平成19(行ウ)582 不当労働行為救済命令取消請求事件(通称 学校法人松蔭学園救済命令取消)

裁判年月日・裁判所
平成21年2月12日 東京地方裁判所
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判決文本文22,214 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求中央労働委員会が、同委員会平成18年(不再)第4号事件及び同第7号事件について平成19年8月1日付けでした命令のうち、主文第Ⅰ項の1の上記第4号事件再審査被申立人兼上記第7号事件再審査申立人A及び同Bに関する部分及び主文第Ⅰ項の2をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は、中央労働委員会が、原告に対し、参加人A、同B及び同Cに対し、一時金及び給与の額を是正した上、未払分の支払(主文第Ⅰ項の1)及び参加人らへの文書交付を命じた(主文第Ⅰ項の2)命令について、原告が、参加人A及び同Bに対する一時金及び給与の額の是正並びに未払分の支払、文書交付を命じた部分を不服として、その取消しを求めた事案である。 前提事実(証拠を掲記しない事実は、当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により認められる)。 (1)当事者等、、、。 ア原告は幼稚園中学校高等学校及び大学を設置する学校法人であるイ(ア)参加人松蔭学園教職員組合(以下「参加人組合」という)は、昭。 和55年4月6日に結成された原告に勤務する教員で組織する労働組合である。 (イ)参加人A(昭和▲年▲月生まれ)は、昭和48年、高等学校の社会科教諭として原告に採用された者で、参加人組合の組合員であり、平成18年3月末日、原告を定年退職した。 (ウ)参加人B(昭和▲年▲月生まれ)は、昭和49年、高等学校の家庭 科教諭として原告に採用された者で、参加人組合の組合員であり、昭和56年11月20日、原告から解雇されたが、平成8年4月1日、解雇を無効とする判決の確定によって原告に職場復帰した。 (エ)参加人C(昭和▲年▲月生まれ)は、昭和45年、高等学校の英語科教諭として原 6年11月20日、原告から解雇されたが、平成8年4月1日、解雇を無効とする判決の確定によって原告に職場復帰した。 (エ)参加人C(昭和▲年▲月生まれ)は、昭和45年、高等学校の英語科教諭として原告に採用された者で、参加人組合の組合員である。 (2)原告と参加人Aとの間の訴訟等ア原告は、参加人Aを、昭和56年4月から、職員室の一角に机を移動して生徒や教職員との接触を禁止し、昭和57年3月8日、書類、ロッカーが置いてある部屋の一部を仕切った部分である「第三職員室」への入室を命ずるなどして隔離し、昭和61年9月2日、課題を与えずに自宅研修を命じた。 イ参加人Aは、原告から、昭和55年4月以降、月額給与(以下「賃金ということもある)として昭和54年度の給与額である14万7500円。 の支給を受けていたが、一時金(夏期、冬期、年度末に支払われるもの。 一般的にいう賞与に相当し、以下「賞与」ということもある)は、昭和。 54年12月以降、全く支給されなかった。 ウ参加人Aは、東京地方裁判所に、昭和61年9月、原告を被告として、前記アイのとおり、隔離や自宅研修を命じられ、賃金据置き等の差別的取扱いを受けているのは、参加人Aが組合活動を行っていることを理由とした不当労働行為であって、業務命令権の行使を濫用した不法行為であるとして、損害賠償を求める訴えを提起した。 エ東京地方裁判所は、平成4年6月11日、前記ウの事件について、隔離や自宅研修は不当労働行為であり違法であるとして、原告に対し、参加人Aへ、慰謝料400万円を支払うよう命ずる判決を言い渡した。 、、、原告は上記判決を不服として控訴し参加人Aは附帯控訴したところ東京高等裁判所は、平成5年11月12日、控訴を棄却し、慰謝料を60 0万円に増額する判決を言い渡し、同判決は確定した。 、、、原告は上記判決を不服として控訴し参加人Aは附帯控訴したところ東京高等裁判所は、平成5年11月12日、控訴を棄却し、慰謝料を60 0万円に増額する判決を言い渡し、同判決は確定した。 (3)原告と参加人Bとの間の訴訟等ア原告は、昭和56年11月20日、参加人Bを普通解雇した。 イ原告は、東京地方裁判所に、昭和57年2月、参加人Bを被告として、雇用関係不存在確認の訴えを提起し、参加人Bは、昭和59年11月、解雇無効を前提として賃金の支払を求める反訴を提起した。 ウ東京地方裁判所は、平成5年6月23日、前記イの事件について、参加人Bに対する解雇は無効であるとして、原告の本訴請求を棄却し、参加人Bの反訴請求について、原告に対し、参加人Bへ、賃金と付加金を支払うよう命ずる判決を言い渡した。 原告は、上記判決を不服として控訴したが、東京高等裁判所は、平成7年6月22日、控訴棄却の判決を言い渡し、原告は、同判決を不服として上告したが、最高裁判所は、平成8年2月22日、上告を棄却した。 (4)参加人Aと原告及び参加人Bと原告との間の和解ア参加人らは、東京都労働委員会に対し、昭和56年から昭和58年にかけて、原告による参加人Aに対する職務外し、組合活動に対する干渉や、隔離及び自宅研修命令、参加人Bの解雇について、不当労働行為救済を求める申立てをしていたところ、東京都労働委員会は、原告に対し、平成5年1月28日、参加人A及び同Bの原職復帰、バックペイ、組合活動への干渉禁止等を命ずる平成4年11月24日付け命令書を交付した。 原告は、中央労働委員会に対し、平成5年2月9日、上記命令を不服として再審査を申し立てた。 イ原告と東京私立学校教職員組合連合会(以下「東京私教連」という、。)参加人組合及び同Aは、前記(2)エの判決が確定し 委員会に対し、平成5年2月9日、上記命令を不服として再審査を申し立てた。 イ原告と東京私立学校教職員組合連合会(以下「東京私教連」という、。)参加人組合及び同Aは、前記(2)エの判決が確定したのを受けて、参加人Aの職場復帰について交渉し、平成7年3月3日、前記アの再審査申立事件の係属する中央労働委員会において、大要、以下のとおりの和解をした (以下「本件A和解」という。 。)(ア)原告は、参加人Aに対し、平成7年3月1日付けをもって自宅待機命令を解除して職場復帰を認めるとともに、原告が相当と認める校務分掌を担当させる。 (イ)平成7年3月分及び平成7年度における参加人Aの賃金は、月額27万9000円とする。 (ウ)原告は、参加人Aに対し、平成8年度から授業を担当させることとする。ただし、参加人Aが就業規則、内規に違反した場合には、これを次年度に延期することがある。 (エ)原告は、東京私教連及び参加人組合に対し、和解金として1736万円を支払う。 (オ)本和解成立により、原告は、本件再審査申立事件のうち参加人Aに関する部分を取り下げ、参加人組合及び同Aは、当事者間の東京都労働委員会平成2年(不)第56号事件及び同平成5年(不)第23号事件のうち参加人Aに関する部分を取り下げるとともに、本件初審命令のうち参加人Aに関する部分の履行を求めない。 (カ)原告と参加人組合(東京私教連を含む)及び参加人Aは、本和解。 成立をもって参加人Aに関する問題が一切円満に解決したものであることを確認し、この和解協定書成立に至るまでの間における問題につき、原告に対しいかなる請求、異議の申立てをしない。 ウ原告と東京私教連、参加人組合及び同Bは、前記(3)ウの判決が確定し、、、たのを受けて参加人Bの職場復帰について交渉し平成8年5 問題につき、原告に対しいかなる請求、異議の申立てをしない。 ウ原告と東京私教連、参加人組合及び同Bは、前記(3)ウの判決が確定し、、、たのを受けて参加人Bの職場復帰について交渉し平成8年5月29日前記アの再審査申立事件の係属する中央労働委員会において、大要、以下のとおりの和解をした(以下「本件B和解」といい、本件A和解と総称して「本件各和解」という。 。)(ア)原告は、参加人Bに対する昭和56年11月20日付け解雇の意思 、、表示を撤回し平成8年4月1日から同人の職場復帰を認めるとともに原告が相当と認める校務分掌を担当させる。 (イ)平成8年度における参加人Bの賃金は月額27万円とする。 (ウ)原告は、参加人Bに対し、平成9年度から授業を担当させることとする。ただし、参加人Bが原告の就業規則、内規に違反した場合には、これを次年度に延期することがある。 (エ)原告は、参加人B、私教連及び参加人組合に対し、和解金として1456万2925円を支払う。 (オ)本和解成立により、原告は、本件再審査申立てを取り下げ、参加人組合及び同Bは、当事者間の東京都労働委員会平成2年(不)第56号事件及び同平成5年(不)第23号事件のうち参加人Bに関する部分を取り下げるとともに、本件初審命令の履行を求めない。 (カ)原告と参加人組合(東京私教連を含む)及び参加人Bは、本和解。 成立をもって参加人Aに関する問題が一切円満に解決したものであることを確認し、この和解協定書成立に至るまでの間における問題につき、原告に対しいかなる請求、異議の申立てをしない。 (5)原告と参加人らの間の給与及び一時金の妥結状況並びに仮処分における和解原告は、参加人組合に対し、参加人Aについては平成7年度以降、参加人Bについては平成8年度以降、給与につき、毎 しない。 (5)原告と参加人らの間の給与及び一時金の妥結状況並びに仮処分における和解原告は、参加人組合に対し、参加人Aについては平成7年度以降、参加人Bについては平成8年度以降、給与につき、毎年7月に、当該年度の給与額として、平成7年度(参加人Aのみ)と平成8年度は、本件各和解における給与額を、平成9年度は、本件各和解における給与額を基礎としてこれに昇給させた金額を、平成10年度以降は、前年度の提示額を基礎としてこれに昇給させた金額を、それぞれ提示し、一時金につき、毎年7月と12月に、いずれも給与の(以下も同様である)1.0か月分とする提示をしたが、参、。 、、加人らはこれに応じず妥結しなかった原告は参加人A及び同Bに対し 、、平成9年度以降平成8年度の給与額であるそれぞれ月額27万9000円27万円を支給し、参加人Aについては平成7年度以降、参加人Bについては平成8年度以降、賞与を支給しなかった。 参加人A及び同Bは、東京地方裁判所において、各年度の給与額及び賞与の提示後、原告を債務者として、各年度の給与及び賞与につき、給与については原告提示額と支給額との差額、賞与については原告提示額又はそれを上回る金額の仮払を求めて仮処分を申し立てた。参加人A及び同Bと原告は、各年度の各仮処分申立事件において、各年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上で、原告が、参加人A及び同Bに対し、おおむね原告提示の給与額及び賞与と支給額との差額の約7割を仮払金として支払うとの和解をした(乙69ないし73(枝番含む、77(枝番含む、10。 。)。)1ないし107、弁論の全趣旨)(6)本件救済申立ての経過等ア参加人らは、東京都労働委員会に対し して支払うとの和解をした(乙69ないし73(枝番含む、77(枝番含む、10。 。)。)1ないし107、弁論の全趣旨)(6)本件救済申立ての経過等ア参加人らは、東京都労働委員会に対し、平成13年3月27日、原告を被申立人として、参加人Aに対する平成7年度及び平成8年度の夏期・冬期・年度末一時金支給差別並びに平成9年度から平成11年度までの給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給差別、参加人Bに対する平成8年度の夏期・冬期・年度末一時金支給差別並びに平成9年度から平成11年度までの給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給差別、並びに参加人Cに対する平成11年度の給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給差別について、救済を求める申立てをした(東京都労働委員会平成13年(不)第20号事件(以下「本件救済命令申立て」という。 )。)イ参加人らは、東京都労働委員会に対し、平成14年3月28日、原告を被申立人として、参加人A、同B及び同Cに対する平成12年度及び平成13年度の給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給差別について、 救済を求める申立てをした(東京都労働委員会平成14年(不)第29号事件。 )ウ参加人らは、東京都労働委員会に対し、平成15年11月7日、原告を被申立人として、参加人A、同B及び同Cに対する平成14年度の給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給差別について、救済を求める申立てをした(東京都労働委員会平成15年(不)第102号事件。 )エ東京都労働委員会は、原告に対し、平成17年12月20日、前記アないしウの申立てにつき、すべての年度の給与引上げ及び一時金支給差別の是正(ただし、是正水準については、参加人Aの請求額のおおむね75パーセント、参加人B及び同Cの請求額のおおむね85パーセ 前記アないしウの申立てにつき、すべての年度の給与引上げ及び一時金支給差別の是正(ただし、是正水準については、参加人Aの請求額のおおむね75パーセント、参加人B及び同Cの請求額のおおむね85パーセント、是正)差額の支払並びに文書手交を命じ、平成18年1月30日、同命令書を交付した。 