平成6(行コ)7 行政処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成8年6月25日 大阪高等裁判所 情報公開
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判決文本文13,874 文字)

○ 主文一原判決を次のとおり変更する。 二控訴人が、被控訴人株式会社岩崎経営センターに対し、昭和六〇年一〇月一四日付でした公文書非公開決定処分、及び被控訴人A、同B、同C、同Dに対し、同日付でした公文書非公開決定処分は、別紙知事交際費使途別一覧表の番号1ないし3、6ないし9、30ないし46、55ないし57、及び64ないし72の公文書の交際の相手方の記載に関する部分を除き、これを取り消す。 三被控訴人らのその余の請求を棄却する。 四訴訟費用は、第一、二審を通じて、これを一〇分し、その九を控訴人の、その余を被控訴人らの各負担とする。 ○ 事実第一申立て一原判決を取り消す。 二被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第二事案の概要一争いのない事実 1 被控訴人会社は、大阪府に事務所を有する株式会社であり、その余の被控訴人らは、大阪府の住民である。控訴人は、大阪府知事として、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号、以下「本件条例」という。)二条四項の実施機関である。 2 被控訴人らは、控訴人に対し、昭和六〇年一〇月一四日、本件条例七条一項の規定に基づき、昭和六〇年一月ないし三月に支出した大阪府知事の交際費(以下「本件交際費」という。)についての公文書(会計伝票、経費支出伺、債権者の請求書、支出伝票、領収書、参加者名簿、予算差引簿)の公開(閲覧及び写しの交付)を請求した。 3 本件条例には、次のとおりの規定がある。 二条2項この条例において、「公文書の公開」とは、実施機関が、この条例の規定により、公文書を閲覧に供し、又はその写しを交付することをいう。 八条実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。 一法人(略)その他の団体(以下「法人等」という。 写しを交付することをいう。 八条実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。 一法人(略)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの四府の機関又は国の機関等が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は同種の調査研究、企画、調整等を公正かつ適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれのあるもの五府の機関又は国の機関等が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの九条実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしてはならない。 一個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)であって、特定の個人が識別されるもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの一〇条実施機関は、公文書に次に掲げる情報が記録されている部分がある場合において、その部分を容易に、かつ、公文書の公開の趣旨を損なわない程度に分離できるときには、その部分を除いて、当該公文書の公開をしなければならない。 一八条の各号に該当する情報で、当該情報が記録されていることによりその記録されている公文書について公文書の公開をしないこととされるもの二前条各号のい 除いて、当該公文書の公開をしなければならない。 一八条の各号に該当する情報で、当該情報が記録されていることによりその記録されている公文書について公文書の公開をしないこととされるもの二前条各号のいずれかに該当する情報一三条2項 (略)実施機関は、(略)第一〇条の規定による公文書の公開をするときその他相当の理由があるときは、当該文書を複写した物を閲覧させ、又はその写しを交付することができる。 4 そして、控訴人は、昭和六〇年一〇月二九日、被控訴人株式会社岩崎経営センターに対しては、大阪府秘第二六号、その余の被控訴人らに対しては、同第二七号の部分公開決定通知書をもって、本件請求に対応する公文書は、同年一月ないし三月に支出した交際費に係る経費支出伺、支出命令伺書、債権者の請求書、領収書等の執行の内容を明らかにした文書、歳出予算差引表と特定し、経費支出伺、支出命令伺書、歳出予算差引表を公開する旨決定・通知したが、債権者の請求書、領収書、歳出額現金出納簿の執行の内容を明らかにした文書(以下「本件文書」という。)