のような構造上の理由は存在しないのであるから,乙38発明に乙39文献又は乙40文献記載の発明を組み合わせることは当業者にとって容易ではない。 (イ) 「制御手段」について「制御手段」(構成要件G)とは,水道側給水弁及び貯留予備タンク側給水弁を制御するものである。そうすると,乙38発明が「貯留予備タンク側給水弁」を備えず,かつ,これを備えることにつき動機付けもない以上,乙38発明が「制御手段」(構成要件G)に相当する構成を備えず,かつ,これを備える動機付けもないことは明らかである。 ウしたがって,本件893発明14及び15は,乙38発明から容易に想到することができたものに当たらない。 争点(3)イ(エ)(乙51号証による新規性又は進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙51発明の内容(ア) 本件893特許の出願前に頒布された刊行物である乙51文献には,次の構成を有する洗濯機が開示されている(以下,それぞれ「乙51発明a」などという。)。 a 洗濯・脱水槽,水道と前記洗濯・脱水槽の間に介在して前記水道から前記洗濯・脱水槽に水を供給する水道水給水弁を備えた洗濯機において,b 前記水道と前記洗濯・脱水槽とを接続する給水ホース,c 浴槽と前記洗濯・脱水槽とを接続するお湯取りホース,d 「お湯取り」スタートボタンが押されたことを検知して,「閉」→ 「開」と制御される水道水給水弁,e 逆止弁を内蔵した風呂水ポンプと,f 浴槽に残り湯がなくなったかどうかを検出する検出部と,g 風呂の残り湯を使って洗濯をしているときに,残り湯がなくなると,自動的に される水道水給水弁,e 逆止弁を内蔵した風呂水ポンプと,f 浴槽に残り湯がなくなったかどうかを検出する検出部と,g 風呂の残り湯を使って洗濯をしているときに,残り湯がなくなると,自動的に水道水給水に切り替えるよう風呂水ポンプ及び水道水給水弁を制御する制御手段とh を備えた洗濯機。 (イ) 乙51文献に上記乙51発明eないしgが実質的に記載されていることa 乙51発明eについて乙51発明に係る洗濯機は,風呂水ポンプが洗濯機の天板付近に内蔵されており,水面よりも高い位置にあるにもかかわらず,乙51文献には「風呂水ポンプの内部に,常に水が残っています。」との記載がある。これは,風呂水ポンプ内に逆止弁が存在し,これによりポンプから水が流れ出てしまうのを防いでいるからに他ならない。なお,原告らは,吸水ポンプでは,通常,ポンプ内に呼び水を保持して自吸動作を確実に行うため逆止弁を設ける旨主張しているのであって,この点からも,乙51発明に係る洗濯機のふろ水ポンプ内に逆止弁が内蔵されていることが裏付けられる。 したがって,乙51発明に係る洗濯機の風呂水ポンプ内に逆止弁が存在することは自明である。 b 乙51発明fについて乙51文献には水位検出に関する記載はない。しかし,乙51文献には,風呂の残り湯を使って洗濯しているときに,残り湯がなくなると自動的に水道水に切り替わる旨の記載があるから,乙51発明に係る洗濯機が,残り湯がなくなったかどうかを検出する何らかの検出部 を備えるものであることが理解されるところ,「お湯取りホース」の先端は単なる「クリーンフィルター」であるから,同部位に検出部が存在するはずはなく,洗濯機本体に検出部が存在することがうかがわれる。そして,洗濯機本体に検出部が存在するとすれば,水 湯取りホース」の先端は単なる「クリーンフィルター」であるから,同部位に検出部が存在するはずはなく,洗濯機本体に検出部が存在することがうかがわれる。そして,洗濯機本体に検出部が存在するとすれば,水位センサ以外にあり得ない。これは,乙51文献の16頁に「水量を選ばないときは,センサーが自動的に水量を決めます。」との記載があり,洗濯脱水槽内の水位を検出する水位センサーが存在することが開示されていることとも整合する。 したがって,乙51文献には,洗濯・脱水槽内の水位を検出する水位センサが実質的に記載されている。 c 乙51発明gについて乙51発明に係る洗濯機は,風呂の残り湯を使って洗濯しているときに,残り湯がなくなると自動的に水道水に切り替わるものであるところ,洗濯機に風呂水ポンプや水道水給水弁を制御する制御回路が存在することは当然であり,乙51文献には,これらの構成が実質的に記載されている。 イ本件893発明14の新規性欠如(ア) 乙51発明aないしd,f,hは,本件893発明14の構成要件AないしD,F,Hと一致する。 (イ) 原告らの主張によれば,「前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁」(構成要件E)は風呂水ポンプ内蔵の逆止弁でもよいとのことであるから,乙51発明eの風呂水ポンプは,本件893発明14の構成要件Eと一致する。 (ウ) 乙51発明gの「風呂の残り湯を使って洗濯をしているとき」は,「前記貯留予備タンクに貯留されている水を前記水槽に給水する給水工程で」に相当する。また,乙51発明において,「残り湯がなくなっ た」か否かが,洗濯・脱水槽内の水位センサの検出結果に基づき判断されるものと解されることは,前記ア(イ)bのとおりであるから,乙51発明gの「残り湯がな 発明において,「残り湯がなくなっ た」か否かが,洗濯・脱水槽内の水位センサの検出結果に基づき判断されるものと解されることは,前記ア(イ)bのとおりであるから,乙51発明gの「残り湯がなくなると」は,「前記給水工程中に前記検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に」に相当する。さらに,乙51発明に係る洗濯機が制御回路を備えることが自明であることは前記ア(イ)cのとおりであるところ,上記制御回路は「前記水道から給水するよう前記給水弁を制御する制御手段」に相当する。 したがって,乙51発明gは本件893発明14の構成要件Gと一致する。 (エ) 以上によれば,本件893発明14は乙51発明と一致するから,本件893発明14は新規性を欠く。 ウ本件893発明14の進歩性欠如(ア) 仮に乙51発明が①「前記水槽内の水位を検出する検出部」(構成要件E)の存否及び②「前記給水工程中に前記検出部が検出した前記水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断」する工程の存否において本件893発明14と相違するとしても,上記相違点は周知技術に係るものにすぎない。 すなわち,乙49文献及び乙50文献には,水位センサによって逐次水位を検出することが記載されている。また,乙38文献,乙49文献及び乙50文献には,水位の変化が少なくなったことによって給水や排水の停止を判断することが記載されている。したがって,これらの点はいずれも洗濯機の分野における周知技術であり,当業者であれば,乙51発明にこれらの周知技術を適用して本件893発明14に想到することは容易である。 (イ) したがって,本件893発明14は進歩性を欠く。 エ本件893発明15の新規性欠如 ,乙51発明にこれらの周知技術を適用して本件893発明14に想到することは容易である。 (イ) したがって,本件893発明14は進歩性を欠く。 エ本件893発明15の新規性欠如(ア) 乙51文献には,風呂の残り湯を使って洗濯をしているときに,残り湯がなくなると自動的に水道水に切り替わる構成が記載されているところ(乙51発明g),上記制御をするためには,必然的に,残り湯があるかどうかを繰り返し判断する必要がある。したがって,乙51文献には,本件893発明15の構成要件Iに相当する構成が実質的に記載されている。また,乙51文献に,本件893発明14と一致する構成が開示されていることは前記イのとおりである。 (イ) したがって,本件893発明15は新規性を欠く。 オ本件893発明15の進歩性欠如(ア) 仮に乙51発明が,前記ウ①,②の点に加え,③「前記制御手段における制御は,前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップ」の存否において本件893発明15と相違するとしても,上記相違点は周知技術に係るものにすぎない。 すなわち,上記①,②の点が周知技術に係るものであることは,前記ウ(ア)のとおりである。また,水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップは,乙38文献,乙49文献及び乙50文献に記載があるとおり,周知技術である。 (イ) したがって,当業者が乙51発明に上記周知技術を適用して本件893発明15に想到することは容易であり,本件893発明15は進歩性を欠く。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ本件893発明14・15の新規性欠如の主張について(ア) 乙51発明fについて被告の主張は,乙51文献に,風呂の残り湯を使って洗濯していると きに,残り湯がなく は争う。 イ本件893発明14・15の新規性欠如の主張について(ア) 乙51発明fについて被告の主張は,乙51文献に,風呂の残り湯を使って洗濯していると きに,残り湯がなくなると自動的に水道水に切り替わる旨の記載があることのみを根拠とするものであるところ,乙51文献は,残り湯がなくなったことをどのように検出しているかにつき何ら示すものではない。 そして,残り湯がなくなったことを検知する方法としては,乙37文献記載のような圧力スイッチによる方法等も挙げられるのであるから,乙51文献の上記記載から,水位検出による検出手段が記載されているとみることは不可能である。加えて,「検出部」(構成要件F)は,一定時間の前後において水位を検出するものであるところ,乙51文献に,上記「検出部」(構成要件F)に相当する構成が開示されているとみるのは一層困難である。 (イ) 乙51発明gについて前述のとおり,「残り湯がなくなる」ことと「水槽内に給水がない」ことは同義ではない。したがって,乙51文献に,残り湯がなくなると同時に自動的に水道水に切り替わる旨の記載があるからといって,「…一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,前記水道から給水するよう前記給水弁を制御する制御手段」(構成要件G)に相当する構成が開示されているものとみることはできない。 (ウ) 以上のとおり,乙51文献には構成要件F,Gに相当する構成が開示されていないから,本件893発明14は乙51発明によって新規性を欠くものではない。 (エ) また,乙51文献には,残り湯がなくなると給水が切り替わる旨が記載されているのみであり,上記給水の切替えについては,所定時間の経過によっても設定水位まで達しない場合に給水を切り替える構成や,圧力スイッチの開閉によって給水 り湯がなくなると給水が切り替わる旨が記載されているのみであり,上記給水の切替えについては,所定時間の経過によっても設定水位まで達しない場合に給水を切り替える構成や,圧力スイッチの開閉によって給水の有無を検知する構成によっても達成可能なものである。したがって,上記記載から,乙51文献に,「前記水槽内に給水があるか否かの判断を繰り返すステップ」(構成要件I) に相当する構成が開示されているとみることもできない。 したがって,本件893発明15は乙51発明によって新規性を欠くものではない。 ウ本件893発明14・15の進歩性欠如の主張についてそもそも乙51文献における給水切替方法が明確ではない以上,具体的構成を離れて被告の指摘する各技術を乙51発明に適用することは当業者にとって容易ではない。また,前述のとおり,乙49文献及び乙50文献に記載されている技術は風呂水給水と無関係であり,これらを乙51発明に組み合わせることは容易ではない。 したがって,本件893発明14及び15は,乙51発明によって進歩性を欠くものではない。 4 争点(4)(損害額)(1) 争点(4)ア(本件688特許の侵害による損害額)(原告らの主張)アロ号製品の売上高について(ア) 本件688特許の登録日である平成24年2月3日から平成25年12月末日までの間におけるロ号製品の販売台数は,機種名TW-G520L/Rの製品につき12万台,その余のロ号製品につき8万台を下回らないところ,上記製品の市場販売価格は,前者につき16万円,後者につき20万円である。 (イ) 被告による工場出荷価格は,上記市場平均価格の40%を下回らない。 したがって,ロ号製品の売上高は,次の計算式のとおり,140億8000万円を下回らない。 につき20万円である。 (イ) 被告による工場出荷価格は,上記市場平均価格の40%を下回らない。 したがって,ロ号製品の売上高は,次の計算式のとおり,140億8000万円を下回らない。 (16万円×40%×12万台)+(20万円×40%×8万台)=140億8000万円 イ実施料率について(ア) 本件688発明は洗濯乾燥機に関する発明であるところ,昭和43年度から平成10年までの電気洗濯機を含む民生用電気機械・電球・照明器具等の技術分野における外国技術導入契約(イニシャルペイメントなし)の実施料率の最頻値・中央値・平均値は,いずれも4ないし5%である(甲22)。 また,個人用品又は家庭用品の技術分野における国内同業者に対するライセンス契約では,実施料率が2ないし5%のものが84.7%を占める(甲23)。さらに,訴訟等の和解交渉による場合であっても,2ないし5%の実施料率が認められており,最も件数が多い相場は4ないし5%である(甲23)。 以上によれば,洗濯乾燥機の実施料率の業界相場は約2ないし5%である。 (イ) 洗濯機の槽内にはカビや雑菌が繁殖することがあるため,需要者は洗濯槽を清潔に保つことに高い関心を有しているのであって,カビ・雑菌対策機能やその効果の程度は,需要者が洗濯機を購入する際の重要な指標の一つとなっている。このような需要者の関心の高さから,当業者は,手間を要することなく頻繁に実施できるカビ・雑菌の発生予防機能の研究開発及び製品化を進めている状況にある。 