平成26(ワ)3343 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年2月10日 東京地方裁判所
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判決文本文18,228 文字)

平成27年2月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第3343号特許権侵害差止等請求事件(口頭弁論の終結の日平成26年12月16日)判決 東京都千代田区〈以下略〉 原告日産化学工業株式会社 同訴訟代理人弁護士増井和夫 同橋口尚幸 同齋藤誠二郎 同北原潤一 同梶並彰一郎 富山市〈以下略〉 被告株式会社陽進堂 同訴訟代理人弁護士佐藤明夫 同杉原嘉樹 同張佑騎 同訴訟復代理人弁護士松下翔 同補佐人弁理士木村信弥 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1のピタバスタチンカルシウム原薬(以下「被告原薬」という。)を使用してはならない。 2 被告は,被告原薬を,その含有水分を4重量%より多く15重量%以下の- 2 -量に維持して保存してはならない。 3 被告は,別紙物件目録記載2のピタバスタチンカルシウム製剤(以下「被告製剤」といい,被告原薬と併せて「被告原薬等」という。なお,同目録記載2(2)の製剤を「YD錠」ということがある。)を製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 第2 事案の概要本件は,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶及びその保存方法に関する2件の特許権を有する原告が,被告による原薬及び製剤の使用・製造・販売等が上記各特許権の侵害に当たる旨主張して,特許法100条1項に基づきその差止めを求める事案である。 1 前提事実(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実を含む。なお,特に断らない限り,証拠の枝番号の記載は省略する。以下同じ。)(1) 当事者原告は,基礎化学品,医薬品の製造・販売等を業とする株式会社である。 被告は,医療用医薬品の製造・販売等を業とする株式会社である。 (2) 原告の特許権ア原告は,次の特許権(以下「本件結晶特許権」といい,その特許出願の願書に添付された明細書を「本件明細書」という。)を有している。 特許番号特許第5186108号発明の名称ピタバスタチンカルシウム塩の結晶出願日 明細書を「本件明細書」という。)を有している。 特許番号特許第5186108号発明の名称ピタバスタチンカルシウム塩の結晶出願日平成16年12月17日(特願2006-520594)優先日平成15年12月26日(特願2003-431788)登録日平成25年1月25日イ本件結晶特許権に係る特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとお- 3 -りである(以下,当該発明を「本件結晶発明1」という。)。 「 式(1)【化1】で表される化合物であり,7~13%の水分を含み,CuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,4.96°,6.72°,9. 08°,10.40°,10.88°13.20°,13.60°,13. 96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°及び27.00°の回折角(2θ)にピークを有し,かつ,30.16°の回折角(2θ)に,20.68°の回折角(2θ)のピーク強度を100%とした場合の相対強度が25%より大きなピークを有することを特徴とするピタバスタチンカルシウム塩の結晶(但し,示差走査熱量測定による融点95℃を有するものを除く)。」ウ本件結晶発明1は,以下の構成要件に分説される(なお,式(1)の構造式【化1】は記載を省略する。以下同じ。)。 A 式(1)で表される化合物であり,B 7~13%の水分を含み,CCuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,4.96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°13.20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°及び27.00 おいて,4.96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°13.20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°及び27.00°の回折角(2θ)にピークを有し,かつ,30.16°の回折角(2θ)に,2- 4 -0.68°の回折角(2θ)のピーク強度を100%とした場合の相対強度が25%より大きなピークを有することを特徴とするD ピタバスタチンカルシウム塩の結晶E (但し,示差走査熱量測定による融点95℃を有するものを除く)。 エ本件結晶特許権に係る特許請求の範囲の請求項2の記載は,次のとおりである(以下,当該発明を「本件結晶発明2」といい,これと本件結晶発明1を併せて「本件結晶発明」という。また,その特許を「本件結晶特許」という。)。 