主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対し,平成13年1月22日付け紀勢議第2号の「公文書非公開決定通知書」でした「平成12年12月定例会第2日のA議員の一般質問及び町長答弁の録音テープ」についての公文書非公開決定を取り消す。 3 被控訴人が控訴人に対し,平成14年1月8日付け紀勢議第1号の「公文書非公開決定通知書」でした「平成12年第9回(12月)定例会(本人発言関連部分)議事録音テープの閲覧及び写しの交付」についての公文書非公開決定を取り消す。 4 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,紀勢町情報公開条例(平成10年3月27日紀勢町条例第13号。以下「本件条例」という。)に基づき,控訴人が被控訴人に対してした情報公開請求に対して,被控訴人が,①平成13年1月22日付けでした「平成12年12月定例会第2日のA議員の一般質問及び町長答弁の録音テープ」についての公文書非公開決定,②平成14年1月8日付けでした「平成12年第9回(12月)定例会(本人発言関連部分)議事録音テープの閲覧及び写しの交付」についての公文書非公開決定の各取消しを求めた事案であり,原判決が本訴請求を棄却したため,これを不服とする控訴人が控訴したものである。なお,原判決中,控訴人の被控訴人に対する不法行為に基づく損害賠償請求にかかる訴えを却下した部分については控訴がない。 2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり加除訂正するほか原判決の事実及び理由欄の「第2の1ないし3」に摘示のとおりであるから,これを引用する(但し,控訴の対象となっていない前記不法行為に基づく損害賠償請求に関する摘示部分 は,次のとおり加除訂正するほか原判決の事実及び理由欄の「第2の1ないし3」に摘示のとおりであるから,これを引用する(但し,控訴の対象となっていない前記不法行為に基づく損害賠償請求に関する摘示部分を除く。)。 (1) 原判決2頁24行目冒頭から25行目末尾までを削除し,同26行目の「2」を「1」と改める。 (2) 同3頁1行目冒頭に「(1) 本件条例には原判決別紙のとおりの規定がある。」を加え,同1行目の「(1)」を「(2)」と,同12行目の「(2)」を「(3)」と,同14行目の「(3)」を「(4)」とそれぞれ改める。 (3) 同7頁18行目の「国の情報公開法」を「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)」と改める。 第3 当裁判所の判断 1 まず,原判決は,本件非公開決定①,②の取消訴訟における被告を「紀勢町議会」として表示しているが,本件条例2条1項で,町長,教育委員会等町の執行機関のほかに議会も公文書公開の実施機関とされ,9条で実施機関は公文書の公開請求に対して公開するかどうかの決定をしなければならないとされているところ,公文書の公開・非公開の決定は,議会の権限とされる地方自治法96条所定の議会議決事項に該当するものではなく,議決になじまない性質のものであるから,同法104条により議会の事務を統理する権限を有する議長が,通常の議会事務に関する意思決定の一つとしてなすべきものと解するのが相当である。そして,同条により議長は議会を代表する者であり,議会の対外的な意思表示は議長の名においてなされるものである。そうすると,本件において公文書公開に関する実施機関は紀勢町議会であるが,処分権者は紀勢町議会議長である。よって,本件非公開決定①,②の取消訴訟における被告適格を有するのは紀勢町議会議長と認められる。そこで, ,本件において公文書公開に関する実施機関は紀勢町議会であるが,処分権者は紀勢町議会議長である。よって,本件非公開決定①,②の取消訴訟における被告適格を有するのは紀勢町議会議長と認められる。そこで,以下,当審で引用する原判決中に「被告」とあるをすべて「被控訴人紀勢町議会議長」と読み替える。 2 本件非公開決定①,②が議長名でなされたことは適法かどうかについては,前記判断のとおりであって,何ら違法な点はない。 3 本件非公開決定①,②は理由付記の要件を欠いているかどうかについての判断は,原判決12頁2行目冒頭から同13頁5行目末尾までのとおりであるから,これを引用する。但し,同12頁22行目の「が分かる。」を「である旨の記載と判断することができる。」と改め,同13頁5行目の「から,同原告の主張は採用できない。」を「し,また,そもそも,被控訴人は,本訴においても,非公開の理由として本件録音テープは公文書でない旨主張しているのであるから,付記された以外の他の非公開理由を主張しているものではなく,控訴人の前記主張は採用できない。」