平成18年8月25日決定平成18年(む)第166号 主文 本件請求を棄却する。 理由 本件裁定請求の趣旨及び理由は,弁護人A作成の「主張関連証拠開示に関する裁定申立書」に記載されたとおりであるから,これを引用する。その要旨は,検察官は,Bに対する業務上過失致死被疑事件の捜査記録中のBの前科前歴(特に交通違反歴)及びその内容を記載した書面全部(以下「本件書面」という。)について,「証拠の存否にかかわらず,開示することが相当とは認められない。」とのみ述べて,不開示としたが,本件書面は,Bの日常的な運転状況を推定し,本件におけるBの過失の程度を推認する資料となり得るものであり,被害者の死亡がBの重大な過失に基づく轢過事故により生じたものであれば,被告人による暴行と被害者の死亡との間の因果関係が中断される可能性がある,という弁護人の刑訴法316条の17第1項の主張に関連し,かつ,被告人の防御の準備のために必要かつ重要なものであるから,開示による弊害のおそれが明白でない限り,原則として全て開示するべきである,というのである。 そこで検討すると,Bの前科前歴(特に交通違反歴)の有無及び内容は,Bの日常的な運転状況をうかがわせる一つの資料とはいえても,前記轢過事故についてのBの過失の有無及び程度を直接推認し,立証するものとはいえない。したがって,本件書面は,被害者の死亡がBの重大な過失に基づく轢過事故により生じたものであり,ひいて被告人による暴行と被害者の死亡との間の因果関係が中断される,とする弁護人の主張に関連するものとはいえず,被告人の防御の準備のために必要かつ重要であるとは認められない。他方,Bの前科前歴(特に交通違反歴)の有無及び内容が,みだりに公開されれば,Bの名誉やプライバシー等が害されることは明らかであるから, 告人の防御の準備のために必要かつ重要であるとは認められない。他方,Bの前科前歴(特に交通違反歴)の有無及び内容が,みだりに公開されれば,Bの名誉やプライバシー等が害されることは明らかであるから,本件書面を開示すれば,Bの名誉やプライバシー等が害されることになり,その弊害の程度は,極めて大きいというべきである。 そうすると,本件書面は,その存否にかかわらず,開示することが相当であるとは認められない。 よって,本件請求は理由がないから,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・原田保孝,裁判官・駒井雅之,裁判官・秋田志保)
▼ クリックして全文を表示