上記状況下において,被告は,平成19年に「カビプロテクト」機能を搭載した洗濯機の販売を開始し,上記機能が業界初の革新的機能であることを強調した宣伝広告活動を広く展開してきた(甲28ないし30)。上記機能の評価は高く, 告は,平成19年に「カビプロテクト」機能を搭載した洗濯機の販売を開始し,上記機能が業界初の革新的機能であることを強調した宣伝広告活動を広く展開してきた(甲28ないし30)。上記機能の評価は高く,需要者における製品購入の動機の一つとなっている(甲31,32,37ないし42)。 なお,上記宣伝広告は,ロ号製品に含まれない製品についてのものであるが,「カビプロテクト」機能が被告の製品において重視され,需要 者における購入動機を形成するものとなっていることは明らかであり,ロ号製品においてのみ,上記機能が販売力に寄与しなかったとみるべき事情はない。 (ウ) 本件688発明は,上記「カビプロテクト」機能に係る発明であり,槽内のカビや雑菌の発生を防止するものである。特に,本件688発明は,槽洗浄による方法に比べ,手間を要することなく頻繁に実行することが可能な点,洗濯工程直後に槽内を乾燥させることにより,より効率的にカビ・雑菌の発生を防止し得る点に技術的特徴があり,従来の洗濯機に存在しなかった新しい機能を提供するものであって,その技術的価値は高い。加えて,上記(イ)でみた需要者の状況に照らし,本件688発明は,需要者に対する訴求力も高いものであって,実際に,需要者において,「槽の清潔保持機能」が洗濯機購入時の考慮要素となり,又は決め手となっていることがうかがわれるのであるから(乙63),本件688発明のロ号製品の販売に対する寄与の程度も高いものというべきである。 なお,被告は,ロ号製品の後継機種において,ふたの開閉検知を行うことなく槽乾燥工程の運転を開始する構成を採用している。しかし,ふたの開閉検知は,洗濯工程終了後であり,かつ,洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程を開始するために最も実効的な方法であり,上記後継機種における 乾燥工程の運転を開始する構成を採用している。しかし,ふたの開閉検知は,洗濯工程終了後であり,かつ,洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程を開始するために最も実効的な方法であり,上記後継機種における構成は,本件688特許の侵害を回避するため,機能を改悪したものというほかない。したがって,上記後継機種において本件688発明に係る構成が採用されていないことは,本件688発明の技術的価値が低いことを意味しない。また,ロ号製品において,カビプロテクト運転設定を行えば,洗濯工程終了の都度,本件688発明に係る工程である「カビプロテクト運転」が実行されるのであり(甲10),被告は,そのような設定を推奨しているのであるから(甲45),ロ号製 品において本件688発明が使用される頻度は低いものではない。 (エ) 以上の実施料率の業界相場,本件688発明の技術的価値の高さ及び販売に対する寄与の程度の高さ等に照らせば,本件688発明の実施料率は3%を下回らない。 ウ(ア) 以上によれば,本件688特許の侵害による原告らの損害額は,次のとおり,4億2240万円となる。 140億8000万円×3%=4億2240万円(イ) 原告らは,本件688特許を1対1の割合で共有しているから,原告三菱電機及び原告日本建鐵の各損害額は,それぞれ2億1120万円となる。 エ弁護士費用原告らは,本件訴訟を遂行するため,代理人弁護士への委任を余儀なくされた。上記弁護士費用のうち,本件688特許の侵害と相当因果関係を有する部分は,2112万円を下らない。 (被告の主張)アロ号製品の売上高について原告らの主張は否認する。ロ号製品の売上高は,48億4774万8306円である。 イ実施料率について(ア) 原告らの主張は争う。 (イ) 被告の主張)アロ号製品の売上高について原告らの主張は否認する。ロ号製品の売上高は,48億4774万8306円である。 イ実施料率について(ア) 原告らの主張は争う。 (イ) ドラム式洗濯乾燥機の需要者にとって,洗濯脱水槽を清潔に保つことに対する関心は高いものではなく,洗濯槽のカビ・雑菌対策機能の有無やその効果の程度が洗濯機を購入する際の検討要素の一つとなっているとしても,その重要度は低い。これは,縦型又はドラム式の洗濯乾燥機の「お手入れ」に関するQ&A(甲24の1ないし24の3の2)において,カビ関連のQ&Aに対するアクセス数が特に高いものではない こと,洗濯乾燥機購入者へのアンケート調査(乙63)によれば,「洗濯槽が清潔に保てる機能」の重視度は低く,この点を購入時の決め手とした回答も少なかったこと,ロ号製品に関する需要者の評価・レビューの調査結果(乙67)によれば,上記評価・レビュー合計147件中に,「カビプロテクト」機能について言及したものは1件のみであり,その内容も,同機能を高く評価するようなものではなかったことからも裏付けられる。 また,被告が,ロ号製品について「カビプロテクト」機能を大々的に宣伝広告した事実はない。原告が指摘する宣伝広告(甲28ないし35,37ないし42)は,ロ号製品に関するものではない。また,甲36のカタログは,ロ号製品を対象としたものであるが,当該ロ号製品に「ピコイオン」除菌機能が付いていない旨を知らせる趣旨のものにすぎない上,上記カタログを全体として見ると,「ピコイオン除菌」すら他のセールスポイントと比べて控えめに宣伝広告されていることが分かるのであり(乙64),上記広告が,「カビプロテクト」機能を積極的に宣伝広告するものではないことは明らかである。加えて,被告が, すら他のセールスポイントと比べて控えめに宣伝広告されていることが分かるのであり(乙64),上記広告が,「カビプロテクト」機能を積極的に宣伝広告するものではないことは明らかである。加えて,被告が,ロ号製品のプレスリリース又は株式会社東芝のホームページにおける「商品情報」において,「カビプロテクト」機能について言及したことはなく(乙65,66),上記ホームページの「機能一覧」で「カビプロテクト」機能について言及しているものについても,簡単な紹介にとどまり,積極的に同機能を宣伝広告するものではない。 以上によれば,本件688発明に係る機能が需要者に高く評価され,購入の動機付けになっているものとは認められない。 (ウ) 本件688発明の技術的特徴は,洗濯工程終了後,ふたの開閉検知を条件に,洗濯兼脱水槽内部及び外槽壁面を乾燥させる乾燥工程へ移行させるよう制御することにある。上記特徴を実現するための構成は,洗 濯乾燥機に搭載されるマイクロコントローラのごく一部にすぎず,かつ,マイコンの価格は洗濯乾燥機全体の価格に比べて少額である。加えて,槽乾燥機能は,洗濯工程,乾燥工程等と比較すると使用頻度が少なく,その重要度も低い。 また,本件688特許の無効理由において主張したとおり,洗濯工程終了後に槽を乾かすという基本思想自体は周知であるから,本件688発明は,ふたの開閉検知を条件として槽乾燥工程へ移行するという点に進歩性が認められ得るにすぎない。上記ふた開閉検知は,カビプロテクト機能の中のごくわずかな動作にすぎず,上記検知動作が売上に貢献したものとは考えられない。この点は,ふた開閉検知を行わない後継機種の売上がロ号製品の売上と比較して減少していないことからも裏付けられる。 加えて,ロ号製品には,本件688特許以外にも多数の特 たものとは考えられない。この点は,ふた開閉検知を行わない後継機種の売上がロ号製品の売上と比較して減少していないことからも裏付けられる。 加えて,ロ号製品には,本件688特許以外にも多数の特許発明が実施されている。 (エ) 以上の点を考慮すると,本件688特許の寄与度を考慮する前の実施料率は1%以下であり,寄与率を考慮した後の実施料率は0.15%以下とすべきである。 (2) 争点(4)イ(本件521特許の侵害による損害額)(原告らの主張)ア本件521特許の登録日である平成21年5月15日から平成24年3月末日までの間におけるハ号製品の販売台数は合計31万台を下回らない。 イ洗濯乾燥機の工場出荷価格は市場平均売価の45ないし50%と考えられるから,被告によるハ号製品の工場出荷価格はハ号製品の市場平均売価の45%を下回らない。 したがって,ハ号製品の市場平均売価である12万円に45%を乗じた金額を工場出荷価格とし,上記価格にハ号製品の販売台数を乗じた額がハ 号製品の売上高となるところ,上記方法によってハ号製品の売上高を算出すると,167億4000万円となる。 ウ本件521特許は,洗濯乾燥機における乾燥工程に関するものであるところ,洗濯乾燥機においては乾燥機能が特に重視されていることに鑑みれば,その実施料率は1.5%を下回らない。 エ以上によれば,本件521特許の侵害による原告らの損害額は,次の計算式のとおり,2億5110万円となる(特許法102条3項)。 167億4000万円×1.5%=2億5110万円本件521特許は原告らが1対1の割合で共有するものであるから,原告三菱電機及び原告日本建鐵の損害額は,それぞれ1億2555万円となる。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (3) 本件521特許は原告らが1対1の割合で共有するものであるから,原告三菱電機及び原告日本建鐵の損害額は,それぞれ1億2555万円となる。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (3) 争点(4)ウ(本件893特許の侵害による損害額)(原告らの主張)ア本件893特許の登録日である平成13年7月6日から権利消滅日である平成21年7月6日までの間におけるニ号製品の販売台数は748.8万台を下回らない。 イ洗濯乾燥機の工場出荷価格は市場平均売価の45ないし50%と考えられるから,被告によるニ号製品の工場出荷価格はニ号製品の市場平均売価の45%を下回らない。 したがって,ニ号製品の各市場平均売価に45%を乗じた金額を工場出荷価格とし,上記価格にニ号製品の販売台数を乗じた額がニ号製品の売上高となるところ,上記方法によってニ号製品の売上高を算出すると,3188億1600万円となる。 ウ本件893特許は,洗濯乾燥機の給水工程に関するものであるところ, その作用効果に鑑みれば,その実施料率は1.5%を下回らない。 エ以上によれば,本件893特許の侵害による原告らの損害額は,次の計算式のとおり47億8224万円となる。 3188億1600万円×1.5%=47億8224万円本件893特許は,原告らが1対1の割合で共有していたものであるから,原告三菱電機及び原告日本建鐵の損害額は,それぞれ23億9112万円となる。 オ原告らは,本訴において,上記損害額のうち,それぞれ3億0548万円を請求する。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件688特許の侵害の成否)(1) 争点(1)ア(ロ号製品は本件688発明の技術的範囲に属するか-構成要件HI前段 主張)原告らの主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件688特許の侵害の成否)(1) 争点(1)ア(ロ号製品は本件688発明の技術的範囲に属するか-構成要件HI前段の充足性)ア 「前記検知工程による検知を条件に」(構成要件HI前段)(ア) 「前記検知工程による検知を条件に」につき,原告らは,洗濯工程終了後における蓋の開閉検知を槽乾燥工程実行のための「必要条件」とすることを意味する旨主張し,被告は,上記蓋開閉検知を槽乾燥工程実行のための「動作開始条件」とすることを意味するものであって,蓋の開閉検知がされたときには自動的に槽乾燥工程に移行する構成を意味するものであると主張する。 (イ) 「前記検知工程による検知を条件に」が上記のいずれの構成を意味するものであるかは,特許請求の範囲の記載からは必ずしも明確ではない。そこで,本件688明細書の記載を参酌し,本件688発明の技術的意義に照らしてこの点を検討するに,同明細書には,本件688発明 の技術的意義に関し,次の記載がある。 a 【発明が解決しようとする課題】「…一槽式洗濯機では脱水行程が終了して洗濯が終わった後,…洗濯兼脱水槽の内部から洗濯物を取り出すが,その後の…洗濯兼脱水槽の内部や,…洗濯兼脱水槽と外槽との隙間は水滴が残留して湿気の多い状態にある。しかも,この槽内空間や隙間空間は洗濯終了後に蓋を閉じると,次回の洗濯開始時までほとんど閉塞された空間となるため,湿気の高い状態が継続する。このため,…洗濯兼脱水槽の内壁,外槽の内壁,洗濯兼脱水槽の外壁などに付着しているわずかな汚れを栄養としてカビや雑菌が発生することが多く,衛生上の問題が生じる。」(段落【0007】)。 b 「かかる不都合は,洗濯終了後に布などを使用して槽内の水滴などを手 壁などに付着しているわずかな汚れを栄養としてカビや雑菌が発生することが多く,衛生上の問題が生じる。」(段落【0007】)。 b 「かかる不都合は,洗濯終了後に布などを使用して槽内の水滴などを手で拭き取ればよいが,このような手作業は手間と時間を要して面倒であり,実行されにくい。」(段落【0008】)。 c 「本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し,脱水終了後,…洗濯兼脱水槽の内部や,…洗濯兼脱水槽と外槽との隙間に湿気が残留することを防止し,ここにカビや雑菌が発生することを防ぎ,長期間清潔に保持できる洗濯機の運転方法を提供することにある。」(段落【0009】)d 「…温風供給手段を動作させ,前記外槽内を乾燥させる乾燥コースを設けることにより,温風が脱水槽内に供給される。これにより,脱水槽に設けてある脱水孔から温風が外槽との隙間に流れ,脱水槽内と外槽内を乾燥することができる。…そして,この乾燥コースを選択すれば,脱水運転終了後だけでなく,洗濯行程を途中で,例えばすすぎで終了したような場合でも排水後に槽内を乾燥することが可能となる。」