平成17(行コ)14 公文書非公開決定取消請求控訴事件(原審・大津地方裁判所平成16年(行ウ)第5号)

裁判年月日・裁判所
平成18年3月29日 大阪高等裁判所 情報公開
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判決文本文9,424 文字)

主文 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人が控訴人に対して平成16年7月14日付けでした公文書非公開決定処分中,被控訴人が平成14年4月1日以降平成16年6月2日までの間に取得した「ペンネームで記載された領収書」に係る部分を取り消す。 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者が求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人が控訴人に対して平成16年7月14日付けでした公文書非公開決定処分中,「ペンネームで記載された領収書」に係る部分を取り消す。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 被控訴人(1)本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,控訴人が,滋賀県情報公開条例の実施機関である被控訴人に対し,同条例に基づき,平成10年度ないし平成15年度に滋賀県警察本部で支出した捜査費,捜査報償費の個人名義の領収書のうち,①偽造された領収書,②受領者がペンネームで記載した領収書についての公文書公開請求をしたところ,被控訴人がいずれも非公開とする処分をしたため,控訴人が,同処分のうち上記②の受領者がペンネームで記載した領収書に係る 非公開処分の取消しを求めた事案である。 訴訟の経過原審裁判所は,控訴人の請求を棄却したのに対し,控訴人が上記第1の1のとおりの判決を求めて控訴した。 第3前提となる事実(末尾に証拠摘示のない限り当事者間に争いがない。) 控訴人は滋賀県の住民であり,被控訴人は滋賀県情報公開条例(平成12年滋賀県条例第113号,平成13年同第10号,平成14年同第45号,平成15年同第18号による追加,一部改正のもので,条例の規定は 控訴人は滋賀県の住民であり,被控訴人は滋賀県情報公開条例(平成12年滋賀県条例第113号,平成13年同第10号,平成14年同第45号,平成15年同第18号による追加,一部改正のもので,条例の規定は別紙のとおりである。以下「本件条例」という。)2条1項所定の実施機関たる警察本部長である。 なお,本件条例付則1条ただし書に規定する規則の施行期日は,滋賀県情報公開条例の一部の施行期日を定める規則(平成13年滋賀県規則第104号,以下「本件規則」という。)により,平成14年4月1日とされている。(乙1,2) 控訴人は,平成16年6月2日,本件条例4条に基づき,被控訴人に対し,平成10年度ないし平成15年度に「警察本部(全課)で支出した捜査費(国費),捜査報償費(県費)の領収書うち,当該捜査費または捜査報償費を受領したもの以外の氏名または住所が記載されたものと情報公開請求日現在で実施機関において認識しているもの」の開示を請求したが,開示請求対象文書を特定するため,本件条例5条2項に基づく被控訴人の補正の求めに応じ,開示を求める公文書の内容を「個人名義の偽造領収書」と「個人名義のペンネームで書かれた領収証」の両方であると補正した。 被控訴人は,上記請求に対し,偽造された領収書は存在しないこと,ペンネームで書かれた領収書(被控訴人が,実施機関としての合理的努力により特定し得るもの,以下「本件文書」という。)には,本件条例6条1 号前後段,3号所定の非開示事由に該当する情報が記載されているとして,公文書非公開決定処分をした(以下,この非公開決定処分のうち,ペンネームで書かれた領収書に係る部分を便宜「本件処分」という。)。 第4争点に関する当事者の主張 したがって,本件争点は,本件文書の本件条例6条3号(争点1),1号前段(争点2), 分のうち,ペンネームで書かれた領収書に係る部分を便宜「本件処分」という。)。 第4争点に関する当事者の主張 したがって,本件争点は,本件文書の本件条例6条3号(争点1),1号前段(争点2),後段(争点3)該当の有無にあるが,この点に関する双方の主張は,原判決4頁4行目から7頁22行目までに記載のとおりであるから,これをここに引用する。 