- 1 -主文 1 本件訴えのうち,以下の財務会計上の行為を対象とする請求に係る部分を却下する。 (1) A市が一般財団法人A市公共施設管理公社に対して交付した平成20年度,平成21年度及び平成24年度の補助金の各交付決定,これらの各交付決定に基づく各支出命令及びこれらの各支出命令に基づく各支出(2) A市と一般財団法人A市公共施設管理公社との間の平成21年度,平成23年度及び平成24年度のCテニスコートの各指定管理委託契約,平成22年度及び平成24年度のA市立総合スポーツセンターの各指定管理委託契約並びに平成23年度及び平成24年度のD緑地都市公園施設の各指定管理委託契約の締結とこれらの各指定管理委託契約に係る指定管理料の各支出命令及び各支出(ただし,平成24年度のCテニスコートの指定管理委託契約に係る平成24年7月26日以後にされた指定管理料合計2003万5000円の各支出命令,平成24年度のA市立総合スポーツセンターの指定管理委託契約に係る同日以後にされた指定管理料合計4128万円の各支出命令及び平成24年度のD緑地都市公園施設の指定管理委託契約に係る同日以後にされた指定管理料合計2億5707万9000円の各支出命令を除く。)(3) 一般財団法人A市公共施設管理公社と被告補助参加人E株式会社との間の別紙2・E関係契約目録記載の各工事等に係る契約の締結 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,F,G,H,I,J,K,L,M,一般財団法人A市公共施設管理公社,N,O,P,Q,E株式会社及びRに対し,それぞれ415万円及びこ - 2 - 事実及び理由 第1 請求被告は,F,G,H,I,J,K,L,M,一般財団法人A市公共施設管理公社,N,O,P,Q,E株式会社及びRに対し,それぞれ415万円及びこ - 2 -れに対する平成25年9月18日から支払済みまで年5分の割合による金員をA市に支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 1 要旨A市(以下「市」という。)は,一般財団法人A市公共施設管理公社(以下「市管理公社」という。)に対し,平成20年度,平成21年度及び平成24年度に各補助金の交付決定,支出命令及び支出をし(以下,上記各補助金を併せて「本件各補助金」といい,本件各補助金の交付決定,支出命令及び支出を併せて「本件各補助金交付決定等」という。),市管理公社との間で,平成21年度,平成23年度及び平成24年度のCテニスコートの各指定管理委託契約,平成22年度及び平成24年度のA市立総合スポーツセンターの各指定管理委託契約並びに平成23年度及び平成24年度のD緑地都市公園施設の各指定管理委託契約(以下,これらの契約を併せて「本件各指定管理委託契約」という。)を締結し,本件各指定管理委託契約に係る指定管理料について支出命令及び支出をした。また,市管理公社は,被告補助参加人E株式会社(以下「参加人E」という。)との間で,別紙2・E関係契約目録記載の各工事等を参加人Eに発注する旨の各契約(以下,併せて「本件各工事等契約」といい,各個別の契約を,同目録の「番号」欄の番号に従って,「本件工事等契約1」等という。)を締結した。 本件は,市の住民である原告らが,①本件各補助金交付決定等,②本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出並びに③本件各工事等契約の締結に関連して,市の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2 原告らが,①本件各補助金交付決定等,②本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出並びに③本件各工事等契約の締結に関連して,市の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,以下の(1)各支払請求をするよう求める住民訴訟である(以下,(1)の支払請求を求める部分を「請求1」と,(2)の支払請求を求める部分を「請求2」と,(3)の支払請求を求める部部分 - 3 -を求める部分を「請求5」という。なお,請求1と請求2とは選択的併合,請求1・2と請求3とは単純併合,請求1~3と請求4のうちのF〔以下「F」という。〕を相手方とする部分と請求5のうちのFを相手方とする部分とは選択的併合,請求4のうちのF以外のものを相手方とする部分と請求5のうちのF以外のものを相手方とする部分とは選択的併合の各関係にあると解される。)。 (1) 市長であったFが,財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各補助金交付決定等をした旨の原告らの主張を前提とする,Fを相手方とする不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金112万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成25年9月18日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の市への支払請求(2) 市は市管理公社に対して本件各補助金のうち市管理公社が参加人Eとの間で締結した本件工事等契約1,2及び4(以下,これらを併せて「本件各工事等契約(補助金関係)」という。)の代金相当額のうち112万円の返還請求権ないし精算請求権を有していたにもかかわらず,Fは上記請求権の行使を違法に怠っていた旨の原告らの主張を前提とする,Fを相手方とする不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金112万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成25年9月 らず,Fは上記請求権の行使を違法に怠っていた旨の原告らの主張を前提とする,Fを相手方とする不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金112万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成25年9月18日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の市への支払請求(3) Fが,財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各指定管理委託契約を締結し,指定管理料について支出命令及び支出をした旨の原告らの主張を前提とする,Fを相手方とする不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金303万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成25年9月18日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の市への支払請求(4) F,市管理公社,市管理公社の理事長であったG(以下「G」という。), - 4 -副理事長であったH,I及びJ(以下「J」という。),常務理事であったK,L及びM,公園管理センター所長であったN,事務局長であったO,事務局次長であったP及びQ,参加人E並びに参加人E代表者である被告補助参加人R(以下「参加人R」といい,Fから参加人Rまでの上記15名を併せて「Fほか14名」という。)が,財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各工事等契約を締結した旨の原告らの主張を前提とする,Fほか14名を相手方とする共同不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金415万円及びこれに対する共同不法行為の後の日である平成25年9月18日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の市への連帯支払請求(5) Fほか14名が,違法に本件各工事等契約を締結し,それによって市が損害を被ったため,市はFほか14名に対して不法行為(共同不法行為)に基づく損害賠償請求権を有しているに 市への連帯支払請求(5) Fほか14名が,違法に本件各工事等契約を締結し,それによって市が損害を被ったため,市はFほか14名に対して不法行為(共同不法行為)に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告は上記請求を違法に怠っている旨の原告らの主張を前提とする,Fほか14名を相手方とする共同不法行為に基づく損害賠償請求としての損害金415万円及びこれに対する共同不法行為の後の日である平成25年9月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の市への連帯支払請求 2 前提となる事実等(顕著な事実,当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)(1) 当事者等ア原告らは,市の住民である。 イ被告は,市の執行機関(市長)である。 ウ Fは,平成17年4月から平成23年12月24日までの間,市の助役・副市長を務め,同月25日から平成27年12月24日までの間,市長を務めていた。 エ市管理公社は,市と密接な連携を保ち,市が設置する公の施設(以下, - 5 -単に「施設」という。)の管理運営について協力し施設の設置目的を効果的に達成するとともに,施設の利用の拡大を図り,もって市民の福祉の増進に寄与することを目的として市が出資して設立した一般財団法人であり,この目的を達成するため,施設の管理運営に関する事業等を行っている。(乙3)Gは,平成20年5月から平成25年9月27日までの間,市管理公社の理事長を務めていた。 Hは,平成20年5月から平成22年5月までの間,Iは,同月から平成24年5月までの間,Jは,同月から平成25年9月27日までの間,それぞれ,市管理公社の副理事長を務めていた。(乙32)K及びLは,平成20年5月から平成24年5月まで 間,Iは,同月から平成24年5月までの間,Jは,同月から平成25年9月27日までの間,それぞれ,市管理公社の副理事長を務めていた。(乙32)K及びLは,平成20年5月から平成24年5月までの間,市管理公社の常務理事を務めていた。 Mは,平成24年5月から平成25年5月29日までの間,市管理公社の常務理事を務め,同月30日から,市管理公社の理事を務めていた。 Oは,平成20年度から平成24年度までの間,市管理公社の事務局長を務めていた。 Pは,平成22年度から市管理公社の事務局次長を務め,同年度から平成23年度までの間は,A市立総合スポーツセンター(以下「本件スポーツセンター」という。)の課長を兼務していた。 Qは,平成24年度当時,市管理公社の事務局次長と本件スポーツセンターの課長を兼務していた。 Nは,市管理公社の一部署である公園管理センターの平成20年度の所長代理を務め,平成21年度から,公園管理センターの所長を務めていた。 オ参加人Eは,大阪府B市に本店を置き,土木工事業等を営む株式会社であり,参加人Rは,参加人Eの代表取締役を務めている。(甲25)(2) 本件各補助金交付決定等 - 6 -ア市長であったS(以下「S」という。)は,市管理公社に対する平成20年度の補助金として8億3619万9000円を交付する旨の決定をし,同年4月1日付けで,市管理公社の理事長であったFに対し,これを通知して,その後,補助金(以下「本件平成20年度補助金」という。)の支出命令及び支出がされた(以下,本件平成20年度補助金の交付決定,支出命令及び支出を「本件平成20年度補助金交付決定等」という。)。 (甲15)イ市長であったSは,市管理公社に対する平成21年度の補助金として3億9951万300 成20年度補助金の交付決定,支出命令及び支出を「本件平成20年度補助金交付決定等」という。)。 (甲15)イ市長であったSは,市管理公社に対する平成21年度の補助金として3億9951万3000円を交付する旨の決定をし,同年4月15日付けで,市管理公社の理事長であったGに対し,これを通知して,その後,補助金(以下「本件平成21年度補助金」という。)