(段落【0013】)e 【発明の効果】「本発明の洗濯機の運転方法は,…外槽内を乾燥さ せる乾燥コースを設けることにより,脱水運転とは別に乾燥のためだけに脱水槽を回転させられるから,脱水槽の内部に洗濯物のない状態で乾燥運転でき,脱水槽の脱水孔から温風が外槽内にスムーズに流れ,槽内の乾燥効率が向上する。…」(段落【0014】)。 f 【発明を実施するための形態】「洗濯兼脱水槽9を回転させなくても送風ファン22を使用する温風供給手段により温風を洗濯兼脱水槽9内に強制的に送風するから,洗濯兼脱水槽9停止後の脱水運転終了後に,例えば洗濯物を洗濯兼脱水槽9から取り出した後で効率よく槽内を乾燥させ 風ファン22を使用する温風供給手段により温風を洗濯兼脱水槽9内に強制的に送風するから,洗濯兼脱水槽9停止後の脱水運転終了後に,例えば洗濯物を洗濯兼脱水槽9から取り出した後で効率よく槽内を乾燥させることもできる。また,洗濯兼脱水槽9の回転を付加することにより,更に乾燥効率は当然向上する。そして,槽内の加熱は脱水運転終了後に自動的に開始するから,槽内を確実に乾燥することができる。」(段落【0042】)g 「なお,温風供給手段を動作させるタイミングとして,洗濯兼脱水槽9の停止後で,かつ,前記のように洗濯物を洗濯兼脱水槽9から取り出した後とするには,例えば蓋18の開閉を蓋スイッチで検知し,蓋18の開閉動作のあったことを条件として温風供給手段を動作させるようにすれば,実効的である。」(段落【0043】)(ウ) 以上の本件688明細書の記載に照らせば,本件688発明は,洗濯工程終了後,次回の洗濯開始時までの間,洗濯兼脱水槽内外壁及び外槽内壁が湿気の多い状態のまま閉塞状態に置かれることにより,これらの部分にカビや雑菌が発生し衛生上の問題が生じることを,手作業によることなく防止することを目的とするものであり(上記(イ)a,b),具体的には,送風手段により空気を洗濯兼脱水槽内に供給し,脱水孔を介して空気を洗濯兼脱水槽と外槽との隙間に流入させる槽乾燥工程を脱水工程とは別に設けることで,洗濯兼脱水槽内外壁及び外槽内壁を乾燥させることにより,上記目的を達成しようとするものである(上記(イ) c,d)。 そして,本件688明細書の上記(イ)e,fの記載に照らせば,本件688発明において,洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出され,槽内に洗濯物がない状態で上記槽乾燥工程を行うことで,脱水孔から空気が外槽内にスムーズに流れ,槽内の乾燥効率向上とい fの記載に照らせば,本件688発明において,洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出され,槽内に洗濯物がない状態で上記槽乾燥工程を行うことで,脱水孔から空気が外槽内にスムーズに流れ,槽内の乾燥効率向上という作用効果が得られるものとされていることをうかがうことができるところ,本件688明細書に,上記(イ)gのとおり,温風供給手段を動作させるタイミングを,洗濯兼脱水槽から洗濯物を取り出した後とするためには,蓋の開閉動作があったことを条件とすればよい旨の記載があることも考慮すれば,蓋開閉検知は,洗濯兼脱水槽内から洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程が行われることを担保し,槽内の乾燥効率の向上という上記作用効果を確保するための構成であると解されるところである。そうすると,「検知を条件に」を,槽乾燥工程への自動移行を意味するものと解すべき理由はなく,同文言は,単に蓋開閉検知がされなければ槽乾燥工程に移行しないことを意味するにとどまるものと解するのが相当である。 (エ) この点に関し,被告は,①本件688明細書の段落【0042】の記載(上記(イ)f),②本件688特許の分割出願の適法性に関する上申書(乙11)及び早期審査に関する事情説明書(乙12)の記載,③688曽祖父出願及び688祖父出願における出願経過(乙13ないし19)を挙げて,「検知を条件に」とは,蓋開閉検知により自動的に槽乾燥工程に移行することを意味すると解すべきである旨主張する。 しかし,①本件688明細書の段落【0042】は,槽内の乾燥効率を向上させ,又は槽内を確実に乾燥させることを可能とする実施形態を開示したにとどまるものと解されるのであって,本件688発明が上記実施形態に開示された構成に限定されるべきものとは解されない。 また,②本件688特許に係る平成23年7月15日付け上申書 実施形態を開示したにとどまるものと解されるのであって,本件688発明が上記実施形態に開示された構成に限定されるべきものとは解されない。 また,②本件688特許に係る平成23年7月15日付け上申書(乙 11)の「請求項1の下線部に記載の修正事項は,例えば,原出願の出願当初明細書の図4,0039~0044段落の記載に基づくものである」との記載(乙11の1頁下から12~11行目)は,本件688発明に係る構成が688親出願当初明細書に記載されたものであることを述べたものにとどまり,本件688発明が上記段落に記載された構成及び作用効果の全てを備えるものである旨を記載したものとは解されない。 さらに,本件688特許に係る早期審査に関する事情説明書(乙12)の「極端に言えば使用者が洗濯のたびに簡単に槽の乾燥を行うことができ,…洗濯兼脱水槽内を清潔に保持できるといった優れた効果を発揮することができます。」との記載(乙12の2頁18~20行目)は,本件688発明において,洗濯のたびに槽乾燥を行うことも可能である旨を記載したものにすぎず,本件688発明を,蓋の開閉検知からの自動移行によって槽乾燥を毎回実施しなければならないものと記載したとは解されない。 また,③本件688発明は,688高祖父出願(特願平11-90650)の分割出願である688曽祖父出願(特願2008-318414。乙13参照)の分割出願である688祖父出願(特願2010-133755。乙14参照)の分割出願である688親出願(特願2010-272545)の分割出願として出願されたものであるところ,原告らが,688曽祖父出願における補正の根拠として,同出願の出願当初の明細書の段落0042の記載を挙げていること(乙15の1頁目下から9~6行目)及び688祖父出願におけ されたものであるところ,原告らが,688曽祖父出願における補正の根拠として,同出願の出願当初の明細書の段落0042の記載を挙げていること(乙15の1頁目下から9~6行目)及び688祖父出願における分割出願の適法性に関し,688祖父出願に係る発明が分割直前の688曽祖父出願の明細書の段落0040ないし0043に記載された事項に基づくものである旨主張していること(乙19の1頁目下から12ないし8行目)は被告の指摘するとおりである。しかし,688曽祖父出願に関する原告らの上記主 張は,洗濯物を洗濯兼脱水槽から取り出した状態で温風を供給する構成が同出願の出願当初の明細書に記載されていることを示す趣旨のものと解されるのであって,原告らが,上記記載によって,同明細書の段落0042の「蓋18の開閉動作のあったことを条件として」との記載につき,自動移行を意味するものである旨主張したとは解することができない。また,688祖父出願に関する原告らの上記主張についても,688祖父出願にかかる発明が分割直前の688曽祖父出願の明細書の上記部分に記載されたものであることを示すにとどまるものであり,「蓋の開閉動作の検知を条件として」との記載が自動移行を意味する旨主張したとは解されない。むしろ,688曽祖父出願に係る特許第4621278号の特許請求の範囲の請求項1において,「蓋の開閉動作の検知を条件として」との文言の後に「自動的に移行する」との文言が記載されていること(乙13),688祖父出願に係る特許第4733218号の特許請求の範囲の請求項1において,「前記蓋の閉成(ママ)を検知すると」との文言の後に「温風が自動的に供給される」との文言が記載されていること(乙14)からすれば,蓋の開閉動作の「検知を条件として」とか「検知すると」などという文言 「前記蓋の閉成(ママ)を検知すると」との文言の後に「温風が自動的に供給される」との文言が記載されていること(乙14)からすれば,蓋の開閉動作の「検知を条件として」とか「検知すると」などという文言自体には,自動移行の意味は含まれないことが前提となっているとも解される。 以上によれば,被告の指摘する点をもって,「検知を条件に」を,槽乾燥工程への自動移行を意味するものと解すべきものということはできない。 (オ) ロ号製品における当てはめロ号製品は,蓋の開閉検知がされなければカビプロテクト運転に移行しないものであるから(ロ号製品1,2の構成hi),「前記検知工程による検知を条件に」(構成要件HI前段)を充足する。前記(ア)ないし(エ)でみたとおり,上記文言をもって,蓋の開閉検知により槽乾燥工 程に自動移行する旨の限定が付されていると解することはできないから,ロ号製品において,カビプロテクト運転への移行にスタートキーの押下を要することは,上記文言の充足の成否を左右しない。 イ 「洗濯物が取り出された状態で」(構成要件HI前段)(ア) 前記ア(ウ)でみたとおり,本件688発明は,蓋の開閉検知を条件として槽乾燥工程に移行するものとすることで,洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程が行われることを担保し,槽内の乾燥効率の向上という作用効果を確保するものである。上記作用効果を確保するためには,蓋の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが予定されていることが当然必要となるものと解されるのであるから,「洗濯物が取り出された状態で」とは,蓋の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが通常の状態として予定されているものであることを意味するにすぎないものと解するのが相当である(なお,本件68 り出された状態で」とは,蓋の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが通常の状態として予定されているものであることを意味するにすぎないものと解するのが相当である(なお,本件688明細書の記載を検討しても,蓋の開閉検知のほかには,「洗濯物が取り出された状態」とするための技術的手段は開示されていない。)。 (イ) ロ号製品における当てはめa ロ号製品2は,蓋の開閉検知があれば,洗濯物が実際に取り出されたか否かにかかわらずカビプロテクト運転に移行するものである(ロ号製品2の構成hi)。また,ロ号製品1は,蓋の開閉検知後,スタートキーが押下されると,洗濯槽を回転させるモータを回転させ,モータに流れる電流値を積分した値が所定値を超過するか否かの判定を行い,所定値を超過しない場合にカビプロテクト運転に移行するものであり(ロ号製品1の構成hi),槽内に洗濯物が残存していても,モータに流れる電流値が上記所定値を超過しない場合には,カビプロテクト運転に移行するものである。 b しかし,ロ号製品1の上記構成は,電流値の積分値が所定値を超過しないことを確認することで,槽内に洗濯物がないことを確認するためのものと解されるのであって,所定値がゼロではない値に設定されているのは,誤感知等により,洗濯物が残存していないにもかかわらずカビプロテクト運転に移行しないような事態を防止するためのものにすぎないものと解することができ,このような判断工程を付加することによって,洗濯物が取り出された状態でカビプロテクト運転に移行することをより強く担保しているものとみることができるものである。また,ロ号製品1,2に各属する機種に係る取扱説明書(甲10,11)には,カビプロテクト運転に関し,「1 洗濯終了」,「2ドアをあけて洗濯物を取 強く担保しているものとみることができるものである。また,ロ号製品1,2に各属する機種に係る取扱説明書(甲10,11)には,カビプロテクト運転に関し,「1 洗濯終了」,「2ドアをあけて洗濯物を取り出す」,「3 ドアを閉めて『スタート』を押す」との記載があるのであって,ロ号製品は,洗濯工程終了後の蓋の開閉により洗濯物が取り出された状態となることが予定されているものと認められる。 c 以上によれば,ロ号製品は,いずれも,蓋の開閉によって洗濯物が取り出された状態となることを通常の状態として予定するものであると認められるのであるから,「洗濯物が取り出された状態で」(構成要件HI前段)を充足する。ロ号製品において,蓋の開閉によって洗濯物が取り出された状態となることが通常の状態として予定されているものである以上,ロ号製品において,蓋の開閉が検知されたにもかかわらず,例外的に洗濯物が残っている場合があり得ることは,上記充足の成否を左右しない。 ウよって,ロ号製品は,構成要件HI前段を充足し,本件688発明の技術的範囲に属する。 (2) 争点(1)イ(本件688特許は特許無効審判により無効にされるべきものか) ア争点(1)イ(ア)(記載要件違反の有無)(ア) 争点(1)ア(ロ号製品は本件688発明の技術的範囲に属するか-構成要件HIの充足性)に関する当裁判所の判断でみたところによれば,「前記検知工程による検知を条件に,前記洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態で」との文言が不明確であるとは認められない。 (イ) 被告は,蓋開閉検知工程による検知以外の操作がされることを待って槽乾燥工程に移行することについては本件688明細書に記載がないから,蓋開閉検知による自動移行以外の態様が本件688発明の技術的範囲に含まれるとす 閉検知工程による検知以外の操作がされることを待って槽乾燥工程に移行することについては本件688明細書に記載がないから,蓋開閉検知による自動移行以外の態様が本件688発明の技術的範囲に含まれるとすれば,同発明はいわゆるサポート要件に違反すると主張する。