昭和45(行ウ)58 公務員の地位確認請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和47年6月24日 東京地方裁判所
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判決文本文24,277 文字)

○ 主文一原告らの請求をいずれも棄却する。二訴訟費用は原告らの負担とする。○ 事実第一請求の趣旨一原告らが一般職に属する国家公務員である地位を有することを確認する。二訴訟費用は被告の負担とする。第二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第三請求原因一建設省関東地方建設局甲府工事事務所長は、昭和二九年二月一日以降昭和四四年三月三一日までの間、建設大臣から、同工事事務所に勤務する工事人夫(現場労務者)たる一般職に属する職員を含む一定範囲の職員に対する任命権を委任されていた。二原告らは、別紙雇用年月日一覧表記載の日に甲府工事事務所長より、同工事事務所に勤務する被告の一般職に属する職員である工事人夫として採用された。三しかるに、被告は、原告らが被告の一般職の職員である地位にあることを争つている。第四請求原因に対する認否第一ないし第三項の事実は認める。但し、甲府工事事務所長は、同工事事務所に勤務する職員のうち一般職の非常勤職員に対する任命権のみを委任されていたものである。第五抗弁一甲府工事事務所長は、原告らを任期を一日とするいわゆる日々雇用の形態で、同工事事務所に勤務する非常勤の職員である工事人夫として任用した。そして、任命権を委任されていた同所長が、原告らが引続き勤務していることを知りながら別段の措置をしなかつたので、人事院規則(以下人規と略称する。)八-一二(職員の任免)第七四条第二項により、その任用が日々更新されたものとして取り扱われてきたのである。二甲府工事事務所長は、原告A、同B、同Cを除くその余の原告らに対して昭和四四年二月二一日に、また右原告Aら三名に対しては、同月二五日にいずれも同年三月三一日限り任用の更新を拒絶する旨の通知をした。よつて、原告らは同日の任期満了により当然退職したもので 告らに対して昭和四四年二月二一日に、また右原告Aら三名に対しては、同月二五日にいずれも同年三月三一日限り任用の更新を拒絶する旨の通知をした。 である。二甲府工事事務所長は、原告A、同B、同Cを除くその余の原告らに対して昭和四四年二月二一日に、また右原告Aら三名に対しては、同月二五日にいずれも同年三月三一日限り任用の更新を拒絶する旨の通知をした。よつて、原告らは同日の任期満了により当然退職したもので 告らに対して昭和四四年二月二一日に、また右原告Aら三名に対しては、同月二五日にいずれも同年三月三一日限り任用の更新を拒絶する旨の通知をした。よつて、原告らは同日の任期満了により当然退職したものである。三原告らの職務等の特殊性からして、前記任期の定めは有効である。(一) 国家公務員法(以下国公法と略称する。)は、経常的業務に従事する常勤職員を任用する場合は任期の定めのない任用をもつてその建前としている。と同時に、同法付則第一三条は、人夫作業のように、就労する職員の資格や能力がさして問題とならないような単純な肉体的作業で、その業務の存続が被告の政策や方針によつて左右され、その業務を必要とする事業量が事業施工方式によつて増減したり、季節等によつても変動するような臨時的業務に従事する非常勤職員の任用等について、法律または人規をもつて同法の特例を規定することを許容している。そして、同条を受けて、人規には非常勤職員を任期を一日と限つて任用することができることを前提としたものと解される特例規定が設けられている(人規八-一二第七四条第一項第三号、第二項等)。したがつて、臨時的かつ肉体的単純労務に従事する非常勤職員を任期を一日として任用することは同法上当然に許されるものである。非常勤職員の任用に任期を定めることは国公法の定める身分保障を奪うものではない。日々雇用の非常勤職員にも同法第七五条第一項、第七八条等の適用はあるのである。ただ、任期が一日とされている関係上、任期である一日の範囲内に限つて身分保障に関する右各規定の適用を受けるにとどまるだけのことである。また、同法第六〇条の臨時的任用の規定は、常勤官職に欠員が生じた場合にその欠員を臨時的に補充するための任用方法を定めたものである。したがつて、同条は同条によらないで非常勤職員を任期を一日と限つ る。また、同法第六〇条の臨時的任用の規定は、常勤官職に欠員が生じた場合にその欠員を臨時的に補充するための任用方法を定めたものである。したがつて、同条は同条によらないで非常勤職員を任期を一日と限つて任用することについての妨げとなるものではない。 定は、常勤官職に欠員が生じた場合にその欠員を臨時的に補充するための任用方法を定めたものである。したがつて、同条は同条によらないで非常勤職員を任期を一日と限つ る。また、同法第六〇条の臨時的任用の規定は、常勤官職に欠員が生じた場合にその欠員を臨時的に補充するための任用方法を定めたものである。したがつて、同条は同条によらないで非常勤職員を任期を一日と限つて任用することについての妨げとなるものではない。(二) 甲府工事事務所は河川(富士川、笛吹川、釜無川)および道路(国道二〇号線等)の改築、改良、維持、補修等の業務を所管しているが、原告らは、同工事事務所が直営方式で施工する河川の堤防の草刈り、堤防天端の補修、道路の路面、側溝の補修、清掃等の工事人夫として採用され、土木作業、草刈り、抜根、芝付け、空石張り、清掃等の単純な肉体的作業に従事していた。ところで、同工事事務所がその所管業務を遂行するために施工する直轄工事の量および規模は、各年度の予算ならびにこれを基礎として立案される工事実施計画によつて決定される。そして、直轄工事の施工方式には、同工事事務所が直接工事資材を入手し、人夫等の労務者を雇用(賃金は工事費の中から支払われる。)して行なう直営施工方式だけではなく、民間の土木業者に請負わせてする請負施工方式がある。このいづれの方式によるかは建設行政上の問題であつて、同工事事務所長が諸般の事情を総合判断して決定するのである。したがつて、直営工事のために採用された原告ら工事人夫の従事する業務は、そのときの予算ならびに工事実施計画によつて決定される工事量、工事規模、工事施工方式さらには工事の進捗状況、天候等によつて時々増減変動し、必要とされる人夫の数も一定しないような極めて臨時的な肉体的単純労務であるということができる。また、原告らの就労の実態をみると、原告らは、同工事事務所の係官から身体の確認を受ける程度で採用され、採用されると就労点検票の交付を受ける。そして、就労する場合にはこれを各工事現場の係 とができる。また、原告らの就労の実態をみると、原告らは、同工事事務所の係官から身体の確認を受ける程度で採用され、採用されると就労点検票の交付を受ける。そして、就労する場合にはこれを各工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印を押捺してもらつたうえその返還を受ける。