- 1 -主文被告人を懲役10月に処する。 未決勾留日数中90日を刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は,平成17年7月28日午後3時50分ころ,神戸市A区B町a番b号所在のC株式会社D店において,同店店長E管理に係る男性用ベルト1点(物品時価298円相当)を盗んだ。 証拠 括弧内の甲乙の表示及び番号は証拠等関係カードの甲乙の符号及び番号を示す()(,。以下,他の欄においても同じ)。 省略(補足説明) 弁護人は,被告人には窃盗の犯意はなく,窃盗罪は成立しない旨主張する。しかしながら,当裁判所は,窃盗罪が成立すると判断したので,以下その理由について補足して説明する。 関係各証拠によれば,被告人が,判示の日時にC株式会社D店(以下「本件ホームセンターということがあるにおいて商品として店内に陳列されていた判示の男性用ベ」。),ルト以下本件ベルトというを自分のズボンのベルト通しに通して身に付け着用(「」。),していたシャツにより本件ベルトが隠れた状態のまま,店内のレジの横を通り抜けて店外に出たところ,同店の警備員であるFから呼び止められたことが明らかである。 以上認定したような被告人の行動は本件ベルトにつき代金の支払をするつもりのある買い物客がとるものとは通常解されないから,そのような行動自体から被告人は窃盗の犯意に基づき店外に本件ベルトを持ち出したものと推認することができる。 ところで被告人は上記認定の行動について公判廷において本件ベルトを通し,,,,「て代金を支払おうと考えてレジの方へ向かった際,体の後ろにあったウエストポーチを前に回してポーチ内に手を入れて友人から借りた少なくとも20万円が入っていた財布を探したところ財布がないことに気が付いた,そこで店外に停めた自 てレジの方へ向かった際,体の後ろにあったウエストポーチを前に回してポーチ内に手を入れて友人から借りた少なくとも20万円が入っていた財布を探したところ財布がないことに気が付いた,そこで店外に停めた自転車のかごの中のリュックサックの中に財布を置き忘れたのだと思い,誰かに財布を取られたら大変だと動転し本件ベルトを外すことも忘れて急いで店外に出た」旨供述している。 しかしながらまずFは被告人が本件ベルトをベルト通しに通そうとしていると,,,「ころから被告人を注視していたが,被告人がウエストポーチを確認するようなそぶりはなかった」旨証言している。警備員として不審者を注視することはごく自然なことであり,被告人の行動の観察状況に問題があったとは認められない上に,Fが殊更虚偽の供述をして本件当時まで面識のなかった被告人を罪に陥れなければならないような事情は証拠上認められないことからすると,その証言は十分信用でき,被告人の供述は上記のF証言に反している。また,本件ベルトを通してからの行動について,被告人は,捜査段階において本件ベルトを通した後店内において電動工具を見たベルトを通してから5から10分,「,位してから店を出た旨供述しており乙5被告人の供述には変遷が認められるところ」(),,その変遷について合理的な説明がなされていない。以上に加え,20万円を借りたとの点も,友人が金策をして敷金として20万円を貸してくれたなどという被告人の公判供述- 2 -の内容自体が創作や思いつきで述べることが考えられないようなものとは解されない上に,その供述を裏付けるに足りる他の証拠はないこと,貸主についての供述が捜査段階から変遷を繰り返していることを考え合わせると,弁護人が種々主張する点を考慮しても,被告人の上記公判供述の信用性は乏しいといわざ 供述を裏付けるに足りる他の証拠はないこと,貸主についての供述が捜査段階から変遷を繰り返していることを考え合わせると,弁護人が種々主張する点を考慮しても,被告人の上記公判供述の信用性は乏しいといわざるを得ない。 以上のとおりであり,その他に上記の推認を揺るがすに足りる事情は証拠上うかがえないから,被告人に窃盗の犯意があったと認められ,窃盗罪が成立するというべきである。弁護人の主張は採用できない。 (法令の適用)罰条刑法235条未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書平成18年3月16日神戸地方裁判所第1刑事部裁判官西野吾一
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