昭和29(ラ)16 執行文付与に関する異議申立の決定に対する抗告

裁判年月日・裁判所
昭和29年6月18日 札幌高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。      抗告費用は抗告人の負担とする。          理    由  抗告代理人は、原決定を取消す、相手方の本件異議申立を却下する、との裁判を 求め

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判決文本文1,125 文字)

主文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 抗告代理人は、原決定を取消す、相手方の本件異議申立を却下する、との裁判を求め、その理由は別紙記載の通りである。 よつて調査するに、民事訴訟法第五五九条第三号によれば、公正証書が債務名義として執行力を有するためには、それが一定の金額の支払又は他の代替物若くは有価証券の一定の数量の給付を以つて目的とする請求について作成されたものでなければならないのである。つまり、そこに一定額の金銭等の給付を目的とする債権ついて、その発生原因たる事実を具体的に記載して、その債権を特定すべき事項が明確に表示されていなければ債務名義たる効力は無いのである。 しかるに記録中の甲第一号証(手形取引契約証書)写によれば、本件債務名義たる公正証書には抗告人主張<要旨第一>の通りの記載があるが、この条項を検討すると、それは要するに申立外札幌信用組合(承継前債権者)が債務</要旨第一>者たる相手方外三名振出の約束手形に依つて同人等に対し将来金額三十万円を限度として金員の貸付をなすべきこと及びその際の利息、弁済期ならびにその他の附随の契約内容を記載したにすぎないのである。而して此の様な内容の契約によつては単に当事者間に将来その記載の如き内容の消費貸借をなすべき権利義務が生ずるのみで、この契約によつて直ちに一定の金額の消費貸借が成立したものとすることは出来ないのであつて一定金額の給付を目的とする債権の発生は後日の行為にかかつているのである。従つて本件公正証書は、金銭の支払を目的とする特定の具体的な請求を明確に表示するものと言い得ないから、債務名義としての形式的要件を欠くと言わざるを得ないのである。 <要旨第二>なお、本件公正証書の契約条項第十一条には抗告人 の支払を目的とする特定の具体的な請求を明確に表示するものと言い得ないから、債務名義としての形式的要件を欠くと言わざるを得ないのである。 <要旨第二>なお、本件公正証書の契約条項第十一条には抗告人主張の如き文言の記載があるがこの様な記載があつて</要旨第二>も、この証書によつては債権の発生自体が明確でなくこれを特定すべき具体的な事項が明確に表示されていないことに変りはないからやはり債務名義たるべき要件を欠くものと言わなければならない。 されば本件公正証書は債務名義として無効であつて執行力を有しないこと明かであるから、以上と同一の理由で相手方の本件異議申立を認容した原決定は正当である。 よつて民事訴訟法第四百十四条第三百八十四条第九十五条第八十九条を適用して主文の通り決定する。 (裁判長裁判官臼居直道裁判官宇野茂夫裁判官松永信和)

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