この就労点検票は、原告らの就労確認表となるとともに、賃金計算の根拠とされるものである。 場合にはこれを各工事現場の係 とができる。また、原告らの就労の実態をみると、原告らは、同工事事務所の係官から身体の確認を受ける程度で採用され、採用されると就労点検票の交付を受ける。そして、就労する場合にはこれを各工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印を押捺してもらつたうえその返還を受ける。この就労点検票は、原告らの就労確認表となるとともに、賃金計算の根拠とされるものである。賃金は、就労点検票の領収欄に自己の受領印を押捺のうえ、係官に提出してその支払いを受けるのである。また、原告らの就労状況は、作業日に就労するか否かは自由であるから、各月の就労日数が各人によつてまちまちであり、特に農繁期等時期的に著しく就労日数の少ない者もある。なお、雨天、荒天の日には作業は行なわないのである。このように原告らの就労の実態は任期の定めのない常勤職員のそれとは著しく異なつたものであるが、賃金、勤務時間、休暇等その他の勤労条件についても常勤職員とは異なつた取扱いがなされていた。(三) 以上のとおり、原告らが従事していた業務は臨時的かつ肉体的単純労務であり、その就労の実態も任期の定めのない常勤職員のそれとは著しく異なつたものであつたのであるから、原告らの職務等の特殊性からして、前記任期の定めは国公法に違反するものではなく、有効である。第六抗弁に対する認否一第一項について原告らが甲府工事事務所に勤務する工事人夫として任用されたことは認めるが、その余の事実は否認する。二第二項について前段の事実は認める。三第三項について仮に、原告らの任用が被告主張のとおりになされたものとしても、その主張のような任期の定めは国公法上許されないものであるから、無効である。(一) (一)について国公法は、憲法第二五条、第二七条、第二八条による生存権、勤労権および労働基 なされたものとしても、その主張のような任期の定めは国公法上許されないものであるから、無効である。(一) (一)について国公法は、憲法第二五条、第二七条、第二八条による生存権、勤労権および労働基本権の保障の趣旨を受け、国公法の定める根本基準の一つとして国家公務員の身分保障を掲げ(同法第一条第一項)、分限事由を厳格に限定して規定し(同法第七五条第一項、第七八条、第七九条等)、もつて国家公務員の身分保障をはかつている。そして、この身分保障の趣旨から、職員の任用については任期の定めのない任用を原則として定めているのである。 公法は、憲法第二五条、第二七条、第二八条による生存権、勤労権および労働基本権の保障の趣旨を受け、国公法の定める根本基準の一つとして国家公務員の身分保障を掲げ(同法第一条第一項)、分限事由を厳格に限定して規定し(同法第七五条第一項、第七八条、第七九条等)、もつて国家公務員の身分保障をはかつている。そして、この身分保障の趣旨から、職員の任用については任期の定めのない任用を原則として定めているのである。国公法附則第一三条は、法律または人規によつて、職務と責任の特殊性に基づき国公法の特例を設けることができる旨規定しているが、同時に、その場合においても「その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。」としている。それ故、国公法附則第一三条を根拠として同法上の身分保障の原則に反するような特例を設けることはできない。しかるに、日々雇用の形態による職員の任用を認めることは、更新拒絶により自由にその地位を失わしめ得ることを許すことになるから、同法の定める身分保障の趣旨を没却することになる。したがつて、国公法附則第一三条を基礎として任期を一日とする任用を認める特例を規定することはできないものといわなければならない。任期を一日と限つて任用することを認める人規八-一二第七四条第一項第三号、第二項は国公法附則第一三条、同法第一条第一項に違反し、無効である。職員の従事する業務が臨時的かつ肉体的単純労務であるということは、国公法上の身分保障を奪うような日々雇用の形態による任用を認める特則を、国公法附則第一三条を根拠にして、規定することができる合理的理由とはならない。このことは、機械的労務に従事する現業の国家公務員にも国公法上 身分保障を奪うような日々雇用の形態による任用を認める特則を、国公法附則第一三条を根拠にして、規定することができる合理的理由とはならない。このことは、機械的労務に従事する現業の国家公務員にも国公法上の身分保障に関する前記各条は適用され(公共企業体等労働関係法第四〇条第一項)、単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の場合にも、他の一般職の職員と同様に、分限事由を定めた地方公務員法第二八条が適用され、身分保障に関しては何ら異なつた取扱いはなされていないこと(地方公務員法第五七条、地方公営企業労働関係法附則第四項、地方公営企業法第三九条第一項)、また臨時的業務に従事する職員の任用については国公法上これを特に限定する規定が設けられており(同法第六〇条)、しかも同条に基づいて任用された職員にもその相応の身分保障が与えられていること(人規一一-四身分保障第八条、国公法第七八条)からして明らかである。 、身分保障に関しては何ら異なつた取扱いはなされていないこと(地方公務員法第五七条、地方公営企業労働関係法附則第四項、地方公営企業法第三九条第一項)、また臨時的業務に従事する職員の任用については国公法上これを特に限定する規定が設けられており(同法第六〇条)、しかも同条に基づいて任用された職員にもその相応の身分保障が与えられていること(人規一一-四身分保障第八条、国公法第七八条)からして明らかである。(二) (二)について第一段の事実は認める。但し、原告らが従事していた作業のうちにはかなり複雑で訓練や技能を要するものもあつたのであつて、必ずしも単純な肉体的作業ばかりであつたわけではない。第二段のうち、直轄工事の施工方式に被告主張のような二方式があることは認めるが、その余の事実は否認する。原告らが従事してきた河川の堤防や道路の維持、補修等の業務は、河川および道路の改築、改良、維持、補修等の業務を所轄する甲府工事事務所の基幹的業務であり、河川や道路の存在する限り必らず継続的に行なわなければならない恒常的業務である。甲府工事事務所においては、昭和三五、六年以降、大規模な護岸、築提等の工事は請負方式で施工されてきたが、河川の提防や道路の維持、補修等の工事はもつぱら直営方式により、年間を通じてほぼ同じ規模で、しかも継続的に施行されてきたこと、この直 年以降、大規模な護岸、築提等の工事は請負方式で施工されてきたが、河川の提防や道路の維持、補修等の工事はもつぱら直営方式により、年間を通じてほぼ同じ規模で、しかも継続的に施行されてきたこと、この直営工事には原告らを含む特定した一定数の工事人夫が行政職俸給表(二)の適用を受ける常勤の一般職々員(以下行(二)職員という。)とともに継続して従事してきたこと、またその作業内容も工事人夫と右行(二)の常勤職員とで何ら異なるところはなかつたこと等の事実は、これを示すものである。