平成24(ワ)7971等 特許権移転登録手続等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年4月24日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-85089.txt

キーワード

判決文本文56,068 文字)

- 1 -平成27年4月24日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第7971号特許権移転登録手続等請求事件(以下「A事件」という。)平成26年(ワ)第16871号損害賠償請求事件(以下「B事件」という。)口頭弁論終結日平成27年2月18日判決別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 A事件原告の請求をいずれも棄却する。 2 B事件原告らの請求をいずれも棄却する。 3 A事件の訴訟費用はA事件原告の負担とする。 4 B事件の訴訟費用はB事件原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 A事件(1) 主位的請求ア A事件及びB事件被告加藤建設株式会社(以下「被告加藤建設」という。)は,A事件及びB事件原告アィ・ランドシステム株式会社(以下「原告会社」という。)に対し,別紙特許権目録記載1及び2の特許権(以下,それぞれ「本件特許権1」,「本件特許権2」といい,併せて「本件各特許権」といい,またその特許に係る発明を,それぞれ「本件発明1」,「本件発明2」という。)について,真正な登録名義の回復を原因とする被告加藤建設から原告会社への特許権移転登録手続をせよ。 イ A事件被告株式会社アースアンドウォーター(以下「被告アースアンドウォーター」といい,被告加藤建設と併せ「A事件被告ら」という。)は,本件各特許権について,別紙登録目録1記載1及び2の各登録の抹消登録 - 2 -手続をせよ。 ウ訴訟費用はA事件被告らの負担とする。 (2) 主位的請求アの予備的請求被告加藤建設は,本件各特許権について,別紙登録目録2記載1及び2の各登 - 2 -手続をせよ。 ウ訴訟費用はA事件被告らの負担とする。 (2) 主位的請求アの予備的請求被告加藤建設は,本件各特許権について,別紙登録目録2記載1及び2の各登録の抹消登録手続をせよ。 2 B事件(1) 被告加藤建設,B事件被告E(以下「被告E」という。)及びB事件被告D(以下「被告D」といい,同被告,被告加藤建設及び被告Eとを併せて「B事件被告ら」といい,被告D,被告加藤建設,被告アースアンドウォーター及び被告Eとを併せて「被告ら」という。)は,連帯して,原告会社に対し,1億5000万円及びこれに対する平成23年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告E及び被告Dは,連帯して,B事件原告C(以下「原告C」といい,原告会社と併せて「原告ら」という。)に対し,4640万1183円及びこれに対する平成26年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用はB事件被告らの負担とする。 (4) (1)及び(2)につき仮執行宣言第2 A事件につき,主位的請求アの予備的請求に係る訴えについての被告加藤建設の本案前の答弁被告加藤建設に対する主位的請求アの予備的請求に係る訴えを却下する。 第3 請求の趣旨に対する答弁 1 A事件につき(1) 主位的請求に対しア原告会社の請求をいずれも棄却する。 イ訴訟費用は原告会社の負担とする。 - 3 -(2) 主位的請求アの予備的請求に対する本案についての答弁(被告加藤建設)ア原告会社の請求を棄却する。 イ訴訟費用は原告会社の負担とする。 2 B事件につき(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第 被告加藤建設)ア原告会社の請求を棄却する。 イ訴訟費用は原告会社の負担とする。 2 B事件につき(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第4 事案の概要 1 A事件原告会社は,かつて同社の代表者であった原告Cを発明者とする本件各特許権についてそれぞれ特許出願をし,特許査定を経て,平成20年3月28日付け(本件特許権1)及び同年9月19日付け(本件特許権2)でそれぞれ設定登録を得ていたが,平成21年11月2日付けで,特定承継による本権の移転を原因として,いずれも訴外エコライン株式会社(以下「エコライン」という。)に対し移転登録(以下「本件各移転登録」といい,本件各移転登録の原因となる原告とエコラインとの間の本件各特許権の譲渡契約を「本件譲渡契約」という。なお,本件譲渡契約の時期及び内容につき争いがある。)がされ,さらに,平成23年6月1日付けで,特定承継による本権の移転を原因として,被告加藤建設に対して別紙登録目録2記載1及び2の各移転登録(以下「本件各再移転登録」といい,本件各再移転登録の原因となるエコラインと被告加藤建設との間の本件各特許権の譲渡契約を「本件再譲渡契約」という。)がされた。そして,同年9月29日付けで,被告加藤建設から,別紙登録目録1記載1及び2の内容で,被告アースアンドウォーターに対し,専用実施権の設定登録(以下「本件各設定登録」という。)がされるに至った。原告会社は,エコラインへの本件各移転登録について,その原因たる原告会社とエコラインとの平成21年10月20日付け特許権譲渡契約(原告の主張する本件譲渡契約)について,譲渡代金のうち3495万1021円の未払があるとし,債務不履 - 4 -行を原因として,平成23年1 0日付け特許権譲渡契約(原告の主張する本件譲渡契約)について,譲渡代金のうち3495万1021円の未払があるとし,債務不履 - 4 -行を原因として,平成23年10月31日付けで解除した(同年11月2日到達)とした。 これを前提として原告会社は,主位的に,(1)被告加藤建設は,本件譲渡契約について上記譲渡代金の未払があり,契約の解除原因があることを代表者の被告Dにおいて認識しながら,あえてエコラインから本件各特許権の譲渡を受けたものであるから,信義則上,契約解除前の第三者として登録の欠缺を主張することは許されず,(2)エコラインと被告加藤建設との間の本件再譲渡契約についても,契約の承認をしたエコラインの代表者であるFにつき,同人を代表取締役として選任した平成23年4月12日のエコラインの取締役会決議は不存在であり,本件再譲渡契約が代表権のない者によって締結されたことにつき,被告加藤建設の代表者である被告Dにおいてこれを十分認識していたから本件再譲渡契約は無効であり,また上記譲渡代金未払につき被告Dにおいて認識し加担していたから背信的悪意者である,被告アースアンドウォーターは,被告Dが設立した会社であり,上記(1)及び(2)の事情を十分認識しながら専用実施権の設定登録を受けた背信的悪意者であるとして,被告加藤建設に対し,真正な登録名義の回復を原因として被告加藤建設から原告会社への特許権移転登録手続をすることを(A事件主位的請求ア),被告アースアンドウォーターに対し,不実の登録であるとして,本件各設定登録の抹消登録手続をすることを(A事件主位的請求イ),それぞれ求め,予備的に,被告加藤建設に対し,上記本件譲渡契約の解除原因についての被告加藤建設の背信的悪意により,本件各特許権に基づく妨害排除請求として 登録手続をすることを(A事件主位的請求イ),それぞれ求め,予備的に,被告加藤建設に対し,上記本件譲渡契約の解除原因についての被告加藤建設の背信的悪意により,本件各特許権に基づく妨害排除請求として,エコラインから被告加藤建設への本件各再移転登録の抹消登録手続をすることを(A事件予備的請求),それぞれ求めた事案である。 2 B事件被告Eは,原告会社との間で会計及び税務業務について準委任契約を締結してこれを担当し,他方でエコラインの監査役でもあったところ,原告会社につ - 5 -き不正な会計処理を行って原告会社の債権を犠牲にする債務不履行行為及び不法行為を行い,これらの行為はエコラインの監査役としての義務に反してエコラインに係る不正会計処理を通知しなかったことにも当たるから,原告会社の役員としてもその責任を負うものであり,また,被告Dは,エコラインの取締役でもあったところ,被告Eと共謀して上記不正な会計処理を行ったものであるから同社の取締役としての責任を負い,さらに,被告加藤建設は,その代表取締役である被告Dの上記不法行為につき会社法350条に基づく責任を負うものであるとして,原告会社は,被告E,被告D及び被告加藤建設の上記不法行為等により,本件各特許権につき本件譲渡契約等を締結したことによって逸失した利益に相当する額の損害を被り,また,平成16年11月30日から平成26年5月7日に退任するまで原告会社の代表取締役であった原告Cは,エコラインの破産により,エコラインに対して同社第6期(平成19年4月1日ないし平成20年3月31日)代表者勘定期首残高である4640万1183円の損害を被ったと主張して,(1)原告会社は,被告E,被告D及び被告加藤建設に対し,連帯して,逸失した利益相当額である3億9897 し平成20年3月31日)代表者勘定期首残高である4640万1183円の損害を被ったと主張して,(1)原告会社は,被告E,被告D及び被告加藤建設に対し,連帯して,逸失した利益相当額である3億9897万9763円の一部である1億5000万円及びこれに対する本件各特許権の譲渡契約が解除された日の翌日である平成23年11月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(B事件請求の趣旨第1項)を,(2)原告Cは,被告E及び被告Dに対し,連帯して,4640万1183円及びこれに対する被告E及び被告Dに対するB事件訴状送達の日の翌日である平成26年9月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(B事件請求の趣旨第2項)を,それぞれ求めた事案である。 3 前提となる事実等(証拠の摘示のない事実は当事者間に争いがない。)(1) A事件の当事者等ア原告会社は,昭和62年10月2日に原告Cにより設立された,秋田市に本店を置く不動産の売買・仲介等に関する業務,建築の設計・施工・工 - 6 -事監理等を主たる目的とする株式会社であり,原告Cが平成16年11月30日から代表取締役を務めてきたほか,取締役としてG及び原告Cの姉であるHが,監査役としてIがそれぞれ就任していた。なお,原告Cは,A事件訴え提起後の平成26年5月7日に原告会社の代表取締役を退任し,同日,Oが代表取締役に就任した。〔甲1,弁論の全趣旨〕イ被告加藤建設は,昭和39年10月20日に設立された秋田市に本店を置く土木建築工事の設計等を主たる目的とした株式会社である。なお,平成23年3月1日に,東京都千代田区の被告アースアンドウォーターの頭書本店所在地と同一の場所に支店設置の登記をし,同日,平成18年7月 く土木建築工事の設計等を主たる目的とした株式会社である。なお,平成23年3月1日に,東京都千代田区の被告アースアンドウォーターの頭書本店所在地と同一の場所に支店設置の登記をし,同日,平成18年7月に設置した秋田県大仙市所在の唯一の支店を廃止した。〔甲4〕ウ被告アースアンドウォーターは,平成23年3月4日に被告Dらにより設立された節水・節電装置の製造等を主たる目的とする株式会社である。 〔甲5〕エエコラインは,平成14年10月21日に設立されたヴィクトリー東北有限会社を前身とする節水・節電装置の製造等を主たる目的とした株式会社であり,平成16年8月18日に,同社を組織変更し資本金も1000万円として,原告Cにより設立された。原告Cは,平成21年10月21日に取締役に,平成22年7月30日に代表取締役に就任したが,いずれも平成23年4月12日に退任ないし解任となっている。原告Cは,平成22年3月末日決算時においては総株式の51%を占める102株の株主であった。なお,エコラインについて報じる新聞等においては,平成21年2月頃には,原告Cのことを同社の会長であるとして報じている。〔甲6,36の1〕(2) B事件の当事者及び関係者等ア原告Cは,昭和62年10月に,不動産会社である原告会社を設立し,自身も宅地建物取引主任者であることから,宅地造成と仲介業務を行って - 7 -きた。 イ J(以下「J」という。)は,原告Cの知り合いであって,平成14年12月から平成22年5月26日まではエコラインの代表取締役であり,その後も取締役を務めている。〔乙72〕ウ Iは原告Cの姉である。平成16年8月にエコラインの取締役に就任したが,平成23年4月12日にこれを解任され,係争中 ではエコラインの代表取締役であり,その後も取締役を務めている。〔乙72〕ウ Iは原告Cの姉である。平成16年8月にエコラインの取締役に就任したが,平成23年4月12日にこれを解任され,係争中である。 エ K(以下「K」という。)は,かつてエコラインの会計担当部長であったところ,現在は後記アイランド株式会社の代表取締役となっている者である。〔乙25,121〕オ被告Dは,平成元年当時,被告加藤建設の専務取締役であったところ,仕事を通じて原告Cと知り合い,平成2年に原告会社が自社ビルを建設した際には,被告加藤建設が受注をし,宅地開発等では原告会社と被告加藤建設とで共同事業を行うなどして関係を強化してきた。平成16年8月にエコラインが増資した際には出資し,同社株式全体の20パーセントに当たる40株の株主ともなったことから,被告Dもエコラインの社外取締役に就任した。被告Dは,平成22年4月に自らを代表者として,訴外エコサービス株式会社(以下「エコサービス」という。)を設立した。エコサービスには原告Cも出資して取締役となり,被告D70パーセント,原告C30パーセントの割合で株式を持ち合った。被告Dは,平成23年5月6日まで被告アースアンドウォーターの代表取締役であったが,同日これを退任し,取締役も辞任した。 カ L(以下「L」という。)は,被告Dのかねてからの親友であるとして,平成16年10月に,原告会社の事業資金の趣旨で原告C個人に2500万円を信用で貸し付けるなどした。Lは被告アースアンドウォーターの取締役である。〔甲5,36の1,10頁〕キ M(以下「M」という。)は,後記のとおり,平成20年1月にエコラ - 8 -インに入社し,同社の従業員となったが,被告アースアンドウォーター 1,10頁〕キ M(以下「M」という。)は,後記のとおり,平成20年1月にエコラ - 8 -インに入社し,同社の従業員となったが,被告アースアンドウォーターの取締役となり,平成23年5月6日に代表取締役に就任した。〔乙112〕ク F(以下「F」という。)は,後記のとおりエコラインの従業員(秋田支店営業課長)であったが,平成23年4月12日に,エコラインの代表取締役に就任する旨の登記がされている。〔甲6,22〕ケ N(以下「N」という。)は,エコラインの従業員(営業部長,開発部長)であり,その後平成23年4月12日に取締役となったところ,同年6月22日,エコラインの代表清算人に就任した。〔甲6,22〕コ被告Eは,原告Cと同じ中学,高校を卒業した税理士であり,原告Cから原告会社の顧問税理士への就任を依頼されて就任したが平成11年頃までには辞任した。平成14年10月にエコラインが改組・設立されると,原告Cからの要請で同社の監査役となり顧問税理士となった。また,被告Eは,エコラインの株主である株式会社E経営(以下「E経営」という。)の代表者でもある。〔乙76〕(3) 本件各特許権本件各特許権の内容は,別紙特許権目録記載1及び2のとおりであるほか,その詳細は,それぞれ以下のア及びイのとおりであり,いずれも原告Cが発明者である(甲2の2,甲2の3,甲3の2,甲3の3,乙100の1,2)。 ア本件特許権1(登録番号第4100693号,発明の名称「流量制御弁」)出願日平成16年9月7日発明者 C(原告C)審査請求日平成16年11月11日公開日平成18年3月23日 - 9 -特許査定 成16年9月7日発明者 C(原告C)審査請求日平成16年11月11日公開日平成18年3月23日 - 9 -特許査定日平成20年3月3日登録日平成20年3月28日イ本件特許権2(登録番号第4189027号,発明の名称「弁体と流量制御弁」)出願日平成20年6月2日発明者 C(原告C)審査請求日平成20年6月10日特許査定日平成20年8月25日登録日平成20年9月19日(4) 関連訴訟本件各特許権の帰属ないしエコラインの支配権等を巡っては,多数の民事保全申立てないし訴訟提起がされており,このうち関連する訴訟の一部は以下のとおりである。 