の支出命令及び支出がされた(以下,本件平成21年度補助金の交付決定,支出命令及び支出を「本件平成21年度補助金交付決定等」という。)。(甲16)ウ市長であったFは,市管理公社に対する平成24年度の補助金として3億9022万1000円を交付する旨の決定をし,同年4月12日付けで,市管理公社の理事長であったGに対し,これを通知して,その後(正確な年月日は本件全証拠によっても明らかではない。),補助金(以下「本件平成24年度補助金」という。)の支出命令及び支出がされた(以下,本件平成24年度補助金の交付決定,支出命令及び支出を「本件平成24年度補助金交付決定等」という。)。(甲17)(3) 本件各指定管理委託契約の締結等ア A市指定管理者による公の施設の管理に関する条例9条1項は,指定管理者は,毎年度の開始前に,事業計画(指定の期間内における管理の業務の実施方法,見込まれる経費の概算とその財源その他必要事項について定める計画をいう。)に基づき,当該年度における管理の業務の実施に関する協定(以下「年度協定」という。)を市長と締結しなければならない旨 - 7 -定めている。(乙4)イ(ア) 市(市長S)は,平成21年4月1日,市管理公社(理事長G)との間で,期間を同日から平成26年3月31日までとして,市管理公社をCテニスコート(以下「本件テニスコート」という。)についての (ア) 市(市長S)は,平成21年4月1日,市管理公社(理事長G)との間で,期間を同日から平成26年3月31日までとして,市管理公社をCテニスコート(以下「本件テニスコート」という。)についての地方自治法244条の2第3項の指定管理者(以下,単に「指定管理者」という。)とすること等を内容とする本件テニスコートの管理に関する基本協定(以下「本件テニスコート基本協定」という。)を締結した。 なお,本件テニスコート基本協定においては,業務の対象となる管理物件の内容は,指定管理業務仕様書に定めるとおりとされていた。(甲13)(イ) 市(市長S)は,平成21年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件テニスコート基本協定に基づき,指定管理料を2604万7000円(消費税分を含む。以下,各指定管理料や契約代金について,同じ。)として,平成21年度の年度協定である本件テニスコートの指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成21年度テニスコート指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の部長又は課長は,同年5月1日頃から平成22年3月18日頃までの間に,合計2604万7000円の支出命令をし,平成21年度中に,同額が支出された。(甲20,乙22,23の1~11)(ウ) 市(市長S)は,平成23年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件テニスコート基本協定に基づき,指定管理料を2983万5000円として,平成23年度の年度協定である本件テニスコートの指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成23年度テニスコート指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の課長は,同月4日頃から平成24年3月2日頃までの間に,合計2983万5000円の支出命令をし,平成23年度中に,合計2983万5 - 8 理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の課長は,同月4日頃から平成24年3月2日頃までの間に,合計2983万5000円の支出命令をし,平成23年度中に,合計2983万5 - 8 -000円が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成23年12月25日以後にされたものの支出命令額は,合計833万5000円であった。(甲21,乙24,25の1~12)(エ) 市(市長F)は,平成24年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件テニスコート基本協定に基づき,指定管理料を2983万5000円として,平成24年度の年度協定である本件テニスコートの指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の課長は,同月3日頃から平成25年3月1日頃までの間に,合計2983万5000円の支出命令をし,平成24年度中に,合計2983万5000円が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成24年7月26日以後にされたものの支出命令額は,合計2003万5000円であった。(甲22,乙26,27の1~12)ウ(ア) 市(市長S)は,平成21年4月1日,市管理公社(理事長G)との間で,期間を同日から平成26年3月31日までとして,市管理公社を本件スポーツセンターについての指定管理者とすること等を内容とする本件スポーツセンターの管理に関する基本協定(以下「本件スポーツセンター基本協定」という。)を締結した。なお,本件スポーツセンター基本協定においては,業務の対象となる管理物件の内容は,指定管理業務仕様書に定めるとおりとされていた。(甲14)(イ) 市(市長S)は,平成22年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件スポーツセンター基本協定に基づき 管理物件の内容は,指定管理業務仕様書に定めるとおりとされていた。(甲14)(イ) 市(市長S)は,平成22年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件スポーツセンター基本協定に基づき,指定管理料を5882万4000円として,平成22年度の年度協定である本件スポーツセンターの指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成22年度スポーツセンター指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の部長又は課長は,同月5日頃から平成23年3月17日頃 - 9 -までの間に,合計5882万4000円の支出命令をし,平成22年度中に,同額が支出された。(甲23,乙28,29の1~12)(ウ) 市(市長F)は,平成24年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件スポーツセンター基本協定に基づき,指定管理料を6104万円として,平成24年度の年度協定である本件スポーツセンターの指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成24年度スポーツセンター指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の部長又は課長は,同月17日頃から平成25年3月17日頃までの間に,合計6104万円の支出命令をし,平成24年度中に,同額が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成24年7月26日以後にされたものの支出命令額は,合計4128万円であった。(甲24,乙30,31の1~12)エ(ア) 市(市長S)は,平成21年4月1日,市管理公社(理事長G)との間で,期間を同日から平成26年3月31日までとして,市管理公社をD緑地都市公園施設(以下「本件公園施設」という。)についての指定管理者とすること等を内容とする本件公園施設の管理に関する基本協定(以下「本件公園施設基本協定」といい,本件テニスコート基本協定及び本件スポーツセ 施設(以下「本件公園施設」という。)についての指定管理者とすること等を内容とする本件公園施設の管理に関する基本協定(以下「本件公園施設基本協定」といい,本件テニスコート基本協定及び本件スポーツセンター基本協定と併せて「本件各基本協定」と総称する。)を締結した。なお,本件公園施設基本協定においては,業務の対象となる管理物件の内容は,指定管理業務仕様書に定めるとおりとされていた。(甲12)(イ) 市(市長S)は,平成23年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件公園施設基本協定に基づき,指定管理料を3億5985万9000円として,平成23年度の年度協定である本件公園施設の指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成23年度公園施設指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の部長は, - 10 -同月4日頃から平成24年3月2日頃までの間に,合計3億5985万9000円の支出命令をし,平成23年度中に,同額が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成23年12月25日以後にされたものの支出命令額は,合計1億0845万9000円であった。(甲18,乙18,19の1~12)(ウ) 市(市長F)は,平成24年4月1日付けで,市管理公社(理事長G)との間で,本件公園施設基本協定に基づき,指定管理料を3億6567万9000円として,平成24年度の年度協定である本件公園施設の指定管理委託契約を締結し(以下「本件平成24年度公園施設指定管理委託契約」という。),これを受けて専決権者である市の部長は,同月3日頃から平成25年3月1日頃までの間に,合計3億6567万9000円の支出命令をし,平成24年度中に,同額が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成24年7月26日以後にされたものの支出命令額は,合計2億 5年3月1日頃までの間に,合計3億6567万9000円の支出命令をし,平成24年度中に,同額が支出された。なお,上記の支出命令のうち,平成24年7月26日以後にされたものの支出命令額は,合計2億5707万9000円であった。(甲19,乙20,21の1~12)(4) 本件各工事等契約の締結市管理公社は,別紙2・E関係契約目録の「契約年月日」欄記載の各暦日に,参加人Eとの間で,同目録の「業務名」欄記載の内容の各工事等を,同目録の「工期」,「契約金額(円)」の各欄記載の各工期及び各代金額で,それぞれ参加人Eに発注する旨の本件各工事等契約を締結した。(甲1)(5) 監査請求ア原告らを含む市の住民ら(以下「原告ら等」という。)は,平成25年7月26日,市監査委員に対し,本件各工事等契約が違法に締結されたなどとして,関係者に対する損害賠償請求をすることを求めて監査請求を行った(以下「本件監査請求」という。)。(甲1)イ市監査委員は,同年8月9日付けで,原告T(以下「原告T」という。) - 11 -に対し,本件監査請求は不適法であり却下する旨を通知した。(甲2)(6) 本件訴訟の提起原告らは,平成25年9月5日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 3 争点及びこれに対する当事者の主張本件の争点は,①本件訴えのうち,請求4に係る部分の適法性(請求4に係る本案前の争点・争点1),②監査請求前置の有無(請求1~5に係る本案前の争点・争点2),③本件各補助金交付決定等との関係でのFの不法行為責任の成否(特に,Fが財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各補助金交付決定等をしたか,また,それらによる市の損害の有無及び額。請求1に係る本案の争点・争点3),④本件各工事等契約(補助金関係)の代金相当額のうち112万円の 法規上の義務に違反し違法に本件各補助金交付決定等をしたか,また,それらによる市の損害の有無及び額。請求1に係る本案の争点・争点3),④本件各工事等契約(補助金関係)の代金相当額のうち112万円の返還請求権ないし精算請求権の行使の懈怠との関係でのFの不法行為責任の成否(特に,上記112万円の返還請求権ないし精算請求権の存否。 