「 請求項1に記載のピタバスタチンカルシウム塩の結晶を含有することを特徴とする医薬組成物。」オ本件結晶発明2は,以下の構成要件に分説される。 F 請求項1に記載のピタバスタチンカルシウム塩の結晶を含有することを特徴とするG 医薬組成物。 カ原告は,次の特許権(以下「本件保存方法特許権」といい,本件結晶特許権と併せて「本件各特許権」という。また,本件保存方法特許権の特許出願の願書に添付された明細書と本件明細書とを併せて「本件各明細書」ということがある。)を有している。 特許番号特許第5267643号発明の名称ピタバスタチンカルシウム塩の保存方法出願日平成23年11月29日(特願2011-260984(特願2006-520594の分割))原出願日平成16年12月17日優先日平成15年12月2 平成23年11月29日(特願2011-260984(特願2006-520594の分割))原出願日平成16年12月17日優先日平成15年12月26日(特願2003-43178 。 以下,上記アの優先日と併せて「本件優先日」という。) - 5 -登録日平成25年5月17日キ本件保存方法特許権に係る特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,当該発明を「本件保存方法発明」といい,その特許を「本件保存方法特許」という。また,これらと本件結晶発明又は本件結晶特許とを併せて「本件各発明」又は「本件各特許」という。)。 「 CuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,4.96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°,13.20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21. 52°,23.64°,24.12°,27.00°及び30.16°の回折角(2θ)にピークを有し,かつ7重量%~13重量%の水分を含む,式(1)で表されるピタバスタチンカルシウム塩の結晶(但し,示差走査熱量測定による融点95℃を有するものを除く)を,その含有水分が4重量%より多く,15重量%以下の量に維持することを特徴とするピタバスタチンカルシウム塩の保存方法。」ク本件保存方法発明は,以下の構成要件に分説される(本件結晶発明と本件保存方法発明において同一の符号を付された各構成要件は,厳密には記載が一致しないものも含まれているが,内容的には同一であることから,以下,各発明を区別することなく,それぞれの構成要件を「構成要件A」などという。)。 C’ CuKα放射線を使用して測定するX線 記載が一致しないものも含まれているが,内容的には同一であることから,以下,各発明を区別することなく,それぞれの構成要件を「構成要件A」などという。)。 C’ CuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,4. 96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°,13. 20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°,27.00°及び30. 16°の回折角(2θ)にピークを有し,かつB 7重量%~13重量%の水分を含む,A 式(1)で表される- 6 -D ピタバスタチンカルシウム塩の結晶E (但し,示差走査熱量測定による融点95℃を有するものを除く)を,H その含有水分が4重量%より多く,15重量%以下の量に維持することを特徴とするI ピタバスタチンカルシウム塩の保存方法。 ケ原告は,本件結晶特許につき訴外沢井製薬株式会社が請求した無効審判の手続において,平成26年8月22日付けで訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。本件訂正請求に係る特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件訂正発明」という。)は次の構成要件に分説される(訂正箇所に下線を付した。)。 A 式(1)で表される化合物であり,B 7~13%の水分を含み,CCuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,4.96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°13.20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°及び27.00°の回折角(2θ)にピークを有し,かつ,30.16°の回折角(2θ)に,20.68°の回折角(2θ)のピーク強度を100%とした場合の相対強度が25%より大きな 64°,24.12°及び27.00°の回折角(2θ)にピークを有し,かつ,30.16°の回折角(2θ)に,20.68°の回折角(2θ)のピーク強度を100%とした場合の相対強度が25%より大きなピークを有し,X 7~13%の水分量において医薬品の原薬として安定性を保持することを特徴とするD’ 粉砕されたピタバスタチンカルシウム塩の結晶E (但し,示差走査熱量測定による融点95℃を有するものを除く)。 (3) 被告の行為ア被告製剤は被告原薬を使用して製造されている。被告原薬はピタバスタチンカルシウム塩を含有している。 - 7 -イ被告は,被告製剤の製造承認を受けてその製造・販売の準備を進めている。 