については、そこに記録されている情報が、前記八条一号、四号、五号及び九条一号に該当するとして、これを非公開とする旨決定し(以下、この非公開に関する部分の各決定を「本件各処分」という。)、同月三一日、被控訴人らにその旨通知した。 5 被控訴人らは、本件各処分について、同年一二月二七日、控訴人に対し、異議申立てをしたところ、控訴人は、昭和六一年四月七日、右異議申立てを棄却する旨決定し、その決定書は、同月一〇日、被控訴人らに送達された。 二争点本件文書は、本件条例八条一号、四号、五号及び九条一号に該当する文書か。 1 控訴人の主張(一) 大阪府知事が昭和六〇年一月ないし三月に支出した本件交際費は、別紙「知事交際費使途別一覧表」(以下「別紙一覧 書は、本件条例八条一号、四号、五号及び九条一号に該当する文書か。 1 控訴人の主張(一) 大阪府知事が昭和六〇年一月ないし三月に支出した本件交際費は、別紙「知事交際費使途別一覧表」(以下「別紙一覧表」という。)記載のとおりである(以下「本件1の祝金」などという。)。 (二) 知事の交際費は、本件条例八条四号にいう「府の機関が・・・行う調査研究、企画、調整等」(以下「企画調整等事務」という。)ないし五号にいう「府の機関・・・が行う交渉、渉外等の事務」(以下「交渉等事務」という。)と密接不可分なものであり、また、本件文書が公開されると、交際費の内容、支払われた相手方等が明らかになり、知事の交際の範囲、内容、程度等が知れるので、相手方に不快、不信、不満の感情を抱かせ、相手方の信頼関係ないし友好関係の維持増進をはかるとの交際の目的を損なわしめるものであるから、本件条例八条四、五号により公開しないことができる。 (三) 本件文書には、控訴人の支出した交際費の相手方の氏名、内容等が記録されているので、特定の個人を識別され得るものであり、これらの情報は、知事との交際の有無、程度等を明らかにするため、個々の交際の重要度を示すことになるのであって、相手方が私人であるものは、一般に他人に知られたくないと望むものであるし、そのことは正当であるから、本件条例九条一号によっても原則として公開してはならない。 (四) ただ、(1)交際の相手方が識別されない文書、(2)交際の相手方が私人と識別される文書で、その交際の性質、内容等からして交際内容等が一般に公表、披露されることが予定されている文書、(3)相手方の氏名等が外部に公表、披露されることが、もともと予定されているものなど、相手方の氏名等を公表することによって交際事務の目的が達成できなくなるおそれや、交際事務の適 が予定されている文書、(3)相手方の氏名等が外部に公表、披露されることが、もともと予定されているものなど、相手方の氏名等を公表することによって交際事務の目的が達成できなくなるおそれや、交際事務の適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがない文書については、例外的に公開すべきである。 本件文書には、交際の相手方が識別されない文書はないし、相手方が私人である文書には、交際内容等が公表、披露されることが予定されている文書もない。また、相手方が法人その他の団体である文書には、相手方の氏名等が外部に公表、披露されることがもともと予定されているなどにより、交際事務の適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのない文書もない。 (五) 本件文書は、交際費の支払先の氏名、内容等の情報を含んでおり、このような文書を公開すれば、当該事業者にとっては、取引先、取引金額、単価、集金状況といった取引内容に関する情報を明らかにすることになり、接客業者は信用を損なうことになり、同業者間での競争上の地位その他正当な利益を害することになり、本件条例八条一号によっても、公開しないことができる。 2 被控訴人らの主張(一) 非公開とし得る文書は、(1)本件交際費の支出内容につき基準がなく、個別的に決定され、裁量の働く余地が大きいこと、(2)相手方が不満を抱く蓋然性が高く、相手方が不満を抱いた場合、その後の交際事務に著しい支障が生ずる場合であることを要する。 (二) 本件交際費のうち、(1)支出の有無、金額等が定型的に決まっているもの、(2)独自性が強く、他と比較しようがないもの、(3)交際の相手方が公開により不信感、不満を抱くおそれが考えられないもの、または抱いたとしてもおよそ以後の事務に支障が生じないもの、(4)前例、慣習等により自動的に支出の有無、金額等が決まり、知事が具体的に決 手方が公開により不信感、不満を抱くおそれが考えられないもの、または抱いたとしてもおよそ以後の事務に支障が生じないもの、(4)前例、慣習等により自動的に支出の有無、金額等が決まり、知事が具体的に決定するとは考えられないものについての文書は公開すべきである。 (三) 本件交際費のうち、73ないし75の会費については、その金額を相手方が決めており、11ないし29の供花や47ないし54の樒は、地域の慣行や葬儀主宰者側からの申し出によって決定されており、知事の裁量の余地はなく、その公開によって相手方が不満、不快感を抱く筈がない。 (四) 本件10の生花、11ないし29の供花及び47ないし54の樒は、それらを供えた相手方の氏名が公示されており、公開が予定されている。また、66ないし71の賛助についても、披露を前提としており、公開されている。 (五) 本件文書は、全面公開すべきであるが、仮にそれが認められないとしても、本件条例一〇条に基づき、部分公開すべきである。 ○ 理由一昭和六〇年一月ないし三月の大阪府知事の交際費(本件交際費)甲一〇六号証、乙四ないし八号証、二二、二三号証、証人E、同Fの証言並びに弁論の全趣旨によると、次のとおり認められ、その認定を左右するに足りる証拠はない。 1 大阪府知事の交際費の支出は、その性質上、即時現金払いの必要があるため、地方自治法二三二条の五、同法施行令一六一条一項一四号、府財務規則三六条一一号に基づき、議会が議決した予算の範囲内で、資金前渡の方法により、経費支出伺、支出命令伺によって毎月一定額の現金の前渡を受け、これを資金前渡職員の府知事室秘書課長(昭和六二年一一月からは組織機構改革により府秘書課長となる)が保管し、必要に応じて支払に当てていた。 2 控訴人は、秘書課長らの意見を聞いて、本件交際費の支出の要否及 資金前渡職員の府知事室秘書課長(昭和六二年一一月からは組織機構改革により府秘書課長となる)が保管し、必要に応じて支払に当てていた。 2 控訴人は、秘書課長らの意見を聞いて、本件交際費の支出の要否及びその金額を決定していた。その基準について、明確にしたものはなく、交際の相手方(以下「相手方」という。)と大阪府との関わり合いの濃淡、大阪府に対する貢献度の大小を斟酌・勘案し、過去の例なども参考にして、その支出の都度決定されていた。 3 控訴人が昭和六〇年一月ないし三月に大阪府知事として七五件の本件交際費を支出しており、その支出状況は、別紙一覧表に記載のとおりである。なお、外国の使節等と知事との懇談等に要する費用は、府の国際交流課が所管する外事費という費目から支出され、府会議員やマスコミ関係者等との懇談等に要する費用も交際費以外の費目から支出されていた。 4 相手方が個人である祝金の内、本件1、2祝金は、著者が大阪府政に協力・貢献した個人の出版祝、本件3は大阪府政運営に協力した大学教授の退官祝、本件4、5は国会議員主催の会合に対する祝金、6、7は公職選挙法の公職への当選祝のための物品の代金、8、9は大阪府以外の都道府県の特別職(知事、副知事、出納長)への就任祝である。 5 本件10ないし54は、相手方が個人に対する弔意であり、その内、本件10は死亡した公務員を弔問に訪れた際持参した生花の代金、本件11ないし29は供花料の代金、本件30ないし46は香料、本件47ないし54は樒の代金であり、供花料と樒料は、地域の実情に合わせて決定され、金額は均一ではない。香料も一律ではなく、数万円のものから一〇万円を超えるものまで様々であった。この三種の関係は、大阪府との関わり合いで決められ、香料が基本で、供花や樒が付け加えられ、香料、供花、樒の三種が送られた事例 料も一律ではなく、数万円のものから一〇万円を超えるものまで様々であった。この三種の関係は、大阪府との関わり合いで決められ、香料が基本で、供花や樒が付け加えられ、香料、供花、樒の三種が送られた事例が二件あった。 6 本件55、56は、個人に対する見舞の品の代金である。 7 本件57は、政財界人と意見を交換するための懇談会につき、知事一人分の負担費用である。 8 法人その他の団体である相手方に対する祝金の内、本件58ないし60は、政界関係者の後援会・懇談会に対するもので、その会合に控訴人が出席した。本件61ないし63は、周年記念の祝金で、61は報道出版関係法人、62は府民団体、63は法曹関係団体に対するものである。 9 本件64、65は、労働関係団体の海外調査団に対する餞別で、その団体に、府職員、議会関係者は関係していない。 10 本件66、67、69ないし71は、報道出版関係法人に対する賛助金、本件68は、労働組合ではない労働団体に対する賛助金、本件72は、府民団体に対する援助金、本件73は、控訴人がポスト指定になっている官庁関係連絡会の会費、本件74は、控訴人がポスト指定になっている社団法人の会費、本件75は、官庁関係団体の会費であり、本件73ないし75の団体に知事が関係していることは、特に秘密になっていない。 