昭和26(オ)306 当選無効請求

裁判年月日・裁判所
昭和26年10月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  本件上告理由は別紙記載のとおりである。  論旨の中には判例違反を主張するものも

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判決文本文2,101 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 本件上告理由は別紙記載のとおりである。 論旨の中には判例違反を主張するものもあるけれども、所論の判例はいずれも事実審の認定した具体的事実事情の下にそれ等を前提として下された判断であつて、抽象的不動の原則を判示したものではない。従つてそれと具体的前提事実を異にする本件において判例違反の問題を生ずることはない。例えば所論昭和二四年(オ)第二七号当裁判所判決に反するという論旨があるが右の判決においては「ホソノ」と記載された投票を候補者細田に対する有効投票と判示しているのであるが、右の「ホソノ」の記載を「ホソダ」の誤記と認めたのも、たんに細野Dが五年前に死亡している事実のみによつたのではなく、「ホリノ」の記載が細野Dを表示したものと推断すべき強い事情が認められなかつたためであるのに対し、本件原判決はA幸雄と記載された投票を、すでに死亡している同氏名人を表示したものと推断すべき事情ありとして、上告人に対する有効投票と認めなかつたのである。かかる候補者以外の特定人を表示したものと認めるべき事情は具体的場合によつて異るものであり、ことに「ホソノ」の記載は細野Dの氏名を完全に記載したものではないのであるから、原判決が先例に違反するものと言うことはできない。論旨は右先例において、細野Dが死亡者であるがために「ホソノ」と記載された投票を同人に対する投票と認めなかつたのであるから、本件においてもすでに死亡したA幸雄の氏名を記載した投票はこれを同人に対する投票と推定すべきでないというようであるが、右判例は死亡した者の氏名を記載した投票は如何なる場合においても常に必ずその死亡者に対する投票と推断してはならないという不動の原則を判示したものでは に対する投票と推定すべきでないというようであるが、右判例は死亡した者の氏名を記載した投票は如何なる場合においても常に必ずその死亡者に対する投票と推断してはならないという不動の原則を判示したものではない。 - 1 -只前示の如き具体的事実の下において「ホソノ」と記載した投票を死亡者細野Dに対する投票と認めなかつた第一審の判断は相当であるというだけのことである。具体的事実を異にする本件において判例違反の問題を生ずることなく又原審の判断に違法の点もない。その他の判例違反の主張についても皆同様のことがいえるのであつて本件は判例の場合と具体的前提事実が異るのであるから判例違反の間題を生ずることなく判例違反を主張する論冒はいずれも理由がない。 その余の論旨はいずれも最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該らなし又同法にいう法令の解釈に関する重要な主張ともいえないから特に説明する必要もないのだが念の為め簡単に一、二の点について説明しよう。 (一)論旨の中には原審がA幸雄と記載した投票を無効としたことと、或る投票を被上告人の為めの有効投票と認めたこととの間に不公平、矛盾があるとの主張を見受けるが右両者の間には候補者の氏名と投票の記載との間の類似点又は相違点、候補者以外の者の氏名と投票の記載との間の類似点又は相違点について引当の開きがあつて(例えば一方は「A幸雄」と氏名共候補者に非ざる人と全く同じ記載が為されて居るに反し一方は只氏のみが類似して居るに過ぎないというが如き)原審が反対の結論に到達したことについて何等矛盾不公平もなく法則違背もない。(二)相当著名の人であつても平素余り交渉のない人物についてはその死亡の事実を知らず又は忘却して、なお生存するものと思料することが間々あることは吾人のしばしば経験する処であつて実 く法則違背もない。(二)相当著名の人であつても平素余り交渉のない人物についてはその死亡の事実を知らず又は忘却して、なお生存するものと思料することが間々あることは吾人のしばしば経験する処であつて実験則上明なことであるから原審が「本件選挙当時の有権者にA幸雄の死亡した事実が周知徹底していた証拠がない」云々と判示したのは結局相当であつて此点を攻撃する論旨は理由なきに帰する。なお上告人に対する投票であると認め得るものでなければ有効投票とすることは出来ないのであつて、A幸雄に対する投票と確認出来ないものは上告人に対する投票と認めなければならないと- 2 -いうものではない。どつちだかわからない場合は無効とする外ないのである、そしてA幸雄と書いた投票は上告人に対するものか或は又A幸雄がまだ生きて居ると思つて同人に投票するつもりで投票したものであつたか、どつちだかわからないということは十分考えられる処であるからこの意味からしても原審がこれを上告人に対する有効投票と認めなかつたことは結局正当であるともいえるのである。 以上説明のとおり本件上告は理由がないから民訴四〇一条、九五条及び八九条に従い主文のとおり判決する。 右は裁判官全員一致の意見である。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保- 3 -

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