当審付加主張(控訴人)(1)文書の特定と非公開事由の非該当性ア本件のような情報公開訴訟においては,非公開事由の存在ついての主張立証責任は実施機関側である被控訴人にあるのであるから,被控訴人としては,本件文書である各領収書の1枚1枚について特定し,それぞれについて1号及び3号該当性の主張立証をしなければならないはずであるのに,被控訴人の主張は,抽象的に非公開事由を述べるだけで,各文書ごと(本件文書である領収書1枚1枚ごと)に,具体的な事情を説明し,本件条例6条各号の該当性を主張するものではないから,これでは非公開事由の存在を主張していないに等しいものといわねばならない。 イこの点は,1号前段の「特定の個人を識別することができるもの」とされた要件のみならず,1号後段の「特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」,あるいは3号の「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧または捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのあると実施機関が認めることにつき相当 の理由がある情報」との各要件についても同様であって,非公開事由の存在の認定にあっては,抽象的な「おそれ」や,単なる「相当の理由」では足りず,客観的かつ具体的なものでなければならない。特に,情報公開訴訟においてはインカメラ方式が採用されていないか ,非公開事由の存在の認定にあっては,抽象的な「おそれ」や,単なる「相当の理由」では足りず,客観的かつ具体的なものでなければならない。特に,情報公開訴訟においてはインカメラ方式が採用されていないから,裁判所としても,審査の対象となる文書を見分することなく非公開事由の存否の判断を迫られるため,公文書を保有する被控訴人において,支障を来さない範囲において出来るだけ非公開事由について具体的な説明がされない限り,判断のしようがないはずである。そして,実施機関側が,そのような努力を怠る場合には,主張立証責任を尽くさないものとして不利益を受けるべきである。 ウ仮に,被控訴人の本件文書全般についての抽象的主張を前提としても,本件文書に非公開事由が存在しないことは,1において引用された控訴人の主張のとおりである。 (2)部分公開の可否仮にそうでなくとも,本件文書については,記載の「年月日」及び「金額」は公開されるべきものである。 ア公文書の部分公開を定めた本件条例7条1項において,そのただし書が「有意の情報」を要件にした趣旨は,部分公開が行われた際に,当該文書に記載されいる内容が,部分的な公開によって本件条例の趣旨を実現できない程度の文書・情報価値となった場合(公開される意味がないほどの,無意味な文字や数字の羅列),請求者にとって無価値な情報に対する手数料の支払等の不利益が生じるから,無駄な負担をさせないためであると同時に,実施機関にとっても不要な負担から免れるためのものである。 イ本件でも,本件文書に記載されているであろう①住所,②氏名は個人に関する情報に該当するが,それ以外の③受領年月日,④受領金額 の情報は,「ある者が○年○月○日に○円の捜査協力費を受領した」というそれ自体有意な情報であり,この部分公開によって1号に該当すること 関する情報に該当するが,それ以外の③受領年月日,④受領金額 の情報は,「ある者が○年○月○日に○円の捜査協力費を受領した」というそれ自体有意な情報であり,この部分公開によって1号に該当することがなくなり,本件条例7条1項に基づく「有意な情報」として公開されるべき情報になる。実際にも,領収書の氏名と住所を黒塗りにして公開することは十分可能であり,実施機関の負担になるものでもない。 (被控訴人)(1)文書の特定と非公開事由の該当性ア「公開請求の対象となる公文書は,平成14年4月1日以後に被控訴人の職員が作成し,または取得した公文書で当該実施機関が保有している公文書」と同一の文書としか理解していない。また,「偽造又は架空の領収書」は存在しない。「ペンネームで作成された領収書(本件文書)」の作成者は実在している。本件文書における「住所」及び「氏名」は,情報提供者からの申出により真実とは異なる住所及び氏名を記載したいと求められた場合には,真実の住所及び氏名ではない領収書であってもこれを受領していた。なお,本件文書は,自筆で作成し,「年月日」及び「金額」については正確に記載されている。 イ原判決が本件文書を特定しているように,被控訴人は,控訴人が公開を求める「ペンネームで記載された領収書」を,領収書の作成者がその交付先である被控訴人方職員に対し,作成者自身を表象する符丁の一種として本名以外の氏名を用いることを明示した上で作成した領収書と理解したが,これにより本件文書の特定は十分である。