請求2に係る本案の争点・争点4),⑤本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出との関係でのFの不法行為責任の成否(特に,Fが財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各指定管理委託契約を締結し,指定管理料の各支出命令及び各支出をしたか,また,それらによる市の損害の有無及び額。請求3に係る本案の争点・争点5),⑥本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名による財務会計法規上の義務違反に係る共同不法行為責任の成否(特に,Fほか14名が財務会計法規上の義務に違反し違法に本件各工事等契約を締結したか,また,それらによる市の損害の有無及び額。請求4に係る本案の争点・争点6)及び⑦本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名の共同不法行為責任の成否等(特に,Fほか14名が違法に本件各工事等契約を締結したか,また,それによる市の損害の有無及び額。請求5に係る本案の争点・争点7)であり,これらの点に関する当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 争点1(本件訴えのうち,請求4に係る部分の適法性) - 12 -(原告らの主張)市は,市管理公社に全額出資しており,市の支配率は100%である。そもそも,市管理公社は,公共施設のより効果的な管理運営を図るために市の業務であったものを分離し担当するものであって,市管理公社の業務は,市と同様に効率的経済的でなければならない。そして,市管理公社の管理運営 市管理公社は,公共施設のより効果的な管理運営を図るために市の業務であったものを分離し担当するものであって,市管理公社の業務は,市と同様に効率的経済的でなければならない。そして,市管理公社の管理運営の得失は,最終的に市に帰属する。このように,市管理公社と市とは実質的に同一であり,市管理公社の契約締結行為は市の財務会計上の行為に当たる。 したがって,本件訴えのうち,請求4に係る部分は,市の財務会計上の行為の違法を主張するものであって,適法である。 (被告の主張)本件訴えのうち,請求4に係る部分は,市管理公社の契約の締結の違法を主張するものであって,市の財務会計上の行為又は怠る事実の違法を主張するものではなく,地方自治法242条の2第1項4号の要件を欠くものであり,不適法である。 (2) 争点2(監査請求前置の有無)(原告らの主張)ア適法な監査請求を経ていること本件監査請求に係る監査請求書(以下「本件監査請求書」という。)には,原告ら等は,「市が公社よりなさしめている補助事業や委託業務に不正があったことが判明している」として是正を求める旨の記載や,Fほか14名が違法に本件各工事等契約を締結したとして,Fほか14名に対して損害賠償請求をするよう求める旨の記載があり,「一般財団法人A市公共施設管理公社における本市補助金の執行状況等に関する調査委員会」(以下「本件調査委員会」という。)作成の平成25年6月28日付け調査報告書(以下「本件調査委員会調査報告書」という。),市作成の同年4月30日付け調査報告書(以下「本件市調査報告書」という。)及び市管理 - 13 -公社作成の同年5月30日付け調査報告書(以下「本件公社調査報告書」という。)を基に監査委員が調査すれば,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を特定 告書」という。)及び市管理 - 13 -公社作成の同年5月30日付け調査報告書(以下「本件公社調査報告書」という。)を基に監査委員が調査すれば,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を特定することは可能であった。 それにもかかわらず,市監査委員は,原告ら全員から本件監査請求に関する権限の委任を受けていたわけではない原告Tだけに対して補正を求めた上で,本件監査請求について,「市本体における財務会計行為等を特定していない」ため不適法であるとして却下し,その結果を原告Tだけに対して通知したのである。 したがって,本件監査請求は,請求の対象の特定に欠けるところはなく,適法であり,本件訴えは,適法な監査請求を経たものとして適法である。 イ監査請求の対象と本件訴えの対象の同一性があること本件監査請求書の上記記載のうち,原告ら等が「市が公社よりなさしめている補助事業や委託業務に不正があったことが判明している」として是正を求める旨の記載は,請求1~3に対応し,Fほか14名が違法に本件各工事等契約を締結したとして,Fほか14名に対する損害賠償請求をすることを求める旨の記載は,請求4・5に対応するのであって,監査請求の対象と本件訴えの対象とは同一であり,本件訴えは適法である。 (被告の主張)ア適法な監査請求を経ていないこと本件監査請求は,財務会計上の行為又は怠る事実を特定せずにされ,原告ら等は,監査委員から補正の要求を受けても補正しなかったのであって,地方自治法242条1項の要件を満たさない不適法な請求である。なお,上記の補正の要求は原告Tだけに対してされたが,原告T,原告U及び監査請求人Vは,本件監査請求書の提出の際,市監査事務局との間で,監査請求人に対する補正,通知等の連絡は,監査請求人の総代表者である原告Tに 正の要求は原告Tだけに対してされたが,原告T,原告U及び監査請求人Vは,本件監査請求書の提出の際,市監査事務局との間で,監査請求人に対する補正,通知等の連絡は,監査請求人の総代表者である原告Tに対して行うことを相互に確認しているのであって,上記補正の要 - 14 -求は適法であるし,そうでなかったとしても,本件監査請求が財務会計上の行為又は怠る事実を特定せずにされている以上,不適法な請求であることに変わりはない。 したがって,本件訴えは適法な監査請求を経ておらず,不適法である。 イ監査請求の対象と本件訴えの対象との同一性がないこと上記のとおり,本件監査請求の対象は特定されていないが,仮に特定されていたとしても,本件各工事等契約の締結のみを対象とするものと解される。 しかし,原告らは,本件訴えにおいて,本件各工事等契約の締結(請求4)のみならず,本件各補助金交付決定等(請求1),本件各補助金の返還請求権ないし精算請求権の行使を怠る事実(請求2),本件各指定管理委託契約の締結に関する公金の支出(請求3),本件各工事等契約の締結に関与したとする者に対する損害賠償請求を怠る事実(請求5)を対象としており,これらは本件監査請求の対象と同一性がないのであって,本件訴えのうち,請求1~3・5に係る部分は不適法である。 (3) 争点3(本件各補助金交付決定等との関係でのFの不法行為責任の成否)(原告らの主張)「A市補助金交付要綱(公共施設管理公社)」(甲5。以下「本件補助金要綱」という。)の3条,4条1項によれば,市は,市管理公社に対する補助金の交付に関し,市管理公社から,補助金交付申請書,補助金交付請求書及び補助金実績報告書を徴収し,市管理公社に対し,補助金交付決定通知書により通知しなければならないとされている。しかし,市 する補助金の交付に関し,市管理公社から,補助金交付申請書,補助金交付請求書及び補助金実績報告書を徴収し,市管理公社に対し,補助金交付決定通知書により通知しなければならないとされている。しかし,市は,本件各補助金交付決定等に際し,市管理公社から,補助金交付申請書,補助金交付請求書及び補助金実績報告書を徴収せず,市管理公社に対し,補助金交付決定通知書により通知していないのであって,このような本件各補助金交付決定等は - 15 -違法であり,Fは,財務会計法規上の義務に違反して,本件各補助金交付決定等をした。 そして,違法な本件各補助金交付決定等により,市は,本件各補助金から支出された本件各工事等契約(補助金関係)の代金の約10%である合計112万円の損害を被った(原告らは,この損害額について明示的に主張しないが,訴状において,本件各工事等契約に係る工事代金合計4153万5795円の約10%である415万円をもって市の被った損害である旨主張しており,この主張を踏まえると,本件各補助金交付決定等に関連する本件各工事等契約(補助金関係)の工事代金合計1123万5420円の約10%である112万円を上記損害金の額として主張する趣旨と善解される。なお,後記(4)の(原告らの主張)記載の返還請求権ないし精算請求権の額についても,原告らの明示的主張はないが,上記と同様に善解される。)。 Fは,故意又は過失により,上記のとおり,財務会計法規上の義務に違反して,本件各補助金交付決定等をしたものであるから,市に対して,不法行為に基づき,上記損害金112万円の支払義務を負う。 (被告の主張)上記(原告らの主張)は争う。 市管理公社は,施設の管理運営について協力し施設の設置目的を効果的に達成するとともに,施設の利用の拡大を図り,もって市民の福祉 円の支払義務を負う。 (被告の主張)上記(原告らの主張)は争う。 市管理公社は,施設の管理運営について協力し施設の設置目的を効果的に達成するとともに,施設の利用の拡大を図り,もって市民の福祉の増進に寄与するという,公益を目的とした法人であって,その運営に必要な補助金の交付を行うことは,不合理なものではない。仮に,市管理公社による本件各工事等契約の締結等に問題があったとしても,直ちに,市管理公社の公益を目的とする性格が失われるものではない。したがって,本件各補助金交付決定等について,Fに財務会計法規上の義務の違反はない。 また,市から市管理公社への補助金の支払は,年度ごとに行われるものであって,市管理公社と民間業者との間で締結された契約ごとに算定し,支払 - 16 -われるものではなく,本件各工事等契約の代金額を基礎とする損害額に係る原告らの主張は根拠を欠く。 (4) 争点4(本件各工事等契約(補助金関係)の代金相当額のうち112万円の返還請求権ないし精算請求権の行使の懈怠との関係でのFの不法行為責任の成否)(原告らの主張)本件補助金要綱7条,8条には,事業年度終了時の補助金の精算や要綱違反があった場合の補助金の返還が定められているところ,前記(3)の(原告らの主張)記載のとおり本件各補助金交付決定等は本件補助金要綱に違反してされたものであるし,本件各補助金の使途である,市管理公社による本件各工事等契約(補助金関係)の締結は,後記(6)主張)記載のとおり,違法であることから,市は,市管理公社に対し,本件各補助金から支出された本件各工事等契約(補助金関係)の代金の約10%である112万円の補助金の返還請求権ないし精算請求権を有していた。それにもかかわらず,Fは,故意又は過失により,上記請求権の行使を違法に怠って された本件各工事等契約(補助金関係)の代金の約10%である112万円の補助金の返還請求権ないし精算請求権を有していた。それにもかかわらず,Fは,故意又は過失により,上記請求権の行使を違法に怠っていたものであるから,Fは,不法行為に基づき,同額の損害金の支払義務を負う。 (被告の主張)上記(原告らの主張)は争う。市管理公社は,交付を受けた補助金に残余が生じた場合,各年度が終わった後の5月に精算し,市に返還しているのであって,市は補助金の返還請求権ないし精算請求権を有していない。 (5) 争点5(本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出との関係でのFの不法行為責任の成否)(原告らの主張)本件各基本協定上,市管理公社が市から委託された業務を第三者に委託する場合は,市の個別の承諾が必要である旨定められている(本件各基本協定 - 17 -に係る協定書の9条1項)ところ,市管理公社による本件工事等契約3及び5~14(以下,これらを併せて「本件各工事等契約(指定管理関係)」という。)の締結は,本件各基本協定上必要とされている市の承諾を得ていないという点で違法であって,本件各基本協定上,市は本件各工事等契約(指定管理関係)の代金を負担する必要がなかったのであるから,本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出も違法であり,Fは,財務会計法規上の義務に違反して,上記各契約の締結,各支出命令及び各支出をした。 