平成13(レ)34 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年2月26日 千葉地方裁判所 佐倉簡易裁判所 平成12(ハ)573
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判決文本文14,725 文字)

平成15年2月26日判決言渡平成13年(レ)第34号損害賠償請求事件(原審・佐倉簡易裁判所平成12年(ハ)第573号)判決 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は,控訴人に対し,10万4035円を支払え。 (2) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 申立て 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,20万円を支払え。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要本件は,控訴人が,控訴人代表者が控訴人所有の貨物自動車を運転して被控訴人の管理に係る市道を通過した際,私有地から市道上に張り出していた樹木の枝が上記貨物自動車の車体に接触してその車体に擦過痕が生じ,車体修理費用25万672  5円の損害を被った旨主張して,上記市道を管理する被控訴人に対し,国家賠償法2条1項に基づき,上記貨物自動車の車体修理費用相当の損害金25万6725円の一部である20万円の支払を請求した事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実は証拠を掲記しない。)(1) 控訴人は,事業用普通貨物自動車(千葉○○○○○○○。以下「本件車両」という。)を所有している。 被控訴人は,別紙1記載の市道甲号線(以下「本件道路」という。)を管理している。 (2) 控訴人代表者は,平成12年5月下旬ころ,本件車両を運転して,別紙1記載の市道乙号線を・方向から・方向に進行し,別紙1記載の 道甲号線(以下「本件道路」という。)を管理している。 (2) 控訴人代表者は,平成12年5月下旬ころ,本件車両を運転して,別紙1記載の市道乙号線を・方向から・方向に進行し,別紙1記載のA宅(千葉県八街市○○○○○番地。以下「A宅」という。)付近のT字路に至り,同T字路を左折して,市道乙号線から本件道路に進入し,A宅前を通過して・方向に進行した(甲9ないし11,15,24,当審における控訴人代表者尋問の結果〔第1,2回。以下「控訴人代表者」と表示する。〕。なお,乙3の撮影位置図参照。)。 (3) 本件車両は,いわゆるパネルバン型(トラックの荷台が箱型になったもの)で,幅2.19メートル,高さ3.43メートル,長さ8.35メートルの4トントラック(その側面の形状は概ね別紙2のとおり。)であり,車体のうち箱型の荷台部分はアルミ製であった(甲3,7,控訴人代表者)。 本件道路は,幅員約4.5メートルの市道であり,両側に幅約0.5メートルの側溝があり,側溝のうち,別紙図面1の市道乙号線と本件道路との交差点から・に向かって右側(以下,別紙図面1の市道乙号線と本件道路との交差点から・に向かって右側を単に「右側」と,左側を単に「左側」という。)の側溝には,一般車両の重量に耐えうる蓋が被されており, 路肩として車両の通行の用に供されていた。これに対し,左側の側溝には,蓋はされていなかった(乙2,4,7の①,7 の②ないし⑤の各①,②,8の①ないし④)。そして,本件道路の通行が許される車両の幅,高さ,長さの最高限度は,それぞれ,幅2.5メートル,高さ3.8メートル,長さ12メートルであり,本件車両は本件道路の通行を許されていた。 また,A宅敷地内には本件道路左側に沿って樹木 高さ,長さの最高限度は,それぞれ,幅2.5メートル,高さ3.8メートル,長さ12メートルであり,本件車両は本件道路の通行を許されていた。 また,A宅敷地内には本件道路左側に沿って樹木が植えられていたが(以下「本件樹木」という。),本件樹木の枝は, 道路面から植木ばさみ(刈込ばさみ)を使って手の届く高さまでは,Aの妻によって平成10年ころに剪定されているが, それより上にあるものについては,平成9年にAにより剪定されてから平成12年9月27日にA及びその家人により剪定されるまでの間,剪定はされていなかった(乙14,24,証人A,控訴人代表者)。 (4) 控訴人は,前記(2)の本件道路通過の際,A宅敷地内から本件道路上に張り出していた樹木の枝が本件車両に接触したために,本件車両車体に擦過痕が生じたと主張(以下,原告主張の上記擦過痕を「本件損傷」といい,本件損傷の原因となった原告主張の事故を「本件事故」という。)して,平成12年6月20日,Aを相手方として,本件損傷による損害賠償を求める調停(佐倉簡易裁判所平成12年・第128号。以下「本件調停」という。)を申し立て,同年9月13日,Aとの間で,①Aが控訴人に対し本件事故に関する損害賠償金として5万円を支払うこと,②Aが控訴人に対し同月末日限り,本件道路上に張り出した本件樹木の枝を剪定することを確約する旨の内容の調停を成立させた(以下,本件調停において成立した条項を「本件調停条項」という。甲21,乙9)。 (5) Aは,本件調停条項に従い,控訴人に対して,本件事故の損害賠償金として5万円を支払い,かつ,平成12年9月27 日,本件樹木の枝を剪定した。 2 争点本件の争点は,本件損傷は,本件車両が本件道路を通過 項に従い,控訴人に対して,本件事故の損害賠償金として5万円を支払い,かつ,平成12年9月27 日,本件樹木の枝を剪定した。 2 争点本件の争点は,本件損傷は,本件車両が本件道路を通過するに際し本件樹木の枝と接触して生じたものか(争点1),被控訴人に本件道路の管理の瑕疵があったか(争点2),被控訴人の被った損害額(争点3)及び過失相殺(争点4)である。 (1) 争点1(本件損傷は,本件車両が本件道路を通過するに際し本件樹木の枝に接触して生じたものか。)ア控訴人の主張上記1,(2)記載の前提事実のとおり,控訴人代表者は,平成12年5月下旬ころ,本件車両を運転し,市道乙号線から本件道路に進入したところ,反対方向から普通乗用自動車が2台続いて進行してきたため,市道乙号線と本件道路が交差するA宅の角(以下「A宅角」という。)から20メートルほど進行した位置で,対向車との衝突を避けるため,本件車両を左側のA宅側に寄せて対向車とすれ違い進行させた。その際,本件車両左側面と本件道路に張り出していた本件樹木の枝が接触し,箱型の荷台部分のおおよそ別紙2記載の位置に本件損傷が生じたものである。 イ被控訴人の主張・控訴人の主張記載の事実は否認する。 ・本件道路側に張り出していた本件樹木の枝は,道路面から3.5メートルほどの高さにある。このことは,Aが本件調停条項に従い,平成12年9月27日に本件樹木の枝を剪定した際,A宅角から10メートルほどの範囲内に,地上約3.5メートルの高さで約1メートル本件道路上に枝がはみ出ているところが2,3か所あったが,人や車の通行に特別な支障がない状況であったことに照らし明らかである。 ,地上約3.5メートルの高さで約1メートル本件道路上に枝がはみ出ているところが2,3か所あったが,人や車の通行に特別な支障がない状況であったことに照らし明らかである。 ところで,本件損傷の位置は,道路面から3.15メートル以下の高さであるから,本件樹木の枝の高さとは一致せず,したがって,本件車両は,本件道路に張り出していた本件樹木との接触により本件損傷を被ったものではない。 ・控訴人は,本件事故の日時,場所等について,主張を変遷させており,また,本件車両が本件損傷を受けたとする前後に,被控訴人に対し,本件樹木の枝を剪定するよう要求する電話をかけていながら,本件損傷を受けたという日の後に電話をかけた際にその事実を被控訴人に告げていないこと,さらに,本件損傷の写真とされる甲2の③ないし⑧と甲 12の①とを比べると,ボディデザインの凹凸のつぶれが前者の写真にはないので,後者の写真に写されている凹凸のつぶれは前者の写真が撮影された後に生じたものであると推測されること,控訴人主張のように本件車両が本件樹木の枝と接触しながら低速で走り抜けたとすれば,本件車両は,引っ掻き傷のような損傷を被るはずであるのに,実際には横から押されたような本件損傷を被っていることなどを考慮すると,本件車両が本件樹木の枝と接触して本件損傷を被った旨の控訴人の主張には重大な疑念が存する。 (2) 争点2(被控訴人に本件道路の管理の瑕疵があったか。)