第三段のうち、原告らが甲府工事事務所の係官から身体の確認を受ける程度で採用されたこと、および原告らが作業日に就労するか否かは自由であつたことは否認する。その余の事実は認める。原告らは同工事事務所の係官による一種の選考ともいうべき面接を受けて採用されたものであり、昭和三七年二月にも後述のような職務遂行能力の有無についての選考を経ている。また原告らが作業日に休むときはその旨を口頭で届け出なければならないものとされており、現実にもそのようになされてきたのである。 ける程度で採用されたこと、および原告らが作業日に就労するか否かは自由であつたことは否認する。その余の事実は認める。原告らは同工事事務所の係官による一種の選考ともいうべき面接を受けて採用されたものであり、昭和三七年二月にも後述のような職務遂行能力の有無についての選考を経ている。また原告らが作業日に休むときはその旨を口頭で届け出なければならないものとされており、現実にもそのようになされてきたのである。なお、農繁期等に就労日数の少ないのは、原告らばかりでなく、行(二)職員の場合にあつても同じである。これは農村出身の職員の特殊性であるに過ぎない。第四段は、原告らの就労の実態が任期の定めのない常勤職員のそれと著しく異なつたものであることは否認し、その余の事実は認める。(三) (三)について以上のとおり、臨時的な単純労務に従事する職員であるからといつて、このような職員を人規八-一二第七四条第一項第三号、第二項を根拠に日々雇用の形態で任用することは、そもそも国公法上許されないものであり、仮にこれが許されるとしても、原告らが従事していた業務は決して臨時的なものではなく、継続的、恒常的業務であつたのであるから、原告らを任期を一 で任用することは、そもそも国公法上許されないものであり、仮にこれが許されるとしても、原告らが従事していた業務は決して臨時的なものではなく、継続的、恒常的業務であつたのであるから、原告らを任期を一日と限つて任用することは国公法上許されない。したがつて、仮に原告らが任期を一日として任用されたものであつたとしても、右任期の定めは無効である。第七再抗弁仮に、原告らが被告主張のとおり日々雇用の工事人夫として任用されたものとしても、原告らに対する本件任用更新拒絶は次の理由により無効である。一任期の定めのない任用への転化原告らは昭和三六年四月一日以降各行政年度末に任用更新を拒絶されることもなく、二年以上一〇年近くにわたつて継続的に勤務してきた。その従事してきた業務と本来任期の定めのない常勤職員が携わるべき恒常的業務であり、就労の実態も行(二)職員のそれと何ら異なるところはなかつた。また、原告らは、昭和三五年から昭和三七年にかけて、甲府工事事務所管内の出張所や派出所を中心に、そこに勤務する者で次々と労働組合を結成し、その後相互に合併して、昭和三七年二月一七日に建設省富士川上流労働組合(昭和四二年三月一七日に建設省甲府労働組合と名称変更した、以下組合という。 務と本来任期の定めのない常勤職員が携わるべき恒常的業務であり、就労の実態も行(二)職員のそれと何ら異なるところはなかつた。また、原告らは、昭和三五年から昭和三七年にかけて、甲府工事事務所管内の出張所や派出所を中心に、そこに勤務する者で次々と労働組合を結成し、その後相互に合併して、昭和三七年二月一七日に建設省富士川上流労働組合(昭和四二年三月一七日に建設省甲府労働組合と名称変更した、以下組合という。)を組織した。その際、組合が組合員名簿を同工事事務所に提出したところ、同工事事務所は、就労の状況、勤務態度、家族数、経歴、身元等からして、継続して就労する条件に欠ける不適当な者を組合員名簿から削除するよう求めてきた。そのため、右のような不適格者は組合員名簿から除かれることになつたが、原告らは組合員として登録することを許された。このようにして、原告らはこのとき職務遂行能力の有無について一種の選考ともいうべきものを経ており、採用されるにあたつても面接という選考を受けている。したがつて、原告ら として登録することを許された。このようにして、原告らはこのとき職務遂行能力の有無について一種の選考ともいうべきものを経ており、採用されるにあたつても面接という選考を受けている。したがつて、原告らの任用は、少なくとも昭和四四年三月三一日当時には、期限の定めのないものに転化していたものというべきである。二手続的瑕疵本件任用更新拒絶は、国公法第八九条第一項、人規八-一二第七一条第六号にいわゆる免職ないしは著しく不利益な処分と解されるから、これをなす際には処分事由を記載した説明書の交付を要するところ、原告らにはその交付がなかつた。この瑕疵は明白かつ重大なものである。三国公法第七八条違反本件任用更新拒絶は国公法第七八条にいう免職と解されるから、これをなすには同条所定の事由がなければならず、日々雇用の非常勤職員の職務と責任を考慮しても、少なくとも同条所定の事由に準ずる事由がなければならない。しかるに、原告らについては右のような事由が存しない。四国公法第一〇八条の七違反原告らは、前記のとおり組合を結成し、賃金値上げ、期末勤勉手当の増額、休日問題等労働条件の向上、継続的雇用関係の確立化、定員化等を要求して、甲府工事事務所と交渉を続けてきた。また、組合は昭和四三年五月二四日人事院に対し、常勤職員なみの身分保障と労働条件の確立を求めて、行政措置要求をし、同年六月一六日には建設大臣に対して団体交渉を申し入れ、期末勤勉手当を常勤職員なみに支給することおよび身分保障を要求して交渉をはじめるに至つた。 を結成し、賃金値上げ、期末勤勉手当の増額、休日問題等労働条件の向上、継続的雇用関係の確立化、定員化等を要求して、甲府工事事務所と交渉を続けてきた。また、組合は昭和四三年五月二四日人事院に対し、常勤職員なみの身分保障と労働条件の確立を求めて、行政措置要求をし、同年六月一六日には建設大臣に対して団体交渉を申し入れ、期末勤勉手当を常勤職員なみに支給することおよび身分保障を要求して交渉をはじめるに至つた。しかるに、甲府工事事務所長は右のような活発な活動を続けてきた組合ないし組合員である原告らを敵視し、本件任用更新拒絶におよんだものである。五国公法第七四条違反本件任用更新拒絶は、次のような事情を考慮するときは、その合理性を欠くものであつて、国公法第 きた組合ないし組合員である原告らを敵視し、本件任用更新拒絶におよんだものである。五国公法第七四条違反本件任用更新拒絶は、次のような事情を考慮するときは、その合理性を欠くものであつて、国公法第七四条第一項に違反し無効である。(一) 原告らが従事していた河川の堤防および道路の維持、補修等の業務は、日常継続的に行なわれなければならない恒常的業務であり、これを停止することはできない性質のものである。この意味において、これは直営方式で行なわなければならない業務である。また業務の能率的遂行という面からみても、作業に習熟した原告らを継続雇用する方がよいことは明らかである。そうすると、右のような業務を請負方式により施工することとしてまで原告らの任用更新を拒絶しなければならない合理的理由はないといわざるを得ない。(二) 甲府工事事務所に勤務していた定員外職員には、準職員、補助員、附属調書および人夫という職種があつた。