昭和50(行ウ)2 鹿島農協遺族補償

裁判年月日・裁判所
昭和52年3月28日 福島地方裁判所
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判決文本文4,006 文字)

主文 原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。事実 第一当事者の申立一請求の趣旨 1 被告が原告に対し、昭和四八年六月二〇日付でなした労働者災害補償保険法による遺族補償給付及び葬祭料を支給しない旨の決定を取り消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求の原因 1 原告は、鹿島農業協同組合(以下「鹿島農協」という。)の真野支所に勤務していたA(昭和四八年一月二〇日午後一〇時ころ死亡)の配偶者であつて、同人の死亡当時その収入によつて生計を維持していた者であり、かつ葬祭を行う者として労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の受給権者である。2 被告は、昭和四八年六月二〇日付で、原告に対し、Aの死亡は業務上の事由に基づくものとして原告がなした労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の請求につき、不支給とする旨の決定(以下「本件処分」という。)をし、そのころ右決定は原告に送達された。3 しかしながら、本件処分は違法であるので、その取消を求める。二請求の原因に対する認否 1 請求原因1、2の各事実は認める。2 同3の主張は争う。後記のとおり本件処分は適法になされた。三被告の主張1(一) Aは、昭和四八年一月三〇日午後一〇時頃同人所有の軽自動車を運転進行中、福島県相馬郡<以下略>地内の国道六号線上の交差点において普通貨物自動車と衝突し、全身打撲により即死した(以下「本件事故」とい。)。(二) Aは、勤務先である鹿島農協真野支所での業務終了後自宅へ帰る途中で本件事故に遭遇したものであるから右死亡は退勤途上の災害に起因するもので、業務上の事由によるものではない。2 仮りに原告主張のように本件事故が共済保険加入の勧誘に向か での業務終了後自宅へ帰る途中で本件事故に遭遇したものであるから右死亡は退勤途上の災害に起因するもので、業務上の事由によるものではない。 (以下「本件事故」とい。)。(二) Aは、勤務先である鹿島農協真野支所での業務終了後自宅へ帰る途中で本件事故に遭遇したものであるから右死亡は退勤途上の災害に起因するもので、業務上の事由によるものではない。2 仮りに原告主張のように本件事故が共済保険加入の勧誘に向か での業務終了後自宅へ帰る途中で本件事故に遭遇したものであるから右死亡は退勤途上の災害に起因するもので、業務上の事由によるものではない。2 仮りに原告主張のように本件事故が共済保険加入の勧誘に向かう途中の事故であるとしても、(一) 本件事故は、勤務時間外において発生したものであるところ、勤務時間外の行為に業務遂行性が認められるためには、右行為につき事業主の個別具体的な業務命令がある場合若しくは右命令があつたと同視し得べき事情が認められる場合に限られるところ、本件事故は右のいずれの場合にも該当しないから業務遂行中の災害ではない。(二) 次に自家用自動車は使用者自身の責任において使用されるものであるから、原則として右使用には業務遂行性はなく、例外として自家用車の使用につき上司の命令若しくは指示がある場合、又は具体的状況に照らして職務遂行上やむを得ない措置として使用が許される場合に業務遂行性が肯定できるところ、Aの自家用車の使用は右いずれの場合にも該当しないから本件事故は業務遂行中の災害ではない。四被告の主張に対する答弁 1 被告の主張1の(一)の事実は認めるが、同(二)の事実は否認する。2 同2の主張はいずれも争う。3 Aの死亡は次のとおり業務上の事由によるものである。(一) 鹿島農協は、共済保険事業を重要な事業の一つとしている。鹿島農協の職員は、一定の目標達成額を課され(Aの死亡時の目標達成額は一二八○万円で、達成額は一〇〇万円であつた。)。一定期間を除いては、勤務時間以外、主に夜間を利用して勧誘に当ることとされ、右目標額達成の状況は当該職員の勤務成績として評価されていた。そして、共済保険勧誘行為は、その性質上勧誘に当る職員の人的関係に依存し、密行性が強いため本質的に個別的業務命令に親しまないところから、鹿島農協は、Aに対し包 該職員の勤務成績として評価されていた。そして、共済保険勧誘行為は、その性質上勧誘に当る職員の人的関係に依存し、密行性が強いため本質的に個別的業務命令に親しまないところから、鹿島農協は、Aに対し包括的に勤務時間外に保険勧誘業務をなすべきことを命じていた。 済保険勧誘行為は、その性質上勧誘に当る職員の人的関係に依存し、密行性が強いため本質的に個別的業務命令に親しまないところから、鹿島農協は、Aに対し包 該職員の勤務成績として評価されていた。