ア控訴人の主張本件事故発生当時,本件樹木の枝は,本件道路の左側沿いにA宅角から30メートルほど進行したところまでの間,道路面から約1メートルないし約4メートルの高さにおいて,左側側溝 人の主張本件事故発生当時,本件樹木の枝は,本件道路の左側沿いにA宅角から30メートルほど進行したところまでの間,道路面から約1メートルないし約4メートルの高さにおいて,左側側溝の右端から約1メートルないし約2メートル本件道路に張り出していた。本件道路は,以上のとおり,本件事故発生当時,本件樹木の枝が本件道路に張り出していたため, 本件車両が対向車とすれ違い進行する場合には,本件樹木の枝と接触し,車体に損傷を受ける危険性が極めて高い状態にあった。 このように,本件樹木の枝は,本件道路の交通の安全を妨害していたところ,被控訴人は,控訴人から,平成12年5 月12日及び同月23日に電話で本件樹木の枝の剪定を要請され,本件樹木の枝により本件道路の交通の安全が妨害されているのを知ったのであるから,本件樹木の所有者であるAを説得して,本件樹木の枝の剪定をさせるか,それができないのであれば,標識を設置したり,職員を配置するなどして,本件道路の通行車両に注意喚起をし,もって,本件樹木の枝と通行車両の接触事故を防止すべきであったにもかかわらず,何らの措置も講じなかった。 以上を総合すると,本件道路は,道路として通常有すべき安全性を欠いていたというべきであり,被控訴人には,本件道路の管理の瑕疵が認められる。 イ被控訴人の主張本件事故発生当時,本件樹木の枝は,A宅角から約10メートル進行した地点までの範囲において,道路面から3.5 メートルほどの高さで,左側側溝の右端から約1メートル本件道路側に張り出していた場所が2,3か所あるにすぎない。また,控訴人代表者は,本件事故発生当時,対向車と譲り合うなどして,本件道路側に張り出し の高さで,左側側溝の右端から約1メートル本件道路側に張り出していた場所が2,3か所あるにすぎない。また,控訴人代表者は,本件事故発生当時,対向車と譲り合うなどして,本件道路側に張り出していた本件樹木の枝との接触を避けて本件車両を進行させることは十分に可能であった。したがって,本件道路が対向車とすれ違うことが困難な状況にあったということはできない。 なお,被控訴人担当者は,控訴人から,平成12年5月12日に本件樹木の枝を剪定するよう要請されたため,その 2,3日後に,Aに対し,本件樹木の剪定を依頼し,さらに,同月23日にも本件樹木の枝を剪定するよう要請されたので,同日,現場に赴き本件樹木の枝が本件道路に張り出した状態を確認したが,車両が本件道路を通行するのに障害はないと判断したものである。 そもそも,被控訴人は,幹線市町村道以外の一般市町村道である本件道路について,すべての車両がすれ違い進行できるように道路整備しなければならない義務はない。 したがって,本件道路が,道路として通常有すべき安全性を欠いていたということはできず,被控訴人に本件道路の管理の瑕疵は認められない。 (3) 争点3(控訴人の被った損害額)ア控訴人の主張控訴人の損害,すなわち,本件損傷による本件車両修理費用は,25万6725円が相当である。 イ被控訴人の認否控訴人の主張記載の事実は否認する。 (4) 争点4(過失相殺)ア被控訴人の主張控訴人の損害額を算定するに当たっては,控訴人には,①控訴人代表者が本件道路に進入せず迂回することができたのにもかかわらず,あえて本件道路に進入したこと,②控訴人代表者が本件 主張控訴人の損害額を算定するに当たっては,控訴人には,①控訴人代表者が本件道路に進入せず迂回することができたのにもかかわらず,あえて本件道路に進入したこと,②控訴人代表者が本件道路に進入する前,T字路交差点にあるカーブミラーで対向車の存在を確認することができたのであるから,本件道路に進入せずに対向車の通過を待つべきであったのにもかかわらずこれをしなかったこと,③控訴人代表者が対向車とすれ違う際,本件車両を一時停止させて対向車の通過を待つべきであったのにもかかわらずこれをしなかったこと,④本件道路には対向車が退避できる場所があるから,退避場所に対向車を誘導し危険を回避すべきであったのにこれをしなかったこと,⑤本件事故が発生する前にAに本件樹木の枝を切除するように申し込むべきであったのに,これを怠ったことなどの過失が認められるから,過失相殺をすべきである。 イ控訴人の認否被控訴人の主張記載の事実は否認し,主張は争う。 