昭和25(ネ)17 不動産所有権移転登記請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年8月29日 広島高等裁判所 松江支部 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担となる。          事    実  控訴代理人は、原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。本訴について、被控訴人等 は控

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主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担となる。 事実 控訴代理人は、原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。本訴について、被控訴人等は控訴人に対し被控訴人Aが被控訴人Bに対したした昭和二十二年三月三日受附同年二月十五日附売買による別紙目録記載の不動産の所有権移転登記の抹消登記手続をしなければならない。訴訟費用中控訴人と被控訴人Aとの間に生じた控訴費用は同被控訴人の負担とし、控訴人と被控訴人Bとの間に生じた分は第一、二審共同被控訴人の負担とするとの判決を求め、予備的に、被控訴人Bは被控訴人Aに対し昭和二十二年二月十五日の信託行為により、被控訴人Aは、控訴人に対し同年十二月二十四日の売買によりそれぞれ別紙目録記載の不動産の所有権移転登記手続をしたければならない。訴訟費用中控訴人と被控訴人Aとの間に生じた控訴費用は同被控訴人の負担とし控訴人と被控訴人Bとの間に生じた分は第一、二審共同被控訴人の負担とするとの判決を求め反訴について、被控訴八Bの請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審共同被控訴人の負担とするとの判決を求め被控訴人B代理人は主文同旨の判決を求めた。 控訴人及び被控訴八B双方の事実上の主張は原判決摘示事実と同一であるから、ここにこれを引用する。 被控訴人Aは原審及び当審における本件口頭弁論期日に出頭しなかつたけれども、当審において答弁書を提出したので、当裁判所はこれに基いて陳述したものと看做した。 被控訴人Aの答弁事実は右答弁書によれば被控訴人Aは昭和二十二年十二月二十四日その所有にかかる別紙目録記載の本件不動産を代理人Cを介し控訴人に対し代金十五万円で売渡し、同日内金五万円の支払を受けたことはこれを認める。被控訴人Aは事情があつて本件不動産を親友である被控訴人Bの名義に 有にかかる別紙目録記載の本件不動産を代理人Cを介し控訴人に対し代金十五万円で売渡し、同日内金五万円の支払を受けたことはこれを認める。被控訴人Aは事情があつて本件不動産を親友である被控訴人Bの名義にしたのであるが、その所有権は被控訴人Aにある。被控訴人Aは未亡人で子供二人を抱え、続くインフレのため売り喰をしていたが、最後に残つた本件の家屋敷を手放すことを決意被控訴人Bに対し機会ある毎に本件不動産の買受方を交渉したけれども同被控訴人は「自分には家があるから絶対に買わぬ他に売却せよ。何時でも登記の捺印はしてやる。」と申し、これに応じたかつたのである。ところが、同被控訴人はその後控訴人と被控訴人Aの代理人Cとのあいだに代金十五万円で本件不動産の売買の交渉が行われているのを聞くと、Cに対し控訴人はとても十五万円でこれを買うようなことはないだろうから、自分の知人に十四万円で売つてくれ」と申込んできたのである。しかし、被控訴人Aの実兄であるCは被控訴人B自身又はその親族が買うのでもなく、また実妹のため少しでも代金額の多いのを希望していたので、同被控訴人に対し事情を告げてその申込を断わり、控訴人に対する売渡書類に捺印方を求めたところ同被控訴人はこれを承諾したのである。