原告は、同年2月9日、上記初審命令を不服として、同命令の取消し及び救済命令の申立ての却下を求め、参加人らは、同月14日、請求どおりの救済を求めて、それぞれ再審査を申し立てた。 オ中央労働委員会は、平成19年8月1日、前記エの再審査申立事件において、原告の提示する給与の昇給幅や一時金の月数は、非組合員(参加人組合に属していない者をいう。以下も同じ)に比して明らかに低額であ。 、、って労働組合法7条1号及び3号に該当する不当労働行為となるところ給与については、本件A和解によって定められた月額27万9000円の給与は原告の賃金体系の(以下も同じ)Ⅲ等級48号俸に相当し、本件。 B和解によって定められた月額27万円の給与はⅢ等級43号俸に相当するが、平均的な非組合員と同様の号俸になるように、平成9年度につき、参加人AはⅢ等級88号俸、参加人BはⅢ等級79号俸として、以後、平均的な非組合員と同様に昇給するよう是正し、一時金についても、平均的な非組合員と同様の月数に是正するとして以下のとおり命令し以下本、(「 件命令」という、原告に対し、同月22日、同命令書を交付した。 。)Ⅰ初審命令主文を次のとおり変更する。 原告は、参加人Aの平成7年度及び平成8年度の夏期・冬期・年度末一時金(平成11年度から平成14年度までの年度末一時金を除く、参加人Bの平成8年度の夏期・冬期・年度末一時金並びに平。)成9年度から平成14年度までの給与及び夏期・冬期 度の夏期・冬期・年度末一時金(平成11年度から平成14年度までの年度末一時金を除く、参加人Bの平成8年度の夏期・冬期・年度末一時金並びに平。)成9年度から平成14年度までの給与及び夏期・冬期・年度末一時金(平成11年度から平成14年度までの年度末一時金を除く、並。)びに参加人Cの平成11年度から平成14年度までの給与及び夏期・冬期一時金をそれぞれ別紙「是正給与及び一時金表」記載のとおり是正し、同人らに対して、是正後の給与及び夏期・冬期・年度末一時金の額から既に支払った給与及び東京地方裁判所における賃金仮払仮処分請求事件の和解による仮払金の額を控除した金額に年5分の割合による金員を付加して支払わなければならない。 原告は、参加人らに対して、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を交付しなければならない。 記平成年月日松蔭学園教職員組合執行委員長C殿A殿B殿C殿学校法人松蔭学園理事長D当学園が、貴組合の組合員A氏、同B氏及び同C氏に対して、平成7年度から14年度までの給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一 (。)時金支給11年度から14年度までの年度末一時金支給を除くを差別したこと(組合員により、一部年度の給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金支給を除く)は、中央労働委員会によって、。 労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないように致します。 (注:年月日は、交付する日を記載すること)。 Ⅱ原告並びに参加人らのその余の本件各再審査申立てを棄却する。 カ原告は、東京地方裁判所に、平成19年9月19日、前記オの命令のうち、主文第Ⅰ項の1の参加人A及び同Bに関する部分並びに主文第Ⅰ項の2の取消しを求めて、 のその余の本件各再審査申立てを棄却する。 カ原告は、東京地方裁判所に、平成19年9月19日、前記オの命令のうち、主文第Ⅰ項の1の参加人A及び同Bに関する部分並びに主文第Ⅰ項の2の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 争点 (1)原告が、参加人Aの平成7年度以降の給与及び一時金、参加人Bの平成8年度以降の給与及び一時金の決定に当たり、平均的な非組合員の給与額を基礎とせずに、本件各和解の給与額を基礎として提示したこと等は不当労働行為か。本件各和解は、参加人Aの平成7年度以降、参加人Bの平成8年度以降の給与、一時金について、本件各和解における給与額を基礎とすることも合意したものであるか(本件各和解の効力等)。 (2)本件救済命令申立てのうち、平成10年度以前の給与引上げ及び平成11年度冬期賞与以前の一時金の支給差別の救済を求める部分は、労働組合法27条2項に定める申立期間を経過しているか(申立期間の経過)。 (3)本件命令のうち文書交付命令部分の要否 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(本件各和解の効力等)(原告の主張)本件各和解においては、参加人A及び同Bの職場復帰時の給与が定められ ているところ、同和解によって、一切の問題が解決しているのであるから、同給与が、その後の昇給決定の基礎となるべきである。 したがって、本件各和解以後の昇給決定においては、同和解によって決定された給与を前提として、非組合員と同等に昇給させれば、不当労働行為とはならないところ、本件命令は、同和解によって決定された給与を前提とせず、参加人Aについては、平成8年度Ⅲ等級50号俸を翌年度にはⅢ等級88号俸へ、参加人Bについては平成8年度Ⅲ等級44号俸を翌年度にはⅢ等級79号俸へ是正するよう命じており、本件各和解によって解決した事項を蒸し返 いては、平成8年度Ⅲ等級50号俸を翌年度にはⅢ等級88号俸へ、参加人Bについては平成8年度Ⅲ等級44号俸を翌年度にはⅢ等級79号俸へ是正するよう命じており、本件各和解によって解決した事項を蒸し返すことにほかならないから、取り消されるべきである。 本件各和解は、不当労働行為救済申立事件を審理する中央労働委員会において成立したもので、私法上の権利関係を定めるものというより、労使紛争を解決する労使協定であることからすると、中央労働委員会は、私法上の権利関係と一致しない回復措置も命令できるとの被告の主張は、理由がない。 (被告の主張)本件各和解は、それぞれ和解の成立した日以前の紛争を解決したものにすぎず、定められた給与額が将来の給与額決定の基礎となることについては何ら合意されていないから、その後の救済命令において、同給与額を基礎として是正を命ずるべきものではない。 たとえ本件各和解によって、同所定の給与額が、将来の給与額決定の基礎とする合意がされたとしても、労働委員会には、賃金差別是正の救済命令を発するに当たり、その内容決定について広い裁量権が与えられており、救済命令によって作出される事実上の状態は必ずしも私法上の法律関係と一致する必要はなく、不当労働行為による侵害状態を除去是正するために本件命令のとおり是正するのは相当である。 (参加人らの主張)本件各和解は、裁判所の判決により、参加人Aに対する隔離や自宅研修命 令が違法とされ、参加人Bへの解雇が無効とされ、参加人A及び同Bが、原告と、職場復帰を求めて交渉をする中でされたものであるところ、原告は、交渉経過の中で賃金体系を明らかにせず、単に賃金について結論を示すのみで、賃金についてまとまらなければ、職場復帰をさせないとの態度に終始していた。参加人A及び同Bは、そのような中で職場復帰を優先 、交渉経過の中で賃金体系を明らかにせず、単に賃金について結論を示すのみで、賃金についてまとまらなければ、職場復帰をさせないとの態度に終始していた。参加人A及び同Bは、そのような中で職場復帰を優先するために、本件各和解をしたのであり、本件各和解により、それ以前の差別的賃金の是正を求めることはしないとの譲歩はしたものの、将来の賃金決定の基礎とするとの合意まではしていなかった。 したがって、本件各和解所定の賃金額を前提とせずに、賃金差別の是正を命じた本件命令は適法である。 (2)争点(2)(申立期間の経過)(原告の主張)原告は、参加人組合に対し、毎年、賃金及び賞与について具体的な提示をしていたのに、参加人組合の拒否により妥結ができなかったから、原告による査定はあったと評価すべきである。不当労働行為救済申立ては、査定に基づく賃金の最後の支払時から1年以内にされることを要するところ、本件救済申立てがされたのは平成13年3月27日であり、1年前の平成12年3月分給与の査定は平成11年度にされているから、給与についての平成10年度以前の救済申立てと、賞与については、査定に基づく支給期間がないため、平成11年度冬期賞与以前の救済申立ては、申立期間の経過により却下されるべきである。 被告は、原告が交渉未妥結の状態を利用して、各年度の給与引上げ及び一時金支給の決定をしていないと主張するが、交渉未妥結の状態の責めを原告のみに帰することはできず、理由がない。 (被告の主張)そもそも原告は、参加人A及び同Bに対する考課査定をしていない。原告 は、各年度において、非組合員に比べて明らかに低額な回答を提示した上、実質的な団体交渉を行わず、交渉未妥結の状態になることを利用して、給与引上げ及び一時金支給の決定をしていないところ、このような不作為は、本件救 いて、非組合員に比べて明らかに低額な回答を提示した上、実質的な団体交渉を行わず、交渉未妥結の状態になることを利用して、給与引上げ及び一時金支給の決定をしていないところ、このような不作為は、本件救済申立て時まで継続しているから、申立期間経過の問題は生じない。 (参加人らの主張)原告は、参加人A及び同Bに対し、賃金決定行為をしていない。また、原告は、参加人A及び同Bに対し、交渉未妥結であることを理由として、最後に妥結した平成8年度の給与額のみしか支給しておらず、参加人A及び同Bから、原告提示額との差額の支払を求める仮処分命令の申立てを受け、同手続中の和解において、仮払として差額の一部を支払ったにすぎないから、査定に基づく支払をしたということもできない。そして(被告の主張)のと、、、、。 おり原告は不作為を継続しているから申立期間経過の問題は生じない(3)争点(3)(本件命令のうち文書交付命令部分の要否)(原告の主張)本件命令主文第Ⅰ項の2のうち、参加人Cに対する文書交付を命ずる部分については、本件命令主文第Ⅰ項の1の参加人Cに対する救済部分は、労使双方が争わず、既に確定した平成17年2月2日付け中央労働委員会平成13年(不再)第3号事件及び同第7号事件の命令による救済基準に従っているから、必要性を欠くことが明らかである。 (被告及び参加人の主張)争う。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件各和解の効力等)について(1)前提事実に証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。 ア参加人らは、東京都労働委員会に対し、昭和56年から昭和58年にか けて、原告による参加人Aに対する職務外し、組合活動に対する干渉や、隔離及び自宅研修命令、参加人Bの解雇について、不当労働行為救済を求める申立てをしてい 会に対し、昭和56年から昭和58年にか けて、原告による参加人Aに対する職務外し、組合活動に対する干渉や、隔離及び自宅研修命令、参加人Bの解雇について、不当労働行為救済を求める申立てをしていた。東京都労働委員会は、原告に対し、平成5年1月28日、参加人A及び同Bの原職復帰、バックペイ、組合活動への干渉禁止等を命ずる平成4年11月24日付け命令書を交付した。なお、同命令書において、バックペイが命じられているが、同命令主文では、参加人Aについては、昭和55年4月以降原職に復帰するまでの間、参加人Bについては、昭和56年11月21日以降原職に復帰するまでの間、支払われるべき賃金相当額を支払うこと、とされているにとどまり、具体的な金額は記載されていない。 原告は、中央労働委員会に対し、平成5年2月9日、上記命令を不服として再審査を申し立てた(前提事実(4)ア、乙36。 。 )イ参加人組合は、原告との間で、平成5年12月から、前提事実(2)のとおり、参加人Aに対する隔離や自宅研修命令は不法行為であるとする判決が確定したのを受けて、平成6年4月からの職場復帰を目指して交渉をしたが、原告からの賃金是正もした上で職場復帰させたいとの主張を受け、賃金についても交渉することとなった。参加人組合は、原告に対し、同年3月からの交渉において、賃金体系や他の教員の給与水準等関係資料の提示を要求したが、原告は、これら資料等を提出せず、同年4月までには合意に至らなかった(弁論の全趣旨)。 ウ前記アの事件に対する再審査申立事件が係属していた中央労働委員会は、参加人組合からの上申を受け、前記イの交渉について、和解を試み、参加人Aが平成7年3月から職場復帰することについては合意に至ったが、賃金額については合意に至らなかったため、当事者間の交渉に委ねられた( 人組合からの上申を受け、前記イの交渉について、和解を試み、参加人Aが平成7年3月から職場復帰することについては合意に至ったが、賃金額については合意に至らなかったため、当事者間の交渉に委ねられた(弁論の全趣旨)。 エ原告は、参加人組合に対し、平成7年2月21日、参加人Aの復帰時の 賃金を月額27万9000円とする提案をし、参加人組合も受け入れたため、原告と参加人組合及び同Aは、前提事実(4)イのとおり和解した。なお、前提事実(4)イ(オ)において、参加人組合及び同Aが取り下げた東京都労働委員会平成2年(不)第56号事件及び同平成5年(不)第23号事件は、賃金差別の是正等について救済を求めた事件である(乙36、参。 加人A本人、弁論の全趣旨)オ参加人組合は、原告との間で、平成8年2月23日から、前提事実(3)のとおり、参加人Bに対する解雇が無効であるとの判決が確定したのを受けて、職場復帰に関する交渉を始めた。