それ以上に,本件文書の内容に触れることは,むしろ,控訴人が公開を求める文書に記載された情報そのものを公開することにつながるものである。これらの内容が明らかにされずとも,本件文書を特定するためには,上記の程度の表現で十分足りるものである。 ウ非公 が公開を求める文書に記載された情報そのものを公開することにつながるものである。これらの内容が明らかにされずとも,本件文書を特定するためには,上記の程度の表現で十分足りるものである。 ウ非公開事由の該当性は,本件文書の徴求状況を具体的に明らかにした上で,本件条例6条1号,3号の該当性を具体的に明らかにしているから,この点において主張立証責任が果たされていないということはできない。 (2)部分公開控訴人の上記主張は争う。 原判決が正当に指摘しているように,本件条例7条1項は,1個の文書に複数の情報が記載されている場合において,それらの情報のうちに非公開事由に該当するものがあるときは,当該部分を除いたその余の部分についてのみ,これを公開することを実施機関に義務づけているものと解することができ,非公開事由に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分には非公開事由に該当する情報は記録されていないものとみなしてこれを公開することまでをも実施機関に義務づけているものではないと解すべきである(最高裁判所平成13年3月27日第三小法廷判決・民集55巻2号530頁参照)。 第5当裁判所の判断 本件条例の対象とすべき文書本件条例によれば,その付則第1項は,「この条例は,平成13年4月1日から施行する。ただし,第2条第1項の規定(公安委員会および警察本部長に関する部分に限る。)および付則第8項第2号の規定は,規則で定める日から施行する。」と規定している。そして,平成13年規則第104号により,同条だたし書による施行の日は,平成14年4月1日とされ,同付則8項2号によれば,付則1項ただし書に規定する規則で定める日(平成14年4月1日)前に,実施機関である警察本部長の職員が作成し,または取得した公文書で当 施行の日は,平成14年4月1日とされ,同付則8項2号によれば,付則1項ただし書に規定する規則で定める日(平成14年4月1日)前に,実施機関である警察本部長の職員が作成し,または取得した公文書で当該実施機関が保有しているものは,本件条 例第2章の規定を適用しないとされている。 以上からすると,本件文書のうち,平成14年3月31日以前に被控訴人の職員が作成し又は取得した領収書で被控訴人が保有する領収書は,本件条例の適用を受けず,控訴人は本件条例に基づき,同日以前の領収書の公開請求をすることは許されない。したがって,係る領収書の公開を求める請求部分は理由がない。 よって,被控訴人が,平成14年4月1日以降,情報公開請求日現在(平成16年6月2日)までの間に受領し保有する領収書(以下「本件対象文書」という。)について検討すれば,当裁判所は,被控訴人による非公開事由(1号前後段,3号)についての具体的な主張立証がなされないものとして,控訴人の本訴請求は本件対象文書の非公開処分の取消しを求める限度で理由があるものと判断する。その理由は以下のとおりである。 (1)本件条例6条によれば,実施機関は,公文書の公開請求があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(非公開情報)のいずれかが記録されている場合を除き,公開請求者に対し,当該文書を公開しなければならないとし,非公開情報として,被控訴人主張の1号前後段,3号所定のところを含む1ないし6号の情報を定めている。このような規定構造,趣旨にかんがみれば,公文書の公開請求がなされた場合,これに応じて当該公文書を公開することが原則であり,非公開情報が記載されているとの理由で非公開とする処分は例外に位置づけられるのであるから,当該公文書にこのような非公開情報が記載されているものとして非 に応じて当該公文書を公開することが原則であり,非公開情報が記載されているとの理由で非公開とする処分は例外に位置づけられるのであるから,当該公文書にこのような非公開情報が記載されているものとして非公開処分を行う場合は,実施機関においてそのような事由を具体的に主張立証する必要があるというべきである。 