そして,違法な上記各契約の締結,各支出命令及び各支出により,市は,本件各指定管理委託契約に係る指定管理料から支出された本件各工事等契約(指定管理関係)の代金の約10%である合計303万円の損害を被った(原告らは,この損害額について明示的に主張しないが,訴状において,本件各工事等契約に係 る指定管理料から支出された本件各工事等契約(指定管理関係)の代金の約10%である合計303万円の損害を被った(原告らは,この損害額について明示的に主張しないが,訴状において,本件各工事等契約に係る工事代金合計4153万5795円の約10%である415万円をもって市の被った損害である旨主張しており,この主張を踏まえると,本件各指定管理委託契約に関連する本件各工事等契約(指定管理関係)の工事代金合計3030万0375円の約10%である303万円を上記損害額として主張する趣旨と善解される。なお,後記(6)の主張)記載の損害額についても,原告らの明示的主張はないが,上記と同様に善解される。)。 Fは,故意又は過失により,上記のとおり,財務会計法規上の義務に違反して,本件各工事等契約(指定管理関係)の締結及び各支出命令をしたものであり,市に対し,不法行為に基づき,上記損害金303万円の支払義務を負う。 (被告の主張)上記(原告らの主張)は争う。 本件各基本協定に係る協定書の9条1項が,指定管理業務を第三者に委託 - 18 -することを禁止しているのは,公の施設の利用許可等の権限を第三者に委託したり,指定管理業務を包括的に委託したりすることを対象とするものであり,修繕等の個々の具体的業務を第三者に委託することを対象とするものではないから,市の承諾を欠くことを理由とする原告らの主張は,失当である。 上記(3)(被告の主張)記載のとおり,市管理公社は,公益を目的とした法人であるから,市管理公社を指定管理者として指定し,本件各指定管理委託契約を締結して指定管理料を支払うことは,違法ではない。したがって,本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料に係る各支出命令及び各支出について,Fに財務会計法規上の義務の違反はない。 また,市から市管 締結して指定管理料を支払うことは,違法ではない。したがって,本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料に係る各支出命令及び各支出について,Fに財務会計法規上の義務の違反はない。 また,市から市管理公社への指定管理料の支払は,年度ごとに行われるものであって,市管理公社と民間業者との間で締結された契約ごとに算定し,支払われるものではなく,本件各工事等契約の代金額を基礎とする損害額に係る原告らの主張は根拠を欠く。 (6) 争点6(本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名の財務会計法規上の義務違反に係る共同不法行為責任の成否)(原告らの主張)市管理公社による本件各工事等契約の締結は,発注の必要性を欠くので違法である。また,市管理公社にも,地方自治法の規律が及ぶべきところ,本件各工事等契約の締結は,一般競争入札の方法によらず,随意契約により行われているが,本件各工事等契約に係る委託業務は,参加人Eでなければできないようなものではなく,地方自治法施行令167条の2各号のいずれの場合にも該当しないのであって,一般競争入札を原則とする地方自治法234条2項に反し,違法である。しかも,契約締結に当たり,複数の業者から契約前に見積りを取って一番価格の安い業者に発注することもなかった上,参加人Eは民事再生手続中であり,本来発注を避けるべき相手方であった。 さらに,契約締結に当たり,本件各基本協定上必要とされている市の承認を - 19 -得ていないという手続上の違法もある。したがって,Fほか14名は,財務会計法規上の義務に違反して,本件各工事等契約を締結したものというべきである。 そして,市は,違法な本件各工事等契約の締結により,本件各工事等契約の代金額の約10%である415万円の損害を被った(なお,損害は直接的には市管理公社が被るが 約を締結したものというべきである。 そして,市は,違法な本件各工事等契約の締結により,本件各工事等契約の代金額の約10%である415万円の損害を被った(なお,損害は直接的には市管理公社が被るが,市管理公社は市が全額出資して設立したものであるから,市管理公社の損害は最終的には市の損害となる。)。 Fほか14名は,故意又は過失により,上記のとおり,財務会計法規上の義務に違反して,本件各工事等契約を締結したものであるから,共同不法行為に基づき,上記損害金415万円の支払義務を負う。 (被告の主張)ア上記(原告らの主張)は争う。 イ(ア) 本件各基本協定が,市管理公社は事前に市の承諾を受けた場合を除いて指定管理業務の一部を第三者に委託し又は請け負わせてはならないとしているのは,施設の利用許可等の権限を第三者に委託したり,指定管理業務を包括的に委託したりすることを禁止しているものであり,清掃,警備,修繕等の個々の具体的業務を第三者へ委託することは禁止するものではなく,本件各工事等契約の締結に際し,市の承諾があるか否かは,本件各工事等契約の適法性とは無関係である。 (イ)a 本件テニスコートの指定管理業務仕様書では,1件20万円以下の修繕は指定管理者(市管理公社)の負担で行い,20万円を超える修繕は市の負担により行うこととしている。本件工事等契約6~8に係る委託業務は,20万円を超える契約金額の修繕工事であるが,市の要望により,市管理公社の剰余金から支出して工事を実施し,完成後は市に寄附したものであって,本件工事等契約6~8の締結は,市に損害を及ぼすような契約の締結ではない。 bD体育館(本件公園施設の一つである。)及び本件スポーツセンタ - 20 -ーの各指定管理業務仕様書では,1件50万円以下の修繕は指定管理者(市管理 を及ぼすような契約の締結ではない。 bD体育館(本件公園施設の一つである。)及び本件スポーツセンタ - 20 -ーの各指定管理業務仕様書では,1件50万円以下の修繕は指定管理者(市管理公社)の負担で行い,50万円を超える修繕は市の負担により行うこと(D体育館)又は市教育委員会と協議すること(本件スポーツセンター)としている。本件工事等契約9~14に係る委託業務は,いずれも50万円以下の契約金額の修繕工事であったため,市管理公社が費用を負担して実施し,本件工事等契約5に係る工事は,50万円をわずかに超える契約金額の修繕工事であったため,市管理公社の負担で行ったものであり,本件工事等契約5及び9~14の締結は,いずれも市に損害を及ぼすような契約の締結ではない。 c 本件工事等契約3に係る委託業務については,市管理公社が,市の要望により,市管理公社の剰余金から支出して工事を実施し,完成後は市に寄附したものであって,本件工事等契約3の締結は,市に損害を及ぼすような契約の締結ではない。 (ウ) 市管理公社は,工事等の契約を締結する業者を選定する際,低価格であることと,その仕事をする能力があることを考慮して判断しており,市管理公社が,本件各工事等契約に係る委託業務について,参加人Eに発注したのも,価格及び能力を考慮した結果であり,特に,追加の作業が生じた際に無償でこれに応じてもらうなど,価格面では,参加人Eに発注することは,市管理公社の利益になるものであった。 (エ) したがって,本件各工事等契約の締結は違法ではない。 (7) 争点7(本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名の共同不法行為責任の成否等)(原告らの主張)市管理公社による本件各工事等契約の締結は,上記(6)(原告らの主張)記載のとおり,違法であり,F (本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名の共同不法行為責任の成否等)(原告らの主張)市管理公社による本件各工事等契約の締結は,上記(6)(原告らの主張)記載のとおり,違法であり,Fほか14名のうちFは,市管理公社に対し,参加人Eとの間で本件各工事等契約を締結することを指示し,その余の者ら - 21 -(市管理公社,参加人E及び両者の関係者)も,参加人Eに同業他社の見積書を提出させた上で,相見積りの体裁を取って適正な契約を装うといった形で本件各工事等契約の締結に関与するなどしたのであり,故意又は過失もあるのであって,Fほか14名による市に対する共同不法行為が成立する。 そして,違法な本件各工事等契約の締結により,市は,本件各工事等契約の代金の約10%である415万円の損害を被ったものであり,Fほか14名は,市に対し,共同不法行為に基づき,上記損害金415万円の支払義務を負う。被告は,その損害賠償請求権の行使を違法に怠っているものである。 (被告の主張)上記(6)(被告の主張)イ記載のとおり,本件各工事等契約の締結は違法ではなく,F又は市職員が市管理公社に対して,参加人Eと契約するよう指示したことはなく,Fによる口利きもなかったのであって,本件各工事等契約の締結に関し,Fほか14名による市に対する共同不法行為は成立しない。 市の損害に係る原告らの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴えのうち,請求1・3に係る部分の適法性について(職権による判断)(1) 請求1・3に係る訴えのうち,支出を対象とする請求に係る部分の適法性支出の権限を有しているのは会計管理者であり(地方自治法232条の4),地方公共団体の長は,支出の権限を有していないことから,支出について,地方自治法242条の2第1 求に係る部分の適法性支出の権限を有しているのは会計管理者であり(地方自治法232条の4),地方公共団体の長は,支出の権限を有していないことから,支出について,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」には該当しないというべきである。 したがって,請求1・3に係る訴えのうち,支出を対象として市長であったFを相手方とする損害賠償請求をすることを求める部分は不適法であるというほかなく,却下を免れない。 - 22 -(2) 請求1・3に係る訴えのうち,本件平成20年度補助金交付決定等(支出を除く。),本件平成21年度補助金交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成21年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成23年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成22年度スポーツセンター指定管理委託契約,本件平成23年度公園施設指定管理委託契約の締結及びこれらの契約の指定管理料に係る各支出命令を対象とする部分の適法性地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは,当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味するものである(最高裁昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)。しかし,前記前提となる事実等(1)ウ,(2)ア・イ,(3)イ(イ)(ウ)・ウ(イ)・エ(イ)のとおり,Fは,本件平成20年度補助金交付決定等(支出を除く。),本件平成21年度補助金交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成21年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成23年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成22年度スポーツセンター指定管理委託契約及び本件平成23年度公 交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成21年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成23年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成22年度スポーツセンター指定管理委託契約及び本件平成23年度公園施設指定管理委託契約の締結の時点で市長ではなく,市長から権限の委任を受けるなどして上記各財務会計上の行為の権限を有するに至ったと認めるに足りる証拠もないのであって,Fは上記各財務会計上の行為との関係では地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に該当しないというべきであるから,請求1・3に係る訴えのうち,上記各財務会計上の行為を対象とする部分は不適法であるというほかなく,却下を免れない。 