原告は、参加人組合に対し、参加人Bの給与についても具体的賃金資料等を提出せず、同人の在職期間が参加人Aよりも1年少ないことを理由に27万円を提示し、参加人組合も受け入れたため、原告と参加人組合及び同Bは、前記アの事件に対する再審査申立事件の係属していた中央労働委員会において、前提事実(4)ウのとおり和解した。なお、前提事実(4)ウ(オ)において、参加人組合及び同Aが取り下げた東京都労働委員会平成2年(不)第56号事件及び同平成5年(不)第23号事件は、賃金差別の是正等について救済を求めた事件である(乙36、参加人A本人、弁論の全趣旨)。 、(「」。)、カ参加人組合同C及び参加人組合の組合員E以下Eというは東京都労働委員会に対し、原告を被申立人として、参加人C及びEの賃金差別の是正を求める救済申立 趣旨)。 、(「」。)、カ参加人組合同C及び参加人組合の組合員E以下Eというは東京都労働委員会に対し、原告を被申立人として、参加人C及びEの賃金差別の是正を求める救済申立てをしていた。原告は、東京都労働委員会から、賃金決定の具体的な基準・方法、非組合員の賃金実態等について明らかにするよう求められたが、これに応じなかった。東京都労働委員会は、平成12年12月5日付けで、ほぼ請求どおり、参加人Cについては昭和56年度から平成10年度までにつき、Eについては昭和56年度から平成8年度までにつき、是正後の賃金額も具体的に示して賃金を是正する命令をした(乙42、弁論の全趣旨。 。 ) キ原告は、前記カの事件に対する再審査申立事件(中央労働委員会平成13年(不再)第3号、同第7号)において、原告の賃金決定の具体的な基準・方法、非組合員の賃金実態等について、一定限度まで明らかにした。 中央労働委員会は、平成17年2月18日、参加人Cについては平成元年度から平成10年度までにつき、請求のおおむね85パーセントとなるよう、Eについては平成元年度から平成8年度までにつき、請求のおおむね95パーセントとなるよう、是正後の賃金額も具体的に示して賃金を是正する同月2日付け命令書を交付し、同命令は確定した(乙165、弁論。 の全趣旨)ク前記キの中央労働委員会における再審査申立事件等において明らかにされた原告の賃金体系からすると、前記エの参加人Aの復帰時賃金月額27万9000円はⅢ等級48号俸に相当し、前記オの参加人Bの復帰時賃金月額27万円はⅢ等級43号俸に相当する。なお、原告の賃金体系における平均的な非組合員の昇給実態からすると、参加人Aの経歴や年齢と同等の非組合員の給与を想定すると、平成7年度においてⅢ等級82号俸(月 27万円はⅢ等級43号俸に相当する。なお、原告の賃金体系における平均的な非組合員の昇給実態からすると、参加人Aの経歴や年齢と同等の非組合員の給与を想定すると、平成7年度においてⅢ等級82号俸(月額34万7000円、参加人Bの経歴や年齢と同等の非組合員の給与を)、()想定すると平成8年度においてⅢ等級76号俸月額33万7000円となる(弁論の全趣旨)。 ケ同様に、参加人Aの経歴や年齢と同等の平均的な非組合員の平成9年以降の給与額及び参加人Bの経歴や年齢と同等の平均的な非組合員の平成9年以降の給与額を想定すると、別紙「是正給与及び一時金表」中の、参加人A及び同Bの各「等級-号俸「給与額」記載のとおりとなる。また、」、平成7年以降の平均的な非組合員の一時金の支給月数は、同表中の「一時金」欄の月数分である(弁論の全趣旨)。 (2)前提事実(4)イウのとおり、本件各和解においては、参加人A及び同Bについて、職場復帰する際の賃金が定められているものの、その後の賃金決定 において、本件各和解における賃金を基準とするかどうかについては、何ら明文の定めがされていない。 前提事実(4)イウ、前記(1)アないしオのとおり、本件各和解が、参加人組合、同A及び同Bが、原告に対して賃金差別の是正を求めた救済申立事件の再審査申立事件においてされていること、本件各和解においては、参加人A及び同Bは、原告に対して賃金差別の是正を命じた東京都労働委員会の初審命令の履行を求めないとされており、他にも係属していた賃金差別の是正を求める救済申立事件を取り下げるとされていること、参加人組合と原告との間の職場復帰交渉において、職場復帰の際の賃金が重大な問題となり、長期間の交渉が重ねられたことが認められるところ、これら事実は、本件各和解において定められた職 とされていること、参加人組合と原告との間の職場復帰交渉において、職場復帰の際の賃金が重大な問題となり、長期間の交渉が重ねられたことが認められるところ、これら事実は、本件各和解において定められた職場復帰の際の賃金により、賃金差別問題はすべて解決したものとして、同賃金をもってその後の賃金決定の基礎とする趣旨であったと解釈すべき方向に働く事実である。 しかし、本件各和解の文言上、同和解で定めた賃金が、その後の賃金決定の基礎となるとはされていないこと、本件各和解において、参加人A及び同Bが履行を求めないとした初審命令は、それぞれ原職復帰までの賃金差額であり、取り下げをした東京都労働委員会に係属中の不当労働行為救済申立事件も、過去分の賃金差別の是正を求めるものと考えられることからすると、本件各和解においては、和解以前の賃金差別については、同和解をもって解決したものとして、蒸し返さないという限度の合意しかされていないとの解釈も可能である。 そして、前記(1)イ、オないしキに認定したとおり、本件各和解は、参加人Aに対する隔離や自宅研修が不法行為であるとの判決や、参加人Bに対する解雇が無効であるとの判決を受けて、参加人組合において、職場復帰を目、、指して交渉を始めた結果としてされたのでありとくに参加人A及び同Bは異常に長期間にわたって教室や学校から遠ざけられている状態(参加人Aに ついては約14年間、同Bについては約15年間)を少しでも早く解消するため、復帰時の給与額について、原告の提示額をそのまま受け入れざるを得なかったことが明白に窺える。しかも、職場復帰と給与額に関する交渉の過程において、原告は、非組合員の賃金実態は個別にも総体的にも明らかにしないだけでなく、原告における賃金体系(経歴や年齢と給与額の関係を明らかにする表や、昇給の基準 、職場復帰と給与額に関する交渉の過程において、原告は、非組合員の賃金実態は個別にも総体的にも明らかにしないだけでなく、原告における賃金体系(経歴や年齢と給与額の関係を明らかにする表や、昇給の基準等)も一切明らかにせず、本件各和解以後に、一定限度で明らかにしたにすぎないのであって、参加人らは、本件各和解をする際に、原告の提示額について、平均的な非組合員の給与額との比較など的確な検討をすることが可能な状況では全くなかったことが認められる。参加人らは、職場復帰時の給与額として、原告の提示額を受け入れることとしたけれども、その金額が参加人A及び同Bの給与額として、非組合員との比較等において適正な金額であるとして合意したものではないことは明らかである。