第3 争点に対する判断 1 証拠(甲1,2の①ないし⑧,3,4,7ないし11,12の①,②,13,14の①,②,15ないし18,19の①ないし⑨,20,21,22及び23の各①,②,24,乙2ないし4,5の①,②,6,7の①,②,8の①ないし④,9,  10,11の①,②,12ないし22,23の①,②,24ないし27,証人X,同A,控訴人代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)ア控訴人代表者は,平成12年4月中旬ころから,本件車両を運転して本件道路を通行するようになったが,本件樹木の枝が本件道路に張り出していて,本件道路の通行の障害となっていることを知り,同年5月12日,本件道路を管理して 中旬ころから,本件車両を運転して本件道路を通行するようになったが,本件樹木の枝が本件道路に張り出していて,本件道路の通行の障害となっていることを知り,同年5月12日,本件道路を管理している被控訴人道路管理課に電話をかけ,同課担当者Y(以下「Y」という。)に対し,本件樹木の枝が本件道路の通行の障害となっている旨説明し,本件樹木の枝の本件道路に張り出した部分の剪定を依頼した。これを受けて,Yは,その 2,3日後,A宅に電話をかけ,その家人に対し,本件樹木の枝を剪定してほしい旨,その趣旨をAに伝えてほしい旨依頼した。 イ控訴人代表者は,平成12年5月23日,本件樹木の枝の剪定がなされないので,再度,被控訴人道路管理課に電話をかけ,Yに対し,本件樹木の枝の剪定を依頼した。これを受けて,Yは,同日,A宅に電話をかけたがA及びその家人は不在であった。 そこで,被控訴人道路管理課担当者Xは,同日,本件道路に赴き,本件樹木の枝が本件道路に張り出した状態を目測し,本件樹木の枝が,本件道路の道路面から約3.5メートルの高さで本件道路左側端から約1メートル本件道路上にはみ出ている場所が2,3か所あると判断した。Xは,道路面から約2メートルの高さにおいて,本件道路の中ほどまで本件樹木の枝が覆い被さっている状態の場合には本件道路の通行に支障がでるが,そこまで出ていなければ通行に支障が生じることはないと考え,本件樹木の枝がはみ出している程度が上記の程度に留まることから,既にAにより本件樹木の剪定がされ,本件樹木の枝が本件道路の通行の障害となることはなくなったと速断し,それ以上に何らの措置も講じないで引き返した。 (2)ア控訴人代表者は から,既にAにより本件樹木の剪定がされ,本件樹木の枝が本件道路の通行の障害となることはなくなったと速断し,それ以上に何らの措置も講じないで引き返した。 (2)ア控訴人代表者は,その後の平成12年5月下旬ころ,本件車両を運転してA宅角を左折し,市道乙号線から本件道路に進入したところ,A宅角から約10メートルの地点で本件道路の右側に軽貨物自動車が駐車されているのを確認した。 控訴人代表者は,その際,上記軽貨物自動車の左側を,本件車両と同じ方向に自転車が1台進行していたので,この自転車が上記軽貨物自動車の脇を通り過ぎるのを待って,本件車両を進行させたところ,反対方向から,普通乗用自動車が 2台続いて,時速約5キロメートルないし約10キロメートルのスピードで進行してきた。 イ控訴人代表者は,対向車の運転者に対して,対向車を後退させて本件車両に道を譲るように求めることにためらいを感じ,また,本件車両を後退させて対向車に道を譲ることも後続車が来る可能性があってためらわれたため,本件車両が本件樹木の枝に接触する可能性があることを認識していたものの,対向車との接触を避けるために,A宅角から約20メートル進行したところにおいて,本件車両を,本件道路左側のA宅側に寄せて,低速で対向車とすれ違い進行させた。 その際,控訴人代表者は,本件車両の左側面に本件樹木の枝が強く接触したとの感触を受けた。 ウ控訴人代表者は,上記イの翌日,本件車両の車体を確認したところ,別紙2のとおり本件車両の箱型荷台部分の左側面の道路面からの高さ約2. 2メートルないし約3.15メートルのところに,今までなかった本件損傷が生じていることを発見した。 (3)ア控訴人 のとおり本件車両の箱型荷台部分の左側面の道路面からの高さ約2. 2メートルないし約3.15メートルのところに,今までなかった本件損傷が生じていることを発見した。 (3)ア控訴人代表者は,その後も本件樹木の枝の剪定がされていないので,平成12年6月2日,被控訴人道路管理課に電話をかけ,同課担当者Zに対し,本件樹木の枝が通行の障害になっている旨説明した。なお,控訴人代表者は,本件樹木の枝を剪定してもらい本件道路の安全な通行を確保することが第一であると考え,本件事故のことをZに伝えなかった。 Yは,上記電話の内容を伝えられたので,同日,A宅に電話をかけ,再度,Aの家人に対し,本件樹木の枝を剪定してほしい旨,このことをAに伝えてほしい旨依頼した。 イさらに,控訴人代表者は,平成12年6月9日,被控訴人道路管理課に電話をかけ,また,同月10日には,Aに直接話すなどして,本件樹木の枝の剪定を依頼したが,何らの措置も講じられなかった。 ウそこで,控訴人は,平成12年6月20日,前記第2,1,(4)記載の前提事実のとおり,Aを相手方として佐倉簡易裁判所に本件調停を申し立て,同年9月13日,Aとの間で,①Aが控訴人に対し本件事故の損害賠償金として5万円を支払うこと,②Aが控訴人に対し同月末日限り本件道路上に張り出した本件樹木の枝を剪定することを確約する旨の内容の調停を成立させた。 なお,控訴人は,本件調停を申し立てるに当たり,司法書士に依頼して申立書を作成してもらったが,その際,本件事故の内容を司法書士に十分説明しなかったため,控訴人代表者が本件車両を運転して本件道路を通行するようになった平成12年4月中ころが本件事故の発生時期で 成してもらったが,その際,本件事故の内容を司法書士に十分説明しなかったため,控訴人代表者が本件車両を運転して本件道路を通行するようになった平成12年4月中ころが本件事故の発生時期であると司法書士に誤解され,その旨記載された申立書が作成された。 エ Aは,本件調停条項に従い,平成12年9月25日,本件樹木の枝を剪定することとし,被控訴人道路管理課に対し, その協力を依頼した。 そこで,被控訴人道路管理課担当者Xは,同月27日,人の手の届かない高さの枝を剪定するために重機(ショベルローダ)を用意し,Xが重機を運転し,Aが重機のバケットに乗って,A宅角から約25メートル進行したところまでの間,本件樹木の道路面から約3.5メートルの高さの枝を鋸で剪定した。なお,Aは,本件樹木の枝を,本件道路の左側側溝付近の位置で剪定しており,その付近の高さは上記のとおり約3.5メートルであるが,それより先端の本件道路に覆い被さっている部分の高さは,枝の垂れ下がり等を考慮すると,剪定された部分の高さ約3.5メートルより低かったと推認できる。 2 前記第2,1記載の前提事実及び上記1記載の認定事実(以下「認定事実」という。)を前提に判断する。 (1) 争点1(本件損傷は,本件車両が本件道路を通過するに際し本件樹木の枝に接触して生じたものか。)について控訴人は,本件損傷は本件道路において,本件車両が本件樹木の枝と接触したことにより生じたものであると主張し,被控訴人はこれを否認するので,この点について判断する。 ア認定事実,殊に,①控訴人代表者は,平成12年5月下旬ころ,本件道路において本件車両を対向車とすれ違い進行させた際,本件車両の左側面に本件樹木の るので,この点について判断する。 ア認定事実,殊に,①控訴人代表者は,平成12年5月下旬ころ,本件道路において本件車両を対向車とすれ違い進行させた際,本件車両の左側面に本件樹木の枝が強く接触したとの感触を受け,その翌日,本件車両の車体を確認したところ,本件車両の箱型の荷台部分の左側面に今までなかった本件損傷が生じていることを発見したこと,②控訴人代表者が本件事故の発生前から,被控訴人道路管理課担当者に対して,本件樹木の枝が本件道路に張り出しており,本件車両の通行の障害となっている旨訴え出ていたこと,③本件樹木の枝については,平成10年にAの妻が植木ばさみ(刈込ばさみ)を使って手の届く高さまでは剪定したが,それ以上の高さについては,平成9年以降剪定されていなかったこと,④ 被控訴人道路管理課担当者Xが平成12年5月23日当時目測したところによっても,本件樹木の枝は,少なくとも,道路面から約3.5メートルの高さにおいて,約1メートル本件道路に張り出している状態であったこと,しかも,本件樹木の枝は平成12年9月27日に概ね約3.5メートルの位置で剪定されたが,剪定された位置より先の部分は,剪定された部分の枝の高さよりもさらに低くなっていると推認されること,⑤本件損傷は,別紙2のとおり,本件車両の箱型の荷台部分の左側面に地面と平行に長さ約35センチメートルないし約60センチメートルの数本の筋が付いたものであるが,これは,走行している本件車両の箱型の荷台部分の左側面に数本の何らかの棒状のものが押し付けられたことにより生じた損傷であるということができ,本件車両の箱型の荷台部分が比較的柔らかい素材であるアルミ製であることを考慮すると, 