と改める。 4 本件録音テープが本件条例に基づく公開の対象となる「公文書」に当たるかどうかについて検討する。 (1) 原判決13頁8行目冒頭から同14頁12行目末尾までを引用する。 (2) ところで,本件条例は,町民の公文書の公開を請求する権利を明らかにするとともに,情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより,町民の町政参加を推進し,町政に対する町民の理解と信頼を深め,開かれた町政を一層推進することを目的とし(1条),実施機関は,公文書を原則として公開するものとし,前記目的が十分達成されるようこの条例を解釈し,運用するものとする(3条)と定めている。このように,本件条例の定める公文書公開請求権は本件条例によ ,実施機関は,公文書を原則として公開するものとし,前記目的が十分達成されるようこの条例を解釈し,運用するものとする(3条)と定めている。このように,本件条例の定める公文書公開請求権は本件条例によって具体的権利性を認められたものであるから,その解釈に当たっては,本件条例の目的並びに解釈及び運用の基本を前提として,その規定の意味するところを合理的に解釈すべきであることはいうまでもない。そこで,このような見地から,本件録音テープが「公文書」に当たるかどうかについて検討を進める。 (3) 本件条例において,公開の対象となる公文書とは「実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図面,写真及びスライド(磁気ディスク及び磁気テープ並びにマイクロフィルムを含む。)であって,決裁又は供覧の手続が終了し,実施機関が管理しているもの」と定めている(2条2項)。したがって,本件条例は,公開の対象となるのは行政情報そのものではなく公「文書」であり,かつ「公」文書の要件として「職務上作成・取得した」ものであることに加えて,「決裁・供覧手続を終了した」ものであることを要求しているのであり,「決裁・供覧手続を終了した」文書であることを要求している趣旨は,実施機関が対外的に責任を負うことができる文書に限定することにあるものと解するほかない。 (4) 前記認定事実(原判示)によると,本件録音テープ全体は,議会事務局長が会議録を正確に起案作成するための補助手段とするために,紀勢町議会(定例会)の議事を録音したものであるから,「実施機関の職員が職務上作成し」た文書であるとはいえるけれども,そもそも決裁文書である会議録の起案の準備のためのいわばメモの代わりにすぎないという性格のものであって,録音テープに対する「決裁・供覧手続」自体を想定していないため,そのような手続を経る るけれども,そもそも決裁文書である会議録の起案の準備のためのいわばメモの代わりにすぎないという性格のものであって,録音テープに対する「決裁・供覧手続」自体を想定していないため,そのような手続を経ることなく,また特別の管理規程等もなく,議会事務局において事実上保管されているにすぎないものである。 ところで,実施機関の職員が職務上作成又は取得した録音テープであっても,これに対する「決裁・供覧手続」が全く想定されない訳ではなく,被控訴人が主張するように,決裁権者がこれを再生聴取して録音テープやケースに決裁のための署名押印をするなどの方法で決裁し,これを供覧に付することは可能であるというべきである。そうすると,本件録音テープは「決裁・供覧手続」を経ていなくても「公」文書性を有すると解するに足りる合理的根拠を見出すことは困難である。 (5) 原判決15頁3行目冒頭から同9行目末尾までを引用する。 (6) よって,本件録音テープは,本件条例における公文書には該当しないというほかない。 5 また,控訴人は,録音テープを公開の対象としない規定や運用は,憲法14条に違反する旨主張するが,そもそも公文書公開請求権は本件条例によって具体的権利性を認められたものであり,本件録音テープは本件条例の定める公文書に該当しないことを理由になされた本件非公開決定①,②に違法な点はないから,他の地方自治体において本件と同様の録音テープが公開されているとしても,憲法14条違反の生じる余地はない。よって,控訴人の前記主張は採用することができない。 6 以上の次第で,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官小川克介裁判官黒岩巳敏裁判官鬼頭清貴 ,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官小川克介裁判官黒岩巳敏裁判官鬼頭清貴
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