11 これらのうち、本件6、7、10ないし29、47ないし56については、交際の相手方に対し、金銭ではなく花などの物品が贈られたものである。本件57については、懇談に要した費用を負担したものであり、その他のものについては、交際の相手方に対し金銭が渡された。 12 交際の相手方である団体の中に、会社であるものはない。 二本件交際費に関する文書(本件文書)甲一〇四号証、一〇五号証の1ないし75、乙四ないし八号証、二三号証、証人E、同 し金銭が渡された。 12 交際の相手方である団体の中に、会社であるものはない。 二本件交際費に関する文書(本件文書)甲一〇四号証、一〇五号証の1ないし75、乙四ないし八号証、二三号証、証人E、同Fの証言並びに弁論の全趣旨によると、次のとおり認められ、その認定を左右するに足りる証拠はない。 1 本件文書として、本件1ないし75全部の支出について、歳出額現金出納簿に記載があるほか、本件一覧表の文書欄記載のとおり、本件1ないし5、8及び9の祝金(出版、退官、会合、就任)、30ないし46の弔意(香料)、58ないし61・63の祝金(会合、周年)並びに64、65の餞別には、支出証明書が、本件6、7の祝金(当選)、10ないし29及び47ないし54の弔意(供花、樒)、55、56の見舞、62の祝金(周年)、66ないし71の賛助、72の援助並びに73ないし75の会費には、領収書が、本件57の懇談会には主催者の請求書と領収書がある。 2 歳出額現金出納簿は、現金の出納状況を、年月日、摘要、受払の金額、その残額とに分けて記載し、摘要欄にその使途(祝金、弔意金、見舞、懇談、餞別、賛助など)と支出の相手方が記載されるようになっている。 3 支出証明書は、社会通念上、領収書が得られない支出、すなわち、祝金、香料、餞別の支出の都度、支出年月日、支出金額、支出の相手方、支出の目的等を大阪府秘書課の職員が記録した書類であるが、決まった様式はない。4本件6、7、10ないし29及び47ないし54の弔意(供花、樒)、55、56の見舞の領収書は、各物品の販売業者作成のもので、領収年月日、領収金額、物品名等が記載され、合わせて相手方の氏名等が記載されたものもあり、もともと相手方の氏名等記載されていなかったものには、府の担当者がメモ書き等の形で相手方の氏名等を記録している。 5 本 領収金額、物品名等が記載され、合わせて相手方の氏名等が記載されたものもあり、もともと相手方の氏名等記載されていなかったものには、府の担当者がメモ書き等の形で相手方の氏名等を記録している。 5 本件57の懇談会の請求書と領収書は、主催者作成のもので、主催者の団体名が記載されており、個人名の記載はない。しかし、後に、領収書には、府の担当者により出席者の氏名がメモ書き等の形で記載されている。また、現金出納簿にも主催者の団体名が記載されている。 6 本件62の祝金、66ないし72の賛助・援助、73ないし75の会費の領収書は、いずれも交際の相手方である団体が発行したものである。 三平成七年六月の大阪府知事交際費支出基準の決定、その後の交際費支出関係文書の公開甲一〇一号証の1ないし3、一〇二・一〇三号証の各1・2、一〇四号証、一〇五号証の1ないし75、一〇六号証、証人Fの証言並びに弁論の全趣旨によると、次のとおり認められ、その認定を左右するに足りる証拠はない。 1 知事の交際費は、府政の円滑な運営を図るため、関係者との懇談や慶弔等の対外的な交際事務を行うのに要する経費であるが、その対象が極めて広範囲かつ多数であるため、大阪府知事公室では、平成七年六月二一日に、その具体的執行については、知事が個々の事例毎に、相手方と大阪府との関わり等を総合的に勘案して、支出の要否を決定した上で、次の金額を支出するとの知事交際費支出基準を文書で定めた。 (一) 香料本人の場合三万円・親族の場合二万円(二) 供花・樒等地域の慣習による(三) 結婚祝出席の場合五万円・祝のみの場合二万円(四) 各種お祝会費制の場合会費相応額・その他二万円(五) 講演会等会費会費相応額(六) 餞別二万円(七) 賛助・協賛 出席の場合五万円・祝のみの場合二万円(四) 各種お祝会費制の場合会費相応額・その他二万円(五) 講演会等会費会費相応額(六) 餞別二万円(七) 賛助・協賛賛助等必要額(最高額一〇万円)(八) 見舞い等一万円(九) 懇談会等経費実際に要した金額 2 控訴人は、平成七年六月二〇日以降、大阪府知事の交際費支出関係の文書公開請求に対して、現金出納簿、債権者領収書、支出証明書のうち相手方である個人が識別され得る部分を本件条例九条一号により非公開とする部分公開を決定し、現金出納簿、債権者領収書、支出証明書のうち相手方である個人の氏名を記載した部分以外の文書を公開している。