ア秋田地方裁判所平成22年(ワ)第683号新株発行無効確認請求事件I,Jが原告となり,エコラインを被告として,(1)エコラインが平成22年6月1日になした被告Dの引受申込みがあったときに同人に割り当てることとされた普通株式508株について,被告Dの現物出資による払込みが欠訣しており手続に瑕疵があることを理由として,その新株発行が不存在であることの確認(主位的)ないし,その発行を無効とすること(予備的),(2)当該新株はエコラインの総株式の70%超を占めることから,不存在である当該新株の議決権が行使された株主総会決議である,エコラインの平成23年4月12日付け株主総会における原告C,I,Jを取締役から解任し,F,Nを取締役に選任する決議の不存在確認,及び,エコラインの同年6月22日付け株主総会における同社の事業をアースアンドウォーターに譲渡し,同社を解散する,エコラインの特許権を加藤建設に対し移転したことを追認する決議の不存在確認 コラインの同年6月22日付け株主総会における同社の事業をアースアンドウォーターに譲渡し,同社を解散する,エコラインの特許権を加藤建設に対し移転したことを追認する決議の不存在確認 - 10 -をそれぞれ請求した事件である。被告Dが,エコラインに補助参加した。 秋田地方裁判所は,平成26年1月17日,①平成16年10月頃から平成18年2月頃までの間に,L及び被告Dから原告Cに対し各2500万円,合計5000万円の金員が交付され,これが実際にエコラインのために用いられ,交付と概ね整合する時期に貸主不明の5000万円の短期貸付金が計上されていること,②これにつき,エコラインにも返済義務を負担させる意図で,平成22年5月25日付けの被告Dとエコラインによる,エコラインが被告Dに対する貸付日平成17年1月30日,貸付金額2000万円の金銭消費貸借による債務負担を承認する旨記載された債務承認弁済契約書(本件甲18)が作成されたこと,これにより,エコラインは被告Dが原告Cに交付した2000万円の貸金について債務引受けをしたと認められること,③これについて取締役会決議が存しないことは重大な瑕疵とはいえないし通謀虚偽表示ないし無権代理にも当たらない,④この債務引受による債権が現物出資債権となっており,新株発行に不存在ないし無効事由はない,⑤新株発行に瑕疵がないから株主総会決議の不存在事由があるとはいえないとして,原告らの請求をいずれも棄却する旨の判決を言い渡した。〔乙93〕これに対しI,Jが控訴した(仙台高裁秋田支部平成26年(ネ)第19号)が,仙台高裁秋田支部は,平成26年7月30日,控訴棄却の判決をした。〔乙110〕IとJが上告受理申立てをした(平成26年(受)第2031号)が,最高裁は,平成27年1月2 6年(ネ)第19号)が,仙台高裁秋田支部は,平成26年7月30日,控訴棄却の判決をした。〔乙110〕IとJが上告受理申立てをした(平成26年(受)第2031号)が,最高裁は,平成27年1月22日,不受理決定をした。〔乙122〕イ秋田地方裁判所平成23年(ワ)第148号損害賠償等請求事件,平成24年(ワ)第62号損害賠償請求反訴事件当該事件の本訴原告(反訴被告):原告C,J,I,O。当該事件の本訴被告(反訴原告):被告加藤建設,被告D。 - 11 -ウ秋田地方裁判所平成23年(ワ)第525号株主代表訴訟事件当該事件の原告:原告C,J,I。当該事件の被告:被告D。〔乙101〕エ当庁平成24年(ワ)第31523号特許権侵害行為差止等請求事件〔甲70〕当該事件の原告:被告加藤建設,被告アースアンドウォーター。当該事件の被告:原告会社,アイランド株式会社,原告C,K。 本件特許権1に基づく特許権侵害,及び,顧客らに対し本件特許権1が原告被告らいずれにも帰属していないから実施してもよいなどと虚偽の事実を告知等した不正競争防止法2条1項14号に基づき,節水装置の輸入,生産,譲渡等差止め,損害賠償等を請求した事件である。 平成26年12月18日に,本件特許権1に基づく特許権侵害について一部製品につき均等侵害の成立を認め,不正競争防止法2条1項14号の虚偽の事実の告知等の事実も認めて,原告会社らに損害の賠償等を命ずる判決が言い渡された。〔乙121(判決)〕これに対しては控訴が提起されている。〔当裁判所に顕著〕(5) 本件各特許権に関連する事実関係ア平成20年3月28日に本件特許1が日本において特許登録がされ,その後,原告会社とエコラインとの間で,本件特許権1につき使用許 。〔当裁判所に顕著〕(5) 本件各特許権に関連する事実関係ア平成20年3月28日に本件特許1が日本において特許登録がされ,その後,原告会社とエコラインとの間で,本件特許権1につき使用許諾契約が締結された。 また,同年9月19日に,本件特許2が特許登録されたが,上記使用許諾の対象特許として,本件特許権2が追加された。 その後,平成21年11月2日付けで,本件各特許権につき,エコラインに対し,特定承継による本権の移転を原因として本件各移転登録がされた。 イ原告Cは,平成22年9月8日,エコラインの代表者として,株式会社 - 12 -三菱東京UFJ銀行(以下「三菱東京UFJ銀行」という。)との間で本件各特許権について根質権を設定する契約をした。同契約の第4条には,本件各特許権について,契約締結時点において,エコラインが唯一の特許権者であり完全な権利を有し,いかなる負担等も存しない旨をエコラインが保証する旨を定める「表明及び保証」条項(以下「本件表明保証」という。)が存する。〔乙87〕ウエコラインは,平成22年11月1日,エコサービス株式会社(以下「エコサービス」という。)に対し,本件各特許権につき通常実施権を設定し,受付第007978号,同007979号としてその旨登録したが,通常実施権者,実施権の範囲等については全て非開示とした。〔甲2の1,甲3の1,甲59資料4〕エエコラインは,平成23年5月31日,被告加藤建設に対し,本件各特許権を譲渡し,同年6月1付けで,特定承継による本権の移転を原因として本件各再移転登録がされた。 被告加藤建設は,同年9月29日,被告アースアンドウォーターに対し,本件各特許権につき専用実施権を設定した(本件各設定登録)。 オ原告会社は,平成23 転を原因として本件各再移転登録がされた。 被告加藤建設は,同年9月29日,被告アースアンドウォーターに対し,本件各特許権につき専用実施権を設定した(本件各設定登録)。 オ原告会社は,平成23年10月31日,代理人弁護士を通じ,エコライン(代表清算人N),被告加藤建設,被告アースアンドウォーター及びエコサービスに宛て,債務不履行を理由として譲渡契約を解除する旨の解除通知書(甲12の1)を送付した。そこには解除原因として,本件各特許権の譲渡代金は3000万円であるところ,そのうちの480万8551円(税別)しか支払われていないこと,被告Dは被告Eと共謀し,平成22年5月末頃,エコラインの第8期の決算書作成に当たり実際には存在しないエコラインの原告会社に対する3000万円の短期貸付金を不正に作出して平成22年3月31日に遡り本件各特許権の譲渡契約代金3000万円と相殺する処理をしていることが判明しているが,原告会社との関係 - 13 -では背信的悪意者であること等が記載されている。〔甲12の1〕また,原告会社は,上記解除通知書(甲12の1)によって,被告加藤建設及び被告アースアンドウォーターに対し,原告会社に対する移転登録及び本件専用実施権設定登録の抹消登録を請求した。〔甲12の1~6〕(6) 本件各訴えの提起等原告Cは,原告会社の代表者として,平成24年3月19日,A事件に係る訴えを当庁に提起した。訴訟係属中の平成26年5月7日に,原告Cは原告会社の代表者を退任した。 原告らは,平成26年6月11日,秋田地方裁判所に,B事件に係る訴えを提起した。秋田地方裁判所は,同月17日,民訴法16条1項に基づきB事件訴訟を当庁に移送する旨の決定をした。 第5 争点 1 A事件主位的請求につき 日,秋田地方裁判所に,B事件に係る訴えを提起した。秋田地方裁判所は,同月17日,民訴法16条1項に基づきB事件訴訟を当庁に移送する旨の決定をした。 第5 争点 1 A事件主位的請求につき(1) 本件譲渡契約の解除の可否ア譲渡代金未払の事実の有無(被告E及び被告Dによるエコラインの帳簿改ざん等の事実の有無)イ相殺合意に基づく会計処理の有無ウ各相殺合意は利益相反取引に当たり,原告会社の取締役会決議も存せず,エコラインがこれにつき悪意であるとして無効となるかエ各相殺合意が利益相反取引に当たり取締役会決議を欠くとして無効となるとしても,信義則に照らし原告会社がそれを主張することが許されないか(2) 解除原因に関する被告加藤建設の悪意ないし背信的悪意の有無(3) 本件再譲渡契約の無効原因の有無及び被告加藤建設の認識(4) 被告アースアンドウォーターの背信的悪意の有無(5) 真正な登録名義の回復の許否 - 14 - 2 A事件予備的請求につき(1) A事件予備的請求は不適法か〔被告加藤建設の本案前の答弁〕(2) A事件予備的請求の可否 3 B事件につき(1) 争点1(1)アの事実が存したとした場合のB事件被告ら(被告E,被告D及び被告加藤建設)の責任原因(2) 損害発生の有無及びその額第6 争点に関する当事者の主張 1 争点1(1)ア及びイ(譲渡代金未払の事実の有無〔被告E及び被告Dによるエコラインの帳簿改ざん等の事実の有無〕,相殺合意に基づく会計処理の有無)について〔原告らの主張〕(1) 本件各特許権の譲渡代金及びその代金未払の有無本件各特許権の譲渡代金総額6000万円のうち,譲渡代金支払として認められるのは,平成21年4月 処理の有無)について〔原告らの主張〕(1) 本件各特許権の譲渡代金及びその代金未払の有無本件各特許権の譲渡代金総額6000万円のうち,譲渡代金支払として認められるのは,平成21年4月13日の1100万円の銀行振込送金と,同年11月30日ないし平成22年5月31日に,平成21年10月ないし平成22年4月販売分として支払われた合計504万8979円の合計1604万8979円であり,4395万1021円が未払である。 譲渡代金等の支払については,原告会社からエコラインへの領収書等の発行はされておらず,支払の証拠は関係仕訳としてしか存在していないものであるが,下記のとおりその仕訳にも問題がある。 (2) 被告Eによる不正な会計操作ア本件に関連する一連の紛争は,被告加藤建設代表者の被告Dが,平成16年10月頃から,原告会社が有する本件各特許権をエコラインに譲渡移転させた上で,同社の節水事業を本件各特許権とともに被告加藤建設又は同人が支配する他の会社に移転して,エコラインを破綻させるこ - 15 -とを企てたことが背景にある。これを実現するため,被告Dは,顧問税理士であった被告Eと通謀し,別紙①ないし③のとおりの不正会計仕訳を行い,本件各特許権について,エコラインから原告会社に対し支払うこととされ,決算書類にも記載されている使用許諾金(以下「本件使用許諾金」という。)や,本件各特許権について決算書類に譲渡代金と記載されている金額(以下「本件譲渡代金」という。)の各支払について,支払を仮装したものである。 被告Dと被告Eとの通謀による不正会計仕訳は,エコライン第4期(平成17年4月~平成18年3月31日)の決算処理から開始されているところ,具体的には以下のイ,ウのとおりである。 ものである。 被告Dと被告Eとの通謀による不正会計仕訳は,エコライン第4期(平成17年4月~平成18年3月31日)の決算処理から開始されているところ,具体的には以下のイ,ウのとおりである。 イ代表者勘定の残高仮装について(別紙①,甲81の1,2)被告Eは,別紙①の番号欄(1)~(6)の各仕訳を行ったが,上記各仕訳は,被告Eが代表者勘定残高の仮装を目的とした不正会計操作であった(以下「本件各不正仕訳」という。)。 (ア) 被告Eは,エコラインの第4期の決算処理において,別紙③のとおり,売掛金①(10件,1274万1750円),売掛金②(秋田組合病院1件,1740万3750円),売掛金③(国土交通省等16件,1348万9350円)の合計4363万4850円について,原告Cからの短期借入金と相殺処理をした(甲71,81の1,2)。 ところが,別紙③にあるとおり,上記売掛金②については,平成18年5月31日に売掛先の秋田組合病院からエコライン・普通みずほ口座への振込入金の方法で,上記売掛金③の売掛先16件については,同年4月中に,それぞれの売掛先からエコライン・普通秋田口座への振込送金の方法で,それぞれ支払われた(甲72〔総勘定元帳〕)。 このように短期借入金と相殺処理された売掛金②・③が回収されたのであるから,被告Eは,本来は,売掛金②・③/代表者勘定②・③の仕 - 16 -訳で,売掛金②・③を復活させた上,別紙①・仕訳番号(1)(2)・右欄(正しい仕訳欄)のとおり仕訳を行うべきであったにもかかわらず,同左欄(不正仕訳欄)のとおり,同復活仕訳をしないまま,普通みずほ/売掛金②,普通秋田③/売掛金③の仕訳を行った(甲72)。 なお,エコラインは原告Cからの借入金については であったにもかかわらず,同左欄(不正仕訳欄)のとおり,同復活仕訳をしないまま,普通みずほ/売掛金②,普通秋田③/売掛金③の仕訳を行った(甲72)。 なお,エコラインは原告Cからの借入金については,従前から代表者勘定を用いてきたのであるから,原告Cからの短期借入金を復活させる場合には,代表者勘定が用いられるべきである。 この結果,貸方勘定に計上されるべき代表者勘定が未計上のまま放置された。 (イ) また,平成18年5月31日から同年7月31日にかけて,エコライン・普通みずほ銀行から5回に分けて合計1950万円が払い戻されてエコライン内に留保され,同払戻金が原告Cに交付された事実はなかった。そこで,被告Eは,別紙①・仕訳番号(3)・右欄(正しい仕訳欄)のとおり,本来は,現金1950万円/普通みずほ1950万円の仕訳を行うべきであったにもかかわらず,同左欄(不正仕訳欄)のとおり,あたかも上記払戻金が原告Cに交付されたかのように,代表者勘定1950万円/普通みずほ1950万円の仕訳を行った(甲72)。 この結果,本来計上されるべきでない代表者勘定1950万円が借方に計上されたままとなった。 (ウ) 被告Eは,別紙①仕訳番号(4)のとおり,借方勘定を現金又は普通秋田とする合計1780万円,貸方勘定を売上高とする合計1780万円を計上する仕訳をしているが(甲72),上記1780万円は,売上金として,現金又は口座送金されたものではない。 上記仕訳は,別紙①・仕訳番号(3)仕訳により,普通みずほ銀行口座払戻金を原告Cへの代表者勘定貸付とする仮装をした結果,簿外となった同払戻金1950万円の一部について,これを簿内資金とするた - 17 -めに仮装したものであった。 (エ) 平成18年5月29日から同年7月 た結果,簿外となった同払戻金1950万円の一部について,これを簿内資金とするた - 17 -めに仮装したものであった。 (エ) 平成18年5月29日から同年7月21日までの5回に分けて,原告会社からエコラインに対して,合計1500万円が,エコラインの普通秋田口座に振込送金する方法で貸し付けられた。上記1500万円は,原告会社の不動産仲介収入を原資としたものであって,原告Cがエコラインに貸し付けたものではなかった。そこで,被告Eは,別紙①・仕訳番号(5)・右欄(正しい仕訳欄)のとおり,本来は,普通秋田1500万円/短期借入金1500万円の仕訳を行うべきであったにもかかわらず,同左欄(不正仕訳欄)のとおり,それがあたかも原告Cからの借入金であるかのように,普通秋田1500万円/代表者勘定1500万円の仕訳をした(甲72)。 (オ) 被告Eは,別紙①・仕訳番号(6)・左欄(不正仕訳欄)のとおり,あたかも原告Cがエコラインから3回に分けて1031万5631円を代表者勘定借入したかのように仕訳しているが(甲72),原告Cは,同借入をした事実はないから,同仕訳は,同右欄(正しい仕訳欄)のとおり,削除されるべきである。 (カ) 別紙①・下欄「エコ社・第5期・代表者勘定・総括表」のうち,同左欄(不正仕訳欄)は,被告E作成にかかるエコライン・第5期・代表者勘定を総括したものであるところ,同右欄(正しい仕訳欄)は,これを正しく修正した総括表である。 