また,上記各管理委託契約の指定管理料に係る支出命令も同様であり,Fが市長になった平成23年12月25日以後にされた支出命令(本件平成23年度テニスコート指定管理委託契約の指定管理料に係る支出命令〔833 - 23 -万5000円〕及び本件平成23年度公園施設指定管理委託契約の指定管理料に係る支出命令〔1億0845万9000円〕。以下「本件平成23年度支出命令」という。)以外の上記各管理委託契約の指定管理料に係る支出命令については,Fは,各行為の時点で市長ではなく,市長から権限の委任を受けるなどして支出命令の権限を有するに至ったと認めるに足りる証拠もないのであって,Fは上記各財務会計上の行為との関係では地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に該当しないというべきであるから,請求1・3に係る訴えのうち,上記各財務会計上の行為を対象とする部分は不適法であるというほかなく,却下を免れない。 (3) 請求1・3に係る訴えのうち,本件平成23年度支出命令,本件平成24年度補助金交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成24年度テニス る部分は不適法であるというほかなく,却下を免れない。 (3) 請求1・3に係る訴えのうち,本件平成23年度支出命令,本件平成24年度補助金交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成24年度スポーツセンター指定管理委託契約,本件平成24年度公園施設指定管理委託契約の締結及びこれらの契約の指定管理料に係る各支出命令を対象とする部分の適法性本件平成23年度支出命令,本件平成24年度補助金交付決定等(支出を除く。)並びに本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成24年度スポーツセンター指定管理委託契約,本件平成24年度公園施設指定管理委託契約の締結及びこれらの契約の指定管理料に係る各支出命令(ただし,平成24年7月26日以後にされた,本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約の指定管理料に係る支出命令〔2003万5000円〕,本件平成24年度スポーツセンター指定管理委託契約の指定管理料に係る支出命令〔4128万円〕及び本件平成24年度公園施設指定管理委託契約の指定管理料に係る支出命令〔2億5707万9000円〕を除く。)については,原告らは,当該行為のあった日から1年を経過する前に監査請求をしたとは認められず(本件監査請求は平成25年7月26日に行われたものである。),そのことについて正当な理由があるともうかがわれないから,請 - 24 -求1・3に係る訴えのうち上記財務会計上の行為を対象とする部分は,適法な監査請求を経ていないものとして,不適法であるというほかなく,却下を免れない(なお,本件平成24年度補助金交付決定等〔支出を除く。〕のうち,平成24年度の補助金の支出命令についても,その時期が特定できないため,当該支出命令のあった日から1年を経過する前に監査請求 免れない(なお,本件平成24年度補助金交付決定等〔支出を除く。〕のうち,平成24年度の補助金の支出命令についても,その時期が特定できないため,当該支出命令のあった日から1年を経過する前に監査請求をしたとは認められない。)。 2 争点1(本件訴えのうち,請求4に係る部分の適法性)について市管理公社の理事又は理事から権限の委任を受けるなどして権限を有するに至った者の違法な行為につき,その設立者である普通地方公共団体の住民は,地方自治法242条の2第1項4号の規定による訴訟を提起することはできない(最高裁平成3年11月28日第一小法廷判決・裁判集民事163号611頁参照)。したがって,本件訴えのうち,市管理公社による本件各工事等契約の締結を対象とする部分(請求4に係る部分)は不適法というほかなく,却下を免れない(なお,原告らが,本件各工事等契約の締結を,市長としてのFの違法な財務会計上の行為として主張する趣旨であったとしても,市長に本件各工事等契約を締結する権限があると認めるに足りる証拠はないのであって,市長としてのFは,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に該当しないというべきであるから,いずれにせよ,請求4に係る部分は却下を免れない。)。 3 争点2(監査請求前置の有無)について(1) 住民監査請求においては,その対象が特定されていること,すなわち,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実(以下,併せて「当該財務会計行為」という。)が他の事項から区別し特定して認識することができるように個別的,具体的に摘示されていることを要する。しかし,その特定の程度としては,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,住民監査請求の対象が特定の - 25 - いることを要する。しかし,その特定の程度としては,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,住民監査請求の対象が特定の - 25 -当該財務会計行為であることを監査委員が認識することができる程度に摘示されているのであれば,これをもって足り,上記の程度を超えてまで当該財務会計行為を個別的,具体的に摘示することを要するものではない(最高裁平成16年11月25日第一小法廷判決・民集58巻8号2297頁,最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決・民集60巻4号1841頁)。 これを本件についてみると,証拠(甲1)によれば,本件監査請求書には,原告ら等は,「市が公社よりなさしめている補助事業や委託業務に不正があったことが判明している」,「結局,市は公社に補助金事業や指定管理事業を委託業務としてなさしめているが,市の準拠法規制やこれに準拠すべき公社業務をなさず,契約上の法令処理や会計上処理,予算上の処理が不適法,不適正だったのである」,「今回の請求では,市に損害を与えたとみられるE関係の業務について,F及び公社理事,所長,副所長,次長,課長ら職員による本答申書資料2の№1~14の不適法行為について,その責任を追及するように求めるものである」との記載(なお,甲1によれば,上記記載のうちの「本答申書資料2の№1~14の不適法行為」とは,本件各工事等契約を指すことが明らかである。)並びにF,G,H,I,J,K,L,Mら,市管理公社所長,副所長,次長,課長らの長及び決裁者,参加人E並びに参加人Rらが違法に本件各工事等契約を締結したとして,上記の者に対する損害賠償請求をすることを求める旨の記載があることが認められる。そして,証拠(甲1)によれば,原告ら等が本件監査請求の際に事実を証す 加人Rらが違法に本件各工事等契約を締結したとして,上記の者に対する損害賠償請求をすることを求める旨の記載があることが認められる。そして,証拠(甲1)によれば,原告ら等が本件監査請求の際に事実を証する書面として提出した本件調査委員会作成の平成25年6月28日付け本件調査委員会調査報告書に,市管理公社の事業には市からの補助金に関する事業(以下「補助金事業」という。)と市との間の指定管理委託契約に関する事業(以下「指定管理事業」という。)があり,本件各工事等契約は,上記のいずれかの事業に関する契約である旨の記載があることが認められる。 このような本件監査請求書及び本件調査委員会調査報告書の記載に照らせ - 26 -ば,本件監査請求は,F等が,本件各工事等契約の締結に関与したこと並びに本件各工事等契約の代金の原資となった補助金及び指定管理料に関する公金の支出をし,これらの返還請求を怠ったことについて,F等の関与者に対する損害賠償請求をすることを求めているというべきであり,市監査委員において,市管理公社に対する調査をして,本件各工事等契約の代金の原資となった補助金及び指定管理料を特定することによって,本件監査請求の対象を特定して認識することができる程度に摘示されていたものということができる。 したがって,本件監査請求は,請求の対象の特定に欠けるところはないというべきである。 (2) そして,上記のとおり,本件監査請求は,F等が,本件各工事等契約の締結に関与したことについて,F等の関与者に対する損害賠償請求をすることを求めているところ,これは,請求5と一致しているものというべきである。また,本件監査請求は,F等が,本件各工事等契約の代金の原資となった補助金及び指定管理料に関する公金の支出をし,これらの返還請求を怠ったことにつ ,これは,請求5と一致しているものというべきである。また,本件監査請求は,F等が,本件各工事等契約の代金の原資となった補助金及び指定管理料に関する公金の支出をし,これらの返還請求を怠ったことについて,F等の関与者に対する損害賠償請求をすることを求めているところ,これは,請求1~3と一致しているものというべきである。 (3) よって,本件訴え(ただし,上記1及び2のとおり不適法となる部分を除く。)は,適法な監査請求を経たものというべきであり,地方自治法242条の2第1項に規定する住民監査請求前置の要件を満たしているというべきである。 4 争点3(本件各補助金交付決定等との関係でのFの財務会計法規上の義務違反に係る不法行為責任の成否)について(1) 前記1に説示したところによれば,請求1に係る部分の訴えは不適法であるから,争点3について判断することを要しない。 (2) なお,念のため,発出時期の特定との関係で監査請求期間経過が問題 - 27 -となる,本件平成24年度補助金交付決定等(支出を除く。)のうちの支出命令に係る原告らの主張(本件補助金要綱違反)の当否について検討しても,以下のとおり,原告らの主張は理由がない。 ア証拠(甲5)によれば,市は,市管理公社に対する補助金の交付に関し,「A市補助金交付要綱(公共施設管理公社)」(本件補助金要綱)を定めており,本件補助金要綱には,以下の規定があることが認められる。 (ア) 市管理公社は,補助金の交付を申請しようとするときは,所定の様式の補助金交付申請書に,所定の書類を添えて市長に提出しなければならない(3条)。 (イ) 市長は,上記(ア)の申請があった時は,当該申請に係る書類等を審査し,適当と認めたときは補助金の交付を決定し,市管理公社に対し,所定の様式の補助金交付決 提出しなければならない(3条)。 (イ) 市長は,上記(ア)の申請があった時は,当該申請に係る書類等を審査し,適当と認めたときは補助金の交付を決定し,市管理公社に対し,所定の様式の補助金交付決定通知書により通知するものとする(4条1項)。この場合において,市長は,補助金の交付目的を達成するため条件を付することができる(同条2項)。 (ウ) 市管理公社は,上記(イ)の補助金交付決定の通知を受けたときは,所定の様式の補助金交付請求書により,市長に補助金を請求するものとする(5条)。 (エ) 市長は,上記(ウ)の補助金の交付請求があったときは,速やかに補助金を交付するものとする(6条)。 (オ) 市管理公社は,事業年度が終了したときは,速やかに所定の様式の補助金実績報告書に,事業報告書等,所定の書類を添えて市長に提出し,補助金の精算をしなければならない(7条)。 (カ) 市長は,補助金の交付の決定を受けた市管理公社が,以下の各号の一に該当するときは,補助金の交付の決定を取り消し,又は,既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる(8条)。 