その結果、本件交際費のうち、団体に対する会費、賛助・協賛、祝の支出関係の文書は、全部公開され、副知事・出納長の退任花代や送別昼食会の支出関係文書も公開された。 四本件公文書の本件条例八条一号該当性当裁判所も、本件公文書は、本件条例八条一号に該当しないと判断する。その理由は、原判決四二枚目裏六行目の「認めがたい。」を「認めがたく、乙二一号証(別件訴訟における今和泉明の証言調書)の供述記載中右に反する部分は容易に採用し難い。」と改めるほか、四〇枚目裏九行目から四三枚目裏一行目に記載のとおりであるから、これを引用する。 五本件条例八条四、五号該当性大阪府知事の交際費は、大阪府における行政の円滑な運営を図るため、関係者との懇談や慶弔等の対外的な交際事務を行うのに要する経費である。このような知事の交際のうち、懇談については本件条例八条四号の企画調整等事務又は同条五号の交渉等事務に、その余の慶弔等については同号の交渉等事務にそれぞれ該当すると解される。これらの事務に関する情報を記録した文書を公開しないことができるか否かは、これ 四号の企画調整等事務又は同条五号の交渉等事務に、その余の慶弔等については同号の交渉等事務にそれぞれ該当すると解される。これらの事務に関する情報を記録した文書を公開しないことができるか否かは、これらの情報を公にすることにより、当該若しくは同種の交渉等事務としての交際事務の目的を達成出来なくなるおそれがあるか否か、又は当該若しくは同種の企画調整等事務や交渉等事務としての交際事務を公正かつ適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるか否かによって決定される。 そして、知事の交際事務は、相手方との間の信頼関係ないし友好関係の維持増進を目的として行われるものであり、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されているような場合などは別として、相手方が識別し得るような文書の公開によって相手方の氏名等が明らかにされることになれば、懇談については、相手方に不快、不信の感情を抱かせ、今後の府の行うこの種の会合への出席を避けるなどの事態を生ずることも考えられ、また、一般に、交際費の支出の要否、内容等は、府の相手方とのかかわり等をしん酌して個別に決定されるという性質を有するものであることから、不満や不快の念を抱く者が出ることが容易に予想される。そのような事態は、交際の相手方との間の信頼関係あるいは友好関係を損なうおそれがあり、交際それ自体の目的に反し、ひいては交際事務の目的が達成できなくなるおそれがあるというべきである。さらに、これらの交際費の支出の要否やその内容等は、支出権者である知事自身が、個別、具体的な事例ごとに、裁量によって決定すべきものであるところ、交際の相手方や内容等が逐一公開されることとなった場合には、知事においても前記のような事態が生ずることを懸念して、必要な交際費の支出を差し控え、あるいはその支出を画一的にすることを余儀なくされることも考えら 手方や内容等が逐一公開されることとなった場合には、知事においても前記のような事態が生ずることを懸念して、必要な交際費の支出を差し控え、あるいはその支出を画一的にすることを余儀なくされることも考えられ、知事の交際事務を適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるといわなければならない。したがって、本件文書のうち、交際の相手方が識別され得るものは、相手方の氏名等が外部に公表、披露されることがもともと予定されているものなど、相手方の氏名等を公表することによって前記のようなおそれがあると認められないようなものを除き、懇談に係る文書については本件条例八条四号又は五号により、その余の慶弔等に係る文書については同条五号により公開しないことができる文書に該当するというべきである。 六本件条例九条一号該当性本件における知事の交際は、それが知事の職としてされるものであっても、私人である相手方にとっては、私的な出来事といわなければならない。本件条例九条一号は、私事に関する情報のうち性質上公開に親しまないような個人情報が記録されている文書を公開してはならないとしているものと解されるが、知事の交際の相手方となった私人としては、懇談の場合であると、慶弔等の場合であるとを問わず、その具体的な費用、金額等までは一般に他人に知られたくないと望むものであり、そのことは正当であると認められる。そうすると、このような交際に関する情報は、その性質、内容等からして交際内容等が一般に公表、披露されることがもともと予定されているものを除いて、同号に該当するというべきである。 