しかるに、同被控訴人は控訴人と被控訴人Aとのあいだにいよいよ本件不動産の売買契約ができたことを聞くと、にわかに前言を飜えし、Cに対し「控訴人の支出した費用は弁償するから、右売買契約を破棄して代金十五万円で自分の実家に売却してくれ」と要求し、遂に登記書類に捺印することを拒否するに至つたのである。その間、被控訴人Bは被控訴人Aが金銭に困つていることを知つて、金を貸してくれたが、それは本件不動産の売買代金ではなく、普通の貸借であるというのである。 証拠として、控訴代理人に甲第一乃主第六号証、 の間、被控訴人Bは被控訴人Aが金銭に困つていることを知つて、金を貸してくれたが、それは本件不動産の売買代金ではなく、普通の貸借であるというのである。 証拠として、控訴代理人に甲第一乃主第六号証、第七号証の一、二、第八号証を提出し、原審及び当審証人D(但し原審の分は第一、二回)原審証人E、F、当審証人C、Gの各証言、原審及び当審における控訴本人の供述、当審における被控訴人A本人の供述を援用し、丙第三号証の成立を認めその余の丙号各証の成立は不知と述べ、被控訴人B代理人は、丙第一号証、第二号証の一、二、第三号証を提出し、原審及び当審証人C、H、当審証人Iの各証言、原審における被控訴人A本人の供述、当審における被控訴人B本人の供述を援用し甲第三、第五、第六号証の各成立は不知、その余の甲号各証の成立はこれを認めると述べた。 理由 先づ控人の被控訴人Bに対する本訴請求について判断する。 被控訴人Aが別紙目録記載の本件不動産を所有していたことは当事者間に争いがなく、原審における控訴本人の供述により真正に成立したと認める甲第三号証原審及び当審証人Cの証言、原審及び当審における控訴人及び被控訴人A各本人の供述を綜合すれば、控訴人は昭和二十二年十二月二十四日本件不動産及び畑二十六歩を被控訴人Aからその代理人Cを介し代金十五万円で買受け同日内命五万円を支払い残金十万円は昭和二十三年一月十三日支払う約束をした事実を認めることができ、他に右認定を妨げるに足る証拠はない。 次に、本件不動産について、被控訴人Aが昭和二十二年三月三日被控訴人Bのため同年二月十五日附売頁による所有権移転登記を経由した事実は当事者間に争いがないところ、控訴人は始め右登記原因たる売買が信託行であることを認めたが、その後右自白は真実に反し且つ錯誤に基くことを理 ため同年二月十五日附売頁による所有権移転登記を経由した事実は当事者間に争いがないところ、控訴人は始め右登記原因たる売買が信託行であることを認めたが、その後右自白は真実に反し且つ錯誤に基くことを理由としてこれを取消し右売買は仮装行為であると主張し、被控訴人Bは右売買は一種の信託行為として有効であると抗争するからこの点につき検討するに、成立に争いのない甲第一、二号証、原審証人Cの証言により真正に成立したと認める甲第五号証、原審及び当審証人C、当審証人Iの各証言、原審及び当審における被控訴人A本人の供述、当審における被控訴人B本人の供述を綜合すれば、本件不動産は被控訴人Aにおいて昭和十八年八月当時朝鮮に移住していた訴外Jから五年を期間とする買戻約款附で買受けたものであるところ、その後同訴外人は朝鮮から引揚げ買戻の交渉をしてきたので、被控訴人Aは本不動産の返還を回避する手段として、親友の間柄であつた被控訴人Bと通謀の上、真実売買の意思がないのにかかわらず同被控訴人とのあいだに昭和二十二年二月十五日本件不動産について売買契約をしたものの如く仮装して同年三月三日同被控訴人に対し前示の如く所有権移転登記をしたものであること、従つて右登記原因たる売買は通謀虚偽の意思表示に基く無効のもので信託行為ではないことを認めることができ、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。されば右売買を信託行為であるとする控訴人の前示自白は真実に反し従つて錯誤に基くものと認められるから、その自白の取消は有効である。 