しかし,本件688発明が,槽乾燥工程によって洗濯兼脱水槽内外壁及び外槽内壁を乾燥させることで,手作業によることなく,これらの部分におけるカビや雑菌の発生を防止するものであり,蓋開閉検知を条件として上記槽乾燥工程へ移行するものとすることで,洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程に移行することを担保し,乾燥効率の向上という作用効果を確保するものであることは,前記(1)ア(ウ)のとおりである。そうすると,槽乾燥工程への移行に,蓋開閉検知以外の操作を要するものとしても,本件688発明の上記技術的意義又は作用効果は何ら阻害されるものではないから,槽乾燥工程への移行に蓋開閉検知以外の操作を要するものとすることは,本件688発明との関係では単なる付加にすぎないというべきことになる。したがって,この点について本件688明細書に開示がないとしても,本件688発明にサポート要件に違反する点があるものとは認められない。 (ウ) 以上によれば,本件688特許に,記載要件違反があるものとは認められない。 イ争点(1)イ(イ)(乙20号証に基づく新規性又は進歩性欠如の成否)(ア) 乙20文献は,平成8年1月23日公開に係る特開平8-1968 4号公報である(乙20)。 (イ) 乙20文献には,図面とともに,次の記載がある。 a 「従来のドラム式洗濯乾燥機を図9,10に示す。このドラム式洗濯乾燥機は,外箱1に内装された水槽2と,この水槽2の内側に水平軸3を中心に回転するように支持されたドラム4と に,次の記載がある。 a 「従来のドラム式洗濯乾燥機を図9,10に示す。このドラム式洗濯乾燥機は,外箱1に内装された水槽2と,この水槽2の内側に水平軸3を中心に回転するように支持されたドラム4との二重構造となっている。…ドラム4は,その周壁全体に洗濯時の給水,脱水時の排水および乾燥時の通風を通過させるために多数の小孔5が整列して形成されている。」(段落【0003】)b 「…水槽2の上部に連通した温風ダクト19が形成され,この温風ダクト19中に乾燥用空気を温めるための乾燥用ヒータ20および温風を循環させるための送風機21とが配設され…ている。」(段落【0006】)c 「…本発明は,毛布の仕上がり状態のよい洗濯,乾燥を行うことができるドラム式洗濯乾燥機の提供を目的とする。」(段落【0014】)d 「本発明による課題解決手段は,…外箱1に内装された水槽2と,該水槽2内に水平軸3を介して回転自在に支持され周壁に多数の小孔5を有するドラム4とを備え,…毛布の洗い,すすぎ,脱水,乾燥を行う毛布コースを設け…たものである。」(段落【0015】)e 「上記課題解決手段において,毛布をドラム4内に入れて,毛布の重さおよび布質を判定する。これにより,毛布コースにおける洗いおよびすすぎの水位や運転時間等の運転条件が設定される。その後,洗い行程に移行し,…たたき洗いする。」(段落【0017】)f 「洗い行程が終了すると,排水をしてから低速で両回転方向で予備脱水を行い,…中間脱水を行う。」(段落【0018】)g 「すすぎ行程では,給水しながらすすぎを行い,…すすぎが終了す ると排水後,洗い行程の後の中間脱水と同じように中間脱水を行い,引き続いて高速回転で脱水を行う。」(段落【0019】)h 「乾燥行程では,毛布が毛足の短 すぎを行い,…すすぎが終了す ると排水後,洗い行程の後の中間脱水と同じように中間脱水を行い,引き続いて高速回転で脱水を行う。」(段落【0019】)h 「乾燥行程では,毛布が毛足の短い綿,または毛足の長い化学繊維でも重量が所定値以下であれば,自動的に乾燥運転に移行しても,乾燥時の毛倒れや風合いの変化が少なく乾燥できる。一方,毛布が毛足の長い化学繊維であってしかも所定値以上の重量を有する場合は,一時運転を停止する。この状態で毛布を取り出し,絡みをほぐしたりして形を整えてから再びドラム4内に入れて,乾燥運転を行う。これによって,毛布全体の乾燥が促進され,乾燥後の良好な仕上がり状態を確保できる。したがって,あらゆる毛布に対して,洗濯,乾燥する場合の性能が向上し,良好な仕上がり状態が得られるとともに,脱水を行う場合の振動も低減される。」(段落【0020】)i 「本実施例のドラム式洗濯乾燥機を図1に示すが,基本構成は図9に示した従来のドラム式洗濯乾燥機と同じとなっている。」(段落【0021】)j 「…制御回路42は,従来からある各洗濯コースを実行させる機能の他に,毛布コースが設けられており,毛布を洗濯,乾燥させるために以下に示す機能を有している。すなわち,…毛布の布質に応じて脱水後に乾燥を連続して行うかあるいは一時停止してから乾燥を行うかを判別する乾燥運転制御機能と,毛布の容量が所定値以下の場合は毛布の材質に関係なく洗いから乾燥まで連続運転する連続運転制御機能とである。」(段落【0027】)k 「前記乾燥運転制御機能は,毛布コースで洗濯から乾燥までの連続運転が設定されているとき,毛布が化学繊維と判定された場合,最終すすぎ後の中間脱水が終了した時点でドアロックを解除して一時停止を行うとともに,ドア8の開閉が検知された コースで洗濯から乾燥までの連続運転が設定されているとき,毛布が化学繊維と判定された場合,最終すすぎ後の中間脱水が終了した時点でドアロックを解除して一時停止を行うとともに,ドア8の開閉が検知された後,乾燥行程に移行する ものである。ただし,ドア8の開閉が検知されないときでも一定時間経過したら自動的に乾燥行程に移行するようになっている。」(段落【0028】)l 「…毛布が化学繊維であってしかも所定値A以上の重量を有すると判定された場合は,ドアロックを解除し,一時運転を停止する。この状態でドア8を開けて,毛布を取り出し,絡みをほぐしたりして形を整えてから再びドラム4内に入れて,ドア8を閉める。そして,ドアスイッチ53によりドア8の閉状態が検知されると,ドアロックして乾燥運転が自動的に行われる。このようにすることによって,毛布全体に温風を当てることが可能となり,乾燥が促進され,仕上がり状態がよくなる。また,ドア8が開閉されない場合でも一定時間経過したら,ドアロックをして乾燥運転に自動的に移行し,乾燥運転が終了した時点で再度ドアロックを解除し運転を終了する。」(段落【0036】)(ウ) 乙20発明の内容a 乙20発明は,ドラム式洗濯乾燥機に係る発明であり(上記(イ)c),上記ドラム式洗濯乾燥機は,外箱内に内装された水槽2と,該水槽2内に回転自在に支持され,その周壁に多数の小孔4を有するドラム4とを備えるものである(上記(イ)d)。 また,乙20文献において,従来のドラム式洗濯乾燥機には,水槽2の上部に,乾燥用ヒータ20及び送風機21を内部に配設した温風ダクト19が配設されているものとされるところ(上記(イ)b),乙20発明に係るドラム式洗濯乾燥機は,従来のドラム式洗濯乾燥機と基本構成において同じであるとされている 送風機21を内部に配設した温風ダクト19が配設されているものとされるところ(上記(イ)b),乙20発明に係るドラム式洗濯乾燥機は,従来のドラム式洗濯乾燥機と基本構成において同じであるとされているのであって(上記(イ)i),その構成を示した図である図1にも,従来のドラム式洗濯乾燥機と同様に,水槽2の上部に,乾燥用ヒータ20及び送風機21を内部に配 設した温風ダクト19が配設されており,上記温風ダクトからドラム4内に空気が供給されることが示されている。 b 乙20文献記載のドラム式洗濯乾燥機は,洗い行程,すすぎ行程及び中間脱水行程を行った後に,乾燥行程を行う毛布コースを設けたものである(上記(イ)dないしh)。 上記ドラム式洗濯乾燥機は,上記毛布コースにおいて,毛布が毛足の長い化学繊維であり,かつ,所定値以上の重量を有する場合(以下「化繊毛布乾燥運転」という。)には,最終すすぎ後の中間脱水が終了した時点でドアロックを解除して一時停止を行うとともに,ドア8の開閉が検知された後,乾燥行程に移行するものであるから(上記(イ)h,k,l),上記化繊毛布乾燥運転において,洗い工程,すすぎ工程,中間脱水工程終了後に,ドア8の開閉を検知する検知工程を有する。 なお,上記ドラム式洗濯乾燥機は,毛布等のドラム4内への出し入れを行うためのドア8を有するものであるから(上記(イ)h,k,l),外箱に,上記ドア8に対応する開口部を有するものであると認められる。 c 以上によれば,乙20文献には,① 開口部を有する外箱と,② 前記外箱の開口に設けたドア8と,③ 前記外箱に内装された水槽2と,④ 前記外箱内の水槽2内に回転自在に配設され,その周壁に多数の小孔4を有するドラム4と,⑤ 前記ドラム4内に空気を供給する温風ダクト1 に設けたドア8と,③ 前記外箱に内装された水槽2と,④ 前記外箱内の水槽2内に回転自在に配設され,その周壁に多数の小孔4を有するドラム4と,⑤ 前記ドラム4内に空気を供給する温風ダクト19とを備え,⑥ 洗い工程,すすぎ工程及び中間脱水を行う毛布コースと,⑦ 前記毛布コースにおける洗い工程,すすぎ工程及び中間脱水終了 後に,毛布が毛足の長い化学繊維であって,かつ,所定値以上の重量を有する場合(化繊毛布乾燥運転の場合)に,ドア8の開閉を検知する検知工程とを有し,⑧ ドア8の開閉が検知された場合又はドア8の開閉が検知されなくても一定時間が経過した場合には,温風を供給して毛布の乾燥を行う⑨ ドラム式洗濯乾燥機が記載されているものと認められる。 (エ) 本件688発明と乙20発明との対比a 上記(ウ)c記載の構成①ないし⑦,⑨は,本件688発明の構成要件AないしG,Jに各相当するものと認められる。 b この点に関し,原告らは,乙20発明において,ドア8の開閉検知は,化繊毛布乾燥運転の場合にのみ行われるものであるのに対し,本件688発明における「蓋の開閉を検知する検知工程」は,このような限定のない「洗濯工程」終了後に行われるものとされているから,乙20発明は,本件688発明の構成要件Gに相当する構成を備えないと主張する。 しかし,本件688発明において,「洗濯工程」(構成要件G)には,「洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる」(構成要件F)というほかに限定が付されていないから,これらの工程からなるものであれば「洗濯工程」(構成要件G)に相当し,上記工程終了後に行われるものであれば,「前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程」(構成要件G)に相当するものとみることができるものというべき あれば「洗濯工程」(構成要件G)に相当し,上記工程終了後に行われるものであれば,「前記洗濯工程終了後,前記蓋の開閉を検知する検知工程」(構成要件G)に相当するものとみることができるものというべきである。 乙20発明における化繊毛布乾燥運転が,洗い工程,すすぎ工程及び脱水工程の後に行われるものであることは前述のとおりであるから, 乙20発明は,本件688発明の構成要件Gに相当する構成を備えるものであり,原告らの上記主張は採用することができない。 c 他方,本件688発明において,「前記検知工程による検知を条件に」(構成要件HI)が,蓋の開閉がされなければ槽乾燥工程に移行しないことを意味するものと解されることは,前記1(1)ア(ウ)でみたとおりであるところ,乙20発明は,上記のとおり,化繊毛布乾燥運転の場合に,ドア8の開閉が検知されなくとも,一定時間が経過した場合には乾燥工程に移行するものであるから,この点において本件688発明の構成要件HIと相違する(相違点①)。 また,本件688発明において,「洗濯物が取り出された状態で」(構成要件HI)が,蓋の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが予定されていることを意味するものと解されることは,前記1(1)イ(ア)でみたとおりであるところ,乙20発明は,中間脱水終了後に一時停止して,毛布を取り出し,絡みをほぐしたりして形を整えてからドラム4に入れ,乾燥運転を行うというものであり(前記(イ)h),ドア8の開閉検知は,上記のとおり毛布の取り出し及びドラム内への再投入が行われたことを担保するための構成であるとみることができるものである。そうすると,乙20発明は,ドア8の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが予定されているものではなく, 入が行われたことを担保するための構成であるとみることができるものである。そうすると,乙20発明は,ドア8の開閉が検知された場合に,洗濯物が取り出された状態となることが予定されているものではなく,洗濯物(毛布)が再投入された状態となることが予定されているものである点で,本件688発明の構成要件HIと相違する(相違点②)。 さらに,本件688発明における槽乾燥工程は,洗濯兼脱水槽内部及び外槽壁面を乾燥させるための工程であるのに対し,乙20発明における乾燥工程は,毛布を乾燥させるための工程であり,この点でも乙20発明は本件688発明の構成要件HIと相違する(相違点③)。 (オ) 上記相違点の検討a 前記1(1)ア(ウ)及びイ(ア)でみたところによれば,本件688発明は,蓋開閉検知を条件として槽乾燥工程を行うものとすることで,槽内から洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程が行われることを担保し,槽内の乾燥効率を向上させることをその作用効果の一つとする発明であるから,蓋開閉検知により洗濯物が取り出された状態となることが予定されているか否か(上記相違点②)は,技術思想的にみて,実質的な相違点である。 b この点に関し,被告は,検知工程における蓋の開閉検知をもって洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態であるとみなすことは,乙23文献ないし乙25文献に示されているとおり周知技術であるから,相違点②は実質的ではないと主張する。 