a 本件補助金要綱に違反したとき(1号) - 28 -b 虚偽,その他不正な行為により補助金の交付の決定を受けたとき(2号)c 上記(イ)の市長が付した条件に違反したとき(3号)イしかし,前記前提となる事実等(2)ウ,証拠(甲17,乙32,36,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,本件平成24年度補助金交付決定等に関し,市は,市管理公社から,補助金交付申請書,補助金交付請求書及び補助金実績報告書を徴収し,また,市管理公社に対し,交付決定通知書を交付したことが認められ,他に本件平成24年度補助金交付決定等に関して本件補助金要綱の規定に反する事実があったことを認める 求書及び補助金実績報告書を徴収し,また,市管理公社に対し,交付決定通知書を交付したことが認められ,他に本件平成24年度補助金交付決定等に関して本件補助金要綱の規定に反する事実があったことを認めるに足りる証拠はない。 ウなお,争点3に係る原告らの主張が,本件各工事等契約(補助金関係)の締結が不法行為を構成することを理由として,地方自治法232条の2に定める「公益上必要がある場合」の要件を欠く旨主張する趣旨を含むものであるとしても,後記7のとおり,本件各工事等契約(補助金関係)の締結が市に対する不法行為を構成するということはできないことから,原告らの主張に理由がないことに変わりはない(本件において,本件平成24年度補助金交付決定等が公益上の必要を欠くことをうかがわせる事情は認められない。)。 エよって,本件平成24年度補助金交付決定等は違法であるということはできず,請求1のうち,本件平成24年度補助金交付決定等のうちの支出命令の違法を理由として損害賠償請求をするよう求める部分は,仮に適法な訴えであったとしても,理由がない。 5 争点4(本件各工事等契約(補助金関係)の代金相当額のうち112万円の返還請求権ないし精算請求権の行使の懈怠との関係でのFの不法行為責任の成否)について原告らは,本件各補助金交付決定等は本件補助金要綱に違反してされたもの - 29 -であるし,本件各補助金の使途に係る市管理公社による本件各工事等契約(補助金関係)の締結は違法であることから,市は,市管理公社に対し,本件各補助金から支出された本件各工事等契約(補助金関係)の代金の約10%である112万円の補助金の返還請求権ないし精算請求権を有していた旨主張する。 確かに,前記4(2)アのとおり,本件補助金要綱には,市管理公社は,事業 工事等契約(補助金関係)の代金の約10%である112万円の補助金の返還請求権ないし精算請求権を有していた旨主張する。 確かに,前記4(2)アのとおり,本件補助金要綱には,市管理公社は,事業年度が終了したときは,速やかに所定の様式の補助金実績報告書に,事業報告書等,所定の書類を添えて市長に提出し,補助金の精算をしなければならない旨の規定(7条)及び市長は,補助金の交付の決定を受けた市管理公社が,所定の場合には,補助金の交付の決定を取り消し,又は,既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる旨の規定(8条)がある。 しかしながら,証拠(乙32,34~36,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,本件各補助金交付決定等に関し,市管理公社は,それぞれ,平成21年,平成22年及び平成25年の各5月末日までに,市に対し,交付済みの補助金のうち一部を返還したことが認められ,このほかに市管理公社が市に対して精算すべき金員が存在することを認めるに足りる証拠はない。また,本件各補助金交付決定等に関し,本件補助金要綱8条各号のいずれかに該当することを認めるに足りる証拠もなく,このほかに市管理公社が市に対して返還すべき金員が存在することを認めるに足りる証拠はない(なお,後記7のとおり,本件各工事等契約(補助金関係)の締結が市に対する不法行為を構成するということはできない。)。 したがって,市の市管理公社に対する112万円の返還請求権ないし精算請求権が存在するということはできないのであって,請求2は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 6 争点5(本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出との関係でのFによる財務会計法規上の義務違反に係る不法行為責任の成否)について - 30 - く,理由がない。 6 争点5(本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出との関係でのFによる財務会計法規上の義務違反に係る不法行為責任の成否)について - 30 -(1) 前記1に説示したところによれば,請求3のうち本件各指定管理委託契約の締結及び指定管理料の支出命令(平成24年7月26日以後にされた支出命令を除く。)に係る部分の訴えは不適法であるから,以下,争点5との関係では,上記不適法部分を除くもの(具体的には,本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約,本件平成24年度スポーツセンター指定管理委託契約及び本件平成24年度公園施設指定管理委託契約〔以下,併せて「平成24年度各指定管理委託契約」と総称する。〕の指定管理料の各支出命令〔ただし,平成24年7月26日以後にされたものに限る。以下,「本件判断対象指定管理料支出命令」という。〕)に係る原告らの主張(Fほか14名による財務会計上の義務違反等)の当否について検討する。 (2) 前記前提となる事実等(3)のとおり,平成24年度各指定管理委託契約は,それぞれ,本件テニスコート基本協定,本件スポーツセンター基本協定ないし本件公園施設基本協定(本件各基本協定)に基づいて締結されているところ,本件各基本協定の締結が違法であることをうかがわせる証拠はない。また,本件各基本協定に基づく平成24年度各管理委託契約の締結が,市長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであることを認めるに足りる証拠はない。 なお,原告らは,本件各工事等契約(指定管理関係)が本件各基本協定上必要とされている市の承諾を得ていないという発注の手続の点で違法であって,本件各指定管理委託契約の締結に関する公金の支出も違法である旨主張するが,後記7のとおり,本件各工事等契約(指 件各基本協定上必要とされている市の承諾を得ていないという発注の手続の点で違法であって,本件各指定管理委託契約の締結に関する公金の支出も違法である旨主張するが,後記7のとおり,本件各工事等契約(指定管理関係)の締結が市に対する不法行為を構成するということはできないし,そもそも,本件各指定管理委託契約に基づいて支出された指定管理料と本件各工事等契約(指定管理関係)の代金との間に対応関係があることを認めるに足りる証拠はなく,仮に,本件各工事等契約(指定管理関係)の締結が違法であったとしても,そのことから,本件各指定管理委託契約の締結に関する公金の支出が違法に - 31 -なるものとは考え難いことから,原告らの上記主張は理由がない。 したがって,Fが財務会計法規上の義務に違反し違法に平成24年度各指定管理委託契約やこれを前提とする本件判断対象指定管理料支払命令をしたということはできないのであって,請求3のうち本件判断対象指定管理料支払命令に係る部分は理由がない。 7 争点7(本件各工事等契約の締結との関係でのFほか14名の共同不法行為責任の成否)について(1) 関係法令等の定めア地方自治法234条1項は,売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする旨,同条2項は,同条1項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる旨,それぞれ定めている。 イ地方自治法施行令167条の2第1項は,地方自治法234条2項の規定により随意契約によることができる場合は,売買,貸借,請負その他の契約でその予定価格が,市町村(地方自治法252条の19第1項の指定都市を除く。以下同じ。)の工事又は製造の請負の場合は1 2項の規定により随意契約によることができる場合は,売買,貸借,請負その他の契約でその予定価格が,市町村(地方自治法252条の19第1項の指定都市を除く。以下同じ。)の工事又は製造の請負の場合は130万円,市町村の工事又は製造の請負,財産の買入れ,物件の借入れ,財産の売払い及び物件の貸付け以外の場合は50万円等,所定の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき(1号),緊急の必要により競争入札に付することができないとき(5号)等,同項各号に掲げる場合とする旨定めている。 ウ市管理公社の契約事務についての定めは,A市公共施設管理公社会計処理規則(以下「公社会計処理規則」という。)第7章に規定されており,具体的には,34条が,契約は,指名競争入札又は随意契約によるものとする旨,36条が,契約事務の処理については,A市財務規則(昭和39 - 32 -年規則第19号)の例による旨を定めている。A市財務規則では,89条1項が,地方自治法施行令167条の2第1項1号の規定により規則で定める額は,工事又は製造の請負の場合は130万円,委託の場合は50万円とする旨,89条2項が,随意契約を行おうとするときは,なるべく2名以上の者を選んでそれらの者から見積書を徴しなければならず,ただし,緊急を要する場合はこの限りではない旨定めている。なお,指定管理事業については,公社会計処理規則の改正により追加された同規則36条の2の規定により,平成22年6月1日以降,同規則34条,36条等の規定が適用除外となった。(甲1,3,4,29)(2) 認定事実前記前提となる事実等,証拠(各項末尾記載の証拠のほか,乙32,丙1,証人J,証人R)及び弁論の全趣旨によれば,本件各工事等契約の締結に関し,以下の事実が認められる。 )(2) 認定事実前記前提となる事実等,証拠(各項末尾記載の証拠のほか,乙32,丙1,証人J,証人R)及び弁論の全趣旨によれば,本件各工事等契約の締結に関し,以下の事実が認められる。 ア市管理公社(公園管理センター)は,平成20年8月,平成19年に行ったWグラウンド整備工事の下請業者であった参加人Eに対し,同グラウンドの芝生の改善について,診断を求め,参加人Eは,平成20年8月2日付けで,市管理公社に対し,同グラウンドの現状報告及び対策を記載した「診断書」と題する2枚の書面を提出した。これが,市管理公社と参加人Eとの間で直接契約を締結した最初の機会であった。(甲1,3,4,34)イ市は,平成21年4月1日,市管理公社との間で,本件各基本協定を締結したが(前記前提となる事実等(3)イ(ア),ウ(ア)及びエ(ア)),本件各基本協定には,市管理公社は,事前に市の承諾を受けた場合を除いて,指定管理業務の一部を第三者に委託し,又は請け負わせてはならない旨の定めがあった(本件各基本協定に係る協定書の9条1項)。また,本件スポーツセンターの指定管理業務仕様書には,指定管理者は,業務の全 - 33 -部を第三者に委託し,又は請け負わせることができず,ただし,業務の一部については市教育委員会の承認を得て委託することができる旨の定めがあった。(甲12~14,乙10)ウ(ア) 本件各工事等契約のうち,本件各工事等契約(補助金関係)は,補助金事業に関する契約であり,本件各工事等契約(指定管理関係)は,本件工事等契約3を除き,指定管理事業に関する契約であった。本件各工事等契約(指定管理関係)のうち,本件工事等契約6~8は,本件テニスコートに関する契約であり,本件工事等契約9~14は,本件スポーツセンターに関する契約であり,本件 業に関する契約であった。本件各工事等契約(指定管理関係)のうち,本件工事等契約6~8は,本件テニスコートに関する契約であり,本件工事等契約9~14は,本件スポーツセンターに関する契約であり,本件工事等契約5は,本件公園施設であるD体育館に関する契約であった。本件工事等契約3は,補助金事業の対象施設であるD緑地広場に関する契約であったが,市管理公社は,契約代金を指定管理料の剰余金から支出した。なお,市管理公社は,市の要望により,本件工事等契約3に係る工事を実施し,完成後は市に寄附した。(甲1,乙17)(イ) 本件テニスコートの指定管理業務仕様書では,1件20万円(税込み)以下の修繕は指定管理者(市管理公社)の負担で行い,20万円(税込み)を超える修繕は市の負担により行うこととされていた。