ウ原告は,YD錠の結晶形態の回折角パターンを測定するため,次の5回の測定(以下「原告測定」と総称し,それぞれの測定をその項目番号に従い「原告測定(ア)」などという。)を行った。 (ア) 原告は,平成25年11月19日,公益財団法人科学技術交流財団のあいちシンクロトロン光センターのAichiSRのビームラインBL5S2を使用して,YD錠の結晶形態の分析を行った。その結果は,別紙原告測定結果の(ア)欄のとおりである。(甲5,23)。 (イ) 原告は,同年12月8日,公益財団法人高輝度光科学研究センターのSPring-8の産業利用ビームラインBL19B2を使用して,YD錠の結晶形態の分析を行った。その結果は,同別紙(イ)欄のとおりである。(甲5,23)(ウ) 原告は,平成26年3月4日,粉末X線回折測定装置を使用して,YD錠の結晶形態の分析を行った。その結果は,同別紙(ウ)欄のとおりである。(甲22)(エ) 原告は,同年4月10日,上記(ア)のAichiSRのビームラインBL5S2を使用して,YD錠の結晶形態の 錠の結晶形態の分析を行った。その結果は,同別紙(ウ)欄のとおりである。(甲22)(エ) 原告は,同年4月10日,上記(ア)のAichiSRのビームラインBL5S2を使用して,YD錠の結晶形態の分析を行った。その結果は,同別紙(エ)欄のとおりである。(甲22)(オ) 原告は,同年10月14日,上記(イ)の産業利用ビームラインBL19B2を使用して,YD錠からの回収残渣の結晶形態の分析を行った。 その方法は,ピタバスタチンカルシウム塩の飽和水溶液にYD錠を粉末化して溶解し,溶けずに残った残渣を回収して分析の試料とするものであり,その測定結果は,同別紙(オ)欄のとおりである。なお,被告原薬を特定する別紙物件目録記載1の回折角の数値はこの測定結果によるものである。(甲58)- 8 -エ別紙原告測定結果のとおり,原告測定のいずれにおいても,YD錠について,構成要件C・C’の15本の回折角の数値(理論的にこれと同視できるとする同別紙中の②欄記載の数値を含む。)の全てが小数点第2位まで一致する結果は得られず,一致する数値の個数が最も多い原告測定(オ)でもその個数は15個中3個にとどまるものであった。 2 争点被告は,被告原薬等の構成要件Bの含有水分量,同C・C’の回折角,同Cの相対強度,同Eの示差走査熱量測定による融点,同H・Iの含有水分量及び保存方法の各充足性を争うほか(その余の各構成要件の充足性は争っていない。),新規性欠如,進歩性欠如,サポート要件違反等による特許無効を主張する。 したがって,本件の争点は,次のように整理することができる。 (1) 充足論ア構成要件Bの含有水分量の充足性イ構成要件C・C’の回折角の充足性ウ構成要件Cの相対強度の充足性エ構成要件Eの示差走査熱量測定による融点の充足性 ことができる。 (1) 充足論ア構成要件Bの含有水分量の充足性イ構成要件C・C’の回折角の充足性ウ構成要件Cの相対強度の充足性エ構成要件Eの示差走査熱量測定による融点の充足性オ構成要件H・Iの含有水分量及び保存方法の充足性(2) 本件結晶特許の無効論(新規性欠如)(3) 本件各特許の無効論ア進歩性欠如イサポート要件違反等(4) 本件保存方法特許の無効論(補正要件違反等)(5) 差止請求の当否 3 争点に関する当事者の主張(1) 充足論- 9 -(原告の主張)ア構成要件Bの含有水分量の充足性被告が公表しているインタビューフォームにおいて,被告製剤の含有水分量が9.0~13.0%であることが明らかにされているから,被告原薬等は構成要件Bの含有水分量を充足する。 イ構成要件C・C’の回折角の充足性(ア) 本件発明の対象は,本件明細書の段落【0008】に記載された「結晶形態A」(本件明細書において「結晶性形態A」と記載されることもある。以下同じ。)である。構成要件C・C’の15本の回折角の数値は,結晶形態Aとの同一性を判断するための数値にすぎず,あるピタバスタチンカルシウム塩の結晶が結晶形態Aといえるためには,当該結晶の粉末X線回折測定で得られたチャートにおいて上記同一性を判断するのに十分な数のピークが確認されれば足りる。 (イ) 『第十六改正日本薬局方』(甲17)には,「同一結晶形の試料と基準となる物質との間の2θ回折角は,0.2°以内で一致する。 ……一般的には,単一相試料の粉末X線回折データベースに収載されている,10本以上の強度の大きな反射を測定すれば十分である。」との記載がある。また,『日本薬局方技術情報2011』(甲18)には,「回折角度は,装置の測定 試料の粉末X線回折データベースに収載されている,10本以上の強度の大きな反射を測定すれば十分である。」との記載がある。また,『日本薬局方技術情報2011』(甲18)には,「回折角度は,装置の測定バラツキ,試料の充てんのバラツキ(試料面高さのバラツキ)の影響を受けることから,結晶形同定の規定として,回折角2θ値は±0.2°以内で一致と定められている。……通例,結晶形の同定及び判定では,結晶形に特徴的な複数のピークを選択し上記規定により行うが,本質的にはX線回折の全体的なパターンの一致が重要である。」との記載がある。これらによれば,X線粉末回折法を用いた結晶形態の同一性の判断に当たっては,±0.2°以内の誤差で一致するピークが10本以上確認されれば十分であり,- 10 -場合によっては,それより少ないピーク数であっても,同一の結晶と判断できることもある。 (ウ) YD錠についての原告測定によれば,別紙原告測定結果のとおり,±0.2°以内の誤差で回折角の数値の一致するピークが10本以上(原告測定(エ)につき10本,同(オ)につき15本)又は十分な数(同(ア)及び(イ)につき各7本,同(ウ)につき9本)確認されたのであるから,被告製剤及びこれに使用された被告原薬は構成要件C・C’の回折角を充足する。 ウ構成要件Cの相対強度の充足性結晶形態Aの単結晶構造から理論的に算定したピークの相対強度が25.3%であることから,結晶形態Aを使用した被告原薬等は構成要件Cの相対強度を充足する。 エ構成要件Eの示差走査熱量測定による融点の充足性興和株式会社の販売するリバロ錠(原告製造のピタバスタチンカルシウム原薬が使用されている本件各特許の先発医薬品。以下同じ。)は,構成要件Eの「示差走査熱量測定による融点95℃を有するもの」に当た 興和株式会社の販売するリバロ錠(原告製造のピタバスタチンカルシウム原薬が使用されている本件各特許の先発医薬品。以下同じ。)は,構成要件Eの「示差走査熱量測定による融点95℃を有するもの」に当たらない。被告製剤は,各インタビューフォームにおいて融点(分解点)の該当資料なしとされているから,リバロ錠の上記物性と異なるものではないと推認され,被告原薬等は構成要件Eの示差走査熱量測定による融点を充足する。 オ構成要件H・Iの含有水分量及び保存方法の充足性被告原薬が結晶形態Aである以上,被告は,これを製剤の製造に使用するまでの間及び被告製剤を製造後販売するまでの間において,構成要件H・Iの水分量を4~15重量%に維持する保存方法を使用してピタバスタチンカルシウム塩を保存していると推認されるから,その保存方法は構成要件H・Iの含有水分量及び保存方法を充足する。 - 11 -(被告の主張)ア構成要件C・C’の回折角の充足性原告の主張イ(ア)及び(イ)については,仮に原告が本件各発明の技術的範囲を原告主張のような誤差が許容されるものとすることを出願当初から意図していたのであれば,原告は,そのような記載をすべきであったにもかかわらず,実際には構成要件C・C’の回折角をもってこれを特定したのであるから,本件訴訟においても被告原薬等について15個の回折角の数値が小数点第2位まで一致することを立証すべきである。 仮に原告の主張が正しいとすると,本件各発明の構成要件C・C’の回折角は,原告自身が本件優先日前に出願した別の特許文献(甲9,乙58)に記載されたピタバスタチンカルシウムの結晶質形態(甲9,乙58において結晶多形Eとされているもの)の回折角と全て一致するという不合理な結果となる。 同(ウ)については,①原告測定において 8)に記載されたピタバスタチンカルシウムの結晶質形態(甲9,乙58において結晶多形Eとされているもの)の回折角と全て一致するという不合理な結果となる。 同(ウ)については,①原告測定においては回折角の測定値が構成要件C・C’に記載された15本の数値と全てと一致する結果は得られなかったこと,②原告測定(ア),(イ),(エ)及び(オ)には,構成要件C・C’に記載されたCuKα放射線とは異なる放射光(シンクロトロン光)が使用されていること,③原告が別紙原告測定結果において指摘するピークには,単なるノイズを恣意的にピークと判定したものが含まれていることから,失当である。 イ構成要件Cの相対強度の充足性原告の主張ウは争う。原告測定においては,構成要件Cの相対強度が測定されていない。 ウその余の各構成要件の充足性原告の主張はいずれも争う。 (2) 本件結晶特許の無効論(新規性欠如)- 12 -(被告の主張)本件優先日前に頒布された刊行物であるWO2003/064392号公報(以下「乙4文献」という。)には,①結晶形態の回折パターン(構成要件C)及び②結晶の示差走査熱量測定による融点の記載の有無(構成要件E)の2点において一応相違するほかは本件結晶発明と同一の発明が開示されていたところ,上記①及び②に係る本件結晶特許の構成は乙4文献記載のピタバスタチンカルシウム塩結晶が有する固有の性質であることから,乙4文献には本件結晶発明と実質的に同一の発明が開示されていた。 したがって,本件結晶発明は新規性を欠如する。 なお,原告による本件訂正請求(前記前提事実(2)ケ)のうち,「ピークを有することを特徴とする」とあるのを「ピークを有し,7~13%の水分量において医薬品の原薬として安定性を保持することを特徴とする」と訂 告による本件訂正請求(前記前提事実(2)ケ)のうち,「ピークを有することを特徴とする」とあるのを「ピークを有し,7~13%の水分量において医薬品の原薬として安定性を保持することを特徴とする」と訂正する部分は,特許請求の範囲を減縮するものではない。また,「ピタバスタチンカルシウム塩」とあるのを「粉砕されたピタバスタチンカルシウム塩」と訂正する部分は,明細書に記載した事項の範囲内における訂正とはいえないことから,特許請求の範囲を変更するものである。したがって,本件訂正請求は不適法というべきであって,これにより上記の新規性欠如の無効理由が解消されることはない。 (原告の主張)争う。上記①及び②に係る本件結晶特許の構成が乙4文献記載のピタバスタチンカルシウム塩結晶が有する固有の性質であるとはいえず,両発明には相違点が存在する。 なお,原告は本件結晶発明を減縮する本件訂正請求をしたから,この点からも本件結晶発明の新規性は否定されない。 (3) 本件各特許の無効論ア進歩性欠如- 13 -(被告の主張)仮に本件結晶発明が前記①及び②の点で乙4文献記載の発明と相違するとしても,本件明細書には構成要件Bの水分量を7~13%とすることの技術的意義が示されておらず,上記相違点は当業者が技術常識に基づき通常行う範囲の試行錯誤によって得ることができる程度のものである。