そして,この理は,特定個人の識別情報についての例外事由を定めた1号前段のほか,個人識別情報でなくとも,個人の権利利益を害する「おそれ」がある情報について規定した1号後段,さらに,公安情報に ついて,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす「おそれ」があると実施機関が認めることにつき「相当の理由がある」情報について規定した3号にあっても同様と解すべきである。被控訴人は,特に3号該当性の判断については,実施機関である被控訴人に広範な裁量権が付与されており,行政事件訴訟法30条が適用されるべきであると主張するが,本件条例の立法目的と上記規定構造にかんがみれば,開示請求情報が非公開事由に該当するか否かの判断に際しては,裁判所が,行政の専門性に即した実施機関の第一次判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容されるべき限度内のものか否かを審理判断すべきであるとの意味では採用できても,当該該当性判断が裁量処分に属するとの主張は所詮採用の限りではない。 (2)そして,証拠(甲4,弁論の全趣旨)によれば,滋賀県警察本部及び所轄各署においては,犯罪捜査に際しては,捜査関連情報を有していると思われる者に情報提供を求めるほか,犯罪等に関連しない一般人に対しても種々の協力を求め,その場合に受けた協力又は情報等の内容,程度,頻度その他の諸事情を勘案して捜査費ないし捜査報償費(以下「捜査費等」という。)として現金を支払う場合があり,この場合には原則として情報 々の協力を求め,その場合に受けた協力又は情報等の内容,程度,頻度その他の諸事情を勘案して捜査費ないし捜査報償費(以下「捜査費等」という。)として現金を支払う場合があり,この場合には原則として情報提供者等から,①住所,②氏名(本名,なお印影のある場合も含む,以下同じ。),③受領年月日,④受領金額について自筆による領収書を徴していること,しかし,事件関係者の周辺に存在する情報提供者等が,何らかの事情で情報提供者ないし捜査協力者として特定されることを慮り,本名による領収書の作成を渋った場合は,被控訴人もその意向を受け容れ,年月日と受領金額については真実に合致した記載を求めるものの,受領者の氏名,住所については,たとえ真実でない記載をしたものであっても,これを正規の領収書と取り扱って交付を受けていたこと,本件対象文書が,被控訴人の補正の求めに応じて,「ペンネ ームで書かれた領収書」と特定のうえ開示請求されたのには,このような経過があったことが認められる。 (3)かくて,滋賀県警察本部及び所轄署の組織規模から推してみれば,実施機関としての被控訴人の合理的努力により特定し得る相当枚数の領収書が存在し,ここにいうペンネームで書かれた領収書というのもこれら個別領収書の集積群を指すものである。そして,本件条例の趣旨にかんがみれば,これらに非公開情報が記載されているか否かについては,個別領収書ごとの記載の検討が不可欠であるが,被控訴人は,当裁判所の釈明に対しても,下記(4)以上に個別領収書に言及することは,情報そのものの開示につながるとして,係る主張立証方法は採らない旨を明らかにしている。もとより,公文書によっては,関連する事務の種類,当該文書の作成目的,内容等により,個々の公文書を特定して個別文書ごとの主張立証に及ぶまでもなく,個別文書を一括 方法は採らない旨を明らかにしている。もとより,公文書によっては,関連する事務の種類,当該文書の作成目的,内容等により,個々の公文書を特定して個別文書ごとの主張立証に及ぶまでもなく,個別文書を一括りにした主張立証によっても,当該公文書が非公開情報の記載された文書であるか否かが定型的に判断できる場合のあることは否めない。たとえば,仮に本件において,本名により作成された領収書の開示請求がされたような場合,それ自体が捜査協力者等としての個人に関する情報であって,かつ氏名から個人が特定される記載のある文書であることが定型的に判断できるから,このような場合にあっても,多数の個別文書に細分化して,一つひとつの文書について非公開情報の記載の有無を主張立証する労作を重ねることは,実施機関にいたずらに無益かつ過大な負担をかけるだけになるからである。 しかし,後述のとおり,本件ではペンネームで書かれた領収書が問題になっており,上記とは場合を異にするものである。 (4)よって,本件では,上記の限度で被控訴人の主張立証するところにより,本件対象文書が,(ア)1号前段の「個人に関する情報であって,当 該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」,(イ)1号後段の「特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれのあるもの」,(ウ)3号の「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧または捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」が記載された公文書であるか否かを検討することになるが,被控訴人は,(ア) の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」が記載された公文書であるか否かを検討することになるが,被控訴人は,(ア)に該当する事由として,本件対象文書は自筆によるものであるから,新聞等に公開された場合には筆跡,使用印鑑,記載された住所などから特定の個人が識別される,また,住所の記載が作成者の生活圏と関連性を有している場合もあり,これと領収書の作成日が明らかとなれば,これに捜査活動情報を照らし合わせれば,事件関係者等の直近にいる情報提供者の存在が判明して特定の個人が識別され得る,(イ)に該当する事由として,情報提供者等は,いずれも情報の提供その他の協力をなすに際し,被控訴人の所属職員に対し,協力した事実そのものが完全に秘匿されるものと期待,信頼しているのであり,このような期待も裏切ることになる,(ウ)に該当する事由として,本件対象文書が公開された場合,本件対象文書のうち,記載された住所,氏名の全てが真実以外であるとは限らず,一部でも真実の記載がなされていた場合,その筆跡と相まって情報提供者等が特定され,本人や縁者に危害が及ぶおそれがある,情報提供者等の人数や運用所属が判明することにより,事件等の態様に応じた捜査手法や方針が明らかとなり,犯罪を企図する者等が対抗措置を講じて以後の捜査等に支障が生じるおそれがある,本件対象文書を作成した情報提供者等に対する謝礼の額が具体的に明らかになることにより,情報提供者等が自らの謝礼 額と比較することなどによって自らが提供した情報の価値を推測することが可能となり,その結果,以後の協力が得られなくなる等して捜査等に支障が生じるおそれがあるなどと主張する。 しかし,上記認定経過から明らかなとおり,本件対象文書に含まれる た情報の価値を推測することが可能となり,その結果,以後の協力が得られなくなる等して捜査等に支障が生じるおそれがあるなどと主張する。 しかし,上記認定経過から明らかなとおり,本件対象文書に含まれる情報は,せいぜい,氏名,住所,年月日,金額程度の情報であって,しかも,領収書の作成者が,その記載により自らが情報の提供者ないし捜査協力者として特定されることを回避するため,あえて,自己を顕わす符丁としてペンネームを使用したものであるから,事柄の性質上,容易に自己が特定されるような体裁の記載をしていないと推認するのが合理的である。もちろん,各領収書の中には,たとえば,作成者の特異な筆跡の顕れた類のもの,ペンネームの記載が本名と1字しか違えていないような類のもの,住所の記載が作成者の住所の近隣となっている類のもの等々多種多様な記載のあることは予測できないでもないが,これについては,具体的に領収書の記載,体裁に関する個別事情とこれに関する関連事情が明確にされない限り,被控訴人主張のような非公開情報が記載されているか否かが不分明であり,結局,1号前段該当性についての被控訴人の上記主張は抽象的に過ぎ,非開示情報との結びつきは1号後段,3号該当性を述べる点を含めて具体性が希薄であると判断せざるを得ず,他に本件全証拠を検討してもこれを肯定するような資料は発見できない。 以上によれば,控訴人の請求は,本件対象文書に関する公開請求を求める限度で理由があるから,本件処分のうち同部分に係る処分を取り消すこととし,控訴人のその余の本件処分の取消しを請求する部分は理由がないから棄却し,これと結論を異にする原判決を主文のとおり変更することとする。よって,訴訟費用の負担について,民事訴訟法67条2項,64条ただし書,61条を適用して,主文のとおり判決する。 ないから棄却し,これと結論を異にする原判決を主文のとおり変更することとする。よって,訴訟費用の負担について,民事訴訟法67条2項,64条ただし書,61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第6民事部裁判長裁判官渡邉安一裁判官矢延正平裁判官川口泰司

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