昭和31(う)597 関税法違反出入国管理令違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和32年8月5日 広島高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件各控訴を棄却する。      当審における訴訟費用中証人Aに支給した分は被告人Bの負担とし、証 人Cに支給した分は被告人Dの負担とする。          理    由  

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判決文本文2,678 文字)

主文本件各控訴を棄却する。 当審における訴訟費用中証人Aに支給した分は被告人Bの負担とし、証人Cに支給した分は被告人Dの負担とする。 理由被告人Bの弁護人西本計三、同梱原隆一、被告人D、E、同Fの弁護人鈴木惣三郎の各控訴の趣旨は記録編綴の各控訴趣意書記載のとおりであるから、ここに之を引用する。 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。 弁護人鈴木惣三郎の論旨第一点について所論は、原判決は原判示貨物をG丸に積み替えたことを以て密輸出を遂げたものと認定しているが、自国領海内で外国仕向け船舶に積替えたに過ぎない場合は密輸出の予備に過ぎないから原判決の認定はその認定自体において何故既遂なのか判明しない理由不備の違法があるというにある。しかし原判決挙示の各証拠によれば(同弁護人の論旨第三点について後に説示する如く)本件貨物は朝鮮に密輸出する目的で下関市H岸壁からI丸に積み込み同市J燈台沖に於て朝鮮行きに仕向けられたG丸に積み替えられたものであることを認めるに十分である。 <要旨>而して、右の如く貨物を密輸出する目的で外国仕向け船舶に積み込んだ以上、関税法第一一一条第一項に所</要旨>謂輸出を為したものと認めるべきであるから原判示貨物の積み替えを以て輸出の既遂と認定した原判決には何等所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。 同弁護人の論旨第二点について所論は原判示別紙第二目録の番号一乃至六、四五乃至七五の各貨物はいずれもCよりKに、同人から被告人Dに順次販売を委託されて交付せられたものであるからその所有権はCに属するものなるにかかわらず、原判決が被告人Dの所有に属するものとして関税法第一一八条を適用し没収したのは擬律錯誤の違法があるというのである。よつて記録並びに当審 れたものであるからその所有権はCに属するものなるにかかわらず、原判決が被告人Dの所有に属するものとして関税法第一一八条を適用し没収したのは擬律錯誤の違法があるというのである。よつて記録並びに当審証拠調の結果を検討するに、被告人Dの司法警察員に対する供述調書、Kの司法巡査に対する供述調書、原審公判調書中同人の証人としての供述記載、当審に於ける証人C尋問調書にはいづれも右主張に副うような供述部分もあるのであるが、これ等の各供述内容の全趣旨を仔細に検討し、更に関係証拠を参照して考察すれば所論の各取引は委託販売契約ではなくして売買契約であると認めるのが相当であるから原審が右貨物を被告人Dの所有に属するものとして前記法条を適用し没収したのは相当であつて所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。 同弁護人の論旨第三点について所論は被告人D、同L、同F等は対島に赴いて品物を売捌き引返すか、或は同地に於て海女となつて生活するつもりであつて朝鮮に密輸出する意思はなかつたものである旨事実誤認を主張するものである。しかし被告人等が原判示貨物を朝鮮に密輸出しようとしたものであることは原判決挙示の各証拠を綜合すれば優に之を認めることが出来るのである。なるほど同被告人等は検挙以来終始右論旨に主張するような弁解をしているのであるが、右は被告人B、原審相被告人M、同N、同O、同Pの各検察官に対する供述調書、被告人B、Q、R、S、Tの各司法警察員に対する供述調書に比照し到底信を措き難く他に右主張事実を肯認せしむべき何等の証拠も存しない。原判決には所論のような事実誤認の違法はなく、論旨は理由がない。 弁護人西本計三、同掴原隆一の各論旨第一点について所論はいづれも原判示G丸はAの所有に属するものであつて被告人Bの所有ではないから同被告人の所有に属するものとし の違法はなく、論旨は理由がない。 弁護人西本計三、同掴原隆一の各論旨第一点について所論はいづれも原判示G丸はAの所有に属するものであつて被告人Bの所有ではないから同被告人の所有に属するものとして関税法第一一八条を適用し之を没収すべきものとした原判決には事実誤認乃至法令適用の誤の違法があるというのである。よつて按ずるに領置の証第一〇七号領収証書の記載、並びにそれが被告人Bの手裡にあつた事実に、Aの検察官に対する供述調書、原審公判調書中同人の証人としての供述記載部分、当審に於ける同人に対する証人尋問調書によれば右G丸は昭和三〇年七月一五日Aと被告人Bとの間に代金三七万五千円で売買契約成立し同時にその所有権は被告人Bに移転したものと認めるのが相当である。尤も右Aは右各調書に於て終始右G丸の所有権はその代金の完済されるまで売主たる同人において留保していたものであるかの如き趣旨の供述を為しているのであるが、前記各証拠によつて認められる右売買契約成立と同時に内金として契約の当初授受された手附金をふくめて二〇万円の支払が為されていること、代金三七万五千円の領収証が被告人Bに交付されていること、船籍票等と共に現実にG丸の占有が被告人Bに移されていること等から見て同船の所有権移転の効力発生を特に残代金支払のときまで停止する特約があつたものとは認め難く、それは単に被告人Bが朝鮮人であるため正式に所有権移転手続を履践することができないので第三者名義を藉りて所有権移転の手続をする必要があり、その手続が直ちに出来かねる事情にあつたので該手続の完了するまで残代金の支払が留保せられていたに過ぎないと見るのが相当である。右認定に反する前記Aの各調書中の供述記載部分、被告人Bの司法警察員並びに検察官に対する各供述調書、原審公判調書中同被告人の供述記載部分は措信し難 払が留保せられていたに過ぎないと見るのが相当である。右認定に反する前記Aの各調書中の供述記載部分、被告人Bの司法警察員並びに検察官に対する各供述調書、原審公判調書中同被告人の供述記載部分は措信し難く他に右認定を覆すに足る証拠は存しない。されば原判決には所論のような違法はなく、論旨はいづれも理由がない。 同論旨各二点について所論はいづれも被告人Bについて原判決の量刑不当を主張するものであるが、本件犯行の態様、罪質、密輸出にかかる貨物の数量、被告人の犯罪経歴その他記録にあらわれた諸般の情状を考察すれば原審の量刑は已むを得ないところというべく、所論の諸点を参酌考量するも不当に重いとは思料されない。論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第三九六条第一八一条第一項本文を適用し主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官村木友市裁判官渡辺雄裁判官原田博司)

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