また,本件優先日前(平成15年9月頃)に頒布された刊行物であるリバロ錠の医薬品インタビューフォーム(以下「乙5文献」という。)には,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶を乾燥しやすい条件下で保存すると水分減少と結晶性低下が観察されることが記載されているから,上記相違点は,当業者が安定した結晶形態を得るために乙4文献及び乙5文献の記載に基づき通常行う範囲の試行錯誤によっ やすい条件下で保存すると水分減少と結晶性低下が観察されることが記載されているから,上記相違点は,当業者が安定した結晶形態を得るために乙4文献及び乙5文献の記載に基づき通常行う範囲の試行錯誤によって得ることができる程度のものである。また,本件結晶発明の作用効果も格別顕著なものではない。したがって,本件結晶発明は進歩性を欠如し,同様に本件保存方法発明も進歩性を欠如する。 なお,原告の主張する本件訂正請求が不適法であることは,上記(2)(被告の主張)のとおりである。 (原告の主張)結晶形態Aは常温でも減圧乾燥で容易に水分を失い無定形化するという物性を有しており,当業者がこれを得るためにはその物性を知った上で水分量を厳密にコントロールする必要がある上,結晶形態Aには顕著な保存安定性がある。したがって,本件各発明が乙4文献に基づき進歩性を欠如するとはいえない。 なお,原告はこの趣旨を明確化するため,本件結晶発明を減縮する本件訂正請求をしたから,この点からも本件結晶発明の進歩性は否定されない。 イサポート要件違反等- 14 -(被告の主張)本件各明細書の発明の詳細な説明には,含有水分量が構成要件B記載の数値の範囲内であれば所望の効果が得られることが当業者において認識できる程度に具体例を開示して記載されていない。したがって,本件各発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,特許法36条6項1号のサポート要件を満たしていない。 また,本件結晶発明においては結晶を特定するためのピークの回折角の相対強度が一つのピークについてしか特定されておらず(構成要件C),本件保存方法発明においてはその特定を欠くところ(構成要件C’),このような記載では,構成要件C・C’を充足する全ての結晶が本件各発明の結晶と同様の特性を ついてしか特定されておらず(構成要件C),本件保存方法発明においてはその特定を欠くところ(構成要件C’),このような記載では,構成要件C・C’を充足する全ての結晶が本件各発明の結晶と同様の特性を示すということはできない。したがって,本件各明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分なものではなく,同条4項1号の実施可能要件を満たしていない。 よって,本件各特許には無効理由がある。 (原告の主張)本件各明細書の発明の詳細な説明には,水分量をコントロールすることでピタバスタチンカルシウムの安定性が格段に向上すること,結晶形態Aは乾燥して水分量が4%以下となるとアモルファス化して保存安定性が悪くなり,その水分量を7~13%の範囲にすることで医薬品の原薬として最も好ましいものとなることが開示されているから,サポート要件違反はない。 また,結晶形を特定するために各ピークの相対強度の記載までは必要ないというのが当業者の技術常識であるから,実施可能要件違反もない。 よって,本件各特許に被告の主張するような無効理由はない。 (4) 本件保存方法特許の無効論(補正要件違反等)- 15 -(被告の主張)本件保存方法特許の原出願である本件結晶特許の当初明細書及び分割出願時の明細書には,特許請求の範囲に構成要件Cの相対強度の記載があったが,平成24年9月27日付け手続補正書(乙13)による補正(以下「本件補正」という。)の際にその記載が削除された。これにより,補正後の発明は出願時の特許請求の範囲を超えるものとなったから,本件補正は特許法17条の2第3項に違反する。本件保存方法特許は,このような特許出願に対してされたものであるから無効理由がある。また,補正後の出願は,特許法44条1項の 囲を超えるものとなったから,本件補正は特許法17条の2第3項に違反する。本件保存方法特許は,このような特許出願に対してされたものであるから無効理由がある。また,補正後の出願は,特許法44条1項の分割要件を満たさないものとなり,分割出願の出願日は現実の出願日となるところ,本件保存方法発明は,当業者が原出願の公表特許公報(乙12)に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,本件保存方法特許は進歩性を欠如する。 (原告の主張)争う。試料の結晶形の特定のためには強度の大きい10本以上のピークの同一性が確認されれば十分であり,相対強度の確認までは不要というのが技術常識である。 (5) 差止請求の当否(原告の主張)以上のとおり,被告による被告原薬等の使用・製造・販売等及び被告原薬の保存方法の使用はいずれも本件各発明の技術的範囲に属するから,被告の行為は本件特許権の侵害に当たる。よって,原告は,被告に対し,特許法100条1項に基づき,その差止めを求める。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)イ(構成要件C・C’の回折角の充足性)について- 16 -まず,争点(1)イについて判断する。 (1) 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件各明細書の発明の詳細な説明の欄には,次の趣旨の記載がある(甲2の1及び2。なお,以下に認定する記載は本件各明細書に共通するので,以下では本件明細書の段落番号のみを摘示する。)。 本発明は,HMG-CoA還元酵素阻害剤として高脂血症の治療に有用な結晶性形態のピタバスタチンカルシウム塩等に関するものである(段落【0001】)。医薬品の原薬としては,高品質で保存上安定的な結晶性形態を有することが望ましく,更に大 剤として高脂血症の治療に有用な結晶性形態のピタバスタチンカルシウム塩等に関するものである(段落【0001】)。医薬品の原薬としては,高品質で保存上安定的な結晶性形態を有することが望ましく,更に大規模な製造にも耐えられることが要求されるが,従来のピタバスタチンカルシウムの製造法においては,水分値や結晶形に関する記載がなかった(段落【0008】)。 本発明者らは,原薬に含まれる水分量を特定の範囲にコントロールすることで,ピタバスタチンカルシウムの安定性が格段に向上することを見いだし,さらに,水分量が同等で結晶形が異なる形態を3種類見いだし(結晶形態A~C),その中で,CuKα放射線を使用して測定した粉末X線回折図によって特徴付けられる結晶(結晶形態A)が,医薬品の原薬として最も好ましいことを見いだし,本発明を完成させた(段落【0010】)。 結晶形態B及びCは,いずれも結晶形態Aに特徴的な回折角10.40°,13.20°及び30.16°のピークが存在しない結晶多形であるが,ろ過性が悪く,厳密な乾燥条件が必要であるなど欠点が多く,医薬品の原薬としては結晶形態Aが最も優れている(段落【0014】)。 結晶形態Aのピタバスタチンカルシウムは,その粉末X線回折パターン(構成要件C・C’の回折角等)によって特徴付けることができる(段落【0016】)。実施例により得られたピタバスタチンカルシウムの白色結晶は,その粉末X線回折を測定することで結晶形態Aであること- 17 -が確認された(段落【0033】)。 イ本件結晶特許の出願経過は,次のとおりである。(甲9,乙1の1・2,乙10,12,58,59)本件結晶特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載は,「式(1)で表される化合物であり,5~15%の水分を含み,CuKα放射線を使 ある。(甲9,乙1の1・2,乙10,12,58,59)本件結晶特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載は,「式(1)で表される化合物であり,5~15%の水分を含み,CuKα放射線を使用して測定するX線粉末解析において,30.16°の回折角(2θ)に,相対強度が25%より大きなピークを有することを特徴とする結晶(結晶性形態A)。」というものであった。 これに対し,出願に係る発明は特願2006-501997号(特表2006-518354。原告を出願人とし,後に特許第5192147号として特許登録されたもの。その優先日は平成15年2月12日)の当初明細書(以下「チバ特許明細書」という。乙58参照。これには,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶多形A~Fが記載されている。)等により特許法29条1項,2項又は29条の2に違反する旨の拒絶理由通知がされた。そこで,原告は,平成23年11月29日付けの手続補正書で,特許請求の範囲に15本のピークの回折角の数値(構成要件Cの数値)を記載するなどの補正をし,同日付けの意見書において,上記補正は限定的減縮に当たり,もはや1点のみのピークにより特定しているとの認定には該当しない旨主張した。なお,上記意見書において,上記回折角の数値について一定の誤差が許容されること,上記15本中の一部のピークのみの対比によって発明が特定されることをうかがわせる記載は見当たらない。 ウピタバスタチンカルシウム塩の結晶形態は,本件明細書の結晶形態A~C及びチバ特許明細書の結晶多形A~F以外にも存在し得る(弁論の全趣旨)。 エ粉末X線回折測定の回折角の数値により結晶形態を特定した医薬化合物の発明の特許出願には,ピークの回折角に±0.1°~0.2°の許容誤- 18 -差を設けるものが多数存在し,一つの発明中 。 エ粉末X線回折測定の回折角の数値により結晶形態を特定した医薬化合物の発明の特許出願には,ピークの回折角に±0.1°~0.2°の許容誤- 18 -差を設けるものが多数存在し,一つの発明中で許容誤差を低角領域では±0.2~0.3°とし高角領域では±0.4°~0.5°とするものなども存在する。また,結晶形態を特定するピークの本数も,数本~十数本のピークで特定するものなど多様である。(乙19~55)(2) 前記前提事実及び上記認定事実に基づき,構成要件C・C’の回折角について検討する。 ア本件各発明の構成要件C・C’においては,発明の構成が15本のピークの小数点以下2桁の回折角により特定されており,その数値に一定の誤差が許容される旨の記載や,15本中の一部のピークのみの対比によって特定される旨の記載はない。 また,上記認定の発明の詳細な説明の記載によれば,本件各発明は,ピタバスタチンカルシウム原薬に含まれる水分量を特定の範囲にコントロールすることでその安定性が格段に向上すること,及び,結晶形態A~Cの中で結晶形態Aが医薬品の原薬として最も好ましいことを見いだしたというものである。