この総括表にあるとおり,被告E作成の代表者勘定は不正に操作されているため,第6期への繰越残高は借方69万2452円にすぎないのに対して,同不正操作を排除して正しい仕訳を行った場合には,上記繰越残高は,借方4640万1183円に上る(エコラインの負債,原告Cからの代 め,第6期への繰越残高は借方69万2452円にすぎないのに対して,同不正操作を排除して正しい仕訳を行った場合には,上記繰越残高は,借方4640万1183円に上る(エコラインの負債,原告Cからの代表者勘定借入金)。 ウ本件譲渡代金等の支払仮装(別紙②,甲73~75,乙9の3,乙9の - 18 -8,乙61,82)被告Eは,エコラインの顧問税理士として,本件各特許権についての本件使用許諾金3000万円の支払債務の負担とその支払,本件譲渡代金3000万円の支払債務の負担とその支払につき,別紙②の番号①~⑭の各仕訳を行った(以下,各番号に従い「番号①仕訳」などという。)。 上記番号①ないし⑭の各仕訳は,以下に述べるとおり,被告Eが,上記支払債務の支払を仮装することを目的とした不正会計操作であった(以下「本件各支払仕訳」という。)。 (ア) 本件使用許諾金債務3000万円は,番号①及び②仕訳で未払金計上された後,被告Eがした番号③ないし⑧の各仕訳によって既に支払われたものとされているが,これによる弁済の効力はない。すなわち,上記番号③,⑤及び⑦の各仕訳は,本件使用許諾金支払債務とエコラインの原告Cに対する代表者勘定上の貸付金債権とを相殺処理するものであるが,同相殺処理が弁済の効力を有するには,原告Cの同意のみならず,利益相反取引として原告会社取締役会の承認決議を要するところ,後記2〔原告らの主張〕のとおり,それらはいずれも存在しないから,上記の相殺処理を行うことはできない。原告会社取締役会の承認決議につき,以下同様である。 また,上記番号④及び⑥の仕訳は,エコラインの原告Cに対する現金支払について,これを本件使用許諾金支払債務への弁済とみなすものであるが,同支払が弁済効を有するためには,原告会 以下同様である。 また,上記番号④及び⑥の仕訳は,エコラインの原告Cに対する現金支払について,これを本件使用許諾金支払債務への弁済とみなすものであるが,同支払が弁済効を有するためには,原告会社の同意を要するところ,そのような同意は存在しない。 さらに,番号⑧の仕訳は,平成21年4月13日になされたエコライン・普通秋田から原告会社への口座送金1100万円のうち434万2957円を本件使用許諾金支払債務への弁済とするものであるが,同口座送金は,別紙①・仕訳番号(5)による原告会社のエコライン - 19 -に対する貸付金の返済に充当されるべきものであるから,同口座送金が弁済効を有する余地はない。 (イ) 本件各特許権の譲渡代金債務3000万円は,番号⑨ないし⑬の仕訳によって計上されたエコラインの原告会社に対する短期貸付金3000万円について,これを番号⑭仕訳による未払金との相殺によって支払われたものとされているが,同相殺に弁済効はない。 すなわち,上記番号⑨及び⑫は,エコラインの原告Cに対する代表者勘定上の貸付金債権を,原告会社に対する短期貸付金としたもので,同会計処理を行うには,原告Cの同意のみならず,利益相反取引として原告会社取締役会の承認決議を要するが,いずれも存在しない。 また,番号⑪の仕訳は,平成21年4月13日にされたエコライン・普通秋田から原告会社への口座送金1100万円のうち665万7043円を原告会社に対する短期貸付金としたものであるが,同口座送金は,別紙①・仕訳番号(5)による原告会社のエコラインに対する貸付金の返済に充当されるべきものであるから,原告会社に対する短期貸付金とする余地はない。 さらに,番号⑬の仕訳は,第8期末のエコラインの使途不明現金13 による原告会社のエコラインに対する貸付金の返済に充当されるべきものであるから,原告会社に対する短期貸付金とする余地はない。 さらに,番号⑬の仕訳は,第8期末のエコラインの使途不明現金1330万円について,エコラインの原告会社に対する短期貸付けとみなしたものであるが,原告会社がこのような債務負担を承諾した事実はない。 (ウ) 上記番号③,⑤,⑦,⑨及び⑫の各仕訳は,本件使用許諾金債務と本件各特許権の譲渡代金債務について,代表者勘定上の借方残高(エコラインの原告Cに対する貸付金債権)で相殺するものであるから,同相殺をするには,同借方残高があることが前提となる。 しかし,別紙①の下欄総括表にあるとおり,第6期への繰越残高は,左欄(不正仕訳欄)の借方69万2452円ではなく,右欄(正しい - 20 -仕訳欄)の借方4640万1183円が正しく,この場合には,その後の代表者勘定の残高は,常に貸方(エコラインからみて負債)となり,借方残高となる余地はない。 よって,上記番号③,⑤,⑦,⑨及び⑫の各仕訳による「相殺」処理をすることはできない。 (3) 被告らの主張する相殺合意につき被告らが主張する各相殺合意(平成20年5月15日付け,同年9月30日付け,平成21年5月17日付け,平成22年5月11日付け)はそもそも存在しないし,被告らが各相殺合意の自動債権として主張するエコラインの代表者勘定残高も,上記(2)イのとおり存在しない。 (4) 被告らの主張する被告Eの決算処理につきエコラインの第8期決算における本件譲渡代金の支払処理について,被告Eはエコラインの平成22年3月31日決算期(第8期)の税務申告とそれの前提となる決算が,最終的には,同年5月末頃,被告Eと被告Dとの打ち合わせに 期決算における本件譲渡代金の支払処理について,被告Eはエコラインの平成22年3月31日決算期(第8期)の税務申告とそれの前提となる決算が,最終的には,同年5月末頃,被告Eと被告Dとの打ち合わせによって決定されたものであるとしている(乙101)。また,同人の陳述書でも,エコラインの第8期決算における本件譲渡代金の相殺処理が被告Dとの協議の結果であると記載されている(甲35の1,2)。しかし,原告CとJは,上記決算処理に関与していない。 〔被告らの主張〕(1) 本件各特許権の譲渡代金及びその代金未払の有無原告会社は,本件各特許権の譲渡代金の会計帳簿上の処理につき,被告加藤建設の代表者である被告Dと,エコラインの監査役かつ顧問税理士であった被告Eが,エコラインを乗っ取るべく共謀して,会計帳簿類を改ざんするなどして不正な会計処理をした結果であるとし,改ざんの事実を前提にして譲渡代金が完済されたかのように仮装されたものであると主張し,譲渡代金の未払に基づく解除権の行使等を主張するが,以下のとおり,そもそも改ざ - 21 -んの事実は存在しないし,代金未払の事実もないから,原告会社の解除は有効ではない。 (2) エコラインの帳簿類につきエコラインの帳簿類は,同社の実質的な代表者であった原告Cのもと協議して作成されたものである。原告らは,エコラインの帳簿が改ざんされた等と主張しながら,本件各特許権の譲渡契約にかかる契約書につき,自ら偽造されたものである「特許権譲渡契約書」と題する書面(甲11)を提出し,その一方で被告らが提出し,後に秋田県信用保証協会も同一のものを保管していたことが判明した回答書(乙24)など自らに不利な点については何ら説明しておらず,原告らの主張には信用性がない。 そもそも被 その一方で被告らが提出し,後に秋田県信用保証協会も同一のものを保管していたことが判明した回答書(乙24)など自らに不利な点については何ら説明しておらず,原告らの主張には信用性がない。 そもそも被告Eは総勘定元帳を保管しておらず,原告会社の売掛金とエコラインの買掛金の整合性をチェックする業務をしていなかった。エコラインでは,複式簿記に基づいて経理処理がされており,各勘定科目に相手方科目がある。例えば,総勘定元帳の「普通みずほ銀行」(乙60)の平成18年5月31日の取引である「共同リース秋田組合病院」からの入金1732万5000円の相手方科目は売掛金であって,売掛金が入金されたことで経理上処理されている。この点に関して原告は,短期借入金の復活などと主張するが,被告Eが改ざんしたという仮定に基づく主張でしかなく,失当である。 また,「普通みずほ」とあるみずほ銀行の普通預金口座(乙60)については,平成18年5月31日に700万円が引き出されるなど,その後1500万円が継続的に引き出され,相手科目はすべて代表者勘定で処理されている。これはみずほ銀行の普通預金口座から700万円が引き落とされて,原告Cに渡ったことを示すものである。これが仮に700万円の現金としてエコラインが保管等したのであれば,相手科目は「現金」となって,現金勘定で処理されていたはずであるのに,「代表者勘定」で処理されている以 - 22 -上,現金がエコラインに入金されていないことは明らかである。原告Cが,エコラインに現金を入金したのであれば,総勘定元帳の「代表者勘定」(乙59)のうち相手方科目が「現金」とあって貸方に記載されている金額をみれば足りる。現金での入金があれば,相手科目「現金」・「貸方」で処理され代表者勘定の残高が増加するの 勘定元帳の「代表者勘定」(乙59)のうち相手方科目が「現金」とあって貸方に記載されている金額をみれば足りる。現金での入金があれば,相手科目「現金」・「貸方」で処理され代表者勘定の残高が増加するのである。 さらに,「普通秋田」にかかる勘定の内容も通帳の取引内容を正確に反映しているものであって,確定申告,決算の際に金融機関から残高証明書を取り寄せて確認するように精査されているものである。 以上のとおり,被告Eが帳簿類を改ざんしたり不正経理を行ったという証拠はなく,この点に関する原告らの主張は憶測にすぎない。 (3) 被告Eと被告Dとの関係被告Dと被告Eは顔を知っている程度の関係でしかなく,被告Dはエコラインの代表取締役に就任した後,被告Eを顧問税理士から解任している。被告Eは,被告Dが,エコラインを乗っ取ろうと疑いをかけ,被告Dを代表の座から引きずり落とすべく,従来から親友以上に信頼しあっていた原告Cらとともに謀議謀略を謀っていたのである。 したがって,そもそも被告Dと被告Eが帳簿の改善を共謀するなどということはあり得ない。 (4) 相殺合意の成立及びこれに基づく会計処理平成20年5月15日に原告C,J,売上金を管理するK,エコライン社員で現金を管理するP(以下「P」という。),被告Eとの間で協議が行われ,その結果,原告C,Jらの間で以下の合意が成立した。 ⅰ 前提となる債権債務関係は,以下のとおりである。 a)原告会社は,エコラインに対し,特許権の使用許諾等の対価として,特許保証金3000万円と個別のロイヤルティーの支払を求める請求権があるところ,平成20年3月31日時点で特許使用保証金の - 23 -分割支払分は1000万円である(使用許諾契約書〔乙1,2〕)。 b)エコラ 払を求める請求権があるところ,平成20年3月31日時点で特許使用保証金の - 23 -分割支払分は1000万円である(使用許諾契約書〔乙1,2〕)。 b)エコラインは,原告Cに対し,代表者勘定に基づく借入金(801万5621円,乙9の2,乙59)及び同社のなくなった現金(198万4379円,乙9の3)の返還を求める請求権がある。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりすることに合意する。 ⅱ a)とb)の請求権を合意によって相殺する。 ⅲ ⅱの合意によって,エコラインの原告Cに対するb)の請求権は消滅し,その代わり,エコラインが原告会社に対して負うa)の債務も対当額で消滅する。 原告Cは,原告会社の代表取締役であって経営決定権者であり,エコラインの実質的な経営者で経営決定権者たる会長でもあること,エコラインから借入れをした当事者であることから,原告Cが自らの前記ⅰb)の債務を免れるため,自らが経営決定権者である原告会社,エコラインの同意のもとにして上記相殺合意をしたことは,当事者の合理的意思解釈として相当である。 上記相殺合意に基づき,被告Eは,訂正した試算表を作成し(乙81),①特許使用保証金3000万円について未払金勘定をたて,②なくなった現金分である198万4379円につき現金勘定にて計上し(乙9の3),③エコラインから原告Cに対する貸付金801万5621円を代表者勘定にたて(乙9の2,乙59),④上記②と③の合計1000万円を,①の未払金3000万円のうち1000万円を特許使用権として相殺し(乙9の1),⑤上記④の弁済済みの1000万円の特許使用権を,同期の貸借対照表(乙10)の繰延資産の特許使用権に記載し,⑥上記①の残っ 未払金3000万円のうち1000万円を特許使用権として相殺し(乙9の1),⑤上記④の弁済済みの1000万円の特許使用権を,同期の貸借対照表(乙10)の繰延資産の特許使用権に記載し,⑥上記①の残った2000万円につき,特許使用保証金として未払金に計上し,投資等の内訳書,買掛金(未払金,未払費用)の内訳書(乙10)に期末付け - 24 -で記載した。 被告Eは,上記相殺合意に基づいた決算書,確定申告書を作成し,確定申告書(乙10)の20頁目に,代表取締役J,I,監査役被告Eによる平成20年5月16日付け報告書を添付して,平成20年5月27日エコラインの代表取締役であるJの署名押印を得て同日税務署に確定申告をした(乙10)。 (5) その後の相殺合意及び会計処理上記(4)と同様に,以下のとおり,平成20年9月30日,平成21年5月17日,平成22年5月11日にも,原告C,J,K,P,被告Eとの間で協議が行われた結果,合意に基づく相殺処理が行われた。 ア平成20年9月30日には,原告C,Jらの間で,以下の合意が成立した。 ⅰ 前提となる債権債務関係は,以下のとおりである。 a)原告会社はエコラインに対し,特許権の使用許諾等の対価として特許保証金3000万円のうち支払済みの1000万円を控除した残額の2000万円及び個別のロイヤルティーを求める請求権がある(使用許諾契約書〔乙1,2〕)。 b)エコラインは,原告Cに対し,代表者勘定に基づく借入金(578万3478円,乙9の4,乙59)及び同社のなくなった現金(687万9922円,乙61)の返還を求める請求権がある。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりすることに合意する 社のなくなった現金(687万9922円,乙61)の返還を求める請求権がある。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりすることに合意する。 ⅱ a)とb)の請求権を合意によって相殺する。 ⅲ ⅱの合意によって,エコラインの原告Cに対するb)の請求権は消滅し,その代わり,エコラインが原告会社に対して負うa)の債務も同額で消滅する。 - 25 -上記相殺合意に基づき,被告Eは,会計処理として,①なくなった現金分である687万9922円につき現金勘定にて計上し(乙61),②エコラインから原告Cに対する貸付金578万3478円を代表者勘定にたて(乙9の4,乙59),③上記①と②の合計1266万3400円を,ⅰa)の未払金の残高2000万円と平成20年9月30日付けで相殺した(乙9の5)。 イ平成21年5月17日には,原告C,Jらの間で,以下の合意が成立した。 (ア) 前提としての平成21年3月31日期(第7期)の決算の問題平成21年3月31日期(第7期)において,エコラインの原告Cに対する代表者勘定による貸付金は,平成21年3月31日時点で299万3643円と高額になった。同社の原告Cに対する貸付金が高額になる原因は,原告Cが,飲食代や私事都合で費消する金員をエコラインの通帳から引き出したり,保管する現金から持ち出すことにあったところ,原告Cが引き出したり持ち出した金員については,同社が,日常的,規則的に処理して代表者勘定に仕訳し,同社の原告Cに対する代表者勘定による貸付金となった。 エコラインでは,現金出納帳を作成しておらず,原告C,Jも作成を指示しておらず,同社に保管されている現金 処理して代表者勘定に仕訳し,同社の原告Cに対する代表者勘定による貸付金となった。 エコラインでは,現金出納帳を作成しておらず,原告C,Jも作成を指示しておらず,同社に保管されている現金の詳細な動きは不明であった。 そこで,平成21年4月中旬に,被告Eは,平成21年3月分の月次試算表を作成した上で,同年5月1日に,エコラインを訪問し,エコラインの実質的な経営者で経営決定権者である原告C,エコラインの代表取締役J,K,Pが同席のもと,3月分の試算表をもとに作成した決算の試算表を配布した(乙82)。