確かに,乙23文献には,洗濯機において,蓋の開閉の検出によって,使用者による洗濯物の取り出しが済み,洗濯機を使用しない状態となったことが検出されたものとみることが(段落【0018】,【0037】,【0063】),乙24文献には,衣類乾燥機において,乾燥運転の終了時にドアが開放されたときは被乾燥 洗濯機を使用しない状態となったことが検出されたものとみることが(段落【0018】,【0037】,【0063】),乙24文献には,衣類乾燥機において,乾燥運転の終了時にドアが開放されたときは被乾燥物が取り出されたと判断して,使用者にフィルタの掃除時期であることを報知することが(段落【0053】,【0054】,【0057】),乙25文献には,洗濯機において,蓋が開いた後に閉じられたことが検知されれば,洗濯物の取り出しが終了したものと判断して,操作スイッチ部からの入力を無効とする無効モードを解除すること及び蓋が開けられたときに照明ランプが点灯し,蓋が閉じられたときに照明ランプが消灯することで洗濯物取り出しに必要な時間だけ照明ランプを確実に点灯できることが(段落【0011】,【0014】),それぞれ記載されているのであって,上記各文献には,検知工程における蓋の開 閉検知をもって洗濯兼脱水槽から洗濯物が取り出された状態であるとみなすことが開示されているものということができる。 しかし,乙20発明は,毛布の仕上がりのよい洗濯,乾燥を行うことができるドラム式洗濯乾燥機を提供することを目的とする発明であり(前記(イ)c),化繊毛布乾燥運転において,運転を一時停止し,ドア8の開閉を検知するのは,毛布を取り出して絡みをほぐしたりし,形を整えてからドラム内に再投入して乾燥運転を行うことで,毛布全体の乾燥を促進し,乾燥後の良好な仕上がり状態を確保するための構成であるとされているものである(前記(イ)h)。そうすると,乙20発明において,ドア8の開閉検知が上記のとおりの目的で行われるものである以上,蓋の開閉検知をもって槽内から洗濯物が取り出された状態であるとみなすことが周知技術であるとしても,乙20発明に上記周知技術を適用することによ の開閉検知が上記のとおりの目的で行われるものである以上,蓋の開閉検知をもって槽内から洗濯物が取り出された状態であるとみなすことが周知技術であるとしても,乙20発明に上記周知技術を適用することにより,ドア8の開閉検知をもって槽内から洗濯物が取り出された状態であるとみなすようにすることは,乙20発明の上記目的に反するものであって,そのような適用を想定することは,困難であるといわざるを得ない。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 c 被告は,上記相違点が実質的であるとしても,乙20発明に乙26発明を適用することで,当業者において,上記相違点に係る構成に容易に想到することができる旨も主張する。 しかし,乙26文献には,ドラム式洗濯乾燥機において,糊付け手段の脱水工程終了後に,洗濯物投入扉が閉められると,洗濯物の有無を検出し,ない場合に自動的に槽洗浄を行うものとすることで,水槽やドラム内の残留糊液を除去し,糊液の腐敗,かび付着,次回の洗濯物への糊付着の防止等を達成できることが記載されているにとどまり(【請求項7】,段落【0023】,【0057】),蓋の開閉検知 により,槽内から洗濯物が取り出された状態となることが予定されることが記載されているものではない。したがって,乙20発明に乙26文献記載の発明を組み合わせることにより,上記相違点②に係る構成に想到することは困難であり,乙20発明から出発して本件688発明に想到することはできないものというべきである。 (カ) したがって,本件688発明は,乙20発明により新規性又は進歩性を欠くものではない。 ウ争点(1)イ(ウ)(乙27号証に基づく進歩性欠如の成否)(ア) 乙27文献は,平成4年12月2日公開に係る特開平4-347199号公報である。 (イ) 乙 は進歩性を欠くものではない。 ウ争点(1)イ(ウ)(乙27号証に基づく進歩性欠如の成否)(ア) 乙27文献は,平成4年12月2日公開に係る特開平4-347199号公報である。 (イ) 乙27文献には,次の記載がある。 a 「脱水槽を回転させてその遠心力により洗濯物の脱水をするようにしたものであって,熱風供給装置を具えると共に,脱水時にその熱風供給装置を作動させ前記脱水槽内に熱風を供給せしめる制御をする制御手段を具えたことを特徴とする脱水機。」(【請求項1】)b 「脱水槽を回転させてその遠心力により洗濯物の脱水をするようにしたものであって,熱風供給装置を具えると共に,運転の最後にその熱風供給装置を作動させ前記脱水槽内に熱風を供給せしめる制御をする制御手段を具えたことを特徴とする脱水機。」(【請求項2】)c 「本発明…の第1の目的は,騒音や振動の増加を伴わず,又,耐久性等に問題を生じることもなく,洗濯物の脱水率を現在よりも更に上げることのできる脱水機を提供するにある。」(段落【0006】)d 「本発明の第2の目的は,脱水槽にかびを発生したり,異臭を発生したりすることのない脱水機を提供するにある。」(段落【0007】)e 「…図1に示す外箱1には,内部に水受用の外槽2を配設しており, …外槽2の内部には,脱水槽であり洗濯槽でもある内槽6を配設しており,この内槽6を洗い及びすすぎ時に制止させ脱水時に上記駆動機構4によって高速回転させるようにしている。なお,内槽6には周壁に脱水孔7を多数形成して…いる。」(段落【0014】)f 「一方,外箱1の上面部にはトップカバー10を装着しており,このトップカバー10の背部から外箱1の背部にかけてバックケース11を設けている。しかして,そのバックケース11内には,モー 14】)f 「一方,外箱1の上面部にはトップカバー10を装着しており,このトップカバー10の背部から外箱1の背部にかけてバックケース11を設けている。しかして,そのバックケース11内には,モータ12を配設すると共に,このモータ12によって回転駆動されるファン13,ファン13を囲繞するケーシング14,及びケーシング14の出口部に位置するヒータ…を配設しており,そして,そのバックケース11内からはケーシング14の出口部に接続した導風ホース16をトップカバー10内を通し内槽6内に臨むように導出させていて,上記ファン13で生成する風をヒータ15により熱して熱風を生成し,それを導風ホース16により内槽6内に供給する熱風供給装置17を構成している。」(【0015】)g 「…制御装置18は,運転を,例えば洗い‐脱水‐すすぎ‐脱水‐すすぎ‐脱水の順に行なうようにしており,…脱水時の中でも最終の脱水時には,…熱風供給装置17を作動させて熱風を内槽6内に供給することを行なう。これによって,この最終の脱水時の洗濯物には熱風が供給されて通されることになり,その熱風が通って温められることによる水分の蒸発作用が,上記内槽6の回転遠心力による脱水作用に加わるから,洗濯物の脱水率は現在以上に向上する。」(段落【0018】)h 「しかして又,上記最終の脱水後の運転の最後にも,ある時間,熱風供給装置17を作動させて熱風を内槽6内に供給することを行なう。 これによって,内槽6の乾燥が行なわれ,湿気が取除かれるから,内 槽6にかびが発生したり,異臭を発生したりするようになることも防止される。」(段落【0019】)(ウ) 乙27発明の内容a 乙27発明は,洗濯物の脱水をする脱水機に係るものであり(上記(イ)a,b),上記脱水機は,外箱1と,そ たりするようになることも防止される。」(段落【0019】)(ウ) 乙27発明の内容a 乙27発明は,洗濯物の脱水をする脱水機に係るものであり(上記(イ)a,b),上記脱水機は,外箱1と,その内部に配設された外槽2と,外槽2の内部に配設され,脱水時には高速回転し,その周壁に多数の脱水孔7を形成した内槽6と,外箱1の上部に装着されたトップカバー10と,内槽6内に熱風を供給する熱風供給装置17を備えるものである(上記(イ)e,f)。なお,乙27文献の【図1】によれば,上記脱水機には,外箱1に,上記トップカバー10に対応する開口が設けられているものと認められる。 b 上記脱水機は,例えば運転を洗い‐脱水‐すすぎ‐脱水‐すすぎ‐脱水の順に行うものであるから(上記(イ)g),「洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程を有するものに当たる。 c 上記脱水機は,上記洗濯行程における最終の脱水運転の最後に,熱風供給装置17を作動させて熱風を内槽6内に供給するものである(上記(イ)h)。 d 以上によれば,乙27文献には,① 開口部を有する外箱1と,② 前記外箱1の開口に設けられたトップカバー10と,③ 前記外箱1内に配設された外槽2と,④ 前記外槽2内に回転自在に配設され,その周壁に多数の脱水孔7を形成した内槽6と,⑤ 前記内槽6内に熱風を供給する熱風供給装置17とを備え,⑥ 洗い工程,すすぎ工程,脱水工程の順からなる洗濯工程とを有し, ⑦ 最終の脱水後の運転の最後に前記熱風供給装置17から熱風を内槽6内に供給する⑧ 脱水機が記載されているものと認められる。 (エ) 本件688発明と乙27発明との対比a 上記(ウ)dの構成①ないし⑥,⑧は,本件688発明の構成要件Aな 熱風を内槽6内に供給する⑧ 脱水機が記載されているものと認められる。 (エ) 本件688発明と乙27発明との対比a 上記(ウ)dの構成①ないし⑥,⑧は,本件688発明の構成要件AないしF,Jに各相当するものと認められる。 b 他方,乙27発明は,①本件688発明が,洗濯工程終了後,蓋の開閉を検知する検知工程を有するのに対し,乙27発明はこのような検知工程を有するものではない点で本件688発明と相違する(相違点①)。 c また,乙27発明は,最終の脱水後の運転の最後に熱風を供給するものであるところ(上記(イ)b),同発明が,最終の脱水時に熱風を供給することにより,洗濯物の脱水率を向上させる発明(上記(イ)a)に引き続いて記載されていることや,実施例において,脱水時における熱風供給装置17の作動時間と,最終の脱水後の運転の最後の熱風供給装置17の作動時間が連続して記載されていること(段落【0019】,【図3】)にも照らせば,乙27文献において,上記熱風供給を,脱水運転に引き続いて,槽内に洗濯物が残存しない状態で行うことについては何ら開示がないというべきである。そうすると,乙27発明は,本件688発明が,上記蓋開閉検知工程による検知を条件に,洗濯物が取り出された状態で,槽乾燥工程に移行するものであるのに対し,乙27発明において,熱風の供給を,槽内に洗濯物が残存しない状態で行うことについて開示がない点においても,技術思想的にみて,本件688発明と相違する(相違点②)。 (オ) 上記相違点の検討 a 被告は,乙27発明に乙28発明及び周知技術を組み合わせることにより,上記相違点に係る構成に容易に想到することができる旨主張するところ,乙28文献には,洗濯兼乾燥機に関し,「洗濯後排水をし,洗濯物を入れないで乾 発明に乙28発明及び周知技術を組み合わせることにより,上記相違点に係る構成に容易に想到することができる旨主張するところ,乙28文献には,洗濯兼乾燥機に関し,「洗濯後排水をし,洗濯物を入れないで乾燥の空運転を10分~20分行なえば熱風により,洗濯兼乾燥槽6内に附着している水分を蒸発させることができる」との記載がある(5頁9欄14~17行)。 b しかし,本件688発明における相違点②に係る構成は,前記1(1)ア(ウ)でみたとおり,槽内の乾燥効率の向上という作用効果を得るための構成(槽内から洗濯物が取り出された状態で槽乾燥工程に移行するものであるか,又は槽内に洗濯物が残存した状態で熱風の供給を行うものであるか)であるところ,乙27文献には,上記熱風供給に関し,室温に応じて作動時間の長さを定めることにより,内槽6の乾燥を効率良く行い得る旨の記載があるものの(段落【0019】),上記記載は,内槽6が乾燥しやすい高温時には熱風供給装置17の作動時間を短くすることにより,熱風供給装置17を不必要に作動させることを避けることができることを,「乾燥を効率良く行ない得る」と記載したものにすぎず,槽内の乾燥効率自体の向上を課題として記載したものとは認められない。また,ほかに,乙27文献に,槽内の乾燥効率の向上を課題として認識するに足りる記載も見受けられず,かつ,内槽内に洗濯物が存在する状態で内槽の乾燥を行うことを問題とする記載もみられない。 また,乙28文献における上記aの記載は,洗濯兼乾燥槽と脱水槽が分かれた二槽式の洗濯機において,洗濯物を脱水槽に移した後に,洗濯兼乾燥槽の排水及び乾燥空運転を行うことで,洗濯兼乾燥槽内の水分を蒸発させることを記載したものにとどまるものと解される。 そうすると,当業者において,乙27発明における内槽の乾 移した後に,洗濯兼乾燥槽の排水及び乾燥空運転を行うことで,洗濯兼乾燥槽内の水分を蒸発させることを記載したものにとどまるものと解される。 そうすると,当業者において,乙27発明における内槽の乾燥効率 を向上させるため,他の手段を検討し,上記解決手段として乙28文献記載の発明を採用して,乙27発明に組み合わせることは容易ではないものというべきである。 なお,被告は,洗濯工程終了後に洗濯物を取り出して内槽内に熱風を供給した方が,槽内の乾燥効率において優れることは当業者が当然に思いつくものである旨主張するが,既に説示したとおり,乙27文献には,内槽内の乾燥効率の向上のため,他の手段を検討すべき動機付け又は内槽内に洗濯物が存在することを,内槽の乾燥との関係で課題として認識するべき示唆は存在しないものというべきであるから,上記判断が直ちに覆るものではない。 したがって,本件688発明は乙27発明から容易に想到することができたものに当たらず,進歩性を欠くものではない。 エよって,本件688特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。 (3) 小括以上によれば,被告によるロ号製品の製造,販売等は本件688特許を侵害するものと認められる。 