そして、共済保険勧誘行為は、その性質上勧誘に当る職員の人的関係に依存し、密行性が強いため本質的に個別的業務命令に親しまないところから、鹿島農協は、Aに対し包括的に勤務時間外に保険勧誘業務をなすべきことを命じていた。(二) Aは本件事故当日鹿島農協真野支所の昭和四八年度事業計画立案会議に出席し、右打合会終了後帰宅途中にあるB方に共済保険の勧誘のため出かけたところ本件事故にあつたものである。よつて、Aの死亡は業務遂行中の災害に起因することが明らかである。第三証拠(省略) 理由 一請求原因1、2の各事実はいずれも当事者間に争いがない。二そこで以下被告の主張1について判断する。被告主張1の(一)のようにAが本件事故により死亡したことは当事者間に争いがなく、そしていずれも成立に争いのない乙第一号証の一、二、一一、一三、同第二号証の一、二、同第四号証の三、四、同第五号証の二、同第一三号証の一、七、一二及び証人C、同Dの各証言によれば、Aは、昭和四八年一月三〇日午後六時ころから鹿島町<以下略>所在の清寿司で開かれた真野支所全職員による昭和四八年度事業計画立案会議(同会議はAの私的な都合により真野支所での通常勤務時間(午後五時)後に開かれた。)に出席し、同会議終了後の午後九時三〇分頃右清寿司を出て一旦真野支所に戻り、自己所有の軽自動車を運転して同所を午後九時四〇分ころ出発し、自宅のある鳥崎部落の方向に進行中本件事故に遭つたもので、事故の現場は同人の通常の通勤経路上にあることが認められ、右認定に反する証拠はない。そうすると、本件事故はAの真野支所での勤務時間後に開かかれた会議終了後の午後6時ころ、同人の通常の帰宅経路上で発生したことの事実からみると特段の事情のない限りAは、帰宅 定に反する証拠はない。そうすると、本件事故はAの真野支所での勤務時間後に開かかれた会議終了後の午後6時ころ、同人の通常の帰宅経路上で発生したことの事実からみると特段の事情のない限りAは、帰宅中に本件事故に遭つたものと推認するのが相当である。原告は、AがB方に共済保険加入の勧誘に行く途上本件事故にあつた旨主張し、乙第七号証、同第一一号証、同第一二号証の一、証人B、伺Eの各証言、原告本人尋問の結果中には、Aが前記会議終了後B方に農協共済保険契約締結の勧誘のため立寄る予定になつていた旨の右主張にそうが如き記載及び供述が存するが、これらは成立に争いのない乙第一号証の一、一一、第二号証の一、二、第三号証、第四号証の三、第五号証の二、第一三号証の一、証人F、同Cの各証言に照らして措信し難く、又証人Fの証言及びこれにより真正に成立したものと認められる甲第一号証の一ないし四、同第二号証、同第一一号証、同第一三号証、成立に争いのない乙第八ないし第一〇号証、証人C、同Dの各証言及び原告本人尋問の結果によれば、亡Aは、昭和四七度(昭和四七年三月一日から昭和四八年二月二八日まで)の農協共済保険勧誘目標額として一二八○万円の割当を受けていたが、昭和四八年一月ころまでには一〇〇万円しか達成してなかつたこと、通常右勧誘は夏期の一定期間に勤務時間を利用して行うほかは、勤務時間外の早朝又は夜間を利用して行われ、右目標額達成については日頃上司から強く促されたり、勤務成績として評価されるため年度末にあたる時期には特に力を注ぐこと、Aは昭和四七年一〇月ころから真野支所での仕事に追われ、保険の勧誘に従事する時間が少なかつたこと、事故直前真野支所を出る際、通常より急いでいる様子が窺われたこと、事故当時も共済保険勧誘用のパンフレツト及び契約者に配付する手ぬぐいを携帯してい 勤務時間外の早朝又は夜間を利用して行われ、右目標額達成については日頃上司から強く促されたり、勤務成績として評価されるため年度末にあたる時期には特に力を注ぐこと、Aは昭和四七年一〇月ころから真野支所での仕事に追われ、保険の勧誘に従事する時間が少なかつたこと、事故直前真野支所を出る際、通常より急いでいる様子が窺われたこと、事故当時も共済保険勧誘用のパンフレツト及び契約者に配付する手ぬぐいを携帯してい 事に追われ、保険の勧誘に従事する時間が少なかつたこと、事故直前真野支所を出る際、通常より急いでいる様子が窺われたこと、事故当時も共済保険勧誘用のパンフレツト及び契約者に配付する手ぬぐいを携帯していたこと等の事実が認められるが、このような一般的状況事実のみでは未だ前記推認を覆すことはできず、他に前記推認を左右するに足る証拠はないので、原告の前記主張は採用できない。そうするとAの死亡は勤務終了後の退勤途中の事故によるものと認められ、その死亡は業務上の事由によるものではないというべきであるから、被告のなした本件処分は適法である。三よつて、原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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