昭和29(う)1730 業務上横領横領恐喝未遂被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和30年4月23日 東京高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人を懲役一年に処する。      この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。      原審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。    

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判決文本文2,699 文字)

主文原判決を破棄する。 被告人を懲役一年に処する。 この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 原審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由本件控訴の趣意は、弁護人千葉律之作成名義の控訴趣意書記載のとおりであるから、これをここに引用し、これに対して次のとおり判断する。 論旨第二点について。 <要旨>案ずるに、一個の行為により、同時に数人を恐喝して財物を交付させようとして遂げなかつた所為が、一所為</要旨>数法にあたる場合において、その罪が、右数人の各告訴を待つて論ずべきときは、該所為を起訴した被告事件につき、裁判所は、右数人のうち告訴をしない者に対する部分については、事件の実体について審判することができないものと解すべきところ、記録を調査するに、原判決がその判示犯罪事実(二)に引用する昭和二十九年三月四日附起訴状記載の公訴事実第三の恐喝未遂の事実が、A及びその娘Bの両名を恐喝の相手方としたものであつて、一個の行為で二個の恐喝未遂罪に触れる場合にあたるものと認められること、及び、該恐喝未遂の事実が、被告人と同居していない親族に対する犯罪であつて、右A及びB両名の各告訴を待つてその罪を論ずべき場合にあたること、並びに該犯罪事実について、右Aより告訴のあつた事実は認められるけれども、前記Bから告訴のあつた事実が記録上認めえられないことは、いずれも所論指摘のとおりであるから、該恐喝未遂の事実について検察官のした本件起訴はもとより適法であるけれども、原裁判所としては、右起訴にかかる前示恐喝未遂の事実中、告訴のなかつた前掲Bに対する恐喝未遂の部分については、訴訟条件を欠くため、事件の実体につき審判することができないものといわなければならない。しかるに原判決書及びこ 起訴にかかる前示恐喝未遂の事実中、告訴のなかつた前掲Bに対する恐喝未遂の部分については、訴訟条件を欠くため、事件の実体につき審判することができないものといわなければならない。しかるに原判決書及びこれに引用する前示昭和二十九年三月四日附起訴状の各記載並びに原審公判調書の記載に徴するときは、原裁判所においては、被告人の右恐喝未遂の事実につき、告訴のあつたAに対する犯罪事実の部分のみに止まらすず、告訴のなかつたBに対する部分についてまでも、事件の実体につき審理した結果、有罪の判決をしたものであることが認められるのであるから、原判決には、この点につき審判することのできない事件の実体について審判をした違法があるものといわなければならない。しかして右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであると認められるから、原判決は、この点において到底破棄を免れないものというべく、論旨は結局理由があることに帰する。 (論旨第一点に対する判断は省略する。)よつて、刑事訴訟法第三百九十七条第一項に則り、原判決を破棄した上、同法第四百条但書を適用して、更に次のとおり自ら判決する。 (罪となるべき事実)被告人は、第二、被告人のあつ旋によつて、前示Cの取り扱つた右D、E両名よりの無尽加入申込が不成立に終つたことに関し、右Cの養母にあたるAを恐喝して金員を交付させようと企て、同年十月十七日ごろ、実父Fと同道して、当時熊谷市a町G病院に入院中の同女の娘Bの病室に至り、その看護をしていた右Aに対し、かねてより前示Cとの間に紛争のあつた右無尽加入申込成立の問題について話した上、「この前三万円をCにやつたことはないといつたのはらそだ。やつたのが事実た。五万円給付を受けるときDさんの印を盗用したのはCであるから、CがDさんの印を盗用している。三万円はDさん達に給付が た上、「この前三万円をCにやつたことはないといつたのはらそだ。やつたのが事実た。五万円給付を受けるときDさんの印を盗用したのはCであるから、CがDさんの印を盗用している。三万円はDさん達に給付がなかつたから返えせ。返えさなければ印鑑盗用で告訴する。」旨申し向けて脅迫し、同女を畏怖させたが、その後、同女が右Cより事情を聞いた結果右金員を交付しなかつたため、その目的を遂げず、(第一及び第三事実は省略する。)(証拠の標目は省略する。)(法令の適用)法律に照らすと、被告人の右判示所為中、判示第一の各横領の点は、刑法第二百五十二条第一項に、判示第二の恐喝未遂の点は、同法第二百五十条、第二百四十九条第一項に、判示第三の業務上横領の点は、同法第二百五十三条に各該当するところ、以上は、同法第四十五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条本文、第十条に則り、重い恐喝未遂及び業務上横領の罪のうち、犯情の重いと認める業務上横領罪につき定めた刑に併合罪の加重をした刑期範囲内において、被告人を懲役一年に処し、なお、その情状により、同法第二十五条第一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、原審の訴訟費用は、刑事訴訟法第百八十一条第一項本文に従い、全部これを被告人に負担させることとする。 なお、本件公訴事実中、「被告人は、CがD、Eよりの無尽加入の申込を不成立にしたのを奇貨として、同人の妻Bを畏怖させて金円を喝取せんと企て、昭和二十七年十月十七日頃、父F同道の上、熊谷市a町G病院入院中の同女の病室に至り、同女に対し「この前三万円をCにやつたことはないといつたのはうそだ、やつたのが事実だ五万円給付を受けるときDさんの印を盗用したのはCであるからCがDさんの印を盗用している。三万円のプリミヤはDさん達に給付がなかつたから返えせ。返さ たことはないといつたのはうそだ、やつたのが事実だ五万円給付を受けるときDさんの印を盗用したのはCであるからCがDさんの印を盗用している。三万円のプリミヤはDさん達に給付がなかつたから返えせ。返さなければ印鑑盗用で告訴する」旨申し向けて脅迫し、同女を畏怖させたが、その後向女がCに事実を聞いた結果事実の相違を知り右金円の交付をしなかつたので、その目的を遂げなかつたものである。」との旨の部分については、既に弁護人の論旨第二点に対する判断において説示したとおり、右は親告罪につき告訴のなかつたものであつて、訴訟条件を欠くため、事件の実体について有罪無罪の判決をすることができない場合にあたるのであるが、右は判示第二のAに対する恐喝未遂の罪と一所為数法にあたるものとして起訴されたものと認められるから、特に主文において公訴棄却の言渡をしない。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長判事中西要一判事山田要治判事石井謹書)

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