このように、本件各和解に至るまでの交渉が始められた経緯や、原告において、交渉過程において、賃金決定の参考となるべき情報を全く開示しないまま本件各和解に至ったという事実経過に照らすと、本件各和解において明文の合意がない以上、本件各和解における賃金が、その後の賃金決定の基礎となるとの合意はなかったと認めるのが相当である。 (3)前記(1)クのとおり、参加人A及び同Bの本件各和解における賃金額は、平均的な非組合員に比して大幅に低いものであったところ、前提事実(5)のとおり、原告は、参加人組合に対し、本件各和解における賃金額を基礎として、その後の賃金額の提示をしているから、これら提示の賃金額も平均的な非組合員の賃金額(前記(1)ケ)に比して大幅に低いものとなる。証拠(参加人A本人)及び弁論の全趣旨によれば、参加人A及び同Bの能力は平均的な非組合員と比較して劣ってはいなかったと認められ(原告も参加人Aや同Bの能力が劣っていたとは主張していない、前提事実(2)(3)、前記(1)カ。)のとおり、原告は 加人A及び同Bの能力は平均的な非組合員と比較して劣ってはいなかったと認められ(原告も参加人Aや同Bの能力が劣っていたとは主張していない、前提事実(2)(3)、前記(1)カ。)のとおり、原告は参加人Aや同Bに対して自宅研修命令や解雇処分等をした ほか、原告と参加人組合との間には多くの救済申立てがされるなど紛争が続き、原告が参加人組合を嫌悪していたと認められるところ、上記に説示したとおり、本件各和解においては、定められた賃金がその後の賃金決定の基礎となるとの合意はなかったのであるから、同賃金を前提として提示して賃金を引き上げないことは、参加人A及び同Bを組合員であることの故をもって不利益に取り扱うものであり、かつ経済的打撃を与えることにより参加人組合の弱体化を企図してその運営に支配介入したものということができ、したがって、労働組合法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。一時金について、平均的な非組合員の月数でなく、1.0か月分の提示をしたこ、、。 とも同様に労働組合法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である(4)上記説示のとおり、平均的な非組合員の給与額を基礎とせずに、本件各和解によって定められた賃金額を基礎として、その後の賃金の提示をし、あるべき賃金額を決定しないこと等は、不当労働行為となるから、平均的な非組合員と同様の賃金となるよう是正を命じた本件命令に裁量の逸脱はなく、正当である。 争点(2)(申立期間の経過)について(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア原告の就業規則においては、昇給につき「予算の範囲内において、4、月期に行うことがある」と規定されていて、実績としては、毎年4月1日付けで行われているところ、原告には、具体的かつ明確な査定基準及び昇給基準は設けられてお 、昇給につき「予算の範囲内において、4、月期に行うことがある」と規定されていて、実績としては、毎年4月1日付けで行われているところ、原告には、具体的かつ明確な査定基準及び昇給基準は設けられておらず、最終的には、理事長の判断により決定され、査定結果は明らかにされていない。 原告が準拠している昇給に関する「賃金管理研究所」の指導基準では、、、毎年度の昇給号俸数について年齢と共に逓減させることとされているが成績が普通であれば、年齢が上がっても毎年昇給するとされている(乙。 165、弁論の全趣旨) 、、、イ原告は本件各和解以降参加人組合員の給与額及び夏期賞与について参加人組合に対し、毎年7月に開かれる団体交渉で額を提示していた。原告は、参加人組合が同提示に納得せず妥結しないため、参加人組合の申入れにより、さらに12月、翌年3月に団体交渉を開き、12月に冬期賞与の提示をしたものの、当初の提示を変更しなかったため、妥結しないままとなり、参加人組合員の給与については、最後に妥結した年度の給与額の支払を続け、賞与については全く支払わなかった(前提事実(5)、参加。 人A本人)ウ(ア)原告は、参加人組合に対し、平成7年7月21日、参加人Aについて、給与を月額27万9000円、夏期賞与を1.0か月分とする提示、、. 、をし同年12月21日冬期賞与を10か月分とする提示をしたが妥結しなかった。 参加人Aは、東京地方裁判所において、平成8年9月25日、上記の夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、原告提示額である55万8000円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、参加人Aと原告は、同年10月14日、平成7年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与 提示額である55万8000円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、参加人Aと原告は、同年10月14日、平成7年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Aに対し賞与の仮払金として39万円を支払うとの和解をした乙、、。(77の1及び2、101、弁論の全趣旨)(イ)原告は、参加人組合に対し、平成8年7月22日、参加人Aについて、給与を月額27万9000円、参加人Bについて、給与を月額27万円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月24日、参加人A及び同Bについて、冬期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をしたが、妥結しなかった。 参加人Aは、東京地方裁判所において、平成9年11月28日、上記 の夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、原告提示額である55万8000円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、参加人Aと原告は、同年12月22日、平成8年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Aに対し、賞与の仮払金として、39万円を支払うとの和解をした。 