この準職員、補助員および附属調書は年間継続的に雇用されていたものであつたが、補助員および附属調書が従事していた作業の内容は原告らと全く同じものであつた。ところが、準職員、補助員およひ附属調書は昭和三三年ころから昭和三七年にかけて、全員が定員内職員となつていつた。そして原告らも、前記のとおり、昭和三六年四月一日以降各行政年度末に任用更新を拒絶されることなく継続的に勤務するようになり、同工事事務所の係官からも、継続雇用されていれば定員内職員になれる、とも言われていたので、原告らは行(二)の定員内職員になれるであろうと期待し、昭和三七年一月一九日の閣議において、昭和三七年度の定員化により定員外職員の定員繰入れ措置は終了した、との決定がなされたことも知らずに、以後も継続的に勤務してきたのであつた。 六年四月一日以降各行政年度末に任用更新を拒絶されることなく継続的に勤務するようになり、同工事事務所の係官からも、継続雇用されていれば定員内職員になれる、とも言われていたので、原告らは行(二)の定員内職員になれるであろうと期待し、昭和三七年一月一九日の閣議において、昭和三七年度の定員化により定員外職員の定員繰入れ措置は終了した、との決定がなされたことも知らずに、以後も継続的に勤務してきたのであつた。それなのに、甲府工事事務所長は、昭和三六年二 閣議において、昭和三七年度の定員化により定員外職員の定員繰入れ措置は終了した、との決定がなされたことも知らずに、以後も継続的に勤務してきたのであつた。それなのに、甲府工事事務所長は、昭和三六年二月八日および昭和三七年一月一九日の各閣議において定員外職員の常勤化防止措置が定められたにもかかわらず、その措置を講ぜず、昭和三六年四月一日以降各行政年度末に任用更新拒絶をしないで原告らの任用を更新しておきながら、定員化の期待を持つて継続的に勤務してきた原告らに対し本件任用更新拒絶におよんだものである。第八再抗弁に対する認否一任期の定めのない任用への転化について昭和三七年度以降各行政年度末に任用更新を拒絶しなくなつたこと、原告らがその主張のとおり組合を結成し、組合から甲府工事事務所に組合員名簿の提出がなされたことは認める。その余の事実は否認する。二手続的瑕疵について争う。三国公法第七八条違反について争う。四国公法第一〇八条の七違反について前段の事実は認めるが、後段の事実は否認する。建設省の所管行政は昭和二七、八年ころからその範囲が漸次拡大したので、行政経済の観点と民間業者の施工能力が十分に整備された状況にかんがみ、それまで直営事業とされていた業務の執行の能率向上をはかるため、漸次工事施工方式を請負方式とする方針をとることになつた。そして甲府工事事務所においてもその所管業務が年々増加の一途をたどり他方では定員内職員が減少傾向にあつたので、その所管業務を合理的、能率的に遂行するためには、工事施工方式を直営方式から請負方式に転換せざるを得ない状況にあつた。そのため建設省の方針に従つて、関東地方建設局管内の他の二三工事事務所とともに、事業を請負化することにし、これまで直営工事に従事していた原告らに対しその任用を更新しないことにした 得ない状況にあつた。 おいてもその所管業務が年々増加の一途をたどり他方では定員内職員が減少傾向にあつたので、その所管業務を合理的、能率的に遂行するためには、工事施工方式を直営方式から請負方式に転換せざるを得ない状況にあつた。そのため建設省の方針に従つて、関東地方建設局管内の他の二三工事事務所とともに、事業を請負化することにし、これまで直営工事に従事していた原告らに対しその任用を更新しないことにした 得ない状況にあつた。そのため建設省の方針に従つて、関東地方建設局管内の他の二三工事事務所とともに、事業を請負化することにし、これまで直営工事に従事していた原告らに対しその任用を更新しないことにしたのである。五国公法第七四条違反について冒頭の事実は否認する。原告らの任用を更新しないことにした理由は前述のとおりであつて、合理的なものである。(一) (一)について原告らが従事していた業務の内容は認めるが、その性質等その余の事実は否認する。(二) (二)について甲府工事事務所に勤務していた定員外職員の職種、人夫を除くその余の定員外職員が年間継続的に雇用されていたものであり、その大部分は昭和三三年ころから昭和三七年にかけて定員内職員となつたこと、原告らに対し昭和三七年度以降各行政年度末に任用更新拒絶をしなくなつたこと、昭和三六年二月八日および昭和三七年一月一九日に原告ら主張のような各閣議決定がなされたことは認める。その余の事実は否認する。昭和三六年二月八日および昭和三七年一月一九日になされた定員外職員の常勤化防止に関する各閣議決定は、定員規定の対象となる職員と同種または類似の職員が定員規定の外に発生することを防止することを目的としたものであつた。したがつて、原告らのような臨時的かつ単純な肉体的作業に従事する職員については、その規制の対象としていないと解する余地があつた。そこで甲府工事事務所では、建設省の方針に従い、昭和三七年九月以降、就労点検票に「あなたは、日々雇用の非常勤職員です。」と明示する、簡略な手続をとることにしたのである。そして、右のような方法を講じたので、昭和三七年以降各行政年度末に任用更新拒絶をとらなくなつたのである。第九証拠関係(省略)○ 理由一甲府工事事務所長が、昭和二九年二月一日以降昭和四四年三月三一日 右のような方法を講じたので、昭和三七年以降各行政年度末に任用更新拒絶をとらなくなつたのである。 九月以降、就労点検票に「あなたは、日々雇用の非常勤職員です。」と明示する、簡略な手続をとることにしたのである。そして、右のような方法を講じたので、昭和三七年以降各行政年度末に任用更新拒絶をとらなくなつたのである。第九証拠関係(省略)○ 理由一甲府工事事務所長が、昭和二九年二月一日以降昭和四四年三月三一日 右のような方法を講じたので、昭和三七年以降各行政年度末に任用更新拒絶をとらなくなつたのである。第九証拠関係(省略)○ 理由一甲府工事事務所長が、昭和二九年二月一日以降昭和四四年三月三一日までの間、建設大臣から、少なくとも同工事事務所に勤務する職員のうち一般職の非常勤職員に対する任命権を委任されていたことは当事者間に争いない。しかし、同所長が右の範囲以上の任命権、すなわち常勤職員の任命権を委任されていたことを認めるに足りる証拠はない。請求原因第二項の事実は、当事者間に争いない。二原告らの任用の形態証人D、同E、同Fの各証言によれば、建設省の非常勤職員には準職員、補助員、附属調書および人夫の四職種があつたこと、準職員は任期を二か月として、その他の非常勤職員は任期を一日として、すなわち日々雇用の形態で任用されていたものであること、以上のことは甲府工事事務所においても同様であつたことが認められる。