【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人前堀政幸の上告趣意第一点について。 所論は、要するに、原判決は、被告人がAと投票買収を共謀したうえ同人に対し 三
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人前堀政幸の上告趣意第一点について。 所論は、要するに、原判決は、被告人がAと投票買収を共謀したうえ同人に対し 三回にわたつて交付した交付金のうち一部を供与等に使用した残金一〇五万八千円 (第一回分一七万円、第二回分四〇万円、第三回分四八万八千円)が、Aの手もと で他の金員と混同したとはいえ、その全部がAによつてさらに供与に使用された事 実を認めているにかかわらず、供与の罪に吸収されないとして交付の罪の成立を認 めていることは、当裁判所昭和四〇年(あ)第一五四一号同四一年七月一三日大法 廷判決(刑集二〇巻六号六二三頁)およびこれを引用踏襲した本件先の上告審差戻 判決(昭和四一年(あ)第一七〇九号同四三年三月二一日第一小法廷判決、刑集二 二巻三号九五頁)に示されている交付の罪と供与の罪との吸収関係に関する法律上 の判断の拘束力に違背しているから、判例違反ならびに法令違反である旨主張する が、右大法廷判決は、買収共謀者間でなされた交付、受交付と供与とに関するもの ではあつても、本件のように交付金の残金が受交付者の手もとで他の金員と混同を 生じた後になされた供与の罪との関係に関する場合とは事案を異にするものである から、本件に適切な判例とは言えず、その余は、単なる法令違反の主張であり(本 件先の上告審差戻判決は右の混同後供与に使用された交付金の残金の処置について はなんら判断を示していないものと認めるのが相当である)、結局第一点の所論は すべて適法な上告理由にあたらない(なお、買収を共謀した者相互の間で買収を目 的とする金員の交付、受交付が行なわれた場合において、供与に使用された交付金 の残金が受交付者の手もとで他の金員と混同を生じた後、供与に使用されたとして も、右の混同のため右残金からだれに 間で買収を目 的とする金員の交付、受交付が行なわれた場合において、供与に使用された交付金 の残金が受交付者の手もとで他の金員と混同を生じた後、供与に使用されたとして も、右の混同のため右残金からだれに、いつ、いくらずつ供与されたか供与罪とし - 1 - て特定できないときは、右残金については、供与罪に吸収されることなく、交付罪 を構成するものと解するのが相当である。)。 同第二点および第三点について。 所論は単なる法令違反および量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上告理由 にあたらない。 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、 主文のとおり決定する。 昭和四五年一一月二〇日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 城 戸 芳 彦 裁判官 色 川 幸 太 郎 裁判官 村 上 朝 一 - 2 -
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