被控訴八Bは仮に右売買が仮装行為であり、且つ、控訴人が被控訴人Aから本件不動産を買受け取得したとしても、被控訴人Bも亦更に昭和二十三年二月十八日被控訴人Aから同一不動産を代金十五万円で買受け、右代金の支払を了したもので、二重売買の関係にあるから、まだ本件不動産の 本件不動産を買受け取得したとしても、被控訴人Bも亦更に昭和二十三年二月十八日被控訴人Aから同一不動産を代金十五万円で買受け、右代金の支払を了したもので、二重売買の関係にあるから、まだ本件不動産の所有権取得について登記を経由していない控訴人はこれを以て被控訴人Bに対抗し得ないと抗争するから、更にこの点について考察する。 当審における被控訴人B本人の供述により真正に成立したと認める丙第一号証、成立に争いのたい丙第三号証、原審及び当審証人D、Cの各証言、原審及び当審における被控訴人A本人の供述、当審における控訴人及び被控訴人B本人の各供述(但し後記認定に反する部分はいづれもこれを除く)を綜合すれば、被控訴人Aに夫に死別し、子供を抱えて終戦後はいわゆる売り喰いの生活をしていたので、生活費に充てるため、最後に残つた本件不動産及び畑を手放すことを決意し、登記名義人である被控訴人Bに対し買受方を求めたが、同被控訴人はこれに応じなかつたこと、そこで、被控訴人Aは実兄Cを代理人として控訴人に対し売却の交渉をなし、その結果前記の如く控訴人とのあいだに代金十五万円で本件不動産及び畑について売買契約ができたこと、しかるに被控訴人Bは控訴人とCとのあいだに右売買の交渉が行われていることを知ると、Cに対し代金十四万円で自己の知人に売つてもらいたいと申込んできたこと、しかしCは被控訴人B自身が買うのでもなく、また実妹のため少しでも代金額の多いのを希望していたので、右の申込には応じないで、控応人と売買契約をしたものであること、かようないきさつから本件不動産の登記名義人である被控訴人Bは控訴人と、被控訴人A間の売買契約の履行に協力することを拒み却て、既に成立した右売買契約を破棄して自己に売却方を要求し、被控訴人A及びC等の再三の懇願にもかかわらず、控訴人のため本件 ある被控訴人Bは控訴人と、被控訴人A間の売買契約の履行に協力することを拒み却て、既に成立した右売買契約を破棄して自己に売却方を要求し、被控訴人A及びC等の再三の懇願にもかかわらず、控訴人のため本件不動産の所有権移転登記手続をすることを肯じなかつたこと、そこで、被控訴人Aは控訴人の妻Dに対し自己の窮境を訴え、本件不動産の買受を断念するよう懇請したところ、これに同情したDは夫の控訴人と相談することなく、自己の一存で売買物件のうち既に耕作中の畑の使用を認めてくれれば、本件不動産の買受はこれを断念しても差支えない旨の意向を洩らしたので、被控訴人Aは控訴人は本件不動産の売買契約の合意解除を承諾してくれるものと転信した結果被控訴人Bの要求を容れて昭和十三年二月十八日同被控詐人に対し本件不動産及び畑を代金十五万円で売渡し同日右代金全額の支払を受けたこと、そこで被控訴人Aはさきに控訴人より受取つた内金五万円を返還し、なお、違約の謝金として金三万円を支払つて控訴人とのあいだに締結された本件不動産の売買契約を合意解除するため、現金八万円を持参して控訴人方に赴いたが、予期に反し、控訴人は右金員の受領を拒絶して合意解除に応じなかつたことをそれぞれ認めるととができ、前顕各証人の証言、各当事者C本人の供述中叙上の認定に反する部分は当裁判所の採用しないところで、他に叙上の認定を覆えすに足る証拠はない。果してそうだとすれば、被控訴人Aは本件不動産を控訴人と被控訴人Bの両名に対し二重に売買したことになり、右の両名は互に第三者の地位にあるから、本件不動産の所有権取得登記を経由しない一方はその登記を経由した他方に対し自己の所有権取得を以て対抗すること<要旨>を得ないというべきである。ところで、既に認定したとおり、昭和二十二年三月三日被控訴人Aから被控訴</要旨>人Bのた ない一方はその登記を経由した他方に対し自己の所有権取得を以て対抗すること<要旨>を得ないというべきである。ところで、既に認定したとおり、昭和二十二年三月三日被控訴人Aから被控訴</要旨>人Bのため本件不動産についてなされた売買名義による所有権移転登記は通謀虚偽の意思表示に基く無効の売買を登記原因とするものであるけれども、その後昭和二十三年二月十八日被控訴人Bは被控訴人Aから真実有効に本件不動産を買受けたものであるから、その時以後右登記は真正の登記原因を具えるに至り結局現在の真実な権利状態と合致するが故に、有効のものとなり、右有効の売買に基く所有権移転の対抗要件たる効力を有するものと解すべきである。