そして,結晶形態B及びCは,水分量が結晶形態Aと同等で,単に,CuKα放射線を使用して測定した粉末X線回折図で結晶形態Aに特徴的な3本のピークの回折角が存在しないことによって結晶形態Aと区別される結晶多形というのであるから,構成要件C・C’の小数点以下2桁の数値で表される15本のピーク中3本のみ相違することが,技術的範囲の属否を判別する根拠とされていることになる。 さらに,本件明細書のその余の記載をみても,結晶形態Aは構成要件C・C’の回折角等の粉末X線回折パターンによって特徴付けられるという以上の特定がされておらず(段落【0008】,【 ことになる。 さらに,本件明細書のその余の記載をみても,結晶形態Aは構成要件C・C’の回折角等の粉末X線回折パターンによって特徴付けられるという以上の特定がされておらず(段落【0008】,【0010】,【0016】,【0033】参照。本件保存方法特許の明細書についても同様である。甲2の1及び2),回折角に一定の誤差が許容されるこ- 19 -となどをうかがわせる記載も見当たらない。 そうすると,本件各発明の技術的範囲に属するというためには構成要件C・C’の回折角の数値が15本全てのピークについて小数点第2位まで一致することを要するというべきである。 イ上記アの解釈は,前記(1)イ~エの事実からも裏付けられる。 すなわち,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶形態には,本件明細書の結晶形態A~C及びチバ特許明細書の結晶多形A~F以外にも未知の結晶多形が存在し得るところ,粉末X線回折測定の回折角の数値により結晶形態を特定した医薬化合物の発明の特許出願には,ピークの回折角に±0. 1°~0.2°の許容誤差を設けるものが多数存在し,結晶形態を特定するピークの本数も数本~十数本で特定するものなど多様であって,その技術的範囲が一定の許容誤差ないし一定のピーク本数によって判断されるとの技術常識は存在しないことがうかがわれるから,構成要件C・C’に記載された15本の数値のうち一部のみが一致し,又は一定の誤差の範囲で一致するにとどまる結晶がこれに含まれると解する場合には,本件各発明の技術的範囲への属否が一義的には定まらないこととなる。また,上記のように解すると,原告自身が本件各発明の技術的範囲に属しないことを認めている結晶形態までもがこれに属する結果になるなど(例えば,チバ特許明細書に記載の結晶形態Eは,構成要件C・C’に記載の15本のピー うに解すると,原告自身が本件各発明の技術的範囲に属しないことを認めている結晶形態までもがこれに属する結果になるなど(例えば,チバ特許明細書に記載の結晶形態Eは,構成要件C・C’に記載の15本のピークが全て±0.2°以内で一致する回折角を含んでいる。),不合理な結果となる。さらに,原告は,本件結晶特許の出願当初は1本のピークの回折角(許容誤差のない小数点以下2桁の数値)及び相対強度をもって発明を特定していたが,拒絶理由通知を受けて構成要件Cの回折角に係る補正をし,この補正が限定的減縮に当たる旨の意見を表明したのであるから,上記補正により,発明の技術的範囲を字義どおり小数点以下2桁の回折角の数値が15個全て一致する結晶に限定したとみるほかなく,このように- 20 -解釈することが補正の趣旨に沿うものというべきである。 ウ以上によれば,本件各発明の構成要件C・C’を充足するためには,15本のピークの全ての回折角の数値が小数点第2位まで一致することを要し,その全部又は一部が一致しないピタバスタチンカルシウム塩の結晶又はその保存方法はその技術的範囲に属するということができないものと解するのが相当である。 (3) これを被告原薬等についてみると,別紙原告測定結果の記載に被告の主張するような問題点がある(甲5,22,23,58等によっても,原告がピークに当たると主張する角度の測定値がノイズではなくピークと判別される根拠が必ずしも明らかではない部分がある。)ことをおいても,原告測定においては,15本全てのピークについて回折角の数値が小数点第2位まで一致するような測定結果は得られなかったというのである(前記前提事実(3)エ)。そして,原告が被告原薬等に含まれるとするピタバスタチンカルシウム塩における15本のピークの回折角は別紙物件目録記載1 で一致するような測定結果は得られなかったというのである(前記前提事実(3)エ)。そして,原告が被告原薬等に含まれるとするピタバスタチンカルシウム塩における15本のピークの回折角は別紙物件目録記載1のとおりであり,うち12本は構成要件C・C’と相違している。そうすると,同目録記載の回折角自体から,被告原薬等は構成要件C・C’を充足しないと判断すべきことになる。 (4) 以上の認定判断に対し,原告は,①本件発明の対象は本件明細書記載の結晶形態Aであり,その充足性は当該ピタバスタチンカルシウム塩の結晶の粉末X線回折測定で得られたチャートにおいて結晶形態Aとの同一性を判断するのに十分な数のピークが確認されれば足りる,②上記の同一性の判断は,日本薬局方等の記載によれば,X線粉末回折法において±0.2°以内の誤差で一致するピークが10本以上確認されるなどすれば十分である,③別紙原告測定結果によればYD錠及びこれに用いられた被告原薬は構成要件C・C’の回折角を充足すると主張する。 