また、成立に争いない乙第一五号証の一ないし六、八、九、一一ないし一三、一五ないし一七、二〇、二二、二六、二七、二九、三一、三五ないし四〇、四二、四三、四八、五〇ないし五五、五七ないし六一の各一、二および原告G、同H、同Iの各供述ならびに弁論の全趣旨によれば、原告らは右にいわゆる人夫という職種に属する職員として雇用されたこと、給料は日給制で、雇用当初から自他ともにその雇用形態を日々雇用のものと称していたこと、甲府工事事務所においては、昭和三六年度までは、同工事事務所が直営方式で施工していた工事に従事していた原告らをはじめとする工事人夫に対し、各行政年度末に一旦その任用の更新を拒絶するという措置がとられてきたこと、そしてこの措置がとられると工事人夫は一定期間就労することができなかつたのであるが、昭和三六年度の原告らの場合には引き続き就労 行政年度末に一旦その任用の更新を拒絶するという措置がとられてきたこと、そしてこの措置がとられると工事人夫は一定期間就労することができなかつたのであるが、昭和三六年度の原告らの場合には引き続き就労できたこと、原告ら自身としても少なくとも昭和三五年度末ころまでは自己が日々雇用の職員であると考えていたのであり、その後別個な任命行為があつたわけではないが、ただ右のような事情があつたので、昭和三六年度以降は日々雇用の職員であるという意識が希薄になつたに過ぎないこと、原告らは職員に採用されると就労点検票の交付を受け、就労する場合にはこれを工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印を押捺してもらつてその返還を受けるという手続により就労していたのであるが、この就労点検票の裏面には、昭和三七年九月以降、「あなたは日々雇用の非常勤職員です。 ただ右のような事情があつたので、昭和三六年度以降は日々雇用の職員であるという意識が希薄になつたに過ぎないこと、原告らは職員に採用されると就労点検票の交付を受け、就労する場合にはこれを工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印を押捺してもらつてその返還を受けるという手続により就労していたのであるが、この就労点検票の裏面には、昭和三七年九月以降、「あなたは日々雇用の非常勤職員です。」 との文言が記載されるようになつたこと、これに対し原告らは甲府工事事務所長にその記載の意味を尋ねた程度で、これが自己の任用条件と異なるものであるとの主張ないし異議を述べたことはなかつたことが認められる(以上の事実のうち、原告らに対しては、昭和三七年度以降、各行政年度末に任用更新を拒絶するという措置がとられていなかつたこと、および原告らは就労点検票の交付を受け、これの提出返還という手続により就労していたことは、当事者間に争いない。)。以上認定の事実ならびに甲府工事事務所長は同工事事務所に勤務する非常勤職員に対する任命権のみを委任されていたものであつて、原告らは同所長により同工事事務所に勤務する工事人夫として採用されたものであるとの事実を総合すれば、原告らは、いずれも、任期を一日とする非常勤の工事人夫として任用されたものであると認められる。三期限付任用の許否(一) 国公法には、一般職に属する国 て採用されたものであるとの事実を総合すれば、原告らは、いずれも、任期を一日とする非常勤の工事人夫として任用されたものであると認められる。三期限付任用の許否(一) 国公法には、一般職に属する国家公務員を任用する場合、任期を定めることができるか否かについて明示の規定はない。ただ、わずかに同法第五九条が条件付任用について、同法第六〇条が臨時的任用について、それぞれその任期を規定しているにとどまる。同法第五九条の条件付任用の規定は、職員の職務遂行能力の有無を判定するために六か月間の条件付採用を認めたものであつて、期限を付することが特に必要な場合であるから、この規定があるからといつて、国公法が期限付任用をこの場合にのみ特に限定的に許したものとは解されない。また、同法第六〇条の臨時的任用の規定も期限付任用を例外的に認めた趣旨のものと解することはできない。むしろ、同条は、恒常的に置く必要のあるいわゆる常勤官職に欠員を生じた場合に、その欠員を臨時的に補充するための任用方法に関する特則を定めたもの、すなわち同法第三三条第一項が職員の任用に関する根本基準として成績主義の原則を規定していることに対する特則を定めたものであると解せられるのである。 とは解されない。また、同法第六〇条の臨時的任用の規定も期限付任用を例外的に認めた趣旨のものと解することはできない。むしろ、同条は、恒常的に置く必要のあるいわゆる常勤官職に欠員を生じた場合に、その欠員を臨時的に補充するための任用方法に関する特則を定めたもの、すなわち同法第三三条第一項が職員の任用に関する根本基準として成績主義の原則を規定していることに対する特則を定めたものであると解せられるのである。常勤官職に欠員を生じ、これを緊急に補充しなければならない必要があつて職員を臨時的に任用する場合などには、その事柄の性質上、任用について同条同項の成績主義の原則による余裕のない場合もある。しかし、だからといつて、成績主義の原則によらないで採用した職員を無期限に国家公務員たる地位に置いておくことは、他方において成績主義の原則を採用した趣旨にもとり、任用制度の正常な運用を阻害する虞れを生ずる。同法第六〇条の規定は、右のような相反する要請の調和をはかり、一方で緊急の必要がある等一定の場合には成績主義の原則によらない任 原則を採用した趣旨にもとり、任用制度の正常な運用を阻害する虞れを生ずる。同法第六〇条の規定は、右のような相反する要請の調和をはかり、一方で緊急の必要がある等一定の場合には成績主義の原則によらない任用を許容するとともに、他方でその任用から生ずる虞れのある弊を避けるため特に臨時的任用の期間を厳格に定めたものと解されるのである。したがつて、同条の規定が存するからといつて、一般職に属する国家公務員の期限付任用が原則として禁止されているものと解することはできない。原告らは、一般職々員の任用に期限を付することなかんずく日々雇用は国公法の定める身分保障を奪うものであると主張するが、この主張はあたらない。同法は、職員の分限および懲戒の事由を限定的に規定し(同法第七五条、第七八条、第七九条、第八二条)、職員の身分保障をはかつている。国公法が予定する国家公務員の身分保障とは、国家公務員は、国公法の定める事由または手続によらなければ、その意に反して、身分をはくだつされる等の不利益処分を受けないということである。国家公務員の期限付任用が適法であるかどうかは暫くおくとしても、期限付任用が成立するためには、使用者としての政府(任命権者)と相手方(国家公務員となるべき者)との間において、任命行為の内容である期限についても、合意が成立しなければならない。 国家公務員の身分保障とは、国家公務員は、国公法の定める事由または手続によらなければ、その意に反して、身分をはくだつされる等の不利益処分を受けないということである。国家公務員の期限付任用が適法であるかどうかは暫くおくとしても、期限付任用が成立するためには、使用者としての政府(任命権者)と相手方(国家公務員となるべき者)との間において、任命行為の内容である期限についても、合意が成立しなければならない。任命権者が期限付任用を申し出で、相手方がその期限を承諾せず、期限の定めのない任用として同意したとすれば、任用の表示行為は合致しないから、任命は成立しない。また期限の定めなく任用された者について、後に任命権者が一方的に期限を設定しても、相手方の同意のない限り、有効な期限付任用とはならない。