【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告理由第一点について。 <要旨>按ずるに、本店の商号と異る営業所に勤務する
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告理由第一点について。 <要旨>按ずるに、本店の商号と異る営業所に勤務する商業使用人が、右営業所名義を冒用して約束手形を振り出</要旨>し、他人に損害を加えた場合、その手形振出行為が外観上職務の範囲内に属するものと認められる限り、たとい、使用者たる商人自身において右営業所名義の手形行為をした事実がなくても、使用者たる商人の事業の執行につきなしたものと解するのが相当である。 ひるがえつて、原審が適法に確定した事実をみるに、その要旨は、上告人が本店の商号と類似する東木木工販売所なる営業所を経営し、これに常勤する上告人の使用人Aに対して、上告人の製品たる家具類の販売、集金及び経理事務等を処理する権限を与えていたところ、同人は、上告人の取引先なる株式会社北海道拓殖銀行a町支店及び株式会社北海道銀行函館支店に対する各当座預金の出し入れにつき上告人を代理すべき権限ある右営業所責任者訴外Bから小切手振出の権限を委ねられ、その振出に常用する「東木木工販売所代表者B」と刻したゴム印及び「B」と刻した印章を預り保管していたのを奇貨として、昭和三二年一一月二〇日、訴外Cと共謀の上、ほしいままに右印章等を使用して本件約束手形一通を偽造し、右Cを介して、昭和三二年一一月二七日、情を知らない被上告人に対し、あたかも上告人の営業上適法に振り出した約束手形に見せかけてこれを交付した上、手形金割引名下に現金六万五千九百六十八円を騙取し、これがため、被上告人をして同額の損害をこうむらした、というにあること、判文の前後に徴し明らかである。 さすれば、訴外Aのなした右不法行為は、あたかも商人たる上告人が本件手形を営業のために振り出した上、被上告人に対し をして同額の損害をこうむらした、というにあること、判文の前後に徴し明らかである。 さすれば、訴外Aのなした右不法行為は、あたかも商人たる上告人が本件手形を営業のために振り出した上、被上告人に対してその割引を依頼した如くにみられるから、その行為は上告人の事業の範囲内のものというに妨げなく、また、右行為は、訴外Aの職務の執行行為それ自体ではないにしても、同人の職務権限内のものたる外観を呈すること明らかであるから、原判決が右Aのなした本件不法行為を以つて使用者たる上告人の事業を執行するにつきなしたものと判示したのは当然で、原判決には所論のような判例違反並びに法令違反のかどはない。論旨は、結局、上告人独自の見地に立つて原判決を非難するに帰し、とうてい採用するを得ない。 同第二点について。 論旨は法令違反をいうも、その実は原審が適法に認定した事実を非難するに過ぎず、もとより採用の限りでない。 よつて、民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官小野謙次郎裁判官川井立夫裁判官安久津武人)
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