昭和22(れ)105 公文書偽造変造行使、詐欺

裁判年月日・裁判所
昭和23年4月7日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人両名弁護人池田久上告趣意は「原審判決は「被告人Aは……被告人Bと懇 意の間柄となつた……右共謀に基いて第一昭和二

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判決文本文2,997 文字)

主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人両名弁護人池田久上告趣意は「原審判決は「被告人Aは……被告人Bと懇意の間柄となつた……右共謀に基いて第一昭和二十一年六月三日頃被告人Aは被告人等の投宿した同県北村山郡a駅前C旅舘において右転出証明書用紙三枚に万年筆、墨汁、青インキ等を使つて (イ) 世帯主Dかその家族四名と共に (ロ) 世帯主Dの家族四名が (ハ) 世帯主Eかその家族四名と共にそれそれ同県東村山郡b村大字c部落第四隣組から同県北村山郡d村に転出する旨の転出証明書参通を作成しほしいまゝにそれそれ発行者としてb村長Fの氏名を書きその名下に有合せ印を押して偽造を遂け同日被告人Bはd村役場に赴き係員に対し右転出証明書参通を真正のもののように装うて一括して提出し係員を誤信せしめ世帯主Dとする家庭用米穀配給通帳世帯主をEとする同通帳を受取り更に同日同郡e町山形県食糧営団G出張所H配給所に赴き係員に対し右通帳二通を提出しこの通帳によつて正当に配給を取ける権利があるものと誤信させて即時同所でD及びその家族の配給分として百二十キログラム……の米を受取つたものである省略第二、第三、第四、第五(略同様の事実認定)と判示し之が法律の適用として被告人の判示所為中各転出証明書偽造の点は刑法第百五十五条第一項第六十条その行使の点は同法第百五十八条第一項第百五十五条第一項第六十条に……その行使の点は同法第百五十八条第一項第百五十五条第二項第六十条に詐欺の点は同法第二百四十六条第一項第六十条にそれそれ該当するものとしてその所定刑期の範囲内で被告人Aを懲役二年に被告人Bを懲役一年に処したり而して右判示事実に依れば被告人等は共謀の上米穀配給通帳に依りて当該配給機関より配給米として之が騙取を遂けたりとなしこれが行為に対して 定刑期の範囲内で被告人Aを懲役二年に被告人Bを懲役一年に処したり而して右判示事実に依れば被告人等は共謀の上米穀配給通帳に依りて当該配給機関より配給米として之が騙取を遂けたりとなしこれが行為に対して刑法第二百四十六条を適用問擬せられたるものなり然れとも本件被告人等が偽造或- 1 -は変造転出証明書に依り当該村役場係員より米穀配給通帳を騙取し当該通帳に依り更に現実に米穀の配給を受けたるは通常財産罪の犯人が恰も当該賍物に付真の処分権限を有るものの如く装い他に売却し其の金員を得ると同様事後の処分行為にして何等法律上の責任を問擬せらるべきものに非ず然るに原審は更に此の点を詐欺罪に該当するものとして刑法第二百四十六条第一項に問擬したるは同法の法律の解釈を誤りたるものにして原判決は法令に違反し到底破毀を免れさるものと信ず」と云うのである。 しかし賍物を処分することは財産罪に伴う事実行為であつて、別罪を構成しないこと勿論であるが、騙取した米穀通帳を配給所へ提出して係員を欺罔して米穀を騙取することは更に他の新法益を侵害する行為であるから、ここに亦犯罪の成立を認むべきこと理のまさに然るところであつて、右の事実を目して単に騙取した米穀通帳の事後処分たるに過ぎないと見るべき謂われはない。それ故に、本件において被告人等は判示偽造転出証明書を判示各村役場係員に提出して、これを行使し同係員を欺罔して米穀通帳を騙取し、更にこれを判示各配給所係員に提出欺罔して判示各配給米を騙取したのであるから、被告人等はこの騙取事実につき刑法第二百四十六条第一項に規定する処罰に服さなければならない。従つて、判示事実に対し判示の如く右法条を適用して被告人等を処断した原判決は、まことに正当であつて、その間毫も所論の如き違法の廉はない。論旨は理由がない。 被告人B弁護人泉谷清一上告趣 ばならない。従つて、判示事実に対し判示の如く右法条を適用して被告人等を処断した原判決は、まことに正当であつて、その間毫も所論の如き違法の廉はない。論旨は理由がない。 被告人B弁護人泉谷清一上告趣意は「第一点原判決は刑の量定甚しく不当であると思料すべき顕著な事由があり破毀せらるべきものと信じるその根拠はつぎのとほりである。1、本件が発生した社会的基盤に終戦直後の官民を問はざる道義空白時代であることは公知のとほりであり本件を発生せしめたものは被告人の悪性ではなくして左様な社会的基盤であり汗は遠く戦争開始に遡るものである被告人の罪名は複雑である。がその犯罪態様は単純であり且倭少なものであつて当時の社会的基盤- 2 -の上に発生した。発覚した或は発覚しない他のもろもろの同種事件には比すべくもない稍々調整した本件判決時の法律感情からでなく発生当時の社会情勢を尺度として本件を見た場合被告人に対する実刑は量刑失当である、2、被告人は本件発覚後長期に亘り勾留せられたのであるがその未決勾留日数の一部しか本刑に通算されない原則として未決拘留日数の全部を本刑に通算するのが憲法の精神なりと思うが原判決は事茲に出でず憲法違反であると思う斯る長期に亘る未決生活に於て被告人は悔悟遷善し保釈出獄後は石炭坑夫として直面目に働き家族の糊口を凌いでゐるのであるが之に対して実刑を科したのは死屍を截るにも等しく無情無益な措置であり量刑過重であると思う、3、憲法第二十五条によればすべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営むの権利を保障されてゐるのであるが本件実刑の宣告によつてこの被告人の家族に対するこの保障は破壊されたものであり家族の生命はもはや覚束ない意識しつゝ人民に対する此の最低生活権の保障を破つた原判決は憲法違反であり量刑過重であるみぎ陳述する」と言つている。 然 被告人の家族に対するこの保障は破壊されたものであり家族の生命はもはや覚束ない意識しつゝ人民に対する此の最低生活権の保障を破つた原判決は憲法違反であり量刑過重であるみぎ陳述する」と言つている。 然しながら論旨2、にいうように原則として未決拘留日数の全部を本刑に通算するのが憲法の精神であるということは、憲法の何れの条規からも推論し得ないところである。上告趣意書も亦その論拠を示していない。更に3、の論旨を貫徹するならば、生活困難な家族を有する者はどんなに大罪人であろうとも、これに実刑を科するのは、憲法違反だという不合理な結果となる。憲法第二十五条が国家の刑罰権に対して、かような不合理な制限を加える趣旨でないことは、論を俟たないところである。その他の論旨は、要するに量刑不当ということに帰する。然しこれは日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項の規定により適法な上告の理由ということができないので、論旨は理由がない。 よつて裁判所法第十条但書第一号刑事訴訟法第四百四十六条に従い主文の如く判決する。 - 3 -以上は裁判官全員の一致した意見である。 検察官下秀雄関与昭和二十三年四月七日最高裁判所大法廷裁判長裁判官三淵忠彦裁判官長谷川太一郎裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一裁判官井上登裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官庄野 登裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官庄野理一裁判官小谷勝重裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官岩松三郎裁判官河村又介裁判官塚崎直義は出張につき署名捺印することができない裁判長裁判官三淵忠彦- 4 -

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