被告Eは,原告Cらに対し,同社から原告C個人に対する貸付金が,平成21年3月31日時 - 26 -点で299万3643円あるところ,このような決算書類や元帳類を金融機関が目にした場合,代表者への貸付金の高額さから杜撰な経営体制であるとして信用を失うおそれが高いことなどを説明した。 その後,エコライン内において原告CとJ,K,Pで協議が行われた。 (イ) そして,上記(ア)記載の事情を含めて平成21年5月17日に原告C,J,K,P,被告Eとの間で協議が行われ,その結果,原告C,Jらの間で以下の合意が成立した。 ⅰ 前提となる債権債務関係は,以下のとおりである。 a)原告は,エコラインに対し,特許権の使用許諾等の対価として,特許保証金3000万円から前記1000万円(平成20年3月31日弁済済み)及び1266万3400円(平成20年9月30日弁済済み)の残額である733万6600円と個別のロイヤルティーを求める請求権がある(使用許諾契約書〔乙1,2〕)。 b)エコラインは,原告Cに対し,上記(ア)の代表者勘定に基づく借入金(299万3643円,乙59)の返還を求 6600円と個別のロイヤルティーを求める請求権がある(使用許諾契約書〔乙1,2〕)。 b)エコラインは,原告Cに対し,上記(ア)の代表者勘定に基づく借入金(299万3643円,乙59)の返還を求める請求権がある。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりすることに合意する。 ⅱ a)とb)の請求権を合意によって相殺する。 ⅲ ⅱの合意によって,エコラインの原告Cに対するb)の請求権は消滅し,その代わり,エコラインが原告会社に対して負うa)の債務も同額で消滅する。 上記相殺合意に基づき,被告Eは,訂正した試算表を作成し(乙83),①特許使用保証金の残額について,3000万円から前記1000万円(平成20年3月31日弁済済み)及び1266万3400円(平成20年9月30日弁済済み)を控除した733万6600円につ - 27 -いて未払金勘定をたて,②エコラインから原告Cに対する貸付金299万3643円を代表者勘定にたて(乙9の6,乙59),③上記②の299万3643円を,①の未払金3000万円のうち前記1000万円(平成20年3月31日弁済済み)及び1266万3400円(平成20年9月30日弁済済み)を控除した733万6600円と相殺し(乙9の6),④上記③の733万6400円から②の299万3643円を控除し残った434万2957円につき,特許使用保証金として未払金に計上し,買掛金(未払金,未払費用)の内訳書(乙11)に期末付けで記載した。被告Eは,上記相殺合意に基づいた決算書,確定申告書を作成し,平成20年5月29日にエコライン代表者であるJの署名押印をもらい税務署に確定申告をした(乙10)。 ウ平成22年5月11日にも,上記同 告Eは,上記相殺合意に基づいた決算書,確定申告書を作成し,平成20年5月29日にエコライン代表者であるJの署名押印をもらい税務署に確定申告をした(乙10)。 ウ平成22年5月11日にも,上記同様,以下のとおりの合意が行われた。 (ア) 合意の前提として,以下の事実がある。 a 本件各特許権の譲渡代金等の振込みについて平成21年4月13日に,エコラインから,原告会社に対して1100万円が振込み送金された(乙9の8,乙67)。その一部である434万2957円が本件各特許権の譲渡代金に当てられ,これにより代金3000万円全額が弁済された(乙9の7)。残金の665万7043円は,原告会社への短期貸付金として処理されている(乙9の9)。 b 平成22年3月31日期(第8期)の決算の成立平成22年3月31日期においても,エコラインの原告Cに対する代表者勘定による貸付金は,平成22年3月23日時点で679万7282円と高額になった(乙59)。これらは前記のとおり原告Cの飲食代等であったが,同金員については代表者勘定による貸 - 28 -付金となった。これに加えて,代表者勘定で仕訳された以外にも,各金融機関の残高等と照合した結果,期末にあるはずの現金も大量になくなっており,これも原告Cが持ち出した現金であった。 平成22年4月中旬に,被告Eは,平成22年3月分の月次試算表を作成した上,平成22年4月26日,エコラインを訪問し,原告C,J,K,P同席のもと,3月分の試算表をもとに作成した決算の試算表を配布した(乙85)。なお,試算表には,既に本件各特許権がエコラインの貸借対照表に記載され,前記3000万円につき減価償却や消費税を控除した残額が価値として記載されている。 以上の経緯により,平 配布した(乙85)。なお,試算表には,既に本件各特許権がエコラインの貸借対照表に記載され,前記3000万円につき減価償却や消費税を控除した残額が価値として記載されている。 以上の経緯により,平成21年4月13日に特許権の譲渡代金が完済され,本件各特許権がエコラインに譲渡されたことにつき問題とする者はいなかった。 (イ) 被告Eは,原告Cらに対し,エコラインの原告C個人に対する貸付金が平成22年3月22日時点で679万7282円あること,使途不明金が3000万円あること,このような決算書類や元帳類を金融機関が目にした場合,前記同様,代表者への貸付金の高額さ,保管されているはずの現金がなくなっていることから杜撰な経営体制であるとして信用を失うおそれが高いことなどを説明した。 その後,エコラインにおいて,原告CとJ,K,Pで協議が行われた。 (ウ) 平成22年5月11日,原告C,J,K,Pと被告Eとの間で協議が行われ,同日,原告C,Jらの間で,以下の合意が成立した。 ⅰ 本件各特許権の譲渡代金は完済され,エコラインが保有していることを確認する。 ⅱ 発明功績金等については,以下のとおりである。 - 29 -a)原告会社は,エコラインに対し,平成21年10月26日付け覚書(乙5)によって,特許権の発明功績金の対価として,3000万円の支払を求める請求権がある。 b)エコラインは,原告Cに対し,代表者勘定に基づく借入金(679万7282円,乙59)及び同社のなくなった現金や原告会社に対する貸付金があり,あわせて3000万円の返還を求める請求権がある(乙12の1)。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりし,自らの債務を弁済する あり,あわせて3000万円の返還を求める請求権がある(乙12の1)。 c)原告会社,エコライン,原告Cの三者は,原告会社が,原告Cがエコラインに負うb)の債務を肩代わりし,自らの債務を弁済することに合意する。 ⅲ a)とb)の請求権を合意によって相殺する。 ⅳ ⅲの合意によってエコラインの原告Cに対するb)の請求権,原告会社に対するb)の請求権はその範囲で消滅し,その代わり,エコラインが原告会社に対して負うa)の債務も同額で消滅する。 (エ) 上記相殺合意に基づき,被告Eは,訂正した試算表を作成し(乙86),①功績金の3000万円について未払金勘定をたて,②エコラインから原告Cに対する貸付金679万7282円を代表者勘定から短期貸付金に振り替え(乙12の1,乙59),③短期貸付金として累計額3824万8092円(平成22年3月31日現在)のうち,①の功績金の未払金3000万円と相殺する(乙12の1),④特許権の価値については,特許使用許諾契約書(乙1),覚書(乙2)記載の平成20年3月31日付け弁済の1000万円につき減価償却を行った783万3334円と特許譲渡契約書(乙4)記載の特許使用保証金1000万円と譲渡代金1000万円の合計2000万円につき消費税を控除した残額である1904万7619円(2688万9 - 30 -53円:平成22年度試算表に記載の金額。乙85)に,功績金3000万円から消費税分を控除した2857万1428円を足した5545万2381円(乙12の2)とし,⑤平成22年3月31日弁済の功績金について,特許権譲渡ないし特許権相殺と記載したのは,決算書類を金融機関が目にした際の見栄えが良いこと,特許使用保証金2000万円,特許権譲渡代金1000万円,功績金3000万円 1日弁済の功績金について,特許権譲渡ないし特許権相殺と記載したのは,決算書類を金融機関が目にした際の見栄えが良いこと,特許使用保証金2000万円,特許権譲渡代金1000万円,功績金3000万円は,いずれも特許権価値の内容と被告Eが考えたことからそのように記載したものである。 (6) 小括これらにより本件各特許権に係る譲渡代金,使用許諾料等は完済されており,これは原告会社,原告Cの行動とも符合するものである。 2 争点1(1)ウ(各相殺合意は利益相反取引に当たり,原告会社の取締役会決議も存せず,エコラインがこれにつき悪意であるとして無効となるか)について〔原告らの主張〕被告らが主張する各相殺合意は,いずれも原告会社との関係で,利益相反取引に当たる。仮に,各相殺合意が存在したとしても,A事件被告らの主張では,各相殺合意はエコラインと原告会社と原告C個人との三者合意であるから,同相殺合意をするにつき,少なくとも原告会社の取締役会の承認決議が必要である(会社法356条1項)。しかし,承認決議はされていない。したがって,各相殺合意は,原告会社と原告C個人間では直接取引として常に無効であり,原告会社とエコラインとの間でも間接取引とはいうものの,被告らの主張によればエコラインの実質的決定権者も原告Cであったというのであるから,エコラインは同決議不存在につき悪意であり無効ということになる。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 - 31 -原告会社と原告Cとの間で利益相反取引に当たるかは不明である。原告会社は代表取締役である原告Cに対し,報酬や発明者対価を支払わなければならないところ,その義務を免れるものであるから,利益相反取引に当たるかどうかは不明である。 また,そもそも取 である。原告会社は代表取締役である原告Cに対し,報酬や発明者対価を支払わなければならないところ,その義務を免れるものであるから,利益相反取引に当たるかどうかは不明である。 また,そもそも取締役会決議が存しないかどうかも不明である。 3 争点1(1)エ(相殺合意が利益相反取引に当たり取締役会決議を欠くとして無効となるとしても,信義則に照らし原告会社がそれを主張することが許されないか)について〔被告らの主張〕原告会社は,原告C一人が意思決定を行う会社であった。この点,原告Cが実質的な経営者であったエコラインにおいても取締役会はおよそ開催されておらず,同社の代表取締役であったJもそのことを認めている(乙72)。 このように原告会社内で取締役会を開催していなかったことは,原告Cが会社法の手続きを履行しなかったもので,原告会社及び原告Cの責めに帰すべき事由である。 しかも,前記各相殺合意において,原告Cは,自ら多額の債務を免れており,大きな利益を得ているほか,本件各特許権がエコラインに譲渡されたことを三菱東京UFJ銀行,秋田県信用保証協会に申告しており,これによりエコラインは2億円の振替債(以下「私募債」という。)を発行して多額の運転資金等も得ている。 かような原告C,関係者らが,自らの責めに帰すべき事由によって取締役会を開催せず,自ら及び関係者が大きな利益を得ながら,都合が悪くなれば取締役会決議の欠缺を主張することは信義則に反し許されない。 また,原告会社に取締役会の決議が欠けていたとしても,原告Cは,本件表明保証において,エコラインが本件各特許権の特許権者であることなどを表明し保証している。原告Cは,当時原告会社の代表者でもあって,仮に,原告会 - 32 -社の取締役会決議欠缺の無効原因 インが本件各特許権の特許権者であることなどを表明し保証している。原告Cは,当時原告会社の代表者でもあって,仮に,原告会 - 32 -社の取締役会決議欠缺の無効原因があるのであれば,それを示さなければならないのに,あえて本件表明保証をしたことは,信義則上無効の主張を放棄したものであり,エコラインはもちろんのこと,代表者を共通にする原告会社においても,無効を主張することは禁反言の原則,信義則に照らし許されない。 しかも,被告加藤建設は,三菱東京UFJ銀行に連帯保証債務を履行し,本件根質権を代位した(乙100)ことによって,三菱東京UFJ銀行と同じ地位にあるのであって,原告Cを代表者としていた原告会社は,三菱東京UFJ銀行と同様に被告加藤建設に対しても,いかなる無効原因,取消原因等を主張できないものである。 加えて,原告会社の取締役・監査役は,いずれも原告Cの姉であって,家族が就任した名目的な取締役にすぎず,実態は原告C一人が経営判断をしていた。 かかる原告会社ではかような人的関係から取締役会など開催されておらず,自らに不都合なときだけ取締役会の欠缺を主張することは信義則に反する。 〔原告らの主張〕否認ないし争う。 4 争点1(2)(解除原因に関する被告加藤建設の悪意ないし背信的悪意の有無)について〔原告会社の主張〕被告Dと被告Eは,その協議に基づき,譲渡代金の未払金3000万円を相殺処理するために,平成22年3月30日付けで短期貸付金678万7282円,同月31日付けで短期貸付金1330万円をそれぞれ資産計上したが,これらが原告会社の承諾なく仮装計上したものであることは明らかである。 被告Dは,少なくとも,上記短期貸付金678万7282円,同1330万円の資産計上が仮装であ をそれぞれ資産計上したが,これらが原告会社の承諾なく仮装計上したものであることは明らかである。 被告Dは,少なくとも,上記短期貸付金678万7282円,同1330万円の資産計上が仮装であることを認識し,かつ,これらと上記譲渡代金の未払金3000万円とを相殺処理し得ないことを認識していたにもかかわら - 33 -ず,これを実行して仮装したものであり,その後,被告加藤建設の代表取締役として,エコラインから本件各特許権を譲り受けたのであるから,被告加藤建設は,契約解除に基づく本件各特許権の原告会社への復帰につき,背信的悪意者であることを免れない。 よって,原告会社は,被告加藤建設に対して,本件各特許権を登録なくして対抗できる。 〔A事件被告らの主張〕否認ないし争う。 5 争点1(3)(本件再譲渡契約の無効原因の有無及び被告加藤建設の認識)について〔原告会社の主張〕エコラインと被告加藤建設との間の平成23年5月31日付け本件各特許の譲渡契約を締結したエコライン代表取締役,及びその譲渡契約の承認をした取締役会を構成する取締役については,その選任の株主総会決議が存在しない新株発行を受けた株主の議決権に基づき決議されたものであり,不存在である。このことにつき,被告加藤建設の代表者である被告Dは十分認識して本件再譲渡契約を締結したものであるから,エコラインと被告加藤建設との間の本件再譲渡契約は,無効である。 〔A事件被告らの主張〕否認ないし争う。 6 争点1(4)(被告アースアンドウォーターの背信的悪意の有無)について〔原告会社の主張〕被告アースアンドウォーターは,被告Dが設立した会社であるから,前記事情を十分認識しながら,被告加藤建設から本件各特許につき専用実施権の ーターの背信的悪意の有無)について〔原告会社の主張〕被告アースアンドウォーターは,被告Dが設立した会社であるから,前記事情を十分認識しながら,被告加藤建設から本件各特許につき専用実施権の設定を受けている。 したがって,現在の本件各特許権の登録名義人である被告加藤建設及び現 - 34 -在の本件各特許権の専用実施権者である被告アースアンドウォーターは,背信的悪意者または無権利者であり,平成23年6月1日受付けの特定承継による本件の移転登録(本件各再移転登録)は不実の登録であり,平成23年9月29日受付けの専用実施権の設定登録(本件各設定登録)は不実の登録である。 〔被告アースアンドウォーターの主張〕否認し,争う。 7 争点1(5)(真正な登録名義の回復の許否)について〔A事件被告らの主張〕本件各特許権は,原告会社からエコライン,エコラインから被告加藤建設に移転登録されており,解除された場合も,いわゆる復帰的物権変動類似のものとして,被告加藤建設からエコライン,エコラインから原告会社に順次移転登録されるべきものである。 したがって,中間省略に当たる真正な登録名義の回復は許されない。 〔原告会社の主張〕中間省略に当たる真正な登録名義の回復は許されるべきである。 