分の左側面に数本の何らかの棒状のものが押し付けられたことにより生じた損傷であるということができ,本件車両の箱型の荷台部分が比較的柔らかい素材であるアルミ製であることを考慮すると,本件車両が進行中に本件樹木の枝と接触して生じたものであると考えても矛盾しないことを考慮すれば,本件損傷は,本件車両が本件道路において対向車とすれ違い進行した際に,本件道路に約 1メートル張り出していた本件樹木の枝と接触したために生じたものであると認められる。 イ上記アの認定に対し,被控訴人は,本件道路に張り出している本件樹木の枝の高さが約3.5メートルであることを前提として,本件車両の高さがそれ以下であるから,本件車両が本件樹木の枝に接触したことにより本件損傷が生じるはずがない旨主張する。しかし,上記アで認定したとおり,本件樹木の枝が本件道路部分に張り出している高さは,約3.5 メートルよりも低いと推認できるから,この点での被控訴人の主張は,前提を欠き採用することができない。 また,被控訴人は,控訴人が,本件事故の日時,場所について主張を変遷させており,本件車両が本件樹木の枝と接触して本件損傷を被った旨の控訴人の主張には重大な疑念が存する旨主張する。確かに,控訴人は,本件調停を申し立てるに当たり,本件事故発生の日を平成12年4月中ころと主張していたところ,本訴においてはそれが同年5月下旬ころと主張して本件事故発生の日についてその主張を変遷させていることが認められる。しかし,これは,前記1,(3),ウのとおり,控訴人が本件調停を申し立てるに当たり,申立書を作成してもらった司法書士に本件事故の内容を十分説明をしなかったため,司法書士が本件事故発生の日を誤 れは,前記1,(3),ウのとおり,控訴人が本件調停を申し立てるに当たり,申立書を作成してもらった司法書士に本件事故の内容を十分説明をしなかったため,司法書士が本件事故発生の日を誤解して記載したものと認められるのであり,これを除くと,控訴人の主張は,本件事故が同年5月下旬ころに発生したということで一貫しているのであって,本件事故発生日に関する控訴人の主張に上記のような変遷があるからといって,控訴人の本件事故発生に関する主張に重大な疑念があるということはできない。また,本件事故は,本件車両が本件道路を進行中に対向車とすれ違い,その結果,本件車両の箱型の荷台の左側面が本件樹木の枝と接触したというものであり,控訴人代表者が接触した場所を正確に把握できなかったとしても無理からぬ面があり,控訴人代表者が,大筋として,A宅角から約20メートルの地点で本件車両が本件樹木の枝に接触した旨供述していることに照らすと,上記接触位置について控訴人代表者の供述が多少変遷していることをもって,直ちに,控訴人代表者の供述が信用できないということはできない。したがって,この点での被控訴人の主張は,採用することができない。 さらに,被控訴人は,控訴人が,本件事故発生後の平成12年6月2日に,被控訴人道路管理課に電話をかけた際,本件事故につき話をしなかったのは不自然であり,本件事故が発生した旨の控訴人の主張には重大な疑念が存する旨主張する。しかし,前記1,(3),アのとおり,控訴人代表者は,当時,本件樹木の枝を剪定してもらい,本件道路の通行の安全を確保するのが第一であると考え,被控訴人道路管理課のZにその旨を伝えなかったと認められるから,この点での被 ,控訴人代表者は,当時,本件樹木の枝を剪定してもらい,本件道路の通行の安全を確保するのが第一であると考え,被控訴人道路管理課のZにその旨を伝えなかったと認められるから,この点での被控訴人の主張は,採用することができない。 最後に,被控訴人は,最初に本件損傷を写したといわれる写真(甲2の③ないし⑧)とその後に本件損傷を写したといわれる写真(甲12の①)を比べると,本件車両のボディデザインの凹凸のつぶれが前者になく,後者にあるので,後者の写真に写されているボディデザインの凹凸のつぶれは,前者の写真が撮影された後に生じたものである旨主張する。