したがつて、国家公務員の任用に期限を付することは、その意に反する不利益処分ではないから、同法の定める身分保障を奪うことになるもの 設定しても、相手方の同意のない限り、有効な期限付任用とはならない。したがつて、国家公務員の任用に期限を付することは、その意に反する不利益処分ではないから、同法の定める身分保障を奪うことになるものではない。むしろ、制度的には、両者は全く別個な問題である。私法上の雇用契約においては、労働者の保護を目的として、民法の特別法たる労働基準法が設けられているが、同法は民法と同様雇用期間を定めることを認めながら、かえつて民法とは異なつて一年を越える長期の雇用契約を禁止している(労働基準法第一四条)。これは雇用契約に期間の定めをすることと労働者の保護とが本来別問題であつて、相互に矛盾するものではないことを示している。同様のことは国家公務員の任用についてもいえる。何故なら、国家公務員の任命も、その法的性質を公法上の契約と解すると否とにかかわらず、国家公務員が労務に服し、使用者である政府がこれに報酬を支払うことを約する点において、私法上の雇用契約と異なるところはないし、しかも、労働基準法第一四条は、一般職の国家公務員にも準用されるものだからである(国公法第一次改正法律ー昭和二三年一二月三日法律第二二二号一附則第三条)。期限付で任用された国家公務員の場合にも、その任期の範囲内においては、特段の定め(国公法第八一条)のある場合のほかは、同法ないし人規の身分保障の規定が等しく適用されるのであるから、身分保障について欠けるところはないのである。 約と異なるところはないし、しかも、労働基準法第一四条は、一般職の国家公務員にも準用されるものだからである(国公法第一次改正法律ー昭和二三年一二月三日法律第二二二号一附則第三条)。期限付で任用された国家公務員の場合にも、その任期の範囲内においては、特段の定め(国公法第八一条)のある場合のほかは、同法ないし人規の身分保障の規定が等しく適用されるのであるから、身分保障について欠けるところはないのである。以上のとおり、国公法には、一般職々員の期限付任用の許否について明定するところはなく、これを禁止していると解されるような規定も存しないし、またこれを一般的に禁止しなければならない合理的理由も見出し得ないから、常勤官職であれ非常勤官職であれ、その任用に任期を定めることは、後記のような特別の事情のある場合を除いては、同法上必 しないし、またこれを一般的に禁止しなければならない合理的理由も見出し得ないから、常勤官職であれ非常勤官職であれ、その任用に任期を定めることは、後記のような特別の事情のある場合を除いては、同法上必ずしも許されないものではないと解すべきである。当裁判所は、以上のような結論に到達したのであるが、この結論の根拠とするところは、被告の主張を採用するものではない。すなわち、国公法附則第一三条、人規八-一二第七四条第一項第三号、第二項の各規定は、一般職々員の期限付任用が原則として禁止されないとの解釈を導く根拠となるものではない。国公法附則第一三条は期限付任用について何ら定めていないし、問題とされるべきは期限付任用が国公法上許されるか否かだからである。しかしながら、一般職々員の期限付任用は全く無制約に許されるものでもない。国公法は、国民に対し公務の能率的な運営を保障することを目的とするものである(同法第一条第一項)。したがつて、職員を任期を定めて任用することが公務の能率的運営を阻害するような場合には、期限付任用は許されないものといわなければならない。この意味において、恒常的に置く必要がある官職にあてるべき常勤の職員を任期を定めて任用することは、一般的には許されない場合が多いであろう。特に職務の遂行について、専門の知識と経験とを要求されるような常勤の官職にあてる公務員を期限付任用することは、職務への習熟を害し、ひいては公務の能率的運営を阻害するから、到底許されないのである(人規八-一二第一五条の二の規定は、この理を明示するものである。 ならない。この意味において、恒常的に置く必要がある官職にあてるべき常勤の職員を任期を定めて任用することは、一般的には許されない場合が多いであろう。特に職務の遂行について、専門の知識と経験とを要求されるような常勤の官職にあてる公務員を期限付任用することは、職務への習熟を害し、ひいては公務の能率的運営を阻害するから、到底許されないのである(人規八-一二第一五条の二の規定は、この理を明示するものである。なお、この規定は、非常勤職員たる原告らに適用はない。)。要は、任期を定めて任用することが許されるか否かは、当該職員の職務の性質、内容、任期の必要性等からして、国公法の右制定目的に反しないかどうかによつて判断しなければな 職員たる原告らに適用はない。)。要は、任期を定めて任用することが許されるか否かは、当該職員の職務の性質、内容、任期の必要性等からして、国公法の右制定目的に反しないかどうかによつて判断しなければならない。(二) 原告らの職務の性質、内容、任期約定の事情等 1 甲府工事事務所が河川(富士川、笛吹川、釜無川)および道路(国道二〇号線等)の改築、改良、維持、補修等の業務を所管していること、原告らは、同工事事務所が直営方式で施工する河川の堤防の草刈り、堤防天端の補修、道路の路面、側溝の補修、清掃等の工事人夫として採用されたものであること、およびその従事していた作業の具体的内容が、土木作業、草刈り、抜根、芝付け、空石張り、清掃等であつたことは、当事者間に争いない。証人D、同Eの各証言ならびに原告G、同H、同Iの各供述を総合すると、右直営工事には原告ら人夫のほか行(二)の常勤職員(昭和三三年ころから昭和三七年にかけてその大部分が定員化された準職員、補助員および附属調書を含む。)も従事していたこと、右行(二)職員は原告ら人夫と同じ作業に従事していただけでなく、そのかたわら、人夫に対する作業の指示、監督、資材の管理等のほか、請負方式による工事の監督等をも担当していたことが認められる。これによれば、原告らが従事していた仕事の内容は、行(二)の常勤職員のそれと必ずしも同じではなかつたことが明らかである。2 証人D、同Eの各証言によれば、原告ら人夫が甲府工事事務所の工事人夫として採用されたいと希望するときは、直接工事現場におもむいて係官にその旨を申し出で、係官から作業に耐え得るかどうか身体を確認される程度で採用されていたことが認められる。 事の監督等をも担当していたことが認められる。これによれば、原告らが従事していた仕事の内容は、行(二)の常勤職員のそれと必ずしも同じではなかつたことが明らかである。2 証人D、同Eの各証言によれば、原告ら人夫が甲府工事事務所の工事人夫として採用されたいと希望するときは、直接工事現場におもむいて係官にその旨を申し出で、係官から作業に耐え得るかどうか身体を確認される程度で採用されていたことが認められる。採用されると就労点検票の交付を受け、就労する場合にはこれを工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印 作業に耐え得るかどうか身体を確認される程度で採用されていたことが認められる。