七本件文書の本件条例八条四、五号、九条一号該当性以上五、六は、本件上告審判決の説示するところであり、当裁判所は裁判所法四条により、この判決に拘束される。 前記認定事実によると、本件各文書には交際の相手方が 書の本件条例八条四、五号、九条一号該当性以上五、六は、本件上告審判決の説示するところであり、当裁判所は裁判所法四条により、この判決に拘束される。 前記認定事実によると、本件各文書には交際の相手方が何らかの形で記載されており、これにより交際の相手方が識別できることが認められる。 そこで、右上告審判決に従い、本件文書につき本件条例八条四号、五号、九条一号により公開をしないことができるかどうかにつき、次に判断する。 八全部公開すべき公文書 1 生花、供花、樒(別紙一覧表番号10ないし29、47ないし54)これらは、葬儀に際し大阪府知事の名を付して一般参列者の目にふれる場所に飾られるのが通例であるから、一般に公開されることがもともと予定されているものと認められる。 また、これらに要した費用額は、その生花などを見ることによりおおよそ想像がつくところであるから、支出額を非公開とすべきものでもない。 これらに関する文書については、本件条例八条四、五号、九条一号の適用はなく、すべて公開されるべきである。 2 会費(別紙一覧表番号73ないし75)この会費は、前記一10に認定のとおり、控訴人が会員としてポスト指定された官庁関係連絡会の会費、控訴人が会員としてポスト指定された社団法人の会費、官庁関係団体の会費であり、これら団体に知事が関係していることは特に秘密にはなっていないところであり、会に所属すればその運営に要する費用を会費として負担するのは通常であるから、これらの支出に関する本件公文書が公開されたとしても、その交際事務の目的が達成できなくなるとか、それを公正かつ適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるとは考えられない。 また、これら交渉の相手方は団体であるから、本件条例九条一号にいう「個人」ではない。ここで「個人」とは、それに続く「身体」、「健康」 適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるとは考えられない。 また、これら交渉の相手方は団体であるから、本件条例九条一号にいう「個人」ではない。ここで「個人」とは、それに続く「身体」、「健康」、「家族」などの言葉からしても、自然人のみをいうことは明らかである。 そうすると、これらの公文書については、本件条例八条四、五号、九条一号の適用はなく、すべて公開されるべきである。 3 祝金(別紙一覧表番号4、5、58ないし60)証人Fの証言と弁論の全趣旨(控訴人の主張)によると、これらの支出は、大阪府知事が国会議員または政界関係者後援会の行う会合に出席した際に、会費を支払わないかわりに祝金を贈ったもので、知事がそのような会合に出席すること自体は秘密でないと認められる。会合に招待されたとき会費に代わるものとして、その会の趣旨に従い相応の祝金を贈る習慣があることは当裁判所に顕著であり、現に贈られた祝金が会費相応額ではないとの立証はないから、知事の出席自体が秘密でない以上、この交際は公開されたものと認められる。 また、これら交渉の相手方は団体であるから、本件条例九条一号の適用はない。 よって、これら公文書については、本件条例八条四、五号、九条一号の適用はない。 4 団体への祝金(別紙一覧表番号61ないし63)これらは、周年祝という極めて儀礼的な祝金であって、弁論の全趣旨によると、相手方は、利益追求の会社ではなく、報道出版関係各社で構成される法人、法曹により構成される団体と認められるから、この祝金の相手方や金額が公開されても、これらの団体が不満や不快の念を抱くおそれは認められない。これを公開しても知事の交際事務を適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるとは、本件全証拠をしても認めることができない。 そうすると、これらの公文書の相手方部分につき、本 おそれは認められない。これを公開しても知事の交際事務を適切に行うことに著しい支障を及ぼすおそれがあるとは、本件全証拠をしても認めることができない。 そうすると、これらの公文書の相手方部分につき、本件条例八条四、五号、九条一号により公開しないことが許されるとは認められない。 九交際の相手方の記載を除きその余を公開すべき公文書次の公文書のうち交際の相手方を除く部分については、本件条例八条四、五号、九条一号により公開をしないことができるものとは認められない。 