されば、本件不動産の取得について登記を経由していない控訴人は(この事実は当事者間に争いがない)登記を経た被控訴人Bに対し本件不動産の所有権取得を以て対抗することを得ないものというべきである。控訴人は被控訴人Bは本件不動産を買受けた昭和二十三年二月十八日以前に既に控訴人に対し抹消登記義務を負担していたから不動産登記法第五条により控訴人の登記の欠缺を主張することができないと主張するけれども、既に説明したとおり、被控訴人Bのため本件不動産についてなされた前示所有権取得登記は実際の所有権の所在と合致し有効のものとなつているから、同被控訴人は被控訴人Aに対しては勿論控訴人に対しても右登記の抹消登記義務を負担していないと解すべきものであるのみならず不動産登記法第五条にいわゆる他人のため登記を申請する義務ある者とは法定代理人破産管財人又は受任者等の如く本人又は委任者のために登記申請の義務ある者をいうのであるから、本件の場合右法条の適用の余地はなく、被控訴人Bは控訴人の登記の欠缺を主張するを妨げないというべきである。されば、本件不動産の所有権は被控訴人Bに 者のために登記申請の義務ある者をいうのであるから、本件の場合右法条の適用の余地はなく、被控訴人Bは控訴人の登記の欠缺を主張するを妨げないというべきである。されば、本件不動産の所有権は被控訴人Bに属し、控訴人は右不動産の所有者ではないというべきである。 果して然らば、本件不動産の所有権が控訴人に属することを前提として被控訴人Bに対し被控訴人Aの被控訴人Bに対する前叙移転登記の抹消登記手続を求める控訴人の第一次の請求は失当であるというべきである。また、被控訴人Bが被控訴人Aに対し前叙移転登記の抹消登記義務を負担することを前提として控訴人の被控訴人Aに対する昭和二十二年十二月二十四日附売買による所有権移転登記請求権を保全するため同被控訴人に代位して被控訴人Bに対し前叙移転登記の抹消登記手続を求める控訴人の予備的請求も理由がないというべきである。更に、控証人は本件不動産について被控訴人Bのためなされた右前叙移転登記原因であつた売買が仮装行為ではなく、信託行為であるこすれば右信託行為の内容は被控訴人Aにおいて本件不動産を他に売却したときは被控訴人Bにおいて直ちに被控訴人Aに対し所有権移転登記をなすべき約旨である旨主張し、その後控訴人は被控訴人Aから本件不動産を買受けたから、予備的に被控訴人Aに代位し被控訴人Bに対し被控訴人Aに対する所有権移転登記手続をたすべきことを求めるけれども、前示登記原因であつた売買が信託行為ではなく仮装無効の行為であることは前認定のとおりであるから、この予備的請求については判断の必要がない。よつて、控訴人の被控訴人Bに対する本訴請求はこれを棄却すべきである。 次に被控訴人Bの控訴人に対する反訴請求について判断する。被控訴人Bが本件不動産についてその所有者である被控訴人Aから昭和二十二年三月三日同年二月十五日附売買に 本訴請求はこれを棄却すべきである。 次に被控訴人Bの控訴人に対する反訴請求について判断する。被控訴人Bが本件不動産についてその所有者である被控訴人Aから昭和二十二年三月三日同年二月十五日附売買による所有権移転登記を受けたこと右登記原因たる売買は信託行為ではなく仮装無効のものであること、被控訴人Bが昭和二十三年二月十八日被控訴人Aから有効に本件不動産を買受けたことその結果右登記が結局現在の真実の権利状態と一致して有効のものとなり、右有効の売買に基く所有権移転の対抗要件たる効力を有するものであること、控訴人はこれより先き昭和二十二年十二月二十四日被控訴人Aから本件不動産を買受けていたけれども、その旨の登記を経由していたいため、その買受による所有権取得を以て被控訴人Bに対抗するを得ないものであること、従つて本件不動産の所有権は被控訴人Bに属するものというべきであることはいづれも既に本訴において説明したとおりである。