しかしながら,本件各発明の特許請求の範囲に結晶形態Aという記載は- 21 -なく,また,前記発明の詳細な説明によっても,結晶形態Aとの同一性は構成要件C・C’の回折角の数値が全て一致するか否かにより判定すべきものと解されるから,構成要件C・C’の回折角の充足性は,端的に,当該結晶がその数値を全て充足するか否かにより判断すべきものであって,上記①の主張は失当である。 また,日本薬局方は,厚生労働大臣が医薬品の性状及び品質の適正を図るため,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律41条(平成25年法律第84号による廃止前の薬事法41条も同趣旨)に基づき定める医薬品の規格基準書であり,原告の挙げる各文献中の記載も,上記法律の目的とする保健衛 性及び安全性の確保等に関する法律41条(平成25年法律第84号による廃止前の薬事法41条も同趣旨)に基づき定める医薬品の規格基準書であり,原告の挙げる各文献中の記載も,上記法律の目的とする保健衛生の向上という公益的見地から医薬品の同一性等を判断する基準として記載されたものと解される。これに対し,医薬品等に係る特許発明の技術的範囲は,明細書の記載及び図面を考慮し当該発明に係る特許請求の範囲の記載に基づいて定めるべきものであるから(特許法70条1項,2項),日本薬局方の記載と常に一致しなければならないものではない。したがって,上記②の主張も理由がない。 さらに,上記③の主張は,原告の主張する回折角の解釈を前提とするものであるから,明らかに失当である。 (5) なお,本件結晶特許については本件訂正請求がされているが,構成要件C・C’の回折角は訂正の対象となっていないから,訂正の許否は本件の結論に影響するものではない。 2 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川 浩 二 - 22 - 裁判官清野正彦 裁判官植 田 裕紀久 - 23 -(別紙)物件目録 1 放射光粉末回折法(0.75Å放射線使用)において,下記回折角(括弧内にCuKα放射線における粉末回折法の場合の対応する回折角を示す。)にピークの認められるピタバスタチンカルシウム原薬 1 放射光粉末回折法(0.75Å放射線使用)において,下記回折角(括弧内にCuKα放射線における粉末回折法の場合の対応する回折角を示す。)にピークの認められるピタバスタチンカルシウム原薬2.41°( 4.96°)3.29°( 6.77°)4.39°( 9.03°)5.08°(10.45°)5.29°(10.89°)6.43°(13.24°)6.61°(13.61°)6.82°(14.05°)8.89°(18.34°)10.02°(20.68°)10.45°(21.58°)11.42°(23.60°)11.66°(24.11°)13.02°(26.96°)14.53°(30.14°) 2 次の商品名のピタバスタチンカルシウム製剤(1) ピタバスタチンCa錠1mg「YD」(2) ピタバスタチンCa錠2mg「YD」- 24 -(別紙)原告測定結果 原告が原告測定においてYD錠から本件各発明の構成要件C・C’に記載された回折角に対応する回折角が観察されたと主張するピーク及び回折角の測定値は,下記の表の(ア)~(オ)欄のとおりである((ア)欄~(オ)欄の各記載がそれぞれ原告測定(ア)~(オ)に対応する。なお,「-」とあるピークは,対応する回折角のピークが観察されなかったか測定しなかったとするものを示す。)。 ピーク①②(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ) 4.962.412.41 ○2.42 ×4.94 ×2.39 ×2.41 ○ 6.723.273.27 ○3.30 ×6.78 ×3.26 ×3. 主文 理由 事実 争点 判断 2.41 ○2.42 ×4.94 ×2.39 ×2.41 ○ 6.723.273.27 ○3.30 ×6.78 ×3.26 ×3.29 × 9.084.414.36 ×4.42 ×- 4.39 ×4.39 × 10.405.05- - - - 5.08 × 10.885.295.26 ×5.29 ○10.89 ×5.27 ×5.29 ○ 13.206.416.38 ×6.43 ×13.20 ○6.39 ×6.43 × 13.606.606.58 ×6.63 ×13.59 ×6.61 ×6.61 × 13.966.786.76 ×6.82 ×13.99 ×6.79 ×6.82 × 18.328.88- - 18.32○- 8.89 × 20.6810.02- - - - 10.02 ○ 21.5210.42- - - - 10.45 × 23.6411.44- - - - 11.42 × 24.1211.67- - 24.04 ×11.65×11.66 × 27.0013.04- - 26.92 ×13.02×13.02 × 30.16 24.04 ×11.65×11.66 × 27.00 13.04- - 26.92 ×13.02×13.02 × 30.16 14.54- - - 14.52 ×14.53 ×(単位:°)(注) ①欄の数値は,構成要件C・C’の回折角の数値を示す。 ②欄の数値は,①欄の回折角(波長1.54Å)を波長0.75Åの回折角に換算した数値を示す。 (ア)~(オ)欄の各右欄の○又は×は,それぞれ①欄((ウ))又は②欄((ア),(イ),(エ)及び(オ))の数値と一致するもの(○)又は一致しないもの(×)を示す。

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