いわゆる復帰的物権変動類似の場合に,真正な登録名義の回復の方法によることを一般的に否定すべきものとは解されない。 8 争点2(1)(予備的請求は不適法か〔被告加藤建設の本案前の答弁〕)について〔被告加藤建設の主張〕(1) 訴えの利益がないことア予備的請求は,原告会社からエコラインに対する譲渡契約が解除され,被告加藤建設が背信的悪意者であった場合に,本件特許権の真正なる登録名義の回復を請 主張〕(1) 訴えの利益がないことア予備的請求は,原告会社からエコラインに対する譲渡契約が解除され,被告加藤建設が背信的悪意者であった場合に,本件特許権の真正なる登録名義の回復を請求するものである。仮に解除権が無効でA事件主位的請求の趣旨第1項が認容されない場合は,被告加藤建設が本件各特許権を保有 - 35 -するのであるから,原告会社に本件各特許権は帰属しない。したがって,原告会社は特許権者でない以上,妨害排除請求権を行使できない。仮に解除が有効であるが,被告加藤建設が背信的悪意者でなかった場合,被告加藤建設は法的に保護される第三者であって,適法な法的根拠に基づいて本件各特許権の登録をしている以上,妨害に該当しないから,原告会社は,被告加藤建設に対し,妨害排除請求権を行使できない。以上から,予備的請求にはならない。 イ原告会社は,予備的請求によって,エコラインから被告加藤建設に対する移転登録の抹消を求めている。これが仮に認容されたとしても,本件各特許権はエコラインに帰属するだけであるから,原告会社は特許権者になるわけでもなく(特許法98条),その他権利を有するものではない以上,原告会社に法的に保護されるべき利益はない。 また,エコラインは,破産手続き中であるところ,同社の財産は破産財団を構成し,破産管財人の管理下にある。そして,破産管財人は,エコラインと被告加藤建設間の譲渡を否認しており,否認権訴訟が秋田地方裁判所に係属している。破産債権に関する訴訟は,破産法の手続きによらなければならないという破産法の趣旨からすれば,原告会社の訴えの変更は,破産管財人のみが行使できる否認権と実体的に同一であって,原告会社が行使できるものではなく,法的保護に値する利益はない(破産法100条参照 ないという破産法の趣旨からすれば,原告会社の訴えの変更は,破産管財人のみが行使できる否認権と実体的に同一であって,原告会社が行使できるものではなく,法的保護に値する利益はない(破産法100条参照)。 ウ以上から,予備的請求には訴えの利益がない。 (2) 時機に後れた攻撃方法であること予備的請求の訴訟物は,本件各特許権に基づく妨害排除請求権とするものであって,新たな訴訟物の追加である以上,訴訟完結の著しい遅延を招くものであって許されない。 〔原告会社の主張〕 - 36 -否認し,争う。 予備的請求の訴訟物は,本件各特許権に基づく妨害排除請求権であり,主位的請求と同一であって,請求の基礎に変更はない。争点も,解除の有効性と被告加藤建設の背信的悪意として同一であり,訴訟の完結を遅延させるものではない。 9 争点2(2)(A事件予備的請求の可否)について〔原告会社の主張〕前記8〔原告会社の主張〕のとおり,A事件予備的請求は,本件各特許権に基づく妨害排除請求権であり,主位的請求と同一であって,請求原因も被告加藤建設の悪意ないし背信的悪意に関する主張と同一である。 したがって,仮にA事件主位的請求が認められない場合でも,A事件予備的請求は認められるべきである。 〔被告加藤建設の主張〕否認ないし争う。 解除原因について被告加藤建設は悪意ないし背信的悪意者ではない。 10 争点3(1)(被告E,被告D及び被告加藤建設の責任原因)について〔原告らの主張〕(1) 被告Eの責任原因被告Eは,原告会社との間で,同社の会計及び税務業務につき準委任契約を締結して,これを担当していたのであるから,原告会社とエコラインとの間の契約関係を処理する会計業務を行うにあたっては,原告会社,エコラ Eは,原告会社との間で,同社の会計及び税務業務につき準委任契約を締結して,これを担当していたのであるから,原告会社とエコラインとの間の契約関係を処理する会計業務を行うにあたっては,原告会社,エコラインいずれの会社の利益も不当に害さないよう適切な会計処理を行う義務を負っていた。それにもかかわらず,被告Eは,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳を行い,原告会社の本件各代金債権を犠牲にして,エコラインにおいてその支払債務を免れさせようとしたものであるから,上記義務に違反する行為をしたことは明らかである。 - 37 -よって,被告Eは,原告C及び原告会社に対し,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳により被らせた損害につき,債務不履行及び不法行為に基づく賠償責任を負う(民法415条,709条)。 さらに,被告Eは,エコラインの監査役の地位にあって,会社法上,正しい会計処理がされるよう監査すべき義務を負っていたにもかかわらず,同義務に違反して,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳を行い,これを隠してエコラインに通知しなかったものであるから,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳によって,第三者である原告会社が被った損害につき賠償責任を負う(会社法429条)。 (2) 被告Dの責任原因被告Dは,被告Eと共謀して,本件各不正仕訳と本件各支払仕訳を行ったものであって,原告C及び原告会社に対し,これによって被らせた損害につき,共同不法行為に基づく賠償責任を負う(民法719条)。 本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳は,エコラインの取締役として正しい会計処理がされるよう監督する地位にある被告Dが,悪意をもってその職務に違反したものであるから,これにより第三者である原告会社に被らせた損害につき賠償責任を負う(会社 エコラインの取締役として正しい会計処理がされるよう監督する地位にある被告Dが,悪意をもってその職務に違反したものであるから,これにより第三者である原告会社に被らせた損害につき賠償責任を負う(会社法429条)。 (3) 被告加藤建設の責任原因(会社法350条)前記のとおり,被告Dは,被告加藤建設の代表取締役として,原告会社が本件各特許権を取り戻す権利を有することを認識しながら,エコラインから本件各特許権を譲り受け,もって原告会社による本件各特許権の取り戻しを困難ないし不能にさせるとともに,原告会社からの本件各特許権の移転登録請求を拒否したものであって,同行為により原告会社が被った損害につき不法行為責任を負う。 被告Dは,上記行為を被告加藤建設の代表取締役としての職務として行ったものであるから,被告加藤建設は,同行為につき,会社法350条の責任 - 38 -を負う。 (4) 被告D及び被告Eの主張に対する反論被告D及び被告Eは,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳が,原告C及びJの指示によって行われたものである旨主張するところ,仮にそうであったとすれば,本件各支払仕訳にかかる取引は,原告C個人のエコラインに対する債務につき,原告会社の負担で消滅させようとするものであるから,会社法356条の利益相反取引に該当し,原告会社取締役会の事前承認決議を要するが,上記のとおり決議は存しない。 そして,原告会社への債務をエコラインの原告Cに対する債権で相殺等によって消滅させることは,原告Cが原告会社の犠牲によって,自らの債務を免れる利益を得るもので代表権限を濫用するものである。 さらに,Jと原告Cが,本件各契約に基づき成立する本件各債務を上記相殺等によって消滅させることを前提として相殺合 犠牲によって,自らの債務を免れる利益を得るもので代表権限を濫用するものである。 さらに,Jと原告Cが,本件各契約に基づき成立する本件各債務を上記相殺等によって消滅させることを前提として相殺合意をしたのであれば,原告Cが原告会社の代表権限を濫用し,相手方であるJもそのことを認識しながら行ったことになるから,民法93条1項ただし書が類推適用されて,無効となるというべきである。 よって,上記場合は,原告Cは,原告会社の代表権限を濫用して各相殺合意をしたものであって,そのことによって原告会社が被った損害を賠償する責任がある。また,Jは,エコラインの代表取締役として,原告Cの上記権限濫用を認識しつつ,相殺合意をしたのであるから,Jとエコラインは,原告Cの共同不法行為者として,上記損害を賠償する責任がある。 被告D及び被告Eは,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳を行って,債務をエコラインの原告Cに対する債権で相殺等によって消滅させることを幇助したものであって,同人らも共同不法行為責任を免れない。 〔B事件被告らの主張〕否認ないし争う。J,原告Cの責任内容については不知。 - 39 - 11 争点3(2)(損害発生の有無及びその額)について〔原告らの主張〕(1) 原告会社の損害額B事件被告らの共同不法行為によって原告会社が被った損害は,原告会社が本件譲渡契約を締結したことによって逸失した利益,すなわち,本件譲渡契約を締結しなかった場合に得られたであろう利益が,本件における損害額となる。原告会社からエコラインに対する本件各特許権の使用許諾契約は,平成20年3月31日付けで締結された。これ以前においては,原告会社は,エコラインに対し,エコラインの最終販売価格の30パーセントの価格で,本 社からエコラインに対する本件各特許権の使用許諾契約は,平成20年3月31日付けで締結された。これ以前においては,原告会社は,エコラインに対し,エコラインの最終販売価格の30パーセントの価格で,本件各特許の実施である製品(エコタッチ)を販売していたところ,その直接原価は,外注製造原価及び運送費等の諸経費を含め,同販売価格の15パーセントを超えることはなかった。 そこで,原告会社は,エコラインの平成21年4月1日以降の売上の15パーセントに相当する利益を逸失したことになる。 そして,平成20年4月1日から平成26年3月31日のエコラインの売上高は,第10期から第12期までは,第9期の売上高が維持されたとして,26億5986万5087円となるから,15パーセントを乗じた3億9897万9763円が原告会社が本件譲渡契約を締結したことによって逸失した利益ということになる。 (2) 原告Cの損害額原告Cは,エコラインに対して,第6期代表者勘定期首残高である4640万1183円の返還請求権を有していたが,本件各不正仕訳及び本件各支払仕訳によって同請求権の存在を認識できないでいたところ,エコラインの破産によって回収不能となる損害を被った。 (3) 小括よって,原告会社は,B事件被告らに対して,3億9897万9763円 - 40 -のうち一部請求として1億5000万円及びこれに対する本件譲渡契約が解除された日の翌日である平成23年11月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 また,原告Cは,被告E及び被告Dに対して,上記回収不能金4640万1183円及びこれに対するB事件の訴状送達の日の翌日である平成26年9月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金 た,原告Cは,被告E及び被告Dに対して,上記回収不能金4640万1183円及びこれに対するB事件の訴状送達の日の翌日である平成26年9月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 第7 当裁判所の判断 1 証拠(甲1~6,10,12~85,乙1~122,証人E,証人C,被告加藤建設代表者兼被告D。なお,書証〔甲7~9,11,乙1~5〕の成立の真正についての判断は後記のとおりである。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (1) 原告会社による本件特許1に係る発明の出願以降の経緯ア原告会社は,平成16年9月7日,本件特許1に係る発明の出願をし,平成17年8月25日には,本件特許1と同内容の特許について,韓国で特許出願をした。平成19年11月27日に,本件特許1と同内容の発明につき韓国特許が成立し,平成20年3月3日に特許査定がされて同月17日に1年分ないし3年分の特許料が納付され,同月28日に,本件特許権1が日本において設定登録された。〔甲2の1,乙8〕イそして,同日(平成20年3月28日)付けで,原告会社とエコラインとの間で,本件特許権1に係る特許につき,これを製品化した製品についての独占的製造等を許諾する内容の使用許諾契約及びこれについての覚書が締結された。同覚書において,上記特許の使用料については,契約金及び使用パテント料とすることとされ(第1条),契約金として - 41 -平成20年3月分ないし平成22年3月分として各1000万円を支払うこと(第2条),パテント料として販売個数1個当たり150円を支払うこと(第3条)等が約された。〔乙1,2。 - 41 -平成20年3月分ないし平成22年3月分として各1000万円を支払うこと(第2条),パテント料として販売個数1個当たり150円を支払うこと(第3条)等が約された。〔乙1,2。なお甲7,8の成立の真正についての判断は後記するとおりである。〕ウ被告Eは, 平成20年5月16日,エコラインに係る平成20年3月31日現在とする貸借対照表(乙81)を作成し,原告Cらに提出した。 そして,平成20年3月末決算における会計処理として,J,原告Cらの合意の下,①エコラインによる本件各特許権の使用許諾等の対価の趣旨として特許使用金及び保証金分3000万円について未払金勘定をたてることとし,②原告Cにより使途不明となっている現金分である198万4379円につき現金勘定にて計上し,③エコラインから原告Cに対する貸付金801万5621円を代表者勘定にたてた上で,④上記②と③の合計1000万円につき,①の未払金3000万円のうち1000万円を特許使用権として相殺する処理を行い,⑤上記④の弁済済みの1000万円の特許使用権を,同期の貸借対照表の繰延資産の特許使用権に記載し,⑥上記①の残った2000万円につき,保証金(以下「特許使用保証金」という。)として未払金に計上して,確定申告書添付の投資等の内訳書,買掛金(未払金,未払費用)の内訳書に期末現在高として記載した。 エ Jは,平成20年5月27日,秋田南税務署長に対し,上記決算書類に基づき,エコラインの平成19年4月1日から平成20年3月31日までの事業年度分の確定申告を行った。なお,その時点で被告DはJに次ぐ議決権を有する20%の議決権を有する株主であり,また,E経営も10%の議決権を有していた。〔乙10〕(2) 本件特許権2の設定登録以降の経緯アその後,原 。なお,その時点で被告DはJに次ぐ議決権を有する20%の議決権を有する株主であり,また,E経営も10%の議決権を有していた。〔乙10〕(2) 本件特許権2の設定登録以降の経緯アその後,原告会社は,平成20年6月2日に本件特許2に係る発明に - 42 -ついての出願を行った。〔甲3の1〕イそして,同日付けで,原告会社(代表者原告C)とエコライン(代表者J)との間において,上記使用許諾の対象特許として本件特許2を追加し,パテント料,使用料についても上記平成20年3月28日付け覚書において定めたとおりとする旨の「覚書」が作成されているところ,同「覚書」は,平成21年4月16日付けエコラインから秋田県信用保証協会に対する信用保証委託申込書に添付されて,同協会に提出され,保管されてきた。なお,同「覚書」は,平成20年6月2日付けであるにもかかわらず,同日出願された本件特許2の特許番号が記載されている。〔乙3,16。なお,甲9の成立の真正についての判断は後記する。〕ウ平成20年9月19日に,本件特許権2が特許登録された。〔甲3の1〕エ平成21年4月1日付けで,原告とエコラインとの間で,本件各特許権についての譲渡契約(本件譲渡契約)が締結された。