そして、本件条例一〇条は、公文書に八条四、五号、九条一号に該当する情報が記録されている部分があっても、それを分離できるときは、その部分を除いて、公文書の公開をしなければならないとしており、前記認定事実によると、交際の相手方の氏名などの部分のみを隠して複写した写しを交付するなどが容易にできるものと認められるから、交際の相手方以外の部分については、公開をすべきものである。 1 見舞(別紙一覧表番号55、56)見舞は、病気その他望ましくないことにあった人に対するものであるから、本件条例九条一号により相手方の氏名を公開しないことが許される。 病気等の人が公務員であっても、病気自体は私的なものであるから、見舞に関する知事の交際の関係では、前記上告審判決にいう「私人」を相手方とするものといえる。 2 香料(別紙一覧表番号30ないし46)これらも弔意のためのものであるが、前記の生花などとは異なり、一般参列者の目にふれる所に飾られるなどによって、香料が供えられたことや、その金額が一般に公開されているものではないから、本件条例九条一号により相手方の氏名は公開しないことが許される。逝去者やその親族が公務員であっても、逝去自体は私的なものであるから、香料に関する知事の交際費の関係では、前記上告審判決にいう「私 から、本件条例九条一号により相手方の氏名は公開しないことが許される。逝去者やその親族が公務員であっても、逝去自体は私的なものであるから、香料に関する知事の交際費の関係では、前記上告審判決にいう「私人」を相手方とするものといえる。 しかし、これらの支出された月日については公開されるべきである。大阪府には約八五〇万人の府民がおり、逝去の府民も毎日多数にのぼるところ、交際費支出の要否、金額は個々的に決定されていたものであるし、大阪府民以外の者に対する支出もなかったとはいえないところであるから、支出の日を公開しても一般人が通常入手できる関連情報と照合しても、香料を贈られた関係逝去者の氏名が判明する可能性はないと認められる。 これらに関する情報は、交際の相手方(香料を贈られた相手方又は関係逝去者)の記載された部分を除き公開されるべきである。 3 懇談会(別紙一覧表番号57)これに関する公文書のうち、その出席者と主催者については、本件条例八条四、五号により公開しないことが許される。 4 餞別(別紙一覧表番号64、65) 5 賛助、援助(別紙一覧表番号66ないし72)これら餞別、賛助、援助は極めて儀礼的な周年祝とは異なり、活動の趣旨などによりその必要性や効果などを個別的に検討して決定される性格のもの(証人Fの証言)であって、公開によって相手方に不満や不快の念を抱く者がでることが予測されるから、これらの公文書の相手方の記載された部分は、本件条例八条五号により公開しないことが許される。 賛助、援助については、相手方から賛助、援助の申出があったことが認められる(同証言)が、相手方が公開されることまで承知して、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されていたものとは認めることはできない。 6 その他の個人への祝金(別紙一覧表番号1ないし3、6ないし9)これらは 証言)が、相手方が公開されることまで承知して、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されていたものとは認めることはできない。 6 その他の個人への祝金(別紙一覧表番号1ないし3、6ないし9)これらは団体への祝金とは異なり、相手方との個人的な特別な関係に着目して贈られるものであり、相手方に公開により不満や不快の念を抱く者がでることが予測されるから、これらの相手方氏名は、本件条例八条五号により公開しないことが許される。 一〇 結論以上によると、本件4、5、10ないし29、47ないし54、58ないし63及び73ないし75の本件各公文書については全部公開すべきであり、右公文書についての本件処分は、違法であり取り消すべきであり、本件1ないし3、6ないし9、30ないし46、55ないし57、及び64ないし72の各本件公文書は、交際の相手方を記載した部分を除き、本件条例一〇条により、公開すべきであり、右各公文書についての本件処分は、右以外の部分まで非公開とした部分が違法であり、その部分を取り消すべきである。 よって、原判決を主文のとおり変更する。 (裁判官井関正裕河田貢佐藤明) 1 交際の相手方のうち「その他」は、公務員及び公職選挙法規定する公職者、かって公務員及び公職選挙法の規定する公職者であった者、並みびにそれらの家族以外の者 2 弔意の支出について、同一の相手方に供花、香料、樒の全てを支出したもの2件、供花と香料支出したもの4件がある。 3  番号10生花供花の分類に入れれば、番号29の次に位置することになる。

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