昭和29(ネ)522 約束手形金請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和30年1月28日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を左の通り変更する。      控訴人は被控訴人に対し金三十三万五千円及之に対する昭和二十九年十 月八日より右完済に至る迄年六分の割合の金員を支払うことを命ずる。    

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判決文本文2,647 文字)

主文 原判決を左の通り変更する。 控訴人は被控訴人に対し金三十三万五千円及之に対する昭和二十九年十月八日より右完済に至る迄年六分の割合の金員を支払うことを命ずる。 被控訴人等の其の余の請求は之を棄却する。 訴訟費用は第一、二審共控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人等の請求は之を棄却する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人等の負担とする、」との判決を求め、被控訴人等代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用、認否は、被控訴人等代理人に於て本件手形は振出目附欄を空白のまま振出された所謂白地手形であつて、被控訴人等は昭和二十九年十月七日右白地部分である振出日附を昭和二十八年五月十日と補充したと述べ、控訴代理人に於て本件手形が形式上被控訴人等主張のようにその受取人である訴外三興機械株式会社より訴外Aに、右Aより訴外Bに、右Bより更に被控訴人等に順次裏書されたことは認めるも、右手形の白地補充は手形の呈示期間内になさねばならぬものであつて、該期間経過後になされた本件手形の白地補充は無効である旨述べ、立証として当審証人B、Cの各証言を援用した外、原判決事実摘示の通りであるから茲に之を引用する。 理由 控訴会社が金額三十三万五千円、満期昭和二十八年六月二十日、振出地西宮市、支払地大阪市、支払場所株式会社千代田銀行a支店と定め、振出日附の記載のない白地約束手形一通を訴外三興機械株式会社に宛て振出したこと、及右手形が形式上その受取人である右訴外会社より訴外Aに、右Aより訴外Bに、右Bより更に被控訴人等に順次裏書されたことは孰れも当事者間に争がなく、右争のない事実に被控訴人等が現に右手形を所持する事実 右手形が形式上その受取人である右訴外会社より訴外Aに、右Aより訴外Bに、右Bより更に被控訴人等に順次裏書されたことは孰れも当事者間に争がなく、右争のない事実に被控訴人等が現に右手形を所持する事実を綜合すれば、被控訴人等は右手形の正当な所持人であると推認でき、又当審昭和二十九年十月七日の口頭弁論期日に、被控訴人等が右手形の白地部分である振出日附を昭和二十八年五月十日と補充したことは訴訟上明かである。 控訴会社は手形の白地補充は該手形の呈示期間内になさねばならぬものであつて、該期間経過後になされた本件手形の白地補充は無効である旨抗争するに付按ずるに白地約束手形の白地補充はその手形の主たる債務者である振出人との関係に於ては、其の権利者である所持人によりなされる限り、その手形の時効期間内は口頭弁論の終結に至るまで何時でも有効になし得るものと解すべきである。しかるに本件白地手形の所持人である被控訴人等に於て、当審昭和二十九年十月七日の口頭弁論期日に振出附日を補充したことは前段認定の通りであるから、手形の主たる債務者である控訴会社に対する本訴請求において右補充は適法であつて、控訴会社の右抗弁は理由がない。 次に控訴会社は本件手形は訴外三興機械株式会社の社長であると詐称して来たCに騙取されたものであつて、且被控訴人等はこの事実を承知の上右手形の裏書譲渡を受けた悪意の取得者であるから控訴会社は被控訴人等に対し右手形の支払義務はない旨抗争するけれども、控訴会社の全立証によるも未だ之を肯認するに足る証拠がないから、控訴会社の右抗弁も亦之を採用しない。 <要旨第一>そこで右白地手形を振出した控訴会社の手形上の責任並に之が遅滞の責が何時発生じたかに付着へて見る</要旨第一>に、凡そ白地手形につき手形行為をした者は、後日白地手形が要件の補充により完全な手 旨第一>そこで右白地手形を振出した控訴会社の手形上の責任並に之が遅滞の責が何時発生じたかに付着へて見る</要旨第一>に、凡そ白地手形につき手形行為をした者は、後日白地手形が要件の補充により完全な手形となつたときは、其の手形の内容に従い手形上の責任を負うものであつて白地手形は要件の補充される迄の間は完全な手形ではないから、白地手形の手形行為は白地の要件が後日補充せられることを停止条件として成立し、要件の補充により条件が成就したとき初めて手形行為として完全な効力を生ずるものと解すべきであり、右補充の効果が手形行為のときに遡及するものと解すべき理由は少しもない。従つて白地手形の手形行為者は白地の補充あると<要旨第二>きは永後其の手形行為に基く責任を負担することになるのは当然である。併しながら白地手形の要件補充前の</要旨第二>手形上の権利行使は手形行為の場合と異り全く無効であつて、其の後に白地の補充がなされても先の権利行使の効力が追完されるものではないから、白地手形については要件の補充により完全な手形となつた後、若くは少くとも之と同時に、あらためて権利行便をしなければならないものと解する。 そこで本件につき之を観るに、本件白地手形はその手形金請求訴訟の繋属中である昭和二十九年十月七日の当審口頭弁論期日に被控訴人等により白地の補充がなされたことは前示認定の通りであるから、この時初めて控訴会社が該手形につき先になした振出行為は其の効力を生じ、控訴会社は之に基く手形上の責任を負うこととなると同時に、訴訟による手形上の権利行使の効力を生じたものと謂うことが出来るから、之により尓後控訴会社は遅滞の責を負うものと謂うべく、その補充前満期日に被控訴人等に於て支払の為右手形を呈示したことは控訴会社の明かに争はないところであるけれども、之により何等手形の呈 出来るから、之により尓後控訴会社は遅滞の責を負うものと謂うべく、その補充前満期日に被控訴人等に於て支払の為右手形を呈示したことは控訴会社の明かに争はないところであるけれども、之により何等手形の呈示としての効力を生じないことは前段説示の通りである。 そうだとすれは被控訴人等の本訴請求中、控訴会社に対し本件手形金三十三万五千円及之に対する右手形の白地補充の日の翌日である昭和二十九年十月八日より右完済に至る迄年六分の割合の損害金の支払を求める部分は正当であるが、尓余の請求部分は失当として棄却すべきである。 然るに被控訴人等の請求を全部認容した原判決は之を変更する必要がある。依て民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第九十二条を適用主文の通り判決する。 (裁判長判事朝山二郎判事沢井種雄判事前川透)

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