同契約においては,本件各特許権の譲渡の対価として1000万円を平成22年3月末日までに現金で支払うこととするが,その対価とは,平成20年3月28日付け使用許諾契約書及び覚書に各規定した契約金の未払金相当であること(第3条),対価の支払をもって本件各特許権が原告会社からエコラインに移転することに合意し,移転登録手続が完了するまでの間は法律上有効に本件各特許権がエコラインに移転するものではないこと(第2条),本件各移転登録手続はエコラインが行うもの が原告会社からエコラインに移転することに合意し,移転登録手続が完了するまでの間は法律上有効に本件各特許権がエコラインに移転するものではないこと(第2条),本件各移転登録手続はエコラインが行うものとすること(第4条)等が定められた。〔乙4。なお,甲11の成立の真正についての判断は後記のとおりである。〕オ平成21年4月13日,エコラインから原告会社に対し1100万円が振込送金され,その内の434万2957円が本件各特許権の譲渡に - 43 -ついての未払代金の支払に当てられた。〔乙9の7,8,乙67〕カエコラインは,平成21年4月16日,秋田信用金庫本店から3000万円の融資を受けるに当たり,秋田県信用保証協会に対し,信用保証委託申込書を作成して提出した。同申込書中,借入れに関しての必要理由として「当社の上場へ向けた会長が代取を努める会社よりの特許権取得と当面の諸経費支払の為」と記載され,平成21年3月分の特許権取得費用1000万円については自己資金にて支払済みと記載されている。 〔乙24〕キ秋田信用金庫は,平成21年4月22日,エコラインに対し,3000万円の融資を行った。〔乙84〕ク平成21年5月1日現在としてエコラインが作成した同社の会社案内には原告Cが会長として表示され,社長と表示されたJよりも上位に記載されている。また,本件各特許権につき,本件各特許権の設定登録日をもって「特許取得」として,同社の沿革に記載されている。〔乙24〕ケ被告Eは,平成21年3月末の決算として,同年5月,訂正した試算表を作成した上で,平成20年9月30日におけるエコラインについての会計処理として,J,原告Cの合意の下,①それまでに原告Cにより使途不明となった現金分である687万9922円につ 月,訂正した試算表を作成した上で,平成20年9月30日におけるエコラインについての会計処理として,J,原告Cの合意の下,①それまでに原告Cにより使途不明となった現金分である687万9922円につき現金勘定で計上し,②エコラインから原告Cに対する貸付金578万3478円を代表者勘定にたて,③上記①と②の合計1266万3400円を,特許保証金の未払金の残高2000万円と平成20年9月30日付けで相殺し,これに基づく平成21年3月末での会計処理として,①特許使用保証金の残額733万6600円(特許使用保証金3000万円から,平成20年3月末に弁済済みである1000万円,上記平成20年9月30日に弁済済みとなる1266万3400円を控除した残額)について未払 - 44 -金勘定をたて,②エコラインから原告Cに対する貸付金299万3643円を代表者勘定にたて,③上記②の299万3643円を,①の733万6600円と相殺する会計処理を行い,④その残り434万2957円につき,特許使用保証金として未払金に計上して,確定申告書添付の投資等の内訳書,買掛金(未払金,未払費用)の内訳書に期末現在高として記載した。 コ Jは,平成21年5月29日,秋田南税務署長に対し,上記決算書類に基づき,エコラインの平成20年4月1日から平成21年3月31日までの事業年度分の確定申告を行った。この時点においても被告DはJに次ぐ議決権を有する20%の議決権を有する株主であり,また,E経営も10%の議決権を有していた。〔乙11〕サ平成21年8月24日付けで,三菱東京UFJ銀行に対してエコラインが提出した「私募債2億円申し込みの資金内訳について」と題する書面には,「エコライン株式会社 C」と表示されている。〔乙24〕シ原告C 1年8月24日付けで,三菱東京UFJ銀行に対してエコラインが提出した「私募債2億円申し込みの資金内訳について」と題する書面には,「エコライン株式会社 C」と表示されている。〔乙24〕シ原告Cは,平成21年10月21日,エコラインの取締役に就任した。 〔甲6〕ス平成21年10月26日に,原告会社とエコラインとの間で,覚書が締結された。同契約書においては,頭書において「アィ・ランドシステム株式会社(以下「甲」という)とエコライン株式会社(以下「乙」という)は甲の保有する特許権を甲が乙に譲渡することに関し,平成21年4月1日に締結した特許権譲渡契約書に基づき,当該特許権の特許庁への移転登録手続きが完了したことを確認して,次のとおり覚書を締結する。」とした上で,①特許権のエコラインへの移転日が平成21年10月26日であることを確認すること(第1条),②上記平成20年3月28日付け使用許諾契約書及び覚書は,平成21年4月1日付け譲渡契約書の締結に従い失効するものとすること(第2条),③エコライン - 45 -は,原告会社に対して功績金として3000万円を支払うこととするが,特許権譲渡契約書を締結した平成21年4月1日からの本件各特許権の実施品1個当たり150円の支払による分割払とし,3000万円に満ちた時点で支払は終了するものとすること(第3条)等が定められた。 〔乙5〕セ平成21年11月2日,本件各特許権について,原告会社からエコラインに対する本件各移転登録がされた。 ソエコラインは,平成21年12月に,三菱東京UFJ銀行の私募債引受けにより,2億円の資金を調達したが,このうち7250万円を,原告Cは株式投資に充てた。 (3) 三菱東京UFJ銀行が引受行となった2億円の私募債に関するエコラ 月に,三菱東京UFJ銀行の私募債引受けにより,2億円の資金を調達したが,このうち7250万円を,原告Cは株式投資に充てた。 (3) 三菱東京UFJ銀行が引受行となった2億円の私募債に関するエコラインによる融資金の使途の問題等ア三菱東京UFJ銀行は,私募債に基づく2億円の融資金の一部によるエコラインによる株式投資を融資金の目的外使用として重大な問題とし,平成22年4月19日,エコラインに対し,直ちに購入した株式を現金化し資金を回収するよう指示した。〔甲36の1,15頁,乙106,14頁〕イ平成22年5月6日付けで,被告Dを債権者とし,原告Cを債務者とする平成17年1月30日貸付の2000万円の債務につき,平成22年5月末日限り支払う旨の債務承認弁済契約書が作成された。〔甲16〕ウまた,平成22年5月6日付けで,被告Dを債権者とし,原告Cを債務者とする平成17年1月30日貸付の500万円の債務につき,平成22年6月末日限り支払う旨の債務承認弁済契約書が作成された。〔甲17〕エ被告Eは,平成22年3月での決算に関し,試算表を作成した上で, - 46 -J,原告Cの合意の下,①功績金の3000万円について未払金勘定をたて,②エコラインから原告Cに対する貸付金679万7282円を代表者勘定から短期貸付金に振り替え,③短期貸付金として累計3824万80092円のうち,①の功績金の未払金3000万円と相殺することとし,これに基づく会計処理を行い,④特許権の価値について,特許使用許諾契約書(乙1),覚書(乙2)記載の平成20年3月31日付け弁済の1000万円につき減価償却を行った783万3334円と,特許譲渡契約書(乙4)記載の特許使用保証金1000万円と譲渡代金1000万円の合計200 ,覚書(乙2)記載の平成20年3月31日付け弁済の1000万円につき減価償却を行った783万3334円と,特許譲渡契約書(乙4)記載の特許使用保証金1000万円と譲渡代金1000万円の合計2000万円につき消費税を控除した残額である1904万7619円に,功績金3000万円から消費税分を控除した2857万1428円を足した5545万2381円を科目「特許権」の期末残高として計上し,確定申告書添付の投資等の内訳書,買掛金(未払金,未払費用)の内訳書に期末帳簿価額として記載した。Jはエコラインの代表取締役として,I及び原告Cはエコラインの取締役として,上記確定申告書添付の決算書類等につき,平成22年5月14日付けで「上記の通りご報告申し上げます。」とそれぞれ記載し,被告Eは,同日付けで,「監査の結果,いずれも適正かつ正確であることを認めます。」と記載した。〔乙13〕オ被告Eは,平成22年5月31日,秋田南税務署長に対し,Jの同月14日付け税務代理委任契約に基づき,エコラインの平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度分の確定申告を行った。この時点においては,原告Cが最大の議決権を有する株主であり,そのほか被告加藤建設,E経営も株主として議決権を有していた。〔乙13〕(4) エコラインの代表者が被告Dに変更された以後の経緯アエコラインの代表者は,平成14年12月から平成22年5月26日までJであったが,同日,被告Dが同社の代表者に就任した。〔甲6〕 - 47 -なお,被告Dが代表者に就任する前日の平成22年5月25日付けで,被告Dを債権者とし,エコラインを債務者とする,債務承認弁済契約書が作成されている。〔甲18〕イまた,平成22年5月27日付けのエコライン代表者被告D 就任する前日の平成22年5月25日付けで,被告Dを債権者とし,エコラインを債務者とする,債務承認弁済契約書が作成されている。〔甲18〕イまた,平成22年5月27日付けのエコライン代表者被告D名義のエコラインの株主に対する提案書により,同年6月1日に資本金として2540万円の払込みを受けて,被告Dに対し,普通株式508株を発行し,その割当てを行う旨,株主総会の決議事項とする旨の提案がされた。 その「出資の目的たる財産」には,「債権者Dと債務者エコライン株式会社との間における,平成17年1月30日付金銭消費貸借に基づく『貸付金2,000万円及び貸付元金2,000万円に対する平成17年1月30日から平成22年5月31日まで年5%の割合による利息金540万円の合計金額2,540万円』の金銭債権」との記載がある。 〔甲13〕これに関しては,被告D(甲14の1),J(甲14の2),I(甲14の3),原告C(甲14の4),Q(甲14の5),R(甲14の6),E経営〔代表者被告E〕(甲14の7)の各同意書が提出されている。このうちRの同意書(甲14の6)に関しては,公証人の面前で真実であることを宣誓した平成23年2月15日付け陳述書により,同意書の住所,氏名はいずれも同人の字ではなく,同意書の内容も株主総会決議の内容も知らないとされている。なお,Rは,原告Cの妻である。 〔甲19の1,2,乙93,28頁〕ウ平成22年5月31日に,エコラインの株主総会が開かれ,被告Dの現物出資により新株508株を発行し,これを被告Dに割り当てる旨等が決議された。〔甲15,42〕エ Kは,平成22年7月24日,原告Cに対し,「アイランド特許譲渡契約書」と題するメールを送信した。同メールにおいては,「会長添 - 48 た。〔甲15,42〕エ Kは,平成22年7月24日,原告Cに対し,「アイランド特許譲渡契約書」と題するメールを送信した。同メールにおいては,「会長添 - 48 -付を確認ください K」として,エコラインと原告会社との間の平成22年7月28日付け「特許譲渡契約書」と題する書面の案,原告会社とエコラインとの覚書の案(2通)等がそれぞれ添付されているところ,特許譲渡契約書の案では,エコラインを甲と,原告会社を乙とし,本件各特許権を「保有する甲が,甲の創業者であり対象特許権を(判決注;ママ)発明者たるCの意向を無視して経済的対価の担保物として経営権の移動,特許権の売却等による発明者への経済的不利益を阻止するために保全的に乙と締結するものである。」(契約の目的),「甲は,甲の保有する下記の特許権・・・を,乙に譲渡するものとする。」(第1条(特許権の譲渡))とされ,エコラインが本件各特許権の権利者であることが明記されているほか,「乙は目的に述べているような事態が回避できたと判断したときには甲と協議し本契約を停止できるものとする。」(第9条(特約))との特約が付されている。また,上記覚書(2通)では,原告会社からエコラインへの本件各特許権の移転日が平成21年10月26日であることが確認されている。〔乙32の1,2〕オ被告Dは,平成22年7月30日,エコラインの代表者を辞任し(なお,同日付けで一旦解任の登記がされ,同年8月11日にこれが抹消されるとともに,辞任の登記がされた),代わりに原告Cが同代表取締役に就任した。〔甲6〕(5) 原告Cがエコラインの代表者に就任した後の事実経過等ア原告Cは,平成22年8月19日,エコライン代表者として,三菱東京UFJ銀行に対し,「知財権状況報告書」と題する書 任した。〔甲6〕(5) 原告Cがエコラインの代表者に就任した後の事実経過等ア原告Cは,平成22年8月19日,エコライン代表者として,三菱東京UFJ銀行に対し,「知財権状況報告書」と題する書面を提出した。 同書面においては,「当社は,下記年度の特許等知財権の状況を下記のとおり報告します。」として,本件各特許権のほか,実用新案権,商標権等も列記した上で,「当社は貴行の事前の承諾なしに,『本件特許 - 49 -権』を譲渡若しくは放棄し,又は『本件特許権』について新たな実施権を設定し若しくはライセンスを付与許諾致しません。」と記載されている。〔乙14〕イ原告Cは,平成22年9月8日,エコラインの代表者として,前記第4,3(5)イの本件表明保証をした。 ウ原告Cは,平成22年10月29日,エコラインの代表者として,エコサービスの代表者である被告Dと,本件各特許権につき,非独占的通常実施権を設定する契約を締結した。そして,同設定契約に基づき,同年11月1日付けで,本件各特許権につき,通常実施権者や範囲等につき非開示とする通常実施権の設定登録がされた。〔甲2の1,甲3の1,甲45〕エ原告Cと,被告Dは,両名がエコラインの発展のため協力すること等を内容とする平成22年11月16日付け「覚書」を締結した。〔甲46〕オエコラインは,平成22年12月6日,三菱東京UFJ銀行に対し,本件各特許権に根質権を設定した。〔甲2の1,3の1〕。 カエコラインは,平成22年12月21日,社内を混乱に陥れたとして,当時の営業本部長であるMと,Fを懲戒解雇処分とした。〔乙77,22頁〕キ被告Dは,エコラインの株主として,原告C,J及びIの善管注意義務違反による取締役解任等の決議を目的とする同社の株主総 ,当時の営業本部長であるMと,Fを懲戒解雇処分とした。〔乙77,22頁〕キ被告Dは,エコラインの株主として,原告C,J及びIの善管注意義務違反による取締役解任等の決議を目的とする同社の株主総会招集許可を申し立てたが,平成23年2月14日,被告Dが保有するとする508株の株式について,これを保有している事実の疎明がないとして申立てが却下された(甲20)。 ク平成23年2月18日,エコラインにおいて,原告C,J,I,被告D,被告Eの出席のもと,取締役会が開かれた。〔乙39〕 - 50 -ケ本件各特許権及び登録第4495773号の特許権につき,平成22年10月29日付け及び同年11月1日付けで通常実施権の各設定登録がされていたところ,原告Cは,エコラインの代表者として,平成23年3月11日付けで,被告Dが代表者を務めるエコサービスに対し,エコサービスの代表者である被告Dが,エコラインの取締役を兼任していたことを理由として,上記通常実施権設定契約は,会社法356条1項2号の定める利益相反取引に該当し,取締役会における承認手続がされていないから無効であると主張して,上記実施権設定契約の無効確認及び各通常実施権の設定登録の抹消登録手続をすることを求める訴えを当庁に提起した。〔甲59,資料4〕コ平成23年3月17日,エコラインでは,代表取締役の原告Cを委員長とし,取締役としてJ,社員代表としてPが出席の上,Fについて従業員から取締役らに宛てた嘆願書の作成を扇動するなどして社の秩序を著しく損なう行為をしたなどとして懲戒解雇相当であるとの意見を述べる旨の決議をした。〔甲59資料8添付資料〕サ原告Cは,エコラインの代表者として,平成23年3月24日付けで,自らとの間で,特許取得に関する発明者対 たなどとして懲戒解雇相当であるとの意見を述べる旨の決議をした。〔甲59資料8添付資料〕サ原告Cは,エコラインの代表者として,平成23年3月24日付けで,自らとの間で,特許取得に関する発明者対価支払契約を締結し,本件各特許権につき,エコラインから原告Cへの発明者対価報酬としてエコラインが販売したエコタッチの販売額の5パーセントを請求できるものとし,これを同契約締結以前の平成16年9月7日以降の販売額に対し遡って請求できることなどを定め,その対価額は1億2434万3466円であるなどと定めた。