参加人Bは、東京地方裁判所において、平成9年12月3日、上記の夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、原告提示額である54万円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、参加人Bと原告は、同月22日、平成8年度の賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Bに対し、賞与の仮払金として、38万円を支払うとの和解をした(乙69の1ないし3、 度の賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Bに対し、賞与の仮払金として、38万円を支払うとの和解をした(乙69の1ないし3、102、103、弁。 論の全趣旨)(ウ)原告は、参加人組合に対し、平成9年7月22日、参加人Aについて、給与を月額28万7090円、参加人Bについて、給与を月額27万7140円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月22日、参加人A及び同Bについて、冬期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をしたが、妥結しなかった。 参加人A及び同Bは、東京地方裁判所において、平成11年1月29日、平成8年度と同額の給与しか支払われず、夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、給与については原告提示額との差額、賞与については夏期賞与は1.0か月分、冬期賞与は1.4か月分の合計である、参加人Aについて81万4805円、参加人Bについて77万8530円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、原告と参加人A及び同Bは、平成11年2月19日、平成9年度の 賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Aに対しては、賃金及び賞与の仮払金として46万円、参加人Bに対しては、賃金及び賞与の仮払金として43万円を支払うとの和解をした(乙70の1及び2、104、弁論の全趣旨)。 (エ)原告は、参加人組合に対し、平成10年7月17日、参加人Aについて、給与を月額29万1190円、参加人Bについて、給与を月額28万1140円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月22日、参加人A及び同Bにつ 、参加人Aについて、給与を月額29万1190円、参加人Bについて、給与を月額28万1140円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月22日、参加人A及び同Bについて、冬期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をしたが、妥結しなかった。 参加人A及び同Bは、東京地方裁判所において、平成11年9月24日、平成8年度と同額の給与しか支払われず、夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、給与については原告提示額との差額、賞与については夏期賞与は1.0か月分、冬期賞与は1.4か月分の合計である、参加人Aについて87万4255円、参加人Bについて83万6530円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、原告と参加人A及び同Bは、平成11年10月25日、平成10年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な、、賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上原告が参加人Aに対しては、賃金及び賞与の仮払金として51万円、参加人Bに対しては、賃金及び賞与の仮払金として48万円を支払うとの和解をした(乙71の1及び2、105、弁論の全趣旨)。 (オ)原告は、参加人組合に対し、平成11年7月22日、参加人Aについて、給与を月額29万5190円、参加人Bについて、給与を月額28万5040円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月21日、参加人A及び同Bについて、冬期賞 与をそれぞれ1.0か月分とする提示をしたが、妥結しなかった。 参加人A及び同Bは、東京地方裁判所において、平成12年8月10日、平成8年度と同額の給与しか支払われず、夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、給与については原告提示額との A及び同Bは、東京地方裁判所において、平成12年8月10日、平成8年度と同額の給与しか支払われず、夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、給与については原告提示額との差額、賞与については原告提示額の合計である、参加人Aについて81万4179円、参加人Bについて77万9064円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、原告と参加人A及び同Bは、平成12年9月18日、平成11年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していないことを確認した上、原告が、参加人Aに対しては、賃金及び賞与の仮払金として54万円、参加人Bに対しては、賃金及び賞与の仮払金として52万円を支払うとの和解をした(乙72の1及び2、106、弁。 論の全趣旨)(カ)原告は、参加人組合に対し、平成12年7月18日、参加人Aについて、給与を月額29万9090円、参加人Bについて、給与を月額28万8740円、同人らについて、夏期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をし、同年12月22日、参加人A及び同Bについて、冬期賞与をそれぞれ1.0か月分とする提示をしたが、妥結しなかった。 参加人A及び同Bは、東京地方裁判所において、平成13年7月27日、平成8年度と同額の給与しか支払われず、夏期賞与及び冬期賞与が支払われなかったことから、原告を債務者として、給与については原告提示額との差額、賞与については原告提示額の合計である、参加人Aについて86万9169円、参加人Bについて83万6310円の仮払を求めて仮処分を申し立てたところ、原告と参加人A及び同Bは、平成13年9月7日、平成12年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していない こと 処分を申し立てたところ、原告と参加人A及び同Bは、平成13年9月7日、平成12年度の賃金額及び賞与額についての合意が未だ成立しておらず、具体的な賃金請求権及び賞与請求権が発生していない ことを確認した上、原告が、参加人Aに対しては、賃金及び賞与の仮払金として57万円、参加人Bに対しては、賃金及び賞与の仮払金として55万円を支払うとの和解をした(乙73の1及び2、107、弁論。 