控訴人は被控訴人Bが本件不動産を買受ける前に既に本件不動産を買受けていたから、被控訴人Bは処分権のない被控訴人Aから買受けたもので、その買受は無効であると抗弁するけれども、不動産物権の変動は第三者に対抗するに必要な登記を完了したときに始めて当事者間においても確定的にその効力を生ずるものであるところ、控訴人は被控訴人Aからの本件不動産買受について登記を経由していないのであるから売主である被控訴人A訴は被控訴人Bに対し本件不動産を売渡す当時未だ完全にその処分権を失つてなかつたものというべきである。従つて、控訴人の抗弁はその理由がない。ところで、控訴人が現に本件不動産を占有していることは当事者間に争いのないところであるから、控訴人は所有者である被控訴人Bに対抗し得べき正当の権原なくしてこれを占有しているものというべく、従つて控訴人は同 、控訴人が現に本件不動産を占有していることは当事者間に争いのないところであるから、控訴人は所有者である被控訴人Bに対抗し得べき正当の権原なくしてこれを占有しているものというべく、従つて控訴人は同被控訴人に対し本件不動産を明渡す義務があるものというべきである。 果して然らば、控訴人に対し本件不動産の所有権確認及び右不動産の明渡を求める被控訴人Bの反訴請求は正当であるから、これを認容すべきである。 次に控訴人の被控訴人Aに対する本訴請求について判断する。控訴人の本訴請求原因事実によれば、控訴人は昭和二十二年十二月二十四日本件不動産をその所有者である被控訴人Aからその代理人Cを介し代金十五万円で買受け、同日内金五万円を支払い残金十万円は昭和二十三年一月十三日支払う約束をした。しかるに、同被控訴人は控訴人において残代金の支払をするから所有権移転登記手続をするよう請求するも、これに応じない。而して、同被控訴人は右不動産について被控訴人Bに対し昭和二十二年三月三日同年二月十五日附売買による所有権移転登記をしているが、右売買は仮装行為であるから、控訴人は所有権に基き被控訴人Aに対し同被控訴人Bに対する前叙所有権移転登記の抹消登記手続を求め、仮に右の請求が理由がなく、右売買が仮装行為ではなく信託行為であるとすれば、その信託行為の内容は、被控訴人Aにおいて本件不動産を他に売却したときは被控訴人Bにおいて直ちに被控訴人Aに対し所有権移転登記手続をなすべき約旨であるところ、控訴人はその後前叙のとおり被控訴人Aから右不動産を買受けたから予備的に被控訴人Aに対し控訴人のため昭和二十二年十二月二十四日の売買による所有権移転登記手続をなすべきことを求めるというのであるが、本件の如く登記の抹消を求める訴においては、抹消さるべき登記の名義人のみが抹消登記の義務者た 訴人のため昭和二十二年十二月二十四日の売買による所有権移転登記手続をなすべきことを求めるというのであるが、本件の如く登記の抹消を求める訴においては、抹消さるべき登記の名義人のみが抹消登記の義務者たる地位にあるものと解すべきところ、被控訴人Aは控訴人において抹消を求める前叙所有権移転登記の名義人でないことは控訴人の主張自体に徴し明らかで従つて同被控訴人は抹消登記の義務者たる地位にあるものではないから控訴人の第一次の請求はその主張自体理由がないのみならず、前叙所有権移転登記の登記原因たる売買が信託行為ではなく仮装無効の行為であることは控訴人の被控訴人Bに対する本訴において既に証拠により判断したとおりであるから、右登記原因たる売買が信託行為であることを前提とする予備的請求もまたその理由がない。されば控訴人の被控訴人Aに対する本訴請求はこれを棄却すべきである。 よつて、右と同趣旨に出でた原判決は相当で、本件控訴はその理由がないから、民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十九条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官平井林裁判官久利馨裁判官藤間忠顕)

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