〔乙41,42〕シ原告Cは,平成23年3月25日,同月28日に緊急取締役会を招集する通知をした。〔乙30〕ス平成23年3月28日に開かれたエコラインの取締役会には,代表者原告C,J,I,被告D及び被告Eが出席したが,同取締役会において, - 51 -原告Cに対する発明者対価報酬支払の承認,エコラインについて民事再生申立てを行うこと,同申立費用350万円のIからの借入れ,同借入れに当たり本件各特許権等に質権を設定すること等が議題とされ,可決されたが,被告D,被告Eは上記取締役会の議事録への押印を拒否した。 〔乙43の1~6〕セエコラインは,前同日,Iに対し,本件各特許権に質権を設定した。 〔甲2の1,3の1〕ソエコラインは,平成23年3月29日に,秋田地方裁判所に対し民事再生手続開始の申立てをした。〔甲55〕タ被告Dは,被告加藤建設の代表者として,改めて原告C,J及びIの善管注意義務違反による取締役解任等の決議を目的とするエコラインの株主総会招集許可を申し立て,同申立ては同年4月5日付けで許可された。〔甲21〕チ秋田地方裁判所の決定により,平成23年4月7日,エコラインの監督委員と 役解任等の決議を目的とするエコラインの株主総会招集許可を申し立て,同申立ては同年4月5日付けで許可された。〔甲21〕チ秋田地方裁判所の決定により,平成23年4月7日,エコラインの監督委員としてSが就任した。〔甲6〕ツ原告Cは,エコラインの代表者として,平成23年4月8日,同月15日に,被告Dを取締役から,被告Eを監査役からそれぞれ解任するための臨時株主総会を招集する旨の通知をした。〔乙31〕テまた,原告Cは,平成23年4月8日付け再生債権者届出書において,エコラインに対する上記サの1億2434万円余りの発明者対価報酬請求権につき,届出をしなかった。〔乙33,10頁〕ト平成23年4月11日,訴外株式会社ベストライフから,秋田地方裁判所に対し,再生債務者であるエコラインにつき,代金5000万円で営業等を譲り受ける旨の営業等譲受意向表明書が提出されたところ,同意向表明書においては,本件各特許権につき何らの負担なく承継できることが必須条件であり,譲受代金を三菱東京UFJ銀行の質権抹消費用 - 52 -として使用することとされた。〔甲56〕ナ平成23年4月12日,被告Dによりエコラインの株主総会が開かれ,同総会において,同社の取締役である原告C,J,Iを解任し,FとNを取締役に選任する旨の決議がされた。そして,原告Cがエコラインの代表取締役を退任し,代わりにFが就任する旨の登記がされた。〔甲6,23〕(6) 原告Cがエコラインの代表者を退任した後の事実経過等ア平成23年4月14日,エコラインにつき再生手続開始申立の取下書が出された。〔甲57〕イエコラインの代表者Fは,原告Cに対し,平成23年4月15日付けで,「当社の『実印』,『銀行印』,『特許に関わる書類一式』」の返 コラインにつき再生手続開始申立の取下書が出された。〔甲57〕イエコラインの代表者Fは,原告Cに対し,平成23年4月15日付けで,「当社の『実印』,『銀行印』,『特許に関わる書類一式』」の返還を求めた。〔乙19〕ウ原告Cは,エコライン代表者として,平成23年4月20日付けで,債権者に対し「経過のご報告」と題する書面により,訴外株式会社ベストライフから営業等譲受意向表明書を受領した旨を通知した。同書面には,エコラインの代表者印が押されている。〔乙38〕エまた,平成23年4月21日付けで,秋田地方裁判所に対し,F作成の「エコライン株式会社の自立再生計画について」と題する書面が提出された。〔甲58〕オエコラインの監督委員であるS弁護士は,平成23年4月25日,民事再生手続開始申立ては会社再建という本来の民事再生の申立ての趣旨と違う面があるとの金融機関の認識を示す報告書を提出した。〔甲60〕カまた,原告Cは,前同日,エコラインの自立再生計画に対する反論書を秋田地方裁判所に提出した。同書面において,原告Cは,自らをエコラインの代表取締役と表記し,同社の代表社印を押印している。また, - 53 -原告Cは,「エコサービス社がすでにエコライン社の特許商品を販売していることの確認できました(判決注;ママ)ので,エコサービス株式会社に対し,通常実施権設定登録の抹消登録手続請求事件の訴えを起こしました」と記載し,民事再生手続開始決定を求めた。〔甲59〕キしかし,前同日,エコラインにつき再生手続開始申立の取り下げについて裁判所の許可がされ,同日,登録の嘱託が行われた。〔甲6,57〕ク平成23年5月6日,被告アースアンドウォーターの代表取締役が,被告DからMに交代した。〔甲5〕ケ 申立の取り下げについて裁判所の許可がされ,同日,登録の嘱託が行われた。〔甲6,57〕ク平成23年5月6日,被告アースアンドウォーターの代表取締役が,被告DからMに交代した。〔甲5〕ケエコラインの代表者であったJは,同月16日付け当庁宛て陳述書において,平成16年9月以降,エコラインは本件特許1を実施した節水装置の製造等を開始したところ,エコラインも原告会社も会長である原告Cが経営する会社であり,エコラインが権利者であることを前提として業務をしていたなどと述べた。〔乙79〕コ原告Cは,エコラインに対し前記(5)サの平成23年3月24日付け発明者対価支払契約に基づく請求権を有するとし,これを被保全権利として,平成23年5月23日に本件各特許権についての仮差押えをした。 サエコラインは,平成23年5月31日,被告加藤建設に対し,本件各特許権を譲渡(平成23年6月1付けで特定承継による本権の移転登録)した(本件各移転登録)。 シエコラインは,平成23年6月22日,株主総会で解散を決議し,同日,エコラインの代表清算人に,同社の取締役であったNが就任した。 〔甲6〕ス被告加藤建設は,平成23年9月29日,被告アースアンドウォーターに対し,本件各特許権につき専用実施権を設定した(本件各専用実施権設定登録)。 - 54 -セ原告Cは,原告会社の代表者として,平成23年10月31日に,代理人弁護士を通じ,エコライン(代表清算人N宛て),被告加藤建設,被告アースアンドウォーター及びエコサービスに宛て,債務不履行を理由として本件譲渡契約解除の意思表示をし,同年11月2日にその内容証明郵便はエコラインに到達した。同内容証明郵便においては,本件各特許権の譲渡代金は3000万円であるところ,そ 宛て,債務不履行を理由として本件譲渡契約解除の意思表示をし,同年11月2日にその内容証明郵便はエコラインに到達した。同内容証明郵便においては,本件各特許権の譲渡代金は3000万円であるところ,そのうちの480万8551円(税別)しか支払われていないこと,被告Dは被告Eと共謀し,平成22年5月末頃,エコラインの第8期の決算書作成に当たり実際には存在しないエコラインの原告会社に対する3000万円の短期貸付金を不正に作出して平成22年3月31日に遡って本件各特許権の譲渡契約代金3000万円と相殺する処理をしていることが判明しているが,原告会社との関係で被告アースアンドウォーターらは背信的悪意者であること,等が記載されている。〔甲12の1,3〕ソ併せて,原告会社は,被告加藤建設及び被告アースアンドウォーターに対し,原告会社に対する移転登録及び本件専用実施権設定登録の抹消登録を請求した。〔甲12の1,4,5〕タエコラインは,平成24年1月26日に,秋田地方裁判所により破産手続開始決定を受けた。 チ被告加藤建設は,平成24年2月27日の代位弁済により,三菱東京UFJ銀行の本件各特許権に対する根質権について移転を受けた。 (7) 本件訴えの提起等ア原告Cは,原告会社の代表者として,平成24年3月19日,当庁にA事件に係る訴えを提起した。 イ Iの本件各特許権に対する質権については,平成24年3月23日債務弁済を原因として抹消登録がされた。〔乙100の1,2〕ウ原告会社は,平成26年2月24日,秋田地方裁判所に対し,本件 - 55 -各特許権について,エコラインの監査役による詐欺により原告会社は錯誤に陥り,譲渡契約を締結したとして,譲渡契約の取消しと,本件特許権1に関して,主位的にエコラ - 55 -各特許権について,エコラインの監査役による詐欺により原告会社は錯誤に陥り,譲渡契約を締結したとして,譲渡契約の取消しと,本件特許権1に関して,主位的にエコラインが使用,実施により得た利益として9億6374万8604円の不当利得返還請求権を,予備的に原告会社が本件特許権1を実施したことにより得ることができたであろう利益8億2341万2599円の不法行為債権を破産債権として届け出た。〔乙97〕エ原告Cは,原告会社の代表者として,平成24年3月19日,A事件に係る訴えを当庁に提起したが,訴訟係属中の平成26年5月7日に,原告会社の代表者を退任した。 オ原告C,原告会社は,平成26年6月11日,秋田地方裁判所に,B事件に係る訴えを提起した。秋田地方裁判所は,同月17日,民訴法16条1項に基づきB事件訴訟を当庁に移送する旨の決定をした。 (8) エコラインにおける会計処理の実情ア原告Cは,エコラインの実質的な代表者であり,Pを通じるなどしてエコラインの銀行口座から現金を引き下ろすなどしており,そうした原告Cが取得した現金は使途不明金となっていたが,これらは代表者貸付として処理されていた。〔被告E尋問調書5頁,乙106,5~6頁〕イ一方,エコラインの代表取締役であるJからの借入れについては,短期借入金として処理されていた。〔乙49〕ウまた,エコラインの会計処理においては,赤字にするなとの原告Cの指示のもと,秋田組合病院などの,いったん短期借入金と売掛金で相殺処理した売掛金が入金され,これが売上げで計上されているものについては,目標の売上げが達成していない場合に無理矢理売上げを立てることとして行われていた。〔被告E尋問調書10頁〕エまた,売掛金につき短期借入金で相殺する処 これが売上げで計上されているものについては,目標の売上げが達成していない場合に無理矢理売上げを立てることとして行われていた。〔被告E尋問調書10頁〕エまた,売掛金につき短期借入金で相殺する処理については,決算時に - 56 -おいて無理に利益を出すため売掛金が膨らんだ年度があり,売上げの半分が売掛金という異常な決算書になる可能性がある旨を被告Eが原告Cに指摘したところ,売掛金を減らし,同じように負債も減らす処理をすることによって,正常な決算書とすることも行われた。〔被告E尋問調書10ないし11頁〕オエコラインにおいては現金出納帳が作成されておらず,毎年3月末の時点で被告Eが月次試算表を作成し,その後に上記アの原告Cにより使途不明となった金員の処理をどのようにするかの協議がされ,5月における確定申告のための決算書類が作成されていた。 (9) 原告Cの証人(尋問当時)尋問の結果原告Cは,被告Eとの間で,本件各特許権の使用料等について貸付金との相殺処理について合意した旨を認めている。〔尋問調書22ないし23頁〕(10) Pの陳述書の記載Pは,平成18年4月1日にエコラインに入社して経理を担当するようになった者であり,それ以前に「秋田ゴルフパーク」との名称の会社に勤務していたが,同社は「アイランドビル」の一階で原告会社とフロアを共用していた関係で遅くとも平成16年頃からエコラインと原告会社の現金出納などの経理を手伝うようになったとするところ,「最近,アイランドビルの2階のキャビネットにおいてあった私の個人所有のパソコンが見つかったということで見せてもらいました。確かに,私が使用していたパソコンで,私が当時弥生会計という会計ソフトで入力した,アイ社(判決注;原告会社)の第 ットにおいてあった私の個人所有のパソコンが見つかったということで見せてもらいました。確かに,私が使用していたパソコンで,私が当時弥生会計という会計ソフトで入力した,アイ社(判決注;原告会社)の第19期(判決注;平成17年10月1日ないし平成18年9月30日)とエコ社(判決注;エコライン)の第4期(判決注;平成17年4月1日ないし平成18年3月31日分)の会計データが入っていました。」,「上記パソコンから打ち出してもらったデータも見ましたが, - 57 -これも当時私が入力した内容に間違いがないと思います。」,第4期分に関しても「C会長からの入金は,代表者勘定で処理し,短期借入金という勘定を用いたことはありませんでした。」と述べている。〔甲38の10(平成25年3月23日付けPの陳述書)〕(11) 柘植一雄税理士の調査意見書の記載柘植一雄税理士は,「そもそも,Cはエコ社の代表取締役ではなく,Cとエコ社との貸借関係を代表者勘定で処理することはできない」と述べている。〔甲83(平成27年1月16日付け調査意見書)〕(12) 書証の成立の真正についての判断ア原告らは乙1(原告会社とエコラインとの間の平成20年3月28日付け使用許諾契約書),乙2(原告会社とエコラインとの間の同日付け覚書),乙3(原告会社とエコラインとの間の平成20年6月2日付け覚書),乙4(原告会社とエコラインとの間の平成21年4月1日付け特許権譲渡契約書)及び乙5(原告会社とエコラインとの間の平成21年10月26日付け覚書)につきそれらの成立を否認するので,以下検討する。 被告代理人による弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対する秋田県信用保証協会の平成24年9月19日付け回答によれば,同協会において,エコライン つきそれらの成立を否認するので,以下検討する。 被告代理人による弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対する秋田県信用保証協会の平成24年9月19日付け回答によれば,同協会において,エコラインから提出を受けたものとして保管されてきたもの(乙16)と乙1ないし5を比較すると,いずれも同一内容の文書(乙1,3ないし5)か,あるいは同日付けの同趣旨の文書(乙2)であり,かつ,いずれも同一の印影が顕出されているものであることが認められ,そうすると,乙1ないし5は,いずれも真正に成立したことが認められる。 この点に関して原告らは,乙1については,本件特許権1の登録日が作成日であるにもかかわらず特許番号が入れられて作成されていること, - 58 -乙2については,乙16添付のものと一部条文が異なること,乙3についても,本件特許権2について出願日に特許取得した旨が記載されて特許番号が記載されているのは不自然であることなどを主張するが,これら乙1ないし5は,いずれも原告Cらと被告Dらとの紛争が起こる以前である平成21年4月16日付け秋田県信用保証協会に対する信用保証委託申込書に添付されて同協会に提出されていた乙16添付の文書と,原告Cの原告会社の代表者印及びJのエコラインの代表者印につき,いずれも同一の印影が顕出されているものであるから,上記の事情は,それらの成立の真正に影響を与えるものではないというべきである。 イ他方,原告らは,前記アの乙1ないし5に対し,甲7(原告会社とエコラインとの間の平成20年3月31日付け使用許諾契約書),甲8(原告会社とエコラインとの間の平成20年3月31日付け覚書),甲9(原告会社とエコラインとの間の平成20年9月30日付け覚書)及び甲11(原告会社とエコラインとの間の平成 け使用許諾契約書),甲8(原告会社とエコラインとの間の平成20年3月31日付け覚書),甲9(原告会社とエコラインとの間の平成20年9月30日付け覚書)及び甲11(原告会社とエコラインとの間の平成21年10月20日付け特許権譲渡契約書)を提出するが,被告らはこれらの書類につき,原告らにより偽造されたものであるとしてそれらの成立の申請を否認する。 そこで検討するに,甲7は乙1と,甲8は乙2と,甲9は乙3と,甲11は乙4と,それぞれ両立し得ない文書であるところ,それらは,乙1,3ないし5と日付け及び内容等で異なり,また,秋田県信用保証協会に保管されてきた文書とは顕出された印影がいずれも異なるところ,原告Cは乙号証の契約書を作成した事実はないと証言する(証人尋問調書1頁)ものの,秋田県信用保証協会に保管されてきた文書は被告Dらとの紛争以前の平成21年4月に同協会に提出されたものであるにもかかわらず,これらは被告Dの意を汲むものにより偽造された文書である(証人尋問調書12,13,21頁)などと著しく不合理な証言をするなど,原告らはこの点につき何らの合理的説明を行い得ないものである - 59 -ことからすれば,甲7ないし9,11は,原告Cがエコラインの代表者を退任し,Fにおいて原告Cに対しエコラインの代表者印等の返還を求めた時期頃に原告Cらにより作成されたものと推認され,いずれも真正に成立したものとは認められないというべきである。 