確かに,前者の写真には本件車両のボディデザインの凹凸のつぶれが明瞭には写っていないが,これは,写真を撮影する際の光の当たり加減や撮影の角度によるものであって,前者の写真にボディデザインの凹凸のつぶれが明瞭に写っていないからといって,前者の写真撮影当時,ボディデザインの凹凸のつぶれがなかったと断定することはできないのであり,したがって,この点での被控訴人の主張をもって,上記アの認定を覆すことはできないものである。その他,被控訴人は,本件事故発生に関する控訴人の主張には疑問がある旨るる主張するが,認定事実に照らし,いずれも採用することができない。 (2) 争点2(被控訴人に本件道路の管理の瑕疵があったか。)について控訴人は,被控訴人に本件道路の管理の瑕疵があったと主張し,被控訴人はこれを争うので,この点について判断する。 ア前記第2,1,(3)記載の前提事実のとおり,本件道路は,幅員約4.5メートル(なお,路肩として通行可能な右側側溝の蓋部分の幅約0.5メートルを含めると約5メートルである。) る。 ア前記第2,1,(3)記載の前提事実のとおり,本件道路は,幅員約4.5メートル(なお,路肩として通行可能な右側側溝の蓋部分の幅約0.5メートルを含めると約5メートルである。)であることが認められ,これによれば,本件道路は,よほどの大型車でない限りすれ違って進行することが可能な道路であるということができる。そして,本件道路には,進入禁止や一方通行等の標識が立てられている形跡がないこと(乙3,弁論の全趣旨)からすれば,道路管理者である被控訴人としては,本件道路につき,車両がすれ違って進行することを当然に予定していたと認められる。 イ前記第2,1,(3)記載の前提事実のとおり,本件道路は,その通行が許される車両の幅,高さ,長さの最高限度は, それぞれ,幅2.5メートル,高さ3.8メートル,長さ12メートルであり,本件車両は,幅2.19メートル,高さ 3.43メートル,長さ8.35メートルであるから,本件道路の通行を当然に許されていたところ,上記(1)のとおり,本件事故当時,本件道路の道路面から約3.5メートルよりも低い位置,すなわち,本件車両を含めて本件道路を通行することが許されていた車両に接触する位置に,本件樹木の枝が左側側溝の右端から約1メートル本件道路に張り出していたことからすれば,本件道路は,本件車両のような車両が対向車とすれ違い進行する場合,客観的にみて,本件樹木の枝と接触する危険性が極めて高い状態にあったということができる。 したがって,本件道路は,本件事故発生当時,本件樹木の枝が本件道路に張り出していたため,本件車両が対向車とすれ違い進行する場合には,本件樹木の枝と接触し,車体に損傷を受ける危険性が極めて高い状 たがって,本件道路は,本件事故発生当時,本件樹木の枝が本件道路に張り出していたため,本件車両が対向車とすれ違い進行する場合には,本件樹木の枝と接触し,車体に損傷を受ける危険性が極めて高い状態にあり,道路として通常有すべき安全性を欠く状態になっていたと認められる。 ウまた,認定事実によれば,控訴人代表者は,本件事故が発生する前である平成12年5月12日及び同月23日,本件道路を管理している被控訴人道路管理課に電話をかけ,同課担当者Yに対し,本件樹木の枝が本件道路の通行の障害となっている旨説明し,本件樹木の枝の本件道路に張り出した部分の剪定を依頼したというのであるから,被控訴人は,本件道路及び本件樹木の枝の状態を把握し,通行車両と本件樹木の枝との接触事故が発生する可能性を予見して,直ちにAを説得して本件樹木の枝を剪定させ,又は,直ちに本件樹木の枝を剪定することが無理であれば,本件樹木の枝が張り出している部分を通行禁止にするなどして車両が本件樹木の枝と接触する事故が発生するのを防止する措置を講じることが十分可能であったということができる。しかしながら,認定事実によれば,被控訴人は,その道路管理課担当者であるYにおいて,Aの家人に本件樹木の枝の剪定を依頼したものの,それ以上の措置を講じず,約半月間にわたり,車両が本件樹木の枝に接触する危険性が高い状態をそのままにして放置したものである。すなわち,その後,状況の把握のため本件道路に赴いた被控訴人道路管理課担当者Xは,目測により,既にAにより本件道路に張り出した部分の本件樹木の枝は剪定されたものであり,本件樹木の枝は本件道路の通行の障害とはなっていないと速断し,それ以上の措置は講じなかったも Xは,目測により,既にAにより本件道路に張り出した部分の本件樹木の枝は剪定されたものであり,本件樹木の枝は本件道路の通行の障害とはなっていないと速断し,それ以上の措置は講じなかったものである。 