の全趣旨)(2)原告は、本件救済申立てがされたのは平成13年3月27日であり、1年前の平成12年3月分の給与の査定は平成11年度にされているから、給与についての平成10年度以前の救済申立てと、平成11年度冬期賞与以前の救済申立ては、申立期間の経過により却下されるべきであると主張する。 ア使用者が行っている昇給に関する考課査定が、その従業員の向後1年間における毎月の賃金額の基準となる評定値を定めるものであるときに、そのような考課査定において使用者が労働組合の組合員について組合員であることを理由として他の従業員より低く査定した場合、その賃金上の差別的取扱いの意図は、賃金の支払によって具体的に実現されるのであって、同査定とこれに基づく毎月の賃金の支払とは一体として一個の不当労働行為をなすものとみるべきである。そうすると、同査定に基づく賃金が支払われている限り不当労働行為は継続することになるから、同査定に基づく賃金上の差別的取扱いの是正を求める救済の申立てが同査定に基づく賃金の最後の支払の時から1年以内にされたときは、同救済の申立ては、労働組合法27条2項の定める期間内にされたものとして適法というべきである(最高裁平成3年6月4日第三小法廷判決・民集45巻5号984頁参照。 )イ前記(1)イウに認定したとおり、原告は、参加人組合の組合員の給与及び賞与に 間内にされたものとして適法というべきである(最高裁平成3年6月4日第三小法廷判決・民集45巻5号984頁参照。 )イ前記(1)イウに認定したとおり、原告は、参加人組合の組合員の給与及び賞与については、参加人組合に対し、毎年7月の団体交渉において、当該年度の給与額及び夏期賞与の割合を提示し、毎年12月の団体交渉において、当該年度の冬期賞与の割合を提示していたが、参加人組合との間で妥結に至らない場合は、給与については、最後に妥結した年度の給与額の みを支払い、賞与については支払っておらず、仮処分命令申立事件の和解において、原告提示額と支給額の差額の約7割を仮払金として支払っていた。 このように、原告において、参加人組合に対し、毎年同じ時期に、組合員の給与及び賞与について、具体的な金額や割合を提示していた事実はある。 しかしながら、原告は、参加人組合との間で、妥結していないことを理由として、原告が提示した額すら支払わず、任意の支払としては、最後に妥結した年度の給与額(本件各和解の給与額)を支払い続けているだけであるから、原告が毎年何らかの形で賃金決定をしたとは評価できないし、当該決定に基づく毎月の賃金支払をしたともいえない。さらに、原告は、参加人Aや同Bからの仮処分命令の申立てを受けて、和解により、原告提示額と支給額の差額の約7割を仮払金として支払っていたが、仮処分申立事件における裁判上の和解に基づく支払であって、原告の自主的な支払とは性格が違うし、その金額は、原告提示額にも届かず、かつ、和解において、賃金額及び賞与額の合意がされていないこと、すなわち、賃金額及び賞与額が決定されていないことを確認した上での支払にすぎないのであるから、このような支払をもって、原告における賃金決定に基づく支払をしたとの評価もできない。 前記(1) いこと、すなわち、賃金額及び賞与額が決定されていないことを確認した上での支払にすぎないのであるから、このような支払をもって、原告における賃金決定に基づく支払をしたとの評価もできない。 前記(1)アウのとおり、原告においては、原則的に毎年昇給する賃金体系となっており、かつ、参加人組合に対し、前年度を上回る賃金額を提示していたから、昇給させないのであれば、昇給させないとの決定をすべきところ、原告は、参加人組合と妥結できなかった後に、昇給させないとの決定をしていない。このことは、証拠(丙31)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件命令の初審である前提事実(6)アないしウの東京都労働委員会における救済申立事件において、賃金に不当な格差があるというた めには、これが決定、支給されて、初めてその当否が問議されるべきであるのに、本件においては、給与及び賞与は未だ決定されず、賞与を支給できず、格差さえ存在しないのであるから、参加人らの主張は前提を欠く理由のないもので、主張自体失当で却下されるべきであると主張していることが認められることからも裏付けられる。このように、原告は、参加人組合、同A及び同Bに対して、昇給の決定(又は昇給をしない旨の決定)や一時金支給の決定(又は支給をしない旨の決定)をせずに、昇給も一時金支給も分からない状態のまま放置していたとみざるを得ない。 以上のとおり、本件において、原告は参加人組合に対する給与及び賞与提示の前提となる何らかの決定をしたとは認められず、賃金決定に基づく支払をしたともいえず、原告は、賃金決定をしないという不作為を継続しているといわざるを得ない。そうすると、本件救済命令申立てが、行為の日から1年を経過してされたとはいえず、労働組合法27条2項により却下すべきとはいえない。このように、本件において申立期間 を継続しているといわざるを得ない。そうすると、本件救済命令申立てが、行為の日から1年を経過してされたとはいえず、労働組合法27条2項により却下すべきとはいえない。このように、本件において申立期間経過の問題は生じないとの解釈は、参加人らにおいて、原告による賃金決定とそれに基づく支払がない以上、賃金差別があるかどうか判断し難い状態にあったと評価できることからしても正当である。 (3)よって、本件救済命令申立てのうち、給与についての平成10年度以前、、の救済申立てと賞与についての平成11年度冬期賞与以前の救済申立ては申立期間の経過により却下されるべきとの原告の主張は理由がない。 争点(3)(本件命令のうち文書交付命令部分の要否)原告は、本件命令のうち主文第Ⅰ項の2の参加人Cについての文書交付命令部分は労使双方が平成17年2月2日付けの中央労働委員会平成13年不、、(再)第3号、同7号についての命令を争わず同命令が確定していて、本件命令が、同命令の延長線上であることからすると、その必要性がないと主張する。 しかし、本件命令のように文書交付命令を発するかどうかは、労働委員会の 合理的な裁量によるところ、原告の指摘する事情によっても、本件命令に裁量権の逸脱があるとはいえないから、原告の主張は採用できない。 第4 結論 よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官中西茂裁判官荒谷謙介裁判官遠藤貴子

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