なお,原告らは,本件各移転登録の際の添付書類として甲11の特許権譲渡契約書の提示を受けたとするTの陳述書(甲64)を提出するが,同陳述書は不動文字で記載されて同人が署名押印したものにすぎず,何者がこの本文を記載したものかも不明である上,陳述書の内容的にも,甲11と乙4とを比較対 けたとするTの陳述書(甲64)を提出するが,同陳述書は不動文字で記載されて同人が署名押印したものにすぎず,何者がこの本文を記載したものかも不明である上,陳述書の内容的にも,甲11と乙4とを比較対照した上で確認を行ったものでもなく,信用することができない。 2 争点1(1)ア及びイ(譲渡代金未払の事実の有無〔被告E及び被告Dによるエコラインの帳簿改ざん等の事実の有無,相殺合意に基づく会計処理の有無〕)について(1) 上記1で認定した事実を基に判断する。 上記1で認定した事実によれば,本件各特許権については,原告会社とエコラインとの間で平成21年4月1日付けで本件譲渡契約が締結され,そのための特許権取得費用等の融資も受けていること,同年5月1日現在のエコラインの会社沿革には本件各特許権をエコラインのものとして表示していること,同年10月26日付け覚書により,本件各特許権が同日エコラインに移転したことが原告とエコラインとの間で確認され,その際には本件各特許権についての未払譲渡代金については何ら触れられるところがなく,かえって新たに発明功績の対価として販売個数に対応した使用料の趣旨の取り決めがされていること,同年11月2日付けで上記覚書の内容を反映して本件各移転登録がされていること,原告Cは,平成22年9月8日に,当時原告会社の代表者でもあったところ,エコラインの代表者として,三菱東京UFJ銀行に対し本件各特許権につきエコラインが完全な権利を有する旨の本件表 - 60 -明保証をしていること,原告Cは,被告Dらとの紛争が生じた後の同年7月24日に,Kとの間で,本件各特許権が被告Dらの支配下に入るのを免れる目的で,原告C,Kらの支配下にある原告会社に対し特許権を譲渡することを企てているところ,そこ 告Dらとの紛争が生じた後の同年7月24日に,Kとの間で,本件各特許権が被告Dらの支配下に入るのを免れる目的で,原告C,Kらの支配下にある原告会社に対し特許権を譲渡することを企てているところ,そこでは当然のことながらエコラインが本件各特許権を有することが前提とされていること,原告Cは,平成23年3月24日付けでエコラインとの間で1億円以上にのぼる発明者対価報酬の支払契約を締結して,これに基づき,同年5月に本件各特許権のエコラインへの帰属を前提とした仮差押えをしていること,原告Cはエコラインの取締役に就任する平成21年10月以前から同社の設立者であり会長として紹介され,同社の役職にあるものでないにもかかわらず現金を同社の代表者勘定でやりとりした上,相当額を使途不明としていること,エコラインの代表者であるJの承認のもと,平成20年5月ないし平成22年5月までに作成された確定申告書類においては,本件各特許権の移転等に係る金員についての会計上の処理は終了していること,原告Cも証人尋問において,相殺勘定による処理がされていた事実を認めていること,原告会社ないし原告Cが本件各特許権についての未払譲渡代金があるとの主張を始めたのは,原告Cらが申し立てたエコラインに対する民事再生申立てが功を奏さず取り下げにより終了した後,本件再譲渡契約がされ,エコラインが株式総会で解散を決議するなどした後であること,以上の事実が認められる。 以上の事実によれば,本件各特許権の譲渡に伴う契約金等の名目での全ての代金債務の清算については,各相殺合意等により,平成21年4月末までにその処理は終了し未払の代金債務等は存しないものと認めるのが相当である。これは,平成21年10月26日付け覚書の記載内容や,平成22年8月19日に原告Cがエコラインの代表者として三菱東京U 末までにその処理は終了し未払の代金債務等は存しないものと認めるのが相当である。これは,平成21年10月26日付け覚書の記載内容や,平成22年8月19日に原告Cがエコラインの代表者として三菱東京UFJ銀行に対し提出した「知財権状況報告書」の記載や,同年9月8日にされた本件表明保証の内容とも整合するものである。 - 61 -そうすると,原告会社からエコラインに対してされた本件各特許権についての本件各移転登録について,未払代金債務はなく,原告会社によりされた平成23年10月31日付け内容証明郵便による契約解除は有効なものとは認められない。 (2) 原告会社の主張に対する判断この点に関して原告会社は,本件各特許権の譲渡代金の支払は,被告Eにより仮装された不正な会計処理である別紙①,③の本件各不正仕訳,別紙②の本件各支払仕訳によるものである旨主張するところ,この点については,後記4で判断するとおり,原告の上記主張は採用することができない。 3 争点1(1)ウ及びエ(各相殺合意は利益相反取引に当たり,原告会社の取締役会決議も存せず,エコラインがこれにつき悪意であるとして無効となるか,信義則に照らし原告会社がそれを主張することが許されないか)について(1) 上記1で認定したとおり,本件各移転登録に関し,前提となる本件譲渡契約についての代金債務の一部とみられる特許保証金等につき,原告Cに対する貸付金債権との相殺処理等がされているところ,原告会社は,この処理は利益相反取引に当たり,原告会社における取締役会決議は存せず,エコラインはこれにつき悪意であるから各相殺合意は無効である旨主張し,A事件被告らは,本件の事実関係に照らせば原告会社が相殺合意の無効を主張するのは信義則に反する旨主張するので,以 会決議は存せず,エコラインはこれにつき悪意であるから各相殺合意は無効である旨主張し,A事件被告らは,本件の事実関係に照らせば原告会社が相殺合意の無効を主張するのは信義則に反する旨主張するので,以下この点につき検討する。 上記1で認定した事実によれば,本件譲渡契約の代金債務の一部とみられる特許保証金等について原告Cに対するエコラインの貸付金債権等との相殺合意につき,原告会社との関係で利益相反取引に当たるものが含まれ得るとみられるところ,平成20年5月ないし平成22年5月までの間においては,原告Cは,原告会社の代表者であるとともにエコラインの会長などとして同社の実質的な経営者であり,エコラインの代表者ではない時期から代表者勘定を利用して上記相殺処理の前提となる使途不明金を作出した者であること, - 62 -原告会社は,本件A事件の訴え提起時においても原告Cが代表者であったほか,その他の取締役も原告Cの姉などであり,前記1(10)のPの陳述書にみられるとおり,原告会社の社員でもエコラインの社員でもないPが平成16年頃から原告会社の現金出納を行うようになったとするなど原告会社は実体に乏しく,これは本件A事件訴え提起に至るまで同様とみられること等からすれば,原告Cの合意の下に行われた各相殺合意につき,原告会社において,同社の取締役会決議が存しないことを理由にその無効を主張するのは,仮に原告会社における取締役会決議が存しないものとしても,信義則に反し許されないものというべきであり,原告会社はその無効を主張することはできないというべきである。 (2) 小括以上によれば,A事件主位的請求については,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 4 争点2(1)及び(2)(A事件予備的請求は はできないというべきである。 (2) 小括以上によれば,A事件主位的請求については,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 4 争点2(1)及び(2)(A事件予備的請求は不適法か〔被告加藤建設の本案前の答弁〕及びA事件予備的請求の可否)についてA事件予備的請求は,被告加藤建設に対し,妨害排除請求権に基づき別紙登録目録2記載1及び2の登録の抹消登録手続をすることを求めるものであるところ,訴えの利益がないものとはいえず,また,予備的請求の追加の時点における当事者双方の主張立証の状況等に照らすと,必ずしも時機に後れたものとまで認められないから,被告加藤建設の本案前の答弁は理由がない。 しかし,前記2のとおり,本件各移転登録に関し,前提となる本件譲渡契約についての未払代金債務はなく,原告会社によりされた平成23年10月31日付け内容証明郵便による契約解除は有効なものとは認められないから,その余の点について判断するまでもなく,A事件予備的請求も理由がない。 5 争点3(1)(被告E,被告D及び被告加藤建設の責任原因)について(1) 原告らは,被告E,被告Dは,不正な会計処理である別紙①,③の本件各 - 63 -不正仕訳,別紙②の本件各支払仕訳を行い,これにより原告会社及び原告Cに損失を与えたものである旨主張する。 しかし,そもそもこれらの前提となる帳簿処理は,いずれも税務署への確定申告の前提として,代表者であるJのほか,取締役として決算報告を行う以前からエコラインの会長であるとしてエコラインの実質的経営者であった原告Cらにおいても,これらが適正であることを確認し,承認しているものと認められる上,原告らが本件各不正仕訳,本件各支払仕訳として主張する帳簿処理の根拠は, るとしてエコラインの実質的経営者であった原告Cらにおいても,これらが適正であることを確認し,承認しているものと認められる上,原告らが本件各不正仕訳,本件各支払仕訳として主張する帳簿処理の根拠は,いずれも原告C,Jが作成した検討資料やPのパソコンに入力されていた資料が正確であることを前提とするものであるが,前記1のとおり,原告Cにより代表者勘定を利用してされたエコラインにおける使途不明金の存在と,これを前提としたエコラインの会計処理の状況,Pのパソコンが発見されたとする状況等からすれば,Pのパソコンの情報が正確なものであるとは到底認められないこと,Jは平成26年9月20日付け陳述書(甲78)において,被告Eから決算に当たって貸借対照表について話されることはほとんどなく総勘定元帳についても説明を受けたことは全くないなどとしながら,エコラインの第4期の平成18年3月末決済において,被告Eから,試験的工事(モニター工事)に基づく売掛金について原告Cに対する短期借入金約4363万円と相殺して処理するとの提案があったなどと詳細を記憶しているとするのは不合理であり措信できないこと,原告Cは,甲1以下の文書を被告Dとの紛争が生じた後に日付けを遡って作成して書証として提出していると認められること等からすると,原告らが主張する本件各不正仕訳,本件各支払仕訳の事実があったと認めることはできない。 したがって,原告らの上記主張には理由がない。 (2) 原告らの主張に対する判断ア原告らは,被告E及び被告Dは,平成16年10月頃から,エコラインを破綻させることを企てて不正な会計処理をしたものである旨主張する。 - 64 -しかし,被告Eらによる不正な会計処理の事実が認められないことについては上記(1)のとおりで とを企てて不正な会計処理をしたものである旨主張する。 - 64 -しかし,被告Eらによる不正な会計処理の事実が認められないことについては上記(1)のとおりであるのに加えて,本件各特許権がエコラインに移転した前後の時期を含む少なくとも平成20年3月末ないし平成22年3月末の時点において,被告Eの経営するE経営及び被告Dはエコラインにおいて相当の議決権を有する有力な株主であることからすれば,エコラインを破綻させることは被告E及び被告Dにも多大な損失をもたらすものであると認められるから,被告E及び被告Dにはそのような動機はそもそも存しないものというべきである。 したがって,原告らの主張は採用することができない。 イまた,原告らは,原告C及びJの指示と共同不法行為責任についてとして,被告ら主張の各相殺合意がされたのであれば,かかる取引は,原告C個人のエコラインに対する債務につき,原告会社の負担で消滅させようとするものであるから,原告Cが原告会社の犠牲によって,自らの債務を免れる利益を得るものであって代表権限を濫用するものであり,エコラインのJもそのことを認識しながらこれを行ったものであるから,民法93条1項ただし書が類推適用され無効となるところ,原告Cは,原告会社の代表権限を濫用して各相殺合意をしたものであって,そのことによって原告会社が被った損害を賠償する責任があり,Jも,エコラインの代表取締役として,原告Cの上記権限濫用を認識しつつ行ったのであるから,Jとエコラインは,原告Cの共同不法行為者として,上記損害を賠償する責任があると主張し,その上で,被告D及び被告Eは,各債務をエコラインの原告Cに対する債権で相殺等によって消滅させることを幇助したものであって,同人らも共同不法行為責任を免れない旨 記損害を賠償する責任があると主張し,その上で,被告D及び被告Eは,各債務をエコラインの原告Cに対する債権で相殺等によって消滅させることを幇助したものであって,同人らも共同不法行為責任を免れない旨主張する。原告らの上記主張の趣旨は必ずしも明確ではないが,いずれにしても,上記権限濫用の主張と被告D及び被告Eらの幇助責任との関係は明らかであるとはいえないから,上記主張によって原告会社において原告Cの責任を単独で別途追及す - 65 -るのであれば格別,被告Dや被告Eらにおいて,それらの幇助をしたと認めることはできないというべきである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 6 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,A事件についての原告会社の主位的及び予備的請求並びにB事件についての原告らの請求は,いずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官足立拓人は転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官 東海林 保 - 66 -(別紙)当事者目録秋田市<以下略>A事件及びB事件原告アィ・ 東海林保 主文 当事者目録 秋田市<以下略>A事件及びB事件原告アィ・ランドシステム株式会社 秋田市<以下略>B事件原告C原告ら訴訟代理人弁護士丸山健 同大森孝参 同脇田敬志 A事件原告訴訟代理人弁護士三浦太郎 秋田市<以下略>A事件及びB事件被告加藤建設株式会社 東京都千代田区<以下略>A事件被告株式会社アースアンドウォーター 秋田市<以下略>B事件被告D 秋田市<以下略>B事件被告E 被告ら訴訟代理人弁護士高橋邦明 特許権目録 1 特許登録番号第4100693号登録名義人加藤建設株式会社(被告加藤建設)登録年月日平成20年3月28日発明の名称流量制御弁 2 特許登録番号第4189027号登録名義人加藤建設株式会社(被告加藤建設)登録年月日平成20年9月19日発明の名称弁体と流量制御弁 登録目録 告加藤建設)登録年月日平成20年9月19日発明の名称弁体と流量制御弁 - 68 -(別紙)登録目録 1 1 特許登録番号第4100693号原因専用実施権の設定受付年月日平成23年9月29日受付番号007824専用実施権者東京都千代田区<以下略>株式会社アースアンドウォーター(被告アースアンドウォーター) 2 特許登録番号第4189027号原因専用実施権の設定受付年月日平成23年9月29日受付番号007825専用実施権者東京都千代田区<以下略>株式会社アースアンドウォーター(被告アースアンドウォーター) - 69 -(別紙)登録目録 2 1 特許登録番号第4100693号原因特定承継による本件の移転受付年月日平成23年6月1日受付番号004630特許権者秋田市<以下略>加藤建設株式会社(被告加藤建設) 2 特許登録番号第4189027号原因特定承継による本件の移転受付年月日平成23年6月1日受付番号004630特許権者秋田市<以下略>加藤建設株式会社(被告加藤建 移転受付年月日平成23年6月1日受付番号004630特許権者秋田市<以下略>加藤建設株式会社(被告加藤建設) - 70 -別紙①ないし③省略

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る