2 争点(2)(本件521特許の侵害の成否)(1) 争点(2)ア(ハ号製品は本件521発明1ないし3の技術的範囲に属するか-構成要件G,H,I,K及びMの充足性)アハ号製品が別紙ハ号製品工程表記載の工程を行うものであることは,前記前提事実(4)ウ(イ)でみたとおりであるところ,原告は,送風槽回転1及び撹拌1からなる工程が「第1の工程」(構成要件G)に,槽回転1から撹拌4までの工程が「第2の工程」(構成要件H,K)に,槽回転4から槽回転と撹拌の繰 みたとおりであるところ,原告は,送風槽回転1及び撹拌1からなる工程が「第1の工程」(構成要件G)に,槽回転1から撹拌4までの工程が「第2の工程」(構成要件H,K)に,槽回転4から槽回転と撹拌の繰り返しまでの工程が「第3の工程」(構成要件I,M)に各相当すると主張する。 イ(ア) そこで検討すると,別紙ハ号製品工程表のとおり,ハ号製品は,送風槽回転1において,ヒータをOFF状態で送風ファンを動作させながら洗濯兼脱水槽を回転させた後,撹拌1において,ヒータOFF状態で,パルセータのみを回転させるものであるから,送風槽回転1及び撹拌1は「第1の工程」(構成要件G)に相当し,構成要件Gを充足する。 (イ) ハ号製品は,別紙ハ号製品工程表及び前記前提事実(4)ウ(イ)のとおり,槽回転1の後半から撹拌4までの工程において,送風ファン及びヒータをONにしながら,槽回転1ないし3において洗濯兼脱水槽を回転させるものであるから,ハ号製品の上記工程は「第2の工程」(構成要件H)に相当し,構成要件Hを充足する。なお,上記工程は,槽回転を行わずパルセータ回転のみを行う工程(撹拌2ないし4)を含むものであるが,本件521特許の請求項2が「前記第2の工程は…槽を回転させる動作と…回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返す」というものである以上,上記撹拌工程が槽回転工程の途中に介在することにより,「第2の工程」(構成要件H)の充足性が妨げられるものとは解されない。 また,ハ号製品の上記工程は,送風ファン及びヒータをONにしながら,槽回転1ないし3と,撹拌2ないし4を交互に行うものであるから,「前記第2の工程は,前記送風ファン及び前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作と前記回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返す」 ,撹拌2ないし4を交互に行うものであるから,「前記第2の工程は,前記送風ファン及び前記ヒータを動作させながら,前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作と前記回転翼を往復回転させる動作とを交互に繰り返す」(構成要件K)ものに相当し,構成要件Kを充足する。 (ウ) ハ号製品は,別紙ハ号製品工程表のとおり,槽回転4から槽回転と撹拌の繰り返しまでの工程において,送風ファン及びヒータを動作させながら,撹拌5ないし7及び「槽回転と撹拌の繰り返し」における撹拌において,パルセータを回転させるものであるから,ハ号製品の上記工 程は「第3の工程」(構成要件I)に相当し,構成要件Iを充足する。 なお,上記工程は,パルセータ回転を行わず槽回転のみを行う工程(槽回転4ないし6及び「槽回転と撹拌の繰り返し」における槽回転)を含むものであるが,本件521特許の請求項3が「前記第3の工程は…回転翼を往復回転させる動作と…槽を回転させる動作とを交互に繰り返す」というものである以上,上記槽回転工程が撹拌工程の途中に介在することにより,「第3の工程」(構成要件M)の充足性が妨げられるものとは解されない。 また,ハ号製品の上記工程は,送風ファン及びヒータをONにしながら,槽回転4ないし6と,撹拌5ないし7を交互に行うものであり,かつ,その後,槽回転と撹拌を繰り返すものであるから,「前記第3の工程は,前記送風ファン及び前記ヒータを動作させながら,前記回転翼を往復回転させる動作と前記洗濯兼脱水槽を回転させる動作とを交互に繰り返す」(構成要件M)ものに相当し,構成要件Mを充足する。 ウこれらの点に関し,被告は,①本件521発明1における「第1の工程」ないし「第3の工程」は「脱水工程終了後の乾燥工程」に属するものと解すべきであるところ,ハ号製品における送風槽回転 充足する。 ウこれらの点に関し,被告は,①本件521発明1における「第1の工程」ないし「第3の工程」は「脱水工程終了後の乾燥工程」に属するものと解すべきであるところ,ハ号製品における送風槽回転1から撹拌4までの工程は脱水工程の一部であるから,上記工程は「第1の工程」(構成要件G)及び「第2の工程」(構成要件H)に相当しない,②「第1の工程」(構成要件G)は,同工程のみで乾燥を終了可能な工程であることを要するところ,ハ号製品における送風槽回転1及び撹拌1は,それのみで乾燥を終了可能なものではないから,「第1の工程」(構成要件G)に相当しないと主張する。 エ上記①の点について(ア) 本件521明細書の記載を参酌して本件521発明の技術的意義について検討するに,本件521発明は,従来の洗濯機における乾燥工程 が,温風又は冷風のいずれか一方のみを供給するものであり,洗濯物の布質や周囲温度,湿度等の条件により,水分を飛ばすのに必要な条件が異なるにもかかわらず,これらの条件に応じて柔軟に対応することができなかったことから(同明細書の段落【0002】ないし【0008】),異なる複数の乾燥方法を設定することで,洗濯物の布質や周囲温度,湿度等の条件に応じて洗濯物に適した乾燥方法を選択できるようにし,使用者のニーズに応えるとともにランニングコストも軽減でき経済的な洗濯乾燥機の運転制御方法を提供できるようにようにした(同段落【0009】)ものであり,具体的には,「第1の工程」,「第2の工程」,「第3の工程」をそれぞれ異なる乾燥方法として設けることで,上記のとおり,乾燥方法の適宜選択を可能とし,その結果として使用者のニーズへの対応及びランニングコストの軽減を図ったものと解されるところである。 そうすると,「第1の工程」ないし「第 けることで,上記のとおり,乾燥方法の適宜選択を可能とし,その結果として使用者のニーズへの対応及びランニングコストの軽減を図ったものと解されるところである。 そうすると,「第1の工程」ないし「第3の工程」は,洗濯機の乾燥工程において異なる乾燥方法を提供するために設けられたものと解されるのであるから,これらの工程は,「乾燥工程」に属するものであることを要するものと解される。 (イ) ここで,確かに,本件521明細書には,「乾燥工程」は,「脱水行程終了後」の工程である旨の記載(同明細書の段落【0002】の「脱水行程終了後の乾燥行程」,段落【0004】の「脱水行程終了後に乾燥工程に移行すると」)が存在する。 しかし,上記記載は,いずれも本件521発明の従来技術に関する記載であり,本件521明細書のうち,請求項1ないし3を含めた本件521発明に係る部分には,「第1の工程」ないし「第3の工程」が脱水工程終了後のものであることを特定する文言は存在しない。加えて,本件521明細書には,同発明の実施例に関し,「洗濯行程の次に行う乾 燥行程は,…異なる種類の乾燥動作パターンにより第1行程から第3行程に分かれ,…第1行程では,加熱していない空気を送風する送風エコ乾燥工程に設定した。この送風エコ乾燥行程は,…送風ファン12のみを動作させて冷風を洗濯兼脱水槽4内に供給し,さらに脱水する。」(段落【0018】)との記載や,「送風エコ乾燥」のうち,「脱水槽回転」の部分を「エコ脱水」と名付けた記載(【図1】)がみられるのであって,本件521明細書において,脱水工程と乾燥工程が厳密に区別されているものとも解されない。 むしろ,本件521明細書に,「乾燥工程」に関し,「乾燥行程では…送風ファンを動作させて温風を洗濯兼脱水槽内に供給するが,…冷風 て,脱水工程と乾燥工程が厳密に区別されているものとも解されない。 むしろ,本件521明細書に,「乾燥工程」に関し,「乾燥行程では…送風ファンを動作させて温風を洗濯兼脱水槽内に供給するが,…冷風による乾燥を行う乾燥機も考えられている。」(段落【0007】),「乾燥行程において温風を供給するか,冷風を供給するかのいずれか一方であった。」(段落【0008】)等の記載があることを考慮すれば,本件521明細書において,「乾燥工程」とは,単に洗濯兼脱水槽内に送風を行う工程を意味するものして記載されているものと解するのが相当である。 (ウ) そうすると,ハ号製品工程表のとおり,ハ号製品の送風槽回転1及び撹拌1の工程と,槽回転1から撹拌4までの工程が,いずれも送風ファンをONにするものである以上,これらの工程は,「乾燥工程」に当たるものであり,「第1の工程」(構成要件G),「第2の工程」(構成要件H)にそれぞれ相当するものであると認められるものというべきである。以上にみたところに照らせば,被告が,ハ号製品の製品カタログ等において上記工程を「脱水」と位置付けていることや,送風槽回転工程の前に「脱水」工程が存在しないこと等は,充足の成否を左右するものではない。 オ上記②の点について (ア) 上記エ(ア)でみたとおり,本件521発明は,異なる複数の乾燥工程を設定することで,乾燥方法の適宜選択を可能とし,その結果として使用者のニーズへの対応及びランニングコストの低減を図ったものであり,「第1の工程」,「第2の工程」及び「第3の工程」を各別の乾燥工程として設定することをその特徴とするものと解されるのであって,「第1の工程」のみで乾燥コースを終了することを選択可能であることや,「第1の工程」のみで衣類を乾燥させることが可能であることま 乾燥工程として設定することをその特徴とするものと解されるのであって,「第1の工程」のみで乾燥コースを終了することを選択可能であることや,「第1の工程」のみで衣類を乾燥させることが可能であることまでをその作用効果としたものとは解されない。 (イ) そうすると,ハ号製品が,送風槽回転1及び撹拌1の工程で運転を終了することを予定しないものであることや,上記工程がすすぎ直後の洗濯物に対し7ないし10分間(送風槽回転1につき6ないし9分間,撹拌1につき1分間)行うものであることは,「第1の工程」(構成要件G)の充足の成否を左右するものではない。 カよって,被告の主張はいずれも採用できず,ハ号製品は構成要件G,H,I,K,Mをいずれも充足するというべきであり,これと前記前提事実(4)オ(イ)を併せれば,ハ号製品は構成要件L,Nをも充足するといえるから,本件521発明1ないし3の技術的範囲に属する。 (2) 争点(2)イ(本件521特許は特許無効審判により無効にされるべきものに当たるか)事案の内容に鑑み,争点(2)イ(ウ)(乙45号証又はその対象製品による新規性欠如の成否)から検討する。 ア乙45対象製品(MAW-D8TP及びMAW-D7TP)が本件521発明1ないし3の実施品であることについては,当事者間に争いがない。 イ乙45対象製品の販売日について(ア) 原告三菱電機のウェブサイトにおける乙45対象製品の製品紹介ページの記載(乙46)によれば,乙45対象製品は,当初,平成14年 12月1日に発売を予定していたものであり,「三菱電話お客様相談センター」に対する問い合わせ結果(乙59)によれば,平成15年1月1日から販売が開始されたものとされるところ,乙47によれば,平成15年1月17日午後10時51分に,インタ ,「三菱電話お客様相談センター」に対する問い合わせ結果(乙59)によれば,平成15年1月1日から販売が開始されたものとされるところ,乙47によれば,平成15年1月17日午後10時51分に,インターネットサイトである「価格.com」内に開設された掲示板中の「MAW-D8TP」(乙45対象製品)に関するページに,ハンドルネームを「慶タンママ」とする投稿者(以下「本件投稿者」という。)が,乙45対象製品を1週間程度使っている旨の投稿(以下「本件投稿」という。)を投稿していることが認められる。 本件投稿は,本件投稿者が,上記掲示板の当該ページにおけるその後の投稿(乙55における平成15年1月24日0時02分付けの投稿)において,乙45対象製品に関し,中蓋付きであり,中蓋が付いていることにより奥行きが4ないし5センチメートル程度狭くなっていること,中蓋を開けたときの取り出し口の大きさは奥行き25センチメートル,幅38センチメートルくらいである旨の具体的指摘をしていることに照らし,乙45対象製品を現実に入手した者によってされたものである可能性が高いものとみることができるものである。 (イ) この点に関し,原告らは,乙45対象製品は平成15年1月21日以降に販売を開始したものであると主張し,本件投稿者による平成15年1月17日付けの本件投稿は,乙45対象製品ではなく,その旧製品を,乙45対象製品と誤認してされたものである可能性が高い一方,寸法等に言及したその後の投稿は,乙45対象製品の販売開始後である同月24日午前0時02分にされたものであるから,乙45対象製品の販売開始時期が同月21日以降であることと矛盾しないから,上記投稿は乙45対象製品が平成15年1月21日以前に販売を開始されたものであることを裏付けるに足りないと主張する。 乙45対象製品の販売開始時期が同月21日以降であることと矛盾しないから,上記投稿は乙45対象製品が平成15年1月21日以前に販売を開始されたものであることを裏付けるに足りないと主張する。 しかし,本件投稿の内容からは,本件投稿者が一般消費者であることがうかがわれるところ,本件投稿及びその後の投稿は,いずれも自らが購入した製品の感想を述べる内容のものであって,本件投稿者が,両投稿の間(7日間)に,旧製品と乙45対象製品の両方を購入することは考え難い。そうすると,原告らが,乙45対象製品の実際の寸法等が上記投稿内容とは異なる旨の主張や,乙45対象製品の旧製品の寸法等も上記投稿内容と同じであり,上記投稿における寸法等の指摘は本件投稿者の購入製品が乙45対象製品であることを裏付けるものではない旨の主張をしていないことも併せて考慮すれば,原告らの指摘する点は,本件投稿の信用性を疑わせるに足りるものではないというべきである。 (ウ)a これに対し,原告らは,上記のとおり,乙45対象製品は平成15年1月21日以降に販売を開始したものであると主張し,その具体的経緯として,乙45対象製品は,当初,平成14年12月1日発売を予定していたが(乙46),平成15年1月20日に発売が延期され,さらに,平成14年12月26日に予定されていた出荷も平成15年1月21日まで延期されたと主張した上で,その裏付けとして,「出荷判定伺い兼認許,出荷判定会議議事録」(甲16,17)を提出する。 b そこで,まず,「出荷判定伺い兼認許,出荷判定会議議事録」(甲16)を見ると,確かに,上記議事録の「認許,出荷判定会議議事録」には,平成14年12月26日からの製品出荷を予定したものの(甲16「審議結果」欄),同日付け乾燥性能及びセンシング精度確認の結果基 16)を見ると,確かに,上記議事録の「認許,出荷判定会議議事録」には,平成14年12月26日からの製品出荷を予定したものの(甲16「審議結果」欄),同日付け乾燥性能及びセンシング精度確認の結果基準をクリアせず,同月27日付けの審議の結果,出荷停止処置が決定された旨の記載(甲16「品証部長コメント」欄及び「事業部長の指示事項」欄)があることが認められる。 しかし,上記議事録の「審議結果」欄には,平成14年12月25 日の出荷判定会議において,乾燥性能の確認(定格負荷で乾燥度が基準を満足していること)及び合格等を条件に出荷を承認し,同月26日から出荷を予定するが,当面は出荷数,出荷先を把握しておく旨が記載されているのであって,上記記載からは,乙45対象製品について,乾燥性能の確認(基準クリア)等を条件として,同月26日から,出荷先等を把握した,いわば暫定的な出荷をすることが予定されていたことを読み取ることができる。これに加えて,上記議事録の「品証部長コメント」欄及び「事業部長の指示指向」欄の記載によれば,上記出荷停止処置が,同月26日ではなく,27日に決定されたものとされていることも併せて考慮すれば,上記議事録が,同月26日に出荷された乙45対象製品が存在しないことまでを裏付けるものとは認められない。「出荷判定伺い兼認許,出荷判定会議議事録」(甲17)は,同月27日付けでされた出荷停止処置後の出荷判定に関する資料であり,平成14年12月26日に出荷された製品が存在しないことを裏付けるものではない。 (エ) 以上を総合すれば,乙45対象製品は,521親出願が出願された平成15年1月20日より前に販売が開始されたものと認められ,本件521発明1ないし3は,その特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明に当たる。 ,乙45対象製品は,521親出願が出願された平成15年1月20日より前に販売が開始されたものと認められ,本件521発明1ないし3は,その特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明に当たる。 ウよって,本件521特許は,特許無効審判により無効とされるべきものに当たり,その余の点について検討するまでもなく,ハ号製品の製造,販売等は,本件521特許を侵害するものに当たらない。 3 争点(3)(本件893特許の侵害の成否)事案の内容に鑑み,争点(3)ア(ウ)(構成要件Eの充足性)から検討する。 (1) 争点(3)ア(ウ)(構成要件Eの充足性)ア 「前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する前記貯留予備タンク側 給水弁」の解釈(ア) 「前記貯留予備タンク側給水弁の給水を制御する前記貯留予備タンク側給水弁」に関し,原告らは,閉じるべきときに閉じ,開くべきときに開くことによって,給水の水流を制御する弁であれば足り,電気的制御を受けるものであることを要しない旨主張する一方,被告は,電磁的駆動弁であり,かつ,給水方向への流れを食い止める働きをするものであることを要する旨主張する。 (イ) そこで検討すると,本件893発明14において,「貯留予備タンク側給水弁」は,「前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する」ものとして記載されており(構成要件E),かつ,同発明に係る洗濯機は,水道側給水弁(構成要件D)と,貯留予備タンク側給水弁(構成要件E)とを制御する制御手段を備えるものとされている(構成要件G)のであるから,「貯留予備タンク側給水弁」とは,制御手段による制御を受け,かつ,貯留予備タンク側給水管の給水を制御する弁であると解される。 そこで,制御手段による制御及び給水の制御に関し,本件893明細書の記載を参 タンク側給水弁」とは,制御手段による制御を受け,かつ,貯留予備タンク側給水管の給水を制御する弁であると解される。 そこで,制御手段による制御及び給水の制御に関し,本件893明細書の記載を参酌して検討すると,本件893明細書において,本件893発明14(及び請求項14を引用する請求項15に係る本件893発明15)のほかに,請求項6,7,9,10(及びこれらを引用する請求項11ないし13),17に係る各発明も,給水弁を制御するための制御手段を備えるものとされているのであって,本件893明細書には,これらの発明における制御手段による給水弁の制御及び給水弁による給水の制御に関し,次の記載がある(別添3-1,3-2のほか,乙48参照)。 a 「…洗濯を開始するときは,制御部12指令によって第1,第2の給水弁6a,7aを開き…水槽3が満杯か否かを確認し…,満杯でな い場合は水道の水を第1の給水管6から給水貯留予備タンク4内に導入し,…給水する。水槽3が満杯の場合又は給水によって満杯になると,制御部12からの指令によって第2の給水弁7aは閉じられる…。」(段落【0050】)b 「…給水貯留予備タンク4が満杯かどうかを確認し…,満杯になったときは制御部12の指令により第1の給水弁6aを閉じ…,これを記憶部14に記憶させる…。」(段落【0051】)c 「…操作パネル13によって給水貯留予備タンク4への給水中止の設定を行っておくと,先の水槽3への最後のすすぎ行程の給水行動作了後,直ちに第1の給水弁6aを閉じるように制御部12から指令され,給水貯留予備タンク4内には水を貯留せず,これを記憶部14に記憶させる。」(段落【0052】)d 「洗濯行程開始時に,制御部12の指令によって,第1の給水弁31aを水槽3側に開くと共に, され,給水貯留予備タンク4内には水を貯留せず,これを記憶部14に記憶させる。」(段落【0052】)d 「洗濯行程開始時に,制御部12の指令によって,第1の給水弁31aを水槽3側に開くと共に,第2,第3の給水弁31b,33aを開くと,水道の蛇口1と水を貯留している給水貯留予備タンク4とから…同時に給水される。また,第1の給水弁31aを水槽3側に開いて第2の給水弁31bを閉じ,かつ第3の給水弁33aを開くと,水道の水は水槽3にも給水貯留予備タンクにも供給されない。さらに,第3の給水弁33aを閉じかつ第1の給水弁31aを給水貯留予備タンク4側に開くと,水道の水は給水貯留予備タンク4にのみ供給される。」(段落【0059】)e 「すすぎ行程の給水が終了した後,…水を貯留するか否かを判別する。貯留する場合は,第1,第3の給水弁31a,33aを,上記のすすぎ行程におけるすすぎ水の貯留動作と同様に制御部12の指令によって動作させる。」(段落【0061】)f 「…制御部12の指令によって第3の給水弁33a…が開き,…水 が排出されて水が腐食することを防止する。さらに,…制御部12からの補給の指示があり,給水貯留予備タンク4内に貯留水がない場合は,第2,第3の給水弁31b,33aを閉じて第1の給水弁31aを給水貯留予備タンク4側に開き,水道の蛇口1から給水貯留予備タンク4内に給水されて貯留される。」(段落【0062】)g 「…洗濯行程開始時に,検出部37によって給水貯留予備タンク4内に水が貯留されているかどうかを検出し…,水が貯留されていることがわかれば,制御部12の指令により給水弁35aを給水貯留予備タンク4から水槽3側に開き…,水槽3に給水が行われる…。…水槽3内に洗濯必要水量が給水されていない場合は,制御部12の指令 れていることがわかれば,制御部12の指令により給水弁35aを給水貯留予備タンク4から水槽3側に開き…,水槽3に給水が行われる…。…水槽3内に洗濯必要水量が給水されていない場合は,制御部12の指令によって給水弁35aを水道の蛇口1から水槽3側に開いて給水する。」(段落【0065】)h 「洗濯行程を開始した後に,検出部37が給水貯留予備タンク4内に水が貯留されていないことを検出した場合は,制御部12の指令によって給水弁35aを水道の蛇口1から水槽3側に開いて,給水する。 給水行程終了後は,制御部12の指令によって給水弁35aを給水貯留予備タンク4側に開き,次のすすぎ用水を貯留する。…」(段落【0066】)i 「…給水行程開始時に,給水貯留予備タンク4が水槽3に接続されていない場合は,制御部12の指令により第2の給水弁31bを開いて水道水を水槽3内に給水を開始する。」(段落【0080】)j 「…浴槽57内に水があるか否かを確認し…,水量がある場合は制御部12によって給水弁35aを浴槽57から水槽3側に開き…,浴槽57に貯留されている水を洗濯行程開始時に水槽3に給水する…。」(段落【0085】)k 「…給水がない場合には,制御部12が給水弁35aを蛇口1から 水槽3側に開く…。また,…水槽3への給水量が洗濯必要水量に不足している場合は,制御部12によって,給水弁35aを蛇口1から水槽3側に開き…,水道からの不足分を補充する。」(段落【0086】)l 「…制御部12の指示により給水弁35aを開閉する。給水の指示があって…,浴槽57に水を貯留するときは,制御部12が給水弁35aを蛇口1から浴槽57側に開いて給水し…,…給水弁35aを閉じて給水を終了する。」(段落【0087】)m 「…制御部12によって第2の給 …,浴槽57に水を貯留するときは,制御部12が給水弁35aを蛇口1から浴槽57側に開いて給水し…,…給水弁35aを閉じて給水を終了する。」(段落【0087】)m 「…制御部12によって第2の給水弁71aを水が浴槽68方向に流れないように閉じると共に,第2の排水弁70aを水が浴槽68からポンプ73の方向に流れるよう開き,…給水する。」(段落【0097】)n 「…制御部12によって第1の給水弁35aを蛇口1から第2の分岐管71側に開くと共に,第2の給水弁71aを蛇口1から浴槽68側に開き,…こうして,すすぎ用の水道水を蛇口1から浴槽68内に導入して貯留し…,排水する。」(段落【0098】)o 「…制御手段により,貯留予備タンクに貯留されている水を水槽に給水する給水工程で,給水工程中に検出部が検出した水槽内の水位の検出結果に基づき一定時間水槽内に給水がないと判断した場合に,水道から給水するよう給水弁を制御するようにした…。」(段落【0129】)(ウ) 以上の本件893明細書の記載に照らせば,同明細書において,制御手段(制御部12)とは,給水弁をその指令によって動作させるものであり,給水弁とは,制御手段(制御部12)からの上記指令を受けて閉じ又は開くものであって,上記のとおり給水弁が閉じ又は開くことによって,給水が行われ又は給水が終了する,すなわち水を蛇口等から槽 等へ導入し,又は上記導入を停止するものであることが一貫して記載されているものということができる。これに加えて,本件893明細書の請求項11において,制御部による制御に関し,「…検出手段からの信号に基づいて制御手段が各弁を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の洗濯機。」が発明として特定されており,制御部がその指令によって給水弁を制御 る制御に関し,「…検出手段からの信号に基づいて制御手段が各弁を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の洗濯機。」が発明として特定されており,制御部がその指令によって給水弁を制御することが明確化されていることも考慮すれば,本件893明細書において,「給水弁」とは,制御部からの指令に基づき開閉することにより,水を蛇口等から槽等へ導入し又は導入を停止する働きをもつ弁として記載されているものと解するのが相当であり,本件893発明14における「貯留予備タンク側給水弁」も,同様の意味をもつものとして記載されているものと解するのが相当である。 イニ号製品における当てはめ(ア) ニ号製品におけるふろ水給水ポンプの構造は次の図面のとおりである。 ニ号製品においては,呼び水がふろ水給水ポンプ内に導入された状態で,同ポンプ内のモータが作動して羽根車(インペラ)が回転することによって,ふろ水給水ホースからふろ水給水ポンプ内に水が吸い上げられて給水が行われ,入力側(ふろ水給水ホース接続部側)から出力側(インペラのある側)に水圧がかかることにより,逆止弁(ゴム板)が開く。上記モータが停止し,羽根車(インペラ)が回転を停止すると,ふろ水用給水ホースからふろ水給水ポンプ内へと水を吸い上げることはできなくなり,給水は停止する。そうすると,逆止弁(ゴム板)に,ふろ水用給水ポンプ内に残存する水の圧力が作用し,逆止弁(ゴム板)は 閉じることとなる(以上につき,当事者間に争いがない)。 (イ) そうすると,ニ号製品における逆止弁の開閉は,モータの作動及び羽根車(インペラ)の回転並びにこれらの停止によって生じる水圧により,その当然の帰結として生じる現象にすぎず,逆止弁自体が,制御手段からの指令に基づき開閉しているも 逆止弁の開閉は,モータの作動及び羽根車(インペラ)の回転並びにこれらの停止によって生じる水圧により,その当然の帰結として生じる現象にすぎず,逆止弁自体が,制御手段からの指令に基づき開閉しているものと評価することはできない。また,ニ号製品におけるふろ水の洗濯・脱水槽への導入及びその停止は,モータの作動及び羽根車(インペラ)の回転によりふろ水を吸い上げ,又はこれらの作動・回転を停止することによって行われているものであり,逆止弁の開閉は,上記作動・回転の開始又は停止によってふろ水の洗濯・脱水槽への導入又は停止がされることにより,水圧が変化することに伴って生じているものにすぎないものであるから,逆止弁が,水を槽内等へ導入し又は導入を停止する働きを果たしているものとも評価することができないものである。 (ウ) したがって,ニ号製品における逆止弁は,制御手段による制御を受け,かつ,貯留予備タンク側給水管の給水を制御する弁に当たらないから,「前記貯留予備タンク側給水管の給水を制御する貯留予備タンク側給水弁」を充足しない。 ウよって,ニ号製品は,構成要件Eを充足せず,本件893発明14の技術的範囲に属しない。 エまた,上記と同じ理由により,ニ号製品が,本件893発明15の技術的範囲に属することもない。 (2) よって,その余の点について検討するまでもなく,ニ号製品の製造,販売等は,本件893特許を侵害しない。 4 小括以上によれば,本件521特許及び本件893特許の侵害を理由とする原告らの請求は,争点(4)イ・ウについて検討するまでもなく理由がないことに帰 着する。 そこで,以下においては,争点(4)ア(本件688特許の侵害による損害額)についてのみ検討する。 5 争点(4)ア(本件688特許の侵害による損 なく理由がないことに帰 着する。 そこで,以下においては,争点(4)ア(本件688特許の侵害による損害額)についてのみ検討する。 5 争点(4)ア(本件688特許の侵害による損害額)(1) 証拠(乙69)によれば,平成24年2月3日から平成25年12月末日までの間におけるロ号製品の売上高は,合計48億4774万8306円であることが認められ,これを上回ると認めるに足りる証拠はない。 (2)アロ号製品は洗濯乾燥機であり,日本標準産業分類においてF302及びF303に分類されるものであるところ,社団法人発明協会発行に係る「実施料率〔第5版〕」によれば,上記F302及びF303に関連する技術(「18.民生用電気機械・電球・照明器具」)についての平成4年度から平成10年度までの実施料率の平均値は,イニシャルありが2. 8%,イニシャルなしが4.6%であり,また,最頻値は,イニシャルありが2%・3%,イニシャルなしが4%であることが認められる(甲22)。 イ争点(1)アに関する当裁判所の判断でみたとおり,本件688発明は,槽乾燥工程を脱水工程とは別に設けることで,洗濯兼脱水槽内外壁及び外槽内壁の乾燥を達成し,これらの部位にカビや雑菌が発生し衛生上の問題が生じることを,手作業によることなく防止するものであって,上記槽乾燥工程を,槽内に洗濯物がない状態で行うものとすることで,槽内の乾燥効率の向上という作用効果が得られることをその技術的特徴とするものである。 以上のとおり,本件688発明は,洗濯乾燥機の槽内のカビ,雑菌等の発生を防止し,槽内を清潔に保つ機能を向上させることを目的とした発明であるということができるところ,電機メーカー等のウェブサイトにおける製品情報ページ等において,洗濯機又は洗濯乾燥機に関する「よくあ 発生を防止し,槽内を清潔に保つ機能を向上させることを目的とした発明であるということができるところ,電機メーカー等のウェブサイトにおける製品情報ページ等において,洗濯機又は洗濯乾燥機に関する「よくある 質問」として,洗濯兼脱水槽内のカビの防止に関する質問及び回答が挙げられていること(甲24の1,2の1・2,3の1・2,25の1・2,26)に照らせば,洗濯乾燥機の槽内を清潔に保つ機能に関する需要者の関心は低いものではないことがうかがわれる。 この点に関し,被告は,株式会社東芝CS評価センターによる洗濯乾燥機購入者へのアンケート調査結果(乙63)によれば,ドラム式洗濯乾燥機購入者における洗濯槽が清潔に保てる機能に関する重視の度合いは他の項目に比べて低めであると主張する。しかし,そもそも,上記アンケート調査において,購入者が重視することがあり得る項目として挙げられた34項目の一つとして,洗濯槽を清潔に保てる機能が挙げられていること自体,上記項目に関する需要者の関心が低いものではないことを裏付けるものというべきである。また,上記アンケート調査結果を見ても,上記項目に関する購入者の重視の度合いが,他の項目に比べて特段に低いものとはみられない。 ウまた,ロ号製品において,本件688発明の技術的範囲に属するものと認められる機能は,その宣伝広告上,「カビプロテクト」機能と名付けられているものと認められるところ(甲36),被告は,本件688特許登録前に被告が製造販売した洗濯乾燥機のカタログ等において,「カビプロテクト」機能を大きく取り上げているのであって(甲29,30,33ないし35),被告が,上記機能を,洗濯乾燥機の宣伝広告における重要な要素として位置付けていたことをうかがうことができ,需要者においても,この点を商品選択の際の考慮 るのであって(甲29,30,33ないし35),被告が,上記機能を,洗濯乾燥機の宣伝広告における重要な要素として位置付けていたことをうかがうことができ,需要者においても,この点を商品選択の際の考慮要素としていたことをうかがうことができる(甲31,32,37ないし42)。 そうすると,ロ号製品について,そのカタログやウェブサイト上の製品説明において,本件688特許登録前の製造販売に係る製品のように,「カビプロテクト」機能につき大きく取り上げる扱いがされていなかった としても,従前の宣伝広告等により,需要者が当該機能を重視することは十分にあり得るものというべきである。なお,被告は,本件688特許登録前の製造販売に係る製品は,いわゆる縦型洗濯機であり,ドラム式洗濯乾燥機であるロ号製品とは無関係なものである旨主張するが,縦型洗濯機とドラム式洗濯乾燥機の需要者は共通するものと解されるのであって,前者に係る宣伝広告の効果が後者に波及することは十分にあり得るものと解されるところである。 加えて,ロ号製品についても,機種名TW-G520L/Rの製品については,そのカタログにおいて,「カビプロテクト」機能により手軽に槽の手入れをすることができる旨が大きく取り上げられていること(甲36,乙64),機種名TW-Z370L,TW-G520Lの製品については,株式会社東芝のウェブサイトにおける上記製品の「商品情報」において,カビプロテクト機能を有する旨が記載されていること(乙66)に照らせば,ロ号製品においても,「カビプロテクト」機能はその宣伝広告において取り上げられることがあったものということができるのであって,本件688発明に係る機能が需要者の商品選択に寄与する割合が低いものであったとはいい難いものというべきである。 エ他方, 広告において取り上げられることがあったものということができるのであって,本件688発明に係る機能が需要者の商品選択に寄与する割合が低いものであったとはいい難いものというべきである。 エ他方,特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を具体的な構成をもって社会に開示した点にあるというべきところ,本件688発明がその課題解決のために具体的に開示した新たな技術的手段としての構成は,「前記検知工程による検知を条件に」槽乾燥工程へ移行するようにしたところであって,同発明は,蓋の開閉検知のほかには,「洗濯物が取り出された状態」とするための技術的手段を開示していないことは,前記1で見たとおりである。 オ以上の事情を総合考慮すると,ロ号製品の売上高に1%を乗じた金額が, 本件688特許の特許権者が本件688発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する金額(特許法102条3項)として相当であると認められる。 (3) そこで,以上に従って本件688発明の実施に対し原告らが受けるべき金銭の額を計算すると,次の計算式のとおり,4847万7483円となる。 48億4774万8306円×0.01=4847万7483円(4) 本件688特許は原告らの共有に係るものであるところ,前記前提事実(2)エでみたとおり,原告らの本件688特許の共有割合は1対1であるから,原告ら各自の損害額については,上記(3)でみた損害額を,原告らの本件688特許の上記共有割合によって按分して算出するのが相当である。 そうすると,原告ら各自の損害額は,次の計算式のとおり,2423万8741円となる。 4847万7483円×1/2=2423 88特許の上記共有割合によって按分して算出するのが相当である。 そうすると,原告ら各自の損害額は,次の計算式のとおり,2423万8741円となる。 4847万7483円×1/2=2423万8741円(5) 弁護士費用本件の事案に鑑みると,原告ら各自が本件訴訟遂行のため支出した弁護士費用のうち,被告による本件688特許の侵害と相当因果関係を有する部分は,原告ら各自につき240万円とみるのが相当である。 (6) したがって,本件688特許の侵害により原告ら各自が受けた損害額は,2663万8741円と認められる。 6 原告らの請求の成否について(まとめ)(1) 以上によれば,原告ら各自は,被告に対し,本件688特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求として,2663万8741円の支払を求めることができる。 (2) 附帯請求について原告は,附帯請求として,請求額である6億6335万円のうち4億6883万円については訴状送達日の翌日である平成24年6月2日から,うち 1億9452万円については平成25年12月20日付け訴え変更申立書送達日の翌日である平成25年12月25日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めているところ,これは,訴状における請求分である平成24年2月3日から同年3月末日までの間におけるロ号製品の製造販売に係る損害については,訴状送達日の翌日である平成24年6月2日から,平成25年12月20日付け訴え変更申立書による請求拡張分である平成24年4月1日から平成25年12月末日までのロ号製品の製造販売に係る損害については,上記訴え変更申立書送達日の翌日である平成25年12月25日から各支払済みまでの遅延損害金の支払を求める趣旨であると解される。 証拠(乙 年12月末日までのロ号製品の製造販売に係る損害については,上記訴え変更申立書送達日の翌日である平成25年12月25日から各支払済みまでの遅延損害金の支払を求める趣旨であると解される。 証拠(乙69)によれば,ロ号製品の平成24年2月3日から同年3月末日までの売上は10億9130万3000円であり,同年4月1日から平成25年12月末日までの売上は37億5644万5306円であると認められるから,各時期において原告ら各自に生じた損害額(特許法102条3項に基づく損害額)は,前者の時期において545万6515円,後者の時期において1878万2226円であると認められ,かつ,これらの損害は,前者につき平成24年6月2日,後者につき平成25年12月25日よりも前の不法行為により生じたものであると認められる。 また,弁護士費用については,上記各時期における損害額(特許法102条3項に基づく損害額)に応じて生じたものとみるのが相当であるから,平成24年2月3日から同年3月末日までにおいて50万円,同年4月1日から平成25年12月末日までにおいて180万円が上記各時期における弁護士費用相当額の損害であると認められ,かつ,これらの損害は,前者につき平成24年6月2日,後者につき平成25年12月25日よりも前の不法行為により生じたものであると認められる。 したがって,原告ら各自は,被告に対し,附帯請求として,595万65 15円に対する平成24年6月2日から,2058万2226円に対する平成25年12月25日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (3) 差止請求について証拠(乙69)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,ロ号製品のうち,機種名TW-G520L/Rの製品については平成2 割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (3) 差止請求について証拠(乙69)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,ロ号製品のうち,機種名TW-G520L/Rの製品については平成25年11月末日までに,機種名TW-Z8200L/Rの製品については平成25年10月末日までに,機種名TW-Q860L/Rの製品については平成25年4月末日までに,機種名TW-Z82SL/Rの製品については平成25年6月末日までに,機種名TW-Z370Lの製品については平成24年9月末日までに,その販売を終了したことが認められる。 ロ号製品の上記販売終了時期から既に相当期間が経過していること,被告が,上記ロ号製品のうち,機種名TW-Z370Lの製品を除く製品の後継モデルを既に発売済みであること(弁論の全趣旨)に照らせば,被告が,今後,ロ号製品を製造し,販売し,又は販売のために展示するおそれがあるものとは認められない。 したがって,原告らの,本件688特許の侵害の停止又は予防請求としてのロ号製品の製造,販売及び販売のための展示の差止請求については,これを認めることはできない。 (4) 小括以上によれば,原告らの請求は,原告ら各自につき,被告に対し,2663万8741円及びうち595万6515円に対する平成24年6月2日から,うち2058万2226円に対する平成25年12月25日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余についてはいずれも理由がないことに帰着する。 第5 結論 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 よって,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 鈴木千帆 裁判官 森川さつきは,差し支えのため署名押印することができない。 裁判長裁判官 嶋末和秀

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