本件工事等契約6~8は,20万円(税込み)を超える契約金額であったが(別紙2・E関係契約目録参照),市の要望又は公社の要望とこれに対する市の承諾により,工事を実施し,完成後は市に寄附された。市管理公社は,上記工事代金を,指定管理料の剰余金から支出した。(甲1,乙13~16,33)(ウ) 本件スポーツセンターの指定管理業務仕様書では,1件50万円(税込み)以下の修繕は指定管理者(市管理公社)の負担で行い,50万円(税込み)を超える修繕は市教育委員会と協議することとされていた。(乙10) - 34 -(エ) 本件公園施設の一つであるD体育館の指定管理業務仕様書では,1件50万円(税込み)以下の修繕は指定管理者(市管理公社)の負担で行い,50万円(税込み)を超える修繕は市の負担により行うこととされていた。本件工事等契約5は,50万円(税込み)を超える契約金額であったが(別紙2・E関係契約目録参照),市教育委員会の要望により,市管理 0万円(税込み)を超える修繕は市の負担により行うこととされていた。本件工事等契約5は,50万円(税込み)を超える契約金額であったが(別紙2・E関係契約目録参照),市教育委員会の要望により,市管理公社の負担で行われたものであった。(乙9,11)(オ) 本件各工事等契約のうち,本件工事等契約4及び14は,A市財務規則89条2項ただし書に規定する緊急を要する場合に該当するとして締結された契約(以下「特命随意契約」という。)であり,相見積りは行われておらず,その余の各契約は,随意契約であって,市管理公社は,契約締結に際し,参加人Eに対し,同社において相見積りに係る見積書を入手し,市管理公社に提出することを依頼した(なお,本件工事等契約6の相見積りに係る見積書の提出依頼は契約締結後に行われた。)。そのようにして提出された見積書の中には,参加人E自身が作成したものや,市等の調査によっても作成名義人とされる業者の所在が不明のものがあった。(甲1,3,4)エ大阪地方裁判所は,平成21年8月6日,参加人Eを再生債務者として,再生手続開始の決定をし,その後,再生計画認可の決定を経て,平成25年3月6日,再生手続終結の決定をした。(甲25)オ市は,同月7日,本件各工事等契約に関して不適切な事務処理がされた疑いがあるとして,副市長であったK,都市建設部長であったJ等を構成員とする調査チームを設置し,市管理公社及びEの関係者等に対する調査を行い,同年4月30日付けで,本件市調査報告書を提出した。なお,本件市調査報告書には,市管理公社の職員は,事情聴取に対し,いずれも外部からの働き掛けの事実を否定した旨記載されている。(甲3)カ市管理公社は,本件各工事等契約等,参加人Eが関与した契約に関して, - 35 -契約事務の処理方法,業務発注 対し,いずれも外部からの働き掛けの事実を否定した旨記載されている。(甲3)カ市管理公社は,本件各工事等契約等,参加人Eが関与した契約に関して, - 35 -契約事務の処理方法,業務発注の経緯,業者選定の方法,相見積りを行った業者の存否等について調査を行い,同年5月30日付けで,本件公社調査報告書を提出した。なお,本件公社調査報告書には,市管理公社の関係者は,事情聴取に対し,本件各工事等契約に関し,Fからの口利きやFが参加人Eを紹介した事実はないとの説明をしている旨記載されている。 (甲4)キ同年4月1日,「一般財団法人A市公共施設管理公社における本市補助金の執行状況等に関する調査委員会条例」が施行され,同条例に基づき,補助金事業及び指定管理事業の執行状況を調査して,予算の合理的かつ能率的な執行と施設の管理の適正が確保されているかどうかを明らかにすることを目的として,本件調査委員会が設置された。本件調査委員会は,関係者等に対する調査を行い,同年6月28日付けで,本件調査委員会調査報告書を提出した。なお,本件調査委員会調査報告書には,本件工事等契約1に関し,Fは,事情聴取に対し,平成17年頃に市管理公社の担当者に対して「そちらに業者に行ってもらうので技術的な話を聞くように。」と述べた旨の説明をし,他方,市管理公社の関係者は,事情聴取に対し,平成20年7月頃,Wグラウンドの芝生の改善(上記イ)について,Fに呼ばれて「Eもある。参考のために意見を聞いてくるように。」という指示を受けた旨の説明をしており,双方の主張は異なるが,諸般の事情を考慮すれば,Fの指示内容は,参加人Eに発注するようにという直接の指示ではないとしても,Fから参加人Eに参考のために意見を聞くように言われたことから,市管理公社の実質的な決定権者は,参加人E 事情を考慮すれば,Fの指示内容は,参加人Eに発注するようにという直接の指示ではないとしても,Fから参加人Eに参考のために意見を聞くように言われたことから,市管理公社の実質的な決定権者は,参加人Eに発注することを決定したと判断される旨記載されている。(甲1)(3) 検討アまず,原告らは,本件各工事等契約について,工事等の必要性がなかった旨主張するが,その必要性がなかったことを認めるに足りる証拠はない - 36 -(むしろ,本件市調査報告書では,本件各工事等契約に関し,工事施工の必要性が肯定されていること〔甲3〕に照らせば,工事等の必要性があったことは容易に否定し難い。)。 イ(ア) また,原告らは,本件各工事等契約に係る委託業務は,参加人Eでなければできないようなものではなく,地方自治法施行令167条の2各号のいずれの場合にも該当しないのであって,一般競争入札を原則とする地方自治法234条2項に反し,違法である旨主張する。 確かに,本件各工事等契約(補助金関係)は,公社会計処理規則36条によりA市財務規則の例によるとされており,A市財務規則89条1項には,地方自治法施行令167条の2第1項1号の規定によって随意契約によることができる場合として,工事の請負の場合は130万円とする旨の定めがあるところ,本件工事等契約2及び4については,工事の請負契約であり,契約金額が130万円を超えるにもかかわらず,随意契約(本件工事等契約2)又は特命随意契約(本件工事等契約4)によっており,しかも,地方自治法施行令167条の2第1項2号以下に該当し,随意契約によることができる場合であるかも明らかではない(なお,本件公社調査報告書では,本件工事等契約2及び4を随意契約又は特命随意契約によったことに問題はなかった旨記載されている 号以下に該当し,随意契約によることができる場合であるかも明らかではない(なお,本件公社調査報告書では,本件工事等契約2及び4を随意契約又は特命随意契約によったことに問題はなかった旨記載されているが,その理由として「緊急性・専門性」から特命随意契約によることに問題がなかったとするのみであり〔甲4〕,本件公社調査報告書によっても,同号以下に該当し,随意契約によることができる場合であるか否かは明らかではないし,むしろ,本件調査委員会調査報告書においては,本件工事等契約2及び4は指名競争入札によるべきとの指摘がされている〔甲1〕。)。また,本件工事等契約3も,契約代金を指定管理料の剰余金から支出しているものの,実際には補助金事業の対象施設に関する契約であるから,公社会計処理規則36条及びA市財務規則89条1項が適 - 37 -用されるべきところ,契約金額が130万円を超えるにもかかわらず,随意契約によっており,しかも,地方自治法施行令167条の2第1項2号以下に該当し,随意契約によることができる場合であるか否かも明らかではない。さらに,本件各工事等契約(指定管理関係)のうち,本件工事等契約6については,平成22年4月30日以前に締結された契約であって,公社会計処理規則36条及びA市財務規則89条1項が適用されるところ,契約金額が130万円を超えるにもかかわらず,随意契約によっており,しかも,地方自治法施行令167条の2第1項2号以下に該当し,随意契約によることができる場合であるか否かも明らかではない(本件公社調査報告書及び本件調査委員会調査報告書においても,本件工事等契約6は指名競争入札によるべきとの指摘がされている〔甲1,4〕。)。 このように,本件工事等契約2~4及び6は,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条1項 査報告書においても,本件工事等契約6は指名競争入札によるべきとの指摘がされている〔甲1,4〕。)。 このように,本件工事等契約2~4及び6は,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条1項に反して締結されたものである可能性を否定することができない。地方自治法234条1項により,売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとされ,同条2項により,同条1項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができるものとされており(上記(1)ア),例えば,随意契約については,売買,貸借,請負その他の契約でその予定価格が所定の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき(1号)等,同項各号に掲げる場合に,これによることができるものとされている(地方自治法施行令167条の2第1項・上記(1)イ)。このような地方自治法等の定めは,普通地方公共団体の締結する契約については,その経費が住民の税金で賄われること等に鑑み,機会均等の理念に最も適合して公正であり,かつ,価格の有 - 38 -利性を確保し得るという観点から,一般競争入札の方法によるべきことを原則とし,それ以外の方法を例外的なものとして位置付けているものと解することができる。そして,指名競争入札と随意契約との関係も,上記の観点から,随意契約の方法をより例外的なものと位置付けているものと解することができる。このような趣旨は,市が出資する市管理公社にも妥当するところ,本件工事等契約2~4及び6は,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条1項に反して締結されたものであったとすれば,本来指名競争入札の方法によるべきものを随意契約の方法によったものというべ ころ,本件工事等契約2~4及び6は,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条1項に反して締結されたものであったとすれば,本来指名競争入札の方法によるべきものを随意契約の方法によったものというべきであって,それらの契約の締結は,上記の趣旨に反するものとして,問題があるものといわざるを得ない(なお,本件工事等契約3及び6以外の本件工事等契約(指定管理関係)は,公社会計処理規則及びA市財務規則に反するものではないことから,それらの契約を随意契約の方法で参加人Eと締結したことが上記の趣旨に反するものということはできない。)。 (イ) また,本件工事等契約1~4及び6については,随意契約によることができたとしても,なるべく2名以上の者を選んでそれらの者から見積書を徴しなければならないところ(公社会計処理規則36条,A市財務規則89条2項本文。なお,平成22年6月1日以降に締結された指定管理委託契約については,前記(1)ウの公社会計処理規則の改正により,上記各条項の適用はない。),市管理公社は,本件工事等契約1~3及び6について,独自に相見積りをすることなく,参加人Eに対し,同社において相見積りに係る見積書を入手し,市管理公社に提出することを依頼したのである(本件工事等契約6については,契約締結後に依頼している。)から,市管理公社において,適切な相見積りを行ったとはいい難く(本件公社調査報告書においても,本件工事等契約1及び2について,参加人Eに見積書を持参させており,公社会計処理規則 - 39 -に明確に違反しているとまではいえないものの,妥当性を欠くと評価せざるを得ないとの指摘がされ〔甲4〕,本件調査委員会調査報告書においても,本件工事等契約1の相見積りに係る見積書を参加人Eに提出させたことはA市財務規則89条2項に反する等の ,妥当性を欠くと評価せざるを得ないとの指摘がされ〔甲4〕,本件調査委員会調査報告書においても,本件工事等契約1の相見積りに係る見積書を参加人Eに提出させたことはA市財務規則89条2項に反する等の指摘がされている〔甲1〕。),事実上,参加人Eより低額の見積書が提出される可能性は低いのであって,本件工事等契約1~3及び6については,市管理公社の担当者において,参加人Eに対して相見積りに係る見積書を徴することを依頼した時点で,実質的には参加人Eと契約を締結する意図であったことが認められる。