令和5(わ)467 傷害致死被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月6日 静岡地方裁判所 浜松支部
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判決文本文2,182 文字)

令和5年(わ)第467号判決 主文 被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中300日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は、令和5年10月21日午前8時頃から同日午後0時37分頃までの間に、愛知県新城市所在のA方において、同人(当時52歳)に対し、暴行を加えて その頭部に強い衝撃を与え、急性硬膜下血腫等の傷害を負わせ、同人が前記暴行により死亡したとの認識の下、事故死を装うため、同日午後6時21分頃から同日午後8時55分頃までの間に、浜松市甲区付近において、同人の身体を浜名湖の湖面に投棄し、よって、同日午前8時頃から同日午後8時55分頃までの間に、愛知県内又は静岡県内において、同人を前記傷害により又は前記傷害に伴う意識障害下で の溺死により死亡させた。 (法令の適用)罰条刑法205条未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書 (量刑の理由)犯行態様をみると、被害者は身長143センチメートル、体重38.5キログラムと小柄であったのに対し、被告人は身長約170センチメートル、体重80キログラム余りであって、このように体格差のある相手に対し、被告人は、頭上付近まで振り上げた拳を、床に座り無抵抗な状態であった被害者の頭頂部目掛けて勢いよ く振り下ろし、手加減なく殴打する暴行を、被害者がうなり声を上げ、息遣いを荒 くするまでの間、複数回にわたって行った。これにより、被害者にそれのみで直接の死因ともなり得る極めて重篤な急性硬膜下血腫等の頭部損傷を負わせたのであるから、その態様は、身体の枢要部に対する相当に強度なもので、危険性が高く非常に悪質である。 次に、犯行動機 れのみで直接の死因ともなり得る極めて重篤な急性硬膜下血腫等の頭部損傷を負わせたのであるから、その態様は、身体の枢要部に対する相当に強度なもので、危険性が高く非常に悪質である。 次に、犯行動機、経緯についてみると、被告人は、本件の三、四年前頃から、被 害者に、遊興費として使用するための金銭を度々要求し、送迎等の雑用を命じたり、日常的に起床・就寝、草取り、内職の時間を指示したりするなどして、その生活に強く干渉していたところ、本件当日、被害者方で同人宛のクレジット系の葉書らしきものを発見し、それまで生活の全てを管理し、意のままに従わせていると思っていた被害者が、被告人の与り知らぬところで借金をし、さらにその葉書について尋 ねてもすぐには説明しないことに苛立ち、居間において、被害者に説明を迫る等して前記のような強度の暴行を加えた。そして、自ら葉書を開披し、被害者がクレジットカードを作って買い物をしたと告白し、納戸においてそのカードを差し出したのを見て、自身が要求できる金が減るなどとの思いから、さらに強く憤慨し、被害者に再び強度の暴行を加えた。このように、本件犯行は突発的かつ衝動的なもので はあるが、暴力によって被害者を問い詰め、意に沿わない行動をした同人を痛めつけて懲らしめる意図もうかがわれるのであって、単に怒りに任せた暴行という以上の強い犯意が認められる。被告人が被害者に対して抱いた怒りや苛立ちは全くもって理不尽なものであり、その動機や犯行に至る経緯は極めて身勝手かつ自己中心的で強い非難に値する。 以上の犯情を踏まえれば、本件は、同種の傷害致死(単独犯、凶器等なし、被害者の立場が知人・友人・勤務先関係、被害者の落ち度なし、示談又は宥恕なし、累犯前科・同種前科・執行猶予中の前科・仮釈放中の前科・その他量刑上考慮 れば、本件は、同種の傷害致死(単独犯、凶器等なし、被害者の立場が知人・友人・勤務先関係、被害者の落ち度なし、示談又は宥恕なし、累犯前科・同種前科・執行猶予中の前科・仮釈放中の前科・その他量刑上考慮した前科なし、犯意が偶発的・一時的、処断罪名と異なる主要な罪なし)の事案の中では、やや重い部類に属する。 その上で一般情状についてみると、遺族は後述のとおり、被告人から支払われた 金銭を受領してはいるが、被告人が被害者に度々金銭を要求し、何の落ち度もない被害者に暴行を加えて浜名湖に投棄し、その尊い命が理不尽に奪われたという本件の経緯に鑑みれば、なお、遺族が厳しい処罰感情を有するのは当然であり、その点は量刑上考慮すべき事情である。 他方、被告人が、本件後に勤務先を退職して得た退職金500万円余りにその余 のほぼ全財産を合計した700万円を、被害者の損害への一部填補として遺族に支払ったことは、被告人が現時点でできる最大限の償いと反省の態度を示す姿勢の表れとして、被告人のために酌むべき事情として考慮することができる。 そして、以上のとおり、当裁判所は、被告人にとって酌むべき事情は十分に考慮をしたが、検察官もその点については勘案した上で求刑をしたものと考えられる上、 上記で述べた本件犯情の悪質性等からすると、被告人に対しては、検察官の求刑どおりの刑を科すのが相当であると判断した。 (求刑-懲役7年弁護人の科刑意見-懲役4年)令和7年2月6日静岡地方裁判所浜松支部刑事部 裁判長裁判官來司直美 裁判官杵渕花絵 裁判官志村敬一 直美 裁判官杵渕花絵 裁判官志村敬一

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