エ以上のとおり,本件道路は,本件事故発生時において,道路として通常有すべき安全性を欠くに至っており,本件道路の管理につき瑕疵があったと認められるところ,被控訴人は,これを知りながら,約半月間にわたり,本件道路を通行する車両が本件樹木の枝と接触する事故を防止するための有効な対策をとらなかったというべきであるから,本件道路の管理の瑕疵に基づき控訴人が被った損害を賠償する責任を免れるいわれはない。 オなお,被控訴人は,被控訴人には本件道路においてすべての車両がすれ違い進行できるように道路を整備しなければならない義務はないと主張するが,本件では,被控訴人に,本件道路上に現に存在する障害物を除去するなどの何らかの措置を講じるべき義務があったか否かが問題となっているのであり,道路自体の整備の義務があるかの問題とは次元を異にしているから,被控訴人の上記主張は当を得ないものというべきである。 (3) 争点3(損害額)について証拠(甲3,12の①,②)及び弁論の全趣旨によれば,本件車両は,本件事故により箱型の荷台の左側面に長さ約35 センチメートルないし約60センチメートルの数本の筋が付くという本件損傷が発生し,これを修理するためには,部品代,技術料及び消費税を含めて合計25万6725円を要すると認められるから,控訴人は,本件事故により,これと同額の損害を被ったということができる。 (4) 争点4(過失相殺)についてア認定事実によると,本件 計25万6725円を要すると認められるから,控訴人は,本件事故により,これと同額の損害を被ったということができる。 (4) 争点4(過失相殺)についてア認定事実によると,本件事故の発生については,控訴人代表者にも,①本件事故の際,本件樹木の枝が本件道路に張り出しており,本件車両の通行の障害となっているという道路状況を十分に認識していながら本件道路に進入して本件事故にあったこと,②本件車両を本件道路に進入させた上,対向車との接触を避けるためとはいえ,本件樹木の枝に接触する可能性があることを認識していながら,本件車両を左側のA宅側に寄せて,対向車とすれ違い進行させ,本件事故にあったこと,③本件車両を一時停止させたり,本件車両を後退させたり,対向車の運転者に後退を求めるなど,本件車両と本件樹木の枝との接触を避けるための方策をとることが不可能ではなかったにもかかわらず,これらの方策をとらず,あえて本件車両を左側のA宅側に寄せて,対向車とすれ違い進行させ,本件事故に遭遇したことなどの点で過失があるというべきところ,その過失割合は,本件事故の態様,被控訴人の本件道路の管理状況等に照らすと,4割とするのが相当であるから,控訴人の損害額の算定に当たっては,これを過失相殺として斟酌すべきである。 したがって,控訴人の損害は,15万4035円となる。 25万6725円×(1-0.4)=15万4035円イまた,控訴人は,Aから,本件調停条項に基づき,本件事故の損害賠償として5万円を受領しているから過失相殺後の控訴人の損害額である15万4035円からこれを控除すべきである。そうすると,本件事故による控訴人の損害は,1 0万4035円 事故の損害賠償として5万円を受領しているから過失相殺後の控訴人の損害額である15万4035円からこれを控除すべきである。そうすると,本件事故による控訴人の損害は,1 0万4035円となる。 3 結論よって,控訴人の請求は,国家賠償法2条に基づき,損害賠償金10万4035円の支払を求める限度で理由があるからこの限度でこれを認容すべきであり,その余の部分は理由がないので棄却すべきところ,これと結論を一部異にする原判決は一部不当であるからこれを上記のとおり変更することとし,訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とすることとして,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第1部裁判長裁判官小林正裁判官瀬木比呂志裁判官深野英一

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