採用されると就労点検票の交付を受け、就労する場合にはこれを工事現場の係官に提出し、就業後に係官から就労の事実を証する検印を押捺してもらつてその返還を受けるという手続により就労していたことは、前認定のとおりである。そして、この就労点検票が、原告らの就労確認表となるとともに、賃金計算の根拠とされ、原告らは就労点検票の領収欄に自己の受領印を押捺のうえ、これを現場の係官に提出してその賃金の支払いを受けるものであることは、当事者間に争いない。また、前掲乙第一五号証の一ないし六、八、九、一一ないし一三、一五ないし一七、二〇、二二、二六、二七、二九、三一、三五ないし四〇、四二、四三、四八、五〇ないし五五、五七ないし六一の各一、二、成立に争いない同第一〇号証、弁論の全趣旨により成立を認める同第七、第九号証、証人D、同Eの各証言および原告G、同Hの各供述ならびに弁論の全趣旨を総合すれば、原告らのうち昭和三七年九月以後に採用された者も、かつてこれより以前から甲府工事事務所の工事人夫として同工事事務所施工の直営工事に従事していたことがあるが昭和三五年ころまでは原告らの大部分は毎年秋ころから翌年春の行政年度末までの間、すなわちいわゆる渇水期にだけ就労していたに過ぎないこと、原告らの月々の就労日数をみると、各人によりまた各月によつて必ずしも一定していないばかりでなく、年度末に任用更新拒絶を受けることがなくなつた昭和三七年四月以前は勿論のこと、それ以後においてすら、月によつては二〇日に満たない者が多数あり、一〇日に満たない者や全く就労していない者すらいること、原告らのうちかなりの者は副業として農業を営んでおり、農繁期の六月には他の月に比して著しく就労日数が少ない者もいること、雨天や荒天 日数をみると、各人によりまた各月によつて必ずしも一定していないばかりでなく、年度末に任用更新拒絶を受けることがなくなつた昭和三七年四月以前は勿論のこと、それ以後においてすら、月によつては二〇日に満たない者が多数あり、一〇日に満たない者や全く就労していない者すらいること、原告らのうちかなりの者は副業として農業を営んでおり、農繁期の六月には他の月に比して著しく就労日数が少ない者もいること、雨天や荒天 が多数あり、一〇日に満たない者や全く就労していない者すらいること、原告らのうちかなりの者は副業として農業を営んでおり、農繁期の六月には他の月に比して著しく就労日数が少ない者もいること、雨天や荒天の日には作業ができないので原告ら人夫の場合には休日とされていたこと、これに対し昭和三三年ころから昭和三七年にかけて定員化された準職員、補助員および附属調書は、定員化前から雨天等の場合にも就労していたことが認められる(但し、原告らの月々の就労日数が各人によつてまちまちであり、特に農繁期等時期的に著しく就労日数の少ない者がいたこと、および雨天、荒天の日には作業を行なわなかつたことは、当事者間に争いない。)。このように、原告らの就労の実態も常勤職員の場合とでは著しく異なるところがあつた。3 甲府工事事務所が行なう直轄工事の施工方式に、同工事事務所が直接工事資材を入手し、人夫等の労務者を雇用して行なう直営施工方式と、民間土木業者に請負わせてする請負施工方式とがあることは、当事者間に争いない。証人D、同E、同Jの各証言によれば、同工事事務所が施工する直轄工事の量および規模は、各年度の工事予算を基礎に上部機関(関東地方建設局)により立案される工事実施計画によつて決定されること、同工事事務所長は右工事実施計画によつて決定された直轄工事を直営と請負のいずれの方式によるかを決定し、直営方式による場合には、工事設計書を作成のうえ、当該工事の施工を担当する出張所に対し工事施工命令を発すること、工事実施命令を受けた出張所は工事設計書をもとに必要な労働力を算出し、工事現場の係官が作業に耐えられるかどうか身体を確認する程度で人夫の採用を行ない、これにより直営工事を実施していること原告ら工事人夫の賃金は当該工事費の中から支払われるものであることが認められる。以上認定の事実 官が作業に耐えられるかどうか身体を確認する程度で人夫の採用を行ない、これにより直営工事を実施していること原告ら工事人夫の賃金は当該工事費の中から支払われるものであることが認められる。 算出し、工事現場の係官が作業に耐えられるかどうか身体を確認する程度で人夫の採用を行ない、これにより直営工事を実施していること原告ら工事人夫の賃金は当該工事費の中から支払われるものであることが認められる。以上認定の事実 官が作業に耐えられるかどうか身体を確認する程度で人夫の採用を行ない、これにより直営工事を実施していること原告ら工事人夫の賃金は当該工事費の中から支払われるものであることが認められる。以上認定の事実から明らかなように、甲府工事事務所が所管する河川および道路の改築、改良、維持、補修等の業務それ自体は恒常的な業務である。しかし、原告らが従事していた具体的業務は、本来、各年度の工事予算ならびに工事実施計画によつて決定される工事量、工事規模、工事施工方式等によつて増減変動し、前認定のように天候にも左右され、必要とされる工事人夫の数も必らずしも一定しない性質のものである。また常に直営方式によつて施工されなければならないというものでもない。(三) 以上のとおり、原告らは、国公法の定める成績主義の原則によらずに採用され、その従事していた業務はその時々によつて増減変動し、必要とされる工事人夫の数も必ずしも一定しない性質のものであり、常に直営方式によつて施工されなければならないというものでもない。また作業の内容も常勤職員のそれと必ずしも同じではないし、一般的にみれば極めて単純な肉体的労務であり、その遂行に専門の知識および経験を必要とせず、したがつて、何人をもつてしても容易にその職務に適応できるという意味で代替性の強い性質のものであるから、同一人をして継続してその職務を担当させる必要性もない。さらに、就労の実態からみても、常勤職員の場合に比して著しく異なつた面がある。そうすると、このような性質の業務に従事する原告らを日々雇用の形態で任用したからといつて、公務の能率的運営を阻害する等国公法の目的に反するものとも認められない。したがつて、原告らの任用に付せられた任期の定めは、国公法上許されないものとは認められないから、有効なものといわなければならない。三 的運営を阻害する等国公法の目的に反するものとも認められない。したがつて、原告らの任用に付せられた任期の定めは、国公法上許されないものとは認められないから、有効なものといわなければならない。三任期満了による退職国公法第一次改正法律附則第三条によれば、一般職に属する国家公務員に関しても、労働基準法第二一条但書、第一号、第二〇条第一項本文が準用されると解されるから、原告らのように日々雇用の形態で任用された職員が一か月を越えて引き続き使用されるに至つた場合には、被告が当該職員の任用の更新を拒否しようとするときは少なくとも三〇日前にその予告をするか、三〇日分以上の平均賃金を支払わなければならない。 