そして,本件工事等契約4については,特命随意契約によったため,そもそも相見積りを行っていない(本件工事等契約が,随意契約によることができる場合であるか否かも明らかではないことは上記のとおりである。)。 このように,本件工事等契約1~4及び6は,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条2項に反して締結されたものであるか,その可能性を否定することができないものである。 (ウ) しかしながら,上記のとおり,市管理公社は,市が出資する法人であり,地方自治法及び地方自治法施行令の上記の趣旨が妥当するものの,市そのものではなく,地方自治法234条,地方自治法施行令167条の2第1項が適用されるものではない。また,証拠(乙3)によれば,財団法人A市公共施設管理公社寄附行為では,同寄附行為30条2項に,市管理公社の解散後の残余財産は,市又は市管理公社と類似の目的を持つ公益法人に寄附するものとする旨の規定があるほか,市において,市管理公社の存続中に,市の出資分の譲渡や返還請求ができる旨の規定がないことが認められるのであって,仮に,市管理公社が損害を被ったとしても,直ちに市において損害が生じるものということはできないのであるから,上記の趣旨に反する市管理公社の 返還請求ができる旨の規定がないことが認められるのであって,仮に,市管理公社が損害を被ったとしても,直ちに市において損害が生じるものということはできないのであるから,上記の趣旨に反する市管理公社の契約の締結が,直ち - 40 -に市に対して財産的損害を与える行為として,市に対する不法行為を構成するというものとはいい難い。 また,本件市調査報告書には,参加人Eは,以後の受注を勘案して価格において妥協していた旨の記載があり(甲3),本件公社調査報告書には,そもそも参加人Eの提示金額が同様の工事と比較して格段に低く,また工事の質が高いとの評価があったため,相見積りが形式的なものとなっていた旨の記載や,市管理公社は,全件について,参加人Eの提示金額の約7~8割の金額となるまで価格交渉を繰り返した上で金額決定していることから,指定管理事業を適切にかつより低い金額で実施するということ自体には問題がなかった旨の記載があり(甲4),これらの記載によれば,市管理公社において,参加人Eとの間で,価格交渉をした上で本件各工事等契約を締結した事実が認められ,このような事情に照らせば,市管理公社による本件各工事等契約の締結が,市に対して実質的な損害を被らせるものとも直ちに認め難い。 そして,Fその他市管理公社の外部の者が,市管理公社の担当者に対し,参加人Eと契約するよう指示をしたこと(以下「本件指示」という。)を認めるに足りる証拠はない。仮に,本件調査委員会調査報告書に記載されているように,市管理公社の職員が,平成20年7月頃,Wグラウンドの芝生の改善について,Fに呼ばれて「Eもある。参考のために意見を聞いてくるように。」という指示を受け,そのことが参加人Eとの間で本件工事等契約1を締結する旨の意思決定に影響を及ぼしたという事実があったと 改善について,Fに呼ばれて「Eもある。参考のために意見を聞いてくるように。」という指示を受け,そのことが参加人Eとの間で本件工事等契約1を締結する旨の意思決定に影響を及ぼしたという事実があったとしても,このことから,本件指示があったと認めることはできないし,Fから市管理公社の職員に対して本件各工事等契約に関する指示があったとする新聞記事が存在すること(甲1,26の1)によっても同様である。 (エ) このように,地方自治法234条,地方自治法施行令167条の - 41 -2第1項が,市そのものではない市管理公社に直ちに適用されるものではないこと,市管理公社が損害を被ったとしても直ちに市において損害が生じるものではないこと,市管理公社において,参加人Eとの間で,価格交渉をした上で契約を締結したこと,本件指示があったとは認められないこと等の諸事情を考慮すれば,本件工事等契約1~4及び6が,公社会計処理規則36条,A市財務規則89条1項及び2項に反して締結されたものであったとしても,それらの契約を随意契約の方法で参加人Eと締結したことが,市に対して財産的損害を与える違法な行為として,市に対する不法行為を構成するということはできない。 ウさらに,原告らは,本件各工事等契約締結の時点で,参加人Eが民事再生手続中であることから,本件各工事等契約の締結は違法である旨主張する。 確かに,上記(2)エのとおり,平成21年8月6日から平成25年3月6日までの間,参加人Eを再生債務者とする民事再生手続が行われていたのであり,本件工事等契約3~14は,民事再生手続中に締結された契約である。 しかしながら,市管理公社において,民事再生手続中の者が請負契約を受注することができない旨の規定があると認めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲2 は,民事再生手続中に締結された契約である。 しかしながら,市管理公社において,民事再生手続中の者が請負契約を受注することができない旨の規定があると認めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲29~33)及び弁論の全趣旨によれば,市においても,「建設工事等の業者の選定格付及び指名基準」の第6(2)に,資格者が「経営状況が著しく不健全である者」に該当する場合は,指名競争入札への参加者として指名することができない旨の定めがあるほかは,A市財務規則,「A市入札参加資格審査要綱」,「建設工事等の業者の選定格付及び指名基準」,「A市制限付一般競争入札実施要綱」並びに「A市指名停止措置要綱」のいずれにも,民事再生手続中の者が請負契約を受注することができないことをうかがわせる規定はない。また,「建設工事等の業者の選定 - 42 -格付及び指名基準」の第6(2)の上記定めも,民事再生手続中の者について,当然に指名をすることができない旨の定めと解することはできない。 したがって,本件工事等契約3~14が,民事再生手続中に締結された契約であることから,上記各契約の締結が市に対する不法行為を構成するということはできない。 エそして,原告らは,本件各工事等契約の締結は,本件各基本協定上必要とされている市の承諾を得ていない点でも違法である旨主張する。 確かに,上記(2)イのとおり,本件各基本協定には,市管理公社は,事前に市の承諾を受けた場合を除いて,指定管理業務の一部を第三者に委託し,又は請け負わせてはならない旨の定めがあり,本件スポーツセンターの指定管理業務仕様書にも,指定管理者は,業務の全部を第三者に委託し,又は請け負わせることができず,ただし,業務の一部については市教育委員会の承認を得て委託することができる旨の定めがそれぞれあった。 の指定管理業務仕様書にも,指定管理者は,業務の全部を第三者に委託し,又は請け負わせることができず,ただし,業務の一部については市教育委員会の承認を得て委託することができる旨の定めがそれぞれあった。 そして,本件各工事等契約(指定管理関係)のうち,本件工事等契約9~14については,市の事前の承諾があったとは認められない(なお,本件工事等契約3及び5~8については,市又は市教育委員会の要望や市の承諾により,工事等を実施したのであるから〔前記(2)ウ(ア),(イ)及び(エ)〕,上記定めに反しないことは明らかである。)。 しかしながら,本件各基本協定や本件スポーツセンターの指定管理業務仕様書の上記定めは,指定管理業務の全部又は一部を包括的に委託することを対象とするものであり,修繕等の個々の具体的業務を第三者に委託することをも対象とするものとは解されないから,上記定めが後者をも対象とするものであることを前提とする原告らの上記主張は,前提を欠くものとして採用することができない。また,本件各工事等契約について,工事等の必要性がなかったということができないことは,上記アのとおりであり,随意契約の方法で参加人Eと締結したことが,市に対する不法行為を - 43 -構成するということはできないことは,上記イのとおりである以上,仮に,本件工事等契約9~14の締結が上記定めに反するとしても,それらが市に対して財産的損害を与える行為として不法行為を構成するとまではいえない(なお,本件各工事等契約(補助金関係)及び本件工事等契約3は,補助金事業に関する契約であることから,そもそも本件各基本協定違反の問題はない。)。 オその他,原告らは,本件各工事等契約の中には,本来補助金事業に関する工事等であるにもかかわらず,指定管理料の剰余金を使用して締結した ることから,そもそも本件各基本協定違反の問題はない。)。 オその他,原告らは,本件各工事等契約の中には,本来補助金事業に関する工事等であるにもかかわらず,指定管理料の剰余金を使用して締結したものがあり,このことは,本件各工事等契約の締結が不法行為であることを裏付けている旨主張する。 確かに,上記(2)ウ(ア)のとおり,補助金事業の施設に関する契約である本件工事等契約3の契約代金が指定管理料の剰余金から支出されている。 しかしながら,このような費目の流用が,会計処理の観点から適切かどうかはともかく,本件工事等契約3について,工事等の必要性がなかったということができないことは,上記アのとおりであり,随意契約の方法で参加人Eと締結したことが,市に対する不法行為を構成するということはできないことは,上記イのとおりである以上,上記費目の流用の事実をもって,本件工事等契約3の締結が,市に対して財産的損害を与える行為として不法行為を構成するということはできず(上記費目の流用の事実が,本件工事等契約3以外の本件各工事等契約の締結が市に対する不法行為を構成することを裏付ける事情ともならないことは明らかである。),原告らの上記主張は採用することができない(仮に,本件工事等契約6~8の各契約代金が,指定管理料の剰余金から支出されたこと〔上記(2)ウ(イ)〕が,会計処理の観点から適切でなかったとしても,本件工事等契約3と同様,そのことから,本件各工事等契約の締結が,市に対して財産的損害を - 44 -与える行為として不法行為を構成するということはできない。)。 (4) 以上のとおり,原告らの主張は,いずれも採用することができない。 本件において,本件各工事等契約を締結したことについて,Fほか14名による共同不法行為が成立することを認め とはできない。)。 (4) 以上のとおり,原告らの主張は,いずれも採用することができない。 本件において,本件各工事等契約を締結したことについて,Fほか14名による共同不法行為が成立することを認めるに足りる証拠はない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,請求5は理由がない。 8 結論以上によれば,本件訴えのうち,①本件各補助金交付決定等を対象とする請求に係る部分(請求1に係る部分),②本件各指定管理委託契約の締結,指定管理料の各支出命令及び各支出(ただし,本件平成24年度テニスコート指定管理委託契約に係る平成24年7月26日以後にされた指定管理料合計2003万5000円の各支出命令,本件平成24年度総合スポーツセンター指定管理委託契約に係る同日以後にされた指定管理料合計4128万円の各支出命令及び本件平成24年度公園施設指定管理委託契約に係る同日以後にされた指定管理料合計2億5707万9000円の各支出命令を除く。)を対象とする請求に係る部分(請求3に係る部分の一部)並びに③本件各工事等契約の締結を対象とする請求に係る部分(請求4に係る部分)は不適法なのでこれを却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないのでこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 - 45 - 裁判官狹間巨勝 裁判官斗谷匡志は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官西田隆裕 署名押印することができない。 裁判長 裁判官 西田隆裕
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