平成28年9月9日宣告平成2884号殺人被告事件判決 主文 被告人を懲役14年に処する。 未決勾留日数中170日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,同居していた交際相手のA(当時31歳)が他の男性に好意を寄せているものと強く疑うようになっていたところ,自身が自宅で貯めていた現金を同女が勝手に使い果たしたとして口論になったことなどをきっかけに,同女の気持ちが自分から離れつつあると感じ,同女を自分の元に引き留めておきたいとの思いなどから,同女を殺して自分も死のうと決意し,平成28年1月21日頃,札幌市(以下略)被告人方において,同女に対し,殺意をもって,頸部を洗濯ひもで絞め,よって,その頃,同所において,同女を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害したものである。 (法令の適用)被告人の判示所為は刑法199条に該当するところ,所定刑中有期懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役14年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中170日をその刑に算入することとし,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)被告人は,睡眠導入剤を服用して寝入っている無抵抗の被害者の体に馬乗りになり,その首を洗濯ひもで絞め続け,いったん力を緩めた際に息をするような音がしたと感じた後,更に絞め続けて殺害を遂げたものである。証拠上は本件に計画性があったとは認められないものの,その手口からすると,強固な殺意に基づく犯行であることは明らかである。 被告人は,被害者が他の男性に好意を寄せているのかどうかなど,実際のところは必ずしも定かではない状況で疑いを強め,判示のような思いから犯 固な殺意に基づく犯行であることは明らかである。 被告人は,被害者が他の男性に好意を寄せているのかどうかなど,実際のところは必ずしも定かではない状況で疑いを強め,判示のような思いから犯行を決意したのであって,動機は身勝手というほかない。仮に,被告人が抱いていた疑いが真実そのとおりであったとしても,被害者に殺害されるまでの落ち度があることにはならないのであって,やはり同情の余地はないというべきである。本件がいわゆる心中事案に見られる特徴をもつ事案ではないことは明らかである。 また,犯行後の行動をみると,被告人は,遺体を姦淫するなどといった自分本位な行動にも出ている。なお,被告人は被害者を殺害して自分も死のうと犯行に及んだものであるが,犯行後1度は自殺を試みるも,程なくその意思を失っている。 そこで,以上を踏まえ,同種事案についての量刑傾向(とりわけ,男女関係に端を発して,ひも・ロープ類を使い強固な殺意をもって被害者を殺害した事案のうち,計画性までは認められないものの量刑傾向など)にも照らして刑期を検討することとし,その上で,遺族である被害者の実父が厳しい処罰感情をあらわしていること,被告人は,その求めを受けて反省文を作成送付し,公判廷では自分なりに謝罪の言葉を述べているが,他方において,そのほかにはこれまで謝罪の措置を講じていないことなどを考慮して,主文の刑を定めた。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役15年)平成28年9月15日札幌地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官金子大作 裁判官坂田正史 裁判官坂本 桃 官坂田正史 裁判官坂本 桃
▼ クリックして全文を表示