満了による退職国公法第一次改正法律附則第三条によれば、一般職に属する国家公務員に関しても、労働基準法第二一条但書、第一号、第二〇条第一項本文が準用されると解されるから、原告らのように日々雇用の形態で任用された職員が一か月を越えて引き続き使用されるに至つた場合には、被告が当該職員の任用の更新を拒否しようとするときは少なくとも三〇日前にその予告をするか、三〇日分以上の平均賃金を支払わなければならない。そして、甲府工事事務所長が、原告A、同B、同Cを除くその余の原告らに対して昭和四四年二月二一日に、また右原告Aら三名に対しては同月二五日に、いずれも同年三月三一日限り原告らの任用を更新しない旨の通知をしたことは、当事者間に争いない。四再抗弁について(一) 任期の定めのない任用への転化について原告らが主張するところは必ずしも明らかではないが、任期の定めのない職員として任用されるべき実質的資格を有する職員について、期限付任用が長期間更新して継続されるとその任用は当然に任期の定めのないものになるというのであれば、この主張は全く理由がない。期限付任用は、いかに長期間更新して継続されても、期限付任用としての性質を変ずるものではない(人規八-一二第七四条第二項)。期限付任用と任期の定めのない任用とは、性質を異にする別個の任用行為であり、しかも少なくとも常勤職員の期限の定めのない任用行為は厳格な要式行為であるから(人規八-一二第七五条第一号)、任命権者による任期の定めのない職員への任命行為がなければ、任期の定めのない職員への任命が有効に成立し得る余地はな の期限の定めのない任用行為は厳格な要式行為であるから(人規八-一二第七五条第一号)、任命権者による任期の定めのない職員への任命行為がなければ、任期の定めのない職員への任命が有効に成立し得る余地はないからである。また右の主張を、右のような実質的資格を有する職員について、期限付任用が長期間継続されるという事実があれば、これを間接事実として、期限の定めのない任用という要証事実の存在が推認されるべきであるという主張と解しても、本件のような事実関係のもとにおいては、右の主張もとり得ない。前記認定の原告らの採用および就労の実態、就労点検票の裏面の記載等からして、期限付任用を長期間更新したことのみで期限の定めのない任用の存在を推認するのは困難だからである。 する職員について、期限付任用が長期間継続されるという事実があれば、これを間接事実として、期限の定めのない任用という要証事実の存在が推認されるべきであるという主張と解しても、本件のような事実関係のもとにおいては、右の主張もとり得ない。前記認定の原告らの採用および就労の実態、就労点検票の裏面の記載等からして、期限付任用を長期間更新したことのみで期限の定めのない任用の存在を推認するのは困難だからである。(二) 手続的瑕疵について国公法第八九条第一項の規定は、被処分者が当該不利益処分について不服申立てをする場合において、右申立てをするための資料を被処分者に与えようとしたものであるから、処分事由説明書の交付がないからといつて、不利益処分自体が違法になると解することはできない。のみならず、本件任用更新拒絶は、前述のとおり、国公法第一次改正法律附則第三条により労働基準法第二一条但書、第一号、第二〇条第一項本文が準用される関係からなされたものである。日々雇用の形態で任用された職員については、一日の経過をもつて任用は終了するのであり、将来に向かつて任用を拒否することは、従前の任用を終了せしめる事由となるものではなく、その日以降の新たな任用を拒否するだけである。原告らの任用には、任用更新拒絶がなければ当然に従前の任用が更新されるというような約款ないし条件は付されていないのであるから、原告らは任期の満了をもつて当然に被告の職員たる地位を失なつたのであつて、本件任用更新拒絶によりその地位を失なつたものではな 任用が更新されるというような約款ないし条件は付されていないのであるから、原告らは任期の満了をもつて当然に被告の職員たる地位を失なつたのであつて、本件任用更新拒絶によりその地位を失なつたものではない。そうすると、本件任用更新拒絶をもつて国公法第八九条第一項、人規八-一二第七一条第六号にいわゆる免職ないしは著しく不利益な処分ということはできない。(三) 国公法第七八条違反について本件任用更新拒絶が国公法第七八条にいう免職にあたらないことは、前述したところと同様であるから、原告らの主張は採用できない。(四) 国公法第一〇八条の七違反について原告らがその主張のとおり組合を結成し、組合が原告ら主張のとおりの活動をしてきたことは、当事者間に争いない。しかし、甲府工事事務所長が、組合ないし組合員である原告らを、右のような活動をしてきたが故に敵視し、本件更新拒絶におよんだものであることを認めるに足りる証拠はない。 条にいう免職にあたらないことは、前述したところと同様であるから、原告らの主張は採用できない。(四) 国公法第一〇八条の七違反について原告らがその主張のとおり組合を結成し、組合が原告ら主張のとおりの活動をしてきたことは、当事者間に争いない。しかし、甲府工事事務所長が、組合ないし組合員である原告らを、右のような活動をしてきたが故に敵視し、本件更新拒絶におよんだものであることを認めるに足りる証拠はない。かえつて、証人Fの証言により成立を認める乙第一一号証、同証人ならびに証人Jの各証言によれば、建設省では、行政経済の観点と民間土木業者の工事施工能力の整備状況から、業務遂行の合理化をはかるため、昭和三〇年前後ころからそれまで直営工事として行なわれてきた業務を漸次請負方式で施工するようになつたこと、甲府工事事務所においては、その所管業務特に河川および道路の管理業務が増大し、他方では定員内職員の削減問題が生じていたので、所管業務の能率的遂行と職員の合理的配置をはかる必要があつたこと、そのため建設省の右方針に従つて工事施工方式を直営方式から請負方式に転換することにし、昭和四四年一月中旬ころ、それまで直営工事に従事していた原告らの任用を同年三月三一日限り更新しない旨決定したことが認められる。したがつて、原告らのこの主張は認められない。(五) 国 換することにし、昭和四四年一月中旬ころ、それまで直営工事に従事していた原告らの任用を同年三月三一日限り更新しない旨決定したことが認められる。したがつて、原告らのこの主張は認められない。(五) 国公法第七四条違反について国公法第七四条第一項の規定は、職員の分限、懲戒および保障についての根本基準を定めたものである。そして、原告らの任用終了の原因は任期満了であり、本件任用更新拒絶は、任用終了原因ではないのであるから、分限処分でもその他の不利益処分でもないこと、前述のとおりである。そうすると、本件任用更新拒絶について同条を適用する余地はないものといわなければならない。原告らの右主張は採用できない。六結び以上のとおり、原告らは、昭和四四年三月三一日限り、一般職に属する国家公務員である地位を失つた。よつて、本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八九条、第九三条第一項本文を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官岩村弘雄矢崎秀一飯塚勝)(別紙省略)

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